JP2002052712A - インク噴射装置 - Google Patents

インク噴射装置

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JP2002052712A
JP2002052712A JP2000245583A JP2000245583A JP2002052712A JP 2002052712 A JP2002052712 A JP 2002052712A JP 2000245583 A JP2000245583 A JP 2000245583A JP 2000245583 A JP2000245583 A JP 2000245583A JP 2002052712 A JP2002052712 A JP 2002052712A
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Japan
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conductive member
channel
ink ejecting
ink
conductive
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JP2000245583A
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English (en)
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Yoshinori Nakajima
吉紀 中島
Yasuhiro Sakamoto
泰宏 坂本
Kaoru Higuchi
馨 樋口
Hitoshi Isono
仁志 磯野
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 個々の電極の取出しを容易にし、電気的接続
の歩留りを向上させた剪断モード方式のインク噴射装置
を提供する。 【解決手段】 インク噴射装置は、アクチュエータ1を
備える。アクチュエータ1は、圧電部材3とベース部材
2との積層体に、圧電部材3側からチャンネル溝32を
設けたものである。ベース部材2は、非導電性部材22
を介在することによって互いに絶縁されて配置された複
数の導電性部材21を含む。導電性部材21は、ベース
部材2が圧電部材3と接する側とは異なる側のベース部
材2の表面に電極引出面200を有する。したがって、
チャンネル溝32の内面に設けられる電極4は電極引出
面200に至るまで電気的に引き出されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタの印字ヘ
ッドなどに用いられるインク噴射装置に関する。より詳
しくは、圧電部材を壁面に含んで規定されたチャンネル
空間の内部に貯まったインクを、圧電部材に電圧を印加
して変形させることによって、噴出させる方式のインク
噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンタにおいては、インパクト
印字装置に代わって、カラー化、多階調化に対応しやす
いインクジェット方式などのノンインパクト印字装置が
急速に普及している。これに用いるインク噴射装置とし
ては、特に、印字に必要なインク滴のみを噴射するとい
うドロップ・オン・デマンド型が、噴射効率の良さ、低
コスト化の容易さなどから注目されている。ドロップ・
オン・デマンド型としては、カイザー(Kyser)方式や
サーマルジェット方式が主流となっている。
【0003】しかし、カイザー方式は、小型化が困難で
高密度化に不向きであるという欠点を有していた。ま
た、サーマルジェット方式は、インクを高温にして噴射
させる方式であるため、インクの耐熱性が要求され、ま
たエネルギー効率が悪いため、省エネの観点からも好ま
しいものではなかった。
【0004】このような各方式の欠点を解決するものと
して、特開昭63−247051号公報に剪断モード方
式のインク噴射装置が開示されている。この方式は、圧
電材料からなるインクチャンネル壁の両側面に形成した
電極に電位差を与えることで、剪断モードでチャンネル
壁を変形させ、その際に生じる圧力波変動を利用してイ
ンク滴を吐出するものであり、ノズルの高密度化、省エ
ネ化に適している。
【0005】剪断モード方式によるインク噴射装置を用
いたインクジェットプリンタは、現在、市販されてい
る。そのインク噴射装置の断面図を図12(a),
(b)に示す。このインク噴射装置は、基本的には、図
12(a)に示すように、アクチュエータ部材1とカバ
ー部材5とを重ね合わせた構造であり、インク吐出側の
端面にはインク吐出孔を有するノズルプレート9が取付
けられている。図12(a)のXIIB−XIIB線に
関する矢視断面図を図12(b)に示す。なお、図12
(a)は図12(b)のXIIA−XIIA線に関する
矢視断面図に相当する。
【0006】このインク噴射装置のインク吐出側(図1
2(a),(b)における右側)を「前側」とし、これ
と反対の側を「後ろ側」とすると、前後方向にチャンネ
ル壁30に隔てられるようにして複数のチャンネル溝3
2が平行に設けられている。チャンネル溝32は、イン
ク噴射装置を前後方向にみれば、各部分ごとに深さが変
化している。すなわち、図12(a)に明らかなよう
に、前からまず、チャンネル溝32が深い駆動領域L1
が約4mmに渡って存在し、次に、溝加工時にダイシン
グブレードに削られてできたR形状領域L9、その次
に、電極を引出すためにチャンネル溝32の深さが数十
μmと浅くなっている電極引出領域L10が約3mmに
渡って続いている。R形状領域L9の長さは、ダイシン
グブレードの直径が52mmのとき、約4mmとなる。
以下、説明の便宜上、チャンネル壁30のうち、駆動領
域L1にある部分を駆動チャンネル壁31と呼び、それ
以外の部分を非駆動チャンネル壁33と呼ぶ。
【0007】各チャンネル溝32の側壁、すなわち、チ
ャンネル壁30の側面には、電極4が形成されている。
ただし、電極4は、後に実施の形態4で説明する斜め蒸
着によって、駆動領域L1においては、チャンネル壁3
0の側面のうち、ほぼ上半分の領域に形成され、R形状
領域L9においては、チャンネル壁30の側面のうち、
上端から駆動チャンネル壁31の高さの約半分の幅の領
域に形成されている。斜め蒸着によって形成しているこ
とから、R形状領域L9のうち、チャンネル壁30の高
さが、駆動チャンネル壁31の高さの約半分に満たない
領域では、チャンネル溝32の底面にも電極4が形成さ
れている。
【0008】共通インク室51とインク供給孔52を有
するカバー部材5は、図12(a)に示すように、アク
チュエータ部材1のチャンネル溝32の開口部側(図1
2(a)における上側)に接着され、インク供給孔52
からインクが供給される。この方式では、あらかじめ、
カバー部材5に対して、サンドブラスト加工によって長
方形状の孔加工を行なうことによって、共通インク室5
1となる凹部を形成している。
【0009】共通インク室51よりも後方には、さらに
電極引出領域L10として、低いチャンネル壁30が延
在している。電極引出領域L10においては、チャンネ
ル溝32が浅いため、チャンネル壁30の側面およびチ
ャンネル溝32の底面に引続き電極4が形成されてい
る。その結果、電極4は、駆動領域L1からインク噴射
装置後端まで電気的に接続されていることになる。カバ
ー部材5の後端においては、封止剤10によってチャン
ネル溝32が塞がれ、共通インク室51からのインクの
漏出を防止している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】駆動チャンネル壁31
を変形させてインクの吐出を行なうためには、駆動チャ
ンネル壁31の側面に印加する電圧を制御する必要があ
る。この電圧制御のためには、電極4は、上述のよう
に、駆動領域L1からインク噴射装置後端まで電気的に
接続されている。このことにより、インク噴射装置の全
長が長くなって、圧電材料の使用量が多くなりコストア
ップをもたらしている。
【0011】電極4の形成される区間が長くなっている
ことで、不要な静電容量が増加していた。このことは、
消費電力の増加および熱発生量が増大するという問題が
生じていた。また、静電容量が大きいと、印字入力信号
が鈍らせられるため高周波数制御を行なうことができ
ず、印字の高速化やインク滴サイズの変調制御が困難と
なる。したがって、静電容量を低減することが望まれて
いる。
【0012】これらの課題を解決するために、特開平7
−101056号公報では、駆動領域以外の母材に低誘
電率材料を使用する技術が開示されている。また、駆動
領域以外の電極引出領域にあらかじめ低誘電率材料を下
地として形成する技術は、一般に用いられている。
【0013】しかし、特開平7−101056号公報で
は、圧電材料と低誘電率材料とを接着したのち、ダイシ
ングブレードなどで溝加工する必要があるため、量産に
向かず、コストアップにつながるという欠点を有してい
た。また、低誘電率材料を下地として形成する技術は、
比較的量産性には優れるが、高価な真空装置を必要と
し、圧電材料の使用量は減らないため、コストアップを
免れない。
【0014】これらの技術に共通する課題の根本は、電
極の取出しを容易にするためにダイシングブレードのR
形状と電極引出用の浅溝を設けていることが、駆動領域
以外での電極形成を必要とさせ、静電容量を増加させて
いる点にある。また、R形状を加工することは、量産を
考慮した場合、不利である。
【0015】そこで、電極取出しに関して、様々な他の
技術が提案されている。特開平6−218918号公報
では、全長に渡って同一深さで加工されたインク溝の駆
動領域以外の部分に導電性ペーストを流し込み、電極と
の電気的接続を行なう技術が開示されている。しかし、
この技術では、緻密なチャンネル溝内に液体状の導電性
ペーストを流し込むため、毛細管現象により、必要なチ
ャンネル溝までもつぶしてしまうおそれがある。また、
導電性ペーストの粘度管理や焼結条件管理が難しいとい
う欠点を有していた。さらに、導電性ペースト部から供
給電源への接続が難しく、歩留りが低いという問題が生
じていた。
【0016】また、特開平10−250053号公報で
は、カバー部材側に、引出し用の導電パターンを設け、
さらに、半田バンプによって、カバー部材側の導電パタ
ーンとチャンネル溝側面の電極との電気的接続を行なう
技術が開示されている。しかし、この技術では、カバー
部材に配置された半田バンプとチャンネル壁側面の電極
とを精度良く位置合わせしなければならないが、半田バ
ンプ自体の配置精度と、両者間の位置合わせ精度との両
方が求められるため、技術的ハードルが高く、歩留りが
よくないという欠点を有していた。
【0017】また、特開平7−232431号公報で
は、圧電材料と導電性材料とを積層し、溝加工を行なう
ことにより、チャンネル溝底面が導電性材料により構成
されるようにし、チャンネル壁側面にある電極を共通電
極としてチャンネル溝底面の導電性材料を介して電気的
に取出す技術が開示されている。もっとも、この技術で
は、噴射チャンネルと非噴射チャンネルとが交互に配置
されたいわゆるダミーセル方式であることを前提とした
技術である。非噴射チャンネルである空気室側の電極に
ついては、導電性部材を介して共通に電気的に取出して
いる。すなわち、この技術は、ひとつおきのチャンネル
(非噴射チャンネル)の電極の電位をすべて共通とする
ことにより、非噴射チャンネルの電極引出しを容易に
し、さらに全体として電気的接続数を要する数をほぼ半
減させている。しかし、噴射チャンネルの電極について
は、従来技術を用いて個々に電極を取出さなければなら
ない。
【0018】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であり、ダミーセル方式に限定されない方式において、
個々の電極の取出しを容易にし、電気的接続の歩留りを
向上させた剪断モード方式のインク噴射装置を提供する
ことを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に基づくインク噴射装置は、一方の端からイ
ンクを吐出するためのチャンネル溝を有するアクチュエ
ータ部材と、上記チャンネル溝の底面と対向する開口部
の少なくとも一部を塞ぐカバー部材とを備え、上記アク
チュエータ部材は、ベース部材と、上記ベース部材に接
する圧電部材とを含み、上記ベース部材は、非導電性部
材を介在することによって互いに絶縁されて配置された
複数の導電性部材を含み、上記導電性部材は、上記ベー
ス部材が上記圧電部材と接する側とは異なる側の上記ベ
ース部材の表面に電極引出面を有し、上記圧電部材と上
記電極引出面とを電気的に接続する。
【0020】上記構成を採用することにより、チャンネ
ル溝がベース部材に至るように形成することによって、
チャンネル溝内面に形成される電極とベース部材に含ま
れた導電性部材とを電気的に接続することができ、導電
性部材を介してベース部材の表面に形成された電極引出
面に至るまで電極を引出すことができる。電極引出面は
ベース部材の圧電部材と接しない側の面とすることがで
きるため、外部との電気的接続が容易となる。
【0021】上記発明において好ましくは、上記導電性
部材と上記非導電性部材とは、いずれも層状であって、
上記チャンネル溝の深さ方向に略垂直であって上記チャ
ンネル溝の長手方向に略垂直な方向に交互に積層されて
おり、上記チャンネル溝の底面または側面には上記導電
性部材の断面が接している。
【0022】上記構成を採用することにより、ベース部
材は、導電性部材と非導電性部材との積層によって形成
することができるため、作製が容易となる。また、単純
な構造でありながらチャンネル溝の内面から電極引出面
への電気的接続を確実に行なうことができる。
【0023】上記発明において好ましくは、上記チャン
ネル溝は、それぞれチャンネル壁を介して複数本が略平
行に並んでおり、上記導電性部材と上記非導電性部材と
は、上記導電性部材の厚みが上記チャンネル壁の厚みよ
り小さく、かつ上記非導電性部材の厚みが上記チャンネ
ル溝の幅以下という条件が満たされるように積層されて
いる。
【0024】上記構成を採用することにより、導電性部
材と非導電性部材との組合せが不規則であったり、チャ
ンネル溝に対してずれた位置関係にあったりしても、常
に、各チャンネル溝はそれぞれの内面のいずれかの箇所
に導電性部材が露出し、かつ、各チャンネル溝の内面に
露出する導電性部材21は互いに電気的に独立なものと
なる。したがって、いずれのチャンネル溝においても必
ず独立に電極引出しが可能となる。
【0025】上記発明において好ましくは、上記チャン
ネル溝は、それぞれチャンネル壁を介して複数本が略平
行に並んでおり、上記導電性部材と上記非導電性部材と
は、上記非導電性部材の厚みが上記チャンネル溝の幅以
下であり、かつ、上記各チャンネル壁を下方に投影した
領域内の少なくとも一部に上記非導電性部材が含まれる
という条件が満たされるように積層されている。
【0026】上記構成を採用することにより、各チャン
ネル溝はそれぞれの内面のいずれかの箇所に導電性部材
が露出し、かつ、各チャンネル溝の内面に露出する導電
性部材は、チャンネル壁の下方において必ず非導電性部
材によって隔てられているため、互いに電気的に独立な
ものとなる。したがって、いずれのチャンネル溝におい
ても必ず独立に電極引出しが可能となる。さらに導電性
部材の厚みをチャンネル溝の幅より大きくとることもで
きるため、ワイヤボンディングなどの外部接続が容易と
なり、歩留まり向上につながる。
【0027】上記発明において好ましくは、上記各導電
性部材は、上面と下面とが露出し、かつ、隣接する他の
上記導電性部材とは電気的に独立した形で、板状の上記
非導電性部材の中に埋設されている。この構成を採用す
ることにより、ベース部材の設計の自由度が高まり、作
製が容易となるため、インク噴射装置をより容易に得る
ことができる。
【0028】上記発明において好ましくは、上記導電性
部材は少なくとも一部が上記非導電性部材の厚み方向に
延びる柱状部材である。この構成を採用することによ
り、ベース部材の設計の自由度がさらに高まり、作製が
容易となるため、インク噴射装置をより容易に得ること
ができる。たとえば、ベース部材の非導電性部材をシリ
コン単結晶ウエハとして、異方性エッチングなどの技術
を用いて作製することも可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】(実施の形態1) (構成)図1、図2を参照して、本発明に基づく実施の
形態1におけるインク噴射装置について説明する。
【0030】本実施の形態におけるインク噴射装置の断
面図を、図1に示す。このインク噴射装置は、アクチュ
エータ1の上側にカバープレート5を接着したものであ
るところのインク噴射素子を含む。アクチュエータ1に
ついては詳しくは後述する。カバープレート5は、セラ
ミックス製であり、サンドブラスト加工により共通イン
ク室51となるための凹部とインク供給孔52とが形成
されている。セラミックス製とする代りに樹脂性であっ
てもよい。接着はエポキシ系の接着剤で行われる。
【0031】アクチュエータ1の上側にカバープレート
5を接着することで、アクチュエータ1に前後方向に沿
って設けられたチャンネル溝32の開口部は一部塞が
れ、駆動領域となる。またカバープレート5に設けられ
ていた凹部は、共通インク室51を構成する。
【0032】インク噴射素子の前側には、ノズルプレー
ト9が接着され、全体でインク噴射装置を構成してい
る。ノズルプレート9は、各インク流路の位置に対応し
た位置にノズル孔91を有している。インク噴射装置の
後端部においては、後方に向かって開口するチャンネル
溝32は封止剤53により封止されている。印字信号な
どをインク噴射装置に出力する外部回路7は、インク噴
射装置の電極引出面200とワイヤボンディングにより
電気的に接続されている。なお、駆動領域の長さAは1
mm、インク噴射素子の全長Sは4mmである。
【0033】図2は、図1におけるII−II線に関す
る矢視断面図、すなわち、インク噴射装置の一部をなす
アクチュエータ1の断面図である。アクチュエータ1
は、ベース部材2と圧電部材3とを積層させた後、圧電
部材3の側からダイシングブレードで図2における紙面
垂直方向に沿って溝加工を施され、チャンネル壁31お
よびチャンネル溝32を有する構造となっている。
【0034】チャンネル溝32をその深さ方向に注目す
れば、図2に示すように、圧電部材3を貫き、ベース部
材2に至るように形成されている。チャンネル溝32内
面には真空蒸着などによって内面全面を覆うように電極
4が均一に形成されている。
【0035】図2に示すように、圧電部材3は、互いに
逆向きに分極した圧電体基板301と圧電体基板302
とを図中上下方向に積層したものである。一方、ベース
部材2は、導電性部材21と非導電性部材22とを図中
左右方向に交互に積層したものである。
【0036】ベース部材2の導電性部材21と非導電性
部材22との厚みの和は溝ピッチと略一致していれば、
圧電部材3側から掘り下げた各チャンネル溝32の底面
に導電性部材21が確実に露出するようになり、電気的
接続の歩留りを高めることができ、好ましい。しかし、
必ずしも略一致させる必要はない。たとえば、導電性部
材21の厚みがチャンネル壁30の厚みより小さく、か
つ非導電性部材22の厚みが溝幅以下という条件が満た
されていれば、導電性部材21と非導電性部材22との
組合せが不規則であったり、チャンネル溝32に対して
ずれた位置関係にあったりしても、常に、各チャンネル
溝32はそれぞれの内面のいずれかの箇所に導電性部材
21が露出し、かつ、各チャンネル溝32の内面に露出
する導電性部材21は互いに電気的に独立なものとな
る。したがって、いずれのチャンネル溝32においても
必ず独立に電極引出しが可能となる。
【0037】あるいは、上述の条件の代わりに、非導電
性部材22の厚みが溝幅以下であり、かつ、各チャンネ
ル壁30を下方に投影した領域内の少なくとも一部に非
導電性部材22が含まれるという条件を満たす構造であ
っても、各チャンネル溝32はそれぞれの内面のいずれ
かの箇所に導電性部材21が露出し、かつ、各チャンネ
ル溝32の内面に露出する導電性部材21は、チャンネ
ル壁30の下方において必ず非導電性部材22によって
隔てられているため、互いに電気的に独立なものとな
る。したがって、いずれのチャンネル溝32においても
必ず独立に電極引出しが可能となる。さらに導電性部材
21の厚みをチャンネル溝32の幅より大きくとること
もできるため、ワイヤボンディングなどの外部接続が容
易となり、歩留まり向上につながる。
【0038】(作用・効果)図2に示したように、チャ
ンネル溝32はベース部材2に至るように形成されてい
るため、チャンネル溝32の底面および底面近傍の側面
においては、ベース部材2が露出している。導電性部材
21の厚みがチャンネル壁30の厚みより小さく、かつ
非導電性部材22の厚みが溝幅以下という条件、また
は、非導電性部材22の厚みが溝幅以下であり、かつ、
各チャンネル壁30を下方に投影した領域内の少なくと
も一部に非導電性部材22が含まれるという条件の少な
くともいずれかが満たされていれば、上述の説明のよう
に、どのチャンネル溝32の内面にも必ず、導電性部材
21が露出することになる。したがって、チャンネル溝
32の内面に形成された電極4は、これらの導電性部材
21と電気的に接続され、導電性部材21によって、ア
クチュエータ1の下面にある電極引出面200まで電気
的に接続される。互いに隣接する導電性部材21は非導
電性部材22を介在することで互いに絶縁されており、
電極4から電極引出面200に至る電極引出しは、それ
ぞれ電気的に独立した状態を保って行われる。電極引出
面200は、1つ1つのチャンネル溝に対応してそれぞ
れ孤立している。
【0039】たとえば、図2に示した例では、電極4a
は、導電性部材21aを介して電極引出面200aに電
気的に接続されている。電極4bは、導電性部材21b
を介して電極引出面200bに電気的に接続されてい
る。電極4cは、導電性部材21cおよび21eのいず
れにも接しているため、どちらを用いてもよく、両方を
用いてもよい。導電性部材21cを用いる場合は、電極
引出面200cに電気的に接続されている。
【0040】外部回路7から送られた信号は電極引出面
200から電極4に伝わる。電極4によって駆動チャン
ネル壁31に電圧が印加されると、圧電体基板301の
部分と圧電体基板302の部分とは互いに逆向きに分極
した圧電材料であるので、互いに逆向きに剪断モードで
変形を起こし、駆動チャンネル壁31全体として「く」
の字形に変形する。この変形により、チャンネル溝32
内の体積が減少し、チャンネル溝32内のインクが押し
出されてノズル孔91から前方へ噴射される。
【0041】本実施の形態では、図2に示すように、ベ
ース部材2の内部に含まれる導電性部材21によって、
チャンネル溝32の底面と電極引出面200とが電気的
に接続されているため、従来技術に基づくインク噴射装
置に存在したR形状領域L9、電極引出領域L10(図
12(a)参照)を必要とせず、電極の引出しが可能と
なる。よって従来に比べ、圧電材料の使用量が少なく、
不要な静電容量が小さいインク噴射装置とすることがで
きる。
【0042】また、従来技術では、電極引出領域L10
の浅溝部分から外部回路への電気的接続を行なわなけれ
ばならず、浅溝部分は形状が複雑であるため、接続不良
を生じる場合があったが、本実施の形態では、平坦な電
極引出面200から電気的接続を行なうことができ、歩
留りの向上を図ることができる。
【0043】なお、本実施の形態では、圧電部材3を構
成する圧電体基板301,302は、互いに逆向きの分
極特性を有するものとしたが、このような組み合わせに
限らず、たとえば、一方が分極しており、もう一方は分
極していない圧電材料の積層体としてもよい。
【0044】また、本実施の形態では、外部回路7は、
インク噴射装置と別の箇所に配置して、ワイヤボンディ
ングによって電気的接続を行なったが、外部回路の一部
をインク噴射装置の裏面などに実装してもよい。
【0045】(実施の形態2) (構成)図3、図4を参照して、本発明に基づく実施の
形態2におけるインク噴射装置について説明する。
【0046】本実施の形態におけるインク噴射装置の断
面図を、図3に示す。このインク噴射装置は、アクチュ
エータ1の上側にカバープレート5を接着したものであ
るところのインク噴射素子を含む。このインク噴射素子
は、プリント基板8の表面に固定されている。さらに、
プリント基板8の上には、共通インク室形成部材6が取
付けられている。共通インク室形成部材6は、射出形成
により作製した樹脂製であり、インク噴射素子上面部を
覆うように配置され、周囲の不要な開口部は封止剤(図
示省略)によって封止することによって、内部に共通イ
ンク室51を形成している。すなわち、実施の形態1に
おけるインク噴射装置(図1参照)は、インク噴射素子
の内部に共通インク室51を有していたのに対し、本実
施の形態におけるインク噴射装置では、共通インク室5
1は、インク噴射素子の後方外部に形成されている。し
たがって、インク供給孔52は、カバープレート5では
なく、共通インク室形成部材6に設けられた孔となって
いる。なお、インク噴射素子の全長Sは1mmである。
このインク噴射素子は、内部に共通インク室52を含ま
ないため、全領域がそのまま駆動領域として使用可能で
あり、そのため、駆動領域の長さAは、インク噴射素子
の全長Sと等しくなっている。
【0047】このインク噴射装置のうち、共通インク室
形成部材6を取り除き、インク噴射素子およびその周辺
のみを取出して拡大した斜視図を、図4に示す。実施の
形態1においては、図1、図2に示すように電極引出面
200は、インク噴射素子ないしインク噴射装置の下面
に設けられていたが、本実施の形態においては、図4に
示すように、電極引出面200は、インク噴射素子の後
ろ側の面となっている。電極引出面200として露出し
た導電性部材21の各々に対応するピッチで、プリント
基板8の表面には引出し配線81が実装されており、図
4における水平面内に延びる引出し配線81と、鉛直面
である電極引出面200とは、互いに出会うコーナ部に
はんだバンプ82をそれぞれ配置することによって、電
気的接続が確実に行なえるようにしている。引出し配線
81は、幅50μm、141μmピッチでチャンネル溝
32の長手方向と平行にパターニングされている。引出
し配線81は、図3に示すように、共通インク室51の
内部のみならず、その外部にまで延在しており、共通イ
ンク室51の外部においてやはりプリント基板8上に実
装された外部回路7と接続されている。
【0048】(作用・効果)上述のように、インク噴射
素子の後ろ側の面からであっても電極引出しを行なえる
ため、従来のような電極引出領域L10(図12(a)
参照)がなく、インク噴射素子の全長がそのまま駆動領
域として働くようなインク噴射素子においても、電極引
出しが可能である。したがって、インク噴射素子の全長
をさらに小さくしても、電極引出しに関して、不都合は
生じない。よって、インク噴射素子をさらに小型化し、
圧電部材の使用量を大幅に低減したインク噴射装置を得
ることができる。このことは、製造コストを抑えるのみ
ならず、微小ドット形成に有利なインク噴射装置とする
ことができる。
【0049】インク噴射装置の小型化は、同時に不要な
静電容量をも大幅に低減できることから、応答の高速化
を図ることもできる。
【0050】また、インク噴射素子をプリント基板など
の表面に実装しても電極引出しを妨げないことから、外
部回路とインク噴射素子とを同一の基板上に実装するこ
とが可能となる。このことによって、電気的接続が容易
となるのみならず、製造ラインの簡略化、製造装置の低
価格化、製造時間の短縮などを図ることができる。
【0051】(実施の形態3) (構成)図5、図6を参照して、本発明に基づく実施の
形態3におけるインク噴射装置について説明する。
【0052】本実施の形態におけるインク噴射装置の断
面図を、図5に示す。このインク噴射装置は、全体とし
ては、実施の形態2におけるものと似ているが、アクチ
ュエータ1の部分が異なっている。
【0053】このインク噴射装置のうち、共通インク室
形成部材6およびカバープレート5を取り除き、アクチ
ュエータ1およびその周辺のみを取出して拡大した斜視
図を、図6に示す。このインク噴射装置においては、チ
ャンネル壁30は、長手方向に沿って一律な高さではな
く、前方の駆動チャンネル壁31と、後方の非駆動チャ
ンネル壁33とで高さが異なっている。非駆動チャンネ
ル壁33の高さは駆動チャンネル壁31の高さの約半分
となっている。
【0054】このようなチャンネル壁30は、圧電部材
3に対してダイシングブレードをアクチュエータ1の前
後方向に走行させてチャンネル溝32を加工したのち
に、チャンネル壁30の長手方向に直交する方向にダイ
シングブレードを走行させて、非駆動チャンネル壁33
の部分のみ上半分を削り取る加工を行なうことによって
形成することができる。
【0055】電極4は、チャンネル溝32の内面全面に
形成するのではなく、駆動チャンネル壁31において
は、側壁の略上半分のみに形成され、非駆動チャンネル
壁32においては、側壁全部と底面に形成されている。
このような電極4は、シャドー効果を利用した斜め蒸着
を行なうことにより、容易に得ることができる。具体的
には、斜め蒸着の角度、駆動チャンネル壁31と非駆動
チャンネル壁32との高さの差、溝幅などのパラメータ
を適当に調整することにより、上述のような電極4を得
ることができる。
【0056】(作用・効果)駆動チャンネル壁31にお
いて、電極4が形成されているのが、略上半分のみであ
るため、駆動チャンネル壁31に剪断モードでの変形を
起こさせるためには、圧電部材3は必ずしも積層体であ
る必要はない。1つの向きに分極した単一体のPZTで
あってよい。電極4が略上半分にのみ形成されているた
め、電圧を印加したとき、剪断モードでの変形が直接引
き起こされるのは、略上半分のみであり、結果として、
全体は「く」の字形に準じた形状に変形するからであ
る。
【0057】また、このような略上半分のみに電極4を
形成しただけでは、チャンネル溝32底面に露出する導
電性部材21との電気的接続が確保できないところであ
るが、本実施の形態におけるインク噴射装置では、チャ
ンネル溝30の後ろ半分は非駆動チャンネル壁32とし
て高さが略半分となっているため、斜め蒸着で形成され
た電極4は、図6に示されるようにチャンネル溝32底
面にまで達している。したがって、駆動チャンネル壁3
1の側壁の略上半分に形成されていた電極4は、非駆動
チャンネル壁32の電極4を経由して、チャンネル溝3
2底面に至り、導電性部材21を介して後ろ側の面であ
る電極引出面200に至るまで電気的に接続されてい
る。
【0058】よって、電極4は、実施の形態2における
インク噴射装置の場合と同様に、プリント基板8の表面
に実装された引出し配線81を用いて、外部回路7と電
気的に接続を行なうことができる。
【0059】なお、本実施の形態におけるインク噴射装
置においては、図5における駆動領域の長さAは1m
m、インク噴射素子の全長Sは2mmである。
【0060】本実施の形態におけるインク噴射装置で
は、圧電部材3として積層体を用いる必要がなく、単一
部材を用いることができるため、材料コストの低減を図
ることができる。
【0061】実施の形態2,3においては、アクチュエ
ータ1の後ろ側の表面である電極引出面200と引出し
配線81とをはんだバンプ82によって電気的に接続す
る方法を例示したが、必ずしもこのような構造である必
要はなく、たとえば、電極引出面200を後ろ側の面で
はなく、裏側(図5における下側)の面とし、プリント
基板8表面に実装した引出し配線81と電極引出面20
0とがそれぞれ個別かつ確実に接触するように、プリン
ト基板8に対するインク噴射素子の固定を行なうなどの
構成によってもよい。
【0062】また、はんだバンプ82はインク噴射素子
のプリント基板8への実装の後に配置するのではなく、
引出し配線81上にあらかじめはんだバンプ82を実装
した後に、インク噴射素子をプリント基板8上に実装
し、超音波などの外部エネルギを与えてはんだバンプ8
2を溶融させることによって、電極引出面200と引出
し配線81との電気的接続を行なうこととしてもよい。
【0063】また、実施の形態2,3では、カバープレ
ート5を用いてインク噴射素子を構成した後に、共通イ
ンク室形成部材6が覆い被さっているが、共通インク室
形成部材6がカバープレート5を兼ねる構造であっても
よい。
【0064】(実施の形態4) (構成)図7を参照して、本発明に基づく実施の形態4
におけるインク噴射装置について説明する。本実施の形
態におけるインク噴射装置の断面図を、図7に示す。イ
ンク噴射素子の部分だけに注目すれば、実施の形態2に
おけるもの(図3参照)と似ているが、インク噴射素子
の前後方向、すなわち、チャンネル溝32の長手方向が
プリント基板8の面に対して垂直になる向きにインク噴
射素子が取り付けられているという点で、これまでの実
施の形態におけるものと構造が大きく異なる。インク噴
射素子と共通インク室形成部材6とは、プリント基板8
の互いに反対側に配置されており、共通インク室形成部
材6によってプリント基板8の図中下側に構成された共
通インク室51内のインクは、プリント基板8に設けら
れたインク導入孔83を経由して、プリント基板8の図
中上側にあるインク噴射素子のチャンネル溝32内に導
かれるようになっている。インク噴射の向きは図7に示
すとおり、図7における上向きである。したがって、イ
ンク噴射素子の上側にノズルプレート9が取り付けられ
ている。
【0065】インク噴射素子の全長Sは1mmである。
このインク噴射素子は、全長にわたって駆動領域である
ため、駆動領域の長さAは、インク噴射素子の全長Sと
等しくなっている。このようなインク噴射素子は、大面
積のアクチュエータの部材にカバープレート5の部材を
接着した後に、チャンネル溝32に直交する方向に切断
することによって、作成することができる。
【0066】プリント基板8には、ノズル数(チャンネ
ル溝の数)と同数でピッチがほぼ一致した引出し配線8
1と、外部回路7が実装されており、インク噴射素子の
電極引出面200から引出し配線81への電気的接続
は、はんだバンプ82を用いてなされている。
【0067】(作用・効果)本実施の形態におけるイン
ク噴射装置では、プリント基板8上に実装された外部回
路7とインク噴射素子とを容易に電気的に接続すること
が可能となる、また、このインク噴射装置は、ライン工
程で作製しやすいため、量産化に適している。
【0068】また、本実施の形態におけるインク噴射装
置は、実施の形態2,3におけるインク噴射装置と異な
り、電極引出面200と引出し配線81との接合部分が
共通インク室51の外部にあるため、この接合部分がイ
ンクによって腐食するおそれのないインク噴射装置とす
ることができる。
【0069】本実施の形態においては、アクチュエータ
1全体が図2に示したような均一な断面をもつものに限
らず、また、チャンネル溝32の内面全面に電極4が形
成されたものに限られるものでもない。
【0070】(実施の形態5) (構成)図8を参照して、本発明に基づく実施の形態5
におけるインク噴射装置について説明する。本実施の形
態におけるインク噴射装置の全体の構造は、上記実施の
形態のいずれかに述べたものであってよい。ただし、本
実施の形態におけるインク噴射装置は、そのベース部材
2に特徴がある。すなわち、ベース部材2は、図8に示
すような構造となっている。
【0071】このベース部材2は、厚み2mm程度であ
り、導電性部材としてφ30〜50μmの銅線24が、
非導電性部材としての樹脂材料25の中に埋設された構
造をしている。銅線24は、中心間距離が70μm以下
で互いに導通しないように配置されており、位置にそれ
以上の規則性は必要ない。本実施の形態では、銅線24
が互いに隣接するものとの間で導通しないように、銅線
24は、それぞれ絶縁層で側面を被覆した円柱状の銅線
としている。図8に示すベース部材2が、図中上側に圧
電部材3が積層されるものであるとすると、その裏面、
すなわち、図中下側に銅線24が露出する部分は、電極
引出面200となっている。
【0072】このベース部材2とシート状の圧電部材
(図示省略)とを積層したものに、その圧電部材側から
ダイシングブレードにより溝加工を行ない、少なくとも
電極を取り出したい領域において溝がベース部材2に達
するまで溝加工を施す。こうすることにより、チャンネ
ル溝(図示省略)の内面に銅線24の切断面が露出する
こととなるため、蒸着によって電極形成を行なった際
に、チャンネル溝内壁に形成された電極と、電極引出面
200とは、銅線24を介して電気的に接続されること
となる。ダイシングブレードによる溝加工は、ベース部
材2の一部も削り取るような加工であってもよいが、溝
内面に銅線24の切断面が少なくとも露出すればよい。
その後、各チャンネル溝の電極と電極引出面200との
対応関係を調べ、各チャンネル溝の電極に対応する電極
引出面200からそれぞれワイヤボンディングなどの公
知技術により、外部回路への電気的接続を行なう。
【0073】(作用・効果)このようなベース部材2で
あれば、ベース部材2の作製が容易となるため、インク
噴射装置をより容易に得ることができる。
【0074】(実施の形態6) (構成)図9を参照して、本発明に基づく実施の形態6
におけるインク噴射装置について説明する。本実施の形
態におけるインク噴射装置の全体の構造は、上記実施の
形態のいずれかに述べたものであってよい。ただし、本
実施の形態におけるインク噴射装置は、そのベース部材
2に特徴がある。すなわち、ベース部材2は、図9に示
すような構造となっている。
【0075】(製造方法)このベース部材2は、厚み
0.6mmのシリコン単結晶ウエハ26に対して異方性
エッチングによって裏面に貫通する穴を形成し、穴部分
に金属性材料の無電解メッキを施すことにより、金属性
の導電性部材27を穴中に埋め込んだ構造としたもので
ある。本実施の形態では、異方性エッチングによってパ
ターニングを施し、180dpiのピッチで導電性部材
27を形成した。各導電性部材27の上面に露出する部
分は、70μm×300μmの略長方形である。
【0076】このようにして作製したベース部材2とシ
ート状の圧電部材(図示省略)とを積層したものに、導
電性部材の短辺の垂直2等分線である図中のM−M線が
それぞれ溝の中心となるように矢印方向に沿って溝加工
を行なった。その後に蒸着により溝内面に電極を形成し
た。
【0077】(作用・効果)本実施の形態で述べたよう
なベース部材2を採用することとすれば、シリコン単結
晶ウエハに対して既に開発されている加工技術を適用し
て、確実にベース部材2を作製することができる。
【0078】本実施の形態では、図9に示したように単
純なパターンのものを示したが、これに限定されず、シ
リコン単結晶ウエハ26に導電性部材27を埋め込むだ
けでなく、さらに電極引出し配線などを兼ね備えた配線
パターンを設けてもよい。
【0079】(実施の形態7) (構成)図10、図11を参照して、本発明に基づく実
施の形態7におけるインク噴射装置について説明する。
本実施の形態におけるインク噴射装置の全体の構造は、
上記実施の形態のいずれかに述べたものであってよい。
ただし、本実施の形態におけるインク噴射装置は、その
ベース部材2に特徴がある。すなわち、ベース部材2
は、図10に示すような構造となっている。
【0080】このベース部材2においては、導電性部材
28としてのアルミニウム部材の厚みが130μm、非
導電性部材29としての接着層の厚みが8〜12μmで
ある。ベース部材2としての厚みは2mmである。
【0081】(製造方法)このベース部材2は、厚み1
30μmの複数のアルミニウム板をエポキシ系樹脂によ
って積層接着した後に、積層方向に垂直に厚みが2mm
となるようにスライス加工することによって得たもので
ある。
【0082】このベース部材2とシート状の圧電部材
(図示省略)とを積層したものに、その圧電部材側から
ダイシングブレードにより溝加工を行なう。ただし、こ
の溝加工は、図10における導電性部材28の中心線を
基準として溝ピッチを180dpiとして溝幅80μm
の溝加工を行なう。これに対して蒸着により電極4を形
成した状態の断面図を図11に示す。
【0083】本実施の形態では、導電性部材28の幅を
チャンネル溝32の幅より大きくして、なおかつ、導電
性部材28と非導電性部材29との幅の和を溝ピッチと
略一致させている。これにより、各チャンネル溝32の
底面部近傍に導電性部材28が露出し、非導電性部材2
9は、各チャンネル壁30(駆動チャンネル壁31)の
下方において左右の導電性部材28同士を隔てる構造と
なる。
【0084】なお、この場合も、非導電性部材29の厚
みがチャンネル溝32の幅以下であり、かつ、前記各チ
ャンネル壁30を下方に投影した領域内の少なくとも一
部に非導電性部材29が含まれるという条件は満たされ
ている。
【0085】(作用・効果)このようなベース部材2の
構成とすれば、電極引出面200をチャンネル溝32の
幅以上にすることができる。よって、電極引出面200
への外部からの電気的接続を、より容易、より確実に行
なえるようになり、歩留まりの向上を図ることができ
る。また、アクチュエータ1の裏面のみでなく、側面か
らも電極の取り出しが可能であるため、インク噴射装置
の設計の自由度が高まる。
【0086】本実施の形態では、金属板をエポキシ系樹
脂の接着層を介して積層し、その積層方向に対して垂直
にスライスすることにより得ているが、実施の形態6で
説明したように、シリコン単結晶ウエハを異方性エッチ
ングして導電性部材をパターニングする方法によっても
得ることができる。
【0087】また、本実施の形態では、溝ピッチを18
0dpiとして説明したが、これに限定されるものでは
なく、よりノズルの配置が高密度化されたインク噴射装
置であっても本発明は適用可能であり、高密度化される
ほど、本実施の形態のようにして電極引出面200をチ
ャンネル溝32の幅より大きく確保できることのメリッ
トは大きいといえる。
【0088】なお、今回開示した上記実施の形態はすべ
ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の
範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって
示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での
すべての変更を含むものである。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、チャンネル溝がベース
部材に至るように形成することによって、チャンネル溝
内面に形成される電極とベース部材に含まれた導電性部
材とを電気的に接続することができ、導電性部材を介し
てベース部材の表面に形成された電極引出面に至るまで
電極を引出すことができる。これによって、外部回路な
どとの電気的接続が容易になり、また、インク噴射装置
全体の構成の自由度も高まる。また、ベース部材の条件
次第で、電極を、チャンネル溝の幅よりも大きな幅の電
極引出面として取り出すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく実施の形態1におけるインク
噴射装置の断面図である。
【図2】 本発明に基づく実施の形態1におけるインク
噴射装置の主要部の断面図である。すなわち、図1にお
けるII−II線に関する矢視端面図である。
【図3】 本発明に基づく実施の形態2におけるインク
噴射装置の断面図である。
【図4】 本発明に基づく実施の形態2におけるインク
噴射装置の主要部の斜視図である。
【図5】 本発明に基づく実施の形態3におけるインク
噴射装置の断面図である。
【図6】 本発明に基づく実施の形態3におけるインク
噴射装置の主要部の斜視図である。
【図7】 本発明に基づく実施の形態4におけるインク
噴射装置の断面図である。
【図8】 本発明に基づく実施の形態5におけるインク
噴射装置に用いられるベース部材の斜視図である。
【図9】 本発明に基づく実施の形態6におけるインク
噴射装置に用いられるベース部材の斜視図である。
【図10】 本発明に基づく実施の形態7におけるイン
ク噴射装置に用いられるベース部材の斜視図である。
【図11】 本発明に基づく実施の形態7におけるイン
ク噴射装置の主要部の断面図である。
【図12】 (a),(b)は、従来技術に基づくイン
ク噴射装置の断面図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ、2 ベース部材、3 圧電部材、
4,4a,4b,4c電極、5 カバープレート、6
共通インク室形成部材、7 外部回路、8プリント基
板、9 ノズルプレート、10 封止剤、21,21
a,21b,21c,21d,21e,27,28 導
電性部材、22,29 非導電性部材、24 銅線、2
5 樹脂性材料、26 シリコンウエハ、30 チャン
ネル壁、31 駆動チャンネル壁、32 チャンネル
溝、33 非駆動チャンネル壁、51 共通インク室、
52 インク供給孔、53 封止剤、81 引出し配
線、82 はんだバンプ、83 インク導入孔、91
ノズル孔、200,200a,200b,200c 電
極引出面、301,302 圧電体基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋口 馨 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 磯野 仁志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF93 AG12 AG85 AG91 AP02 AP22 AP25 AP34 AP46 AP54 AP55 AQ02 AQ06 BA03 BA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の端からインクを吐出するためのチ
    ャンネル溝を有するアクチュエータ部材と、 前記チャンネル溝の底面と対向する開口部の少なくとも
    一部を塞ぐカバー部材とを備え、 前記アクチュエータ部材は、ベース部材と、前記ベース
    部材に接する圧電部材とを含み、 前記ベース部材は、非導電性部材を介在することによっ
    て互いに絶縁されて配置された複数の導電性部材を含
    み、 前記導電性部材は、前記ベース部材が前記圧電部材と接
    する側とは異なる側の前記ベース部材の表面に電極引出
    面を有し、前記圧電部材と前記電極引出面とを電気的に
    接続する、インク噴射装置。
  2. 【請求項2】 前記導電性部材と前記非導電性部材と
    は、いずれも層状であって、前記チャンネル溝の深さ方
    向に略垂直であって前記チャンネル溝の長手方向に略垂
    直な方向に交互に積層されており、前記チャンネル溝の
    底面または側面には前記導電性部材の断面が接してい
    る、請求項1に記載のインク噴射装置。
  3. 【請求項3】 前記チャンネル溝は、それぞれチャンネ
    ル壁を介して複数本が略平行に並んでおり、前記導電性
    部材と前記非導電性部材とは、前記導電性部材の厚みが
    前記チャンネル壁の厚みより小さく、かつ前記非導電性
    部材の厚みが前記チャンネル溝の幅以下という条件が満
    たされるように積層されている、請求項2に記載のイン
    ク噴射装置。
  4. 【請求項4】 前記チャンネル溝は、それぞれチャンネ
    ル壁を介して複数本が略平行に並んでおり、前記導電性
    部材と前記非導電性部材とは、前記非導電性部材の厚み
    が前記チャンネル溝の幅以下であり、かつ、前記各チャ
    ンネル壁を下方に投影した領域内の少なくとも一部に前
    記非導電性部材が含まれるという条件が満たされるよう
    に積層されている、請求項2または3に記載のインク噴
    射装置。
  5. 【請求項5】 前記各導電性部材は、上面と下面とが露
    出し、かつ、隣接する他の前記導電性部材とは電気的に
    独立した形で、板状の前記非導電性部材の中に埋設され
    ている、請求項1に記載のインク噴射装置。
  6. 【請求項6】 前記導電性部材は少なくとも一部が前記
    非導電性部材の厚み方向に延びる柱状部材である、請求
    項5に記載のインク噴射装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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