JP3814406B2 - 防振機能を有した変倍光学系及びそれを有するカメラ - Google Patents
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Description
本発明は防振機能を有した変倍光学系及びそれを有するカメラに関し、特に変倍光学系の一部のレンズ群を光軸と垂直方向に移動させることにより、該変倍光学系が振動(傾動)したときの撮影画像のブレを光学的に補正して静止画像を得るようにし撮影画像の安定化を図った写真用カメラやビデオカメラや電子スチルカメラそして3−CCD対応の電子カメラ等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
進行中の車や航空機等移動物体上から撮影をしようとすると撮影系に振動が伝わり手振れとなり撮影画像にブレが生じる。
【0003】
従来よりこのときの撮影画像のブレを防止する機能を有した防振光学系が種々と提案されている。
【0004】
例えば特公昭56−21133号公報では光学装置に振動状態を検知する検知手段からの出力信号に応じて、一部の光学部材を振動による画像の振動的変位を相殺する方向に移動させることにより画像の安定化を図っている。
【0005】
特開昭61−223819号公報では最も被写体側に屈折型可変頂角プリズムを配置した撮影系において、撮影系の振動に対応させて該屈折型可変頂角プリズムの頂角を変化させて画像を偏向させて画像の安定化を図っている。
【0006】
特公昭56−34847号公報、特公昭57−7414号公報等では撮影系の一部に振動に対して空間的に固定の光学部材を配置し、この光学部材の振動に対して生ずるプリズム作用を利用することにより撮影画像を偏向させ結像面上で静止画像を得ている。
【0007】
特開平1−116619号公報や特開平2−124521号公報では加速度センサー等を利用して撮影系の振動を検出し、このとき得られる信号に応じ、撮影系の一部のレンズ群を光軸と直交する方向に振動させることにより静止画像を得る方法も行なわれている。
【0008】
特開平7−128619号公報では、物体側より順に変倍及び合焦の際に固定の正の屈折力の第1群、変倍機能を有する負の屈折力の第2群、開口絞り、正の屈折力の第3群、そして変倍により変動する像面を補正する補正機能と合焦機能の双方の機能を有する正の屈折力の第4群の4つのレンズ群を有した変倍光学系であって、該第3群は負の屈折力の第31群と正の屈折力の第32群の2つのレンズ群より成り、該第32群を光軸と垂直方向に移動させて該変倍光学系が振動したときの撮影画像のブレを補正している。
【0009】
特開平7−199124号公報では正,負,正,正の屈折力の4群構成の変倍光学系の第3群全体を振動させて防振を行っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般に防振光学系を撮影系の前方に配置し、該防振光学系の一部の可動レンズ群を振動させて撮影画像のブレを無くし、静止画像を得る方法は装置全体が大型化し、且つ該可動レンズ群を移動させる為の移動機構が複雑化してくるという問題点があった。
【0011】
又、可動レンズ群を振動させたときの偏心収差の発生量が多くなり光学性能が大きく低下してくるという問題点もあった。
【0012】
可変頂角プリズムを利用して防振を行なう光学系では特に長焦点距離側(望遠側)において防振時に偏心倍率色収差の発生量が多くなるという問題点があった。
【0013】
一方、撮影系の一部のレンズを光軸に対して垂直方向に平行偏心させて防振を行なう光学系においては、防振の為に特別な光学系は要しないという利点はあるが、移動させるレンズの為の空間を必要とし、又防振時における偏心収差の発生量が多くなってくるという問題点があった。
【0014】
又、正、負、正そして正の屈折力の4つのレンズ群より成る4群構成の変倍光学系において第3群全体を光軸に垂直方向に移動させて防振を行う方式においては、光学系全体の小型化を図るためにCCD等の撮像素子を小型化しようとすると、防振のための第3群の偏心位置に対する精度が厳しくなりすぎてしまうという問題点があった。
【0015】
特に近年、民生用のビデオカメラにおいても高画質化のために3−CCD方式が一部のカメラでは採用されている。しかし、3−CCD方式対応の正,負,正,正の屈折力の4群構成の変倍光学系において、その第3群全体を光軸に垂直方向に移動させて振動を行った場合、防振のための第3群の光軸補正のための敏感度が小さくなりすぎてしまい、補正レンズ群の移動量が大きくなりすぎて光学系全体が太くなりすぎるという問題点があった。
【0016】
本発明は、変倍光学系の一部を構成する比較的小型軽量のレンズ群を光軸と垂直方向に移動させて、該変倍光学系が振動(傾動)したときの画像のブレを補正するように構成することにより、装置全体の小型化,機構上の簡素化及び駆動手段の負荷の軽減化を図りつつ該レンズ群を偏心させたときの偏心発生量を少なく抑え、偏心収差を良好に補正し、また偏心レンズ群の防振のための敏感度を大きくして、光学系全体の小型化を図った防振機能を有した変倍光学系及びそれを有するカメラの提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の防振機能を有した変倍光学系は、物体側より順に変倍及び合焦の際に固定の正の屈折力の第1群、変倍機能を有する負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、そして変倍により変動する像面を補正する補正機能と合焦機能の双方の機能を有する正の屈折力の第4群より構成された変倍光学系であって、該第3群は物体側より順に、負の屈折力の第31群、正の屈折力の第32群の2つのレンズ群より構成され、該第32群を光軸と垂直方向に移動させて該変倍光学系が振動したときの撮影画像のブレを補正し、該第32群と第3群の焦点距離を各々f32,f3、全系の広角端の焦点距離をfWとしたとき
8< f3 /fW <25・・・(1)
0.3<|f32/f3|<0.75・・・(2)
を満足していることを特徴としている。
【0018】
請求項2の発明の防振機能を有した変倍光学系は、物体側より順に変倍及び合焦の際に固定の正の屈折力の第1群、変倍機能を有する負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、そして変倍により変動する像面を補正する補正機能と合焦機能の双方の機能を有する正の屈折力の第4群より構成された変倍光学系であって、該第3群は物体側より順に、負の屈折力の第31群、正の屈折力の第32群、第33群の3つのレンズ群より構成され、
該第32群を光軸と垂直方向に移動させて該変倍光学系が振動したときの撮影画像のブレを補正し、該第32群と第3群の焦点距離を各々f32,f3、全系の広角端の焦点距離をfWとしたとき
8< f3 /fW <25・・・(1)
0.3<|f32/f3|<0.75・・・(2)
を満足していることを特徴としている。
【0020】
この他、全系の広角端の焦点距離をfW、最終レンズ面から結像面までの間に屈折力のない光学部材を除去したときの広角端でのバックフォーカスをbfWとしたとき
3<bfW/fW<6 ・・・・(3)
なる条件を満足している。
【0022】
この他前述した第3群は負の屈折力の第31群、1以上の負レンズを有する全体として正の屈折力の第32群、そして1つの正レンズを含む第33群より成っている。
【0024】
この他第2群の焦点距離をf2、全系の広角端と望遠端の焦点距離を各々fW,fTとするとき、
【0025】
【数2】
なる条件を満足することを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の近軸屈折力配置を示す概略図、図2〜図4は本発明の数値実施例1〜3の広角端のレンズ断面図である。
【0028】
図中、L1は正の屈折力の第1群、L2は負の屈折力の第2群、L3は正の屈折力の第3群であり、負の屈折力の第31群L31と正の屈折力の第32群L32の2つ以上のレンズ群を有している。
【0029】
数値実施例1〜3では第32群L32を矢印3の如く光軸と垂直方向に移動させて変倍光学系が振動(傾動)したときの撮影画像のブレを補正している。
【0030】
L4は正の屈折力の第4群である。SPは開口絞りであり、第3群L3の前方、又は第3群中又は第3群と第4群との間に配置している。Gはフェースプレート等のガラスブロックである。IPは像面である。
【0031】
図1に示すように本実施形態では広角端から望遠端への変倍に際して矢印のように第2群を像面側へ移動させると共に、変倍に伴う像面変動を第4群を移動させて補正している。
【0032】
又、第4群を光軸上移動させてフォーカスを行うリヤーフォーカス式を採用している。同図に示す第4群の実線の曲線4aと点線の曲線4bは各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの広角端から望遠端への変倍に伴う際の像面変動を補正する為の移動軌跡を示している。尚、第1群と第3群は変倍及びフォーカスの際固定である。
【0033】
本実施形態においては第4群を移動させて変倍に伴う像面変動の補正を行うと共に第4群を移動させてフォーカスを行うようにしている。特に同図の曲線4a,4bに示すように広角端から望遠端への変倍に際して物体側へ凸状の軌跡を有するように移動させている。これにより第3群と第4群との空間の有効利用を図りレンズ全長の短縮化を効果的に達成している。
【0034】
本実施形態において、例えば望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合は同図の直線4cに示すように第4群を前方へ繰り出すことにより行っている。
【0035】
本実施形態におけるズームレンズは第1群と第2群の合成系で形成した虚像を第3群と第4群で感光面上に結像するズーム方式をとっている。
【0036】
本実施形態では従来の所謂4群ズームレンズにおいて第1群を繰り出してフォーカスを行う場合に比べて前述のようなリヤーフォーカス方式を採ることにより第1群の偏心誤差による性能劣化を防止しつつ第1群のレンズ有効径の増大化を効果的に防止している。
【0037】
そして開口絞りを第3群の直前、又は第3群中又は第3群と第4群との間に配置することにより可動レンズ群による収差変動を少なくし、開口絞りより前方のレンズ群の間隔を短くすることにより前玉レンズ径の縮少化を容易に達成している。
【0038】
本発明の図2,図4の数値実施例1,3においては第3群L3を負の屈折力の第31群と正の屈折力の第32群の2つのレンズ群、又図3の数値実施例2では第3群L3を負の屈折力の第31群L31、正の屈折力の第32群L32、そして正の屈折力の第33群L33の3つのレンズ群より構成している。
【0039】
尚、本実施形態では第3群を3つ以上のレンズ群より構成しても良い。そして第3群中の第32群を防振用として光軸と垂直方向に移動させて変倍光学系が振動したときの像ブレを補正している。これにより従来の防振光学系に比べて防振の為のレンズ群や可変頂角プリズム等の光学部材を新たに付加することなく防振を行なっている。
【0040】
次に本発明に係る変倍光学系においてレンズ群を光軸と垂直方向に移動させて撮影画像のブレを補正する防振系の光学的原理を図14を用いて説明する。
【0041】
図14(A)に示すように光学系が固定群Y1・偏心群Y2そして固定群Y3の3つの部分から成り立っており、レンズから充分に離れた光軸上の物点Pが撮像面IPの中心に像点pとして結像しているものとする。
【0042】
今、撮像面IPを含めた光学系全体が図14(B)のように手振れにより瞬間的に傾いたとすると、物点Pは像点p′にやはり瞬間的に移動し、ブレた画像となる。
【0043】
一方、偏心群Y2を光軸と垂直方向に移動させると図14(C)のように、像点pはp″に移動し、その移動量・方向はパワー配置に依存し、そのレンズ群の偏心敏感度として表される。
【0044】
そこで図14(B)で手振れによってズレた像点p′を偏心群Y2を適切な量だけ光軸と垂直方向に移動させることによってもとの結像位置pに戻すことで図14(D)に示すとおり、手振れ補正つまり防振を行っている。
【0045】
今、光軸をθ°補正するために必要なシフトレンズ群(偏心群)Y2の移動量をΔ、光学系全体の焦点距離をf、シフトレンズ群Y2の偏心敏感度をTSとすると、移動量Δは
Δ=f・tan(θ)/TS
の式で与えられる。
【0046】
今、シフトレンズ群Y2の偏心敏感度TSが小さすぎると、移動量Δは大きな値となり防振に必要なシフトレンズ群の移動量は大きくなりすぎてレンズ径が増大してくる。
【0047】
特に3−CCD方式対応のビデオカメラ用の撮影レンズでは像面側に色分解のためのプリズムを配置するための空間が必要であるため通常の単板式の撮影レンズよりも長いバックフォーカスが必要となる。このため第3群の正の屈折力が第4群の正の屈折力に対して弱くなり、第3群の光軸に垂直方向の敏感度が小さくなる。
【0048】
従って第3群全体を光軸方向に対して垂直方向に移動させて振動を行おうとすると第3群の移動量が大きくなり過ぎてしまう。ビデオカメラ用の撮影レンズに、現在一般的に用いられている正,負,正,正の屈折力の4群構成ズームレンズを用いて、第3群の偏心敏感度を大きくしようとすると、第3群の屈折力を大きくする必要が生じてバックフォーカスの確保が困難になり、3−CCD方式対応に適さなくなってしまう。
【0049】
そこで本発明では第3群を負の屈折力の第31群と正の屈折力の第32群の2以上のレンズ群に分割することによりシフトレンズとしての第32群の屈折力を大きくし、その偏心敏感度も大きくすることで3−CCD対応でありながらコンパクトな防振光学系を達成している。
【0050】
ここで条件式(1),(2)は、主に以上説明した構成の4群ズームレンズにおいて第3群と第32群の焦点距離(屈折力)を適切に設定して、バックフォーカスを十分長く確保しつつ、シフトレンズ群の敏感度をあげるためのものである。
【0051】
条件式(1)の下限値を越えて第3群の屈折力が強くなるとレンズ全長の短縮には有利だが、バックフォーカスの確保が困難になってしまうので良くない。また条件式(1)の上限値を越えて第3群の屈折力が弱くなってしまうとレンズ全長の短縮が困難になる。
【0052】
条件式(2)は第3群の第31群と第32群の2つのレンズ群の屈折力配置に関するものである。条件式(2)の下限値を越えて第32群の屈折力が大きくなれば、偏心敏感度も大きくなってメカ誤差の影響による防振の補正残りが大きくなってしまう。逆に上限値を越えて第32群の屈折力が小さくなると防振時に必要な第32群の移動量が大きくなり過ぎ、これを駆動する為のアクチュエーター等部材も大きくなってしまうので良くない。
【0053】
又、条件式(3)を満足させることによって3−CCD対応のビデオカメラに良好に適用させている。
【0054】
条件式(3)の下限値を越えてバックフォーカスが短くなりすぎると色分解プリズム等を挿入するためのスペースがなくなってしまい、逆に上限値を越えてバックフォーカスを確保しようとすると、第31群の屈折力が強くなり過ぎて第32群をシフトして防振したときの光学性能を維持することが困難になる。
【0055】
又、条件式(4)を満足させることによってレンズ全長の短縮化を図っている。
【0056】
条件式(4)の下限値を越えて第2群の屈折力が強くなりすぎるとレンズ全長の短縮化には有利だが、像面湾曲や歪曲の変倍全域にわたる変動を補正するのが困難になるので良くない。また条件式(4)の上限値を越えて第2群の屈折力が弱くなりすぎると変倍に必要な第2群の移動量が大きくなりすぎるので良くない。
【0057】
又、変倍全域に渡って十分な色倍率収差の補正を行うには第2群は物体側から順に像面側に強い凹面を向けたメニスカス状の負レンズ、両レンズ面が凹面の負レンズ、正レンズ、そして負レンズで構成するのが良い。又3−CCD対応でバックフォーカスを伸ばしたとき第4群の屈折力が強くなると共に、軸上光線が第4群を通る高さが高くなって球面収差が発生しやすくなるので、第4群は少なくとも1枚の負レンズと2枚の正レンズで構成し、少なくとも1面に非球面を有するようにするのが望ましい。
【0058】
次に図2の数値実施例1について説明する。図2では第3群を物体側から順に固定の負の屈折力の第31群、防振のために光軸に垂直方向にシフトする正の屈折力の第32群で構成し、第31群を両レンズ面が凹面の負レンズと正レンズ、第32群を像面側に強い凹面を向けたメニスカス状の負レンズと2枚の両レンズ面が凸面の正レンズで構成している。
【0059】
そして第31群と第32群の各々の少なくとも1面に非球面に設けることにより各レンズ群内で発生する諸収差を小さくし、防振時の光学性能の劣化を抑制している。
【0060】
本実施例では第31群の最も物体側のレンズ面と第32群の最も像面側のレンズ面に非球面を導入し、各群内で発生する球面収差、コマ収差を小さくすることにより、防振時に発生する偏心収差、特に偏心コマ収差を良好に補正している。
【0061】
尚、非球面の位置は各群の異なる面でも良い。また偏心の倍率色収差や偏心による像面湾曲を補正するためにはシフト群単独でできるだけ色収差が補正されてペッツバール和が小さくなっていることが望ましい。
【0062】
従ってシフトレンズ群(第32群)には少なくとも1枚の負レンズを含むように構成するのが、色収差の補正やペッツバール和を小さくするのに効果的である。また、この時、全系の色収差を良好に保つためには第32群以外に第3群内に少なくとも1枚の正レンズを有するようにするのが良い。
【0063】
次に図3の数値実施例2について説明する。図3では第3群を物体側から負の屈折力の固定の第31群、防振の為に光軸に垂直方向にシフトする正の屈折力の第32群、弱い屈折力(第3群の焦点距離f3の5倍以上の焦点距離を有する。)の第33群で構成している。
【0064】
第31群は1枚の負レンズ、第32群を負レンズと両レンズ面が凸面の正レンズ、第33群を正レンズと負レンズの貼り合わせレンズで構成している。第32群の最も像面側のレンズ面に非球面を導入して第32群内の球面収差やコマ収差を小さくして防振時に発生する偏心コマ収差の発生を抑制している。
【0065】
本実施形態では第33群を全体に弱い屈折力を有するようにすることで第3群全体の色収差を補正しつつ、第33群の位置誤差の影響を小さくしている。
【0066】
次に図4の数値実施例3について説明する。図4では第3群を物体側から順に固定の負の屈折力の第31群、防振の為に光軸に垂直方向にシフトする正の屈折力の第32群より構成している。そして第31群を両レンズ面が凹面の負レンズと両レンズ面が凸面の正レンズより構成し、第32群を物体側に凸面を向けたメニスカス状の負レンズと両レンズ面が凸面の正レンズより構成している。
【0067】
第31群の物体側のレンズ面と第32群の像面側のレンズ面に非球面を設けて防振時の光学性能の低下を防止している。
【0068】
次に本発明の数値実施例を示す。数値実施例においてRiは物体側より順に第i番目のレンズ面の曲率半径、Diは物体側より第i番目のレンズ厚及び空気間隔、Niとνiは各々物体側より順に第i番目のレンズのガラスの屈折率とアッベ数である。また数値実施例1におけるR29〜R33、数値実施例2におけるR28〜R32、数値実施例3におけるR26〜R30は光学フィルター,フェースプレート等を示すが、これらは必要に応じて省略し得る。
【0069】
非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正としRを近軸曲率半径、A,B,C,D,Eを各々非球面係数としたとき、
【0070】
【数3】
なる式で表わしている。又「e−X」は10-X を意味している。又、前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表−1に示す。
【0071】
【外1】
【0072】
【外2】
【0073】
【外3】
【0074】
【表1】
【0075】
本発明によれば以上のように、変倍光学系の一部を構成する比較的小型軽量のレンズ群を光軸と垂直方向に移動させて、該変倍光学系が振動(傾動)したときの画像のブレを補正するように構成することにより、装置全体の小型化,機構上の簡素化及び駆動手段の負荷の軽減化を図りつつ該レンズ群を偏心させたときの偏心発生量を少なく抑え、偏心収差を良好に補正し、また偏心レンズ群の防振のための敏感度を大きくして、光学系全体の小型化を図った防振機能を有した変倍光学系及びそれを有するカメラを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る変倍光学系の近軸屈折力配置の概略図
【図2】本発明の数値実施例1の広角端のレンズ断面図
【図3】本発明の数値実施例2の広角端のレンズ断面図
【図4】本発明の数値実施例3の広角端のレンズ断面図
【図5】本発明の数値実施例1の広角端の諸収差図
【図6】本発明の数値実施例1の望遠端の諸収差図
【図7】本発明の数値実施例1の望遠端の諸収差図
【図8】本発明の数値実施例2の広角端の諸収差図
【図9】本発明の数値実施例2の望遠端の諸収差図
【図10】本発明の数値実施例2の望遠端の諸収差図
【図11】本発明の数値実施例3の広角端の諸収差図
【図12】本発明の数値実施例3の望遠端の諸収差図
【図13】本発明の数値実施例3の望遠端の諸収差図
【図14】本発明に係る防振系の光学的原理の説明図
【符号の説明】
L1 第1群
L2 第2群
L3 第3群
L4 第4群
L31 第31群
L32 第32群
L33 第33群
SP 絞り
IP 像面
d d線
g g線
ΔM メリディオナル像面
ΔS サジタル像面
Claims (4)
- 物体側より順に変倍及び合焦の際に固定の正の屈折力の第1群、変倍機能を有する負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、そして変倍により変動する像面を補正する補正機能と合焦機能の双方の機能を有する正の屈折力の第4群より構成された変倍光学系であって、該第3群は物体側より順に、負の屈折力の第31群、正の屈折力の第32群の2つのレンズ群より構成され、該第32群を光軸と垂直方向に移動させて該変倍光学系が振動したときの撮影画像のブレを補正し、該第32群と第3群の焦点距離を各々f32,f3、全系の広角端の焦点距離をfWとしたとき
8< f3 /fW <25
0.3<|f32/f3|<0.75
を満足していることを特徴とする防振機能を有した変倍光学系。 - 物体側より順に変倍及び合焦の際に固定の正の屈折力の第1群、変倍機能を有する負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、そして変倍により変動する像面を補正する補正機能と合焦機能の双方の機能を有する正の屈折力の第4群より構成された変倍光学系であって、該第3群は物体側より順に、負の屈折力の第31群、正の屈折力の第32群、第33群の3つのレンズ群より構成され、
該第32群を光軸と垂直方向に移動させて該変倍光学系が振動したときの撮影画像のブレを補正し、該第32群と第3群の焦点距離を各々f32,f3、全系の広角端の焦点距離をfWとしたとき
8< f3 /fW <25
0.3<|f32/f3|<0.75
を満足していることを特徴とする防振機能を有した変倍光学系。 - 前記第2群の焦点距離をf2、全系の広角端と望遠端の焦点距離を各々fW,fTとするとき、
- 請求項1乃至3いずれかに記載の変倍光学系を用いて撮影画像を形成することを特徴とするカメラ。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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