JP3814975B2 - 車両用ナビゲーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば無線通信手段やレーダ探知手段により対向車検知を行なう対向車検知機能を備えたような車両用ナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の対向車検知機能を備えた車両用ナビゲーション装置としては、例えば特開平7−121800号公報に記載の装置がある。
すなわち、ナビゲーションシステムの慣性航法装置および地図情報出力装置の出力に基づいて、コーナー通過制御手段が自車の走行方向前方にあるコーナーを検出すると共に、自車の車速がコーナーを通過する適正車速を越えているか否かを判別し、オーバースピードの場合には車速調整手段およびアラーム手段を介して減速を行ない、コーナーの所定距離手前位置に達すると、通信制御手段を介して当該コーナーを通過する他車(対向車)との間で車速や走行方向等の情報を通信し、コーナーにおけるすれ違いが確実に行なえるように成したものである。
【0003】
この従来装置によれば、山岳路や狭路でコーナーを曲りきれない速度で走行する対向車がある場合にドライバに警報表示を行なうことが可能である。
しかし、この従来装置にあっては、対向車と自車とがすれ違うポイントを推測演算して、このポイントを表示することができない問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の請求項1記載の発明は、対向車検知機能により検知された対向車と、自車とがすれ違うポイントを推測演算し、演算されたすれ違いポイントを対向車と共に表示することで、ドライバに対してすれ違いポイントを認識させ、安全性を確保することができる車両ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0005】
この発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の目的と併せて、上述のすれ違いポイントとなる部分を道路地図上(表示手段に表示された道路地図上)に表示することで、例えば数値によりすれ違いポイントを表示する場合やすれ違いポイントを音声案内する場合と比較して上述の道路地図上にマーキングすることで、すれ違いポイントの認識性向上を図ることができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0006】
この発明の請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の目的と併せて、上述のすれ違いポイントを可変とされる所定範囲として表示することで、車両の走行条件等に応じてすれ違いポイントを幅をもたせて適切に表示することができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする
この発明の請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明の目的と併せて、上述の所定範囲を車両の走行状態によって変更することで、すれ違いポイントを走行状態に対応して可変表示することができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0007】
この発明の請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明の目的と併せて、車速が大きい時は上述の所定範囲が大となるように変更することで、すれ違いポイントの推測演算が不安定となる場合には、安全性を考慮して所定範囲を広く表示することができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0008】
この発明の請求項6記載の発明は、上記請求項3記載の発明の目的と併せて、上述の所定範囲を車両が走行する地理状態によって変更することで、すれ違いポイントを地理状態に対応して可変表示することができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0009】
この発明の請求項7記載の発明は、上記請求項6記載の発明の目的と併せて、上述の所定範囲を屈曲路で大となるように変更することで、ドライバに対して事前に停止または徐行を促すことができ、安全性のさらなる向上を図ることができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0010】
この発明の請求項8記載の発明は、上記請求項6記載の発明の目的と併せて、上述の所定範囲を市街地(換言すれば道路数の多い時、住宅密度が大の時、人口密度が大の時、脇道が存在する時)で小となるように変更することで、対向車とすれ違うポイントが明確となり、対向車をどの位置で避けるとよいかが明瞭となって、市街地に対応した良好な表示ができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0011】
この発明の請求項9記載の発明は、上記請求項3記載の発明の目的と併せて、対向車検知を自車と対向車との間の信号の送受信によって行なう際、送受信の信頼性が低い場合には所定範囲を大きく表示することで、すれ違いポイントの推測演算が不安定となる場合には、安全性を考慮して所定範囲を広く表示することができる車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1記載の発明は、対向車検知を行なう対向車検知機能を備えた車両用ナビゲーション装置であって、自車の現在位置を検出する現在位置検出手段と、道路地図を記憶する記憶手段と、自車の現在位置および道路地図等の必要情報を可視表示する表示手段と、対向車検知機能により検知された対向車と自車とがすれ違うポイントを推測演算するすれ違いポイント演算手段とを備え、演算されたすれ違いポイントを対向車と共に表示する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0013】
この発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成と併せて、上記すれ違いポイントとなる部分を道路地図上に表示する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0014】
この発明の請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成と併せて、上記すれ違いポイントを可変とされる所定範囲として表示する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0015】
この発明の請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明の構成と併せて、上記所定範囲を車両の走行状態によって変更する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0016】
この発明の請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明の構成と併せて、上記走行状態を車速に設定し、車速が大きい時は所定範囲が大となるように変更する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0017】
この発明の請求項6記載の発明は、上記請求項3記載の発明の構成と併せて、上記所定範囲を車両が走行する地理状態によって変更する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0018】
この発明の請求項7記載の発明は、上記請求項6記載の発明の構成と併せて、上記所定範囲は屈曲路で大となるように変更する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0019】
この発明の請求項8記載の発明は、上記請求項6記載の発明の構成と併せて、上記所定範囲は市街地で小となるように変更する車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0020】
この発明の請求項9記載の発明は、上記請求項3記載の発明の構成と併せて、上記対向車検知を自車と対向車との間の信号の送受信によって行なうように構成すると共に、上記所定範囲を送受信状態によって変更すべく構成し、送受信の信頼性が低い場合には所定範囲を大きくする車両用ナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0021】
【発明の作用及び効果】
この発明の請求項1記載の発明によれば、現在位置検出手段は自車の現在位置を検出し、記憶手段は道路地図(詳しくは道路地図情報)を記憶し、表示手段は自車の現在位置および道路地図等の必要情報を可視表示するが、すれ違いポイント演算手段は対向車検知機能により検知された対向車と自車とがすれ違うポイントを推測演算し、上述の表示手段には演算されたすれ違いポイントが対向車と共に表示される。
このように、すれ違いポイントを対向車と共に表示するので、ドライバに対してすれ違いポイントを認識させることができ、安全性を確保することができる効果がある。
【0022】
この発明の請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果と併せて、上述のすれ違いポイントとなる部分を道路地図上(表示手段にて表示された道路地図上)に表示するので、例えば数値によりすれ違いポイントを表示する場合や、すれ違いポイントを音声案内する場合と比較して、上述の道路地図上へのマーキングにより、すれ違いポイントの認識性向上を図ることができる効果がある。
【0023】
この発明の請求項3記載の発明によれば、上記請求項1または2記載の発明の効果と併せて、上述のすれ違いポイントを可変とされる所定範囲として表示するので、車両の走行条件や地理条件に応じてすれ違いポイントを幅をもたせて適切に表示することができる効果がある。
【0024】
この発明の請求項4記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明の効果と併せて、上述の所定範囲を車両の走行状態によって変更するので、すれ違いポイントを走行状態に対応して可変表示することができる効果がある。
【0025】
この発明の請求項5記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の効果と併せて、車速が大きい時は上述の所定範囲が大となるように変更するので、すれ違いポイントの推測演算が不安定となる場合(車速が大きい場合)には、安全性を考慮して所定範囲を広く表示することができる効果がある。
【0026】
この発明の請求項6記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明の効果と併せて、上述の所定範囲を車両が走行する地理状態によって変更するので、すれ違いポイントを山岳路、屈曲路、市街地等の地理状態に対応して可変表示することができる効果がある。
【0027】
この発明の請求項7記載の発明によれば、上記請求項6記載の発明の効果と併せて、上述の所定範囲を屈曲路で大となるように変更するので、ドライバに対して事前に停止または徐行を促すことができ、安全性のさらなる向上を図ることができる効果があり、特に対向車を避ける脇道がない山岳屈曲路にて有効となる。
【0028】
この発明の請求項8記載の発明によれば、上記請求項6記載の発明の効果と併せて、上述の所定範囲を市街地で小となるように変更するので、対向車とすれ違うポイントが明確となり、対向車をどの位置で避けるとよいかが明瞭となって、市街地に対応した適切な表示を行なうことができる効果がある。
【0029】
この発明の請求項9記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明の効果と併せて、対向車検知を自車と対向車との間の信号の送受信によって行なう際、送受信の信頼性が低い場合(例えば、山、ビル、高電線、トンネル等が存在するような場合)には、所定範囲を大きく表示するので、すれ違いポイントの推測演算が不安定となる場合には、安全性を考慮して所定範囲を広く表示することができる効果がある。
【0030】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両用ナビゲーション装置を示すが、図3において自移動体としての自車Aと他移動体としての対向車B(自車Aから目視不可能な対向車)とのナビゲーションシステム構成は共に同一であるので、まず、図1、図2を参照してこのナビゲーションシステム構成について説明する。
【0031】
図1、図2において車両1の外部には指向性を有する送受信兼用のアンテナ2を立設し、このアンテナ2には受信回路3および送信回路4を接続している。 上述のアンテナ2と受信回路3とで受信手段が構成され、この受信手段で自車A側にあっては対向車Bからの無線電波(以下単に信号βと略記する)を受信すべく構成し、対向車B側にあっては車両Aからの無線電波(以下単に信号αと略記する)を受信すべく構成している。
【0032】
また上述のアンテナ2と送信回路4とで送信手段が構成され、この送信手段で自車A側にあっては対向車Bに向けて信号αを送信し、対向車B側にあっては信号αに応答して車両Aに向けて信号βを送信すべく構成している。
なお、この実施例においては双方向通信により自車Aが信号αを送信し、この信号αに応答する対向車Bからの信号βを自車Aが受信した時に、対向車検知を行なうように構成したが、自車Aの受信手段を常時受信状態に設定すると共に、対向車Bの送信手段を常時送信状態に設定し、車速情報、座標点情報および進行方向情報を含む信号β(但し、この場合の信号βは信号αに応答するものではない)を自車Aが受信した時に対向車検知を行なうように構成してもよいことは勿論である。
【0033】
上述の受信回路3および送信回路4は制御手段としてのCPU5に接続され、この実施例では対向車B側のCPU5はアンテナ2および受信回路3が車両Aからの信号αを受信した際、車両Aに向けて送信回路4およびアンテナ2を介して信号βを送信制御する。
【0034】
一方、GPS衛星(図示せず)からの電波を受信するGPSアンテナ6にはGPS受信装置7を接続し、このGPS受信装置7と、相対走行方位検出手段としてのジャイロ8と、車速検出手段としての車速センサ9とをCPU5にそれぞれ接続し、CPU5の内部に構成された自移動体状態検出手段としての自車位置、進行方向、速度演算部10(以下単に演算部と略記する)により車両1の位置、進行方向、走行速度(車速)を演算すべく構成している。
【0035】
CPU5の内部には上述の演算部10と、送受信信号処理部11と、乱数発生部12と、タイマ13とが形成されると共に、送受信信号処理部11内には自車A(図3参照)の状態(詳しくは進行方向)と対向車B(図3参照)の状態(詳しくは進行方向)とに基づいて信号βの送信を禁止する送信禁止処理部14(禁止手段)が構成されている。
【0036】
またCPU5のインプット側には各種の入力操作を行なうマニュアルスイッチ15と、経路誘導路を入力設定するジョイスティックのような経路誘導入力手段16と、道路地図情報を記憶するCD−ROMのような地図メモリ17とがインタフェースを介して接続されている。
【0037】
上述のCPU5のアウトプット側にはナビゲーション画面、各種入力操作用の画面、移動体(車両)の状態(車速、空調設定など)がタッチ操作可能に表示される表示手段としてのLCD18と、報知手段としてのブザー19とがインタフェースを介して接続されている。
【0038】
そして、上述のCPU5は、GPS受信装置7、ジャイロ8、車速センサ9、受信回路3、経路誘導入力手段16、地図メモリ17、マニュアルスイッチ15からの各種入力信号に基づいて、ROM20に格納されたプログラムに従って、送信回路4、LCD18、ブザー19を駆動制御し、またRAM21は必要なデータやマップを記憶する。さらにデータベース22は対向車位置表示データ、対向車存在範囲表示データ、後続車追従表示データ、後続車位置表示データ、対向車仮想表示データなどの条件に応じてLCD18の表示内容(表示形態)を変更するのに必要なデータを記憶する。このデータベース22はCD−ROMにより構成される。
【0039】
図4は自車A(図3参照)から送信される信号αのデータフォーマットで、この信号αは開始ビット23と、自車IDビット24と、対向車Bからの信号β(図5参照)を得たいエリアを指定するエリア指定種類ビット25と、座標点などを指定するエリア指定ビット26と、自車位置情報ビット27と、自車進行方向ビット28と、経路誘導中に「1」信号となり経路非誘導中に「0」信号となる経路誘導路ビット29と、例えば道路ナンバと車両の進行方向とを含むような経路誘導路進行方向ビット30と、終了ビット31とから構成されている。
【0040】
ここで、上述のエリア指定種類ビット25は対向車Bから信号β(図3、図5参照)を得たいエリアを指定する種類ビットであって、例えば多数に区画されたエリアのうち信号βの得たい特定のエリアを指定したり、或は交差点などのピンポイントを中心とする所定半径の範囲内を指定したり、さらには経路誘導先の特定箇所を指定するための指定種類ビットである。
【0041】
図5は対向車B(図3参照)から返信される信号β(つまり返答信号)のデータフォーマットで、この信号βは開始ビット32と、送信元IDビット33(図4に示す自車IDビット24と同一)と、時刻ビット34と、対向車両を特定する認識ビットとしての車両IDビット35と、座標点などの位置情報ビット36と、車速ビット37と、検出された車速を平均化してCPU5が自動的に判定する渋滞ビット38と、進行方向ビット39と、終了ビット40とから構成されている。
【0042】
ところで、図2に示すGPS受信装置7と、ジャイロ8と、車速センサ9との三者により自車A(図3参照)の現在地を検出する現在地検出手段が構成されている。
しかも、図2に示すCPU5は対向車検知機能(図7に示すフローチャートの第5ステップS5参照)により検知された対向車Bと自車Aとがすれ違うポイントを推測演算するすれ違いポイント演算手段(図7に示すフローチャートの各ステップS7、S8からなるルーチンR1参照)と、
演算されたすれ違いポイントを対向車と共に表示する表示制御手段(図7に示すフローチャートの第10ステップS10参照)と、
を兼ねる。
【0043】
このように構成した車両用ナビゲーション装置の作用を、図6、図7に示すフローチャートを参照して、以下に詳述する。
まず、図6のフローチャートを参照して対向車検知を実行するか否かを判定する処理について説明する。
【0044】
第1ステップQ1で、CPU5はGPS受信装置7、ジャイロ8、車速センサ9から成る現在地検出手段と地図メモリ17の道路地図情報とに基づいて自車Aの走行位置が高架道路か否かを判定し、NO判定時には次の第2ステップQ2に移行する一方、YES判定時には別の第7ステップQ7に移行する。
上述の第2ステップQ2で、CPU5は現在地検出手段(各要素7,8,9参照)と地図メモリ17の道路地図情報とに基づいて自車Aの走行位置が中央分離帯を有する道路か否かを判定し、NO判定時には次の第3ステップQ3に移行する一方、YES判定時には第7ステップQ7に移行する。
【0045】
上述の第3ステップQ3で、CPU5は現在地検出手段(各要素7,8,9参照)と地図メモリ17の道路地図情報とに基づいて自車Aの走行位置が片側2車線等の複線道路か否かを判定し、NO判定時には次の第4ステップQ4に移行する一方、YES判定時には別の第8ステップQ8に移行する。
上述の第4ステップQ4で、CPU5は現在地検出手段(各要素7,8,9参照)と地図メモリ17の道路地図情報とに基づいて自車Aの走行位置が市街地か否かを判定し、NO判定時には次の第5ステップQ5に移行する一方、YES判定時には第8ステップQ8に移行する。
【0046】
上述の第5ステップQ5で、CPU5はマニュアルスイッチ15(このマニュアルスイッチ15のON時に対向車検知実行の手動入力設定が成される)がOFFか否かを判定し、NO判定時(マニュアルスイッチON時)には次の第6ステップQ6に移行し、YES判定時(マニュアルスイッチOFF時)には第7ステップQ7に移行する。
上述の第6ステップQ6で、CPU5はフラグをF=1とする。このフラグFはF=1またはF=2の時に対向車検知機能がONとなる。
【0047】
上述の第7ステップQ7で、CPU5はフラグをF=0とする。つまり対向車検知の必要がない場合にはF=0とすることで、対向車検知機能をOFFと成す。
一方、上述の第8ステップQ8で、CPU5は対向車Bからの信号βの受信回数に基づいて車両密度が大か否かを判定し、YES判定時(対向車が多い場合)には第10ステップQ10に移行し、NO判定時(対向車が少ない場合)には例えば狭路での対向車検知に備えて次の第9ステップQ9に移行する。
【0048】
この第9ステップQ9で、CPU5は上述のマニュアルスイッチ15がONか否かを判定し、NO判定時(マニュアルスイッチOFF時)には第10ステップQ10に移行し、YES判定時(マニュアルスイッチON時)には別の第11ステップQ11に移行する。
上述の第10ステップQ10で、CPU5はフラグをF=0とし、対向車検知機能をOFFと成す一方、上述の第11ステップ11では、CPU5はフラグをF=2とし、対向車検知機能をONと成す。
【0049】
この図6のフローチャートで、F=1またはF=2に設定されると対向車検知機能が作動し、F=0に設定されると対向車検知機能が非作動となる。なお、このフラグFは図7のフローチャートに反映される。また、このフラグFはRAM21の所定エリアに更新可能に記憶される。
次に図7のフローチャートを参照して対向車検知およびすれ違いポイント表示処理について説明する。
【0050】
第1ステップS1で、CPU5はフラグがF=0か否かを判定し、YES判定時(F=0の時)には第2ステップS2に移行し、NO判定時(F=1またはF=2の時)には別の第3ステップS3に移行する。
上述の第2ステップS2で、CPU5はF=0に対応して対向車検知機能をOFFと成す一方、上述の第3ステップS3では、CPU5はF=2か否かを判定する。そして、YES判定時(F=2の時)には次の第4ステップS4に移行し、NO判定時(F=1の時)には第5ステップS5にスキップする。
【0051】
上述の第4ステップS4で、CPU5は市街地走行下においてマニュアルスイッチ15のONにより対向車検知を実行するフラグが立っているF=2に対応して、スキャンエリア(受信エリア)を拡大すると共に、サンプリング頻度を低下させ、かつ図8に示す如き車両表示モードから図9に示すような道路交通状態表示モードに変更する。
図8、図9においてaは自車(但し矢印方向は自車の進行方向を示す)、b1,b2,b3は対向車、cは対向車存在範囲を示す。
【0052】
次に第5ステップS5で、CPU5は対向車検知および車両間通信を実行する。つまり自車Aの送信回路4、アンテナ2を介して信号αを送信し、この信号αに応答する対向車Bからの信号βをアンテナ2、受信回路4にて受信する。この信号βには図5において既に述べたように対向車の座標点(位置情報ビット36参照)、車速(車速ビット37)、進行方向(進行方向ビット39参照)が含まれている。
【0053】
次に第6ステップS6で、CPU5は対向車信号βを受信し、次の第7ステップS7で、CPU5は対向車Bの位置を推定すると共に、自車Aの位置および車速と、対向車Bの位置および車速とに基づいて車両A,Bがすれ違う位置(すれ違い位置)を推定する。
【0054】
次に第8ステップS8で、CPU5は車両1(自車Aと対向車Bとの一方または双方)の車速と、送受信の状態と、地図メモリ17からの道路地図上の地理状態とに対応して図10乃至図15に示すようなすれ違い範囲e1〜e6を演算する。
このすれ違い範囲e1〜e6の演算に際しては車速が大である程、所定範囲eが広くなるように演算し、また山岳路ではすれ違い範囲eが広くなるように演算し、市街地ではすれ違い範囲eが狭くなるように演算する。さらに送受信状態が悪い条件下では範囲eが広くなるように演算し、屈曲路(いわゆるカーブ)では範囲eが広くなるように演算する。
【0055】
次に第9ステップS9で、CPU5は車速、送受信状態、地理状態に対応して表示形態を図2のデータベース22から読出して決定する。
次に第10ステップS10で、CPU5は第9ステップS9にて決定された表示形態に基づいて対向車Bを表示すると共に、第8ステップS8で演算されたすれ違い範囲eをLCD18の道路地図の道路上に可視表示(マーキング)する。この場合、通常の道路地図の道路に対してすれ違い範囲eはその表示形態を変えて、例えば赤色等の異色にて表示することもできる。
【0056】
上述の第10ステップS10によるすれ違い範囲eの表示内容(表示形態)は車両の走行条件や地理条件によりそれぞれ異なるので、以下、これらの各表示内容について詳述する。
図10と図11との比較により明白な如く、車両1の車速が小さい時はすれ違い範囲eを道路地図上に表示する所定範囲e1を小さくし、車両1の車速が大きい時は所定範囲e2を大きくして対向車Bと共に表示する。
【0057】
また図12に示すように屈曲路(いわゆるカーブ)、特に山岳屈曲路では所定範囲e3を大きくして対向車bと共に表示し、図13に示すように市街地では所定範囲e4を小さくして対向車bと共に表示する。
さらに図14に示すように送受信の妨げとなる山が存在するような場合には所定範囲e5を大きくして対向車bと共に表示し、同様に図15に示すように送受信の妨げとなる高電線fが存在するような場合にも所定範囲e6を大きくして対向車bと共に表示する。つまり山、高電線f、ビル、トンネル等の送受信の信頼性低下につながる要素が存在する場合には、図14、図15に例示した如く所定範囲e5,e6を大きくして対向車bと共に表示する。
【0058】
以上要するに、上記実施例の車両用ナビゲーション装置によれば、現在位置検出手段(GPS受信装置7、ジャイロ8、車速センサ9参照)は自車Aの現在位置を検出し、記憶手段(地図メモリ17参照)は道路地図(詳しくは道路地図情報)を記憶し、表示手段(LCD18参照)は自車Aの現在位置および道路地図等の必要情報を可視表示するが、すれ違いポイント演算手段(ルーチンR1参照)は対向車検知機能(対向車検知手段としての第5ステップS5参照)により検知された対向車Bと自車Aとがすれ違うポイント(すれ違い位置参照)を推測演算し、上述の表示手段(LCD18参照)には演算されたすれ違いポイント(すれ違い範囲e参照)が対向車bと共に表示される。
このように、すれ違い範囲eを対向車bと共に可視表示するので、ドライバに対してすれ違い範囲eを認識させることができ、安全性を確保することができる効果がある。
【0059】
しかも、上述のすれ違いポイント(すれ違い範囲e参照)となる部分を道路地図上(LCD18にて表示された道路上)に表示するので、例えば数値によりすれ違い範囲を表示する場合や、すれ違い範囲を音声案内する場合と比較して、上述の道路地図上へのマーキングにより、すれ違い範囲eの認識性向上を図ることができる効果がある。
【0060】
また、上述のすれ違いポイントを可変とされる所定範囲eとして表示するので、車両1の走行条件や地理条件に応じてすれ違いポイントを幅をもたせて適切に表示することができる効果がある。
さらに、上述の所定範囲eを車両1の走行状態によって変更するので、すれ違いポイントを走行状態に対応して可変表示することができる効果がある。
【0061】
さらにまた、車速が大きい時は図11に示すように上述の所定範囲e2が大となるように変更するので、すれ違いポイントの推測演算が不安定となる場合(車速が大きい場合)には、安全性を考慮して所定範囲e2を広く表示することができる効果がある。
【0062】
加えて、上述の所定範囲eを車両1が走行する地理状態によって変更するので、すれ違いポイントを山岳路、屈曲路、市街地等の地理状態に対応して可変表示することができる効果がある。
また、図12に示すように、上述の所定範囲e3を屈曲路で大となるように変更するので、ドライバに対して事前に停止または徐行を促すことができ、安全性のさらなる向上を図ることができる効果があり、特に対向車Bを避ける脇道がない山岳屈曲路にて有効となる。
【0063】
さらに、図13に示すように、上述の所定範囲e4を市街地で小となるように変更するので、対向車Bとすれ違いポイントが明確となり、対向車Bをどの位置で避けるとよいかが明瞭となって、市街地に対応した適切な表示を行なうことができる効果がある。
さらにまた、図14、図15に示すように、送受信の信頼性が低い場合(例えば、山、ビル、高電線f、トンネル等が存在するような場合)には、所定範囲e5,e6を大きく表示するので、すれ違いポイントの推測演算が不安定となる場合には、安全性を考慮して所定範囲e5,e6を広く表示することができる効果がある。
【0064】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の現在位置検出手段は、実施例のGPS受信装置7、ジャイロ8、車速センサ9に対応し、
以下同様に、
記憶手段は、地図メモリ17に対応し、
表示手段は、LCD18に対応し、
すれ違いポイント演算手段は、CPU制御によるルーチンR1に対応するも、 この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0065】
例えば、上記実施例においては無線通信手段により対向車検知を行なうように構成したが、この無線通信手段に代えてレーダ探知その他の手段にて対向車検知を行なってもよいことは勿論である。
また自車Aが通信信頼性の低い地理環境下を走行していることの判定は、記憶手段としての地図メモリ17から読出した道路地図情報を用いる判定手段に代えて、道路地図に対応した送受信の信号強度(例えば電界強度)のマップを設け、このマップから信号強度を直接読出すことで判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自車および対向車のナビゲーションシステムを示すシステム構成図。
【図2】 本発明の車両用ナビゲーション装置を示す制御回路ブロック図。
【図3】 本発明の車両用ナビゲーション装置の作用説明図。
【図4】 自車が送信する信号のデータフォーマットを示す説明図。
【図5】 対向車が送信する信号のデータフォーマットを示す説明図。
【図6】 対向車検知実行の可否を判定するフローチャート。
【図7】 対向車検知およびすれ違いポイント表示処理を示すフローチャート。
【図8】 対向車の車両表示モードを示す説明図。
【図9】 対向車の道路交通状態表示を示す説明図。
【図10】 車速が小さい時のすれ違い範囲表示を示す説明図。
【図11】 車速が大きい時のすれ違い範囲表示を示す説明図。
【図12】 屈曲路におけるすれ違い範囲表示を示す説明図。
【図13】 市街地におけるすれ違い範囲表示を示す説明図。
【図14】 送受信の信頼性が低い場合のすれ違い範囲表示を示す説明図。
【図15】 送受信の信頼性が低い場合のすれ違い範囲の他の表示例を示す説明図。
【符号の説明】
A…自車
B…対向車
S5…対向車検知手段
R1…すれ違いポイント演算手段
1…車両
7…GPS受信装置
8…ジャイロ
9…車速センサ
17…地図メモリ(記憶手段)
18…LCD(表示手段)
Claims (9)
- 対向車検知を行なう対向車検知機能を備えた車両用ナビゲーション装置であって、
自車の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
道路地図を記憶する記憶手段と、
自車の現在位置および道路地図等の必要情報を可視表示する表示手段と、
対向車検知機能により検知された対向車と自車とがすれ違うポイントを推測演算するすれ違いポイント演算手段とを備え、
演算されたすれ違いポイントを対向車と共に表示する
車両用ナビゲーション装置。 - 上記すれ違いポイントとなる部分を道路地図上に表示する
請求項1記載の車両用ナビゲーション装置。 - 上記すれ違いポイントを可変とされる所定範囲として表示する
請求項1または2記載の車両用ナビゲーション装置。 - 上記所定範囲を車両の走行状態によって変更する
請求項3記載の車両用ナビゲーション装置。 - 上記走行状態を車速に設定し、車速が大きい時は所定範囲が大となるように変更する
請求項4記載の車両用ナビゲーション装置。 - 上記所定範囲を車両が走行する地理状態によって変更する
請求項3記載の車両用ナビゲーション装置。 - 上記所定範囲は屈曲路で大となるように変更する
請求項6記載の車両用ナビゲーション装置。 - 上記所定範囲は市街地で小となるように変更する
請求項6記載の車両用ナビゲーション装置。 - 上記対向車検知を自車と対向車との間の信号の送受信によって行なうように構成すると共に、
上記所定範囲を送受信状態によって変更すべく構成し、
送受信の信頼性が低い場合には所定範囲を大きくする
請求項3記載の車両用ナビゲーション装置。
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