JP3813336B2 - 集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置 - Google Patents

集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置に関し、特に半導体集積回路の半導体基板裏面からEBを照射して観測する半導体集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の故障解析技術のうち故障箇所特定の高検出率化・効率化が重要なウェイトを占めてきている。ますます大規模化、多層化、高機能化しつつある集積回路の故障箇所を特定するには、集積回路から外部に出力された信号から得られる不良情報だけでなく集積回路内部で伝達される信号に係わる情報も調べる必要がある。これを行うための半導体解析装置の1つとして、電子ビーム(EB:Electron Beam)をプローブとし、非接触で被測定デバイスたる半導体集積回路の内部金属配線の電位波形や電位コントラスト像を観測する電子ビームテスタ(以下EB(Electron Beam)テスタという。)がある。EBテスタは、半導体集積回路を構成する配線の電位状態を、半導体集積回路を動作させつつ観測する半導体解析装置である。高機能化、大規模化する集積回路についてその内部の故障箇所を特定するには、EBテスタは不可欠のものとなってきている。不良デバイスの詳細な故障箇所を見つけるには、内部回路の電位状態を観測し、CADナビゲーション等のツールを利用しながら不良配線を追跡する必要がある。例えば特開平9‐54145号公報にCADナビゲーション等のツールを利用した集積回路の故障診断装置が掲載されている。
【0003】
図12はEBテスタを用いた従来の測定方法における被測定デバイスの一例を示す断面図である。被測定デバイス1は、通常、樹脂パッケージ2等に収められている。ここでの被測定デバイス1は、シリコン・オン・インシュレータ(以下SOI(Silicon On Insulator)という。)基板上に形成された集積回路である。ここでは基板にシリコンを用いているが、この基板にシリコン以外の半導体を用いてもかまわない。この被測定デバイス1を構成するSOI基板1sには、数百μmの厚みを持つシリコン層1a上に、薄い絶縁層1cを挟んでSOI層1bが形成されている。SOI基板1sに平面的に配置された各MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタの拡散領域1eは、第1の配線層に在る金属配線1fと第2の配線層に在る金属配線1gによって様々なパターンの電気的な接続が可能になっている。集積回路と集積回路の外部との電気的接続は、リード3を介して行われる。
【0004】
従来の測定状態においては、図12に示すように、樹脂パッケージ2の上部(絶縁層1cから見てSOI層1bが位置する側)が開封されるとともに保護膜1hも一部除去され、金属配線1g等が露出させられている。
【0005】
図13は従来のEBテスタの一使用態様を示す模式図である。EBテスタ10は、被測定デバイス1の電位波形や電位コントラスト像を表示するためのモニター10aを備えている。被測定デバイス1は、その雰囲気を真空状態にするためにEBテスタ10の真空チャンバー10b内に配置される。この被測定デバイス1は、DUT(Device Under Test)ボード12に接続されている。そして、モニター10aに電位コントラスト像等の表示を行うため、被測定デバイス1は、テスト装置11のバス11aからDUTボード12を通して供給される信号により駆動されている。被測定デバイス1が駆動されている状態で、電子ビーム照射器13から被測定デバイス1へ直接に電子ビーム15が照射される。被測定デバイス1への電子ビーム15の直接の照射は、図12に示すように、樹脂パッケージ2の上部が開封されていることによって可能となっている。被測定デバイス1の表面側に設けられている保護膜1hが金属配線1f,1gに達するところまで一部除去されているので、電子ビーム15が被測定デバイス1の金属配線1f,1g表面に当たることによって発生する二次電子16を二次電子検出器14で検出できる。つまり、図12に示すような被測定デバイス1を用いると、金属配線1f,1gの電位コントラスト像等が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置は上記のように構成されているが、集積回路の高密度化や多層化のため表面からのみでは不良配線の追跡が困難であり、さらに金属配線が観測対象であるため集積回路を構成している素子レベルでの直接観測はできないという問題がある。半導体集積回路がますます大規模化、多層化、高密度化し、それにつれて故障解析はさらに困難になることが予想され、この問題の重要性が将来に渡って高まることが予想される。
【0007】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、被測定デバイスである半導体集積回路における素子のレベル、例えばMOSトランジスタの拡散領域等で電位波形や電位コントラスト像を観測し、高い検出率でかつ効率的に故障箇所を特定することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る集積回路の故障箇所特定方法は、集積回路を動作させつつ、前記集積回路が表面に形成された半導体基板の裏面側に電子ビームを照射して、前記半導体基板の拡散領域の電位による影響を受けた二次電子を観測する工程と、前記観測する工程における観測結果から前記集積回路の故障箇所を特定する工程とを備えて構成される。そして第1の発明の集積回路の故障箇所特定方法において、前記観測する工程は、前記半導体基板を透過する光に基づいて撮影するカメラで裏側から前記半導体基板を捉えた裏面配線パターン像または裏面レイアウト図を用い、前記二次電子から得られる映像について前記半導体基板における位置を認識する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
第2の発明に係る集積回路の故障箇所特定方法は、集積回路を動作させつつ、前記集積回路が表面に形成されたウェーハの裏面側に電子ビームを照射して、前記ウェーハの拡散領域の電位による影響を受けた二次電子を観測する工程と、前記観測する工程における観測結果から前記集積回路の故障箇所を特定する工程とを備えて構成される。そして前記観測する工程は、前記ウェーハの表面を拡大した像を得ることができる拡大手段を用いて、プローブカードの針先を前記ウェーハの所定の位置に合わせる工程を含むことを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係る集積回路の故障箇所特定方法は、第1の発明又は第2の発明の集積回路の故障箇所特定方法において、前記集積回路は、絶縁層上に設けられた半導体層に形成されており、前記観測する工程に先だって前記半導体層の下の絶縁層をストッパーとして利用して前記裏面のエッチングを行う工程をさらに備える。
第4の発明に係る集積回路の故障箇所特定方法は、第3の発明の集積回路の故障箇所特定方法において、前記観測する工程に先だって、かつ前記エッチングを行う工程の後に、前記絶縁層を除去する工程をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
第5の発明に係る集積回路の故障箇所特定方法は、第の発明の集積回路の故障箇所特定方法において、前記観測する工程に先だって、前記集積回路の裏面レイアウト図と前記裏面配線パターン像から観測位置を特定する工程をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
第6の発明に係る集積回路の故障箇所特定方法は、第1及び第3から第5の発明の集積回路の故障箇所特定方法のいずれかにおいて、前記ウェーハの表面を拡大した像を得ることができる拡大手段を用いて、プローブカードの針先を前記ウェーハの所定の位置に合わせる工程を含む。
【0014】
第7の発明に係る故障箇所特定装置は、表面に集積回路が形成された半導体基板から二次電子を得るため前記半導体基板に対し、該半導体基板の裏側から電子ビームを照射する電子ビーム照射手段と、前記集積回路を駆動するテスト装置と、前記二次電子を検出する二次電子検出器と、前記電子ビーム照射手段と同じ側から前記集積回路の配線の映像を捉えるための、前記半導体基板を透過する光に基づいて撮影するカメラとを備えて構成される。
第8の発明に係る故障箇所特定装置は、表面に集積回路が形成されたウェーハの裏面から二次電子を得るために前記ウェーハの裏面に電子ビームを照射する電子ビーム照射手段と、前記二次電子を検出する二次電子検出器と、前記ウェーハの表面から前記ウェーハに電気信号や電源を供給するためのプローブカードと、前記プローブカードの針を前記ウェーハに当てるために前記ウェーハの表面を拡大した像を得るための拡大手段とを備える。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による半導体集積回路の故障箇所特定方法について図1から図4を用いて説明する。図1は実施の形態1による被測定デバイスの加工形状の一例を示す断面図である。
【0017】
図1に示す被測定デバイス1X(半導体集積回路)は、SOI基板1sを用いて作成され、試料として加工される前は樹脂パッケージ2に封入されている。実施の形態1の故障箇所特定方法による観測状態においては、樹脂パッケージ2の裏面(絶縁層1cから見てシリコン層1aが位置する側)が開封されている。ここでの被測定デバイス1Xは、図12に示した集積回路と同様の、SOI基板1s上に形成された集積回路である。被測定デバイス1XのSOI基板1sにおいても、SOI基板1sに平面的に配置された各MOSトランジスタの拡散領域1eは、第1の配線層に在る金属配線1fと第2の配線層に在る金属配線1gによって様々なパターンの電気的な接続が行われており、集積回路と集積回路外部との電気的接続がリード3を介して行われる。
【0018】
図1に示した被測定デバイス1Xが図12に示した被測定デバイス1と異なる点は、被測定デバイス1Xのシリコン層1aの中で観測対象となる素子の形成領域を含む部分1jが絶縁層1cに達する所まで除去されている点である。被測定デバイス1Xについてはその裏面から観測されるため、当然、その表面側では保護膜1hの除去がなされる必要はない。被測定デバイス1Xは、シリコン層1aの一部を除去されているが、表面側に在る保護膜1hと樹脂パッケージ2とによってMOSトランジスタや各配線層が破損することなく保持されている。
【0019】
電子ビームが被測定デバイス1Xに当たったときに発生する二次電子は、MOSトランジスタ等の拡散領域1eの電位による影響を受ける。ところが、シリコン層1aの厚みは、通常数百μm程度であるため、シリコン層1aを介して電子ビームによって拡散領域1eの電位変化を捉えるのは困難である。そこで、観測対象となる素子の形成領域を含む部分1jのシリコン層1aが除去される。通常SOI基板1sにおいて、絶縁層1cの厚みは薄いため、絶縁層1cに電子ビームを照射して得られる二次電子によって、拡散領域1eに生じた電位の変化を絶縁層1cの表面で捉えることができる。
【0020】
被測定デバイス1Xを試料として加工するには、まず、公知の方法で樹脂パッケージ2の裏面の除去が行われる。次に、観測対象となる素子の形成領域を含む部分1jに対しシリコン層1aが機械的に研磨されて絶縁層1cの近くまでシリコン層1aの除去が行われる。さらに、絶縁層1cをストッパーとしてウェットエッチングにより、観測対象となる素子の形成領域を含む部分1jのシリコン層1aが除去されて被測定デバイス1Xが図1に示す状態になる。
【0021】
図2は実施の形態1によるEBテスタの一使用態様を示す模式図である。図2において、DUTボード12に接続される被測定デバイス1Xが従来と異なるだけで、EBテスタの構成は図13に示した従来の故障箇所特定方法に用いたEBテスタと同じである。被測定デバイス1Xの裏面が電子ビーム照射器13の方に向いているため、リード3をDUTボード12にはめ込むことによって被測定デバイス1XとDUTボード12との接続を行うことができない。そこで、DUTボード12上のソケットとリード3とをはんだ付けするなどしてこれらの接続を図っている。
【0022】
テスト装置11により駆動された被測定デバイス1Xの裏面から、露出した埋め込み絶縁層1cに向けて、EBテスタ10を用いて裏面から電子ビーム15を照射する。電子ビーム15はMOSトランジスタの拡散領域1eの直下にある絶縁層1cに達し、そこから発生した二次電子16を検出することで、MOSトランジスタの拡散領域1eの電位波形や電位コントラスト像を観測する。
【0023】
上述のようにして観測した被測定デバイス1Xの電位波形の一例を図3に、電位コントラスト像の一例を図4に示す。図3において、縦軸の一つの区分が1Vに相当し、横軸の一つの区分が50nsに相当する。図3には、4つの拡散領域の電位波形がそれぞれ電位振幅の中心をずらして示されている。
図4はEBテスタ10の持つストロボ機能により得られる電位コントラスト像を示している。図4の白黒のコントラストによって示された部分30において、白い部分の電位は低く、黒い部分の電位は高い。この部分30の一列が例えばMOSトランジスタの拡散領域1eの一つ(ソース領域あるいはドレイン領域)に相当する。
【0024】
このように被測定デバイス1Xの裏面側から電子ビームを照射し、この電子ビームに起因して得られる二次電子を検出することで、金属配線ではなく各MOSトランジスタの拡散領域1eの電位波形や電位コントラスト像を直接観測することができ、表面からは観測困難なMOSトランジスタ等の素子の論理動作状態を、効率よく容易に検出することができる。この半導体集積回路の故障箇所特定方法は、多層配線デバイスやフリップチップ(Flip Chip)デバイスのような、表面から電子ビームを照射するEBテストでは解析が困難な場合に特に有効である。
【0025】
なお、半導体デバイスの裏面側から赤外線を用いて観測する方法として、例えば特開平7‐35697号公報に、反転した画像データと裏面側へ発せられた赤外線から得た像とを重ねる方法についての記載がある。この場合には、半導体デバイスにバイアスを印加したときに異常箇所から発生する極微弱光を用いて故障箇所を解析しているが、素子の動作に異常を生じているか否かを直接観測しているとは限らないため、素子が異常な動作をしているか否かを直接特定することができない場合があるという欠点がある。
【0026】
故障箇所を特定するためには、観測している箇所を特定しておくことが必要になる。そのために、図1に示すように、裏面側からシリコン層1aと絶縁層1cとSOI層1bを貫通する穴1kをエッチング等によって明けて、裏側から集積回路表面の配線が直接観測できるようにする。この穴1kから見える配線パターンによって被測定デバイス1Xと電子ビーム照射器13との位置合わせを行い、観測箇所の特定を行う。穴1kの数は複数であることが好ましく、穴1kは例えば3〜4箇所に明けられる。集積回路における、穴1kが明けられる場所は、集積回路の動作を阻害しない場所、例えば素子が形成されていない場所である。
【0027】
図5は、実施の形態1による被測定デバイスの加工形状の他の例を示す断面図である。図5において、図1と同一符号のものは図1の同一符号部分相当する部分である。図5に示すEBテスタ用試料(被測定デバイス1Y)では、SOI層1bが露出されている。図5に示す試料を用いれば、絶縁層1cに二次電子が蓄積されない分だけ図1に示す試料を用いる場合に比べて電位コントラスト像が見やすく電位波形も精度よく観測することができる。しかもSOI層1bが残っているので半導体素子の動作は可能である。
図5に示す被測定デバイス1Yの加工は、図1に示す被測定デバイス1XのSOI層1bをストッパーとして絶縁層1cをエッチングして除去することにより行うことができる。
【0028】
図6は、実施の形態1による被測定デバイスの他の例を示す断面図である。図6において、図1と同一符号のものは図1の同一符号部分に相当する部分である。図6に示すEBテスタ用試料(被測定デバイス1Z)は、p型シリコン層1mおよびウェル1nを含む、数百μmの厚みを有するシリコン基板1tを備えており、これを観測したい領域において所定の厚み1Lが残るようにエッチングされている。この厚み1Lは、拡散領域1eの厚さよりも厚く、集積回路の動作を阻害しないように設定される。ただし、この厚み1Lがあまり厚くなると、電子ビームを照射して行う電位波形や電位コントラスト像の観測に支障がでるため、拡散領域1eの電位変化が二次電子に反映されてEBテスティングが可能となる厚みという制限がある。
【0029】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による半導体集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置を図7を用いて説明する。
図7に示すように、EBテスタ10の真空チャンバー10b内の切り替えステージ41に赤外線カメラ40を設置する。この赤外線カメラ40は、被測定デバイス1Xの裏面の配線パターンを観察するのに用いられる。被測定デバイス1Xの表面側に形成された配線パターンを観察するには、シリコンの波長吸収帯(λ=1100nm未満)よりも波長が長い赤外領域(λ=1100nm以上)に感度を持つ赤外線カメラ40が必要になる。つまり、この赤外線カメラ40は、シリコン層1aの波長吸収帯と異なる領域の波長を持つ赤外光が照射された被測定デバイス1Xからの反射光を検出できるカメラである。
【0030】
電子ビーム15の中心軸43は、電子ビーム照射器13を載置しているXYステージ45によって移動されうる。赤外線カメラ40は切替ステージ41によってXY方向に移動される。そして、赤外線カメラ40は赤外線カメラ40の視野の中心42を電子ビーム15の中心軸43と一致させて被測定デバイス1Xの裏面から見た配線パターンの像、すなわち裏面配線パターン像を撮ることができる。
【0031】
裏面からEBテストを行うには、電子ビーム15を照射するMOSトランジスタ等の拡散領域1eの位置を認識する必要があり、そのためまず上述のようにして電子ビーム15が照射されるところの裏面配線パターンを赤外線カメラ40により観察する。次に、電子ビーム15を照射するのに差し障りがないところまで切り替えステージ41によって赤外線カメラ40を移動する。その後、電子ビーム15を照射して電位コントラスト像等の観測を行う。
電子ビーム照射器13、XYステージ45、赤外線カメラ40および切替ステージ41等の全ての操作はコントローラー10cにより行う。
【0032】
以上説明したように、被測定デバイス1X(半導体集積回路)の裏面配線パターン像を得るために赤外線カメラ40は必要不可欠である。実施の形態1では被測定デバイス1Xの裏面から穴を明けて配線パターンの位置を確認するのに対し、実施の形態2による故障箇所特定方法および故障箇所特定装置では、EBテスタ10の真空チャンバー10b内に設置された赤外線カメラ40で裏面配線パターンを認識することにより、裏面配線パターン像と電位コントラスト像等との対応を取りながら裏面EBテストをすることができる。例えば、図7に示すEBテスタ10を使用すれば、赤外線カメラ40で撮影した裏面配線パターン像50と電子ビーム15を用いて得た電位コントラスト像51とを重ねた像52を、図8に示すように画面に表示することができる。像52における高輝度部51bと裏面配線パターン50aとの関係から裏面配線パターン50aと拡散領域1eの位置の対応が明確になる。電位コントラスト像51は、例えば図4に示した電位コントラスト像に相当するものである。
真空チャンバー10b内から被測定デバイス1Xを取り出さずに、裏面配線パターン観察とEBテストを切り替えて行うことができ、位置合わせの精度向上、操作性の向上、解析の効率化などが実現できる。
なお、上記実施の形態2では、赤外線カメラ40を用いる場合について説明したが、赤外線以外の光であってもよく、半導体基板を透過する光であって金属で反射される光であればよく、赤外線カメラ40に代えてこのような光に基づいて撮影できるカメラを用いても上記実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0033】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による半導体集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置を図7、図9および図10について説明する。被測定デバイス1Xに関するパターンレイアウト図53のデータが、図7に示すパターンレイアウト図のデータベース56からEBテスタ10へ入力される。例えば、このパターンレイアウト図53は被測定デバイス1Xの設計時に得られるものである。図9に示すように、パターンレイアウト図53を反転させて裏側からパターンレイアウト図53を観た状態の図、すなわち裏面レイアウト図54をEBテスタ10が公知の方法で作成する。
この裏面レイアウト図54と裏面配線パターン像50との整合をとること、換言すれば、裏面レイアウト図54と裏面配線パターン像50との位置合わせが行われることによって、電子ビーム15が照射されていて観測が行われている部分の位置が、裏面レイアウト図54において認定される。ここで、裏面配線パターン像50に代えて裏面配線パターン像と電位コントラスト像等とを重ねた像52を用いて同様の位置合わせをすることもできる。従来は表面から観たレイアウト図53を用いて位置合わせが行われていたものを裏面レイアウト図54を用いただけであり、従来と同様に位置合わせが行える。
【0034】
このような工程を電子ビーム15の照射位置を移動させて異なる3つまたは4つの箇所で繰り返し行うことで、裏面レイアウト図54における位置の認定が全て正しかったか否かを確認でき、電子ビーム15の照射位置と裏面レイアウト図54の表示をリンクできる。そして、電子ビーム15の照射位置を裏面レイアウト図54上で特定できることによって、トランジスタレベルの回路図58と電子ビーム15の照射位置のリンクも可能になる。従って、電位波形図59とトランジスタレベルの回路図58とのリンクも可能になる。また、電子ビーム15が照射されている箇所の電位コントラスト像51とその箇所の裏面レイアウト図54も表示できる。前述のように各リンクが実施されている状態では、裏面レイアウト図54とリンクしたトランジスタレベルの回路図58は、例えば、EBテスタ10にネットリストのデータ55を与えることで得られる。また、トランジスタレベルで電子ビーム15の照射位置が特定されているため、電位波形59とリンクさせてシミュレーション波形60が表示できる。シミュレーション波形60はEBテスタ10にシミュレーションデータ57を与えることによってモニター10aへの表示が可能になる。
【0035】
そして図10に示すように、裏面レイアウト図54と、電位コントラスト像51(または電位コントラスト像51に裏面配線パターン像50を重ね合わせた像52)と、トランジスタレベルの回路図58と、実測波形の期待値としてトランジスタレベルのシミュレーション波形60とをリンクさせ、被測定デバイス1X(半導体集積回路)の内部へ素子レベルでCADナビゲーションが行われる。
【0036】
被測定デバイス1Xの裏面の入力側または出力側から回路内部へ前記CADナビゲーションを用い電位波形または電位コントラスト像を追跡することで、従来表面からのEBテストでは不可能とされたトランジスタレベルの故障箇所特定を高検出率かつ効率よく可能とすることができる。
【0037】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4による半導体集積回路の故障箇所特定方法および故障箇所特定装置を図11について説明する。実施の形態4による故障箇所特定装置においては、ウェーハの状態で集積回路の評価を行うためにウェーハステージ70が付加される。ウェーハステージ70内は、EBテスタ10の真空チャンバー10bとつながっていて観測中は真空になる。ウェーハ71は、ウェーハステージ70内で固定される。電子ビーム15は、ウェーハ71の裏面から照射される。ウェーハ71の表面に形成されている素子の動作を解析できるように、被測定デバイス1Xと同様に、ウェーハ71は観測される箇所が裏面から研磨されているため薄くなっている。
【0038】
ウェーハレベルで裏面からEBテストを行う際、プローブカード72の針先73をウェーハ25内の被測定集積回路の金属パッドに接触させる。テスト装置11からバス11aを通してプローブカード72にテスト信号が与えられているが、このテスト信号を被測定集積回路に伝達するために、金属パッドと針先73の電気的接続が必要になる。光学顕微鏡74によってプローブカード72の開口部72aを通して針先73が拡大して観察される。そのため、針先73と金属パッドの接触が真空中で容易に行える。
なお、EBテスタ8のウェーハステージ70内に光学顕微鏡74に代えて小型カメラを設置してもよく、上記実施の形態4と同様の効果を奏する。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明に係る半導体集積回路の故障箇所特定方法によれば、集積回路を動作させつつ、集積回路が表面に形成された半導体基板の裏面に照射した電子ビームによって半導体素子のレベルで拡散領域の電位波形や電位コントラスト像を観測でき、素子レベルでの故障箇所の特定を効率よく容易に行うことができるという効果がある。そして半導体基板を透過する光によって半導体集積回路の配線を確認でき、故障箇所を特定する確度が向上するという効果がある。
【0040】
第2の発明に係る半導体集積回路の故障箇所特定方法によれば、集積回路を動作させつつ、集積回路が表面に形成されたウェーハの裏面に照射した電子ビームによって半導体素子のレベルで拡散領域の電位波形や電位コントラスト像を観測でき、素子レベルでの故障箇所の特定を効率よく容易に行うことができるという効果がある。そしてウェーハの表面へのプローブカードの針当てを拡大手段によって容易化できるという効果がある。
【0041】
第3の発明に係る半導体集積回路の故障箇所特定方法によれば、絶縁層をストッパーとして利用して前記裏面のエッチングを行うことで半導体集積回路を構成する素子が動作可能な範囲で半導体基板あるいはウェーハを薄くすることを容易化でき、そのため精度の高い故障箇所の特定が容易化されるという効果がある。
第4の発明に係る半導体集積回路の故障箇所特定方法によれば、絶縁層を除去することで半導体層へ直接に電子ビームを照射することができ、観測の精度をさらに高くすることができるという効果がある。
【0043】
第5の発明に係る半導体集積回路の故障箇所特定方法によれば、レイアウト図上で動作に異常のある素子を確認でき、故障箇所の特定が容易になるという効果がある。
【0044】
第6の発明に係る故障個所特定方法によれば、ウェーハの表面へのプローブカードの針当てを拡大手段によって容易化できるという効果がある。
【0045】
第7の発明に係る故障個所特定装置によれば、赤外線カメラによって半導体集積回路の配線を確認でき、故障箇所を特定する確度が向上するという効果がある。
第8の発明に係る故障個所特定装置によれば、電子ビームをウェーハの裏面から照射するために電子ビームをウェーハ上に形成された集積回路の位置の認識に用いることができなくとも、拡大手段によってプローブカードの針を当てるウェーハ上の位置の認識を行うことができ、プローブカードの針当てを拡大手段によって容易化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1による被測定デバイスの加工形状の一例を示す断面図である。
【図2】 実施の形態1によるEBテスタの一使用態様を示す模式図である。
【図3】 被測定デバイスの電位波形の一例を示す波形図である。
【図4】 被測定デバイスの電位コントラスト像を示す絵画図である。
【図5】 実施の形態1による被測定デバイスの加工形状の他の例を示す断面図である。
【図6】 実施の形態1による被測定デバイスの他の例を示す断面図である。
【図7】 実施の形態2によるEBテスタの構成の一例を示す模式図である。
【図8】 裏面配線パターン像と電位コントラスト像の合成を示す概念図である。
【図9】 裏面配線パターン像と裏面レイアウト図とを用いた位置合わせ工程を示す概念図である。
【図10】 リンクされた、トランジスタレベルの回路図と裏面レイアウト図と裏面配線パターン像とトランジスタレベルのシミュレーション波形とを示す絵画図である。
【図11】 実施の形態4によるEBテスタの構成の一例を示す模式図である。
【図12】 EBテスタを用いた従来の測定方法における被測定デバイスの一例を示す断面図である。
【図13】 従来のEBテスタの一使用態様を示す模式図である。
【符号の説明】
1X〜1Z 被測定デバイス、1a シリコン層、1b SOI層、1c 絶縁層、1e 拡散領域、1h 保護膜、1s SOI基板、1t シリコン基板、10 EBテスタ、11 テスト装置、12 DUTボード、15 電子ビーム、16 二次電子、40 赤外線カメラ、41 切り替えステージ、45 XYステージ、50 裏面配線パターン像、51 電位コントラスト像、54 裏面レイアウト図、58 トランジスタレベルの回路図、60 トランジスタレベルのシミュレーション波形、70 ウェーハステージ、71 ウェーハ、72 プローブカード、74 光学顕微鏡。

Claims (8)

  1. 集積回路を動作させつつ、前記集積回路が表面に形成された半導体基板の裏面側に電子ビームを照射して、前記半導体基板の拡散領域の電位による影響を受けた二次電子を観測する工程と、
    前記観測する工程における観測結果から前記集積回路の故障箇所を特定する工程と
    を備え、
    前記観測する工程は、
    前記半導体基板を透過する光に基づいて撮影するカメラで裏側から前記半導体基板を捉えた裏面配線パターン像または裏面レイアウト図を用い、前記二次電子から得られる映像について前記半導体基板における位置を認識する工程を含む、集積回路の故障箇所特定方法。
  2. 集積回路を動作させつつ、前記集積回路が表面に形成されたウェーハの裏面側に電子ビームを照射して、前記ウェーハの拡散領域の電位による影響を受けた二次電子を観測する工程と、
    前記観測する工程における観測結果から前記集積回路の故障箇所を特定する工程と
    を備え、
    前記観測する工程は、前記ウェーハの表面を拡大した像を得ることができる拡大手段を用いて、プローブカードの針先を前記ウェーハの所定の位置に合わせる工程を含む、集積回路の故障箇所特定方法。
  3. 前記集積回路は、絶縁層上に設けられた半導体層に形成されており、
    前記観測する工程に先だって前記半導体層の下の絶縁層をストッパーとして利用して前記裏面のエッチングを行う工程をさらに備える、請求項1又は請求項2記載の集積回路の故障箇所特定方法。
  4. 前記観測する工程に先だって、かつ前記エッチングを行う工程の後に、前記絶縁層を除去する工程をさらに備える、請求項3記載の集積回路の故障箇所特定方法。
  5. 前記観測する工程に先だって、
    前記集積回路の裏面レイアウト図と前記裏面配線パターン像から観測位置を特定する工程をさらに備える、請求項記載の集積回路の故障箇所特定方法。
  6. 前記半導体基板はウェーハであって、
    前記観測する工程は、前記ウェーハの表面を拡大した像を得ることができる拡大手段を用いて、プローブカードの針先を前記ウェーハの所定の位置に合わせる工程を含む、請求項1及び請求項3から請求項5のうちのいずれか一項に記載された集積回路の故障箇所特定方法。
  7. 表面に集積回路が形成された半導体基板から二次電子を得るため、前記半導体基板に対し、該半導体基板の裏側から電子ビームを照射する電子ビーム照射手段と、
    前記集積回路を駆動するテスト装置と、
    前記二次電子を検出する二次電子検出器と、
    前記電子ビーム照射手段と同じ側から前記集積回路の配線の映像を捉えるための、前記半導体基板を透過する光に基づいて撮影するカメラと
    を備える、故障箇所特定装置。
  8. 表面に集積回路が形成されたウェーハの裏面から二次電子を得るために前記ウェーハの裏面に電子ビームを照射する電子ビーム照射手段と、
    前記二次電子を検出する二次電子検出器と、
    前記ウェーハの表面から前記ウェーハに電気信号や電源を供給するためのプローブカードと、
    前記プローブカードの針を前記ウェーハに当てるために前記ウェーハの表面を拡大した像を得るための拡大手段と
    を備える、故障箇所特定装置。
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