JP3812991B2 - 耐熱性化粧板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は耐熱性化粧板、詳しくは、耐熱性に優れ、強度及び表面の硬度も高く且つ外観も美麗な、テ−ブル,カウンタ−又は厨房機器の天板等に使用される耐熱性化粧板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の耐熱性化粧板としては、特開昭50−31012号公報(難燃性化粧合板の製造方法)、特開昭61−102943号公報(不燃新建材)及び特開平2−175240号公報(家具に使用する化粧材)に記載のもの等が知られており、これらは合板等の木質系基板にアルミニウム箔を貼着させることにより耐熱性を付与させたものである。
【0003】
特開昭50−31012号公報に記載の難燃性化粧合板は、基材と化粧材との間にアルミ箔と紙よりなるシートを挿入することにより、化粧材を強固に接着し優秀な防火性能を与えたものであり、また、特開昭61−102943号公報に記載の不燃性新建材は、ベニヤ板等の下地の上にアルミニウム箔を貼着し、更にその上にプリント紙等を貼着させたものであり、同公報には、アルミニウム箔が接着剤に侵されプリント紙等の表面に染みが発生する場合には、アルミニウム箔の上にもう1枚紙を貼着させる旨の記載もある。これらの2つの化粧合板等は、何れも主に建築内装壁面材として使用され、火災初期に炎にさらされても着火し難いことをその主たる目的としたものである。
また、特開平2−175240号公報に記載の化粧板は、基板の表面にアルミ箔を介して樹脂層等を設け、更にその表面にUV塗装層を設けたもので、外観の美麗さや耐熱性の付与をその主たる目的としたものである。
【0004】
しかし、上記特開昭50−31012号公報及び特開昭61−102943号公報に記載の化粧合板等は、主に壁面に使用されるため強度や硬度は余り要求されず、テ−ブルやカウンタ−の天板のような水平使用で強度や硬度が要求される場所には、表面が弱すぎて使用に耐えられないという問題を有していた。また、テ−ブルやカウンタ−の天板面は硬度と共に、美観上では肉厚の化粧材と塗膜が望まれるが、上記の化粧合板等は、火災初期の難燃性をその目的としているため、表面に燃えやすい有機可燃物である肉厚の化粧材と塗膜が設けられておらず、テ−ブルやカウンタ−の天板には適さないものであった。
【0005】
また、上記特開昭61−102943号公報に記載の不燃性新建材は、紙力増強剤を添加しないものであり、紙の層あるいはアルミニウム箔と基材との間からの剥離が発生する危険性があった。また、特開昭50−31012号公報に記載の化粧合板は、紙力増強剤を添加して抄造した木材パルプからなる紙が片面に貼着されたアルミニウム箔を、紙が貼着されていない面に基材が貼着され、紙の貼着された面に化粧材が貼着されたもので、同公報には、上記のようにパルプからなる紙を介してアルミニウム箔と化粧材とを貼着すると、化粧材とアルミニウム箔とが強固に貼着されると記載されている。しかし、この場合の化粧材とアルミニウム箔との貼着力は、紙の繊維の絡み合い以上の力にはなり得ず且つ紙は片面のみにしか貼着されておらず、他方の面はアルミニウム箔のままであるため、アルミニウム箔と基材との難接着性も依然として解消されておらず、この化粧合板も施工現場等で切断される際、紙の層あるいはアルミニウム箔と基材との間からの剥離が発生する危険性があった。
【0006】
上記特開昭50−31012号公報に記載の化粧合板における木材パルプからなる紙は、パルプ自身が空気を含んだ中空部分のある木材細胞から構成されており且つ紙自身の構造もパルプ繊維の絡み合いのための中空部分を有し、熱伝導率の極めて悪い空気を多く含んでいる。このため、同公報に記載の化粧合板は、外部からの熱を放熱体であるアルミニウム箔へ熱を伝えるという点からは不利であり、十分な耐熱効果を発揮できないという問題を持つものであった。
【0007】
また、上記特開平2−175240号公報に記載の化粧板は、樹脂層等の上にUV塗装層が設けられるので、肉厚のある塗膜と十分な美観が得られると考えられる。しかし、MDF等の木質系基材と樹脂層等とはアルミ箔を介して接着されており、アルミ箔と多孔質の木質系基材を接着させる事が非常に困難である事は周知の事実である。一般に、これらの接着の際には、アルミ箔表面の圧延オイルを洗浄除去後、通常二液型エポキシ樹脂で接着し、室温に注意しながらタ−ンバックル等を用いて圧締養生しなければならないが、それでも、木質系基材とアルミ箔との間で剥離が発生する危険性がある。
【0008】
このような事情に鑑み、本発明者らは、先に特開平8−1865号公報において、厚さ30〜50ミクロンのアルミニウム箔の両面に坪量14〜30g/m2 の化学繊維紙が貼着された化繊紙被覆アルミシートを木質系基板の貼着し、上記化繊紙被覆アルミシートの表面に、化粧材を熱伝導性の優れた粉末無機物が3〜10重量%混入された水溶性接着剤により貼着したことを特徴とする、耐熱性に優れ、強度及び表面の硬度も高く且つ外観も美麗な、テーブル、カウンター又は厨房機器の天板等に好適に使用可能な耐熱性化粧板に関わる技術を公開した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、同公報に開示された耐熱性化粧板の製造方法においては、使用する化粧材の種類を問わず、例えば化粧材として木目柄印刷紙を使用する場合であっても、化粧材をアルミニウム箔に貼着する前に予め該アルミニウム箔を木質系基板に接着しておく必要があり、そのため作業効率・機械効率の面で問題を残していた。
【0010】
同公報の耐熱性化粧板の製造方法における耐熱性化粧板製造の手順の一例を挙げて具体的に説明すると、先ず、アルミニウム箔の両面に化学繊維紙としてのレーヨン紙(坪量15g/m2 )を貼着し、化繊紙被覆アルミシートを造る。次いで、木質系基板の表面に、酢酸ビニル接着剤をスプレッダー等の糊付機で40g/m2 塗布した後、該木質基板に上記化繊紙被覆アルミシートをラミネーターで仮接着する。次いで、これらをホットプレスで加熱圧締し、化繊紙被覆アルミシートを木質系基板に密着させる。そして、このように化繊紙被覆アルミシートを木質系基板に接着するまでの工程が第1作業工程とされており、次の第2作業工程以降の基礎を造る意味で、このような作業工程が耐熱性等に優れた上記耐熱性化粧板の製造する上で必要な工程と考えられていた。
【0011】
そして、次の第2作業工程において、上記第1作業工程を経て化繊紙被覆アルミシートが貼着された木質系基板の該化繊紙被覆アルミシート上に、例えば5重量%のアルミナを混合、分散させた酢酸ビニル接着剤を60〜70g/m2 塗布し、熱風により半乾燥させた後、直ちに化粧材としての木目柄印刷紙をラミネーターにより貼り付け、耐熱性化粧板を得る。
このように、同公報の製造方法においては、第1及び第2の両作業工程において同種の機械による接着作業が必要とされ、そのため、工程上のロスとなっており機械効率の観点から優れた製造方法とは言えなかった。また、品質の点からは、化粧紙被覆アルミシート上に化粧材を貼着する際に接着不良(パンク等)が生ずる危険が大きかった。また、第1作業工程においてラミネーターが使用できない場合、予め木質系基板と同じ大きさに裁断した化繊紙被覆アルミシートの木質系基板の上への貼着を、人の手により行っても良いとされていたが、この場合には更にパンク等の接着不良が起こり易かった。
【0012】
従って、本発明の目的は、接着不良等の不都合を生じることなく、強度、表面硬度及び耐熱性に優れ且つ外観も美麗な耐熱性化粧板を効率的に製造することができる耐熱性化粧板の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、厚さ10ミクロン〜25ミクロンのアルミニウム箔の片面に該アルミニウム箔と木質系基材との間に介在されて両者間の結合力を強化する機能を有する坪量14〜30g/m2 の紙が貼着されてなるアルミシートの他方の面に、坪量23〜50g/m2 の薄葉紙からなる化粧材を溶剤型ウレタン接着剤により貼着して化粧シートとし、該化粧シートをロール状に巻いた後、該化粧シートを、熱圧ロールの表面温度が60〜120℃のラミネーターを用い、上記化粧シートの上記化粧材側が上記熱圧ロールに接触するようにして、木質系基板に水溶性接着剤により接着させることを特徴とする耐熱性化粧板の製造方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の耐熱性化粧板の製造方法について詳述する。ここで、図1は、本発明の耐熱性化粧板の製造方法により製造された耐熱性化粧板の一例を一部省略して示す拡大断面図である。図2は、本発明の耐熱性化粧板の製造方法の一実施形態における製造過程を示す概略説明図である。
【0015】
本発明の耐熱性化粧板の製造方法においては、厚さ10ミクロン〜25ミクロンのアルミニウム箔1の片面に該アルミニウム箔と木質系基材との間に介在されて両者間の結合力を強化する機能を有する坪量14〜30g/m2 の紙2が貼着されたアルミシート3の他方の面に、坪量23〜50g/m2 の薄葉紙からなる化粧材4を溶剤型ウレタン接着剤aにより貼着して化粧シート5とし、該化粧シート5をロール状に巻いた後、該化粧シート5を、熱圧ロール7aの表面温度が60〜120℃のラミネーター7を用い、該化粧シート5の上記化粧材4側が上記熱圧ロール7aに接触するようにして、木質系基板8に水溶性接着剤cにより接着させることにより耐熱性化粧板を製造する。
【0016】
<アルミシート3の製造>
本発明の耐熱性化粧板の製造方法においては、厚さ10ミクロン〜25ミクロンのアルミニウム箔1の片面に該アルミニウム箔と木質系基材との間に介在されて両者間の結合力を強化する機能を有する坪量14〜30g/m2 の紙2が貼着されたアルミシート3が用いられる。
上記アルミニウム箔1は、放熱体として作用するもので、その厚さが10〜25ミクロンのものであれば通常公知のものを特に制限なく用いることができる。このアルミニウム箔1の厚さが10ミクロン未満であると、熱容量が低く、アルミニウム箔1全体の熱の拡散力が不十分であり、煙草やマッチの火に対して有効な耐熱効果が得られない。一方、上記厚さが25ミクロンを超えると、コストが高くなり且つ取り扱いが不便になる。このような観点から、該アルミニウム箔1のより好ましい厚さの範囲は15〜20ミクロンである。
【0017】
上記アルミニウム箔と木質系基材との間に介在されて両者間の結合力を強化する機能を有する坪量14〜30g/m2 の紙2(以下、接着用介在紙と称することがある。)としては、レーヨン紙、薄葉紙又はクラフト紙が好ましく用いられる。これらのレーヨン紙、薄葉紙又はクラフト紙は、その坪量が14〜30g/m2 のものであれば特に制限されず、通常公知の各種のレーヨン紙、薄葉紙又はクラフト紙を用いることができる。上記接着用介在紙2の坪量が14g/m2 未満であると、アルミニウム箔1との貼り合わせ時に切れ易くなり、また、その坪量が30g/m2 を超えると、コストが高くなり、接着剤の浸透が悪くなり且つ熱拡散性能が低下する危険がある。
上記レーヨン紙、薄葉紙又はクラフト紙の中でも、レーヨン紙又は薄葉紙が好ましい。これらは薄くて強度及び柔軟性に優れるため、層間の剥離が生じず且つ強度にも優れた化粧シートを得ることができる。そのため、接着不良等の不都合を生じることなく、より強度や外観に優れた耐熱性化粧板を効率的に製造することができる。特に好ましいのは薄葉紙である。薄葉紙を用いることにより、優れた特性を有する耐熱性化粧板を製造することができると共に、製造コストの低減を図ることができる。
【0018】
上記接着用介在紙2は、通常、化粧材4の貼着に先立ち上記アルミニウム箔1に貼着され、両者はアルミシート3として用いられるが、上記アルミニウム箔1の他方の面に、後述する化粧材4を貼着する直前あるいは該貼着と同時に貼着しても良い。これら接着用介在紙2の上記アルミニウム箔1への貼着には、通常、ウレタン系接着剤、変性酢酸ビニル溶剤型又は合成ゴム溶剤型接着剤等の有機溶剤型の接着剤bが用いられる。
【0019】
<アルミシート3への化粧材4の貼着>
次に、上記アルミシート3の他方の面に、坪量23〜50g/m2 の薄葉紙からなる化粧材4を貼着させる。ここで、薄葉紙からなる化粧材4には、坪量23〜50g/m2 の薄葉紙に各種の印刷を施してなる化粧紙の他、印刷面上に更にウレタン樹脂塗料やアミノアルキッド樹脂塗料等を塗装焼付したプレコート化粧紙も含まれる。例えば、薄葉紙に樹脂処理を施しハード紙とした後、木目柄等の任意柄を施し、次いでウレタン樹脂をトップコートしエッチング加工を施してなるプレコート化粧紙(例えば、段谷産業(株)製のPEP(商品名))も上記化粧材4として用いることができる。
上記薄葉紙の坪量が23g/m2 未満であると、各種作業工程中に紙が切れ易くなり、50g/m2 を越えると、薄葉紙の繊維間で剥離を生じ易くなる。
【0020】
上記化粧材4としては、坪量23〜50g/m2 の薄葉紙に、印刷等により木目柄や抽象柄の任意柄を施してなる坪量30〜80g/m2 の化粧紙が好ましく用いられる。
上記化粧材4の坪量が30g/m2 未満であると、表面物性が充分発揮されないおそれがあり、また、ラミネーターによる貼り作業時に、紙切れを起こし易くなるので好ましくない。一方、上記坪量が80g/m2 を超える場合は、上記薄葉紙に施される印刷インキや、トップコートの樹脂等の量が多い場合であり、化粧材が柔軟性を失いこわばるため、アルミニウム箔1との貼り合わせ時や、その後のラミネート作業時における作業性が低下する危険がある。
【0021】
化粧材4の上記アルミニウム箔1への貼着には、溶剤型ウレタン接着剤aが用いられる。化粧材4とアルミニウム箔1との接着に溶剤型ウレタン接着剤aを用いることにより、強固な接着層を有する化粧紙−アルミニウム箔一体シートを得ることができる。尚、上記アルミニウム箔1の両面への上記接着用介在紙2及び上記化粧材4の接着は、特に記載しない点に関しては、それぞれ通常公知の各種の方法や装置により行うことができる。
【0022】
<化粧シート5の木質系基板8への接着>
アルミニウム箔1に両面にそれぞれ上記接着用介在紙2及び上記化粧材4が貼着されてなる化粧シート5は、ラミネータ7を用いて木質系基板8に接着される。
尚、上述のようにして得られる化粧シート5は、ロール状に巻き取っても化粧材4の剥離等を生じることなく、ロール状のシートロール6として保管することができる。従って、化粧シート5の保管管理の観点からも有利であり、また、運搬も容易である。また、必要に際して、容易且つ迅速にラミネータ等に化粧シート5の供給を開始することができるので、製造調整等の観点からも有利である。
【0023】
上記化粧シート5の接着対象である上記木質系基板8としては、通常公知の各種の木質系基板8を用いることができるが、中質繊維板(MDF)、合板、LVL、パーティクルボード、OSB等が好適に用いられる。これらの中でも中質繊維板が特に好ましく、該中質繊維板を用いると、接着不良等の危険がより減少し、優れた特性を有する耐熱性化粧板を効率よく製造することができる。
【0024】
上記化粧シート5は、通常、図2に示されるように、ロール状に巻かれた後、ラミネータ7に供給される。上記ラミネータ7は、一対のロール7a,7bを備え、その一方のロールが、表面温度が60〜120℃の熱圧ロール7aである。上記一対のロール7a,7bの下流には通常1〜5対程度のロール(図示せず)が更に設けられているが、これら下流に配設されるロールの温度には特に制限はない。
上記熱圧ロール7aの表面温度が60℃未満であると、美しい化粧板表面が得られず、満足な接着力が得られない場合があり、120℃を越えると接着剤中の水分の急激な蒸発によりパンク現象が発生する危険がある。
このような観点から、更に好ましい熱圧ロール7aの表面温度は70〜80℃である。
【0025】
上記ラミネータ7による上記化粧シート5と上記木質系基板8との接着には、水溶性接着剤cが用いられる。水溶性接着剤cは、通常スプレッター等の糊付機9により塗布され、その塗布量は50〜80g/m2 であることが好ましい。水溶性接着剤cは、通常、熱圧ロール7aに挿入される手前において、上記木質系基板8及び/又は上記化粧シート5の接着される面に塗布されるが、好ましくは、上記木質系基板8の接着面に塗布する。また、この水溶性接着剤cの塗布は、二回以上に分けて複数箇所において行っても良い。
特に好ましくは、木質系基板8に接着剤の塗付した後、70〜120℃の熱風乾燥炉中を30〜50秒間通して、上記接着剤の水分の略半分以上を蒸発させ指触乾燥(手の指で軽く接着剤塗付面に触れるとベト付く程度)の状態にしてから、ラミネーターにて化粧シート5を貼着する。このようにすると、水溶性接着剤cが接着剤介在紙2によく浸透し、また、化粧シート5と木質系基板8との密着性が向上するため、層間剥離等の生じない外観美麗な耐熱性化粧板10を効率的に製造することができる。
上記水溶性接着剤cとしては、通常、酢酸ビニル接着剤、尿素樹脂系接着剤、塩ビ用アクリル系接着剤及びビニルウレタン系接着等の水溶性接着剤が用いられ、木質系基板8の性質により適宜選択又は混合して使用される。
【0026】
このようにして、木質系基板8の表面に化粧シート5を貼着されて得られる耐熱性化粧板10の表面には、必要に応じ、また化粧材4の種類に応じて、公知の塗装作業により塗膜が施される。例えば、化粧材4が木目柄印刷紙の場合には、木目柄印刷紙表面に、リバースコーターを用いて、UVポリエステル樹脂を100g/m2 塗布し、硬化させた後、サンダーで研磨し、更にハードコート型UVポリエステル樹脂を120〜160g/m2 ガン塗布し、再度UV照射により硬化させることにより、印刷紙と塗膜の厚みの合計が500〜600ミクロン厚の塗膜を得ることができる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明の耐熱性化粧板の製造方法についての実施例を説明する。実施例1〜3について、それぞれ下記に示す条件の下に耐熱性化粧板を製造した。その結果、実施例1〜3のいずれの場合にも、パンク等の接着不良を生じることなく、外観美麗な耐熱性化粧板を作業性良く製造することができた。
【0028】
〔実施例1〕
厚さ25ミクロンのアルミニウム箔の片面に坪量23g/m2 の薄葉紙が貼着されたアルミシートの他方の面に、坪量23g/m2 の薄葉紙に木目柄印刷を施してなる坪量30g/m2 の化粧材を予め溶剤型ウレタン接着剤により貼着して化粧シートとし、これをロール状に巻き取った。次いで、該化粧シートを熱圧ロールの表面温度が90〜120℃のラミネーターを用いて、中質繊維板に、水溶性接着剤により貼着し、次に、二液混合型ウレタン塗料を32g/m2 塗布(ロールコーターにて3パス)して化粧材を得た。
【0029】
〔実施例2〕
厚さ18ミクロンのアルミニウム箔の片面に坪量30g/m2 の薄葉紙が貼着されたアルミシートの他方の面に、坪量30g/m2 の薄葉紙に単色柄印刷を施し、塗料が14g/m2 プレコートされた化粧材を予め溶剤型ウレタン接着剤により貼着して化粧シートとし、これをロール状に巻き取った。次いで、該化粧シートを熱圧ロールの表面温度が60〜80℃のラミネーターを用いて、中質繊維板に、水溶性接着剤により貼着して化粧材を得た。
【0030】
〔実施例3〕
厚さ25ミクロンのアルミニウム箔の片面に坪量23g/m2 の薄葉紙が貼着されたアルミシートのもう一方の面に、坪量30g/m2 の段谷産業(株)製のPEP(商品名,前もってエッチング加工された化粧紙)を予め溶剤型ウレタン接着剤により貼着して化粧シートとし、これをロール状に巻き取った。次いで、該化粧シートを熱圧ロールの表面温度が100〜120℃のラミネーターを用いて、中質繊維板に、水溶性接着剤により貼着し、化粧材を得た。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の耐熱性化粧板の製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述した通り、上記木質系基板8の表面に化粧シート5が貼着されてなる耐熱性化粧板10の表面に、所望により適宜の塗膜を形成しても良い。
また、上記化粧シートは、ロール状に巻いて用いるのが作業効率上好ましいが、ロール状とせずにラミネーターに供給しても良い。
【0032】
また、上記化粧材は、耐熱性の観点から上記坪量23〜50g/m2 の薄葉紙を用いた化粧材であることが好ましいが、木目柄や抽象柄等の任意柄が印刷等により施された塩ビシート等のプラスティックシートやゴムシート等を用いることもできる。従って、本願は、厚さ10ミクロン〜25ミクロンのアルミニウム箔の片面に該アルミニウム箔と木質系基材との間に介在されて両者間の結合力を強化する機能を有する坪量14〜30g/m2 の紙が貼着されたアルミシートの他方の面に、任意柄模様が施された塩ビシート等のプラスティックシート又はゴムシートからなる化粧材を溶剤型ウレタン接着剤により貼着して化粧シートとし、該化粧シートをロール状に巻いた後、該化粧シートを、熱圧ロールの表面温度が所定温度のラミネーターを用い、上記化粧シートの上記化粧材側が上記熱圧ロールに接触するようにして、木質系基板に水溶性接着剤により接着させることを特徴とする耐熱性化粧板の製造方法を提供するものでもある。
【0033】
【発明の効果】
本発明の耐熱性化粧板の製造方法によると、予めアルミニウム箔1の片面に接着用介在紙2が貼着され他方の面に化粧材4が貼着されてなる上記所定の化粧シート5を用いているため、一工程で耐熱性化粧板の製造が可能である。
また、本発明の耐熱性化粧板の製造方法においては、厚み10〜25μmのアルミニウム箔を用いること等により化粧シートが柔軟性を有するため、従来のようにホットプレスによらずにラミネーターによるラミネートが可能となり、生産性が高く、効率的に耐熱性化粧板を製造することができる。
【0034】
また、厚み10〜25μmのアルミニウム箔を用いているため、例えば、また、連続した化粧シート5を切断したり、化粧板の周囲の耳を通常作業で使用する紙切りサンダーで切断除去することも可能である。尚、従来の30〜50μmのアルミニウム箔を用いた場合には、ラミネート作業において化粧シート5の切断や紙切りサンダーによる耳取りは困難ないし不可能である。
更に、上記構成の化粧シートを用いると共に、ラミネータ7の熱圧ロール7aの温度を所定の温度としたため、化粧シート5と木質系基板8との間に接着不良が生じない。
【0035】
また、本発明の耐熱性化粧板の製造方法によると、木質系基板8から化粧材4に至るまで熱伝導率の低い空気層(空気の熱伝導率は0.025W・m-1・K-1)を含まない一体構造の耐熱性化粧板、即ち、化粧材表面に加えられた熱を良好に放熱体であるアルミニウム箔1に伝達することができ、表面の焼け焦げ、変色等が生じ難い耐熱性化粧板を、効率的に製造することができる。
【0036】
また、本発明の耐熱性化粧板の製造方法によると、木質系基板8から化粧材に至るまで強固に接着された一体構造の耐熱性化粧板を製造することができ、従って、強度及び硬度に優れ、剥離の危険性のない、テーブルやカウンターの天板のような用途にも好適に用いることができる耐熱性化粧板を効率的に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の耐熱性化粧板の製造方法により製造された耐熱性化粧板の一例を一部省略して示す拡大断面図である。
【図2】図2は、本発明の耐熱性化粧板の製造方法の一実施形態における製造過程を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔
2 接着用介在紙
3 アルミシート
4 化粧材
5 化粧シート
6 シートロール
7 ラミネーター
7a 熱圧ロール
8 木質系基板
10 耐熱性化粧板
a 溶剤型ウレタン接着剤
b 有機溶剤型の接着剤
c 水溶性接着剤

Claims (3)

  1. 厚さ10ミクロン〜25ミクロンのアルミニウム箔の片面に該アルミニウム箔と木質系基材との間に介在されて両者間の結合力を強化する機能を有する坪量14〜30g/m2 の紙が貼着されてなるアルミシートの他方の面に、坪量23〜50g/m2 の薄葉紙からなる化粧材を溶剤型ウレタン接着剤により貼着して化粧シートとし、該化粧シートをロール状に巻いた後、該化粧シートを、熱圧ロールの表面温度が60〜120℃のラミネーターを用い、上記化粧シートの上記化粧材側が上記熱圧ロールに接触するようにして、木質系基板に水溶性接着剤により接着させることを特徴とする耐熱性化粧板の製造方法。
  2. 上記木質系基板が、中質繊維板である請求項1記載の耐熱性化粧板の製造方法。
  3. 上記紙が、レーヨン紙、薄葉紙又はクラフト紙である請求項1又は請求項2に記載の耐熱性化粧板の製造方法。
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