JP3813309B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写シ−トに関し、更に詳しくは基材フィルムの一方の面に熱転写色材層が形成され、他方の面に耐熱層と耐熱滑性層を基材フィルムからこの順に設け、特定の材料から耐熱層を構成し、印画によるシワ等を改善した耐熱性を有する熱転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱転写シートとしては、基材フィルムとしてポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムを使用し、該基材フィルムの一方の面に昇華性染料とバインダー樹脂からなる熱転写色材層である染料層を設けた昇華型熱転写シートと、該染料層の代わりに着色剤を含む熱溶融性組成物からなる熱溶融性インキ層を設けた熱溶融型の熱転写シートがある。これらの熱転写シートはその背面からサーマルヘッドによって画像状に加熱され、染料層又は熱溶融性インキ層を被転写材に転写させて画像を形成する。
【0003】
更に従来の熱転写シートで、高濃度の印画を行う時に、基材フィルムのプラスチックフィルムに、プラスチックの持つ融点以上の高温がサーマルヘッドから加えられる場合に、基材フィルムが熱負けして熱転写シートにシワが発生し、結果として印画される画像に、そのシワによる画像ムラが発生してしまう。
このような熱転写シートにシワが起こらないように、基材フィルムの熱転写色材層面とは反対の面に、各種耐熱性樹脂を含む層(耐熱滑性層)を形成することが提案されている。
また、熱転写シートの耐熱滑性層に耐熱性樹脂である熱架橋性高分子、UV架橋性高分子、電子線架橋性高分子等を架橋させて耐熱性を向上することが行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では、目的とする性能を得るために、層の厚さを増加させると、耐熱性樹脂を硬化させるために多大なエネルギーが必要となり、結果として熱転写シートの基材フィルムに熱変形が生じたりする問題があった。
また、耐熱性樹脂としてアクリル樹脂が提案されたが、熱転写シートのポリエステルフィルムのような基材フィルムへの接着性が悪く、耐熱滑性層が基材フィルムと密着しない等の問題があった。
したがって、上記の問題を解決するために本発明の目的は、基材フィルムの一方の面に熱転写色材層が形成され、他方の面に耐熱滑性層が形成されている熱転写シートにおいて、基材フィルムと耐熱滑性層との間に耐熱層を設けて、耐熱層と基材フィルムとの接着性に優れ、印画によるシワ等を防止した耐熱性を有する熱転写シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、基材フィルムの一方の面に熱転写色材層が形成され、他方の面に耐熱滑性層が形成されている熱転写シートにおいて、基材フィルムと耐熱滑性層との間に耐熱層を設け、該耐熱層がアクリル酸モノマーとフマル酸モノマーとの共重合体、あるいはメタクリル酸モノマーとイタコン酸モノマーの共重合体、またはポリアクリル酸と無水マレイン酸を混合させたものを含有していることを特徴とする。さらに、前記の熱転写色材層が熱昇華性染料層、または熱溶融性インキ層であることが好ましい。
【0006】
【作用】
熱転写シートの基材フィルムと耐熱滑性層との間に耐熱層を設け、その耐熱層がアクリル酸モノマーとフマル酸モノマーとの共重合体、あるいはメタクリル酸モノマーとイタコン酸モノマーの共重合体、またはポリアクリル酸と無水マレイン酸を混合させたものより構成されていることにより、そしてアクリル樹脂にジカルボン酸を共重合または混合させた状態で、アクリル樹脂のカルボキシル基だけでなく、ジカルボン酸のカルボキシル基を有しているため、熱転写シートの基材フィルム(主としてポリエステルフィルム)との親和性が良好であり、基材フィルムとの接着力が高くなる。また、アクリル樹脂を使用することによって、印画によるシワ等を防止した耐熱性を有した熱転写シートが得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。
(基材フィルム)
本発明の熱転写シートを構成する基材フィルムとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは3〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルムの他に、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類や不織布等、又は紙や不織布と樹脂との複合体であってもよい。
【0008】
(耐熱層)
本発明では、基材フィルムと耐熱滑性層の間に、アクリル酸モノマーとフマル酸モノマーとの共重合体、あるいはメタクリル酸モノマーとイタコン酸モノマーの共重合体、またはポリアクリル酸と無水マレイン酸を混合させたものを含有している耐熱層を設けるものである。アクリル樹脂は、アクリル酸およびその誘導体を重合することによりできる樹脂で、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の重合体、およびスチレンなど他の単量体との共重合体も含むものである。ジカルボン酸は、カルボキシル基を2つ有するもので、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸あるいはそれらの酸無水物を挙げることができる。このようなアクリル樹脂にジカルボン酸をモノマーとして共重合させたものが本発明の耐熱層で好ましく使用できる。また、アクリル樹脂にジカルボン酸を混合して、アクリル樹脂とジカルボン酸とが化学的に反応して結合したものでなく、ただアクリル樹脂とジカルボン酸とが混ざり合ったものも、本発明の耐熱層で好ましく使用できる。
【0009】
アクリル樹脂にジカルボン酸をモノマーとして共重合させる場合、アクリル酸とジカルボン酸との割合は、モル分率でジカルボン酸が0.001〜0.4、残りをアクリル酸にすることが好ましい。ジカルボン酸が少ないと、耐熱層と基材フィルムとの接着性が低下し、好ましくない。また、ジカルボン酸が多いと、印画によるシワが発生しやすく、好ましくない。
【0010】
また、アクリル樹脂にジカルボン酸を混合する場合は、アクリル樹脂が100重量部に対し、ジカルボン酸を0.1〜60重量部を混合することが好ましい。
ジカルボン酸が少ないと、耐熱層と基材フィルムとの接着性が低下し、耐熱層が基材フィルムから剥離してしまい、好ましくない。また、ジカルボン酸が多いと、耐熱性が低下してしまうため、印画によるシワが発生しやすく、好ましくない。
上記にあげたアクリル樹脂にジカルボン酸を共重合または混合させたものの他に、耐熱性があれば特に限定せず、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の単独又は混合物を加えても良い。より耐熱性向上のために、各種イソシアネート硬化剤や不飽和結合を有するモノマー、オリゴマーとの反応生成物でもよく、硬化方法は、加熱、電離放射線の照射等、硬化手段は特に限定されない。また、バインダー樹脂をシリコーンや長鎖アルキルによって変性した各種変性樹脂も使用可能である。
【0011】
アクリル樹脂にジカルボン酸を共重合または混合させたものの他に使用できるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
変性樹脂としては、市販の各種変性シリコーン樹脂や、アセタール樹脂など、水酸基を有する樹脂に1価の高級アルコールをイソシアネート変性したものを反応させた樹脂等が挙げられる。
【0012】
耐熱層には、熱転写シートの加工適性や印画走行性安定化、サーマルヘッドのクリーニング性付与のために、無機または有機のフィラーを添加することができる。
耐熱層を形成する方法としては、上記の材料を塗工適性に合うように選択したアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の溶剤又は、水に溶解、或いは分散させて塗工液を作成し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤバー等の慣用の塗工手段で塗布、乾燥及び固化させて成膜する方法が挙げられる。その塗工量、即ち耐熱層の厚さは固形分基準で5.0g/m2 以下が良く、好ましくは0.1〜2.0g/m2 の厚さで充分な性能を有する耐熱層を形成することが出来る。
【0013】
(耐熱滑性層)
上記基材フィルムの一方の面に設けた耐熱層の上に形成する耐熱滑性層は、従来公知のものが使用でき限定されるものではない。
耐熱滑性層は、必要に応じてバインダー樹脂に熱離型剤、充填剤を添加し、サーマルヘッドとの滑りや熱離型性を付与することができる。
耐熱滑性層を形成するバインダー樹脂は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂またはその架橋体が挙げられる。
【0014】
好ましい熱可塑性樹脂としては、公知の樹脂が使用でき、例えばポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、セルロース樹脂やヒドロキシエチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、シリコーン変性樹脂、長鎖アルキル変性樹脂等があげられ、本発明で特に好ましい樹脂は、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂である。
【0015】
また、耐熱滑性層の耐熱性や塗膜強度及び基材との密着性を向上させるために、樹脂中に反応基を有する熱可塑性樹脂とポリイソシアネートとの反応硬化物や不飽和結合を有するモノマー、オリゴマーとの反応生成物を用いるのが望ましく、硬化方法は加熱したり、電離放射線の照射など手段は特に限定されない。
イソシアネート硬化剤としては、従来、種々のものが知られているが、その中でも芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましく、タケネート(武田薬品工業株式会社製)、バーノック(大日本インキ化学工業株式会社製)、コロネート(日本ポリウレタン工業株式会社製)、ジュラネート(旭化成工業株式会社製)、ディスモデュール(バイエル社製)などの商品名で入手し、本発明で使用することができる。ポリイソシアネートの添加量は、耐熱滑性層を構成するバインダー樹脂が100重量部に対して、5〜200重量部の範囲が適当である。−NCO/−OH比では0.6〜2.0の範囲が好ましい。なお、ポリイソシアネートの添加量が少ないと架橋密度が低くなり、耐熱性が不十分となる。一方、ポリイソシアネートの添加量が多いと形成される塗膜の収縮を制御できず、硬化時間の長期化、未反応−NCO基が耐熱滑性層中に残存し、大気中の水分と反応してしまうなど不具合を生じることがある。
【0016】
また、上記ポリイソシアネートの代わりにあるいは併用して、耐熱滑性層に耐熱性や塗膜性および基材との密着性を付与させる目的で不飽和結合を有するモノマーやオリゴマーを併用することができる。不飽和結合を有するモノマーやオリゴマーなどを架橋剤として用いる場合、その硬化方法は電子線またはUV照射硬化のどちらでもよいが、フィラー添加量が多い場合には電子線照射による硬化が好ましい。不飽和結合を有するモノマーやオリゴマーとして、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、{(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートの双方を意味する。以下同じ。}、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、などの2官能単量体、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、などの3官能単量体、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメトキシエトキシビニルシランや5官能以上の単量体およびこれらの単量体からなるオリゴマーやマクロマーなどがあげられる。
【0017】
熱離型剤は、リン酸エステル系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、長鎖脂肪族化合物、低分子量ポリプロピレン、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体、高級脂肪酸金属塩類、ポリエーテル化合物との縮合物、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、長鎖アルキルスルホン酸金属塩、ソルビタン酸エステル系、高級アルコールおよび/または高級アミンとイソシアネート類との反応物等の非イオン性界面活性剤の中で1種もしくは2種以上を使用する。熱離型剤の添加量はバインダー樹脂100重量部に対して、1〜100重量部であり、望ましくは2〜50重量部である。
【0018】
熱離型剤の添加量が少ない場合、サーマルヘッドに対する熱離型性が十分に得られず、印画シワやヘッドかす、スティッキングの原因となり、一方、添加量が多い場合には熱転写シートを巻取りで保存する際、対応する熱転写性色材層の染料が耐熱滑性層に移行したり、逆に耐熱滑性層の熱離型剤が熱転写性色材層に移行するために、十分な熱離型性が得られず、印画シワやヘッドかす等が生じたり、印画物の色再現性にまで影響を及ぼしたりする。なお、熱離型剤にリン酸エステル系界面活性剤を用いる場合、特に酸性を有するものについては水酸化マグネシウムや酸化マグネシウム等の無機系中和剤やトリエタノールアミン等の有機系中和剤を併用することが望ましい。
【0019】
充填剤(無機/有機フィラー)は滑性および離型性に優れ、サーマルヘッド走行性が良好であり、スティッキングやシワ、破損が発生せず、サーマルヘッドの磨耗が少ない良好な耐熱滑性層を与えるのに必要十分なものであることが望ましい。そのため、適度な硬度を有するフィラーを選択する必要がある。
例えば、無機フィラーとしては、タルク、カオリン、クレー、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、沈降性硫酸バリウム、ハイドロタルサイト等があげられるが、好ましくはタルク、カオリン、クレー等のへきかい性を有し、適度な硬度をもつものがよい。有機フィラーとしては、アクリル樹脂フィラー、シリコーン樹脂フィラー、フッ素系フィラーあどがあげられる。また、無機/無機、無機/有機、有機/有機の複合微粒子でも良い。なお、これらのフィラーの平均粒径は、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm程度であり、上記フィラーを含有することにより塗膜表面を粗面化し、また、サーマルヘッドとの接点を少なくすることにより摩擦係数を低減し、滑性を付与することができる。さらに、塗膜表面の粗面化により巻き取り時のシワの低減など加工適性を向上させることができる。
【0020】
耐熱滑性層を形成する方法としては、上記の材料を塗工適性に合うよう選択したアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン等の溶剤又は、水に溶解、或いは分散させて塗工液を作成し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤバー等の慣用の塗工手段で塗布、乾燥及び固化させて成膜する方法が挙げられる。その塗工量、即ち耐熱滑性層の厚さは固形分基準で3.0g/m2 以下が良く、好ましくは0.1〜1.0g/m2 の厚さで充分な性能を有する耐熱滑性層を形成することが出来る。
【0021】
(熱転写色材層)
上記基材フィルムの他方の面に形成する熱転写色材層としては、昇華型熱転写シートの場合には熱昇華性の染料を含む染料層を形成し、一方、熱溶融型の熱転写シートの場合には顔料等で着色した熱溶融性インキ層を形成する。
以下昇華型熱転写シートの場合を代表例として説明するが、本発明は昇華型熱転写シートのみに限定されるものではない。昇華型の染料層に用いられる染料としては、従来、公知の熱転写用シートに使用されている染料はいずれも本発明に使用可能であり特に限定されない。例えば、いくつかの好ましい染料としては、赤色染料として、MS Red G、Macro Red VioletR、Ceres Red 7B、Samaron Red HBSL、ResolinRed F3BS等が挙げられ、又、黄色の染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、又、青色染料としては、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100等が挙げられる。
【0022】
上記のごとき染料を担持する為のバインダー樹脂として好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、これらの中では、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系及びポリエステル系等の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましい。
【0023】
染料層は、前記の基材フィルムの一方の面に、以上の如き染料及びバインダー樹脂に必要に応じて添加剤、例えば、離型剤や有機または無機の微粒子などを加えたものを、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、DMF等の適当な有機溶剤に溶解したり、或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の手段により塗布及び乾燥して形成することが出来る。
【0024】
このようにして形成する染料層は固形分基準で、0.2〜5.0μm、好ましくは0.4〜2.0μm程度の厚さであり、又、染料層中の昇華性染料は、染料層の重量の5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の量で存在するのが好適である。
形成する染料層は所望の画像がモノカラーである場合には、前記染料のうちから少なくとも1種を選んで、1種の染料層を形成し、又、所望の画像がフルカラー画像である場合には、例えば、適当なシアン、マゼンタ及びイエロー(更に必要に応じてブラック)を選択して、シアン、マゼンタ及びイエロー(更に必要に応じてブラック)の各染料層を形成する。
【0025】
上記の如き熱転写シートを用いて、画像を形成するために使用する受像シートは、その記録面が前記の染料に対して染料受容性を有するものであればいかなるものでもよく、又、染料受容性を有しない紙、金属、ガラス、合成樹脂などである場合には、その少なくとも一方の表面に染料受容層を形成すればよい。又、熱溶融型の熱転写シートの場合には、受像シートは特に限定されず、通常の紙やプラスチックフィルムであってもよい。
上記の熱転写シート及び上記の如き受像シートを使用して熱転写を行う際に使用するプリンターとしては、公知の熱転写プリンターがそのまま使用可能であり、特に限定されない。
【0026】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りの無い限り重量基準である。
(実施例1)
基材フィルムとして4.5μm厚のポリエステルフィルムに下記の耐熱層塗工液Aを乾燥時約0.5g/m2 になるように塗布、乾燥して、耐熱層を形成した。その耐熱層の上に、耐熱滑性層用塗工液Aを乾燥時約1.0g/m2 になるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成した。
【0027】
耐熱層用塗工液A組成
下記化合物A 5.0部
酢酸エチル 9.5部
【0028】
【化1】
上記式のaとbは、整数を示すもので、またaのアクリル酸モノマーと、bのフマル酸モノマーの各モル分率では、aは0.6〜0.999、bは0.001〜0.4である。
【0029】
耐熱滑性層用塗工液A組成
ポリビニルブチラール樹脂 1.60部
(積水化学工業株式会社製、エスレックスBX−11)
ポリイソシアネート 4.23部
(大日本インキ化学工業株式会社製、バーノックD750−45)
リン酸エステル系界面活性剤 0.68部
(第一工業製薬株式会社製、プライサーフA208S)
タルク(日本タルク製、ミクロエースL−1) 0.32部
メチルエチルケトン 38.43部
トルエン 38.43部
【0030】
上記耐熱滑性層と反対側の基材フィルム面に下記組成の染料層形成インキを乾燥厚みが1.0g/m2 になるように、グラビアコーターにより塗布し、乾燥して染料層を形成して本発明の実施例1の熱転写シートを得た。
染料層形成インキ組成
C.I.ソルベントブルー22 5.5部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.0部
(積水化学工業株式会社製、KS−5)
メチルエチルケトン 22.0部
トルエン 68.0部
【0031】
(実施例2)
実施例1の耐熱層用塗工液に代えて下記の塗工液Bを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の実施例2の熱転写シートを得た。
耐熱層用塗工液B組成
下記化合物B 5.0部
酢酸エチル 9.5部
【0032】
【化2】
上記式のaとbは、整数を示すもので、またaのメタクリル酸モノマーと、bのイタコン酸モノマーの各モル分率では、aは0.6〜0.999、bは0.001〜0.4である。
【0033】
(実施例3)
実施例1の耐熱層用塗工液に代えて下記の塗工液Cを使用した他は、実施例1と同様にして本発明の実施例2の熱転写シートを得た。
耐熱層用塗工液C組成
ポリアクリル酸 4.5部
無水マレイン酸 0.5部
酢酸エチル 9.5部
【0034】
(比較例1)
基材フィルムとして4.5μm厚のポリエステルフィルムに上記の耐熱滑性層用塗工液Aを乾燥時約1.0g/m2 になるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成した。上記耐熱滑性層と反対側の基材フィルム面に、実施例1で使用した染料層形成インキを乾燥厚みが1.0g/m2 になるように、グラビアコーターにより塗布し、乾燥して染料層を形成して比較例1の熱転写シートを得た。
【0035】
(比較例2)
実施例1の耐熱層用塗工液に代えて下記の塗工液Dを使用した他は、実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
耐熱層用塗工液D組成
アクリル樹脂 10部
(三井東圧化学株式会社製、アルマテックスL2100)
酢酸エチル 90部
【0036】
上記の各実施例と比較例の熱転写シートについて、基材フィルムと耐熱層または耐熱滑性層の密着性、及び熱転写フィルムのサーマルヘッドとの熱融着性について、評価した。評価方法について、以下に説明する。
評価方法
1.密着性
メンディングテープ(ニチバン製ナイスタック12mm幅)を5cm切り取り、その内3cmを各熱転写シートの耐熱滑性層上に貼り付ける。その後、一気にそのテープを90°剥離を行い、基材フィルムと耐熱層または耐熱滑性層が密着しているか、確認した。
【0037】
評価の判断基準は以下の通りである。
○:基材フィルムと耐熱層または耐熱滑性層が密着し、剥がしたテープには何も残っていない。
×:基材フィルムと耐熱層または耐熱滑性層が密着していなく、剥がしたテープには層の剥離が認められる。
【0038】
2.印画シワ
サーマルヘッドの押し圧が偏圧になるように調整し、印画シワを発生し易くした熱転写プリンターを用い、パターンジェネレーター(KENWOOD製、CG−931)にて濃色ベタを30℃、80%RHの環境下で、印画し、肉眼にて評価した。
評価の判断基準は以下の通りである。
○:印画シワなし。
△:端部に細かい印画シワが有る。
【0039】
(評価結果)
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0040】
【発明の効果】
以上のごとき本発明によれば、基材フィルムの一方の面に熱転写色材層が形成され、他方の面に耐熱滑性層が形成されている熱転写シートにおいて、基材フィルムと耐熱滑性層との間に耐熱層を設け、該耐熱層がアクリル酸モノマーとフマル酸モノマーとの共重合体、あるいはメタクリル酸モノマーとイタコン酸モノマーの共重合体、またはポリアクリル酸と無水マレイン酸を混合させたものを含有していることにより、耐熱層と基材フィルムとの接着性に優れ、印画によるシワ等を防止した耐熱性を有する熱転写シートが得られる。
Claims (2)
- 基材フィルムの一方の面に熱転写色材層が形成され、他方の面に耐熱滑性層が形成されている熱転写シートにおいて、基材フィルムと耐熱滑性層との間に耐熱層を設け、該耐熱層がアクリル酸モノマーとフマル酸モノマーとの共重合体、あるいはメタクリル酸モノマーとイタコン酸モノマーの共重合体、またはポリアクリル酸と無水マレイン酸を混合させたものを含有していることを特徴とする熱転写シート。
- 前記の熱転写色材層が熱昇華性染料層、または熱溶融性インキ層であることを特徴とする上記の請求項1に記載する熱転写シート。
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