JP6355697B2 - 綴具の変位体及び帳面 - Google Patents

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本発明は、ファイリング用の綴具の変位体に関するものであり、特に、例えばセルリング式ノート又は綴じ穴のあるリーフを綴じるファイル・バインダ類の帳面(以下「帳面」という。)に用いられる綴具を開閉するための変位体である。
特許第5112345号公報に記載の綴具の変位体は、綴具10の第1綴杆20の綴杆係止部22と、第2綴杆30の綴杆係止部32と、を脱係する方向すなわち綴具10の長さ方向において、綴杆係止部22を向こう側(上方)に向けて、同時に、綴杆係止部32を手前側(下方)に向けて移動(変位)させる変位体であって、向こう側端縁(上端縁)の綴具10側近傍に第1摘み部116A1が突設されている表表紙116Aと、手前側端縁(下端縁)の綴具10側近傍に第2摘み部116B1が突設されている裏表紙116Bと、から構成されている変位体である。
特許第5112345号公報
特許第5112345号公報に記載の綴具10及び綴具の変位体により構成された帳面の使用者は、表表紙と裏表紙とを、第1摘み部116A1と第2摘み部116B1とを反対向きに引っ張ることにより、綴具の係止状態を解除する。
しかし、第1摘み部116A1及び第2摘み部116B1は、帳面内側に向けて折り曲げることができるように構成されているとは言え、帳面の厚みを増大させ、又は、表表紙及び裏表紙から外側に突出することとなり、衣服のポケットや鞄等に入れて携帯されることの多い帳面の携帯性を損ねることとなるという問題があった。
そこで、本発明は、帳面の携帯性を損ねることなく、綴具のリーフの差し替えをし易くするために綴杆を開き易くする綴具の変位体及び帳面を提供することを主たる目的とする。
この発明に係る綴具の変位体は、
複数の綴杆部と、綴杆部を構成する複数の綴杆を連結するための連結部とを備える綴具の綴杆を変位させるための変位体であって、
綴杆部を構成する複数の綴杆は、綴具の長手方向に所定の一定の間隔をおいて、一対の連結部の各々から突設され、
綴杆部は、綴杆を閉鎖したときに係止するための綴杆係止部を形成され、
綴杆のうち、対向する一方の複数の綴杆は、同時に、綴具の長手方向に変位させ且つ対向する他方の複数の綴杆の綴杆係止部から、脱係するように構成され、
変位体は、少なくとも一方の綴杆に貫挿されるための貫通孔を備える、表表紙と裏表紙とであり、
表表紙は、綴具の長手方向における一端に綴杆を閉じる方向に向けて形成された第1被押圧部を備え、及び/又は、裏表紙は、綴具の長手方向における他端に表表紙の第1被押圧部とは反対方向に向き綴杆を閉じる方向に向けて形成された第2被押圧部を備え、
変位体の貫通孔に綴杆を貫挿され、
表表紙を、綴杆に沿って裏表紙の側まで回転させ、又は、裏表紙を、綴杆に沿って表表紙の側まで回転させ、
第1被押圧部及び/又は第2被押圧部を、綴具の長手方向であって互いに向かって変位させるように押圧することによって、変位体の貫通孔の側部によって、綴杆を押圧し、一方の綴杆と他方の綴杆との相対位置を変位させて、綴杆係止部を脱係させるように構成されている。
この発明の請求項2に係る綴具の変位体は、表表紙及び/又は裏表紙の貫通孔近傍の剛性が、表表紙及び/又は裏表紙の貫通孔近傍以外の部分の剛性よりも高くなるように構成されている。
この発明の請求項3に係る綴具の変位体は、表表紙及び/又は裏表紙の第1被押圧部及び/又は第2被押圧部が設けられている一端と綴具の長手方向の反対側の他端とに、かつ、貫通孔近傍に、第1被押圧部及び/又は第2被押圧部の押圧による変位長さに相当する深さの切り欠きが形成されている。
この発明の請求項4に係る綴具の変位体は、表表紙及び/又は裏表紙の第1被押圧部及び/又は第2被押圧部が、綴具の長手方向に向いて、表表紙及び/又は裏表紙の一端又は他端から延びるように、第1被押圧部材及び/又は第2被押圧部材が付設され、又は、表表紙及び/又は裏表紙と一体的に形成されている。
この発明の請求項5に係る帳面は、綴具と、変位体と、を備える帳面であって、
綴具は、複数の綴杆により構成される綴杆部と、綴杆部を構成する複数の綴杆を連結するための連結部と、を有し、
綴杆部を構成する複数の綴杆は、綴具の長手方向に所定の一定の間隔をおいて、一対の連結部の各々から突設され、
綴杆部は、綴杆を閉鎖したときに係止するための綴杆係止部を形成され、
綴杆のうち、対向する一方の複数の綴杆は、同時に、綴具の長手方向に変位させ且つ対向する他方の複数の綴杆の綴杆係止部から、脱係するように構成され、
変位体は、少なくとも一方の綴杆に貫挿されるための貫通孔を備える、表表紙と裏表紙とであり、綴具の綴杆を変位させるように構成されており、
表表紙は、綴具の長手方向における一端に綴杆を閉じる方向に向けて形成された第1被押圧部を備え、及び/又は、裏表紙は、綴具の長手方向における他端に表表紙の第1被押圧部とは反対方向に向き綴杆を閉じる方向に向けて形成された第2被押圧部を備え、
第1被押圧部及び第2被押圧部は、少なくとも貫通孔より内側に入った長さと、表表紙及び裏表紙の厚さより若干長い厚さと、を備えた被押圧部材からなり、
被押圧部材は、貫通孔の近傍において、表表紙の端面の近傍又は裏表紙の端面の近傍に配設され、
変位体の貫通孔に綴杆を貫挿され、
表表紙を、綴杆に沿って裏表紙の側まで回転させ、又は、裏表紙を、綴杆に沿って表表紙の側まで回転させ、
第1被押圧部及び/又は第2被押圧部を、綴具の長手方向であって互いに向かって変位させるように押圧することによって、変位体の貫通孔の側部によって、綴杆を押圧し、一方の綴杆と他方の綴杆との相対位置を変位させて、綴杆係止部を脱係させるように構成され、
表表紙及び/又は裏表紙の貫通孔近傍の剛性が、表表紙及び/又は裏表紙の貫通孔近傍以外の部分の剛性よりも高くなるように構成され、
表表紙及び/又は裏表紙の第1被押圧部及び/又は第2被押圧部が、綴具の長手方向に向いて、表表紙及び/又は裏表紙の一端又は他端から延びるように、第1被押圧部材及び/又は第2被押圧部材が付設され、又は、表表紙及び/又は裏表紙と一体的に形成されている。
本発明に係る綴具の変位体によれば、帳面の携帯性を損ねることなく、綴具のリーフの差し替えをし易くするために綴杆を開き易くすることができる。
請求項2に係る綴具の変位体によれば、指から綴具の長手方向であって綴具を開く向きにかけられた力が、より確実に綴具の綴杆に伝達され、より確実に綴杆を開くことができる。
請求項3に係る綴具の変位体によれば、第1被押圧部が指に押圧されたことにより表表紙が、連結部の中心に対して対称な位置にある第2被押圧部に指をかけられている裏表紙116Bに向かって変位した際に、第2被押圧部にかかる指に表表紙が圧接することがなくなる。同様に、第2被押圧部が指に押圧されたことにより裏表紙が、連結部の中心に対して対称な位置にある第1被押圧部に指をかけられている表表紙に向かって変位した際に、第1被押圧部にかかる指に裏表紙が圧接することがなくなる。よって、第1被押圧部と第2被押圧部とは、それぞれ指で押圧しやすくなる。したがって、より確実に綴杆を開くことができる。
請求項4に係る綴具の変位体によれば、表表紙及び/又は裏表紙の貫通孔近傍の剛性が、表表紙及び/又は裏表紙のそれ以外の部分の剛性より高くなる。これにより、より確実に綴杆を開くことができる。
請求項5に係る帳面によれば、指から被押圧部材に綴具の長手方向であって綴具を開く向きにかけられた力が、より確実に綴具の綴杆に伝達され、より確実に綴杆を開くことができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明に係る綴具の変位体と綴具で閉じられた帳面の斜視図である。 本発明に係る綴具の変位体である表表紙が、綴具の綴杆に沿って裏側まで、回転された状態の斜視図である。 図1のA矢視点からの帳面の側面図である。 図2のB矢視点からの帳面の側面図である。 表表紙の正面図又は裏表紙の背面図である。 表表紙の背面図又は裏表紙の正面図である。 表表紙と裏表紙とに、被押圧部材が溶着される状態を示す斜視図解図である。 綴具によって綴じられた帳面の正面図である。 綴具が表表紙と裏表紙とによって、変位し開いていく過程を示す平面図である。(A)は、第1被押圧部と第2被押圧部とが押圧された直後の図である。(B)は、第1被押圧部と第2被押圧部とが押圧され、綴具の長手方向に変位した図である。(C)は、綴具が開いた状態の図である。 は、綴具が表表紙と裏表紙とによって、変位する過程を示す平面断面図である。(A)は、変位前の状態を示す図である。(B)は、第1被押圧部と第2被押圧部とが押圧された直後の図である。(C)は、第1被押圧部と第2被押圧部とが押圧され、綴具の長手方向に変位した図である。 綴具の構造を示す図である。(A)は、連結部側から見た斜視図解図である。(B)は、第1綴杆の綴杆係止部付近の斜視図である。(C)は、第2綴杆の綴杆係止部付近の斜視図である。 手の指と、本発明に係る綴具の変位体とによって、帳面の綴具が開かれる状態を示した斜視図である。 本発明に係る綴具の変位体の、第1の変形例の正面図である。 本発明に係る綴具の変位体の、第2の変形例の正面図である。 本発明に係る綴具の変位体の、第2の変形例の背面図である。 本発明に係る綴具の変位体の、第3の変形例の正面図である。 本発明に係る綴具の変位体と綴具で閉じられた帳面の方向を説明する図である。
本発明の実施形態に係る綴具の変位体を図面に基づいて説明する。以下では、方向を図17のように、定義する。特に、この明細書及び特許請求の範囲において、本発明に係る綴具の変位体及び帳面における正面視とは、表表紙と裏表紙とが用箋を挟んで、表表紙と裏表紙と用箋とからなるリーフが綴具によって綴じられている状態において、表表紙側から帳面を見た場合の視点である。また、右向きとは、正面視において右向きのことである。左向きとは、正面視において左向きのことである。また、この明細書及び特許請求の範囲において、リーフは、用紙、合成樹脂製ポケット等の被綴じ物の総称である。なお、以下に示す実施の形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、この発明に係る綴具を用いた帳面の斜視図解図である。
この発明の綴具10は、複数の綴杆部12と、綴杆部12を連結するための連結部14と、綴杆部12を構成する綴杆を開閉させるときの中心となる軸部16とを備える綴具である。綴杆部12を構成する綴杆は、第1綴杆20と第2綴杆30とで構成される一対の綴杆が向き合うように、連結部14を構成する一対の連結部14の各々にその長手方向に所定の一定の間隔をおいて、連結部14の外側部ないし上側部から突設され、綴杆部12は、軸部16を中心にして左右に分かれた、対称形である第1綴杆20及び第2綴杆30を備える。つまり、綴杆部12を構成する複数の綴杆は、綴具10の長手方向に所定の一定の間隔をおいて、一対の連結部14の各々から突設される。綴具10は、第1綴杆20と第2綴杆30とを反対方向に向けて相対的に移動させ且つ捩って、閉じている綴杆部12を開くことができるように構成されている。
この綴具10は、主として、一般的にセルリング式ノートと称されるノートに類似した、手帳、メモ帳、ファイル等も含めた帳面用として構成され、綴具10の綴杆部12に沿ってリーフ110を回転させて360度広げること、すなわち綴杆部12に綴じられたリーフ110を綴杆に沿って捲り、360度捲りかえし、閉じたときに両端にあるリーフ110の表側と裏側とが軸部16を挟んで接し合うことができるように、構成されている。
通常、綴じ穴が形成され筆記するための用紙(用箋116C)であるリーフ110の表側110a及び裏側110bに用箋116Cよりも比較的硬質の表表紙116A及び裏表紙116Bが積層されている。
連結部14は、軸部16を中心にして左右に分かれた、対称形である第1連結部50及び第2連結部60を備え、第1連結部50及び第2連結部60は、右側から左側に連続して長手方向に直線状にのびる略柱状である。
この実施の形態においては、第1綴杆20及び第1連結部50は、第1綴具部材18Aに形成され、第2綴杆30及び第2連結部60は、第2綴具部材18Bに形成され、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとは、対称形に形成されている。
連結部14は、綴杆部12に綴じられたリーフ110を第1綴杆20及び第2綴杆30に沿って回転させ、360度捲りかえし、閉じたときに両端にあるリーフ110の表側と裏側とが軸部16を挟んで接し合うことができるように、下部において第1綴杆20及び第2綴杆30の基部と近接した位置に軸部16を連設されている。
軸部16は、連結部14(第1連結部50と第2連結部60)の長手方向にのびて一対の連結部14(第1連結部50と第2連結部60と)を連結し、第1綴杆20の自由端20bと第2綴杆30の自由端30bとを合わせて閉鎖するとき及び第1綴杆20の自由端20bと第2綴杆30の自由端30bとを離間させるときに回転中心となり、綴杆部12に綴じられたリーフ110を第1綴杆20及び第2綴杆30に沿って捲り、360度捲りかえすことができるように構成されている。
軸部16は、その中心近傍において、弾性部材であるコイルバネ17を挿通している。コイルバネは、第1連結部50と第2連結部60とを、その長手方向に互いに反発するように、付勢している。
綴杆部12は、第1綴杆20及び第2綴杆30の連結部14に連設された基部20a及び基部30aとは反対側の自由端20b及び自由端30bに、第1綴杆20及び第2綴杆30を閉鎖したときに係止するための綴杆係止部を形成されている。すなわち、第1綴杆20は、基部20aとは反対側の頂部である自由端20bに第1綴杆の綴杆係止部22を形成され、第2綴杆30は、基部30aとは反対側の頂部である自由端30bに第2綴杆の綴杆係止部32を形成されている。
綴杆部12は、基部20a及び基部30aから頂部に至る高さ方向(垂直方向)と、第1綴杆20の外周部(外側部)から第2綴杆30の外周部(外側部)に至る幅方向(水平方向)とを備え、第1綴杆20及び第2綴杆30の厚さ(外周部と内周部との間の長さ)よりも、綴具の長さ方向における第1綴杆20及び第2綴杆30の幅の方が長い、断面長方形状である。そして、第1綴杆20及び第2綴杆30は、基部20a及び基部30aから頂部に至るまで、リーフ110を捲ることができるように、リーフ110の綴じ穴112に貫挿される形状に構成されている。
第1綴杆の綴杆係止部22及び第2綴杆の綴杆係止部32は、係止する第1綴杆20及び第2綴杆30の回転方向と交差する方向に、すなわち軸部16の長手方向に第1綴杆20及び第2綴杆30を相対移動して、第1綴杆20及び第2綴杆30の先端を合わせて閉鎖するときに係止し又は第1綴杆20及び第2綴杆30の先端を離間させるときに脱係するように形成されている。
第1綴杆20は、閉じたときに略円環状の綴杆となるように、半円弧状の半割杆20Aから構成され、第2綴杆30は、閉じたときに略円環状の綴杆となるように、半円弧状の半割杆30Aから構成され、第1綴杆20と第2綴杆30とは、対向するように構成されている。
そして、リーフ110に予め穿設された綴じ穴112に挿通して、リーフ110を綴じることができるように、半割杆20Aと半割杆30Aとの先端、すなわち第1綴杆20及び第2綴杆30の頂部において、綴杆係止部22,32が形成されている。
第1綴杆20を構成する半割杆20Aと第2綴杆30を構成する半割杆30Aとは、半割杆20Aの第1綴杆の綴杆係止部22と、半割杆30Aの第2綴杆の綴杆係止部32とを係止することにより、略円環状に連結される。
そして、第1綴杆20と第2綴杆30とは、その第1綴杆の綴杆係止部22及び第2綴杆の綴杆係止部32を外す方向に移動させることにより、第1の綴杆20側のリーフ110と第2綴杆30側のリーフ110とを逆方向に移動させて係止された第1綴杆の綴杆係止部22及び第2綴杆の綴杆係止部32を外すことができるように構成されている。
第1綴杆20を構成する半割杆20Aの先端に形成された第1綴杆の綴杆係止部22を構成する先端の第1綴杆の凸部及びその第1綴杆の凸部に続く第1綴杆の凹部と、第2綴杆30を構成する半割杆30Aの第2綴杆の綴杆係止部32を構成する先端の第2綴杆の凸部及びその先端の第2綴杆の凸部に続く第2綴杆の凹部とは、第1綴杆20と第2綴杆30とが高さ方向に脱係しないように、第1綴杆20と第2綴杆30とを閉じたとき係合するように逆方向に向けて突き出しあるいは凹み形成されている。
第1綴杆20の綴杆係止部22及び第2綴杆30の綴杆係止部32は、第1綴杆20及び第2綴杆30の回転方向に脱係しないように、第1綴杆20及び第2綴杆30の回転方向にのびる脱係防止部28及び脱係防止部38が形成されている。
脱係防止部28は、頂部側において左側に向けて突き出る鉤鼻状係止凸部と、基部20a側において右側に向けて凹む係止凹部とを有し、自由端側の係止凸部から続いて基部20a側に係止凹部が形成されている。
脱係防止部38は、頂部側において右側に向けて突き出る鉤鼻状係止凸部と、基部30a側において左側に向けて凹む係止凹部とを有し、自由端側の係止凸部から続いて基部30a側に係止凹部が形成されている。
第1綴杆20と第2綴杆30とを閉じたとき、脱係防止部28の係止凸部は脱係防止部38の係止凹部に嵌合され、脱係防止部38の係止凸部は脱係防止部28の係止凹部に嵌合され、係止凸部と係止凸部とは、第1綴杆20と第2綴杆30とを回転方向に引いたときに、突き当たる。
弾性部材であるコイルバネ17により、第1綴杆20と第2綴杆30とは、綴杆係止部22及び綴杆係止部32によって、係止された状態を保持することができる。
つまり、第1綴杆20の綴杆係止部22と、第2綴杆30の綴杆係止部32とは、回転方向には脱係防止部28及び脱係防止部38により、さらに、高さ方向には第1綴杆20先端の凸部、凹部、第2綴杆30先端の凸部及び凹部により、係止された状態となり、脱係することはない。
一方、第1綴杆20の綴杆係止部22と、第2綴杆30の綴杆係止部32とは、長さ方向(綴具10の長手方向)のうち、一方向には脱係防止部28及び脱係防止部38により係止された状態となるものの、他方向には、コイルバネ17により反発力を受けるだけで、それに抗う力を及ぼされると、係止状態は解除される。
よって、表表紙116Aと裏表紙116Bとから、綴具10の綴杆20、30に綴具10の長手方向の力を受け変位すると、第1綴杆20と第2綴杆30の係止状態は解除される。
つまり、綴杆のうち、対向する一方の複数の綴杆は、同時に、綴具10の長手方向に変位させ且つ対向する他方の複数の綴杆の綴杆係止部から、脱係するように構成されている。
綴具10は、第1綴杆20及び第2綴杆30に、リーフ110の幅方向に所定の一定の間隔をあけて連続して設けられた貫通孔112(綴じ穴112)を貫挿し、綴じ穴112と連結部14との間に第1綴杆20及び第2綴杆30が架け渡されるようにして、リーフ110を綴じ、帳面を構成する。
リーフ110は、表表紙116Aと、裏表紙116Bと、それらとの間に挟まれた筆記用の用箋116Cと、を備えている。表表紙116A、裏表紙16B及び用箋116Cは、綴具の綴杆が貫挿される貫通孔112(綴じ穴112)が形成されている。
表表紙116Aは、リーフ110の用箋116Cよりも比較的硬質の材料であり、例えば、ポリプロピレンを材料として形成されている。
表表紙116Aは、第1綴杆20の綴杆係止部22を脱係する方向すなわち綴具10の長さ方向における右側に向けて、移動させる変位体を構成しており、その左側端縁の綴具10側近傍に第1被押圧部116A1が設けられている。
つまり、表表紙116Aは、綴具10の長手方向における一端に綴杆を閉じる方向(係止する方向)に向けて形成された第1被押圧部116A1を備える。
裏表紙116Bは、リーフ110の用箋116Cよりも比較的硬質の材料であり、例えば、ポリプロピレンを材料として形成されている。
裏表紙116Bは、第2綴杆30の綴杆係止部32を脱係する方向すなわち綴具10の長さ方向における左側に向けて、移動させる変位体を構成しており、その右側端縁の綴具10側近傍に第2被押圧部116B1が設けられている。
つまり、裏表紙116Bは、綴具10の長手方向における他端に表表紙116Aの第1被押圧部116A1とは反対方向に向き綴杆を閉じる方向(係止する方向)に向けて形成された第2被押圧部116B1を備える。
変位体は、綴具10の綴杆である第1綴杆20と第2綴杆30とを変位させる。変位体は、少なくとも一方の綴杆に貫挿されるための貫通孔112を備える、表表紙116Aと裏表紙116Bとである。
表表紙116A及び裏表紙116Bの形状は、方形であり、上端縁と下端縁とは並行であり、左側端縁と右側端縁とは切り欠き部分を除いて、並行である。後述する複数の貫通孔112から構成される貫通孔群112Gの直列する方向は、表表紙116A及び裏表紙116Bの上端縁及び下端縁に平行である。また、表表紙116A及び裏表紙116Bの上端縁及び下端縁は、表表紙116A及び裏表紙116Bの貫通孔群112Gに、後述する第1綴杆群20G又は第2綴杆群30Gが貫挿され、綴具10が帳面の上側に配設されている場合において、貫通孔群112Gと第1綴杆群20G又は第2綴杆群30Gとが平行に配設される。つまり、綴具10の長手方向と表表紙116A及び裏表紙116Bの上端縁及び下端縁(帳面の幅方向)とは、平行である。表表紙116A及び裏表紙116Bの剛性は、後述するコイルバネ17により付勢され第1綴杆20及び第2綴杆30に生じる綴具10の長手方向の力に抗うように、後述する第1被押圧部116A1及び第2被押圧部116B1に指によりかけられた力に押圧されても、変形しない程度の剛性である。表表紙116A及び裏表紙116Bが、例えばポリプロピレンを材料として形成されている場合には、貫通孔近傍において0.6mm以上の厚みを有していることが好ましい。
第1被押圧部116A1は、表表紙116Aの綴具10側隅部の左側端縁より、表表紙116Aを第1綴杆20の綴杆係止部22を脱係する方向である右側に向けて、指で押圧することができる形状を備えた被押圧部材1116Aによって構成されている。図6に示すように、第1被押圧部116A1及び第2被押圧部116B1は、それぞれ、少なくとも綴具10の長手方向(帳面の幅方向)に向ける端より帳面の幅方向に若干内側に入った幅と、貫通孔112より帳面の高さ方向に若干内側に入った長さと、表表紙116A及び裏表紙116Bの厚さより若干長い厚さと、を備えた被押圧部材1116A、1116Bによって構成されている。
表表紙116Aに形成されている複数の貫通孔112は、それぞれ側部112Sを有している。それぞれの貫通孔112の側部112Sは、表表紙116Aの第1被押圧部116A1に指からかけられ押圧された力が表表紙116Aにより伝達され、綴具10の複数の第1綴杆20の基部20aの側面を、長さ方向(綴具10の長手方向)であって綴具10を係止解除する方向にそれぞれ押圧する。これにより、第1綴杆20の綴杆係止部22は、第2綴杆30の綴杆係止部30から脱係するように、複数の第1綴杆20は複数の第2綴杆30との相対位置から変位する。
被押圧部材1116A、1116Bは、表表紙116A及び裏表紙116Bを形成する材料よりも、硬質性の材料であることが好ましい。
図7に示すように、被押圧部材1116A、1116Bは、それぞれ、指当接部1116Aa、1116Baと、表紙固定部1116Ab、1116Bbと、L字角部1116Ac、1116Bcと、を有し、合成樹脂で一体に形成されている。
指当接部1116Aa、1116Baは、帳面10の高さ方向に沿って上下に延びる角柱状の形状に形成されている。指当接部1116Aa、1116Baは、指に当接されることで、指から力を受け、押圧された力を第1被押圧部116A1、第2被押圧部116B1から表表紙116A、裏表紙116Bに伝達する。
表紙固定部1116Ab、1116Bbは、それぞれ、少なくとも綴具10の長手方向に向ける端より帳面の幅方向に若干内側に入った幅と、貫通孔112より帳面の高さ方向に若干内側に入った長さと、表表紙116A及び裏表紙116Bの厚さより若干長い厚さと、を備えた略板状の形状に形成されている。表紙固定部1116Ab、1116Bbは、表裏方向から見て、L字形の形状に形成されている。表紙固定部1116Ab、1116Bbは、表表紙116A、裏表紙116Bに面接触し、被押圧部材1116A、1116Bを表表紙116A、裏表紙116Bに固定する。
L字角部1116Ac、1116Bcは、指当接部と表紙固定部との接続部分である。L字角部1116Ac、1116Bcは、帳面の高さ方向(上下方向)から見て、L字形の形状に形成されている。L字角部1116Ac、1116Bcの、指当接部と表紙固定部との接続により内側に形成される稜線が、表表紙116A、裏表紙116Bの上側端縁近傍の、帳面の幅方向端縁に当接する。
被押圧部材1116A、1116Bの形状は、上記の指当接部1116Aa、1116Baと、表紙固定部1116Ab、1116Bbと、L字角部1116Ac、1116Bcと、の形状から、少なくとも貫通孔112より内側に入った長さと、表表紙116A及び裏表紙116Bの厚さより若干長い厚さと、を備えた形状である。
被押圧部材1116Aは、表面側に突き出されるように、貫通孔の近傍であって、表表紙116Aの上側端面の近傍かつ左側端面の近傍に配設される。また、被押圧部材1116Aは、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの第1被押圧部116A1及び/又は第2被押圧部116B1が、綴具10の長手方向に向いて、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの一端又は他端から延びるように、付設されていてもよい。第1被押圧部116A1の被押圧部材1116Aの形状は、表表紙116Aが帳面の表側に配置している場合において、例えば、表側から見て、帳面10の高さ方向(上下)に延びた指当接部1116Aaが矩形であり、裏側から見て、表紙固定部1116Abが略L字を左右反転させた形状であり、表紙固定部1116Abが表表紙116Aの上端縁から下に向かって貫通孔112を超えて延び、さらに当該位置から右側(綴具10の長手方向)に延びた形状である。被押圧部材1116Aの表紙固定部1116Abは、表表紙116Aに、超音波溶着されていることが好ましい。これにより、被押圧部材1116Aが確実に表表紙116Aに固定され、第1被押圧部116A1に指によりかけられ押圧された力は、確実に表表紙116Aに伝達される。
被押圧部材1116Bは、裏面側に突き出されるように、貫通孔の近傍であって、裏表紙116Bの上側端面の近傍かつ右側端面の近傍に配設される。また、被押圧部材1116Bは、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの第1被押圧部116A1及び/又は第2被押圧部116B1が、綴具10の長手方向に向いて、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの一端又は他端から延びるように、付設されていてもよい。第2被押圧部116B1の被押圧部材1116Bの形状は、裏表紙116Bが帳面の裏側に配置している場合において、例えば、裏側から見て、上下に延びた指当接部1116Baが矩形であり、表側から見て、表紙固定部1116BbがL字を左右反転させた形状であり、表紙固定部1116Bbが裏表紙116Bの上端縁から下に向かって貫通孔112を超えて延び、さらに当該位置から左側(綴具10の長手方向)に延びた形状である。被押圧部材1116Bの表紙固定部1116Bbは、裏表紙116Bに、超音波溶着されていることが好ましい。これにより、被押圧部材1116Bが確実に表表紙116Bに固定され、第2被押圧部116B1に指によりかけられ押圧された力は、確実に裏表紙116Bに伝達される。
第1被押圧部116A1の被押圧部材1116Aと、第2被押圧部116B1の被押圧部材1116Bとは、表表紙116Aを第1綴杆20に沿って裏表紙116Bの側まで回転させ、又は、裏表紙116Bを第2綴杆30に沿って表表紙116Aの側まで回転させた場合においては、連結部14の中心に対して対称な位置に配設されるように構成されている。
表表紙116A及び裏表紙116Bは、綴具10により綴られる用箋116Cの表裏方向から見た形状と同一の形状である。表表紙116A及び裏表紙116Bは、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの第1被押圧部116A1及び/又は第2被押圧部116B1が設けられている一端と綴具10の長手方向の反対側の他端とに、かつ、貫通孔近傍に、第1被押圧部116A1及び/又は第2被押圧部116B1の押圧による変位長さに相当する深さの切り欠きである第1切欠部116A2、第2切欠部116B2、第3切欠部116A3、第4切欠部116B3が形成されている。表表紙116Aは、綴具10の長手方向の左側端に第1切欠部116A2が形成され、右側端に第3切欠部116A3が形成されている。第1切欠部116A2、第2切欠部116B2、第3切欠部116A3、第4切欠部116B3の表裏方向から見た時の形状は、帳面の高さ方向の上端から帳面の幅方向の側端へ曲がる略L字形の凹状であるように、表表紙116A及び裏表紙116Bに形成されている。裏表紙116Bは、綴具10の長手方向の右側端に第2切欠部116B2が形成され、左側端に第4切欠部116B3が形成されている。表表紙116Aの第1切欠部116A2は被押圧部材取付部116D1を構成する。裏表紙116Bの第2切欠部116B2は被押圧部材取付部116D2を構成する。表表紙116Aの被押圧部材取付部116D1は、第1被押圧部116A1の被押圧部材1116AのL字角部1116Acに当接する。被押圧部材取付部116D1が形成する切り欠きの深さに、被押圧部材1116Aの指当接部1116Aaが、略収納される。裏表紙116Bの被押圧部材取付部116D2は、第2被押圧部116B1の被押圧部材1116BのL字角部1116Bcに当接する。被押圧部材取付部116D2が形成する切り欠きの深さに、被押圧部材1116Bの指当接部1116Baが、略収納される。
これにより、第1被押圧部116A1が指に押圧されたことにより表表紙116Aが、連結部14の中心に対して対称な位置にある第2被押圧部116B1に指をかけられている裏表紙116Bに向かって変位した際に、第2被押圧部116B1にかかる指に表表紙116Aが圧接することがなくなる。同様に、第2被押圧部116B1が指に押圧されたことにより裏表紙116Bが、連結部14の中心に対して対称な位置にある第1被押圧部116A1に指をかけられている表表紙116Aに向かって変位した際に、第1被押圧部116A1にかかる指に裏表紙116Bが圧接することがなくなる。よって、第1被押圧部116A1と第2被押圧部116B1とは、それぞれ指で押圧しやすくなる。したがって、より確実に第1綴杆20と第2綴杆30とを開くことができる。
表表紙116Aと裏表紙116Bとは、複数の貫通孔112が形成されている。複数の貫通孔112は、綴具10の長手方向に直列して形成されている。複数の貫通孔112は、複数の第1綴杆20及び複数の第2綴杆30の間隔と同一の間隔を隔てて、直線状に並んでいる。複数の貫通孔112は、同一形状の孔の形状を有しており、貫通孔112の孔の、綴具10の長手方向の長さは、第1綴杆20及び第2綴杆30の綴具10の長手方向の幅より、若干長く形成されている。これにより、表表紙116Aと裏表紙116Bとは、それぞれ、第1綴杆20と第2綴杆30とに貫挿しやすくなるとともに、第1被押圧部116A1と第2被押圧部116B1とが指に押圧されることによって、表表紙116Aと裏表紙116Bとが変位した長さに相当する長さで第1綴杆20と第2綴杆30とを変位することができる。
複数の貫通孔112は、貫通孔群112Gを形成する。
複数の第1綴杆20は、第1綴杆群20Gを形成する。複数の第2綴杆30は、第2綴杆群30Gを形成する。
第1綴杆群20Gは、表表紙116Aの貫通孔群112Gを貫挿する。第2綴杆群30Gは、裏表紙116Bの貫通孔群112Gを貫挿する。
第2被押圧部116B1は、裏表紙116Bの綴具10側隅部の右側端縁より、裏表紙116Bを第2綴杆30の綴杆係止部32を脱係する方向である左側に向けて、指で押圧することができる形状を備えた被押圧部材1116Bによって構成されている。
裏表紙116Bに形成されている複数の貫通孔112は、それぞれ側部112Sを有している。それぞれの貫通孔112の側部112Sは、裏表紙116Bの第2被押圧部116B1に指からかけられ押圧された力が裏表紙116Bにより伝達され、綴具10の複数の第2綴杆30の基部30aの側面を、長さ方向(綴具10の長手方向)であって綴具10を係止解除する方向にそれぞれ押圧する。これにより、第2綴杆30の綴杆係止部32は、第1綴杆20の綴杆係止部22から脱係するように、複数の第2綴杆30は複数の第1綴杆20との相対位置から変位する。
また、第1被押圧部116A1の被押圧部材1116Aは、表表紙116Aと一体的に形成されていてもよい。例えば、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの第1被押圧部116A1及び/又は第2被押圧部116B1が、綴具10の長手方向に向いて、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの一端又は他端から延びるように、一体的に形成されていてもよい。第1被押圧部116A1と表表紙116Aとが一体的に形成されることにより、表表紙116Aの貫通孔112近傍の剛性が、表表紙116Aのそれ以外の部分の剛性より高くなる。これにより、複数の第1綴杆20により構成される第1綴杆群20Gを、表表紙116Aの複数の貫通孔112で構成される貫通孔群112Gで、一体的に押圧することが可能となる。つまり、第1被押圧部116A1を押圧することで、複数の第1綴杆20を長さ方向(綴具10の長手方向)に、より確実に押圧することができる。したがって、より確実に第1綴杆20を開くことができる。
同様に、第2被押圧部116B1の被押圧部材1116Bは、裏表紙116Bと一体的に形成されていてもよい。第2被押圧部116B1と裏表紙116Bとが一体的に形成されることにより、裏表紙116Bの貫通孔112近傍の剛性が、裏表紙116Bのそれ以外の部分の剛性より高くなる。これにより、複数の第2綴杆30により構成される第2綴杆群30Gを、裏表紙116Bの複数の貫通孔112で構成される貫通孔群112Gで、一体的に押圧することが可能となる。つまり、第2被押圧部116B1を押圧することで、複数の第2綴杆30を長さ方向(綴具10の長手方向)に、より確実に押圧することができる。したがって、より確実に第2綴杆30を開くことができる。
また、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの貫通孔112近傍の剛性が、表表紙116A及び/又は裏表紙116Bの貫通孔112近傍以外の部分の剛性よりも高くなるように構成されていてもよい。
例えば、表表紙116Aと裏表紙116Bとが合成樹脂のポリプロピレンで形成されている場合には、貫通孔112近傍の厚みを0.6mmで形成し、それ以外の部分の厚みを0.5mmで形成してもよい。これにより、複数の第1綴杆20により構成される第1綴杆群20Gを、表表紙116Aの複数の貫通孔112で構成される貫通孔群112Gで、一体的に押圧することが可能となる。同様に、複数の第2綴杆30により構成される第2綴杆群30Gを、裏表紙116Bの複数の貫通孔112で構成される貫通孔群112Gで、一体的に押圧することが可能となる。つまり、第1被押圧部116A1を押圧することで、複数の第1綴杆20を長さ方向(綴具10の長手方向)に、より確実に押圧することができるとともに、第2被押圧部116B1を押圧することで、複数の第2綴杆30を長さ方向(綴具10の長手方向)に、より確実に押圧することができる。言い換えれば、指から綴具10の長手方向であって綴具10を開く向きにかけられた力が、より確実に綴具10の第1綴杆20と第2綴杆30とに伝達され、より確実に第1綴杆20と第2綴杆30とを開くことができる。
綴具10に綴じられ、表表紙116Aと裏表紙116Bとの間に配設される用箋116Cは、表裏方向から見て、表表紙116A及び裏表紙116bの形状と同一の形状に形成されている。用箋116は、貫通孔112(綴じ孔112)が、表表紙116A及び裏表紙116bと同じ位置に同じ形状で、形成されている。用箋116Cは、貫通孔112の上側(帳面10の高さ方向の上側)に綴じ代側端縁114を有しており、綴具10は、綴じ代側端縁114を跨ぐように、用箋116Cの上側に位置して用箋116Cを綴じる。
用箋116Cには、表表紙116A及び裏表紙116Bの第1切欠部116A2、第2切欠部116B2、第3切欠部116A3、第4切欠部116B3の形状と同一形状の切り欠きである用箋切欠部1116C1、1116C2が形成されている。用箋切欠部1116C1は、用箋116Cの綴具10の長手方向の左側端に形成されている。用箋切欠部1116C2は、用箋116Cの綴具10の長手方向の右側端に形成されている。
これにより、第1被押圧部116A1が指に押圧されたことにより表表紙116Aとともに用箋116Cが、連結部14の中心に対して対称な位置にある第2被押圧部116B1に指をかけられている裏表紙116Bに向かって変位した際に、第2被押圧部116B1にかかる指に用箋116Cが圧接することがなくなる。同様に、第2被押圧部116B1が指に押圧されたことにより裏表紙116Bとともに用箋116Cが、連結部14の中心に対して対称な位置にある第1被押圧部116A1に指をかけられている表表紙116Aに向かって変位した際に、第1被押圧部116A1にかかる指に用箋116Cが圧接することがなくなる。よって、第1被押圧部116A1と第2被押圧部116B1とは、それぞれ指で押圧しやすくなる。
以下においては、綴具10と、綴具10の変位体である表表紙116Aと裏表紙116Bと、を用いて、綴具10により綴じられている帳面のリーフを差し替える過程を説明する。
図1及び図3に示すように、帳面のリーフ110は、綴具10により、表表紙116Aと用箋116Cと裏表紙116Bとが一体的に綴じられている。帳面の使用されている状態は、表表紙116Aを、表表紙116Aに形成された複数の貫通孔112を貫挿する複数の綴杆20の半綴杆20Aに沿って、360度捲りかえし、図2及び図4に示す状態となる。つまり、表表紙116Aを、綴杆に沿って裏表紙116Bの側まで回転させる。図2及び図4に示す状態では、表側から見て、用箋116Cが配設され、次に裏表紙116Bが配設され、その裏側に表表紙116Aが配設される。
この図2及び図4に示す状態において、リーフのうちの用箋116Cを、差し入れる又は抜き出すためには、綴具10の綴杆部12、つまり第1綴杆20と第2綴杆30とを開く必要がある。
第1綴杆20と第2綴杆30とを開くために、表表紙116Aの第1被押圧部116A1と裏表紙116Bの第2被押圧部116B1とに、例えば図12に示すように左手の親指と人差し指とをかける。左手の親指と人差し指とから、図9(A)に示すように、表表紙116Aの第1被押圧部116A1と裏表紙116Bの第2被押圧部116B1とに、綴具10の長手方向(帳面の幅方向)に対向する力であって互いに近づく方向に向いた力がかけられ押圧される。表表紙116Aと裏表紙116Bとは、軸部16に挿通されたコイルバネ17によって、綴具10の長手方向(帳面の幅方向)に対向する力であって互いに対向し離れる方向に付勢されている。したがって、左手の親指と人差し指とは、そのコイルバネ17による弾性力に抗う力で、表表紙116Aの第1被押圧部116A1と裏表紙116Bの第2被押圧部116B1とを押圧することによって、表表紙116Aと裏表紙116Bとは第1綴杆20と第2綴杆30とを開く方向に変位することが可能となる。
左手の親指と人差し指とが、表表紙116Aの第1被押圧部116A1と裏表紙116Bの第2被押圧部116B1とを当該力で押圧する際、それぞれの指は、図12に示すように、第1被押圧部116A1を構成する被押圧部材1116Aの指当接部1116Aaと第2被押圧部116B1を構成する被押圧部材1116Bの指当接部1116Baとに、当接し力をかけ押圧する。指当接部1116Aaが押圧された力は、L字角部1116Acから表紙固定部1116Abを経て、表表紙116Aに伝達される。表表紙116Aは、被押圧部材1116Aの剛性と表紙固定部1116Abが表表紙116Aに溶着していることとが相まって、一定の剛性を有しているため、表表紙116Aに伝達された力は、図10(B)に示すように、表表紙116Aの複数の貫通孔112の全てに伝達される。複数の貫通孔112が有する貫通孔の側部112Sは、複数の第1綴杆20の半綴杆20Aの中程に当接し押圧していく。複数の貫通孔112と複数の第1綴杆20とは、同一の間隔で綴具の長手方向に直列しているため、表表紙116Aの複数の貫通孔の側部112Sは、同時に、全ての複数の第1綴杆20の半綴杆20Aに当接し押圧していく。同様に、指当接部1116Baが押圧された力は、L字角部1116Bcから表紙固定部1116Bbを経て、裏表紙116Bに伝達される。裏表紙116Bは、被押圧部材1116Bの剛性と表紙固定部1116Bbが表表紙116Bに溶着していることとが相まって、一定の剛性を有しているため、裏表紙116Bに伝達された力は、裏表紙116Aの複数の貫通孔112の全てに伝達される。複数の貫通孔112が有する貫通孔の側部112Sは、複数の第2綴杆30の半綴杆30Aの中程に当接し押圧していく。複数の貫通孔112と複数の第2綴杆30とは、同一の間隔で綴具の長手方向に直列しているため、裏表紙116Bの複数の貫通孔の側部112Sは、同時に、全ての複数の第2綴杆30の半綴杆30Aに当接し押圧していく。つまり、第1綴杆群20Gは表表紙116Aの貫通孔群112Sに押圧され、第2綴杆群30Gは裏表紙116Bの貫通孔群112Sに押圧される。
これによって、図9(B)及び図10(C)に示すように、表表紙116A側に位置する複数の第1綴杆20は、綴具10の長手方向の右向きに変位し、裏表紙116B側に位置する複数の第2綴杆30は、綴具10の長手方向の左向きに変位する。これにより、複数の第1綴杆20の綴杆係止部22と複数の第2綴杆30の綴杆係止部32とは、脱係する。
つまり、対向する一方の複数の綴杆は、同時に、綴具の長手方向に変位させ且つ対向する他方の複数の綴杆の綴杆係止部から、脱係する。また、言い換えると、第1被押圧部116A及び/又は前記第2被押圧部116Bを、綴具10の長手方向であって互いに向かって変位させるように押圧することによって、変位体の貫通孔112の側部112Sによって、綴杆を押圧し、前記一方の綴杆と他方の綴杆との相対位置を変位させて、綴杆係止部22、32を脱係させる
綴杆係止部22と綴杆係止部32とが脱係した後、親指と人差し指で軽く表裏方向に力をかけると、コイルバネ17による弾性力によって、第1連結部50と第2連結部60とを通じて、複数の第1綴杆20と複数の第2綴杆30とは、綴具の長手方向の変位前の位置、つまり、複数の第1綴杆20と複数の第2綴杆30とが対向する位置に戻りながら、表裏方向に開く(図9(C)及び図12参照)。
これによって、綴具10は係止解除され開いた状態となり、帳面のリーフ110は差し入れ又は取り出し、差し替えることができる。
リーフ110を差し替えた後は、複数の第1綴杆20と複数の第2綴杆30とを、表裏方向に綴じると、第1綴杆20の綴杆係止部22と第2綴杆30の綴杆係止部32とが、再度、係止し、綴具10は略円環状の綴杆部12を有した状態となる。そして、衣服のポケット又は鞄等に入れて携帯することが可能となる。
したがって、綴具10の変位体である表表紙116A及び/又は裏表紙116bによれば、帳面の携帯性を損ねることなく、綴具のリーフの差し替えをし易くするために綴杆を開き易くすることができる。
次に、本発明に係る綴具の変位体の変形例を示す。
図13に示すように、表表紙116A及び裏表紙116Bには、綴具の長手方向(帳面の幅方向)の側端に切り欠きが形成されていなくても、指当接部1116Aa及び指当接部1116Baが側端から帳面の幅方向に突出するように被押圧部材1116A及び被押圧部材1116Bが設けられることで、第1被押圧部116A1及び第2被押圧部116B1が外側に突出しているように、綴具10の変位体は構成されていてもよい。
この場合には、第1被押圧部116A1及び第2被押圧部第1被押圧部116B1に指がかけられ、表表紙116A及び裏表紙116Bが綴具の長手方向に変位しても、第1被押圧部116A1及び第2被押圧部第1被押圧部116B1にかけられた指に表表紙116A及び裏表紙116Bが圧接することはない。このため、この綴具の変位体によれば、帳面の携帯性を損ねることなく、綴具10のリーフ110の差し替えをし易くするために第1綴杆20と第2綴杆30とを開き易くすることができる。
図14及び図15に示すように、被押圧部材1116A、1116Bの表紙固定部1116Ab、1116Bbが綴具の長手方向(帳面の幅方向)に、表表紙116A及び裏表紙116Bの一端又は他端から延びるように形成された矩形であって、端縁から内側に貫通孔112の略2孔相当の長さに延びていてもよい。これにより、被押圧部材1116A、1116Bの剛性と、表紙固定部1116Ab、1116Bbが表表紙116A及び裏表紙116Bに溶着していることと、表表紙116A及び裏表紙116Bの剛性と、が相まって、表表紙116A及び裏表紙116Bの剛性がより高まる。したがって、この綴具の変位体によれば、帳面の携帯性を損ねることなく、綴具のリーフの差し替えをし易くするために綴杆を開き易くすることができる。
図16に示すように、被押圧部材1116A、1116Bの表紙固定部1116Ab、1116Bbが綴具の長手方向(帳面の幅方向)に、表表紙116A及び裏表紙116Bの一端又は他端から延びるように形成された矩形であって、帳面の幅の長さより若干長い程度の長さに延びていてもよい。これにより、被押圧部材1116A、1116Bの剛性と、表紙固定部1116Ab、1116Bbが表表紙116Aと裏表紙116Bとに溶着していることと、表表紙116A及び裏表紙116Bの剛性と、が相まって、表表紙116A及び裏表紙116Bの剛性がより高まる。したがって、この綴具の変位体によれば、帳面の携帯性を損ねることなく、綴具のリーフの差し替えをし易くするために綴杆を開き易くすることができる。
第1綴杆20綴杆係止部22は、第1綴杆20の基部20a近傍又は連結部14に設けられていてもよい。同様に、第2綴杆30綴杆係止部32は、第2綴杆30の基部30a近傍又は連結部14に設けられていてもよい。この場合においても、第1被押圧部116A1及び/又は第2被押圧部116B1を、綴具10の長手方向であって互いに向かって変位させるように押圧することによって、変位体の貫通孔112の側部112Sによって、綴杆を押圧し、一方の綴杆と他方の綴杆との相対位置を変位させて、綴杆係止部22、32を脱係させることができる。したがって、この綴具の変位体によれば、帳面の携帯性を損ねることなく、綴具のリーフの差し替えをし易くするために綴杆を開き易くすることができる。
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
10 綴具
12 綴杆部
14 連結部
16 軸部
18A 第1綴具部材
18B 第2綴具部材
20 第1綴杆
20G 第1綴杆群
30 第2綴杆
30G 第2綴杆群
20a,30a 基部
20b,30b 自由端
20A,30A 半割杆
22 第1綴杆の綴杆係止部
32 第2綴杆の綴杆係止部
24 第1綴杆の凸部
34 第2綴杆の凸部
26 第1綴杆の凹部
36 第2綴杆の凹部
28,38 脱係防止部
50 第1連結部
60 第2連結部
52 第1連結部の外側部
62 第2連結部の外側部
54 第1連結部の上側部
64 第2連結部の上側部
56 第1連結部の対向部
66 第2連結部の対向部
58 第1連結部の下側部
68 第2連結部の下側部
110 リーフ
110a リーフの表側
110b リーフの裏側
112 貫通孔(綴じ穴)
112G 貫通孔群
112S 貫通孔の側部
114 綴じ代側端縁
116A 表表紙
116A1 第1被押圧部
1116A 被押圧部材
1116Aa 指当接部
1116Ab 表紙固定部
1116Ac L字角部
116A2 第1切欠部
116B 裏表紙
116B1 第2被押圧部
1116B 被押圧部材
1116Ba 指当接部
1116Bb 表紙固定部
1116Bc L字角部
116B2 第2切欠部
116C 用箋
1116C1 用箋切欠部
1116C2 用箋切欠部

Claims (5)

  1. 複数の綴杆部と、前記綴杆部を構成する複数の綴杆を連結するための連結部とを備える綴具の綴杆を変位させるための変位体であって、
    前記綴杆部を構成する複数の綴杆は、前記綴具の長手方向に所定の一定の間隔をおいて、一対の連結部の各々から突設され、
    前記綴杆部は、綴杆を閉鎖したときに係止するための綴杆係止部を形成され、
    綴杆のうち、対向する一方の複数の綴杆は、同時に、綴具の長手方向に変位させ且つ対向する他方の複数の綴杆の綴杆係止部から、脱係するように構成され、
    変位体は、少なくとも一方の綴杆に貫挿されるための貫通孔を備える、表表紙と裏表紙とであり、
    表表紙は、綴具の長手方向における一端に綴杆を閉じる方向に向けて形成された第1被押圧部を備え、及び/又は、裏表紙は、綴具の長手方向における他端に前記表表紙の第1被押圧部とは反対方向に向き綴杆を閉じる方向に向けて形成された第2被押圧部を備え、
    前記変位体の貫通孔に綴杆を貫挿され、
    前記表表紙を、綴杆に沿って前記裏表紙の側まで回転させ、又は、前記裏表紙を、綴杆に沿って前記表表紙の側まで回転させ、
    前記第1被押圧部及び/又は前記第2被押圧部を、綴具の長手方向であって互いに向かって変位させるように押圧することによって、前記変位体の貫通孔の側部によって、綴杆を押圧し、前記一方の綴杆と他方の綴杆との相対位置を変位させて、綴杆係止部を脱係させるように構成された、綴具の変位体。
  2. 前記表表紙及び/又は前記裏表紙の貫通孔近傍の剛性が、前記表表紙及び/又は前記裏表紙の貫通孔近傍以外の部分の剛性よりも高くなるように構成された、請求項1に記載の綴具の変位体。
  3. 前記表表紙及び/又は前記裏表紙の前記第1被押圧部及び/又は前記第2被押圧部が設けられている一端と綴具の長手方向の反対側の他端とに、かつ、貫通孔近傍に、前記第1被押圧部及び/又は前記第2被押圧部の押圧による変位長さに相当する深さの切り欠きが形成された、請求項1又は請求項2に記載の綴具の変位体。
  4. 前記表表紙及び/又は前記裏表紙の前記第1被押圧部及び/又は前記第2被押圧部が、綴具の長手方向に向いて、前記表表紙及び/又は前記裏表紙の一端又は他端から延びるように、被押圧部材が付設され、又は、表表紙及び/又は裏表紙と一体的に形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の綴具の変位体。
  5. 綴具と、変位体と、を備える帳面であって、
    前記綴具は、複数の綴杆により構成される綴杆部と、前記綴杆部を構成する複数の綴杆を連結するための連結部と、を有し、
    前記綴杆部を構成する複数の綴杆は、前記綴具の長手方向に所定の一定の間隔をおいて、一対の連結部の各々から突設され、
    前記綴杆部は、綴杆を閉鎖したときに係止するための綴杆係止部を形成され、
    綴杆のうち、対向する一方の複数の綴杆は、同時に、綴具の長手方向に変位させ且つ対向する他方の複数の綴杆の綴杆係止部から、脱係するように構成され、
    変位体は、少なくとも一方の綴杆に貫挿されるための貫通孔を備える、表表紙と裏表紙とであり、綴具の綴杆を変位させるように構成されており、
    表表紙は、綴具の長手方向における一端に綴杆を閉じる方向に向けて形成された第1被押圧部を備え、及び/又は、裏表紙は、綴具の長手方向における他端に前記表表紙の第1被押圧部とは反対方向に向き綴杆を閉じる方向に向けて形成された第2被押圧部を備え、
    前記第1被押圧部及び前記第2被押圧部は、少なくとも貫通孔より内側に入った長さと、表表紙及び裏表紙の厚さより若干長い厚さと、を備えた被押圧部材からなり、
    被押圧部材は、貫通孔の近傍において、表表紙の端面の近傍又は裏表紙の端面の近傍に配設され、
    前記変位体の貫通孔に綴杆を貫挿され、
    前記表表紙を、綴杆に沿って前記裏表紙の側まで回転させ、又は、前記裏表紙を、綴杆に沿って前記表表紙の側まで回転させ、
    前記第1被押圧部及び/又は前記第2被押圧部を、綴具の長手方向であって互いに向かって変位させるように押圧することによって、前記変位体の貫通孔の側部によって、綴杆を押圧し、前記一方の綴杆と他方の綴杆との相対位置を変位させて、綴杆係止部を脱係させるように構成され、
    前記表表紙及び/又は前記裏表紙の貫通孔近傍の剛性が、前記表表紙及び/又は前記裏表紙の貫通孔近傍以外の部分の剛性よりも高くなるように構成され、
    前記表表紙及び/又は前記裏表紙の前記第1被押圧部及び/又は前記第2被押圧部が、綴具の長手方向に向いて、前記表表紙及び/又は前記裏表紙の一端又は他端から延びるように、被押圧部材が付設され、又は、表表紙及び/又は裏表紙と一体的に形成された、帳面。
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