JP3812089B2 - インクジェットヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴射チャンネル内のインクに圧力を作用させることによりインクをノズルから噴射させるインクジェットヘッドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、用紙に文字や図形を印字するように、インク滴を噴射する多数のノズルを有したインクジェットヘッドを有している。インクジェットヘッドは、通常、インクを噴射するようにノズルに連通された噴射チャンネルと、インクを噴射しない非噴射チャンネルとを交互に備え、両チャンネル間の隔壁を駆動電界により屈曲させて噴射チャンネルの容積を変化させることによって、インク噴射を行うように構成されている。
【0003】
従来、このようなインクジェットヘッドを製造する場合には、先ず、図11に示すように、圧電材料からなるアクチュエータ基板101の上面にインク噴射チャンネルとなる溝102を両端面にかけて形成すると共に、非噴射チャンネルとなる溝103を一端面から他端側の近傍まで形成する。そして、これらインク溝102・103を交互に平行に形成した後、溝103の一端部をダイシング加工により厚さ方向に切除して縦溝104を形成する。この後、両溝102・103内も含めたアクチュエータ基板の全表面に導電層を成膜する。そして、アクチュエータ基板101の一端面101bおよび上面101aの導電層を除去して、両溝102・103内面の導電層をそれぞれ独立させる。さらに非噴射チャンネル用の溝103の底から縦溝104にかけて導電層を線状に除去する分割溝111を形成することによって、その溝103内の両側面の導電層をそれぞれ独立した電極とするとともに、アクチュエータ基板の裏面に、その電極にそれぞれ独立して接続した電極パターン109を形成する。噴射チャンネル用の溝102の内面の電極は、アクチュエータ基板101の他端面101cの導電層を介して電極パターン109の周囲の電極パターン110に接続している。
【0004】
次に、アクチュエータ基板101の一端面101b、他端面101cおよび上面101aにノズルプレート105、マニホールド部材106およびプレート部材107をそれぞれ接合し、さらに、図12に示すように、アクチュエータ基板101の裏面に形成された電極パターン109・101にフレキシブルプリント基板108を接合して、インクジェットヘッドとする。溝102の電極を接地し、その溝102の両側の溝103の電極に駆動電圧を印加することで、溝102内のインクを噴射することができる。
このように、非噴射チャンネル用の溝103の後端部が閉塞され、しかも両溝102・103の電極を独立させなければならないため、溝102の電極を他端部101cを介して、また溝103の電極を縦溝104を介してそれぞれ導出させる構成をとっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法により製造されたインクジェットヘッドは、アクチュエータ基板101の裏面に形成された電極パターン109と非噴射チャンネル用の溝103内の電極とを接続するために、アクチュエータ基板101の一部を切り欠いた縦溝104を形成しなければならず、アクチュエータ基板101の剛性が低下して破損し易いという問題がある。さらには、アクチュエータ基板101をダイシング加工して縦溝104を形成する際に、ダミーインク溝103の一端部が欠けることによって、圧力リークになったり、電気的に断線やショートを起こしたりして所定の噴射性能が得られないことがあるという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、縦溝を不要にすることによって、アクチュエータ基板の剛性を高めることができると共に、非噴射チャンネル用の溝の一端部が欠けるという不具合を防止することができるインクジェットヘッドおよびその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、インクを噴射する複数の噴射チャンネルと、その噴射チャンネルの両側に設けられインクを噴射しない複数の非噴射チャンネルとが、分極された圧電材料で少なくとも一部が構成された隔壁によって、相互に隔てて形成されたアクチュエータ基板と、前記隔壁の両側面に形成された電極とを備え、その両電極をとおして前記隔壁に電圧を印加することにより、前記隔壁を変形させ前記噴射チャンネル内のインクに圧力を与えてそのインクを噴射するインクジェットヘッドにおいて、前記アクチュエータ基板は、その一端に前記隔壁と連続して形成され、且つ前記非噴射チャンネルの一端を閉塞する立ち上がり部を有し、前記隔壁および立ち上がり部をその高さ方向に積層した複数の材料により構成すると共に、その複数の材料間に、前記両側面のうち前記非噴射チャンネルに面した一方の前記側面に形成された電極一端を接続し且つ前記隔壁および立ち上がり部の端面に他端を露出した導電性のあるコンタクト層を埋設しており、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出した前記コンタクト層の前記他端と電気的に接続するように、印字データに基づく駆動電圧が印加される駆動電極を形成した特徴としている。
【0008】
これにより、隔壁および立ち上がり部を構成する複数の積層材料間に、一端を前記両側面の電極のうち一方に接続し且つ他端を前記隔壁および立ち上がり部の端面に露出したコンタクト層を埋設するので、従来のように縦溝を形成する必要がなく、アクチュエータ基板の剛性を高めることができると共に、チャンネルの端部が欠けるという不具合を生じることもなくなる。また、隔壁および立ち上がり部をその高さ方向に積層した複数の材料により構成することで、コンタクト層の端部を隔壁および立ち上がり部の端面に露出させることが容易にでき、従来のように一端が閉塞された非噴射チャンネルの他端から電極を引き出すことなく、駆動回路と信頼性の高い接続を行うことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載のインクジェットヘッドであって、前記噴射チャンネル及び非噴射チャンネルが、前記アクチュエータ基板の一方の表面に溝状に形成されており、前記駆動電極が、前記アクチュエータ基板の前記一方の表面に対向する他方の表面に沿って形成されており、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面と前記アクチュエータ基板の前記他方の表面とが互いに接する境界において前記駆動電極と一体に連続しており前記コンタクト層の前記他端と接触する導電層が前記端面に沿って形成されていることを特徴としている。また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドであって、前記隔壁および立ち上がり部を構成する複数の材料は、それぞれ相互に反対方向に分極された圧電材料であることを特徴としている。
【0010】
請求項3によると、電圧を印加することにより、隔壁を構成する複数の材料は相互に反対方向に変形し、噴射チャンネルに対して大きな容積変化を与え、効率よくインクを噴射することができる。その複数の材料の積層を利用してコンタクト層を配置できるから、小型で且つ安価に製作することができる。
【0011】
請求項の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドであって、前記両側面のうち前記噴射チャンネルに面した他方の前記側面に形成された電極に接続するように前記駆動電極とは異なる接地電極が形成されていることを特徴としている。
【0012】
これにより、隔壁の一方の側面の電極は、コンタクト層を介して端面の導電層に、隔壁の他方の側面の電極は、駆動電極とは異なる接地電極にそれぞれ接続しているから、駆動回路と容易に且つ信頼性の高い接続を行うことができる。また、請求項5の発明は、請求項4に記載のインクジェットヘッドであって、前記噴射チャンネル及び非噴射チャンネルが、前記アクチュエータ基板の一方の表面に溝状に形成されており、前記接地電極が、前記アクチュエータ基板の前記一方の表面に対向する他方の表面に沿って形成されており、前記両側面のうち前記他方の側面に形成された電極が、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出しており、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面と前記アクチュエータ基板の前記他方の表面とが互いに接する境界において前記接地電極と一体に連続しており前記他方の側面に形成された電極と前記端面において接触する導電層が前記端面に沿って形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項の発明は、インクを噴射する複数の噴射チャンネル、及び、その噴射チャンネルの両側に設けられインクを噴射しない複数の非噴射チャンネルを、分極された圧電材料で少なくとも一部が構成された隔壁によって、相互に隔てて形成したアクチュエータ基板と、前記隔壁の両側面に形成された電極と、前記両側面に形成された両電極の一方に電気的に接続された駆動電極とを備え、前記アクチュエータ基板は、その一端に前記隔壁と連続して形成され、且つ前記非噴射チャンネルの一端を閉塞する立ち上がり部を有し、印字データに基づく駆動電圧を前記駆動電極に印加して前記隔壁に電圧を印加することにより、前記隔壁を変形させ前記噴射チャンネル内のインクに圧力を与えてそのインクを噴射するインクジェットヘッドの製造方法において、前記アクチュエータ基板を構成する複数の材料の間に導電性のあるコンタクト層を、前記隔壁および立ち上がり部の端面に前記コンタクト層の一端が露出するように介在させつつ、前記複数の材料を積層する工程と、前記アクチュエータ基板に、その複数の材料にわたって、前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝を、前記噴射チャンネルとなる溝は前記コンタクト層と離れた位置に、前記非噴射チャンネルとなる溝は前記コンタクト層がその溝内に露出する位置にそれぞれ加工する工程と、前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝の内面に電極を形成する工程と、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出した前記コンタクト層の前記他端と電気的に接続するように前記駆動電極を形成する工程とを有することを特徴としている。これにより、非噴射チャンネルとなる溝の内面の電極にのみコンタクト層が接触した構成のアクチュエータ基板を容易に作成することができ、また、従来のように縦溝を用いることなく、その溝の電極をコンタクト層を介して導出させることができるので、アクチュエータ基板の剛性が低下し、わずかの外力で基板が割れたり、チャンネルの端部が欠けたりするということもなくアクチュエータ基板を作成することができる。
【0014】
請求項の発明は、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、前記溝の内面に電極を形成する工程は、前記隔壁および立ち上がり部の上端を含め全溝にわたって導電層を形成した後、前記隔壁および立ち上がり部の上端の導電層を除去して、各溝毎の導電層をそれぞれ独立した電極とし、さらに前記他方の溝内で対向する両電極を、その溝内の両側に露出する前記コンタクト層にそれぞれ独立して接続するように、その溝底に沿って相互に分離することを特徴としている。
これにより、噴射チャンネル内の電極と非噴射チャンネル内の電極とが独立し、しかも非噴射チャンネル内の両側面の電極は、それに隣接する噴射チャンネル毎に独立するとともに、それぞれコンタクト層に接続して容易に形成することができる。
【0015】
請求項の発明は、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、さらに、前記隔壁および立ち上がり部の非噴射チャンネルと反対側端面に、前記一方の溝の内面に形成された電極と、他方の溝の内面に形成された電極に接続した前記コンタクト層とにそれぞれ接続した導電層を形成する工程と、その導電層を、前記一方の溝の内面に形成された電極に接続した部分と、前記コンタクト層に接続した部分とに分離する工程とを有することを特徴としている。
これにより、アクチュエータ基板の端面において、噴射チャンネルの電極を、および非噴射チャンネルの電極をコンタクト層を介してそれぞれ導電層に接続し、かつそれを相互に独立して容易に形成することができる。
また、請求項9の発明は、請求項8に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝を形成する工程において前記溝が形成された前記アクチュエータ基板の一方の表面と対向する他方の表面に沿って、前記駆動電極及び前記駆動電極と異なる接地電極を、前記導電層を分離する工程において分離された導電層のうち前記一方の溝の内面に形成された電極に接続した部分が前記接地電極と接続され且つ前記コンタクト層に接続した部分が前記駆動電極と接続されるように形成する工程をさらに有することを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図10に基づいて以下に説明する。
本実施の形態に係るインクジェットヘッドは、図8に示すように、一対のアクチュエータ基板1・1と、これらアクチュエータ基板1・1同士を接合するプレート部材4とを有している。各アクチュエータ基板1は、図2に示すように、チタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)のセラミックス材料からなる第1圧電部材2aと第2圧電部材2bとを積層して有しており、各圧電部材2a・2bの圧電材料は、相互に反対方向(それぞれアクチュエータ基板1の厚さ方向)に分極処理されている。尚、両材料2a・2bのうち一方のみが分極された圧電材料であっても差し支えなく、また、3層以上の圧電材料が積層されたものであっても差し支えない。尚、上記の圧電材料には、チタン酸鉛系(PT)のセラミックス材料を用いることもできる。
【0017】
また、第1圧電部材2aおよび第2圧電部材2bの間には、中間部材3が設けられている。中間部材3は、導電性を有した複数のコンタクト層5と、中間部材3を一定の厚みに設定するようにコンタクト層5の周囲に充填された充填部材8とからなっている。充填部材8は、接着剤で構成される。コンタクト層5は、図2に示すように、後述の非噴射チャンネルとなる溝15に対応した配設ピッチで平行配置されており、その溝15の溝幅よりも大きな幅で第1圧電部材2aの両端面にわたって形成されている。さらに、コンタクト層5の他端部には、コンタクト層5を他端面において2分岐させるように切欠部5aが形成されている。
【0018】
上記のように構成されたアクチュエータ基板1の上面には、図1に示すように、ダイヤモンドブレード等により各層2b・3・2aにわたってダイシング加工された複数の噴射チャンネルとなる溝14および非噴射チャンネルとなる溝15が形成されている。
【0019】
上記の噴射チャンネル用溝14は、壁面にコンタクト層5が露出しないようにコンタクト層5・5間に位置されており、アクチュエータ基板1の一端(図中左端)から他端(図中右端)にかけて第1及び第2の圧電部材2a,2bにわたる深度で形成されている。一方、非噴射チャンネル用溝15は、壁面にコンタクト層5が露出するようにコンタクト層5の中心部に位置されており、アクチュエータ基板1の一端から他端側の近傍まで第1及び第2の圧電部材2a,2bにわたる深度で形成され、その後端において、図2の切欠部5aよりも他端側において立ち上げられた立ち上がり部15aにより閉塞されている。そして、このように形成された噴射チャンネル用溝14および非噴射チャンネル用溝15は、各層2b・3・2aからなる隔壁20を介して交互に平行に配列された状態になっている。隔壁20は、相互に反対方向に分極された第1圧電部材2aおよび第2圧電部材2bにより構成されている。立ち上がり部15aは、隔壁20と一体に連続しかつ上面1aを相互に面一となるように形成されている。
【0020】
上記のアクチュエータ基板1における両溝14・15、他端面1c、および裏面1d等には、Ni等の導電層16が蒸着やメッキにより形成されている。尚、アクチュエータ基板1の一端面1bおよび上面1aは、面状に研削することにより導電層16が除去され、各溝14・15の内面の導電層をそれぞれ独立させている。そして、図3(a)・(b)にも示すように、非噴射チャンネル用溝15の底面における中心部には、導電層を線状に除去する第1分割溝44aがアクチュエータ基板1の一端から他端側上面1aの導電層のない面にかけて形成されており、第1分割溝44aは、非噴射チャンネル用溝15内の導電層16を2分割することによって、隔壁20の側面に電極22・22を形成させるようになっている。
【0021】
また、アクチュエータ基板1の他端面1cには、図1,7に示すように、コンタクト層5の切欠部5a内と、コンタクト層5および噴射チャンネル用溝14間とに、他端面1cの導電層を線状に除去する第2分割溝44bが上面から裏面にかけて形成されている。また、アクチュエータ基板1の裏面1dには、図7に示すように、裏面1dの導電層を線状に除去する第3分割溝44cが第2分割溝44bに接続されて非噴射チャンネル用溝15の溝方向に沿って形成されていると共に、第3分割溝44cに直交する第4分割溝44dが隣接する噴射チャンネル用溝14・14間毎に裏面1dの導電層を破線状に除去して形成されている。
【0022】
上記の各分割溝44a〜44dは、アクチュエータ基板1の裏面に複数の駆動電極43を平行に形成させているとともに、各駆動電極43は、アクチュエータ基板1の他端面1cにおいてコンタクト層5と接触した導電層と一体に連続することによって、非噴射チャンネル用溝15の一方の壁面の電極22(導電層)に電気的に接続された状態にされている。また、第4分割溝44dと第3分割溝44cとに囲まれた駆動電極43の外周には、共通接地電極46が形成されており、その共通接地電極46は、アクチュエータ基板1の他端面の導電層16を介して噴射チャンネル用溝14に面した隔壁20の電極23に接続されている。そして、隔壁20の両側面に形成された一対の電極23・22は、隔壁20の内部に裏面方向に対して直角方向の電界を生成させることによって、分極処理された隔壁20を屈曲させるようになっている。例えば、図6に破線で示すように、隔壁20の上下の圧電部材2a・2bが相互に反対方向に分極されていることで、上下の部材がそれぞれ反対方向に菱形に変形しかつ対向する隔壁において対称に変形し、噴射チャンネルに大きな容積変化を与えることができる。
【0023】
また、図8に示すように、駆動電極43が形成されたアクチュエータ基板1の裏面には、配線部材すなわちフレキシブルプリント基板32が接続されるようになっている。フレキシブルプリント基板32には、駆動電極43および共通接地電極46に対応して基板側駆動電極64および基板側接地電極67が形成されている。基板側駆動電極64は、図示しない駆動回路に接続されており、印字データに基づいて駆動制御部から出力された駆動電圧を駆動電極43を介して各電極22に印加するようになっている。
【0024】
上記のように構成された一対のアクチュエータ基板1・1は、一方のアクチュエータ基板1の噴射チャンネル用溝14と他方のアクチュエータ基板1の非噴射チャンネル用溝15とが対向するように、セラミックス材料や樹脂材料からなる平板状のプレート部材4を介して接合されている。プレート部材4は、一方面および他方面が各アクチュエータ基板1の上面にエポキシ系の接着剤により液密状態に接合されている。これにより、アクチュエータ基板1の噴射チャンネル用溝14は、プレート部材4で覆われることによって、先端および後端を開口したインク流路となる噴射チャンネル10を形成するようになっている。また、非噴射チャンネル用溝15は、プレート部材4で覆われることによって、先端を開口する一方、後端部をアクチュエータ基板1の一方面とプレート部材4との当接により封止された非噴射チャンネル11を形成するようになっている。
【0025】
上記の噴射チャンネル10および非噴射チャンネル11を備えたアクチュエータ基板1およびプレート部材4の一端面には、ノズルプレート6が上述のエポキシ系の接着剤を用いて接合されている。ノズルプレート6には、噴射チャンネル10からインク滴を噴射させるように、噴射チャンネル10に対応してノズル30が形成されている。尚、ノズルプレート6は、ポリアルキレンや(例えばエチレン)テレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース等のプラスチックにより形成されている。
【0026】
一方、アクチュエータ基板1およびプレート部材4の他端面には、マニホールド部材7が接合されている。マニホールド部材7の中心部には、インク供給口31が形成されており、図示しないインクタンクからインクが供給されるようになっている。そして、マニホールド部材7は、全噴射チャンネル10に連通したインク供給路を形成している。
【0027】
また、上述の分割溝44a〜44cは、例えばYAGレーザ光等のレーザ加工装置においてレーザ光を照射して導電層16を除去することにより形成されている。レーザ加工装置は、図7に示すように、レーザ光82を出射するレーザ発振器81と、レーザ光82を反射してX軸方向に走査する反射鏡83を備えたX軸用ガルバノメータ84と、レーザ光82を反射してY軸方向に走査する反射鏡85を備えたY軸用ガルバノメータ86と、レーザ光82を集光する集光レンズ87とを有している。
【0028】
上記の構成において、インクジェットヘッドの製造方法について説明する。
先ず、図2に示すように、2種類の厚みを有したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる平板を帯状にスライス加工することによって、アクチュエータ基板1の各チャンネル方向の幅を有した第1圧電部材2aと第2圧電部材2bとを形成する。次に、第2圧電部材2bの上面に一端から他端にかけて連続した導電材料からなるコンタクト層5をリソグラフィや印刷により所定ピッチで形成した後、これらのコンタクト層5を埋設するように、電気絶縁性を有したエポキシ樹脂等の充填部材8を介在して第1圧電部材2aと第2圧電部材2bを接合することによって、アクチュエータ基板1を形成する。
【0029】
次に、上記のようにして形成されたアクチュエータ基板1をダイシング加工装置に装着する。尚、ダイシング加工装置は、複数のダイヤモンドブレードを備えており、ダイヤモンドブレードは、コンタクト層5の切欠部5aよりも広く、コンタクト層5よりも狭いブレード幅を有している。そして、ダイシング加工装置への装着が完了すると、図3および図4に示すように、各ダイヤモンドブレードが各コンタクト層5の中心部にそれぞれ位置するようにブレード間のピッチを設定すると共に、ブレードの下端が第1圧電部材2aの所定位置となるように上下方向の位置決めを行った後、ダイヤモンドブレードをアクチュエータ基板1の一端側から他端側にかけて進行させることによって、圧電部材2a・2bとともにコンタクト層5を切削し、両側面にコンタクト層5が露出した非噴射チャンネル用溝15をアクチュエータ基板1の上面に形成する。この溝15は、アクチュエータ基板1の他端面1cに達することなく立ち上がり部15aを残して形成されるが、コンタクト層5の切り欠き5aが立ち上がり部15aよりも長いことによって、コンタクト層5は、溝15の左右に完全に分断される。
【0030】
この後、同様にして、コンタクト層5・5間の中心部に噴射チャンネル用溝14をアクチュエータ基板1の一端から他端に貫通した状態で形成する。この溝14には、コンタクト層5が露出することなく充填部材8のみが露出する。噴射チャンネル用溝14と非噴射チャンネル用溝15とは、どちらを先に形成してもよい。
【0031】
次に、図5に示すように、アクチュエータ基板1の各溝14・15を含む全表面にNi等の導電層16を蒸着やメッキにより形成した後、図6に示すように、アクチュエータ基板1の上面1aを面状に研削し、上面から導電層16を除去することによって、噴射チャンネル用溝14および各非噴射チャンネル用溝15の各壁面の導電層16からなる電極22・23を平面において分離させる。次に、アクチュエータ基板1を図7のレーザ加工装置に装着し、各非噴射チャンネル用溝15の底面に第1分割溝44aを形成することによって、非噴射チャンネル用溝15の内面の電極22を各側面ごとに分割する。
【0032】
この後、上述の第1分割溝44aを形成した場合と同様にレーザ加工装置に装着し、アクチュエータ基板1・1の他端面および裏面に第2〜第4分割溝44b〜44dを形成する。即ち、例えばアクチュエータ基板1の裏面側を電極分割加工する場合には、レーザ発振器81から出射されたレーザ光82を集光レンズ87によりアクチュエータ基板1の裏面に集光させ、X軸用およびY軸用ガルバノメータ84・86を駆動してX軸方向およびY軸方向に走査して第3分割溝44cおよび第4分割溝44dを形成する。
【0033】
上記の加工による第1〜第4分割溝44a〜44dの形成、およびアクチュエータの上面1a、一端面1bの研削(一端面1bの研削については後述する)によって、図8に示すように、非噴射チャンネル用溝15の導電層16が、対向する側面において、それぞれ独立した2つの電極22として形成されると共に、噴射チャンネル用溝14内には1つの電極23が形成される。そして、アクチュエータ基板1の裏面の導電層が、各電極22にコンタクト層5を介して接続した駆動電極43、および電極23に接続した接地電極46として形成される。続いて、これらの電極22・23・43・46に金メッキを施した後、インクから電極22・23・43・46を保護するように保護膜をCVD法等により形成する。
【0034】
そして、図7に示すように、一対のアクチュエータ基板1・1を用意し、両アクチュエータ基板1の噴射チャンネル用溝14と非噴射チャンネル用溝15とが対向するように、各アクチュエータ基板1・1の上面をプレート部材4の一方面および他方面にそれぞれ接合する。尚、第2〜第4分割溝44b〜44dを形成する分割加工は、アクチュエータ基板1にプレート部材4を接合する前において、第1分割溝44aを形成した直後に行っても良い。
【0035】
次いで、アクチュエータ基板1・1およびプレート部材4の一端面を研削して面一状にするとともに、アクチュエータ基板1・1の一端面1bの導電層16を除去する。噴射チャンネル10とノズル30とが対応するように、一端面にノズルプレート6を接合すると共に、他端面にマニホールド部材7を接合する。この後、フレキシブルプリント基板32の電極64・67とアクチュエータ基板1の電極43・46とが一致するように、アクチュエータ基板1にフレキシブルプリント基板32を当接した後、半田付けすることによって、インクジェットヘッドとして組み立てる。尚、フレキシブルプリント基板32の電極68・67には、加熱により溶融されるように、予め半田層が形成されている。
【0036】
尚、上記実施形態においては、図2に示すように、アクチュエータ基板1のチャンネル方向の長さの幅を有した第1圧電部材2aと第2圧電部材2bを用い、また、コンタクト層5をチャンネル方向の長さいっぱいに配置しているが、これに限定されることはない。
【0037】
即ち、図9に示すように、アクチュエータ基板1の2列分の幅を有した第1圧電部材90aおよび第2圧電部材90bを形成し、第2圧電部材90bの上面における幅方向の一端部および他端部にのみコンタクト層91をそれぞれ形成する。このコンタクト層91は、コンタクト層91の端面と第1圧電部材90aの端面とを一致させながら、非噴射チャンネル用溝93の両側でかつ立ち上がり部97に対応する位置に配置する。その後図示しない充填部材を第1圧電部材90aと第2圧電部材90bとの間に介装して両者を接合することによって、2個分の幅を有するアクチュエータ基板1の集合体を形成する。
【0038】
次に、上記のようにして形成されたアクチュエータ基板1の集合体をダイシング加工装置に装着し、コンタクト層91・91間の位置にアクチュエータ基板1の両端にかけて切削した噴射チャンネル用溝92を形成すると共に、コンタクト層91・91の位置に両端部(即ち立ち上がり部97)を残して切削した非噴射チャンネル用溝93を形成する。噴射チャンネル用溝92はその内面にコンタクト層91が露出することはなく、非噴射チャンネル用溝93は、コンタクト層91・91の一部を切削してその内面にコンタクト層を露出させている。
この後、アクチュエータ基板1の各溝92・93を含む表面にNi等の導電層を形成した後、アクチュエータ基板1の上面を面状に研削することにより、噴射チャンネル用溝92、および非噴射チャンネル用溝93の内面に電極95・96をそれぞれ形成する。そして、アクチュエータ基板1を図7のレーザ加工装置に装着し、非噴射チャンネル用溝93の底面に第1分割溝94を形成することによって、非噴射チャンネル用溝93の電極95を各側面ごとに分割する。
【0039】
次に、圧電部材90a・90bの両端面および裏面に、上記実施の形態と同様に、第2〜第4の分割溝を形成した後、圧電部材90a・90bを幅方向の中心線Cに沿って2つに分離することにより、個々のアクチュエータ基板1に分割する。そして、図8に示すように、2個のアクチュエータ基板1・1を、プレート部材を介して接合した後、噴射チャンネル10とノズル30とが対応するように、一端面にノズルプレート6を、他端面にマニホールド部材7を接合する。この後、フレキシブルプリント基板32の電極64・67とアクチュエータ基板1の電極43・46とが一致するように、アクチュエータ基板1にフレキシブルプリント基板32を半田付けする。
この場合、噴射チャンネル用溝92と非噴射チャンネル用溝93の幅および深さが一致するならば、図10において、両溝を同一線上に形成して、中心線Cで分割後、プレート部材を介してそのまま向かい合わせて接合することができる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1の発明は、インクを噴射する複数の噴射チャンネルと、その噴射チャンネルの両側に設けられインクを噴射しない複数の非噴射チャンネルとが、分極された圧電材料で少なくとも一部が構成された隔壁によって、相互に隔てて形成されたアクチュエータ基板と、前記隔壁の両側面に形成された電極とを備え、その両電極をとおして前記隔壁に電圧を印加することにより、前記隔壁を変形させ前記噴射チャンネル内のインクに圧力を与えてそのインクを噴射するインクジェットヘッドにおいて、前記アクチュエータ基板は、その一端に前記隔壁と連続して形成され、且つ前記非噴射チャンネルの一端を閉塞する立ち上がり部を有し、前記隔壁および立ち上がり部をその高さ方向に積層した複数の材料により構成すると共に、その複数の材料間に、前記両側面のうち前記非噴射チャンネルに面した一方の前記側面に形成された電極一端を接続し且つ前記隔壁および立ち上がり部の端面に他端を露出した導電性のあるコンタクト層を埋設しており、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出した前記コンタクト層の前記他端と電気的に接続するように、印字データに基づく駆動電圧が印加される駆動電極を形成した構成である。
【0041】
これにより、隔壁および立ち上がり部を構成する複数の積層材料間に、一端を前記両側面の電極のうち一方に接続し且つ他端を前記隔壁および立ち上がり部の端面に露出したコンタクト層を埋設するので、従来のように縦溝を形成する必要がなく、アクチュエータ基板の剛性を高め、基板の割れ等を防ぐことができると共に、縦溝のための微細加工がないのでチャンネルの端部が欠け易いという不具合を生じることもなくなる。また、隔壁および立ち上がり部をその高さ方向に積層した複数の材料により構成することで、コンタクト層の端部を隔壁および立ち上がり部の端面に露出させることが容易にでき、従来のように一端が閉塞された非噴射チャンネルの他端から電極を引き出すことなく、駆動回路と信頼性の高い接続を行うことができるという効果を奏する。
【0042】
請求項2の発明は、請求項1記載のインクジェットヘッドであって、前記噴射チャンネル及び非噴射チャンネルが、前記アクチュエータ基板の一方の表面に溝状に形成されており、前記駆動電極が、前記アクチュエータ基板の前記一方の表面に対向する他方の表面に沿って形成されており、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面と前記アクチュエータ基板の前記他方の表面とが互いに接する境界において前記駆動電極と一体に連続しており前記コンタクト層の前記他端と接触する導電層が前記端面に沿って形成されている構成である。また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドであって、前記隔壁および立ち上がり部を構成する複数の材料は、それぞれ相互に反対方向に分極された圧電材料である構成である。
【0043】
請求項3によると、電圧を印加することにより、隔壁を構成する複数の材料は相互に反対方向に変形し、噴射チャンネルに対して大きな容積変化を与え、効率よくインクを噴射することができる。その複数の材料の積層を利用してコンタクト層を配置できるから、小型且つ安価に製作することができるという効果を奏する。
【0044】
請求項の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドであって、前記両側面のうち前記噴射チャンネルに面した他方の前記側面に形成された電極に接続するように前記駆動電極とは異なる接地電極が形成されている構成である。
【0045】
これにより、隔壁の一方の側面の電極は、コンタクト層を介して端面の導電層に、隔壁の他方の側面の電極は、駆動電極とは異なる接地電極にそれぞれ接続しているから、駆動回路と容易に且つ信頼性の高い接続を行うことができるという効果を奏する。また、請求項5の発明は、請求項4に記載のインクジェットヘッドであって、前記噴射チャンネル及び非噴射チャンネルが、前記アクチュエータ基板の一方の表面に溝状に形成されており、前記接地電極が、前記アクチュエータ基板の前記一方の表面に対向する他方の表面に沿って形成されており、前記両側面のうち前記他方の側面に形成された電極が、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出しており、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面と前記アクチュエータ基板の前記他方の表面とが互いに接する境界において前記接地電極と一体に連続しており前記他方の側面に形成された電極と前記端面において接触する導電層が前記端面に沿って形成されている構成である。
【0046】
請求項の発明は、インクを噴射する複数の噴射チャンネル、及び、その噴射チャンネルの両側に設けられインクを噴射しない複数の非噴射チャンネルを、分極された圧電材料で少なくとも一部が構成された隔壁によって、相互に隔てて形成したアクチュエータ基板と、前記隔壁の両側面に形成された電極と、前記両側面に形成された両電極の一方に電気的に接続された駆動電極とを備え、前記アクチュエータ基板は、その一端に前記隔壁と連続して形成され、且つ前記非噴射チャンネルの一端を閉塞する立ち上がり部を有し、印字データに基づく駆動電圧を前記駆動電極に印加して前記隔壁に電圧を印加することにより、前記隔壁を変形させ前記噴射チャンネル内のインクに圧力を与えてそのインクを噴射するインクジェットヘッドの製造方法において、前記アクチュエータ基板を構成する複数の材料の間に導電性のあるコンタクト層を、前記隔壁および立ち上がり部の端面に前記コンタクト層の一端が露出するように介在させつつ、前記複数の材料を積層する工程と、前記アクチュエータ基板に、その複数の材料にわたって、前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝を、前記噴射チャンネルとなる溝は前記コンタクト層と離れた位置に、前記非噴射チャンネルとなる溝は前記コンタクト層がその溝内に露出する位置にそれぞれ加工する工程と、前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝の内面に電極を形成する工程と、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出した前記コンタクト層の前記他端と電気的に接続するように前記駆動電極を形成する工程とを有する構成である。
これにより、非噴射チャンネルとなる溝の内面の電極にのみコンタクト層が接触した構成のアクチュエータ基板を容易に作成することができ、また、従来のように縦溝を用いることなく、その溝の電極をコンタクト層を介して導出させることができるので、アクチュエータ基板の剛性が低下したり、チャンネルの端部が欠けたりするということもなくアクチュエータ基板を容易に作成することができるという効果を奏する。
【0047】
請求項の発明は、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、前記溝の内面に電極を形成する工程は、前記隔壁および立ち上がり部の上端を含め全溝にわたって導電層を形成した後、前記隔壁および立ち上がり部の上端の導電層を除去して、各溝毎の導電層をそれぞれ独立した電極とし、さらに前記他方の溝内で対向する両電極を、その溝内の両側に露出する前記コンタクト層にそれぞれ独立して接続するように、その溝底に沿って相互に分離するようになっている。
これにより、噴射チャンネル内の電極と非噴射チャンネル内の電極とが独立し、しかも非噴射チャンネル内の両側面の電極は、それに隣接する噴射チャンネル毎に独立するとともに、それぞれコンタクト層に接続して容易に形成することができるという効果を奏する。
【0048】
請求項の発明は、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、さらに、前記隔壁および立ち上がり部の非噴射チャンネルと反対側端面に、前記一方の溝の内面に形成された電極と、他方の溝の内面に形成された電極に接続した前記コンタクト層とにそれぞれ接続した導電層を形成する工程と、その導電層を、前記一方の溝の内面に形成された電極に接続した部分と、前記コンタクト層に接続した部分とに分離する工程とを有する構成である。
これにより、アクチュエータ基板の端面において、噴射チャンネルの電極を、および非噴射チャンネルの電極をコンタクト層を介してそれぞれ導電層に接続し、かつそれを相互に独立して容易に形成することができるという効果を奏する。
また、請求項9の発明は、請求項8に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝を形成する工程において前記溝が形成された前記アクチュエータ基板の一方の表面と対向する他方の表面に沿って、前記駆動電極及び前記駆動電極と異なる接地電極を、前記導電層を分離する工程において分離された導電層のうち前記一方の溝の内面に形成された電極に接続した部分が前記接地電極と接続され且つ前記コンタクト層に接続した部分が前記駆動電極と接続されるように形成する工程をさらに有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インクジェットヘッドの要部を示す分解斜視図である。
【図2】 圧電部材にコンタクト層を形成した状態を示す説明図である。
【図3】 噴射チャンネル用溝および非噴射チャンネル用溝を形成する状態を示す説明図である。
【図4】 噴射チャンネル用溝および非噴射チャンネル用溝が形成されたアクチュエータ基板の斜視図である。
【図5】 アクチュエータ基板の表面に導電層を形成した状態を示す説明図である。
【図6】 アクチュエータ基板の上面および非噴射チャンネルの底面の導電層を除去した状態を示す説明図である。
【図7】 アクチュエータ基板をレーザ加工する状態を示す説明図である。
【図8】 アクチュエータ基板にフレキシブルプリント基板等を接合する状態を示す説明図である。
【図9】 他の実施形態の第1圧電部材に第2圧電部材を接合する状態を示す説明図である。
【図10】 他の実施形態の噴射チャンネル用溝および非噴射チャンネル用溝を形成する状態を示す説明図である。
【図11】 従来のインクジェットヘッドの要部を示す分解斜視図である。
【図12】 従来のインクジェットヘッドの要部を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ基板
2a 第1圧電部材
2b 第2圧電部材
3 中間部材
4 プレート部材
5 コンタクト層
6 ノズルプレート
7 マニホールド部材
8 充填部材
10 噴射チャンネル
11 非噴射チャンネル
14 噴射チャンネル用溝
15 非噴射チャンネル用溝
15a 立ち上がり部
16 導電層
20 隔壁
22 電極
23 電極
30 ノズル
31 インク供給口
32 フレキシブルプリント基板
90a 第1圧電部材
90b 第2圧電部材
91 コンタクト層
92 噴射チャンネル用溝
93 非噴射チャンネル用溝
94 第1分割溝
95 電極
96 電極

Claims (9)

  1. インクを噴射する複数の噴射チャンネルと、その噴射チャンネルの両側に設けられインクを噴射しない複数の非噴射チャンネルとが、分極された圧電材料で少なくとも一部が構成された隔壁によって、相互に隔てて形成されたアクチュエータ基板と、前記隔壁の両側面に形成された電極とを備え、その両電極をとおして前記隔壁に電圧を印加することにより、前記隔壁を変形させ前記噴射チャンネル内のインクに圧力を与えてそのインクを噴射するインクジェットヘッドにおいて、
    前記アクチュエータ基板は、その一端に前記隔壁と連続して形成され、且つ前記非噴射チャンネルの一端を閉塞する立ち上がり部を有し、
    前記隔壁および立ち上がり部をその高さ方向に積層した複数の材料により構成すると共に、その複数の材料間に、前記両側面のうち前記非噴射チャンネルに面した一方の前記側面に形成された電極一端を接続し且つ前記隔壁および立ち上がり部の端面に他端を露出した導電性のあるコンタクト層を埋設しており、
    前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出した前記コンタクト層の前記他端と電気的に接続するように、印字データに基づく駆動電圧が印加される駆動電極を形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記噴射チャンネル及び非噴射チャンネルが、前記アクチュエータ基板の一方の表面に溝状に形成されており、
    前記駆動電極が、前記アクチュエータ基板の前記一方の表面に対向する他方の表面に沿って形成されており、
    前記隔壁および立ち上がり部の前記端面と前記アクチュエータ基板の前記他方の表面とが互いに接する境界において前記駆動電極と一体に連続しており前記コンタクト層の前記他端と接触する導電層が前記端面に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記隔壁および立ち上がり部を構成する複数の材料は、それぞれ相互に反対方向に分極された圧電材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記両側面のうち前記噴射チャンネルに面した他方の前記側面に形成された電極に接続するように前記駆動電極とは異なる接地電極が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記噴射チャンネル及び非噴射チャンネルが、前記アクチュエータ基板の一方の表面に溝状に形成されており、
    前記接地電極が、前記アクチュエータ基板の前記一方の表面に対向する他方の表面に沿って形成されており、
    前記両側面のうち前記他方の側面に形成された電極が、前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出しており、
    前記隔壁および立ち上がり部の前記端面と前記アクチュエータ基板の前記他方の表面とが互いに接する境界において前記接地電極と一体に連続しており前記他方の側面に形成された電極と前記端面において接触する導電層が前記端面に沿って形成されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
  6. インクを噴射する複数の噴射チャンネル、及び、その噴射チャンネルの両側に設けられインクを噴射しない複数の非噴射チャンネルを、分極された圧電材料で少なくとも一部が構成された隔壁によって、相互に隔てて形成したアクチュエータ基板と、前記隔壁の両側面に形成された電極と、前記両側面に形成された両電極の一方に電気的に接続された駆動電極とを備え、
    前記アクチュエータ基板は、その一端に前記隔壁と連続して形成され、且つ前記非噴射チャンネルの一端を閉塞する立ち上がり部を有し、
    印字データに基づく駆動電圧を前記駆動電極に印加して前記隔壁に電圧を印加することにより、前記隔壁を変形させ前記噴射チャンネル内のインクに圧力を与えてそのインクを噴射するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記アクチュエータ基板を構成する複数の材料の間に導電性のあるコンタクト層を、前記隔壁および立ち上がり部の端面に前記コンタクト層の一端が露出するように介在させつつ、前記複数の材料を積層する工程と、
    前記アクチュエータ基板に、その複数の材料にわたって、前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝を、前記噴射チャンネルとなる溝は前記コンタクト層と離れた位置に、前記非噴射チャンネルとなる溝は前記コンタクト層がその溝内に露出する位置にそれぞれ加工する工程と、
    前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝の内面に電極を形成する工程と、
    前記隔壁および立ち上がり部の前記端面に露出した前記コンタクト層の前記他端と電気的に接続するように前記駆動電極を形成する工程とを有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記溝の内面に電極を形成する工程は、前記隔壁および立ち上がり部の上端を含め全溝にわたって導電層を形成した後、前記隔壁および立ち上がり部の上端の導電層を除去して、各溝毎の導電層をそれぞれ独立した電極とし、さらに前記他方の溝内で対向する両電極を、その溝内の両側に露出する前記コンタクト層にそれぞれ独立して接続するように、その溝底に沿って相互に分離することを特徴とする請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. さらに、前記隔壁および立ち上がり部の非噴射チャンネルと反対側端面に、前記一方の溝の内面に形成された電極と、他方の溝の内面に形成された電極に接続した前記コンタクト層とにそれぞれ接続した導電層を形成する工程と、
    その導電層を、前記一方の溝の内面に形成された電極に接続した部分と、前記コンタクト層に接続した部分とに分離する工程とを有することを特徴とする請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記噴射チャンネルおよび非噴射チャンネルとなる溝を形成する工程において前記溝が形成された前記アクチュエータ基板の一方の表面と対向する他方の表面に沿って、前記駆動電極及び前記駆動電極と異なる接地電極を、前記導電層を分離する工程において分離された導電層のうち前記一方の溝の内面に形成された電極に接続した部分が前記接地電極と接続され且つ前記コンタクト層に接続した部分が前記駆動電極と接続されるように形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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