JP3813720B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物及び現像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に用いる発色現像剤及びそれを用いる現像処理方法に関するものであり、更に詳しくは、カラー写真感光材料用の取扱い性、輸送適性及び保存安定性の高い濃縮現像剤組成物とそれを用いる自動現像機による現像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にハロゲン化銀写真感光材料の処理、例えばハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理は、基本工程として発色現像工程、脱銀工程及び水洗などの画像安定化工程からなる。発色現像工程では、発色現像主薬と銀塩の反応によって画像状の色素と現像銀が生成する。脱銀工程では、発色現像工程で生じた現像銀が酸化作用を有する漂白剤により銀塩に酸化(漂白)され、さらに未使用のハロゲン化銀とともに可溶性銀を形成する定着剤によって感光層から除去される。あるいは、漂白定着液によって一段階で銀塩への酸化とその除去が行われる。画像安定化工程は、生成した画像の長期間にわたる安定性を確保するために画像層の雰囲気の調節がなされる工程で、水洗又は水洗と画像安定浴、あるいは水洗に代わる安定浴などのいずれかが行われる。
各処理工程は、水洗を除いては1種類以上の処理薬品を含んだ水溶液(処理液と呼んでいる)を用いて行われる。各処理液は比較的低濃度であるので、そのまま使用できる状態の処理液を処理薬品メ−カ−が製造し、現像所へ輸送し、保管することは一般に経済面、保管スペ−ス面、あるいは作業面の観点から不適当である。
【0003】
従来、この問題の解決には二通りの方法が行われていた。一つは処理液を構成する処理薬品を処理液構成に応じた比率で混合した粉末薬品混合物を調製してそれを包装したいわゆる固体処理剤の形で現像所へ供給し、現像所でそれを水に溶解して適当な濃度に希釈して処理液として使用する方式であり、もう一つは構成処理薬品を高濃度に溶解して液状濃厚状態にして容器に充填した濃厚液体処理剤の形で現像所へ供給し、現像所でそれを定められた濃度に水などで希釈して処理液として使用する方式である。前者は具体的には米国特許第2843484号、同第2846308号、カナダ特許第831、928号などに記されており、後者は、カラ−現像用濃厚液体処理剤については米国特許第3574619号、同第3647461号、同第3814606号及び英国特許明細書第2016723号に記されている。
【0004】
固体処理剤は、輸送コストや保管スペ−スの面で有利であるが、現像所における溶解作業、薬剤の粉塵の飛散、混合薬品の組成の均一性などの面では不都合であり、また常温で液体状の薬品は別個の処理剤容器に入れて別包装の粉剤と組み合わせなければならないなどの点で不利である。
一方、濃厚液体処理剤は、現像所における溶解作業が省けるという大きな利点があるが、輸送、保管の面における利便性では固体処理剤には及ばない。このように固体処理剤、液体処理剤は、それぞれ一長一短があって、処理剤容積の減容、廃容器の減量、貯蔵スペースの節約、輸送コストの削減などの経済的、環境的側面と処理液調製作業の省力化などの作業面の簡易性、安全性の側面のいずれにおいても優れている処理剤は得られていない。
【0005】
しかしながら、カラー現像所用の処理剤に関しては、処理液調製作業の省力化などの作業面の簡易性、生産性及び安全性の側面から液体処理剤の利便性が高く評価されており、そのため液体処理剤が多く採用されており、したがって液体処理剤に固体処理剤なみのコンパクトさが望まれているので、現像処理液の濃度を一層高くすることが要望されている。しかし、液体濃厚処理剤が、安定に保存され、使用に際して支障がないためには基本的には飽和溶解度以下の均一溶液であるべきであるとされ、更なる減容濃厚化の余地はきわめて乏しい状況にある。
【0006】
液体濃厚処理剤では、例えばイタリ−特許第427967号、米国特許第2735774号などに黒白現像処理液のペ−スト化が古くから知られている。また、カラ−現像剤においてもペースト化は濃厚化やその他の色々の目的から行われてきた。米国特許第2784086号では、粘性付与剤つまり増粘剤としてアルギン酸誘導体を用いてペースト化を試みている。また、日本公表特許公報昭57−500485号には、カラ−用濃厚液体現像剤のペースト化技術が開示されている。しかし、ペースト化は、処理薬品の溶解度を増して濃縮度を高めるものではなく、析出を遅くするだけ、あるいは析出が始まっても不溶解物の凝集固化が遅くなって耐用期間が多少延びるという効果はあっても減容化の本質的な解決にならず、液体現像剤の利点が発揮されない。
【0007】
カラ−写真感光材料用の液体現像剤は、発色現像剤、漂白剤及び定着剤又は漂白定着剤、安定液剤などから構成されている。それらの処理剤の中で発色現像剤は、p−フェニレンジアミン誘導体を現像主薬として含んでおり、この主薬は溶解性が比較的低いので、濃厚化の制約が大きい。それに加えて現像剤の中に蛍光増白剤を含有させる場合には、その溶解度も不十分であり、沈殿析出を引き起こさない範囲の添加量では、現像処理された感光材料の画像の白地の白さが不満足であり、必要量の蛍光増白剤を添加すると処理剤から沈殿析出する。したがって液体現像剤を濃厚化してその利便性を高めるには、発色現像主薬と同様に蛍光増白剤の沈殿析出を防止する必要がある。とりわけ、発色現像剤を1パート構成とする場合には、とくに蛍光増白剤の沈殿析出の抑止が必要となる。
【0008】
発色現像主薬の沈殿析出防止に関しては、特開平6−194797号、同7−043873号、同7−043874号、同7−043875号、同7−114163号、同7−239541号、同7−311453号にN,N−ジ置換アニリン誘導体を添加する方法、この化合物とアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸類、陰イオン界面活性剤、芳香族スルフォン酸類、パラトルエンスルフォン酸やアルカノールアミン類の添加などとを組み合わせて添加する方法が開示されており、それらの効果は認められるが、実質的な問題解決にはなお不十分である。
一方、蛍光増白剤の沈殿防止に関しては、スルホン酸基などの水溶性基を多くもつ溶解度の高い蛍光増白剤を選択すること以外には、適当な手段が無い状況であり、この点から現像剤における蛍光増白剤の濃厚化手段の開発が一層必要となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、蛍光増白剤を含有しているにもかかわらず保存中に不溶解物の析出がなく、かつ写真性能の劣化もないカラー写真感光材料用の液体濃厚現像剤組成物を提供することである。
本発明の第2の目的は、上記の液体濃厚現像剤組成物をとくにプラスチック容器入りの1パート構成の形態で提供することである。
本発明の第3の目的は、上記のプラスチック容器入り液体濃厚現像剤組成物を用いた操作が簡単でかつ品質を安定に維持できるカラー現像処理方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対して溶解度と増白効果の双方からの蛍光増白剤の検討とその蛍光増白剤の溶解度を向上させる添加物の検討を鋭意重ねた結果、それら両面の特定の組み合わせによって、蛍光増白剤及び発色現像主薬の溶解性が保たれ沈殿析出が防止されることを見いだし、この発見に基づいてさらに研究を進めて本発明に到達した。すなわち、本発明の目的は、以下の発色現像用液体濃厚処理剤組成物によって達せられる。
【0011】
1.炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムあるいはその両方を全量で0.45〜2Mと、発色現像主薬を0.12〜1Mと、下記一般式(I)又は(II)で表される蛍光増白剤の少なくとも一つとを含有し、かつpHが12.5以上である1パートの濃厚液剤により構成されたことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物。
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、X1 ,X2 ,Y1 ,Y2 は、それぞれヒドロキシル基、塩素原子、メトキシ基、スルホ基及びフェニル基以外の置換基を有してもよいアミノ基又はモルホリノ基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属原子を表す)。
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、nは、1又は2であり、Z1 ,Z2 は、一般式(I)のX1 ,X2 ,Y1 ,Y2 と同義であり、Mは、水素原子又はアルカリ金属原子を表す)。
【0016】
2.ポリアルキレングリコールを含有することを特徴とする上記1に記載の発色現像剤組成物
【0017】
3.組成物中にさらに下記一般式(A)の群から選ばれるアルカノ−ルアミンの少なくも一つを含むことを特徴とする上記1又は2に記載の発色現像剤組成物。
〔H(R’O)m R〕n NH(3-n) (A)
(式中、mは0又は1、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数が2から4のヒドロキシ置換アルキレン基、R’は炭素数が1〜4のアルキレン基あるいはヒドロキシ置換アルキレン基である。ただし、mが0の場合は,Rの炭素数2であればnは2であり、Rの炭素数が3〜4であればnは1、2又は3である。また、mが1の場合は、Rの種類によらずnは1、2又は3である)。
【0018】
4.1パート構成の濃厚液剤により構成されたことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物。
【0019】
5.一般式(I)及び一般式(II)でそれぞれ表される蛍光増白剤のいずれをも含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物。
【0020】
6.前記1〜5のいずれかに記載の発色現像剤組成物を用いて発色現像処理を行うことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は、カラー写真感光材料用の液体濃厚現像剤組成物の構成に関して、(1)炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムあるいはその両方を全量で0.45〜2Mと、(2)発色現像主薬を0.12〜1Mと、(3)上記一般式(I)又は(II)で表される蛍光増白剤の少なくとも一つとを含有し、(4)pHが12.5以上(その上限はとくに限定できないが、実質的にpH14程度)である濃厚液剤により構成されたことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物によって満たされる。
【0022】
炭酸塩の濃度の合計が0.45Mを超えると、一般的な発色現像液の通常のpH領域であるpH10〜11付近では塩類効果によって発色現像主薬の溶解度の限界に達して沈殿析出がおこる。しかしながら、本発明で規定した上記の高いpHのもとでは、炭酸塩濃度が0.45Mを超えても沈殿析出は起こらず、0.45〜2Mの範囲にわたって発色現像主薬の安定性を高濃度に溶解させることができることが見出された。炭酸塩の濃度が2Mよりも高くなると発色現像主薬の沈殿析出が起こりやすくなる。これは、塩類効果によるものと推定できることである。
【0023】
この範囲においては、多くの蛍光増白剤は十分の溶解度を持たないので増白効果を発揮できないが、上記一般式(I)及び一般式(II) で示される蛍光増白剤は、この塩類濃度と次に述べるpH条件のもとで必要量が安定に溶解される。
炭酸塩は、カリウム塩及びナトリウム塩のいずれでもよく、またその両方を含んでもよいが、両者の比率の関してカリウムイオンがナトリウムイオンと等モル濃度から4倍までの濃度範囲では、とくに発色現像主薬の沈殿析出が起こりにくく好都合である。
発色現像主薬及び蛍光増白剤の溶解度がともに高い領域が、上記の炭酸塩濃度の範囲でpHが12.5以上(pH14以下)である。
したがって、上記した組成条件は現像剤組成物中の発色現像主薬を高濃度化して組成物容積を減少させるのに不可欠の範囲である。
【0024】
上記の条件は、発色現像主薬と蛍光増白剤の両成分の溶解性の上で好都合な条件ではあるが、それでもスチルベン系の蛍光増白剤を白地の白さが十分なほどに溶解させることは一般に困難である。本発明の要諦の一つは一般式(I)と一般式(II)の蛍光増白剤がこの条件において必要量の溶解が可能で析出してこないことを見いだしたことである。しかも、蛍光増白剤の基本的性能である蛍光強度が維持される。とくに一般式(I)と一般式(II)の蛍光増白剤を併用する場合に沈殿析出に対する安定性と蛍光強度特性とがともに単独使用時よりも増大する。一般式(I)において、X1 ,X2 ,Y1 ,Y2 は、それぞれヒドロキシル基、塩素原子、メトキシ基、スルホ基及びフェニル基以外の置換基を有してもよいアミノ基、モルホリノ基の何れかを表す。スルホ基及びフェニル基以外の置換基を有してもよいアミノ基とは、好ましくは1つ又は2つのヒドロキシ基を有したアミノ基である。Mは、水素原子、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属原子を表す。X1 ,X2 ,Y1 ,Y2 で表される基の少なくも2個(好ましくは2〜4個)は、スルホ基及びフェニル基以外の置換基を有したアミノ基が好ましく、このアミノ基としては単素数1〜4のヒドロキシアルキル基又は単素数4〜8のヒドロキシアルコキシアルキル基で1つ又は2つ置換されたアミノ基が特に好ましい。好ましい置換アミノ基には、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ基、ジ(3−ヒドロキシプロピル)アミノ基、2−ヒドロキシプロピルアミノ基、3−ヒドロキシプロピルアミノ基、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ基、〔2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル〕アミノ基、ジ〔2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル〕アミノ基、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ基、ジエチルアミノ基が挙げられる。一般式(I)の具体的な化合物の例を下記に示す。
【0025】
【化5】
【0026】
一般式(II)において、nは、1又は2であり、Z1 ,Z2 は、一般式(I)のX1 ,X2 ,Y1 ,Y2 と同義であり、Mは、水素原子又はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子を表す。Z1 又はZ2 が、置換アミノ基である場合、その置換基は一般式(I)で示した置換基と同義であり、好ましい置換アミノ基も一般式(I)で示した置換アミノ基と同じである。
一般式(II)の具体的な化合物の例を下記に示す。
【0027】
【化6】
【0028】
また、一般式(I)と一般式(II)の両方の蛍光増白剤を併用すると、全体としての溶解度が増して増白効果が向上し、さらに分光増感剤の感光層への残留によるステイン(残色とよぶ)が減少するというよい効果が得られる。
現像組成物から作られる現像補充液中の一般式(I)の蛍光増白剤の好適濃度は、1.0×10-3〜5×10-2モル/リットルであり、より好ましくは2×10-3〜2.5×10-2モル/リットルであり、一般式(II)の蛍光増白剤の好適濃度は、1×10-3〜5×10-2モル/リットルであり、より好ましくは2×10-3〜2.5×10-2/リットルである。また両者を併用する場合には、それぞれの濃度は単独で使用する場合よりも少なくてよいが、そのそれぞれの好適濃度範囲はそれぞれ上記の範囲である。本発明の現像剤組成物は、使用状態の補充液が蛍光増白剤をこの濃度レベルで含むように添加量が決めらる。
【0029】
本発明の発色現像剤組成物にポリアルキレングリコールを含有させると蛍光増白剤の溶解性がさらに向上して蛍光増白剤の濃度を高くすることができる。好ましいポリアルキレングルコールは、アルキレン基の炭素数2〜3のもの、つまりポリエチレングルコール、ポリプロピレングルコール及びポリエチレングルコールとポリプロピレングルコールのブロック共重合体である。アルキレン基の炭素数が4以上では効果が減少する。これらのポリアルキレングリコールの中でもポリエチレングリコールがとくに好ましい。好ましいポリエチレングリコールは、分子量が200〜800であり、より好ましくは分子量が200〜600である。分子量が800を超えると効果が減少し、さらに分子量の増加とともに現像剤組成物の粘度も高くなってハンドリング適性が不適当になる。好ましいプロピレングリコールの分子量は300〜700であり、とくに300〜450のものがより好ましい。ポリエチレングルコールとポリプロピレングルコールのブロック共重合体は、分子量が200〜800、好ましくは200〜600のものが有効である。
上記のポリアルキレングリコール類の添加量は、処理剤組成物1リットル当たり2〜100gであり、好ましくは5〜80g、さらに好ましくは10〜70gである。添加量が多すぎると液の粘性が増してハンドリング適性を損ない、低すぎると溶解促進効果が無くなる。
【0030】
本発明の発色現像剤組成物にアルカノールアミンを含有させることによっても現像主薬と蛍光増白剤の双方の溶解度が向上し、沈殿析出が防止され、それに伴って現像剤組成物の着色と現像処理された感光材料の汚染も防止される。
効果のあるアルカノールアミン類は、一般式(A)においてmは0又は1、nは1〜3であり、Rは炭素原子数が2から4の直鎖又は分岐のヒドロキシ置換アルキレン基、R’は炭素原子数が1〜4の直鎖又は分岐アルキレン基あるいはヒドロキシ置換アルキレン基である。ただし、mが0の場合は,Rの炭素原子数2であればnは2であり、Rの炭素原子数が3〜4であればnは1、2又は3である。また、mが1の場合は、Rの種類によらずnは1、2又は3である。
【0031】
その中でも特に有効なアルカノ−ルアミン類を以下に示す。
A−1 トリイソプロパノ−ルアミン、
A−2 ジイソプロパノ−ルアミン、
A−3 モノイソプロパノ−ルアミン、
A−4 ジエタノ−ルアミン、
A−5 2,3ジヒドロキシプロピルアミン、
A−6 ジ(2,3ジヒドロキシプロピル)アミン、
A−7 ジ(4−ブタノ−ル)アミン、
【0032】
とりわけ有効なアルカノ−ルアミンは、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミンであり、なかでもトリイソプロパノールアミンが好ましい。
本発明の目的に対して有効なアルカノ−ルアミン類は、親水基と疎水性基との適当なバランスがあるようで、アルキル部分が過大となって疎水性が増加しても逆に親水性部分が過大でも効果が少ない。たとえば、従来公知の現像液添加用の有機溶剤であるトリエタノールアミン類は、本発明の目的には効果が認められない。
【0033】
上記のアルカノールアミン類の添加量は、処理剤組成物1リットル当たり0.02〜3モルであり、好ましくは0.05〜1モル、さらに好ましくは0.08〜0.5モルである。上記の添加量及び前述の添加量あるいは含有量は、すべて濃厚液詰まり現像剤組成物における添加量あるいは含有量で表した。
【0034】
本発明の濃厚現像剤組成物は、特別に高度に濃厚化されていることがその組成的特徴であり、また濃厚化の制約を克服したことがその技術的特徴であることはすでに説明した。その濃厚化の度合いは実際の使用状態の液つまり現像補充液に対する濃縮倍率が1.5〜10倍の程度であり、好ましくは2乃至8倍、さらに好ましくは3〜5倍であり、あるいは現像槽のいわゆる母液に対しては5〜30倍、とくに6〜25倍、とくに多くは10〜16倍である。
現像液は、組成物を希釈して調製した補充液をさらに決められた処方に従って希釈し、塩化カリウムや臭化カリウムなど補充液に含まれない成分を追加し、pHの調節も行って調製される。
【0035】
本発明の濃厚現像剤組成物は、使用液に含まれる全成分を一つの組成物に含ませた形態すなわちいわゆる一剤構成とするのが有利ではあるが、構成成分同士を長期間接触させておくことが望ましくない場合などは、構成成分を2つ以上の液剤に分離して2剤あるいは3剤構成の現像剤組成物としてもよく(通常国際規格 ISO 5989 の呼称に従って、1、2、3パート構成などと呼んでいる)、その場合には、その一つのパートは、本発明に規定した組成条件の組成物からなっている。パートに分割することによって本発明の効果や特徴が失われるものではない。しかしながら、本発明の特に大きな利点は、上記したように発色現像主薬と蛍光増白剤の両方を十分な濃度に溶解できる技術を見いだすことにより、複数のパーツに分ける必要をなくして、1パート構成の濃縮現像剤組成物を調製できたことである。1パート構成とすることによって、現像所の作業性の点でも、輸送コスト、包材コスト、現像処理装置への取り付けの簡易性など種々の面で有利となる。
【0036】
1パート構成の現像剤組成物は、単一容器(例えば1本のボトル)の組成物を水で希釈するだけで、現像液や現像補充液を調製できるが、それは現像液や現像補充液のpH補正のためのアルカリ添加を排除するものではなく、必要に応じてアルカリを現像槽あるいは補充液槽に添加してもよい。
【0037】
本発明の処理剤組成物の製造方法には、幾つかの方法があるが、下記の3通りの方法がよい結果を与える。ただし、本発明の実施にあたってはその製造方法は下記の3方法に限定されるものではない。
〔方法A〕少量の水を予め混合槽に導き、その中に構成薬品類を攪拌しながら順次投入してゆく方法。
〔方法B〕予め構成薬品粉体を混合しておいて混合槽中の少量の水の中に一気に投入する方法。
〔方法C〕構成薬品類を予め好都合に組み合わせられるもの同士を組み合わせた2群以上の群に分けてそれぞれを水或いは親水性混合溶媒に溶かして濃厚溶液としてから、各濃厚液を混合する方法。
また、各方法を部分的に取り入れた組み合わせ製造方法も実施できる。
【0038】
次に本発明の濃厚液体現像剤の容器について述べる。本発明では、現像剤をポリエチレン容器に収納して供給できることが特徴であり、利点である。
【0039】
通常液体現像剤組成物は、適した容器に入れた形態で輸送され、貯蔵され、使用される。現像剤容器の材質についての第1の必要条件は、現像剤組成物に対して不活性で十分に安定でなければならないこと(要件1)はいうまでもない。これと並んで重要な必要条件は、現像剤組成物の製造から使用までの期間にわたって空気酸化が起こらない十分の酸素バリア−性であり(要件2)、さらに付加したい望ましい条件は、廃容器のリサイクル適性を具備していること(要件3)である。また、濃厚液体現像処理剤は、保管中にpHが低下すると現像活性を低下させてしまうので、空気中の二酸化炭素の接触は避けるのがよい。そのため容器の材質は上記酸素バリア性とともに二酸化炭素が器壁を透過しにくいものでなければならない(要件4)。要件2を満たす材料の多くは、要件4をも満たしている。
【0040】
要件2及び要件4の観点から、現像剤組成物を酸素及び炭酸ガスバリアー性容器に充填して保存、保管、輸送するのが有効である。現像剤組成物の実用的な耐用期間から容器の材料と厚みは、常温、常圧の空気中において、単位面積当たり単位時間の空気透過速度が2.5x10-7 cm3/cm2 /sec/atm以下,好ましくは2.5x10-8 cm3/cm2 /sec/atm以下となるように設計することが望まれる。 一方、要件4の観点から、器壁の二酸化炭素に対する透過速度は、7x10-7 cm3/cm2 /sec/atm以下の材料で構成された容器が望ましい。
【0041】
気体非透過性という点から、液体処理剤の実用当初はガラスビンに収納して密閉状態で供給することが多かった。しかしながら、重量が大きいことや破損しやすいことなどの欠点もあるので、最近ではガスバリア性の高いプラスチックとアルカリ性の現像剤に対して安定なプラスチック類との積層材料によって作られたボトルが一般的に使用されるようになってきている。この公知の複合プラスチック材料は、空気を効果的に遮断して空気(酸素)酸化を防止して液体現像剤の保存安定性を高くしているが、複合材料であるためにその再生使用は困難で使用ごとに廃棄されており、環境負荷を大きくしていることが難点である。
【0042】
特定のpH範囲と炭酸塩濃度範囲内にあって一般式(I)又は(II) の化合物を含有する発色現像液は上記したように沈殿析出しにくく、それが空気酸化をも受けにくい利点を有しており、そのためにこのような複合材料容器を使用しなくても実用的な保存安定性が得られることが判明した。本発明に適したプラスチック容器の材料は、空気透過速度が上記の値を超える単品プラスチックであってもよく、例えば空気透過速度が1桁高いプラスチックボトルであっても、前記の要件1及び要件3を満たすものであれば好ましく使用できる。したがって(複合材料ではない)単品プラスチック材料も選択の対象とすることができ、要件3を容易に満たすことが出来ることが本発明の特徴的利点である。
とりわけ大きな利点は、リサイクルシステムが普及していながら従来空気バリア性が不十分とされていたポリエチレンが、本発明の液体現像剤では、容器として実用可能な保存性を持っていることである。
【0043】
要件2と4の観点から好ましい容器材料は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、PVA,ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニチデン、ポリエチレン樹脂などを単一の構成で、あるいは積層した複合材料にして使用するのがよい。これらの中でさらに要件1も考慮に入れて実用上好ましい材料は、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリエチレンやポリプロピレンとナイロンの積層材、ポリエチレンやポリプロピレンとアルミニウムの積層材などである。とくに上記の2つのポリエステル材料は、酸素透過係数が3x10-12 cm3 /cm・sec・cmHgと小さく好適である。
【0044】
一方、要件3の廃容器のリサイクルを行う観点からは、単一素材で構成された容器が望ましい。とりわけ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを単一素材として構成された容器が好ましい。その中でも、ポリエチレンが好ましく、ポリエチレンのなかでも高密度型、いわゆるHDPEが容器材料として好ましい。ポリエチレンやポリプロピレンの単品成形品は、要件3の点では有利でありながら、要件2と4の制約から従来保存性を必要とする現像剤組成物容器には用いられなかったが、経時安定性の優れた本発明の現像組成物は、これらを用いることができるにも特徴がある。
【0045】
ポリエチレンは、カーボンブラックやチタンホワイトなどアルカリ性現像組成物に悪影響しない顔料、炭酸カルシウム、ポリエチレンに相溶性のある可塑剤などを必要によって添加してもよい。好ましくはポリエチレンの比率が85%以上で可塑剤を含まないものがよく、より好ましくはポリエチレンの比率が95%以上で可塑剤を含まないものがよい。
【0046】
本発明の濃厚液体現像材組成物を充填する容器の形状と構造は、目的に応じて任意に設計できるが、一般的な定型ボトル構造のほかに、特開昭58−97046号、同63−50839号、特開平1−235950号、特開平63−45555号などに記載の伸縮自在型、特開昭58−52065号、同62−246061号、同62−134626号などに記載のフレキシブル隔壁つきのものも使用することが可能である。
【0047】
現像剤組成物を容器に充填するに際しては、空気酸化に対する安全性ををさらに高めるために、出来るかぎり容器の口元まで満たすようにして上部空間を最小限とするか、あるいは上部空間を窒素置換して空気中の酸素との接触を絶つように充填するのがよいが、本発明は必ずしもこのような充填方式に限定されない。
【0048】
本発明の現像剤組成物は、自動現像機で使用するのに特に好都合である。現像剤組成物を充填した容器を現像機に装着して容器内部の組成物を現像補充槽あるいは直接現像槽に注入したのち、容器内を一定量の水で洗浄するとともに洗浄に用いた水を補充槽に導入して補充液の調製用水として使用する現像操作方式は、本発明の利点をとくに有効に利用している方式である。容器内を一定量の水で洗浄するにはスプレー方式の洗浄がとくに好ましいが、必ずしもこれに限定されない。この補充液調製方式によって洗浄水が有効に利用され、廃水を排出することもなくなる。
【0049】
本発明の現像剤組成物のさらなる利点は、この現像物を組み込むことによって簡易で環境上や作業上の安全性も大きい現像処理システムが実現できることである。例えば、自動現像機を使用し、本発明の現像現像剤組成物を充填した容器を現像機に装着し、その内容物を現像補充槽中へ移したのち、容器内部をスプレ−洗浄して器壁に付着している薬品成分を洗い流し、洗浄に使用した水は補充液の調製用に使用する方法等によってハロゲン化銀カラ−感光材料の現像処理ができる。この場合、現像剤組成物の容器を自動現像機に装填すると、自動的に容器の蓋が開栓され、流動性の内容物が円滑に排出される仕組みが備えられる。また、特開平6−82988、特開平8−220722などに開示された方法によって容器内部は洗浄水のスプレ−によって人手をかけずに清浄になり、クリ−ンに扱えて廃容器のリサイクルも簡単となる。しかも洗浄水は現像剤の溶解水の一部として利用されるので、廃液とはならない。このようなシステムの構想は、本発明に具現された高度に濃縮された小容量の、しかもハンドリング容易な十分な流動性が長期間にわたって保たれている現像剤組成物によってはじめて実現できることである。
【0050】
次に、先に述べた本発明の構成要件に直接係わる要因以外の本発明の現像剤組成物の構成成分について説明する。
現像剤組成物は、通常の発色現像剤に含まれる構成成分を溶解状態で含んだアルカリ性の連続相の液体である。その中には、カラー現像主薬を含有するが、好ましい例は公知の芳香族第1級アミンカラー現像主薬、とくにp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。また、近年黒白感光材料の中には、カプラ−を黒色に発色するように添加しておき、汎用の一般の発色現像液を用いて黒白画像を形成するものもあるが、本発明のカラ−現像液は、この種の感光材料の処理にも適用される。
【0051】
1)N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−メチルアニリン
3)4−アミノ−N−(β−ヒドロキシエチル)−N−メチルアニリン
4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン
5)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルアニリン
6)4−アミノ−N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−3−メチルアニリン
7)4−アミノ−N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−3−メチルアニリン
8)4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチルアニリン
9)4−アミノ−N,N−ジエチル−3−(β−ヒドロキシエチル)アニリン10)4−アミノ−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)−3メチル−アニリン
11)4−アミノ−N−(β−エトキシエチル)−N−エチル−3−メチルアニリン
12)4−アミノ−N−(3−カルバモイルプロピル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
13)4−アミノ−N−(4−カルバモイルブチル−N−n−プロピル−3−メチルアニリン
15)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシピロリジン16)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)ピロリジン
17)N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−3−ピロリジンカルボキサミド
【0052】
上記p−フェニレンジアミン誘導体のうち特に好ましくは例示化合物5),6),7),8)及び12)であり、その中でも化合物5)と8)が好ましい。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は、固体素材の状態では、通常硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの塩の形である。処理剤組成物は、使用に際して水と定められた比率で混合されて現像補充液(またはさらに希釈した現像液)の形の使用液にして用いるが、使用液中の該芳香族第1級アミン現像主薬の濃度は現像液1リットル当たり好ましくは2ミリモル〜200ミリモル、より好ましくは12ミリモル〜200ミリモル、更に好ましくは12ミリモル〜150ミリモルになるように希釈される。
【0053】
本発明の現像剤組成物は、対象とする感光材料の種類によって少量の亜硫酸イオンを含んだり、あるいは実質的に含まない場合もある。亜硫酸イオンは顕著な保恒作用を持つ反面、対象感光材料によっては発色現像過程では写真的性能に好ましくない影響をあたえることもあるためである。
ヒドロキシルアミンも対象とする感光材料の種類によって組成物の構成成分中に含ませたり、また含ませないこともある。現像液の保恒剤としての機能と同時に自身が銀現像活性を持っているために写真特性に影響することもあるためである。
【0054】
本発明の濃厚現像剤組成物は、前記ヒドロキシルアミンや亜硫酸イオンのような無機保恒剤や、有機保恒剤を含有することが好ましい。有機保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、芳香族第一級アミンカラー現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、カラー現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であるが、中でも、ヒドロキシルアミン誘導体、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63-30845号、同63-21647号、同63-44655号、同63-53551号、同63-43140号、同63-56654号、同63-58346号、同63-43138号、同63−146041号、同63-44657号、同63-44656号、米国特許第3,615,503 号、同2,494,903 号、特開昭52−143020号、特公昭48-30496号などの各公報又は明細書に開示されている。
【0055】
その他保恒剤として、特開昭57-44148号及び同57-53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56-94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544 号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。特に、一般式(A)として前記したアルカノ−ルアミン類のほかに例えばトリエタノールアミンのようなその他のアルカノールアミン類、ジスルホエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンのような置換又は無置換のジアルキルヒドロキシルアミンなど前記した一般式〔I〕のヒドロキシルアミン誘導体、あるいは芳香族ポリヒドロキシ化合物の添加が好ましい。
前記の有機保恒剤のなかでもヒドロキシルアミン誘導体が特に好ましく、その詳細については、特開平1-97953 号、同1-186939号、同1-186940号、同1-187557号公報などに記載されている。とりわけ、前記した一般式〔I〕のヒドロキシルアミン誘導体と一般式(A)のアミン類を併用して使用することが、カラー現像液の安定性の向上、連続処理時の安定性向上の点でより好ましい。
その他のアミン類としては、特開昭63−239447号公報に記載されたような環状アミン類や特開昭63−128340号公報に記載されたようなアミン類やその他特開平1-186939号や同1-187557号公報に記載されたようなアミン類が挙げられる。
【0056】
本発明の濃厚現像剤組成物には必要に応じて塩素イオンを添加してもよい。カラー現像液(とくにカラ−プリント材料用現像液)は、通常塩素イオンを3.5 ×10-2〜1.5 ×10-1モル/リットル含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のことも多い。ランニング平衡組成に達したときの現像槽中の塩素イオン濃度が上記した濃度レベルになるように補充液中の、したがってそのもとになる現像剤組成物中の塩素イオン量が設定される。塩素イオン濃度が 1.5×10-1モル/リットルより多いと、現像を遅らせるという欠点を有し、迅速性と発色濃度が損なわれるので好ましくない。また、 3.5×10-2モル/リットル未満では、カブリを防止する上で多くの場合好ましくない。
【0057】
現像剤組成物に関しては、臭素イオンの含有に関しても塩素イオンの場合と同じ事情にある。カラー現像液中の臭素イオンは、撮影用材料の処理では1〜5x10-3モル/リットル程度、プリント材料の処理では、 1.0×10-3モル/リットル以下であることが好ましい。臭素イオン濃度がこの範囲になるように必要に応じて現像剤組成物中に臭素イオンを加えることもある。
現像剤組成物に含ませる場合、塩素イオン供給物質として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、が挙げられるが、そのうち好ましいものは塩化ナトリウム、塩化カリウムである。
臭素イオンの供給物質として、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化ニッケル、臭化セリウム、臭化タリウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは臭化カリウム、臭化ナトリウムである。
【0058】
現像処理される感光材料がカラ−印画紙の場合は、画面の背景の白地が白いことが重要な画質特性なので、蛍光増白剤によって通常肉眼では感じにくい短波長光を可視光に変えて視覚が捉える光量を増加させ、かつみかけ上白く仕上げることは重要である。蛍光増白剤はその性質によって感光材料中に含ませるものもあるが、本発明の現像剤組成物中の蛍光増白剤は、現像処理の際に処理液から感光材料中に浸透させるものである。
本発明の現像組成物に含まれるスチルベン系蛍光増白剤は、すでに述べたが、本発明の現像組成物は、前記した以外の公知の蛍光増白剤を含んでもよい。
【0059】
発色現像液のほか、脱銀液あるいは感光材料のいずれにも公知のスチルベン系を始めとする蛍光増白剤を添加できる。
【0060】
本発明の濃厚液体現像剤組成物のpHは、前記したが、それから調製されるカラー現像液がpH9.5以上、より好ましくは9.8〜12.5の範囲で用いられる。このpHを保持するためには、各種緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、前記した炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムのほかに、その他の炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1, 3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH 9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、カラー現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤を用いることが特に好ましい。
【0061】
これらの緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのほかに、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
該緩衝剤の量は、希釈調製したカラー現像補充液中の濃度が、緩衝剤の合計で 0.04 〜 2.0モル/リットル、特に 0.1モル/リットル〜 0.4モル/リットルであるように組成物中に含ませることができる。
【0062】
本発明の現像剤組成物には、その他のカラー現像液成分、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤であり、あるいはカラー現像液の安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、エチレンジアミンN,N−ジ琥珀酸、N,N−ジ(カルボキシラート)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ琥珀酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。
これらのキレート剤の量はカラー現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良い。例えば現像液や補充液の濃度が1リットル当り 0.1g〜10g程度になるように組成物に添加する。
【0063】
本発明の現像剤組成物は、必要により任意の現像促進剤を添加できる。
現像促進剤としては、特公昭37-16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44-12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247 号等の各公報又は明細書に表わされるチオエーテル系化合物、特開昭52-49829号及び同50-15554号公報に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44-30074号、特開昭56−156826号及び同52-43429号公報等に表わされる4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903 号、同3,128,182 号、同4,230,796 号、同3,253,919 号、特公昭41-11431号、米国特許第2,482,546 号、同2,596,926 号及び同3,582,346 号等の各公報又は明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37-16088号、同42-25201号、米国特許第3,128,183 号、特公昭41-11431号、同42-23883号及び米国特許第3,532,501 号等の各公報又は明細書に表わされるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、イミダゾール類、等を必要に応じて添加することができる。
【0064】
本発明の処理剤組成物は、必要に応じて、任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、塩化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例としてあげることができる。
又、本発明における界面活性剤以外に、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。
以上に本発明の発色現像組成物及びそれから調製される発色現像補充液又は現像液について説明した。
【0065】
本発明に適用される発色現像の処理温度は、現像処理される感光材料がカラープリント材料の場合、30〜55℃であり、好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。現像処理時間は、5〜90秒であり、好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり20〜600mlが適当であり、好ましくは30〜120ミリリットル、特に好ましくは15〜60ミリリットルである。
一方、カラ−ネガ、カラ−レバ−サルフィルムの発色現像処理の場合は、現像温度は20〜55であり、好ましくは30〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。現像処理時間は、20秒〜6分であり、好ましくは、30〜200秒である。また、とくにカラ−レバ−サルでは1〜4分が好ましい。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり20〜500mlが適当であり、好ましくは30〜200ミリリットル、特に好ましくは50〜160ミリリットルである。
【0066】
本発明の実施に当たっては、本発明の現像剤組成物を用いて調製された発色現像液による現像工程に続いて脱銀処理工程に入り、漂白液及び漂白定着液による処理がなされる。カラ−プリントが対象の感光材料の場合、この処理液にも、上記した蛍光増白剤の適当な化合物、好ましくはスチルベン系蛍光増白剤が含まれることが多い。
漂白液又は漂白定着液において用いられる漂白剤としては、公知の漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III) の有機錯塩(例えばアミノポリカルボン酸類の錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素などが好ましい。
【0067】
これらのうち、鉄(III) の有機錯塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から特に好ましい。鉄(III) の有機錯塩を形成するために有用なアミノポリカルボン酸、またはそれらの塩を列挙すると、生分解性のあるエチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸などのほか、欧州特許0789275号の一般式(I)又は(II)で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物はナトリウム、カリウム、チリウム又はアンモニウム塩のいずれでもよい。これらの化合物の中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸はその鉄(III) 錯塩が写真性の良好なことから好ましい。これらの第2鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用しても良いし、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などとアミノポリカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第2鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.05〜0.50モル/リットル、更に好ましくは0.10〜0.50モル/リットル、更に好ましくは0.15〜0.40モル/リットルである。
【0068】
漂白時間は、通常30秒〜6分30秒、好ましくは1〜4分30秒、カラ−プリント材料用の漂白処理では、30秒から2分である。
【0069】
漂白定着液又は定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。また、特開昭55−155354号公報に記載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができる。本発明においては、チオ硫酸塩特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.3〜2モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜1.0モルの範囲である。
【0070】
本発明に使用される漂白定着液又は定着液のpH領域は、3〜8が好ましく、更には4〜7が特に好ましい。pHがこれより低いと脱銀性は向上するが、液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進される。逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、かつステインが発生し易くなる。
本発明に使用される漂白液のpH領域は8以下であり、2〜7が好ましく、2〜6が特に好ましい。pHがこれより低いと液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進され、逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、ステインが発生し易くなる。
pHを調整するためには、必要に応じて塩酸、硫酸、硝酸、重炭酸塩、アンモニア、苛性カリ、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を添加することができる。
【0071】
また、漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
漂白定着液や定着液は、保恒剤として亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、など)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、など)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム、など)等の亜硫酸イオン放出化合物や、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有するのが好ましい。これらの化合物は亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して約0.02〜1.0 モル/リットル含有させることが好ましい。
【0072】
保恒剤としては、上記のほか、アスコルビン酸やカルボニル重亜硫酸付加物、あるいはカルボニル化合物等を添加しても良い。
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加しても良い。
本発明による漂白定着処理は処理時間5〜240秒、好ましくは10〜60秒である。処理温度は25℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃である。また、補充量は感光材料1m2当たり20ml〜250ml、好ましくは30ml〜100ml、特に好ましくは15ml〜60mlである。
【0073】
定着又は漂白定着等の脱銀処理後、水洗及び/又は安定化処理をするのが一般的である。
水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジニアズ (Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers)第64巻、p.248 〜253 (1955 年5月号)に記載の方法で、求めることができる。通常多段向流方式における段数は3〜15が好ましく、特に3〜10が好ましい。
【0074】
多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。この様な問題の解決策として、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0075】
また、残存するマゼンタカプラーを不活性化して色素の褪色やステインの生成を防止するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ピルビンアルデヒドなどのアルセヒド類、米国特許第4786583号に記載のメチロール化合物やヘキサメヒレンテトラミン、特開平2−153348号に記載のヘキサヒドロトリアジン類、米国特許第4921779号に記載のホルムアレデヒド重亜硫酸付加物、押収特許公開公報第504609号、同519190号などに記載のアゾリルメチルアミン類などが添加される。
【0076】
更に、水洗水には、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることができる。
以上の水洗工程に続くか、又は水洗工程を経ずに直接安定液で処理することも出来る。安定液には、画像安定化機能を有する化合物が添加され、例えばホルマリンに代表されるアルデヒド化合物や、色素安定化に適した膜pHに調製するための緩衝剤や、アンモニウム化合物があげられる。又、液中でのバクテリアの繁殖防止や処理後の感光材料に防黴性を付与するため、前記した各種殺菌剤や防黴剤を用いることができる。
【0077】
更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を加えることもできる。本発明の感光材料の処理において、安定化が水洗工程を経ることなく直接行われる場合、特開昭57−8543号、同58-14834号、同60−220345号公報等に記載の公知の方法をすべて用いることができる。
その他、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等のキレート剤、マグネシウムやビスマス化合物を用いることも好ましい態様である。
【0078】
脱銀処理後に用いられる水洗液又は安定化液としていわゆるリンス液も同様に用いられる。
水洗工程又は安定化工程の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には20℃〜50℃、好ましくは25℃〜45℃である。
水洗及び/又は安定化工程に続いて乾燥が行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0079】
本発明の現像剤組成物を使用する現像処理方法の適用対象であるカラー写真感光材料について説明する。本発明の方法は、撮影用、プリント用を問わずカラー写真感光材料一般に適用することができる。すなわちカラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラー印画紙の何れの現像処理にも適用でき、また一般用、映画用、プロフェッショナル用のいずれにも適用できる。とくに白地の白さが重視されるカラー印画紙の現像処理への適用の効果が大きい。
また、ピロロトリアゾール誘導体をシアンカプラーとして含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理への適用が有効である。ピロロトリアゾール誘導体から得られるシアン色素は、分光吸収曲線の短波長側の裾引きの少ない優れた色相を有しているが、その反面混色やステインを生じ易い欠点を有しており、現像剤の経時安定性の影響を被り易い。本発明の発色現像剤組成物は、ピロロトリアゾール誘導体をシアンカプラーとするカラー写真感光材料の現像処理に適用したときに混色やステインを起こしにくいという利点がある。ピロロトリアゾール誘導体をカプラーとして用いることは、特開平5−150423号、同5−255333号、同5−202004号、同7−48376号、同9−189988号などに開示されている。
【0080】
つぎに上記のピロロトリアゾール型シアンカプラー以外の感光材料の構成について説明する。
カラーペーパーなどのポジ材料としての感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、塩化銀含有率が少なくとも95モル%で残りが臭化銀であり、実質的に沃化銀を含まないハロゲン化銀粒子からなることが好ましい。ここで「実質的に沃化銀を含まない」とは、沃化銀含有率が1モル%以下、好ましくは0.2モル%以下、更に好ましくは0モル%を意味する。また上記のハロゲン化銀乳剤は迅速処理性の観点から、特に塩化銀含有率が98モル%以上のハロゲン化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀のなかでも塩化銀粒子の表面に臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
少なくとも一層の感光性ハロゲン化銀乳剤層に含有されるハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズ分布の変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)が15%以下であるものが好ましく、10%以下の単分散乳剤がより好ましい。また広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を2種以上同一層中に混合して使用するのが好ましい。このとき、各々の単分散乳剤はその平均粒子サイズが15%以上異なるのが好ましく、20〜60%異なるのがより好ましく、更には25〜50%異なるのが特に好ましい。また各々の単分散乳剤の感度差は0.15〜0.50logEであることが好ましく、0.20〜0.40logEであることがより好ましく、0.25〜0.35logEであることが更に好ましい。
【0081】
このポジ材料には、実質的に沃化銀を含有しない塩化銀含有率95モル%以上の塩臭化銀に鉄および/またはルテニウムおよび/またはオスミウム化合物をハロゲン化銀1モル当たり1×10-5〜1×10-3モル含有させ、かつ臭化銀局在相中にハロゲン化銀1モル当たり1×10-7〜1×10-5モルのイリジウム化合物を含有するハロゲン化銀乳剤を用いることが有効である。
【0082】
撮影目的のカラ−感光材料、例えば多層カラ−ネガフィルムやカラーリバーサルフィルムは、主として沃臭化銀の内部構造を持つ平板粒子や非平板型多重構造粒子が用いられる。好ましいハロゲン化銀は約30モル%以下のヨウ化銀を含む、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、もしくはヨウ塩臭化銀である。特に好ましいのは約2モル%から約10モル%までのヨウ化銀を含むヨウ臭化銀もしくはヨウ塩臭化銀である。写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643(1978年12月),22〜23頁,“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、および同No.18716(1979年11月),648頁、同No.307105(1989年ll月),863〜865頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel、1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press,1966)、ゼリグマンら著「写真乳剤の製造と塗布」フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman,et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0083】
US3,574,628、同3,655,394およびGB1,413,748に記載された単分散乳剤も好ましい。また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子はガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and Engineering)、第14巻248〜257頁(1970年);US4,434,226、同4,414,310、同4,433,048、同4,439,520およびGB2,112,157に記載の方法により簡単に調製することができる。結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
【0084】
ハロゲン化銀乳剤は通常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRD No.17643、同No.18716および同No.307105に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。本発明の感光材料には感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。US4,082,553に記載の粒子表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子、US4,626,498、特開昭59−214852に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロイド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ましい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とは感光材料の未露光部および露光部を問わず一様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子のことをいい、その調製法はUS4,626,498、特開昭59−214852に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用いることができる。これらのかぶらされたハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズとしては0.01〜0.75μm、特に0.05〜0.6μmが好ましい。また、粒子形状は規則的な粒子でもよく、多分散乳剤でもよいが、単分散性(ハロゲン化銀粒子の重量または粒子数の少なくとも95%が平均粒子径の±40%以内の粒子径を有するもの)であることが好ましい。
【0085】
本発明の対象となるプリント用及び撮影用のハロゲン化銀写真感光材料には、従来公和の写真用素材や添加剤を使用できる。
例えば写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースアセテートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。本発明の適用対象となるポジ材料は、反射型支持体が好ましく、特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0086】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、蛍光増白剤は感材の親水性コロイド層中に分散してもよい。蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いる事ができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されないが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3重量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5重量%である。
蛍光増白剤を耐水性樹脂層中に含ませる代わりに、白色顔料を含有する親水性コロイド層を支持体上に塗設してもよい。
また、反射型支持体は、鏡面反射性または第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0087】
本発明に係わる感光材料には、画像のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0,337,490A2 号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(なかでもオキソノール系染料)を該感光材料の680nmに於ける光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チタンを12重量%以上(より好ましくは14重量%以上)含有させるのが好ましい。
【0088】
また、本発明に用いられる感光材料には、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63-271247 号公報に記載のような防黴剤を添加するのが好ましい。
【0089】
本発明に係わる感光材料は可視光で露光されても赤外光で露光されてもよい。露光方法としては低照度露光でも高照度短時間露光でもよく、特に後者の場合には一画素当たりの露光時間が10-4秒より短いレーザー走査露光方式が好ましい。
【0090】
本発明に係わる感光材料に適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)および写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、欧州特許EP0,355,660A2 号、特開平2-33144 号及び特開昭62-215272 号の明細書に記載されているものあるいは次の表1に挙げたものが好ましく用いられる。
【0091】
【表1】
【0092】
また、本発明の対象となる感光材料は、上記したピロロトリアゾール型カプラーを含む場合に白地の白さの改善などの発明の効果が大きいが、このカプラー以外のシアンカプラーを含んだ感光材料も本発明の方法の適用対象である。
シアン、マゼンタまたはイエローカプラーは前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(または不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号)に含浸させて、または水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。
好ましい水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体または共重合体が挙げられる。とくにメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマーが色像安定性等の上で特に好ましい。
【0093】
本発明の適用対象の感光材料には、欧州特許EP0,277,589A2号明細書に記載のような色像保存性改良化合物をピラゾロアゾールカプラーや、上記ピロロトリアゾールカプラー、アシルアセトアミド型イエローカプラーと併用するのが好ましい。
【0094】
またシアンカプラーとしては、前記の表の公知文献に記載されていたようなフェノール型カプラーやナフトール型カプラーの他に、特開平2−33144号公報、欧州特許EP0333185A2号、特開昭64−32260号、欧州特許EP0456226A1号明細書、欧州特許EP0484909号、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号に記載のシアンカプラーの使用してもよい。
【0095】
本発明に用いられるマゼンタカプラーとしては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーのほかに、国際公開WO92/18901号、同WO92/18902号や同WO92/18903号に記載のものも好ましい。これらの5−ピラゾロンマゼンタカプラーの他にも、公知のピラゾロアゾール型カプラーが本発明に用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報、特開昭61−65246号、特開昭61−14254号、欧州特許第226,849A号や同第294,785A号に記載のピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。
【0096】
イエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド型カプラーが好ましく使用されるが、中でも、欧州特許EP0447969A号、特開平5−107701号、特開平5−113642号、欧州特許EP−0482552A号、同EP−0524540A号等に記載のカプラーが好ましく用いられる。
【0097】
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、US4,366,237、GB2,125,570、EP96,873B、DE3,234,533に記載のものが好好ましい。発色色素の不要吸収を補正するためのカプラーはEP456,257A1の5頁に記載の式(CI), (CII), (CIII), (CIV)で表わされるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該EPに記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁)、EX−1(249頁)、EX−7(251頁)、US4,833,069に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8)、CC−13(カラム10)、US4,837,136の(2)(カラム8)、WO92/11575のクレーム1の式(A)で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0098】
現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残基を放出する化合物(カプラーを含む)としては以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:EP378,236A1の11頁に記載の式(I), (II), (III), (IV)で表わされる化合物(特にT−101(30頁),T−104(31頁),T−113(36頁),T−131(45頁),T−144(51頁),T−158(58頁)),EP436,938A2の7頁に記載の式(I)で表わされる化合物(特にD−49(51頁))、EP568,037Aの式(1)で表わされる化合物(特に(23)(11頁))、EP440,195A2の5〜6頁に記載の式(I), (II), (III)で表わされる化合物(特に29頁のI−(1));
【0099】
漂白促進剤放出化合物:EP310,125A2の5頁の式(I), (I′)で表わされる化合物(特に61頁の(60), (61))及び特開平6−59411の請求項1の式(C)で表わされる化合物(特に(7)(7頁);リガンド放出化合物:US4,555,478のクレーム1に記載のLIG−Xで表わされる化合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物);ロイコ色素放出化合物:US4,749,641のカラム3〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:US4,774,181のクレーム1のC0UP−DYEで表わされる化合物(特にカラム7−10の化合物1−11);現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:US4,656,123のカラム3の式(1)、(2)、(3)で表わされる化合物(特にカラム25の(I−22))及びEP450,637A2の75頁36〜38行目のExZK−2;離脱して初めて色素となる基を放出する化合物:US4,857,447のクレーム1の式(I)で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY−1〜Y−19)。
【0100】
カプラー以外の添加剤としては以下のものが好ましい。
油溶性有機化合物の分散媒:特開昭62−215272のP−3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93(140〜144頁);油溶性有機化合物の含浸用ラテックス:US4,199,363に記載のラテックス;現像主薬酸化体スカベンジャー:US4,978,606のカラム2の54〜62行の式(I)で表わされる化合物(特にI−,(1), (2), (6), (12)(カラム4〜5)、US4,923,787のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3);ステイン防止剤:EP298321Aの4頁30〜33行の式(I)〜(III),特にI−47,72,III−l,27(24〜48頁);褪色防止剤:EP298321AのA−6,7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164(69〜118頁),US5,122,444のカラム25〜38のII−1〜III−23,特にIII−10,EP471347Aの8〜12頁のI−1〜III−4,特にII−2,US5,139,931のカラム32〜40のA−1〜48,特にA−39,42;発色増強剤または混色防止剤の使用量を低減させる素材:EP411324Aの5〜24頁のI−1〜II−15,特にI−46;ホルマリンスカベンジャー:EP477932Aの24〜29頁のSCV−1〜28,特にSCV−8;
【0101】
硬膜剤:特開平1−214845の17頁のH−1,4,6,8,14,US4,618,573のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54),特開平2−214852の8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14,US3,325,287のクレーム1に記載の化合物;現像抑制剤プレカーサー:特開昭62−168139のP−24,37,39(6〜7頁);US5,019,492のクレーム1に記載の化合物,特にカラム7の28,29;防腐剤、防黴剤:US4,923,790のカラム3〜15のI−1〜III−43,特にII−1,9,10,18,III−25;安定剤、かぶり防止剤:US4,923,793のカラム6〜16のI−1〜(14),特にI−1,60,(2), (13),US4,952,483のカラム25〜32の化合物1〜65,特に36:化学増感剤:トリフェニルホスフィン セレニド,特開平5−40324の化合物50;
【0102】
染料:特開平3−156450の15〜18頁のa−1〜b−20,特にa−1,12,18,27,35,36,b−5,27〜29頁のV−1〜23,特にV−1,EP445627Aの33〜55頁のF−I−1〜F−II−43,特にF−I−11,F−II−8,EP457153Aの17〜28頁のIII−1〜36,特にIII−1,3,WO88/04794の8〜26のDye−1〜124の微結晶分散体,EP319999Aの6〜11頁の化合物1〜22,特に化合物l,EP519306Aの式(1)ないし(3)で表わされる化合物D−1〜87(3〜28頁),US4,268,622の式(I)で表わされる化合物1〜22(カラム3〜10),US4,923,788の式(I)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2〜9);UV吸収剤:特開昭46−3335の式(1)で表わされる化合物(18b)〜(18r),101〜427(6〜9頁),EP520938Aの式(I)で表わされる化合物(3)〜(66)(10〜44頁)及び式(III)で表わされる化合物HBT−1〜10(14頁),EP521823Aの式(1)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2−9)。
【0103】
本発明は一般用もしくは映画用の汎用のカラーネガフイルムに適用することができる。また、特公平2−32615、実公平3−39784に記載されているレンズ付きフィルムユニット用に好適である。本発明に使用できる適当な支持体は、例えば前述のRD.No.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載されているが、ポリエステル支持体を用いるのが好ましい。
【0104】
本発明に使用されるカラーネガフィルムは、磁気記録層を有する場合が好ましい。本発明に用いられる磁気記録層について説明する。本発明に用いられる磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。本発明で用いられる磁性体粒子は、γFe2O3などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe2O3、Co被着マグネタイト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用できる。Co被着γFe2O3などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。比表面積ではSBETで20m2/g以上が好ましく、30m2/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽和磁化(σs)は、好ましくは3.0×104〜3.0×105A/mであり、特に好ましくは4.0×104〜2.5×105A/mである。強磁性体粒子を、シリカおよび/またはアルミナや有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は特開平6−161032に記載された如くその表面にシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。又特開平4−259911、同5−81652号に記載の表面に無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0105】
磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤が好ましい。非球形無機粒子の組成としては酸化アルミニウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤はその表面をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例えば保護層、潤滑剤層など)しても良い。この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁気記録層を有する感材についてはUS5,336,589、同5,250,404、同5,229,259、同5,215,874、EP466,130に記載されている。
【0106】
本発明に用いられるポリエステル支持体について記すが、後述する感材、処理、カートリッジ及び実施例なども含め詳細については公開技報、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。本発明に用いられるポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられる。この重合ポリマーとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50モル%〜100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン 2,6−ナフタレートである。平均分子量の範囲は約5,000ないし200,000である。本発明のポリエステルのTgは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。
【0107】
次にポリエステル支持体は、巻き癖をつきにくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、より好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間は0.1時間以上1500時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上200時間以下である。支持体の熱処理はロール状で実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb2O5等の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。又端部にローレットを付与し端部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0108】
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。T1/2は発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、膜厚そのものが1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚は25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.Sci.Eng.),19巻、2,124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。また、膨潤率は150〜400%が好ましい。膨潤率とはさきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚により計算できる。本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好ましい。
【0109】
【実施例】
以下、実施例によって本発明の態様と効果をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0110】
実施例1 沈殿析出に対する安定性
沈殿析出に対する安定性を試験するために、下記の組成表の要因を変えて14種類の発色現像剤組成物を調製した。14種類の組成物の変更要因は、表2に示す。また、試験結果も表2に示した。
【0111】
(2)安定性試験条件と評価基準
調製した発色現像剤組成物をガラスボトルに入れて5、0、−5°Cで各1週間保存した。
試験結果の評価は、経時後の液状を視覚によって判定し、5°Cの保存でも沈殿を生じたものをx、0°Cの保存で沈殿を生じたものを○、−5°Cで保存して特に外観が無職透明で優れているものを◎◎◎とし、沈殿を生じないものを◎◎とし、濁りの生じたものを◎とする5段階評価を行った。
その結果を表2に示す。
また、本発明に係わる蛍光増白剤以外の蛍光増白剤以外を用いた比較例2〜5は、いずれも5°Cの保存でも析出が見られたのに対して一般式(I)又は(II)のいずれか又は両方を用いた本発明例6〜14はいずれも少なくとも○のランク以上であり、また試料7、8と試料10、12の比較によって一般式(I)及び(II)の化合物を併用することによって安定性が増大することが示される。また、試料15と試料12の比較からポリエチレングリコールの安定化効果が判る。特に試料9と試料12は、蛍光増白剤を含まない標準であり、かつ目標でもある比較試料1と同等の安定性を示す。
【0112】
【表2】
【0113】
なお、表2において比較用に用いた本発明に係わらない蛍光増白剤RA−1,RA−2,RB−1及びRB−2は、下記の構造を有する。
【0114】
【化7】
【0115】
【化8】
【0116】
実施例2 経時保存に対する蛍光増白剤の安定性
上記沈殿析出に対する安定性試験に用いた14種類の発色現像剤組成物から試料4、5、9、12、13を選んで水で6倍に希釈して試料4D、5D、9D、12D、13Dとした。もとの試料4、5、9、12、13と上記の希釈した試料4D、5D、9D、12D、13Dをガラスボトルに入れて50°C、8週間にわたって明室で経時させた。また、試料4、5、9、12、13は、遮光して低温(5°C)の条件でも経時させた。
加熱経時させた試料4、5、9、12、13、及び標準として低温においた試料4、5、9、12、13は、それぞれ12倍に希釈して、1リットル当たり炭酸カリウム16gを添加し、pHを10.15に調節し、一方、試料4D、5D、9D、12D、13Dは2倍に希釈して、1リットル当たり炭酸カリウム16gを添加し、pHを10.15に調節し、それぞれ現像液を調製した。
これらの現像液を用いて実施例3に示す感光材料試料Bを未露光のまま現像処理を行い、現像処理済み試料の蛍光強度を測定した。測定には、日立製作所製M−850型蛍光分光光度計を使用し、励起波長350nm、測定波長450nmを選んだ。
蛍光強度の評価は、遮光低温経時後に現像処理した感光材料の蛍光強度を標準としてそれに対する相対値、すなわち、次の式で表される蛍光スペクトルの相対強度によって行った。
得られた結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】
表3では、12倍濃縮状態の本発明の現像組成物(試料9、12、13)は強い蛍光強度を発揮しているが、2倍濃縮の試料及び本発明以外の蛍光増白剤を用いた現像組成物は低い蛍光強度であった。
【0119】
実施例3 写真品質特性
(1)感光材料試料の調整
紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料(試料試料Bとよぶ)を作製した。各写真構成層用の塗布液は、以下のようにして調製した。以下に示す乳剤の平均粒子サイズとは、いわゆるプロジェクションエリア法によって測定された粒子の面積の換算直径の平均値である。
【0120】
(塗布液の調整)
第五層塗布液調製
シアンカプラー(下記のピロロトリアゾールカプラーを使用)300g、色像安定剤(Cpd−1)250g、色像安定剤(Cpd−9)10g、色像安定剤(Cpd−10)10g、色像安定剤(Cpd−12)20g、紫外線吸収剤(UV−1)14g、紫外線吸収剤(UV−2)50g、紫外線吸収剤(UV−3)40gおよび紫外線吸収剤(UV−4)60gを、溶媒(Solv−6)230gおよび酢酸エチル350mlに溶解し、この液を10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム200mlを含む10%ゼラチン水溶液6500gに乳化分散させて乳化分散物Cを調製した。
【0121】
【化9】
【0122】
一方、塩臭化銀乳剤C(立方体、平均粒子サイズ0.50μmの大サイズ乳剤Cと0.41μmの小サイズ乳剤Cとの1:4混合物(銀モル比)。粒子サイズ分布の変動係数は、それぞれ0.09と0.11であり、各サイズ乳剤とも臭化銀0.5モル%を、塩化銀を基体とする粒子表面の一部に局在含有させた)を調製した。
この乳剤には下記に示す赤感性増感色素GおよびHが、銀1モル当り、大サイズ乳剤Cに対してはそれぞれ6.0×10-5モル、また小サイズ乳剤Cに対してはそれぞれ9.0×10-5モル添加されている。また、この乳剤の化学熟成は硫黄増感剤と金増感剤が添加して最適に行われた。
前記乳化分散物Cとこの塩臭化銀乳剤Cとを混合溶解し、後記組成となるように第五層塗布液を調製した。乳剤塗布量は銀量換算塗布量を示す。
【0123】
第一層〜第四層および第六層〜第七層用の塗布液も第五層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。
また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3およびAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/m2 、60.0mg/m2 、5.0mg/m2 および10.0mg/m2 となるように添加した。
【0124】
【化10】
【0125】
各感光性乳剤層の塩臭化銀乳剤には以下の分光増感色素をそれぞれ用いた。
青感性乳剤層
【0126】
【化11】
【0127】
(増感色素A、BおよびCをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.4×10-4モル、小サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.7×10-4モル添加した。)
緑感性乳剤層
【0128】
【化12】
【0129】
(増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては3.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10-4モル、また、増感色素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては4.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10-5モル、また、増感色素Fをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては2.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては2.8×10-4モル添加した。)
赤感性乳剤層
【0130】
【化13】
【0131】
(増感色素GおよびHを、ハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対してはそれぞれ6.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対してはそれぞれ9.0×10-5モル添加した。)
さらに、下記の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり2.6×10-3モル添加した。)
【0132】
【化14】
【0133】
また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層に対し、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲン化銀1モル当り3.3×10-4モル、1.0×10-3モルおよび5.9×10-4モル添加した。
さらに、第二層、第四層、第六層および第七層にも、それぞれ0.2mg/m2 、0.2mg/m2 、0.6mg/m2 、0.1mg/m2 となるように添加した。
また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モル、2×10-4モル添加した。
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体(重量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2を添加した。
また、第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。
また、イラジエーション防止のために、乳剤層に以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0134】
【化15】
【0135】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2 )を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2 ;含有率16重量%、ZnO;含有率4重量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベンと4,4−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベンの8/2(重量比)混合物:含有率0.05重量%)、青味染料(群青)を含む]
【0136】
【0137】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.99
混色防止剤(Cpd−4) 0.09
色像安定剤(Cpd−5) 0.018
色像安定剤(Cpd−6) 0.13
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(Solv−2) 0.22
【0138】
【0139】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.71
混色防止剤(Cpd−4) 0.06
色像安定剤(Cpd−5) 0.013
色像安定剤(Cpd−6) 0.10
色像安定剤(Cpd−7) 0.007
溶媒(Solv−1) 0.04
溶媒(Solv−2) 0.16
【0140】
【0141】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.66
紫外線吸収剤(UV−1) 0.19
紫外線吸収剤(UV−2) 0.06
紫外線吸収剤(UV−3) 0.06
紫外線吸収剤(UV−4) 0.05
紫外線吸収剤(UV−5) 0.09
溶媒(Solv−7) 0.25
【0142】
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性度17%) 0.04
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.01
【0143】
【化16】
【0144】
【化17】
【0145】
【化18】
【0146】
【化19】
【0147】
【化20】
【0148】
【化21】
【0149】
【化22】
【0150】
2.現像処理
(現像処理用ランニング液の調整)
上記の感光材料試料Bを127mm巾のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサー PP728ARを用いて感光材料試料Bに平均的濃度のネガフィルムから像様露光を行い、下記処理工程にてカラー現像タンク容量の4倍の補充量となるまで連続処理(ランニングテストテスト)を行った。
前記表2の現像剤組成物試料9を4倍希釈してpHを12.50に調整して現像補充液とし、補充タンクに入れ、現像液は、下記の処方の液を調製して現像槽を満たし、自動現像機による連続現像処理を行った。
【0151】
処理工程 温 度 時 間 補充量*
カラー現像 38.5℃ 45秒 45ミリリットル
漂白定着 38.0℃ 45秒 35ミリリットル
リンス(1) 38.0℃ 20秒 −
リンス(2) 38.0℃ 20秒 −
リンス(3)**38.0℃ 20秒 −
リンス(4)**38.0℃ 20秒 121ミリリットル
乾燥 80 ℃ 30秒
(注)
* 感光材料1m2 当たりの補充量
**富士写真フイルム社製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装着し、リンス(3)からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で得られた透過水はリンス(4)に供給し、濃縮水はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ミリリットル /分を維持するようにポンプ圧を調製し、1日10時間温調循環させた。リンスは(1)から(4)への4タンク向流方式とした。
【0152】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0153】
【0154】
【0155】
現像槽の液交換率が4回まで行ったが、写真品質特性はステイン、蛍光強度(白色度)、階調、色再現性は良好であり、また現像液、補充液の液状も正常であった。
【0156】
【発明の効果】
請求項1に規定したpH,炭酸塩濃度、現像主薬濃度を有し、一般式(I)及び一般式(II)から選ばれる蛍光増感剤を含む現像剤組成物は、経時保存中にもまた現像処理中にも沈殿析出がなく、蛍光強度などの処理剤性能の劣化もなく安定に特性が保たれる。したがって現像剤組成物の減容が可能であり、自動現像機システムに組み込むこともできる。
また、従来1パート構成の発色現像剤組成物用には使用できなかった単品構成のポリエチレン製容器を使用することが可能となる。
Claims (6)
- 炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムあるいはその両方を全量で0.45〜2Mと、発色現像主薬を0.12〜1Mと、下記一般式(I)又は(II)で表される蛍光増白剤の少なくとも一つとを含有し、かつpHが12.5以上である濃厚液剤により構成されたことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物。
- ポリアルキレングリコールを含有することを特徴とする請求項1に記載の発色現像剤組成物。
- 組成物中にさらに下記一般式(A)の群から選ばれるアルカノ−ルアミンの少なくも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の発色現像剤組成物。
〔H(R’O)m R〕n NH(3-n) 式(A)
(式中、mは0又は1、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数が2から4のヒドロキシ置換アルキレン基、R’は炭素数が1〜4のアルキレン基あるいはヒドロキシ置換アルキレン基である。ただし、mが0の場合は,Rの炭素数2であればnは2であり、Rの炭素数が3〜4であればnは1、2又は3である。また、mが1の場合は、Rの種類によらずnは1、2又は3である)。 - 1パート構成の濃厚液剤により構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物。
- 一般式(I)及び一般式(II)でそれぞれ表される蛍光増白剤のいずれをも含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像剤組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の発色現像剤組成物を用いて発色現像処理を行うことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理方法。
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