JP3812315B2 - 綴じ具の固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、綴じ具の固定構造に係り、更に詳しくは、綴じ具に強制的な外力が付与された際の当該綴じ具の変形を防止することができる綴じ具の固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、表紙体の内面側に綴じ具を備えてなるファイル、バインダー類が市販され、最近では、表紙体と綴じ具との分別廃棄や、綴じ具の再利用を可能とするため、綴じ具が表紙体に対して着脱自在に設けられたタイプのものが流通するに至っている。この着脱自在タイプの綴じ具は、表紙体の外面側に位置して当該表紙体とベースとに形成された穴に貫通する部材を備えた外側部材と、ベース面上に位置して外側部材に着脱自在に組み合わされる内側部材とを備え、これら外側部材と内側部材とによって表紙体とベースとを挟み込んで固定するという構造が採用されている。この際、ベースには爪片が設けられており、この爪片を表紙体に形成された穴内に位置させることでベースの固定位置が決定されるようになっている。
【0003】
しかしながら、このような構造にあっては、綴じ具の装着位置を正確なものとするため、ベースの爪片が表紙体の穴の形成縁にきっちり嵌るようにして両者間にいわゆる遊びがないものとなっている。従って、ファイルを落としてしまったときに、爪片と穴との間に強い相対移動力が発生し、これによって相互に損傷や変形が生じてしまうという不都合を招来する。特に、綴じ具に多数枚の書類が綴じ込まれている場合には、その書類の重さが加わることにより、損傷、変形の程度も相当に激しくなり、綴じ具を着脱自在な構造としても、その利点を生かし切れなくするという不都合もある。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、綴じ具と表紙体との間に強制的な外力が生じた場合であっても、その外力による衝撃を吸収し、綴じ具や表紙体の変形を防止することのできる綴じ具の固定構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、表紙体の内面側に綴じ具のベースを配置して当該ベースと表紙体とを固定手段で固定した綴じ具の固定構造において、
前記固定手段は、外側固定部材と、この外側固定部材と相互に作用して前記ベース及び表紙体を挟み込む内側固定部材とにより構成され、
前記綴じ具と表紙体との間に衝撃吸収部が設けられているとともに、前記外側固定部材に備わる起立軸受部は前記ベースの端部に押圧される、という構成を採っている。このような構成によれば、不用意にファイルを落としてしまったときに、綴じ具及び表紙体の間に生ずる衝撃を緩和することができ、綴じ具及び表紙体の変形を効果的に抑制することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記表紙体に位置決め穴が設けられる一方、前記ベースに位置決め穴内に位置する位置決め部材が設けられ、この位置決め部材が、ベースと表紙体との間に相対移動させる外力が作用したときの移動代をもって配置されることで前記衝撃吸収部が形成される、という構成を採用することが好ましい。このような構成では、綴じ具と表紙体との間に強制的な外力、すなわち相対移動力が生じても、位置決め部材が位置決め穴内で移動代分だけ移動でき、瞬間的に加わる過大な衝撃を緩和するように作用することで位置決め部材と位置決め穴の変形、損傷を防止することが可能となる。
【0007】
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「左右」とは、図1に示される背表紙の短寸幅方向を基準として用いられ、「上下」とは背表紙の上下方向すなわち長手方向を基準として用いられる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明に係る綴じ具の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1には、本発明に係る綴じ具の固定構造がファイルに適用された実施例の要部概略斜視図が示されている。この図において、ファイル10は、背表紙11の左右両側に連なる表表紙12及び裏表紙13とを備えた表紙体14と、背表紙11の内面側に固定手段16を介して固定された綴じ具17とを備えて構成されている。ここで、表紙体14は、本実施例では、一枚のボール紙等の硬質紙により構成され、綴じ具17の固定に耐え得る剛性を備えたものが採用されている。
【0010】
綴じ具17は、特に限定されるものでないが、本実施例では、固定手段16を介して背表紙11の内面側に着脱自在に固定されたベース18と、このベース18の左右両側部分に配置された一対の操作部材20と、下端側がベース18の左右両側に係脱可能に支持された左右一対の綴じ板21,22と、各綴じ板21,22の相対面二箇所位置に固定された綴じ桿24,24とを備えて構成されている。この綴じ具17は、前記操作部材20,20の何れか一方もしくは双方を内方に押圧操作することで、綴じ板21,22とベース18との引っ掛かりを解除でき、何れか一方もしくは双方の綴じ板21,22をベース18から取り外し可能となっている。
【0011】
前記ベース18は、図2に示されるように、背表紙11の同図中左右二箇所位置に固定される一対の固定面部25,25と、これら固定面部25,25間に傾斜面部26を介して連設された中間面部27とを備えて構成されている。各固定面部25の領域内において、その左右二箇所位置には、下向きに屈曲する位置決め部材としての切り起こし片28がそれぞれ設けられている。各切り起こし片28は、背表紙11に形成された位置決め穴30内に挿入されており、これによって、ベース18の固定位置を決定できるようになっている。また、切り起こし片28と位置決め穴30との間には、ベース18と表紙体14との間に、図2中矢印X方向に相対移動を生じさせる外力が作用した際に、当該ベース18の移動を僅かに許容する衝撃吸収部としての移動代32が形成されている。すなわち、図2中左右の位置決め穴30の内方縁間距離L1に対して、左右の切り起こし片28の内方縁間距離L2が僅かに大きくなる相対寸法に設けられている。
【0012】
前記各固定手段16は、図3及び図4にも示されるように、背表紙11の外面側に配置された外側固定部材34と、この外側固定部材34と相互に作用してベース18及び背表紙11を挟み込む内側固定部材35とにより構成されている。各固定部材34,35は、本実施例では、ポリプロピレンやポリカーボネート等の樹脂材を用いてそれぞれ形成されており、強制的な外力が付与された際の若干の撓み変形が可能となっている。
【0013】
前記外側固定部材34は、背表紙11の外面側に配置された平面視略方形となる板状部材36と、この板状部材36の内面側に連なって前記位置決め穴30及びベース18に形成された穴18Aを貫通するように位置する左右一対の起立部38,38と、これら起立部38に隣接した位置で前記板状部材36の内面側に連なるとともに、背表紙11に形成された角穴11Aを貫通して延びる左右一対の起立軸受部39とにより構成されている。なお、起立部38と起立軸受部39の各先端側には、突出方向が対称向きとなる爪部38A及び39Aがそれぞれ形成されている。
【0014】
前記起立部38及び起立軸受部39の各基部における板状部材36の領域内には、成形の便宜上設けられた抜き穴41,42が形成されており、一方の抜き穴42に沿う板状部材36の内面側には、背表紙11の角穴11Aの内縁に接して板状部材36の位置をずらすことなく決定する突片43が形成されている。
【0015】
前記内側固定部材35は、図2ないし図4に示されるように、前記起立軸受部39に係り合った状態で回転可能に設けられている。この内側固定部材35は、平面視略方形の平面形状を備えた操作片部45と、この操作片部45の図3中右端近傍位置から垂下されて下端側に爪部46を備えた二つのフック片部47と、同図中左端側における左右二箇所位置を貫いて前記起立軸受部39の上部を受容可能とする穴48と、これらの穴48によって形成される二つの軸部50と、前記操作片部45の左右両端から垂下された側壁部51とを備えて構成されている。ここで、側壁部51において、前記フック片部47に隣設した部分は切欠部52とされ、この切欠部52によって、フック片部47の爪部46が起立部38の爪部38Aに係合した位置から脱出するときの角度変位が許容される。また、操作片部45の下面側には補強片部54が形成されている。
【0016】
次に、綴じ具17を背表紙11に固定する方法について説明する。
【0017】
まず、図3及び図4に示されるように、外側固定部材34の起立部38及び起立軸受部39を背表紙11の位置決め穴30及び角穴11A内にそれぞれ挿入した後、起立部38をベース18の穴18Aに挿入し、切り起こし片28を位置決め穴30に差し込んでベース18を背表紙の内面上に配置する。この状態で、前記内側固定部材35の軸部50を起立軸受部39の爪部39Aに引っ掛けて、フック片部47側を自由端側として図2中二点鎖線で示される位置から実線で示される略水平位置に回転変位させる。すると、フック片部47の爪部46と起立部38の爪部38Aが相互に強制的に係り合い、これによって、各固定部材34,35によりベース18と背表紙11とを挟み込んで相互に固定することができる。この際、ベース18の図2中左右両端部は、起立軸受部39に丁度突き当たる寸法設定とされているため、背表紙11に対するベース18の同図中左右位置が正確に決定されることとなる。
【0018】
また、綴じ具17が背表紙11に装着された状態において、綴じ具17に図2中矢印X方向に強制的な外力が作用した場合、切り起こし片28と位置決め穴30との間に移動代32が形成されているため、ベース18が背表紙11に対して前記X方向に若干相対移動することとなり、これにより、切り起こし片28と位置決め穴30との間の衝撃を吸収可能となっている。この際、図2中左右何れか一方の起立軸受部39はベース18の端部に押圧されて同図中左右方向に倒れ込むように弾性変形でき、従って、前記相対移動は妨げられない。
【0019】
従って、このような実施例によれば、切り起こし片28及び位置決め穴30の間に移動代32を設けたから、ファイル10を落とした場合でも、切り起こし片28及び起立軸受部39に生じる衝撃を相互に軽減して切り起こし片28の変形を確実に防止することができる。
【0021】
なお、前記固定手段16の起立軸受部39は、前記実施例に示されるような構成に限られるものでなく、例えば、図5に示されるような構成に代替することができる。この構成は、前記起立軸受部39に上下方向に延びるスリット溝58を設けることによって構成されたものであり、ベース18の端部によって起立軸受部39が同図中左方向に押圧されたときに、スリット溝58の左右幅が狭まるようにして、衝撃を和らげることを可能としたものである。
【0022】
更に、ベース18の固定領域は背表紙11に限らず、綴じ具17の形態によっては表表紙12或いは裏表紙13であってもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、衝撃吸収部が表紙体とベースとの間に設けられているから、不用意にファイルを落下させてしまっても、綴じ具及び表紙体に付与される衝撃を緩和して、これらの変形を効果的に抑制でき、綴じ具を有効に保護することが可能となる。
【0024】
また、ベースの位置決め部材が、表紙体とベースとの相対移動させる外力が作用したときの移動代をもって配置されることで衝撃吸収部が形成されているから、綴じ具と表紙体との間に相対移動力が生じた場合、位置決め穴内で位置決め部材が移動代分だけ移動することにより、これらの間に生じる衝撃を和らげることができ、従来のような位置決め部材及び位置決め穴の変形及び損傷原因を回避可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るファイルを開いた内側の要部概略斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】図2の分解断面図。
【図4】前記ファイルの要部分解概略斜視図。
【図5】変形例に係る起立軸受部の図2と同様の断面図。
【符号の説明】
14 表紙体
16 固定手段
17 綴じ具
18 ベース
28 切り起こし片(位置決め部材)
30 位置決め穴
32 移動代(衝撃吸収部)
Claims (2)
- 表紙体の内面側に綴じ具のベースを配置して当該ベースと表紙体とを固定手段で固定した綴じ具の固定構造において、
前記固定手段は、外側固定部材と、この外側固定部材と相互に作用して前記ベース及び表紙体を挟み込む内側固定部材とにより構成され、
前記綴じ具と表紙体との間に衝撃吸収部が設けられているとともに、前記外側固定部材に備わる起立軸受部は前記ベースの端部に押圧されることを特徴とする綴じ具の固定構造。 - 前記表紙体に位置決め穴が設けられる一方、前記ベースに位置決め穴内に位置する位置決め部材が設けられ、この位置決め部材が、ベースと表紙体との間に相対移動させる外力が作用したときの移動代をもって配置されることで前記衝撃吸収部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の綴じ具の固定構造。
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JP2000313128A JP3812315B2 (ja) | 2000-10-06 | 2000-10-06 | 綴じ具の固定構造 |
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Family
ID=18792588
Family Applications (1)
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JP2000313128A Expired - Lifetime JP3812315B2 (ja) | 2000-10-06 | 2000-10-06 | 綴じ具の固定構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3812315B2 (ja) |
-
2000
- 2000-10-06 JP JP2000313128A patent/JP3812315B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2002113984A (ja) | 2002-04-16 |
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