JP3682218B2 - 液滴噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電部材に形成されたインク流路の容積を変化させることにより、インクを噴射するようにした液滴噴射装置の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液滴噴射装置としては、例えば持開昭63−252750号公報あるいは持開平2−150355号公報に記載されているものがある。以下、その概略構成を図面を参照して説明する。図10に示すように、インクジェットプリンタヘッド1は、圧電プレート2とカバープレート3とノズルプレート31と基板41とから構成されている。
【0003】
圧電プレート2は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料によって形成されている。そして、その圧電プレート2は分極方向5の方向に分極処理されている。次に、圧電プレート2は、ダイヤモンドカッティング円盤の回転によって溝8が形成される。続いて切削加工の深さが変化されて浅溝16が形成される。
【0004】
図10に示すように、このように切削加工された圧電プレート2には、複数の溝8及び浅溝16が形成されている。それらの溝8は同じ深さであり、かつ平行である。それら浅溝16は圧電プレート2の一端面15付近に形成されている。また、その溝8の側面となる側壁11は前記分極処理により矢印5の方向に分極されている。
【0005】
また、溝8の側面及び浅溝16の内面に金属電極13,9が蒸着法により形成されている。図11に示すように、金属電極13,9の形成時には、圧電プレート2は図示しない蒸着源からの蒸気放出方向に対して傾斜される。そして、蒸気が放出されると側壁11のシャドー効果により、溝8の側面の上半分、浅溝16の内面及び側壁11の上面に金属電極13,9,10が形成される。
【0006】
次に、圧電プレート2が180度回転されて、同様にして金属電極13,9,10が形成される。この後、側壁11の上面に形成された不要な金属電極10がラッピング等により除去される。このようにして、溝8の両側面に形成された金属電極13は浅溝16の内面に形成された金属電極9により電気的に接続されている。
【0007】
次に、図10に示すカバープレート3は、セラミックス材料または樹脂材料等から形成されている。そして、カバープレート3には、研削または切削加工等によって、インク導入口21及びマニホールド22が形成されている。そして、圧電プレート2の溝8加工側の面とカバープレート3のマニホールド22加工側の面とがエポキシ系等の接着剤によって接着される。
【0008】
従って、インクジェットプリンタヘッド1には、溝8の上面が覆われて、横方向に互いに間隔を有する複数のインク流路が構成される。そして、全てのインク流路内には、インクが充填される。
【0009】
圧電プレート2及びカバープレート3の端面に、各インク流路の位置に対応した位置にノズル32が設けられたノズルプレート31が接着されている。そして、圧電プレート2の溝8の加工側に対して反対側の面には、基板41が、エポキシ系接着剤等によって接着されている。
【0010】
その基板41には各インク流路の位置に対応した位置に導電層のパターン42が形成されている。その導電層のパターン42と浅溝16の底面の金属電極9とは、周知のワイヤボンディング等によって導線43で接続されている。
【0011】
このように、インク滴を噴出するために、溝8の両側面となる側壁11の中央部分を溝8の内部方向に同時に変形させる。このため、金属電極13が側壁11の上半分に形成され、且つ溝8の両側面となる側壁11が同時に変形される。溝8の両側面となる側壁11を同時に変形させるために、溝8の両側面の金属電極13を電気的に接続する金属電極9を設けて、その金属電極9に電圧が印加される。従って、溝8の両側面の上半分に形成された金属電極13を電気的に接続するための金属電極9を形成するために浅溝16が形成されている。
【0012】
上記に示す従来技術は、比較的簡単な構造で高密度のノズルを持つインクジェットプリンタヘッドが実現できる点で優れた技術であるが、多数の溝からなる流路に深さの異なる浅溝を高密度に形成し、それぞれの溝から電気的配線を行う必要から、実用的には特に製造上の問題点を有していた。
【0013】
また、溝からなる流路に深さの異なる浅溝を形成するために、インク流路としてダイヤモンドカッティング円盤の円周に沿った形状が必要となり、インク流路長が長くなりインクジェットプリンタヘッドの小型化及び高速駆動化が困難であった。
【0014】
これらを解決する方法として、持開平4−307254号公報あるいは持開平6−218918号公報又は特開平6−218934号公報に記載されているように、溝からなる流路の一方の端部をハンダ材、メッキもしくは導電性部材により封止し、該封止部材を用いて電気的配線を行う方法が提案されている。
【0015】
これらの従来技術について、図12乃至図14を用いて説明する。
図12に示すように、インクジェットプリンタヘッド1は、圧電プレート27とカバープレート3とノズルプレート31と基板41とから構成されている。圧電プレート27は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料によって形成されている。そして、その圧電プレート27は分極方向5の方向に分極処理されている。
【0016】
また、圧電プレート27には、ダイヤモンドカッティング円盤の回転による切削加工等によって、図8に示すように溝8が複数形成されている。それらの溝8は同じ深さであり、かつ平行である。また、その溝8の側面となる側壁11は前記分極処理により矢印5の方向に分極されている。
【0017】
そして、溝8の両側面の上半分及び側壁11の上面に金属電極13、10が形成される。次に、図9に示すように、導電性部材26がディスペンサー25により溝8に埋め込まれる。その後、導電性部材26には、図示しない装置により熱が加えられ、その熱により固化する。その導電性部材26は圧電プレート27の端部15付近に形成される。また、導電性部材26は溝8の深さ全部を満たしている。その後、導電性部材26の余剰部分及び側壁11の上面の金属電極10がラッピング等によって取り除かれる。
【0018】
次に、図12に示すカバープレート3は、研削または切削加工等によって、インク導入口21及びマニホールド22が形成されている。そして、図13の溝11部での断面形状に示すように、圧電プレート27の溝8加工側の面とカバープレート3のマニホールド22加工側の面とがエポキシ系等の接着剤4によって接着される。従って、インクジェットプリンタヘッド1には、溝8の上面が覆われて、横方向に互いに間隔を有する複数のインク流路12が構成される。そして、全てのインク流路内12には、インクが充填される。
【0019】
圧電プレート2及びカバープレート3の端面に、各インク流路の位置に対応した位置にノズル32が設けられたノズルプレート31が接着されている。このノズルプレート31は、ポリアルキン(例えば、エチレン)、テレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース等のプラスチックによって形成されている。
【0020】
そして、圧電プレート27の溝8の加工側に対して反対側の面には、基板41が、エポキシ系接着剤等によって接着されている。その基板41には各インク流路の位置に対応した位置に導電層のパターン42が形成されている。その導電層のパターン42と導電性部材26とは、ワイヤボンディング等によって電気的に接続される。
【0021】
従って、溝8の一側面の金属電極13と他側面の金属電極13とが導電性部材26によって電気的に接続される。このため、導電性部材26に電圧が印加されると、導電性部材26を通して溝8の両側面の金属電極13に電圧が同時に印加され、同時に溝8の両側面である側壁11が溝8の内部方向に変形してインク滴が噴出される。
【0022】
次いで、図13,図14によって、インクジェットプリンタヘッド1の動作を説明する。図示しない駆動制御回路が、所要のデータに従って、インクジェットプリンタヘッド1のインク流路12bからインクの噴出を行なうと判断する。すると、そのインク流路12bに対応する導電層パターン42及び導電性部材26を介して金属電極13eと13fとに正の駆動電圧Vが印加され、金属電極13dと13gとが接地される。
【0023】
図14に示すように、側壁11bには矢印14bの方向の駆動電界が発生し、側壁11cには矢印14cの方向の駆動電界が発生する。すると、駆動電界方向14b及び14cは分極方向5とが直交しているため、側壁11b及び11cは、圧電厚みすべり効果により、この場合、インク流路12bの内部方向に急速に変形する。この変形によって、インク流路12bの容積が減少してインク圧力が急速に増大し、圧力波が発生して、インク流路12bに連通するノズル32からインク滴が噴射される。
【0024】
また、駆動電圧Vの印加が停止されると、側壁11b及び11cが変形前の位置に徐々に戻るためインク流路12b内のインク圧力が徐々に低下する。すると、インク導入口21からマニホールド22を通してインク流路12b内にインクが供給される。
【0025】
このように、インク滴を噴出するために、溝8の両側面となる2つの側壁11の中央部分を溝8の内部方向に同時に変形させる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したインクジェットプリンタヘッド1では、端部15を塞いでいる導電性部材26が実際にインク滴の噴射に影響する側壁11の剪断変形部分(側壁11の上面がカバープレート3と接着されている部分)と近くなると共に、導電性部材26の剛性が側壁11を形成する圧電部材に比べ低いため、該導電性部材26、インク供給口及びインク供給部の形状寸法が該側壁11の変形効率に影響を及ぼしていた。
【0027】
特にインク供給口が前記導電性部材が設けられた端部側の面に配設されている場合、導電性部材のカバープレートと対向する面は完全に解放されているため、側壁の剪断変形により影響を及ぼすことになっていた。
【0028】
また、導電性部材26は、形成過程で液相状態から固相状態への移行が必要であり、該過程での体積変化及び揮発成分の蒸発等によるボイドの発生等により、金属電極13との安定した接続性に問題があった。
【0029】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、効率良く安定したインク滴の噴射が可能な液滴噴射装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明は、以下のように構成している。
【0031】
(1)一端に配置された基板から他端に配置されたインクを吐出するノズルプレートまで連通し、それぞれの間に側壁を挟んで形成された複数の溝と、前記複数の溝の前記一端側に位置して前記基板に接続される導電性部材と、前記溝の長手方向に沿って前記側壁に位置し、前記導電性部材を介して前記基板に接続された金属電極と、を有する圧電プレートと、
前記溝に対向して前記圧電プレートに接着されたカバープレートであって、前記長手方向における前記導電性部材側の一端に位置するインク供給口と、前記導電性部材及び前記溝の一部に対向し、前記インク供給口と前記溝とを連通する凹状のインク供給部と、を有するカバープレートと、を備え、
前記長手方向における前記導電性部材の幅(W)が、100μm以上2000μm以下の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、複数の溝の一端側において基板に接続された導電性部材が配置された圧電プレートと、この圧電プレートに接着され、導電性部材及び圧電プレートに形成された溝の一部に対向したインク供給部を有するカバープレートとが備えられている。また、インク供給口からインク供給部を介してインク流路となる溝にインクが供給される。
さらに、長手方向における導電性部材の幅(W)が、100μm以上2000μm以下の範囲に設定されている。したがって、導電性部材と金属電極とを、信頼性が高く、均一に接続することができ、安定したインク滴の噴射を行うことができた。
【0033】
(2)一端に配置された基板から他端に配置されたインクを吐出するノズルプレートまで連通し、それぞれの間に側壁を挟んで形成された複数の溝と、前記複数の溝の前記一端側に位置して前記基板に接続される導電性部材と、前記溝の長手方向に沿って前記側壁に位置し、前記導電性部材を介して前記基板に接続された金属電極と、を有する圧電プレートと、
前記溝に対向して前記圧電プレートに接着されたカバープレートであって、前記長手方向における前記導電性部材側の一端に位置するインク供給口と、前記導電性部材及び前記溝の一部に対向し、前記インク供給口と前記溝とを連通する凹状のインク供給部と、を有するカバープレートと、を備え、
前記長手方向における前記インク供給部の前記溝の一部に対向する開口長さ(L)と前記長手方向における前記導電性部材の幅(W)との比(W/L)が1/5から2/3の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、溝の長手方向において、インク供給部の溝の一部に対向する開口長さ(L)と導電性部材の幅(W)との比を1/5以上2/3以下の範囲とすることにより、側壁の効率良い駆動が可能となった。
【0035】
(3)前記インク供給部の深さ(hA)が、少なくとも前記溝の深さ(hB)以上であることを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、カバープレートのインク供給部の深さ(hA)が溝の深さ(hB)より高くなるので、安定したインク滴の噴射ができた。特に、上記条件を組み合わせることにより、効率よく安定したインク滴の噴射が可能となった。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお従来例と同一部材(同一部位)及び均等部材(均等部位)には同一符号を付してその説明は省略する。
【0038】
図2に示すように、インクジェットプリンタヘッド1は、圧電プレート27とカバープレート3とノズルプレート31と基板41とから構成されている。図8に示す圧電プレート27は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料で製造されている。
【0039】
その圧電プレート27は、矢印5の方向に分極処理が施された厚さ約1mm程度の板である。また、圧電プレート27には、ダイヤモンドカッティング円盤の回転による切削加工によって、溝8が複数形成されている。それら溝8は平行、且つ同じ深さである。
【0040】
そして、溝8の両側面の上半分及び側壁11の上面に金属電極13、10が形成される。その金属電極13、10には、アルミニウム、ニッケル、銅、金等が用いられる。そして、図9に示すように、導電性部材26がデイスペンサー25によりほぼ溝8の深さ全部を満たしている。その後、導電性部材26には、図示しない装置により熱が加えられ、その熱により固化する。
【0041】
尚、導電性部材26としては、エポキシ系の樹脂成分を含有した金ペースト 銀ペースト,銅ペーストもしくはメッキ液をべースとした金メッキ、ニッケルメッキなどが用いられる。
【0042】
図3に示すように、その導電性部材26は圧電プレート27の端部15付近に形成される。その後、導電性部材26の余剰部分及び側壁11の上面の金属電極10がラッピング等によって取り除かれる。
【0043】
次に、図4に示すカバープレート3は、厚さ3mmのセラミックス材料または樹脂材料等から形成されている。そして、カバープレート3には、研削または切削加工等によって、導電性部材26に対向する面に凹部(インク供給部)66が形成されている。該インク供給部66は少なくとも全ての溝8をカバーできる幅で形成されている。
【0044】
そして、圧電プレート27の溝8加工側の面とカバープレート3とがエポキシ系等の接着剤によって接着される。
【0045】
図4に示しているインクジェットプリンタヘッド1のインク流路12に沿った断面図のように、インクジェットプリンタヘッド1には、溝8の上面が覆われて横方向に互いに間隔を有する複数のインク流路12が構成され、インク充填時には、全てのインク流路12内に導電性部材26の上部空間を通りインクが充填される。
【0046】
次に、各インク流路の位置に対応した位置に導電層のパターン42が形成されている基板41を圧電プレート27の端部15に形成された導電性部材26に接続する。その導電層のパターン42と導電性部材26とは、異方導電性接着剤もしくはパターン42上にバンプ(図示せず)を形成し該バンプを導電性部材に挿入することによって接続される。
【0047】
この後、導電性インクを用いる場合には、ポリパラキシリレン(商標名:パリレン)等の有機保護膜により上記接合部を絶縁保護する。但し、使用するインク及び異方導電性接着剤を含む該インクジェットプリンタヘッドを作成するために使用した接着剤の特性によっては保護膜は必要ない。
【0048】
次に、圧電プレート27及びカバーブレート3からなり導電性部材26が設けられていない端面に、各インク流路12の位置に対応した位置にノズル32が設けられたノズルプレート31が接着される。
【0049】
上記構成により、溝8の一側面の金属電極13と他側面の金属電極13とが導電性部材26によって電気的に接続される。このため、導電性部材26に電圧が印加されると、導電性部材26を通して溝8の両側面の金属電極13に電圧が同時に印加され、同時に溝8の両側面である側壁11が溝8の内部方向に変形してインク滴が噴出される。
【0050】
上記構成において、図1を参照し、カバープレート3のインク供給部66の深さ(hA)を450μmとし、圧電プレート27の溝8の深さ(hB)を300μm、幅を約80μm、ピッチを169μmとした場合において、溝8の長手方向の導電性部材26の幅(W)を50,100,300,500,1000,2000,3000,4000μmに設定した場合の各々の溝8での導電性部材26と金属電極13との接続抵抗値の初期バラツキと、金属電極13に電圧を印加して側壁11を24時間連続駆動させた後でのバラツキとを図6に示す。
【0051】
上記溝8の寸法を変えたどちらの場合も、図6に示したように、導電性部材26の幅(W)が50μmでは初期の段階で接続抵抗値のバラツキが大きく、3000μm以上では連続駆動後の接続抵抗値のバラツキが大きいことから、安定したインク滴の噴射を行うには、導電性部材26の幅を100μm以上2000μm以下の範囲にする必要があることが判った。
【0052】
ここで、導電性部材26の材料を金ペースト及び銀ペーストの2種類、また樹脂成分と導電成分の比を4:6及び3:7の2種類の計4種類にて行ったが、上記傾向に差はなかった。
【0053】
次に、図7にカバープレート3のインク供給部66の深さ(hA)を450μmとし、圧電プレート27の溝8の深さ(hB)を300μm、幅を約70μm、ピッチを140μm、導電性部材26の幅(W)を100,300,500,1000,2000μmとし、各々について、溝8の長手方向におけるインク供給部66の溝8の一部に対向する開口長さ(L)と導電性部材26の幅(W)との比(W/L)を1/10,1/5,1/3,1/2,2/3,1/1とした場合に、側壁11に24Vの電圧を印加したときのインク滴の飛翔速度との関係を示した。図7に示すように、該インク供給部66の開口長さ(L)と導電性部材26の幅(W)との比(W/L)が1/5以上2/3以下でないと、インク滴の飛翔速度が極端に悪くなる。
【0054】
これは、インク供給部66の開口長さ(L)と導電性部材26の幅(W)との比(W/L)が高い(1/1)場合には、実際にインク滴の噴射に影響する側壁11の変形部分(側壁11の上面がカバープレート3と接着されている部分)と導電性部材26により埋めこまれている部分の距離が近いため、該側壁11の変形効率に影響がでていると考えられる。
【0055】
反対に、インク供給部66の開口長さ(L)と導電性部材26の幅(W)との比(W/L)が低い(1/10)場合には、溝8が形成するインク流路が長くなることにより、インク流路内のインクの圧力伝播に時間がかかると共に、金属電極13の長さが長くなるため、インク流路のコンプライアンスが増加することによる相乗の影響により効率がわるくなっていると考えられる。
【0056】
よって、インク供給部66の開口長さ(L)と導電性部材26の幅(W)との比(W/L)が1/10及び1/1のように飛翔速度が5m/sより遅い場合、飛翔中の空気抵抗等の外乱によりインク滴の着弾精度が悪くなり、印字画質の劣化につながってしまう。
【0057】
また、飛翔速度を早くするために、印加電圧を高く設定すると、駆動回路上への負荷が増加するだけでなく、インクジェットプリンタヘッド1自体の発熱が増加し、インクの粘度、表面張力等の物性値が変動するため、インク滴の噴射量及び飛翔速度がばらつく。
【0058】
また、圧電プレート27の溝8の深さ(hB)を300μm、幅を約70μm、ピッチを140μmとした場合と、溝8の深さ(hB)を350μm、幅を約80μm、ピッチを169μmとした場合との2つの場合において、カバープレート3のインク供給部66の深さ(hA)を200、300、400、500μmと設定した場合について、表1にインク滴の連続噴射での安定性を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示すように、カバープレート3のインク供給部66の深さ(hA)が溝8の深さ(hB)より低い(浅い)場合には、インク滴の連続噴射において、数分程度で噴射ができなくなる。
【0061】
以上説明したように、導電性部材26の幅(W)を100μm以上2000μm以下の範囲とすることにより、該導電性部材26と金属電極13を信頼性が高く、均一に接続することができ安定したインク滴の噴射を行うことができた。
【0062】
また、インク供給部66の開口長さ(L)と導電性部材26の幅(W)との比(W/L)を1/5以上2/3以下の範囲とすることにより、側壁11の効率良い駆動が可能となる。また、カバープレート3のインク供給部66の深さ(hA)を溝8の深さ(hB)より高くすることにより、安定したインク滴の噴射ができた。
【0063】
ここで、本実施形態においては、側壁11に形成する金属電極13を側面の上半分に行ったが、流路全面に金属メッキ等で形成した後、レーザ光を上半分に照射する事により該金属メッキを除去し、下半分及び底面に金属電極13を形成した構成でも構わない。
【0064】
この場合、金属電極13の形成は複雑となるが、導電性部材26と金属電極13との密着面積が大きいため、導電性部材26と金属電極13との接続部の電気抵抗を押さえることができると共に、信頼性が向上する。また、導電性部材26の充填量を溝深さの半分以下に押さえることができるため、インク供給口67での流路抵抗を軽減することができ、インク供給及び吐出駆動が安定する。
【0065】
同様に、図5に示すように圧電プレート27を上部圧電部材61と下部圧電部材62の2枚構成として、各々の圧電プレート27の分極方向が各々矢印63,64に示すように厚さ方向に反対向きに接着し、溝8を高さの約半分の位置で分極方向が反対となるように形成した後、溝8の全面に電極65を形成しても上記と同様の効果が得られる。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下のような効果を奏する。
請求項1によれば、導電性部材の幅(W)を100μm以上2000μm以下の範囲とすることにより、該導電性部材と金属電極とを信頼性が高く、均一に接続することができ、安定したインク滴の噴射を行うことができる。
【0067】
請求項2によれば、インク供給部の開口長さ(L)と導電性部材の幅(W)との比(W/L)を1/5以上2/3以下の範囲とすることにより、側壁の効率良い駆動が可能となる。
【0068】
請求項3によれば、カバープレートのインク供給部の深さ(hA)を溝の深さ(hB)より高くすることにより、安定したインク滴の噴射ができる。特に、上記条件を組み合わせることにより、効率よく安定したインク滴の噴射が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタヘッドの構成を示す断面図である。
【図2】同斜視図である。
【図3】同圧電プレートの導電性部材形成後を示す斜視図である。
【図4】同カバープレートの構成を示す斜視図である。
【図5】同圧電プレートの他の構成例を示す断面図である。
【図6】同導電性部材の幅と該導電性部材と金属電極との接続抵抗値バラツキの関係を示したグラフである。
【図7】同導電性部材の幅とインクインク供給部の開口長さとインク滴飛翔速度の関係を示したグラフである。
【図8】従来技術の圧電プレートの形成過程を示す説明図である。
【図9】同導電性部材塗布工程を示す断面図である。
【図10】同インクジェットプリンタヘッドの構成を示す斜視図である。
【図11】同圧電プレートの電極形成工程を示す説明図である。
【図12】同インクジェットプリンタヘッドの他の構成を示す斜視図である。
【図13】同インクジェットプリンタヘッドの断面図である。
【図14】同インクジェットプリンタヘッドの作動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
3−カバープレート
8−溝
12−インク流路
26−導電性部材
27−圧電部材(圧電プレート)
Claims (3)
- 一端に配置された基板から他端に配置されたインクを吐出するノズルプレートまで連通し、それぞれの間に側壁を挟んで形成された複数の溝と、前記複数の溝の前記一端側に位置して前記基板に接続される導電性部材と、前記溝の長手方向に沿って前記側壁に位置し、前記導電性部材を介して前記基板に接続された金属電極と、を有する圧電プレートと、
前記溝に対向して前記圧電プレートに接着されたカバープレートであって、前記長手方向における前記導電性部材側の一端に位置するインク供給口と、前記導電性部材及び前記溝の一部に対向し、前記インク供給口と前記溝とを連通する凹状のインク供給部と、を有するカバープレートと、を備え、
前記長手方向における前記導電性部材の幅(W)が、100μm以上2000μm以下の範囲に設定されていることを特徴とする液滴噴射装置。 - 一端に配置された基板から他端に配置されたインクを吐出するノズルプレートまで連通し、それぞれの間に側壁を挟んで形成された複数の溝と、前記複数の溝の前記一端側に位置して前記基板に接続される導電性部材と、前記溝の長手方向に沿って前記側壁に位置し、前記導電性部材を介して前記基板に接続された金属電極と、を有する圧電プレートと、
前記溝に対向して前記圧電プレートに接着されたカバープレートであって、前記長手方向における前記導電性部材側の一端に位置するインク供給口と、前記導電性部材及び前記溝の一部に対向し、前記インク供給口と前記溝とを連通する凹状のインク供給部と、を有するカバープレートと、を備え、
前記長手方向における前記インク供給部の前記溝の一部に対向する開口長さ(L)と前記長手方向における前記導電性部材の幅(W)との比(W/L)が1/5から2/3の範囲に設定されていることを特徴とする液滴噴射装置。 - 前記インク供給部の深さ(hA)が、少なくとも前記溝の深さ(hB)以上であることを特徴とする請求項1または2記載の液滴噴射装置。
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