JP3812543B2 - 角速度センサ装置及びその調整方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板上に振動子としての錘部を設けた形の静電気駆動静電容量検出型の角速度センサと、該センサ用の駆動回路、信号処理回路等の制御回路とから構成される角速度センサ装置に関し、特に角速度センサの駆動電極から錘部の振動制御のためのモニタ電極への回り込み信号を効果的に低減させることができる角速度センサ装置、及びその角速度センサ装置の調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、角速度センサとして半導体基板上に振動子としての錘部を設けた形の静電気駆動静電容量検出型の角速度センサが知られている。この種のセンサは一般に、半導体基板上に形成した相直交する第1の方向及び第2の方向へ振動可能な錘部と、この錘部を第1の方向へ周期的に振動させる駆動信号を印加する駆動電極と、錘部の第1の方向への振動に基づく静電容量変化をモニタするモニタ電極と、振動状態のもと第1、第2の方向と直交する軸回りに角速度が加わったときに発生する錘部の第2の方向へのコリオリの力に起因する振動による静電容量変化を検出する検出電極とから構成される。
【0003】
図6に、このような角速度センサの平面図を、図7に、図6中のA−A断面図を示す。角速度センサ1は、第1のシリコン基板2の表面に酸化膜3を形成し、その上に第2のシリコン基板4を貼り合わせた構造のSOI(Silicon On Insulator)基板5を用い、周知の半導体製造技術を用いて製作される。上面となる第2のシリコン基板4には、溝9を形成することにより各部が形成されている。錘部8は、第2のシリコン基板4を支持する酸化膜3及び第1のシリコン基板2を部分的に除去することにより形成された開口部10上に配置されている。
【0004】
錘部8は、図中き第1の方向(以下、X方向という)へバネ変形可能な駆動梁14a〜14d及び第2の方向(以下、Y方向という)へバネ変形可能な検出梁13a〜13dを介して、錘部8の外周の基部7に支持されている。錘部8の外周部と基部7とが対向する部位には、次に述べるような櫛歯状の各電極部が形成されている。
【0005】
即ち、駆動信号を印加する駆動電極15a、15bと、錘部8のX方向への駆動振動をモニタしモニタ信号として検出するモニタ電極20a〜20dと、X−Y方向に直交するZ軸回りに角速度ωが加わったときに発生する錘部8のY方向への振動を検出信号として検出する検出電極17a、17bとが形成されている。また、各電極15a、15b、17a、17b、20a〜20dには、それぞれ対応したワイヤボンディング用のパッド23a、23b、19a、19b、22a〜22dが形成されている。
【0006】
そして、この図6に示す角速度センサ1においては、駆動電極15a、15bに駆動信号(正弦波等)を印加すると、駆動梁14a〜14dによって錘部8はX方向へ振動する。このとき、モニタ電極20a〜20dと錘部8との間の静電容量が変化する。この変化から錘部8の振動の振幅、位相等を検出し、図示しない制御回路により駆動信号を調整するようになっている。
【0007】
この錘部8のX方向への振動のもと、角速度ωがZ軸回りに加わえられると、錘部8にはY方向にコリオリの力が発生し、錘部8は検出梁13a〜13dによってY方向へ振動する。すると、このY方向振動によって、検出電極17a、17bと錘部8間の静電容量に変化が生ずるため、その変化量を検出することによって加わった角速度ωの値を検出することができる。
【0008】
ところで、図6に示すような角速度センサ1においては、図8に示すように、第2のシリコン基板4に形成された各電極は、酸化膜3を介して第1のシリコン基板2に支持された構成となっている。なお、図8は、各電極の支持構成を示すための模式的な断面図である。
【0009】
このため、図8中の破線で示すように、駆動電極15a、15bと第1のシリコン基板2との間に形成される寄生容量Cp10と、モニタ電極20a〜20dと第2のシリコン基板2との間及び検出電極17a、17bと第1のシリコン基板基板2との間に形成される寄生容量Cp20とによって、駆動電極15a、15bと他の電極との間にはカップリングが生じる。
【0010】
このようなカップリングが存在すると、モニタ電極20a〜20dにより検出されるモニタ信号及び検出電極17a、17bにより検出される検出信号には、駆動信号の回り込みによる回り込み信号がノイズとして乗ってくる。この回り込み信号は、モニタ信号、検出信号に比して非常に大きいので、錘部8の本来の振動により発生するモニタ信号、検出信号を正確に検出できないという問題が生ずる。
【0011】
このような駆動信号の回り込みの影響を低減する方法としては、従来より次のような種々の方法が提案されている。その一つとして、第2のシリコン基板4に、駆動電極15a、15bとの間に形成される静電容量が、モニタ電極20a〜20d及び検出電極17a、17bと駆動電極15a、15bとの間に形成される寄生容量と同じになるようになっているダミー電極34a〜34dを形成する。そして、モニタ信号及び検出信号に入り込む駆動信号による回り込みノイズを、そのダミー電極34a〜34dからの信号によりキャンセルする方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0012】
また、別の方法として、第2のシリコン基板4の駆動電極15a、15bの近傍に、駆動信号とは逆相の信号を印加するための逆相信号用電極35a〜35dを追加して形成し、この逆相信号用電極35a〜35dからの信号によって、モニタ信号及び検出信号へ入り込む回り込み信号をキャンセルする方法(特許文献2参照)が提案されている。
【0013】
更には、各電極への配線が接近していることから生ずる誘導による回り込みを防止するために、駆動電極15a、15bへの配線と、モニタ電極20a〜20d及び検出電極17a、17bへの配線との間に、電気的な遮蔽用配線を追加する方法(特許文献3参照)も提案されている。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−162228号公報
【0015】
【特許文献2】
特開2002−267450号公報
【0016】
【特許文献3】
特開2002−188924号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の各解決方法には、それなりに回り込み信号を低減させる効果が認められるが、必ずしも完全な解決策とはいえない。そこで、本発明は角速度の検出精度を向上させる観点から、特にモニタ電極に入り込む回り込み信号をキャンセルして確実に低減させることを目的とした。このようにモニタ信号への回り込みに着目したのは、角速度の検出精度を確保するには、錘部がその共振周波数で一定振幅の安定振動をすることが大前提として必要であり、例え、検出信号への回り込み信号を低減できたとしても、錘部の振動がモニタ信号への回り込み信号のために不安定では、高い検出精度を確保できないからである。
【0018】
更には、回り込み信号の振幅が、本来のモニタ信号、すなわち錘部のX方向の振動にともなって発生する信号に較べて大きい場合には、自励発振が起こらず、角速度センサとして全く機能しないという致命的な欠陥が懸念されるからである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、第1のシリコン基板(2)上に酸化膜(3)を介して第2のシリコン基板(4)を貼り合わせてなるSOI基板(5)を有し、前記第2のシリコン基板には、第1の方向(X方向)及びこの第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)へ振動可能な錘部(8)と、該錘部を前記第1の方向へ振動させるための駆動電圧を印加する1対の駆動電極(D1、D2)と、前記錘部の前記第1の方向への振動をモニタするための1対のモニタ電極(M1、M2)と、前記振動のもと前記第1及び第2の方向と直交する軸(Z軸)回りに角速度が加わったときに発生する前記錘部の前記第2の方向への振動を検出するための検出電極(17a、17b)と、が形成されている角速度センサ(1)と、
前記1対の駆動電極に印加する互いに逆相関係にある第1、第2の駆動電圧(Vd1、Vd2)を発生する自励発振回路(27)と、
前記1対のモニタ電極の各電極と前記錘部とにより形成されるキャパシタ(Cm1、Cm2)に所定の直流電圧を印加し、流れる電流を検出して該キャパシタの静電容量に比例する電圧を生成する一対のC/V変換回路(31、32)と、
該一対のC/V変換回路の出力電圧の差電圧を演算して前記自励発振回路にフィードバック信号(Vf)として供給する差動増幅回路(Q1)と、
を備えた角速度センサ装置において、
前記第1、第2の駆動信号の何れかを選択することのできるスイッチ(S1)と、該スイッチで選択した駆動信号の大きさを加減して前記差動増幅回路(Q1)の出力する前記差電圧に加算する加算回路(29)とを新たに設け、該加算回路の出力信号を前記フィードバック信号として前記自励発振回路に供給するようにしたことを特徴とする角速度センサ装置である。
【0020】
このような回路構成の下で、請求項2に記載の調整方法によって前記スイッチの選択と、該スイッチで選択した駆動信号の大きさを加減すれば、前記駆動電極から前記モニタ電極に入り込む回り込み信号の影響を最小限に抑えることができ、前記錘部を第1の方向に安定に振動させることができる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の角速度センサ装置の前記スイッチ(S1)による前記第1、第2の駆動信号の選択と、前記加算回路に入力する前記スイッチにより選択した駆動信号の大きさを加減する調整方法であって、
前記加算回路(29)の出力信号を測定信号とし、前記第1又は第2の駆動信号の何れか一方の信号を参照信号としてロックインアンプに入力し、前記自励発振回路の代わりに信号発生器より前記駆動電極(D1、D2)に、前記錘部の共振周波数から離れた周波数の交流信号を印加し、その状態で前記ロックインアンプの直流出力電圧の絶対値が最小になるように、前記スイッチによる前記第1、第2の駆動信号の選択と、前記加算回路に入力する前記スイッチにより選択した駆動信号の大きさを加減し、その後前記ロックアンプを取り外し、前記加算回路の出力電圧を前記自励発振回路へフィードバック信号として供給して角速度の測定に入ることを特徴とする角速度センサ装置の調整方法である。
【0022】
このような調整方法によって、請求項1に記載の角速度センサ装置を調整すれば、前記駆動電極から前記モニタ電極に入り込む回り込み信号の影響を最小限に抑えることができ、前記錘部を第1の方向に安定に振動させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1〜図5を参照して本発明の一実施形態にかかる静電気駆動静電容量検出型の角速度センサ装置を説明する。本角速度センサ装置は、静電気駆動静電容量検出型の角速度センサと、該センサ用の駆動回路、信号処理回路等の制御回路とからなる。図2は、その一例としての角速度センサの平面図を、図7は、図2中のA−A断面図を示したものである。なお、図7は従来技術の項で説明した図と同じである。
【0024】
角速度センサ1は、第1のシリコン基板2の表面に酸化膜3を形成し、その上に第2のシリコン基板4を貼り合わせた構造のSOI基板5を用いて形成される。SOI基板5は、駆動回路、信号処理回路等の制御回路が形成された回路チップ6上に接着剤等により固定されている。
【0025】
第2のシリコン基板4は、エッチング加工により形成された溝9により、周辺に位置する枠状の基部7と、その基部7の内側に位置して可動する錘部8とに区画分けされている。但し、両区画は分離しているのではなく、後述する梁部によって連結された状態にある。
【0026】
ここで、内側にある錘部8の下部に位置する酸化膜3及び第1のシリコン基板2は除去されて開口部10が形成されている。そして、外側の基部7は、この開口部10の縁部において酸化膜3を介して第1のシリコン基板2に支持されている。
【0027】
錘部8は、更に、第2シリコン基板4の中央部に位置する略長方形状の第1の可動部11と、第1の可動部11におけるX方向(第1の方向)の両外側に設けられた柱状の第2の可動部12a、12bに区画分けされている。そして、錘部8においては、第1の可動部11は、検出梁13a〜13dを介して第2の可動部12a、12bに連結され、第2の可動部12a、12bは、略コの字形状をなす駆動梁14a〜14dを介して基部7に連結されている。
【0028】
ここで、駆動梁14a〜14dは、実質的にX方向にのみ自由度を持つものであり、この駆動梁14a〜14dによって、錘部8全体がX方向へ振動可能となっている。一方、検出梁13a〜13dは、実質的にY方向(第2の方向)にのみ自由度を持つものであり、この検出梁13a〜13dによって錘部8のうちの第1の可動部11がY方向へ振動可能となっている。
【0029】
また、第2シリコン基板4のうち、第2の可動部12a、12bにおけるX方向の両外側部には、開口部10の縁部に支持された櫛歯状の駆動電極15a、15bが形成されている。この櫛歯状の駆動電極15a、15bは、第2の可動部12a、12bから突出する櫛歯部(駆動用櫛歯部)16a〜16bに対し、互いの櫛歯が噛み合うように対向して配置されている。この駆動電極15a、15bには、後述するように錘部8全体をX方向へ振動させるための駆動信号が印加される。駆動電極15a、15bには、制御回路を構成する回路チップ6とワイヤボンディング等により電気的に接続するためのパッド(駆動電極用パッド)23a、23bがアルミ等により形成されている。
【0030】
また、第2のシリコン基板4のうち、第1の可動部11におけるY方向の両外側部には、開口部10の縁部に支持された櫛歯状の検出電極17a、17bが形成されている。錘部8における第1の可動部11のうち検出電極17a、17bと対向する部位には、櫛歯部(検出用櫛歯部)18a〜18dが突出して形成されており、検出電極17a、17bはこの検出用櫛歯部に対し、互いに噛み合うように対向して配置されている。
【0031】
この検出電極17a、17b、錘部8がX軸方向に駆動振動している状態下で、角速度センサ1に対して、X軸及びY軸と直交するZ軸回りに角速度ωが加わると、錘部8の第1の可動部11に対してY軸方向にコリオリの力が働き、錘部8にY方向の振動が発生する。検出電極17a、17bは、このY方向振動を、検出電極17a、17bと第1の可動部11とで形成されるキャパシタの静電容量変化として検出するための電極である。検出電極17a、17bには、制御回路を構成する回路チップ6とワイヤボンディング等により電気的に接続するためのパッド(検出電極用パッド)19a〜19bがアルミ等により形成されている。
【0032】
更に、第2のシリコン基板4のうち、第2の可動部12におけるX方向の両外側には、開口部10の縁部に支持された櫛歯状のモニタ電極20a〜20dが形成されている。そして、モニタ電極20a〜20dは、第2の可動部12a〜12bから突出する櫛歯部(モニタ用櫛歯部)24a〜24dに対し、互いに噛み合うように対向して配置されている。
【0033】
このモニタ電極20a〜20dは、錘部8のX方向への振動を、モニタ電極20a〜20dと第2の可動部12a、12bとで形成されるキャパシタの静電容量変化として検出するための電極である。モニタ電極20a〜20dには、制御回路を構成する回路チップ6とワイヤボンディング等により電気的に接続するためのパッド(モニタ電極用パッド)22a〜22dがアルミ等により形成されている。
【0034】
なお、上記した駆動電極15a、15b、検出電極17a、17b、モニタ電極20a〜20d及び錘部8は、溝9により互いに分離され、電気的に互いに絶縁されている。
【0035】
かかる角速度センサ1においては、回路チップ6から駆動電極用パッド23a、23bを介して駆動電極15a、15bに周期的に変化する駆動電圧(正弦波又は矩形波の交流電圧)を印加して、上記駆動用櫛歯部16a、16bと駆動電極15a、15bとの間に静電気力を発生させる。駆動電極15a、15bには、互いに逆位相の駆動信号を印加する。静電気力が発生すると、駆動梁14a〜14dがバネとして働き、錘部8全体がX方向へ振動する。
【0036】
振動が始まると、モニタ電極20a〜20dとモニタ用櫛歯部24a〜24dとの間の静電容量が変化するので、これを検出することで錘部8の振動周波数、振幅、位相をモニタする。そして、モニタした信号はフィードバック信号として、駆動信号を発生する後述の自励発振回路27に入力される。これにより、自励発振回路27の発振周波数は錘部8の共振周波数に自動調整され、錘部82は安定した振動を行なうようになる。
【0037】
この錘部8のX方向への振動のもと、Z軸回りに角速度ωが加わると、錘部8にはX方向の振動速度に比例するY方向のコリオリの力が加わり、錘部8のうち第1の可動部11が検出梁13a〜13dをバネとしてY方向に振動する。第1の可動部11がY方向に振動すると、検出電極17a〜17dと検出用櫛歯部18a〜18dとの間の静電容量が変化する。従って、この静電容量変化を回路チップ6上の検出回路にて検出すれば、加わった角速度ωの大きさを求めることができる。
【0038】
ここにおいて、本実施形態では、次のような独自のモニタ信号処理回路及びその調整方法を採用しており、その回路構成及び調整方法について図1、図3〜図5参照して説明する。図1は、角速度センサ1の錘部8をX方向に振動させる場合の回路構成を示したものである。
【0039】
図1中の25は、角速度センサ1の電気的等価回路である。電気的等価回路25は、錘部8のX方向への振動駆動及びその振動のモニタに関連する部分のみの回路を示しており、Y方向の振動検出に関連する部分は省略してある。図1中の等価回路25以外の回路部分は、角速度センサ1用の制御回路であって、回路チップ6上に構成されている。但し、Y方向の振動検出回路は、本発明と無関係であるので省略してあり、X方向振動のモニタ信号処理回路26と、錘部8をX方向に振動させるための駆動信号を発生する自励発振回路27のみを表わしている。
【0040】
最初に角速度センサ1の等価回路25について説明する。等価回路25の中の相互接続ノードD1(以下、駆動電極D1という)は、図2で説明した駆動電極15aに相当し、相互接続ノードD2(以下、駆動電極D2という)は駆動電極15bに相当する。また、相互接続ノードM1(以下、モニタ電極M1という)は並列接続したモニタ電極20a、20cに相当し、相互接続ノードM2(以下、モニタ電極M2という)は並列接続したモニタ電極20b、20dに相当する。この並列接続は回路チップ6上で行なっている。また、相互接続ノードN1は錘部8に相当し、相互接続ノードN2は第1のシリコン基板2に相当する。
【0041】
先に説明したように、駆動電極15a、15bと、錘部8の第1の可動部11に検出梁13a〜13dによって結合している第2の可動部12a、12bとは、溝9により分離され電気的に絶縁されている。そして、櫛歯状の駆動電極15a、15bは、第2の可動部12a、12bから突出する櫛歯部(駆動用櫛歯部)16a〜16bに対し、互いの櫛歯が噛み合うように対向して配置されている。それゆえ、駆動電極15a、15bと、第2の可動部12a、12bとにより、溝9の中の空気を誘電体とするキャパシタが構成されていることになる。
【0042】
第2の可動部12a、12bは、検出梁13a〜13dを介して錘部8の第1の可動部11と電気的に接続され、また駆動梁14a〜14dを介して枠状の基部7とも電気的に接続されている。従って、駆動電極15a、15bと錘部8との間にもキャパシタが存在している。等価回路25中のCd1、Cd2はこのようなキャパシタを表わしている。キャパシタCd1は駆動電極15aと錘部8との間のキャパシタを、キャパシタCd2は駆動電極15bと錘部8との間のキャパシタを表わしている。相互接続ノードN1は、先に説明したように錘部8を表わしている。
【0043】
同様に、モニタ電極20a〜20dと錘部8との間にもキャパシタが存在する。等価回路25中のCm1は、モニタ電極20a、20cと錘部8との間のキャパシタを並列接続したキャパシタを表わしている。同じく、Cm2は、モニタ電極20b、20dと錘部8との間のキャパシタを並列接続したキャパシタを表わしている。錘部8がX方向に振動すると、両者を隔てる溝9のX方向の間隔が変化してキャパシタCm1、Cm2の静電容量の値が変化する。従って、その変化を検出すれば錘部8のX方向への振動の様子を把握することができる。
【0044】
また、先に説明したように、角速度センサ1はSOI基板5を用いて製作されており、第1のシリコン基板2と第2のシリコン基板4との間には酸化膜3が両基板に挟まれて存在している(図7参照)。酸化膜3は誘電体であり、第1、第2のシリコン基板2、4は導体である。従って、第1のシリコン基板2を加工して作られた各電極と第1のシリコン基板2とは、図8に示すように酸化膜3を誘電体とする平行板キャパシタを形成していることになる。
【0045】
角速度センサ1の等価回路25中に示したキャパシタCp1〜Cp4は、このようなキャパシタを表わしている。即ち、Cp1は駆動電極D1と第1のシリコン基板2とにより構成されるキャパシタを、Cp2は駆動電極D2と第1のシリコン基板2とにより構成されるキャパシタを、Cp3はモニタ電極M1と第1のシリコン基板2とにより構成されるキャパシタを、Cp4はモニタ電極M2と第1のシリコン基板2とにより構成されるキャパシタをそれぞれ表わしている。相互接続ノードN2は、第1のシリコン基板2を表わしており、第1のシリコン基板2は他の部分とは電気的に絶縁されている。
【0046】
次に、角速度センサ1の錘部8をX方向に駆動すための駆動回路について説明する。駆動信号は正弦波又は矩形波の交流電圧であって、周知の自励発振回路27で発生される。自励発振回路27の2つの出力端子はそれぞれ駆動電極D1、D2に接続されている。ここで、駆動電極D1、D2に印加される駆動電圧をそれぞれ第1の駆動電圧Vd1、第2の駆動電圧Vd2とする。また、錘部8にあたる相互接続ノードN1の電位をVeeとする。Veeの値は、駆動信号により発生する駆動力を増強するため、及び後述するC/V変換のため特定直流電位に維持される。駆動電圧Vd1、Vd2は、この相互接続ノードN1の電位を基準として振幅が等しく位相が180°異なる(逆位相)の電圧である。従って、キャパシタCd1、Cd2には、逆位相で振幅の等しい交流電圧が印加される。
【0047】
駆動電極D1、D2との間にこのような逆位相の交流電圧が印加されると、駆動電極15a、15bと駆動用櫛歯部16a、16bとの間に静電気力が発生し、錘部8は、駆動梁14a〜14dをバネとしてX方向へ振動する。
【0048】
錘部8がX方向に振動すると、モニタ電極M1、M2と錘部8に当たる相互接続ノードN1との間のキャパシタCm1、Cm2の静電容量も変化する。そのキャパシタCm1、Cm2の変化は、位相が互いに180°ずれた逆位相となる。
【0049】
キャパシタCm1とCm2の静電容量の差は、次に説明するモニタ信号処理回路26にて電圧Vfに変換され自励発振回路27にフィードバックされる。自励発振回路27は、このフィードバック電圧Vfを受けると90°位相をずらして出力に駆動電圧Vd1、Vd2を発生し、発生した電圧を角速度センサの駆動電極D1、D2に印加する。角速度センサ、モニタ信号処理回路、自励発振回路により構成される閉ループにより、共振周波数の成分のみが増幅され共振周波数で自励発振する。
【0050】
このように、駆動電極D1、D2に印加する交流電圧の発生に自励発振回路27を使用して錘部8の共振周波数で発振させるのは、少ない電力で大きな振幅の振動を錘部8に起こさせるためである。なお、Y方向への振動を検出して角速度を検出するためには、このX方向への振動の振幅が一定している必要がある。これを確保するため、自励発振回路27では、駆動電圧の振幅を適切に制御することによりフィードバック電圧Vfの振幅を一定に保つようにしている。
【0051】
次にモニタ信号処理回路26について説明する。モニタ信号処理回路26は、2つのC/V(静電容量/電圧)変換回路31、32、差動増幅回路Q1、回り込み補正回路28を備えて構成される。回り込み補正回路28は、本発明で新たに追加した部分である。
【0052】
C/V変換回路31、32は、入力端子がそれぞれモニタ電極M1、M2に接続されていて、モニタ電極M1、M2と錘部8に相当する相互接続ノードN1との間の静電容量Cm1、Cm2の値に比例する電圧を出力する回路である。その回路構成は、例えば図3に示すような回路である。この回路は、等価回路25のC/V変換回路31に使用する回路例である。
【0053】
演算増幅器Q3の非反転入力端子は、等価回路25のモニタ電極M1に接続される。キャパシタCm1は非反転入力端子(モニタ電極M1)と相互接続ノードN1(錘部8)との間に接続されている。相互接続ノードN1の電位は、前に説明した一定の直流電位Veeである。
【0054】
キャパシタCm1の静電容量が時間的に変化する場合、その出力電圧Voutは次のようになる。但し、抵抗R4の値はキャパシタCfのインピーダンスより非常に大きいとする。
Vcm1=−(ΔCm1/Cf)・Vee (1)式
Cf、Veeの値は、時間的に変化しない値であるので、出力電圧Vcm1はキャパシタCm1の変化量ΔCm1に比例し、位相はΔCm1より180°遅れる。
【0055】
錘部8がX方向に共振振動している場合、そのX方向への変位は、駆動電極D1への印加駆動電圧Vd1より位相が90°遅れる。従って、キャパシタCd1の値も、駆動信号Vd1より位相が90°遅れて変化する。キャパシタCm1の値は、キャパシタCd1と同相で変化する。従って、キャパシタCm1の変化によるC/V変換回路31の出力電圧Vcm1は、(1)式の関係より駆動電圧Vd1より270°遅れる。即ち、駆動電圧Vd1より位相が90°進んでいる。
【0056】
同様に、キャパシタCm2の変化によるC/V変換回路32の出力電圧Vcm2は、駆動電圧Vd2より位相が90°進む。駆動電圧Vd2は、駆動電圧Vd1より位相が180°遅れている。従って、キャパシタCm2の変化によるC/V変換回路32の出力電圧Vcm2は、駆動電圧Vd1に対しては位相が90°遅れており、C/V変換回路31の出力電圧Vcm1とは逆相の関係になる。
【0057】
ここで、C/V変換回路31の出力電圧Vcm1は差動増幅回路Q1の非反転入力端子に入力され、C/V変換回路32の出力電圧Vcm2は差動増幅回路Q1の反転入力端子に入力されている。従って、差動増幅回路Q1の出力端子でみると、キャパシタCm1の変化による出力電圧Vmの変化とキャパシタCm2による出力電圧Vmの変化とは同相となり加算されることになる。そして、加算結果である出力電圧Vmは、駆動電圧Vd1より位相が90°進んでいることになる。
【0058】
以上のことより、キャパシタCp1〜Cp4の存在を考えなければ、差動増幅回路Q1の出力電圧Vmによって、錘部8の振幅と周波数、位相の状態を把握できることが分かる。
【0059】
差動増幅回路Q1の出力電圧Vmは、キャパシタCm1とCm2の静電容量の変化量の差に比例する電圧であるので、この電圧を自励発振用のフィードバック電圧Vfとして直接に自励発振回路27に入力して使用すれば、駆動信号Vd1、Vd2を発生する上で何の支障もないように思われる。しかし、キャパシタCp1〜Cp4の静電容量の値はゼロでないために問題が生ずる。次にこの場合について説明する。
【0060】
キャパシタCp1〜Cp4の値がゼロでないと、駆動電極D1、D2に印加された駆動電圧Vd1、Vd2が、それらのキャパシタを通ってモニタ電極M1、M2に入り込むために、C/V変換回路31、32の出力電圧Vcm1、Vcm2に回り込み信号がノイズとして乗ってくる。
【0061】
例えば、モニタ電極M1への回り込みを考慮して図3のC/V変換回路31を書き直すと図4のようになる。駆動電極D1からは、印加された駆動電圧Vd1によりキャパシタCp1、Cp2を通る経路によって回り込み電流がモニタ電極M1に入り込む。この場合は、駆動電極D1に印加される駆動電圧Vd1に起因する出力電圧Vcm1中の回り込み信号成分は、位相がVd1より180°遅れたものとなる。
【0062】
同様に、駆動電極D2に印加される駆動電圧Vd2によってモニタ電極M2に回り込み電流が入り込む。駆動電圧Vd2に起因する出力電圧Vcm2中の回り込み信号成分は、位相がVd2より180°遅れたものとなる。駆動電圧Vd1とVd2とは位相が180°ずれているために、C/V変換回路31、32の出力電圧Vcm1、Vcm2中に含まれる回り込み信号成分の位相は、180°ずれていることになる。
【0063】
出力電圧Vcm1、Vcm2中に含まれる回り込み信号成分の位相が、180°ずれていると、出力電圧Vcm1、Vcm2は差動増幅回路Q1にて減算されるため、差動増幅回路Q1の出力電圧Vm中には、それら2つの回り込み信号成分が加算された形で現れてくる。その回り込み信号成分の位相は、駆動電圧D1に印加される駆動電圧Vd1と位相が180°ずれている。
【0064】
このような理由により、現実の角速度センサ1における差動増幅回路Q1の出力電圧Vmは、本来のモニタ用キャパシタCm1、Cm2の静電容量の変動に起因する本来のモニタ信号と、回り込み電流による回り込み信号とが加算された電圧となる。
【0065】
この場合、キャパシタCm1、Cm2の変動により差動増幅回路Q1の出力電圧Vm中に現れる電圧成分(本来のモニタ信号成分)は、駆動電圧Vd1より位相が90°進んで現れる。一方、回り込み信号成分により出力電圧Vm中に現れる電圧成分(回り込み信号成分)は、駆動電圧Vd1と位相が180°ずれて現れる。このような、駆動電圧Vd1に対して位相が90°進んだ信号と、180°ずれた信号とを加算した出力電圧Vmは、駆動電圧Vd1と周波数は同じであるが、駆動電圧Vd1に対する位相差が90°にならない。
【0066】
このような、駆動対象である錘部8の振動、それにより生ずるキャパシタCm1、Cm2の変化によって生ずる本来のモニタ信号成分の位相と一致しない、即ち、本来のモニタ信号成分と90°位相がずれた信号成分を含む出力電圧Vmをフィードバック電圧Vfとして自励発振回路27に入力した場合には、自励発振回路27は、錘部8の共振周波数で発振を起こしにくくなる。結果として、発振周波数が錘部8の共振周波数から外れるため、錘部8の振動の振幅は小さくなり、本来のモニタ信号成分の振幅も小さくなる。そうすると、自励発振回路27の発振出力電圧は低下して発振が不安定になり、最悪の場合には発振停止という事態に至る。
【0067】
このような不具合を解消するために、本実施形態では、この差動増幅回路Q1の出力電圧Vm中に含まれる回り込み信号成分をキャンセルして無くす目的で、回り込み補正回路28を新たに追加した。
【0068】
回り込み補正回路28は、図1に示すように反転の加算回路29とスイッチS1により構成される。前段の差動増幅回路Q1の出力電圧Vmは、抵抗R1を介して加算回路29の演算増幅器Q2の反転入力端子に加えられる。演算増幅器Q2の非反転入力端子は接地される。演算増幅器Q2の出力端子と反転入力端子との間には抵抗R3が接続され、反転入力端子とスイッチS1のコモン端子Cとの間にはキャパシタC1と可変抵抗R2が接続される。キャパシタC1は駆動電圧の直流成分を阻止するための素子であり、その容量値は共振周波数において、キャパシタC1のインピーダンスが可変抵抗R2の抵抗値よりも十分に小さくなるように選んである。スイッチS1は2つの信号を選択するスイッチで、その切り換え選択により駆動電圧Vd1又はVd2のいずれかがコモン端子CとキャパシタC1を介して可変抵抗R2に供給される。演算増幅器Q2の出力電圧はフィードバック電圧Vfとして自励発振回路27に供給される。
【0069】
前述したように、差動増幅回路Q1の出力電圧Vmに含まれる回り込み信号成分は、駆動電圧Vd1と逆相である。従って、スイッチS1のコモン端子Cに駆動電圧Vd1を印加すれば、回り込み信号成分を加算回路29でキャンセルできる可能性がある。しかし、自励発振回路27の電圧である駆動電圧Vd1、Vd2の駆動電極D1、D2への接続の極性、C/V変換回路31、32の減算回路Q1への接続の仕方によっては、出力電圧Vmに含まれる回り込み信号成分が、駆動電圧Vd1と同相となる場合もありうる。スイッチS1を設けて加算回路29に回り込み信号のキャンセル用に印加する電圧を選択できるようにしたのはこのためである。
【0070】
従って、スイッチS1により駆動電圧Vd1又はVd2の何れかを選択し、選択した電圧を可変抵抗V2に供給する。その上で、可変抵抗R2の抵抗値を調整すれば、差動増幅回路Q1の出力電圧Vm中に含まれる回り込み信号をキャンセルすることができる。
【0071】
スイッチS1の切り換え選択と可変抵抗R2の調整は、例えば次のようにして行なう。差動増幅回路Q1の出力電圧Vm中のキャパシタCm1、Cm2の変動に起因する電圧成分は、先に説明したように駆動電圧Vd1と位相が90°ずれている。この出力電圧Vmは、演算増幅器Q2により反転されて演算増幅器Q2の出力端にフィードバック電圧Vfとして現れる。即ち、フィードバック電圧Vf中のキャパシタCm1、Cm2の変動に起因する電圧成分は、駆動電圧Vd1、Vd2と位相が90°ずれている。
【0072】
従って、駆動電圧Vd1と加算回路29の出力電圧であるフィードバック電圧Vfの両波形を例えばオシロスコープ上に描かせておき、フィードバック電圧Vfの波形が駆動電圧Vd1より位相が90°ずれた状態で且つその振幅が最大になるようにスイッチS1の切り換え選択と可変抵抗R2の値を調整すれば、回り込み信号をキャンセルできることになる。あるいは、オシロスコープの代わりに、駆動電圧Vd1を参照信号として2相ロックインアンプを使って、フィードバック電圧Vfの位相が90°ずれた状態で且つその振幅が最大になるようにスイッチS1の切り換え選択と可変抵抗R2の値を調整すれば、より正確に回り込み信号をキャンセルすることができる。
【0073】
このようにして、図1中に示すような加算回路29とスイッチS1からなる回り込み補正回路28を設け、上述のような調整をすることで、回り込み信号をキャンセルすることができる。このように回り込み信号がキャンセルされたフィードバック電圧Vfを自励発振回路27に供給すれば自励発振を安定させることができ、結果として錘部8を、その共振周波数に一致した周波数で、且つ一定の振幅で安定振動させることが可能となる。
【0074】
次に、上述した回り込み補正回路28内のスイッチS1と可変抵抗R2の調整方法についての別の方法を説明する。回り込み信号の振幅が、本来のモニタ信号、すなわち錘部のX方向の振動にともなって発生する信号に較べて大きい場合には自励振動が起こらないので、上述したような方法で調整することができない。以下に説明する方法は、自励発振が起こらないほど回り込み信号の振幅が大きくても、正確に回り込み信号をキャンセルすることができる調整方法である。
【0075】
その調整方法を図5を参照して説明する。図5は調整時の回路構成を示したもきである。自励発振回路27の代わりに信号発生器34を駆動電極D1、D2に接続し、さらにロックインアンプ33を準備し、加算回路29の出力電圧を測定信号として入力する。ロックインアンプ33の参照信号としては、駆動電圧Vd1又はVd2を入力する。図5では駆動電圧Vd1を入力している。その上で、信号発生器34から振幅が同じで、位相が逆相の交流電圧Vd1とVd2を発生する。交流電圧の周波数は、錘部8の共振周波数から外れた周波数とする。例えば、共振周波数が5kHzの場合、1kHzに設定する。
【0076】
このように錘部8の共振周波数から外れた周波数の駆動電圧Vd1、Vd2を駆動電極D1、D2に印加した場合には、錘部8の振幅は共振時の1/100以下となる。従って、キャパシタCm1、Cm2の変動は僅かとなり、キャパシタCm1、Cm2の変動に起因して加算回路29の出力に現れる正規のモニタ信号レベルは非常に小さなものとなる。さらに、直流電圧VeeをC/V変換回路31、32の演算増幅器(例えば図4のQ3)の非反転入力端子と同じ電位とすれば、キャパシタCm1、Cm2の変動に起因して加算回路29の出力に現れる正規のモニタ信号レベルはほとんどゼロになる。一方、回り込みの原因となるキャパシタCp1〜Cp4の値は一定であるので、回り込みは共振周波数の場合と同様に発生し、それに起因する大きな回り込み信号が加算回路29の出力に現れる。即ち、加算回路29の出力電圧は、殆ど回り込み信号成分のみとなる。
【0077】
ロックインアンプ33は、同期検波器の一種で参照信号と同期した信号で測定信号をスイッチングし、その出力をローパスフィルタで平滑化して出力する。従って、参照信号と同相または逆相の測定信号の成分は一定の直流値に収束する。
【0078】
先に説明したように、加算回路29の出力電圧のうち、回り込み信号成分は、駆動電圧Vd1あるいはVd2と同相または逆相である。従って、ロックインアンプ33の出力直流電圧の絶対値が最小値になるようにスイッチS1と可変抵抗R2を調整すれば、加算回路29の出力信号に含まれる回り込み信号を最小に調整ができたことになる。
【0079】
このようにしてスイッチS1と可変抵抗R2の調整をした後に、加算回路29の出力電圧をフィードバック電圧Vfとして自励発振器27に供給する。このようにすれば、フィードバック電圧Vfに含まれる回り込み信号成分は最小となっているため、自励発振回路27は、錘部8の共振周波数で安定して発振するようになる。
【0080】
調整時に自励発振させていないので、自励発振が起こらないほど回り込み信号の振幅が大きくても、本発明の方法によれば、回り込み信号を最小値に確実に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る角速度センサ装置の等価回路図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る角速度センサの平面図である。
【図3】 C/V変換回路の回路例である。
【図4】 回り込みを考慮したC/V変換回路の等価回路例である。
【図5】 信号発生器を使用した調整時の等価回路図である。
【図6】 従来技術を示す図1相当図である。
【図7】 図2と図6のA−A線における共通の断面図である。
【図8】 各電極下に構成されるキャパシタを説明する模式図である。
【符号の説明】
図面中、1は角速度センサ、2は第1のシリコン基板、3は酸化膜、4は第2のシリコン基板、5はSOI基板、6は回路チップ、8は錘部、15a、15bは駆動電極、17a、17bは検出電極、20a〜20dはモニタ電極、27は自励発振回路、29は加算回路、31、32はC/V変換回路、33はロックインアンプ、34は信号発生器、35は直流電源、Cd1、Cd2、Cm1、Cm2、Cp1〜Cp4はキャパシタ、D1、D2は駆動電極、M1、M2はモニタ電極、Q1は差動増幅回路、S1はスイッチ、Vd1は第1の駆動電圧、Vd2は第2の駆動電圧、Veeは直流電圧、Vfはフィードバック信号(電圧)を示す。

Claims (2)

  1. 第1のシリコン基板(2)上に酸化膜(3)を介して第2のシリコン基板(4)を貼り合わせてなるSOI基板(5)を有し、前記第2のシリコン基板には、第1の方向(X方向)及びこの第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)へ振動可能な錘部(8)と、該錘部を前記第1の方向へ振動させるための駆動電圧を印加する1対の駆動電極(D1、D2)と、前記錘部の前記第1の方向への振動をモニタするための1対のモニタ電極(M1、M2)と、前記振動のもと前記第1及び第2の方向と直交する軸(Z軸)回りに角速度が加わったときに発生する前記錘部の前記第2の方向への振動を検出するための検出電極(17a、17b)と、が形成されている角速度センサ(1)と、
    前記1対の駆動電極に印加する互いに逆相関係にある第1、第2の駆動電圧(Vd1、Vd2)を発生する自励発振回路(27)と、
    前記1対のモニタ電極の各電極と前記錘部とにより形成されるキャパシタ(Cm1、Cm2)に所定の直流電圧を印加し、流れる電流を検出して該キャパシタの静電容量に比例する電圧を生成する一対のC/V変換回路(31、32)と、
    該一対のC/V変換回路の出力電圧の差電圧を演算して前記自励発振回路にフィードバック信号(Vf)として供給する差動増幅回路(Q1)と、
    を備えた角速度センサ装置において、
    前記第1、第2の駆動信号の何れかを選択することのできるスイッチ(S1)と、該スイッチで選択した駆動信号の大きさを加減して前記差動増幅回路(Q1)の出力する前記差電圧に加算する加算回路(29)とを新たに設け、該加算回路の出力信号を前記フィードバック信号として前記自励発振回路に供給するようにしたことを特徴とする角速度センサ装置。
  2. 請求項1に記載の角速度センサ装置の前記スイッチ(S1)による前記第1、第2の駆動信号の選択と、前記加算回路に入力する前記スイッチにより選択した駆動信号の大きさを加減する調整方法であって、
    前記加算回路(29)の出力信号を測定信号とし、前記第1又は第2の駆動信号の何れか一方の信号を参照信号としてロックインアンプ(33)に入力し、
    前記自励発振回路の代わりに信号発生器より前記駆動電極(D1、D2)に、前記錘部の共振周波数から離れた周波数の交流信号を印加し、
    その状態で前記ロックインアンプの直流出力電圧の絶対値が最小になるように、前記スイッチによる前記第1、第2の駆動信号の選択と、前記加算回路に入力する前記スイッチにより選択した駆動信号の大きさを加減し、
    その後前記信号発生器と前記ロックインアンプを取り外し、前記加算回路の出力電圧を前記自励発振回路へフィードバック信号として供給して角速度の測定に入ることを特徴とする角速度センサ装置の調整方法。
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