JP3811792B2 - シートのウォークイン装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば2ドア式自動車の前座席に適用して好適なシートのウォークイン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的なシートのウォークイン装置としては、例えば実開昭60−7234号公報に開示されたものがある。これは、車体フロアにシート位置固定用ロックプレートを介して一対のロアレールを設け、これらロアレールにヘルパースプリングを介してアッパーレールを摺設し、このアッパーレールにシート位置固定用ロックプレートに対して離反自在に係合するロックレバーを付設してなり、ケーブルを介してシートバックのアッパーアームに連係されるシートのウォークイン装置であって、特にアッパーレールは、ロアレールに対してスライドロック位置より後方にオーバースライドバック自在にされ、アッパーアームのラチェットに隣接する切欠き部に当接するロックアームが、ロアアームのカムに係合する前後位置感知レバーに連結されたケーブルにあそびを介して係合されているものである。
【0003】
このようなウォークイン装置を備えたシートは、主に2ドア式自動車の前座席として搭載されて、シートのリクライナに設定されたウォークインレバーを作動させることにより、シートバックを車両前方側に向けて倒すと同時にシートのロックが解除される。これにより、シートは移動可能になって後座席への乗員の乗降が可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシートのウォークイン装置では、一旦ウォークインレバーを作動させ、シートバックを倒すと同時にシートを移動させると、その後シートを通常の使用状態に復帰させるためには、倒れた状態にあるシートバックを必ず立ち上げなければならず、この操作をしなければ、シートを後方へ移動して通常の使用状態に復帰させることができないという不都合があった。
【0005】
本発明は、上記の不都合を解決し得るものであって、その目的は、一旦車両前方側に向けて倒した状態のままシートを車両後方側へ移動させてロックさせることができるシートのウォークイン装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のシートのウォークイン装置のうち、請求項1に記載の発明は、リクライナに倒立可能にシートバックを設けてなるシートと、前記リクライナに固定された一対のアッパレール及びこれらアッパレールのそれぞれに対応して当該アッパレールを摺動自在に支持する一対のロアレールからなる一対のスライドレールと、前記シートバックの倒立作動に連動し、当該シートバックが立ち上がった状態で前記アッパレールと前記ロアレールとの摺動を不能にするスライドロック手段と、を備えたシートのウォークイン装置において、前記一対のスライドレールのうちの一方をなす前記アッパレールと前記ロアレールとに、これらを互いに重合するように付勢するヘルパスプリングを設け、前記一対のスライドレールのうちの他方側に、前記スライドロック手段を設けるとともに、前記シートバックが倒れた状態で前記アッパレールと前記ロアレールとの摺動を不能にする追加ロック手段を設けており、前記追加ロック手段は、前記アッパレール側に固定され、当該アッパレールの摺動方向と直交する方向に進退可能なシャフトと、前記ロアレール側に固定され、前記シャフトが挿通可能な孔を有する固定ブラケットと、前記シャフトと当接可能な位置でこの固定ブラケットに取り付けられ、当該固定ブラケットに対して前記孔を覆う位置と当該孔を露出する位置との間で変位可能な可動ブラケットと、前記可動ブラケットが前記孔を覆う位置とするために付勢するバネとを備え、前記シートバックが倒れた状態におけるシートの後方移動に伴って前記孔を露出させるように前記シャフトが可動ブラケットを変位させて前記孔と係合し、前記シャフトと孔との係合によりシートをスライドロック状態とするとともに、前記シートバックの立ち上がりにより前記シャフトが前記孔との係合から解除され、前記バネの弾性により可動ブラケットが前記孔を覆った状態となることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1ないし図8は、本発明に係るシートのウォークイン装置の一実施の形態を示す図である。これらの図のうち、図2において符号1は車両の車体フロアであって、この車体フロア1にはシート2が搭載され、このシート2は、リクライナ3とこのリクライナ3に倒立自在に取り付けたシートバック4とからなる。
【0009】
前記シート2は、ウォークイン装置10を介して車体フロア1に取り付けられ、このウォークイン装置10により、車両前後方向の移動及び固定、シートバック4の倒立が行われるようになっている。以下、このウォークイン装置10について説明する。
【0010】
一対のスライドレール11は、断面ハット形の一対のロアレール12と、断面リップ溝形の一対のアッパレール13との組み合わせでなり、ロアレール12は、ロックプレート14を介して車体フロア1に固定される一方、アッパレール13は、シート2のリクライナ3の下面に固定され、ロアレール12に対してアッパレール13が摺動可能となっており、したがって車体フロア1に対してシート2が車両の前後方向に移動可能となっている。なお、以下は図1において左側のスライドレールを11a、同右側のスライドレールを11bと記し、これに応じてロアレールを12a,12b、アッパレールを13a,13b、ロックプレートを14a,14bと記す。
【0011】
スライドレール11aには、符号15で示す手動式のスライドロック解除レバーが回動可能に取り付けられるとともに、このスライドロック解除レバー15に第一突片16及び第二突片17が互いに離れて固着されている。第一突片16は、リクライナ3に連結された第一ケーブル18に連結されるとともに、後述するコネクティングワイヤにも連結され、一方第二突片17は、後述する第二ケーブルに連結される。
【0012】
そして、このスライドレール11aにおいて、ロックプレート14aとアッパレール13aとには、それぞれ個別にブラケット12A、13Aが固着され、これらブラケット12A、13Aを介してヘルパスプリング20が介装されている。このヘルパスプリング20により、ロアレール12aとアッパレール13aとは、互いに重なり合う位置に付勢されている。
【0013】
一方、スライドレール11bには、アッパーレール13bにロックベース21が固着され、このロックベース21には、一対のスライドレール11の摺動方向と直交する方向に進退可能な状態でシャフト22が取り付けられている。このシャフト22には、バネ23が外嵌され、このバネ23によってスライドレール11bに近づく側に付勢される一方、当該シャフト22の後端(スライドレール11bから遠い側の端部)には上述した第二突片17に連結された第二ケーブル24に連結されている。
【0014】
また、スライドレール11a,11bには、ロアレール12とアッパレール13との摺動を不能にする(すなわちシート2の移動を不能にする)スライドロック装置25がそれぞれ左右対称に設けられている。このスライドロック装置25は、ロアレール12bに旋回可能に取り付けられたロック片26と、このロック片26に固着された第三突片27とを有し、ロックプレート14bには、ロック片26と係合する複数のロック孔14Aが形成されるとともに、第三突片27は、コネクティングワイヤ28に連結され、このコネクティングワイヤ28により、第三突片27と第一突片16とが連動するようになっている。
【0015】
したがって、スライドロック解除レバー15を操作しない状態では、ロック片26とロック孔14Aとが係合するスライドロック状態でシート2が固定され、第一ケーブル18は引張されてシートバック4が立ち上がるとともに第二ケーブル24も引張され、シャフト22はOFF状態となる(図3及び図4参照)。逆に、スライドロック解除レバー15を操作すると、第一突片16の変位がコネクティングワイヤ28を介して第三突片27に伝達され、ロック片26が旋回してスライドロック状態が解除され、第一ケーブル18は弛んでシートバック4が倒れるとともに第二ケーブル24も弛み、シャフト22はON状態となる(図5及び図6参照)。
【0016】
そして、スライドレール11bには、スライドロック解除状態においてシート2の移動を不能にする追加ロック装置30が取り付けられている。この追加ロック装置30は、図7にその詳細を示すように、ロックプレート14bの後端側(車体フロア1の前後方向後側)において固着されたガイドブラケット31と、このガイドブラケット31に固着された固ブラケット32と、この固ブラケット3に重合可能に設けられた可動ブラケット33と、これら固ブラケット32と可動ブラケット33との間に介装された前記バネ23とは別のバネ34とからなり、固ブラケット32は、前記シャフト22が挿通可能な孔32aが形成される一方、可動ブラケット33は、通常状態ではバネ34の弾性により固ブラケット32の孔32aを覆う舌片33aが形成されるとともに、シート2の移動に伴いシャフト22と当接する切欠き33bが形成されている。
【0017】
ここで、可動ブラケット33の切欠き33bは、上述したシャフト22のON状態において当該シャフト22の先端が当接し、OFF状態において当接しない位置関係で設けられている。したがって、シャフト22が切欠き33bに当接すると、可動ブラケット33が固ブラケット32から離れる側に変位するとともに、バネ34が伸びて孔32aが露出する一方、シャフト22が離れるとバネ34の弾性により可動ブラケット33が固ブラケット32に近づく側に変位し、孔32bが覆われた状態になる。
【0018】
次に、上記の構成を有するウォークイン装置10の動作について説明する。
シート2の通常の使用状態(シートバック4が立ち上がった状態)では、図3及び図4に示すように、スライドロック解除レバー15は横倒しされ、スライドロック装置25においてロック片26とロック孔14Aが係合し、シート2の移動が不能となる。この状態では、シャフト22は、第二ケーブル24が引張されることにより、OFF状態(バネ33が縮んだ状態)となっている。
【0019】
この状態からスライドロック解除レバー15を操作すると、図5及び図6に示すように、第一突片16が立ち上がる方向に変位し、コネクティングワイヤ28が引張されて第三突片27も立ち上がる方向に変位し、これによってロック片26が旋回してロック孔14Aとの係合が解除されるとともに、ヘルパスプリング20の弾性によりシート2が前方へ移動する。このとき、第一ケーブル18は弛んでシートバック4が倒れるとともに第二ケーブル24も弛み、バネ33の弾性によりシャフト22はON状態となる。
【0020】
このようなスライドロック解除状態から、シート2を手動で後方へ移動させると、追加ロック装置30により、シートバック4が倒れた状態でシート2の移動が不能になる。すなわち、先ず図8(a)に示すように、シート2の後方への移動に伴いシャフト22が追加ロック装置30に近づくと、図8(b)に示すように、スライドロック解除状態ではシャフト22がON状態であるから、当該シャフト22の先端が可動ブラケット33の切欠き33bに当接する。
【0021】
すると、図8(c)に示すように、シャフト22の当接によって可動ブラケット33が固ブラケット32から離れる側に変位し、孔32aが露出するとともに、バネ23の弾性によりシャフト22が突出して当該孔32aに係合する。これで、シートバック4を倒した状態でも、シート2のスライドロック状態が確保される。
【0022】
さらに、この状態からスライドロック解除レバー15操作すると、図8(d)に示すように、第一ケーブル18が引張されてシートバック4が立ち上がり、第二ケーブル24が引張されることによりシャフト22はOFF状態となって当該シャフト22と孔32aとの係合が解除される。これと同時に、バネ34の弾性が作用し、可動ブラケット33が固ブラケット32に近づく側に変位し、孔32aが舌片33aで覆われた状態になる。
【0023】
この状態から前方へシート2を移動させようとすると、図8(e)に示すように、シャフト22の先端が突出しても、孔32aは舌片33aで覆われているから、シャフト22が挿入されてシート2が動かないという不具合は起こり得ない。
【0024】
このように、本発明のウォークイン装置10によれば、シートバック4を前倒しした状態でもシート2をスライドロック状態とすることができ、シートバック4の背面を例えばテーブル等に利用することができるので、車内空間を有効に利用したシートアレンジが設定できる。同様に例えばリヤシートにて、ハードフラットが成立している場合、画期的に広い荷室空間が形成でき、シートバックの背面をテーブル、若しくは荷室としてのハードフラットを成立させることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のシートのウォークイン装置によれば、シートバックを前倒しした状態でもシートをスライドロックさせることができるため、シートバックの背面を例えばテーブル等に利用でき、車内空間を有効に利用したシートアレンジが設定できる。同様に例えばリヤシートにて、ハードフラットが成立している場合、画期的に広い荷室空間が形成でき、シートバックの背面をテーブル、若しくは荷室としてのハードフラットを成立させることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で説明したウォークイン装置を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態で説明したシートの構成を示す説明図である。
【図3】本実施の形態で説明したシートの通常使用状態におけるウォークイン装置の状態を示す正面図である。
【図4】同上面図である。
【図5】本実施の形態で説明したシートのスライドロック解除状態におけるウォークイン装置の状態を示す正面図である。
【図6】同上面図である。
【図7】本実施の形態で説明した追加ロック装置を示す図であり、同図(a)は可動ブラケットの側面図、同図(b)は可動ブラケットの正面図、同図(c)は追加ロック装置の組合せ図である。
【図8】本実施の形態で説明した追加ロック装置の動作を示す説明図であり、同図(a)はシャフトの移動時、同図(b)はシャフトと可動ブラケットとの当接時、同図(c)はシャフトと孔との係合時、同図(d)はシャフトと孔との係合解除時、同図(e)は追加ロック不能時のそれぞれ説明図である。
【符号の説明】
2 シート
3 リクライナ
4 シートバック
10 ウォークイン装置
11 スライドレール
12 ロアレール
13 アッパレール
20 ヘルパスプリング
22 シャフト
25 スライドロック装置
30 追加ロック装置
32 固定ブラケット
32a 孔
33 可動ブラケット

Claims (1)

  1. リクライナに倒立可能にシートバックを設けてなるシートと、前記リクライナに固定された一対のアッパレール及びこれらアッパレールのそれぞれに対応して当該アッパレールを摺動自在に支持する一対のロアレールからなる一対のスライドレールと、前記シートバックの倒立作動に連動し、当該シートバックが立ち上がった状態で前記アッパレールと前記ロアレールとの摺動を不能にするスライドロック手段と、を備えたシートのウォークイン装置において、
    前記一対のスライドレールのうちの一方をなす前記アッパレールと前記ロアレールとに、これらを互いに重合するように付勢するヘルパスプリングを設け、前記一対のスライドレールのうちの他方側に、前記スライドロック手段を設けるとともに、前記シートバックが倒れた状態で前記アッパレールと前記ロアレールとの摺動を不能にする追加ロック手段を設けており、
    前記追加ロック手段は、前記アッパレール側に固定され、当該アッパレールの摺動方向と直交する方向に進退可能なシャフトと、前記ロアレール側に固定され、前記シャフトが挿通可能な孔を有する固定ブラケットと、前記シャフトと当接可能な位置でこの固定ブラケットに取り付けられ、当該固定ブラケットに対して前記孔を覆う位置と当該孔を露出する位置との間で変位可能な可動ブラケットと、前記可動ブラケットが前記孔を覆う位置とするために付勢するバネとを備え、前記シートバックが倒れた状態におけるシートの後方移動に伴って前記孔を露出させるように前記シャフトが可動ブラケットを変位させて前記孔と係合し、前記シャフトと孔との係合によりシートをスライドロック状態とするとともに、前記シートバックの立ち上がりにより前記シャフトが前記孔との係合から解除され、前記バネの弾性により可動ブラケットが前記孔を覆った状態となることを特徴とするシートのウォークイン装置。
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