JP3811631B2 - ソフトヨーグルトおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保形性が良好で滑らかな食感を有するソフトヨーグルトおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヨーグルトは、その形状の違いにより、ハード(固形)ヨーグルト、ドリンク(液状)ヨーグルトおよびその中間に位置するソフトヨーグルトに分類される。このうちソフトヨーグルトは、その嗜好性の高さから近年特に需要の増してきたものであり、多数の商品が市販されている。
【0003】
ソフトヨーグルトにおいては、ハードヨーグルト、ドリンクヨーグルトと比較し、食感(以下、「テクスチャー」ということもある)が風味の良さに大きく影響することから、その制御が製造上最も重要となる。
【0004】
一般に、ヨーグルトには、組織を安定化させる目的で、各種の安定剤、例えば天然由来の各種ガム類、カラギーナン、ペクチン、スターチ、寒天、ゼラチン、合成品のCMC等が、製品形態等に応じて使用されている。しかし、ソフトヨーグルトに従来のヨーグルトと同様にゼラチン等のゲル化剤を使用した場合、ゾル状態での粘度は低く製造管理が比較的容易であるが、その強いゲル化力によりハードな食感となり、目的とするソフトな、滑らかな食感が得られないという問題があった。また、ガム類等の増粘多糖類を使用した場合、製品の粘度を高めるにはそれらを多量に使用する必要があり、そのため食感が糊っぽくなり、嗜好度が低下する他、増粘多糖類を多量に使用した場合、溶液状態での粘度も増加するので送液等の管理が難しいという問題があった。
【0005】
更に、上記のようにして製品の粘度を高めたソフトヨーグルトは、その高い温度依存性により、夏季や、暖かい室内等、食するまでに長い時間比較的高温で放置された際、製品の粘度が低下し、とろとろした状態となり、スプーンですくいづらくなるという問題があった。そして、このような粘度の低下は、風味(食感)の低下につながり、これを解消しようとして再度冷蔵しても、離水等の問題があり、物性が回復しないことが多い。
【0006】
このような問題点があることから、良好な風味、物性を有するソフトヨーグルトを製造することは困難であった。
【0007】
一方、ソフトヨーグルトのテクスチャーについて、粘度を判断指標としようとしても、従来ドリンクヨーグルトの製造時等に使用されているB型粘度計などの測定値は、製品の粘性には相関するものの、固さを含めたテクスチャーとの間に相関関係は見られないため、ソフトヨーグルトの品質管理に利用することはできなかった。このように、物性面の評価から良好な風味、食感を有するソフトヨーグルトを製造しようとすることも、また困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食感(テクスチャー)が良好で、適度な粘度、保形性および安定性を有するソフトヨーグルト並びにその製造方法を提供することをその課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、優れたテクスチャーを有するソフトヨーグルトを得るべく、鋭意研究を行った結果、従来ヨーグルトの粘度測定には使用されていなかったボストウィック粘度計による粘度と、ソフトヨーグルトのテクスチャーの間に相関性があることを見出し、この粘度計を粘度測定に使用することにより、ソフトヨーグルトの品質評価が可能であることを知った。
【0010】
そして、この知見を元に好ましいソフトヨーグルトの物性および配合組成を検討した結果、最終製品の5℃における粘度がボストウィック粘度計で4〜8cm/10秒となるように、所定量のゼラチンおよびスターチを発酵乳に添加することにより、極めて食感(テクスチャー)が優れ、十分な粘度、保形性を有し、製造管理の容易なソフトヨーグルトが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、発酵乳に、0.1〜0.5w/w%のゼラチンおよび0.2〜1.0w/w%のスターチを含有せしめて得られ、そのボストウィック粘度計による粘度(5℃)が4〜8cm/10秒であることを特徴とするソフトヨーグルトを提供するものである。
【0012】
また、本発明はソフトヨーグルトの製造工程において、ソフトヨーグルトの粘度をボストウィック粘度計で測定する工程を含むことを特徴とするソフトヨーグルトの製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本明細書中においてソフトヨーグルトとは、ハードヨーグルトのような固体ではない高い流動性を有し、且つドリンクヨーグルトよりも流動性がないヨーグルトをいい、一般的には、スプーンですくって液ダレしない程度の粘性を有するものである。その製造方法としては、例えば、殺菌、冷却後の乳原料に乳酸菌スターターを接種した後、タンク内でバルク発酵させ、静置発酵により形成されたカードを攪拌により破砕するか、発酵中に攪拌を加えてカードの形成を防ぐことにより流動性を持たせ、容器に充填して製造する方法等が挙げられる。本発明のソフトヨーグルトは、このソフトヨーグルトのうち、5℃における最終製品の粘度がボストウィック粘度計で4〜8cm/10秒、特に、5〜7cm/10秒となるヨーグルトをいう。この粘度測定に用いられるボストウィック粘度計は、具体的には、縦、横各5cm、高さ3.7cmの容器内にサンプルを90ml入れ、一端の壁を取り払った際に、幅5cmの流路を一定時間に流れ出る距離を測定し、その距離により、粘度を算出するというものである。
【0014】
本発明のソフトヨーグルトは、常法に従って製造した発酵乳に0.1〜0.5w/w%のゼラチンおよび0.2〜1.0w/w%のスターチを添加し、そのボストウイック粘度を4〜8cm/10秒とすることにより製造することができる。
【0015】
本発明において用いられるゼラチンは、特に限定されず牛骨、豚皮等種々の原料から得られたものが用いられ、また、ゼラチンを得るための方法についても、アルカリ処理、酸処理等何れの方法により得られたものであっても良い。
【0016】
また、本発明において用いられるスターチに関しても特に制限はなく、ワキシコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカスターチ等いずれの原料から得られたスターチであっても使用可能であるが、ソフトヨーグルトのテクスチャーを良好にするためには、タピオカスターチが特に望ましい。更に、架橋処理、安定化処理などを施した加工スターチの方がより好ましい。ここで架橋処理とは、アミロース鎖を結びつける水素結合をリン酸やアジピン酸で置換、架橋する処理をいい、これにより耐熱性、耐酸性、耐シェア性を高め、粘度の安定化を高めることができる。また安定化処理とは、エーテル化、エステル化により官能基をスターチに結合させる処理をいい、脱水による老化現象を抑制し、冷蔵、冷凍時の安定性を高めることができる。
【0017】
上記のゼラチンおよびスターチの発酵乳に対する添加量は、上記の通りそれぞれ0.1〜0.5w/wおよび0.2〜1.0w/w%であるが、好ましくは、0.2〜0.4w/w%および0.4〜0.8w/w%であり、特に好ましくは、0.2〜0.3w/w%および0.4〜0.6w/w%である。
【0018】
本発明のソフトヨーグルトは、上記2成分を必須成分として含有する他に適度な粘度および保形性、安定性を具備させ、食感(テクスチャー)を良好とするために、最終製品形態でのボストウィック粘度計による粘度(5℃)の範囲が4〜8cm/10秒の範囲内であることが必要である。前記の2成分を添加した状態で上記数値範囲となれば特に問題はないが、これからはずれた場合には、適当な増粘剤を加えたり、あるいはカルシウムやナトリウム等の塩類を用いて調整する必要がある。
【0019】
例えば、本発明のソフトヨーグルトには、前記2成分の他、増粘多糖類を添加し、上記の製品粘度とすることで、より優れたテクスチャーの製品とすることができる。増粘多糖類としては、通常ヨーグルトの製造に使用するものはいずれも使用でき、中でも、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム等、シュードプラスチック粘性を有し、単独でゲル化能を有さないガム類が好ましく、特にグアーガム又はキサンタンガムが好ましい。
【0020】
増粘多糖類の添加量も最終製品のボストウィック粘度計による粘度が上記範囲内であれば特に限定されないが、一般的には、0.1〜0.5w/w%が好ましく、特に0.2〜0.4w/w%が好ましい。これら増粘多糖類、ゼラチン、デンプン等の添加は、殺菌前に乳原料と混合してもよく、発酵により形成されたカードを破砕した後に混合してもよい。
【0021】
本発明において、上記各成分を用いたソフトヨーグルトの製造は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、原料乳である生乳、脱脂粉乳溶液、全粉乳溶液等を殺菌し、これに乳酸菌および/又はビフィドバクテリウム属細菌を接種し発酵させ発酵乳を製造する。
【0022】
原料乳の発酵用いる乳酸菌は特に限定されず、例えばラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・ゼアエ、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルスデルブルッキー サブスピーシーズ デルブルッキイ、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス、ラクコッカス・プランタラム、ラクトコッカス・ラフィノラクチス等のラクトコッカス属細菌、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・ラクチス等のロイコノストック属細菌、エンテロコッカス・フェーカリス、エンテロコッカス・フェシウム等のエンテロコッカス属細菌等を例示することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ、中でもラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィルスを使用することが、風味が良好であることから好ましい。
【0023】
また、ビフィドバクテリウム属細菌もいずれも使用可能であり、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス、ビフィドバクテリウム・アンギュラータム、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム等のビフィドバクテリウム属細菌が挙げられる。特にビフィドバクテリウム・ブレーベを用いれば、風味が良好であるため好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
発酵条件は通常の発酵乳飲食品製造時の発酵条件に従えばよく、おおむね30〜40℃でpH4.5〜5.3程度まで発酵すればよい。発酵方法は、静置発酵、攪拌発酵、振盪発酵、通気発酵等から用いる菌の発酵に適した方法を適宜選択して用いればよい。また、ビフィドバクテリウム属細菌を用いる場合、その発酵は可能な限り嫌気性を保った状態で行うことが好ましい。更に、発酵の際、原料乳中に原料乳の他、各種糖質等を含ませてもよい。
【0025】
さらに必要に応じて、5〜20MPaの圧力で均質化処理を行うことにより、口当たりの滑らかな、また保存した際に離水等が生じさせない等、安定性のよい、の発酵乳が得られる。
【0026】
次に、ゼラチン、スターチおよび必要により増粘多糖類を添加する。添加に当たっては、これら成分を溶解した増粘剤液を用いることが好ましい。この増粘剤液の調製は、各成分を20〜90℃の水にダマにならないように分散させ、昇温、加熱殺菌することにより行われる。また、この増粘剤液には、分散性の向上および甘味を整えるために糖類(砂糖、異性化糖)を適宜添加しても良い。
【0027】
一方、増粘剤液の殺菌は、ゼラチンや増粘多糖類の熱劣化に伴う物性変化を防ぐため、80〜95℃の温度で、5〜30分程度行うことが好ましい。この殺菌後は、冷却するが、ゼラチンのゲル化、その他の増粘剤液粘度上昇による混合、送液不良を防ぐため、30℃以上で保持することが好ましい。なお、増粘剤液においては、直接テクスチャーとの相関を見る必要がないので、その製造管理にあたっては作業の容易なB型粘度計を用いることができる。具体的には、B型粘度計で45℃における粘度を測定した際に0.5〜8Pa・sであることが好ましく、特に0.5〜2Pa・sが好ましい。
【0028】
また、必要に応じて別途シロップを調製し、これを発酵乳中に添加する。このシロップの調製は、クリームや甘味料、フルーツ、香料を混合し、この混合物を80〜100℃で5〜30分間殺菌し、冷却することにより行われる。
【0029】
上記のようにして得られた増粘剤液の発酵乳への添加は、好ましくは、これらが1:1の比率となるように添加、混合し、十分に攪拌した後冷却すれば良い。シロップを使用する場合は、発酵乳と増粘剤液、シロップを2:1:1の比率で添加、混合することが好ましい。増粘剤液を発酵乳に添加する際は、増粘剤液が局所的にゲル化を起こさぬように、一定以上の強度の攪拌を継続する必要がある。発酵乳と増粘剤液および必要によりシロップを混合した後、10℃以下まで冷却し、これを容器に充填し、さらに1日静置冷却することで、滑らかな物性を有する本発明のソフトヨーグルトが得られる。
【0030】
また、本発明のソフトヨーグルトには、その他の食品素材、すなわち各種糖質や乳化剤、甘味料、酸味料、果汁等を適宜添加することも可能である。具体的には、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、アスパルテーム、スクラロース、ステビア、アリテーム等の高甘味度甘味料、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の酸味料、レモン果汁、オレンジ果汁、ベリー系果汁等の果汁類、アロエ果肉、ブルーベリー果肉、オレンジさのう、グレープフルーツさのう等の果肉類等が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類やカルシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類等を添加することが可能である。
【0031】
なお、本発明のソフトヨーグルトに寒天、カラギーナン等の安定剤を添加すると、ハードな食感を与え、テクスチャーを悪くしてしまうため好ましくない。
【0032】
【作用】
本発明において、これらの増粘剤液を発酵乳に添加することにより、優れたソフトヨーグルトが得られる理由は定かではないが、各種増粘剤の特性、すなわち、溶液粘度が低く製造管理が容易だが、多用するとハードな食感となってしまうゼラチンと、溶液粘度は高く多用すると粉っぽい食感となるが、高い保形性の得られるスターチ、さらに、溶液粘度は高く多用すると糊っぽい食感となるが、適当量であれば滑らかな食感が得られる増粘多糖類を、上記比率およびボストウィック粘度計による粘度が上記範囲内で併用することにより、各々が相補的に作用し、食感(テクスチャー)が良好で、十分な粘度、保形性を有し、製造管理の容易なソフトヨーグルトが得られるものと考えられる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。
【0034】
試 験 例 1
ゼラチンおよびスターチの添加量(粘度)とテクスチャーの関係:
ゼラチンとスターチの合計量を一定とし、その比率を変えてソフトヨーグルトを製造し、それらの添加量とボストウィック粘度計により測定された粘度とテクスチャーの関係を調べた。
【0035】
(1)ソフトヨーグルトの製造
20%脱脂粉乳溶液に、ラクトバチルス・カゼイを0.5%接種し、37℃で15時間培養して得られた発酵乳を15MPaで均質化した。一方で、表1に示す添加量(終濃度)のゼラチン(新田ゼラチン(株)製)およびタピオカスターチ(日本NSC(株)製)と、5%の砂糖を温水に溶解し、90℃で30分間殺菌後、40℃まで冷却し、増粘剤液を調製した。各々得られた発酵乳と増粘剤液を1:1で混合し、0.2%の香料を添加し、10℃以下まで冷却した後容器に充填してソフトヨーグルトを製造した。
【0036】
【表1】
Figure 0003811631
【0037】
(2)製品の評価
製品の粘度の評価には、B型粘度計(東機産業株式会社製)およびボストウィック粘度計(合資会社深谷鐵工所製)を使用した。B型粘度計およびボストウィック粘度計による測定は5℃にて常法に従って行った。
また、風味の評価については、パネル10名による官能検査を行い、おいしさおよびテクスチャーの好ましさに関して下記1〜5点の5段階で評価をした。この結果も表1に示す。
【0038】
Figure 0003811631
【0039】
(4)結果
表1に示すとおり、ボストウィック粘度計の測定値はソフトヨーグルトの官能検査におけるテクスチャーの評点と高い相関性を示した。結果的に、ボストウィック粘度計において、4cm/10s〜8cm/10sのとき、すなわち、ゼラチンが0.2w/w%〜0.4w/w%およびスターチが0.4w/w%〜0.8w/w%のとき、特にテクスチャーが良好であった。
【0040】
実 施 例 1
ゼラチンとスターチの添加量による、ソフトヨーグルトの品質の比較:
ゼラチンとスターチを用いてソフトヨーグルトを製造し、そのソフトヨーグルトの保形性、それらの添加量とソフトヨーグルトの品質との関係を調べた。
【0041】
(1)ソフトヨーグルトの製造
20%脱脂粉乳溶液に、ラクトバチルス・カゼイを0.5%接種し、37℃で15時間培養して得られた発酵乳を15MPaで均質化した。一方、ゼラチン、スターチ、グアーガム、キサンタンガム等を表2の処方に従って取り、これと10%(終濃度)の砂糖を温水に分散溶解し、90℃で30分間殺菌後、40℃まで冷却し、増粘剤液を調製した。さらに発酵乳と増粘剤液を1:1で混合し、0.2%の香料を添加し、10℃以下まで冷却した後容器に充填して、ソフトヨーグルトを製造した。
【0042】
得られたソフトヨーグルト(実施品1、2および比較品1〜3)について、製品のボストウィック粘度計およびB型粘度計による粘度を測定し、あわせて保形性および試験例1と同様に風味を評価した。なお、保形性の測定は、以下のようにして行った。
【0043】
(2)保形性の測定
保形性は、製品の温度依存性(高温保存時の粘度変化)から判断した。すなわち、製品を30℃で2時間保持した後の粘度をボストウィック粘度計により測定し、製品の状態を下記基準で評価をした。
【0044】
(3)評価指標
Figure 0003811631
【0045】
【表2】
Figure 0003811631
【0046】
【表3】
Figure 0003811631
【0047】
(3)結果
風味については、比較品1がハードな食感に、比較品2、3では糊っぽくなってしまったのに対し、実施品1は口当たりが滑らかで良好な食感であり、見た目も良好であった。また、実施品2では若干粉っぽさが感じられたものの、良好な食感であった。一方、比較品1、2は保形性が低く、30℃で2時間保持した後、とろとろとした状態となり、スプーンですくいづらかった。なお、ボストウィック粘度計による測定値は、製品のテクスチャーとよい相関が得られていた。すなわち、比較品1〜3の値は、実施品1、2よりも低く、食感が悪いものほど低くなったが、B型粘度計による測定値にはそのような傾向はみられなかった。例えば、食感の悪い比較品1、3のボストウィック粘度計による測定値は共に実施品1より低いが、B型粘度計の測定値は、比較品1<実施品1<比較品2となっていた。
【0048】
一方、所定の配合比範囲のゼラチンとスターチを併用することで、良好な風味、適度な粘度、保形性を有するソフトヨーグルトを製造することができた。
【0049】
実 施 例 2
増粘多糖類の併用によるソフトヨーグルトの品質比較:
(1)ソフトヨーグルトの製造
表4の処方に従い、ゼラチン、スターチ並びにその他の増粘多糖類をそれぞれ添加して増粘剤液を調製し、実施例1と同様にソフトヨーグルトを調製した。得られたソフトヨーグルト(実施品3〜5)について、ボストウイック粘度計による製品粘度の測定、保形性および風味の評価を実施例1と同様に評価した。
【0050】
【表4】
Figure 0003811631
【0051】
(2)結果
表5に示すとおり、ゼラチンとスターチに、さらにグアーガム又はキサンタンガムを併用することで、より滑らかな食感が得られ、特にキサンタンガムを併用し場合は保形性も向上した。したがって、実施品4、5のように、ゼラチンとスターチに、さらにグアーガム、キサンタンガムを併用することで、よりいっそう風味が良好で、適度な粘度、保形性を有するソフトヨーグルトを製造することができる。
【0052】
【表5】
Figure 0003811631
【0053】
実 施 例 3
スターチの種類による、ソフトヨーグルトの品質の比較:
(1)ソフトヨーグルトの製造
実施例1の実施品1に対し、スターチの種類をタピオカスターチから、コーンスターチ(三和澱粉社製)およびワキシーコーンスターチ(ステーリー社製)に変えて(添加量は同じ)増粘剤液を調製し、その粘度をB型粘度計で測定した後、実施例1と同一の方法でそれぞれソフトヨーグルトを調製した(実施品6および実施品7)。得られたソフトヨーグルトについて、ボストウィック粘度計による製品粘度の測定、保形性および風味の評価を実施例1と同様に評価した。
【0054】
(2)結果
いずれも増粘剤液の粘度は低く(作業性が良い)、外観、保形性も良好であった。しかし、スターチとしてコーンスターチ又はワキシーコーンスターチを使用した増粘剤を製品に使用した場合は、大きな問題とはならないものの、やや固めで、粉っぽさ、糊っぽさが感じられる風味であった。一方、タピオカスターチを使用した場合には、ソフトヨーグルトらしい滑らかさ、口溶けの良さが著しく良好であった。
【0055】
【表6】
Figure 0003811631
【0056】
実 施 例 4
果肉入りソフトヨーグルトの製造(1):
下記配合に従って、ブルーベリー入りのソフトヨーグルトを製造した。
【0057】
< 配合 > < 質量% >
脱脂粉乳 10
砂糖 8
ゼラチン 0.3
タピオカスターチ** 0.5
ブルーベリー顆粒 5
ブルーベリー果汁 3
香料 0.1
水 残量
*:新田ゼラチン(株)製
**:日本NSC(株)製
【0058】
20%脱脂粉乳溶液に、ストレプトコッカス・サーモフィルスを0.1%接種し、37℃で12時間培養して得られた発酵乳を15MPaで均質化した。また、ゼラチンとタピオカスターチを温水に溶解し、90℃で30分間殺菌後、40℃まで冷却し、増粘剤液を調製した。更に、砂糖を水に溶解し、ブルーベリー顆粒および果汁と混合した後、90℃で10分間殺菌してシロップを調製した。上記のようにして得られた発酵乳、増粘剤液、シロップを2:1:1の重量比で混合、攪拌し、香料を添加した後、10℃以下まで冷却し、容器に充填してブルーベリー入りのソフトヨーグルトを製造した。
【0059】
得られたソフトヨーグルトについて、試験例1に従って粘度を測定した結果、ボストウィック粘度計の測定値は5.8cm/10sであった。また、このソフトヨーグルトは滑らかで口溶けの良い食感(テクスチャー)であり、官能検査の評点は4.5であった。
【0060】
実 施 例 5
果肉入りソフトヨーグルトの製造(2):
実施例4のソフトヨーグルトの配合において、ブルーベリー顆粒および果汁の代わりにアロエ葉肉を8質量%使用してソフトヨーグルトを製造した。その結果、ボストウィック粘度計の測定値が5.5cm/10sであり、食感および安定性が良好である(官能検査の評点は4.6)アロエ入りのソフトヨーグルトが得られた。
【0061】
また、上記配合のソフトヨーグルトに、種々の果汁、顆粒、葉肉、さのう、香料等を適宜添加することにより様々なタイプのソフトヨーグルトが製造できた。
【0062】
【発明の効果】
本発明のソフトヨーグルトは、滑らかで、口溶けの良く、保形性の良いものである。また、本発明のヨーグルトの製造方法は、ヨーグルトの製造工程にボストウィック粘度計を使用することで、大規模生産におけるソフトヨーグルトの品質の管理を容易にするので、ソフトヨーグルトの製造を容易にするものである。
以 上

Claims (3)

  1. ソフトヨーグルトの製造工程において、最終製品の5℃における粘度がボストウィック粘度計で4〜8cm/10秒となるように、発酵乳に、0.〜0.w/w%のゼラチン、0.〜0.w/w%のスターチおよび0 . 1〜0 . 5w/w%のグアーガムまたはキサンタンガムを添加することを特徴とするソフトヨーグルトの製造方法。
  2. ゼラチンおよびスターチを、これらを混合した増粘剤液として発酵乳中に添加するものである請求項第1項記載のソフトヨーグルトの製造方法
  3. スターチが、タピオカを原料とする加工スターチである、請求項第1項または第2項記載のソフトヨーグルトの製造方法
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