JP3811301B2 - 電子部品収納用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水晶振動子や弾性表面波素子等の圧電素子や半導体素子などの電子部品を気密に封止して収容するための電子部品収納用容器に関し、特に封止材にガラスを用いて封止を行う電子部品収納用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電素子、例えば水晶振動子を収容するための圧電素子収納用容器は、一般に酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面に水晶振動子を収容するための段状の凹部及び該凹部周辺より底面にかけて導出されたタングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末から成るメタライズ配線層を有する絶縁基体と、同じく酸化アルミニウム質焼結体やガラス等の電気絶縁材料から成る絶縁蓋体とから構成されており、真空中において絶縁基体の凹部の段差部に水晶振動子の一端をポリイミド導電性樹脂から成る接着材を介して接着固定するとともに水晶振動子の各電極をメタライズ配線層に電気的に接続し、しかる後、前記絶縁基体の上面に絶縁蓋体を低融点ガラスから成る封止材を介して接合させ、絶縁基体と絶縁蓋体とから成る容器内部に水晶振動子を気密に収容することによって最終製品となる。
【0003】
なお、前記絶縁基体と絶縁蓋体とを接合させる封止材としては、−般に酸化鉛56乃至66重量%、酸化ホウ素4乃至14重量%、酸化珪素1乃至6重量%、酸化ビスマス0.5乃至5重量%、酸化亜鉛0.5乃至3重量%を含むガラス成分に、フィラーとしてのコージェライト系化合物を9乃至19重量%、チタン酸鉛系化合物を10乃至20重量%添加したガラスが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の電子部品収納用容器においては、絶縁基体や絶縁蓋体を形成する酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス及び絶縁基体と絶縁蓋体とを接合させ電子部品を内部に気密に封止するガラスがいずれも電磁波を透過し易く、そのため外部電気回路基板等に他の電子部品とともに実装した場合、隣接する電子部品間に電磁波の相互干渉が起こり電子部品に誤動作を起こさせるという問題を有していた。特に最近では外部電気回路基板に電子部品が極めて高密度に実装され、隣接する電子部品間の距離が極めて狭いものとなってきており、この電磁波の相互干渉による問題は極めて大きなものとなってきた。
【0005】
またこの従来の電子部品収納用容器においては、絶縁基体に絶縁蓋体を接合させる封止材である低融点ガラスの軟化溶融温度が約400℃程度であること、近時の電子部品は高密度化、高集積化に伴って耐熱性が低下してきたこと等から、絶縁基体と絶縁蓋体とを封止材を介して接合し、絶縁基体と絶縁蓋体とからなる絶縁容器の内部に電子部品を気密に収容した場合、封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用して電子部品の特性に劣化を招来させ、電子部品を正常に作動させることができないという問題点も有していた。
【0006】
更に、電子部品を絶縁基体の凹部内ヘポリイミド導電性樹脂等から成る樹脂製の接着材を介して接着固定した場合、電子部品を接着固定する接着材の耐熱性が低いため、接着材に封止材を溶融させる熱が作用すると電子部品の接着固定が破れ、その結果、電子部品を常に、安定に作動させることができなくなるという問題点も有していた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み案出されたもので、その目的は容器内部に収容する電子部品に電磁波が作用するのを有効に防止するとともに容器内部に電子部品をその特性に劣化を招来することなく気密に封止し、電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる電子部品収納用容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上面に電子部品が載置される載置部を有するとともに上面に接地用配線層の一部が導出されている絶縁基体と、金属蓋体とから成り、前記絶縁基体上面と金属蓋体下面とを封止材を介し接合することによって内部に電子部品を気密に収容するように成した電子部品収納用容器であって、前記封止材をガラス成分に無機物フィラーと、該無機物フィラーより粒径が大きい金属フィラーを含有させて導電性となし、かつ前記金属蓋体下面の前記封止材が接合される領域に軟化点が650℃以上の高温ガラス層が被着されていることを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記金属フィラーの平均粒径が無機物フィラーの平均粒径よりも2乃至10倍大きいことを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、前記封止材に含まれるガラス成分は、酸化鉛を50乃至65重量%、酸化ホウ素を2乃至10重量%、フッ化鉛を10乃至30重量%、酸化亜鉛を1乃至6重量%、酸化ビスマスを10乃至20重量%含むことを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は、前記封止材に含まれる金属フィラーは、鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方から成り、無機物フィラーは、チタン酸鉛系化合物から成り、かつ前記封止材における金属フィラーの含有量が5乃至10重量%、無機物フィラーの含有量が26乃至45重量%であることを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は、前記高温ガラス層は、酸化珪素を55乃至75重量%、酸化ホウ素を15乃至25重量%、酸化アルミニウムを3乃至10重量%、酸化バリウムを1乃至6重量%、酸化ナトリウムを1乃至6重量%、酸化カリウムを1乃至6重量%、酸化リチウムを1乃至6重量%含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の電子部品収納用容器によれば、金属蓋体を絶縁基体の上面に導出されている接地用配線層に、ガラス成分に無機物フィラーと、該無機物フィラーより粒径が大きい金属フィラーを含有させた導電性を呈する封止材を介して電気的に接続するようになしたことから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合し、内部に電子部品を気密に収容封止した際、内部に収容される電子部品は前記導電性を呈する封止材を介して接地用配線層に接続された金属蓋体でシールドされることとなり、その結果、外部ノイズが金属蓋体を介して入り込むのを有効に防止することができ、容器内部の電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる。
【0014】
また本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体と金属蓋体とを接合させる封止材として、酸化鉛50乃至65重量%、酸化ホウ素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラス成分に、無機物フィラーとしてチタン酸鉛系化合物を26乃至45重量%、金属フィラーとして鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を5乃至10重量%添加したものを使用すると封止材の軟化溶融温度が350℃以下となり、絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用しても電子部品の特性に劣化を招来することはなく、その結果、電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0015】
また同時に封止材の軟化溶融温度が350℃以下であり、低温であることから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器の内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱によって電子部品を絶縁基体の凹部内に接着固定するポリイミド導電性樹脂等から成る樹脂製の接着材が劣化することもなく、これによって電子部品を絶縁基体の凹部内へ接着材を介して極めて強固に接着固定することが可能となり、電子部品を常に、安定に作動させることができる。
【0016】
更に前記金属蓋体の封止材が接合される領域に予め酸化珪素を55乃至75重量%、酸化ホウ素を15乃至25重量%、酸化アルミニウムを3乃至10重量%、酸化バリウムを1乃至6重量%、酸化ナトリウムを1乃至6重量%、酸化カリウムを1乃至6重量%、酸化リチウムを1乃至6重量%含む軟化点が650℃以上の高温ガラス層が被着されていることから封止材の金属蓋体に対する接合が前記高温ガラス層によって強固となり、その結果、絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ容器内部に電子部品を気密に収容する際、容器の気密封止が完全となって容器内部に収容する電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の電子部品収納用容器を水晶振動子を収容する容器に適用した場合の一実施例を示し、1は電気絶縁材料より成る絶縁基体、2は金属材料から成る金属蓋体である。この絶縁基体1と金属蓋体2とで水晶振動子4を収容するための容器3が構成される。
【0018】
前記絶縁基体1は酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダー、溶剤等を添加混合して泥漿物を作るとともに該泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)と成し、しかる後、前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0019】
また前記絶縁基体1はその上面に水晶振動子4を載置収容するための空所を形成する段状の凹部1aが設けてあり、該凹部1aの段差部には水晶振動子4が接着材5を介し接着固定される。
【0020】
なお、前記接着材5は、例えば、ポリイミド系導電性樹脂より成り、絶縁基体1の凹部1a段差部に接着材5を介して水晶振動子4を載置させ、しかる後、前記接着材5に熱硬化処理を施し、熱硬化させることによって水晶振動子4を絶縁基体1に接着固定する。
【0021】
また前記絶縁基体1には凹部1aの段差部より下面にかけて導出するメタライズ配線層6が形成されており、該凹部1aの段差部に位置するメタライズ配線層6には水晶振動子4の各電極がポリイミド系導電性樹脂から成る接着材5を介し電気的に接続され、また絶縁基体1の下面に導出された部位には外部電気回路基板の配線導体が半田等のロウ材を介しロウ付けされる。
【0022】
前記メタライズ配線層6はタングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末から成り、該高融点金属粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを、焼成によって絶縁基体1となるセラミックグリーンシートに、予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておくことによって絶縁基体1の凹部1aの段差部より底面にかけて被着形成される。
【0023】
なお、前記メタライズ配線層6はその露出する外表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつ良導電性である金属をメッキ法により1μm乃至20μmの厚さに被着させておくと、メタライズ配線層6の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともにメタライズ配線層6を外部電気回路基板の配線導体に半田等のロウ材を介しロウ付けする際、そのロウ付け強度を強固となすことができる。従って、前記メタライズ配線層6はその露出する外表面にニッケル、金等の金属を1μm乃至20μmの厚さに被着させておくことが好ましい。
【0024】
前記絶縁基体1はまたその上面から下面にかけて接地用配線層8が被着されており、該接地用配線層8は後述する金属蓋体2を外部電気回路基板の接地配線に電気的に接続する作用をなし、接地用配線層8の絶縁基体1上面に位置する領域には金属蓋体2が封止材7を介して電気的に接続され、また絶縁基体1下面に導出する部位には外部電気回路基板の接地配線が接続される。
【0025】
前記接地用配線層8はタングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末から成り、メタライズ配線層6と同様、タングステン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを、焼成によって絶縁基体1となるセラミックグリーンシートに、予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておくことによって絶縁基体1の上面から下面にかけて被着形成される。
【0026】
また前記接地用配線層8はその露出する外表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつ良導電性である金属をメッキ法により1μm乃至20μmの厚さに被着させておくと、接地用配線層8の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに接地用配線層8と封止材7及び外部電気回路の接地配線との接続を強固となすことができる。従って、前記接地用配線層8はその露出する外表面にニッケル、金等の金属を1μm乃至20μmの厚さに被着させておくことが好ましい。
【0027】
前記メタライズ配線層6及び接地用配線層8が被着されている絶縁基体1はまたその上面に金属蓋体2が封止材7を介して接合され、これによって絶縁基体1と金属蓋体2とから成る容器3の内部に水晶振動子4が気密に収容される。
【0028】
前記金属蓋体2は鉄−ニッケル合金や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成り、例えば、鉄−ニッケル合金のインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法を採用することによって所定の板状に形成される。
【0029】
前記金属蓋体2はその下面が封止材7及び接地用配線層8を介して外部電気回路基板の接地配線に接続されるとともに絶縁基体1の凹部1a内に収容されている水晶振動子4を覆い、これによって水晶振動子4は金属蓋体2でシールドされ、外部ノイズが金属蓋体2を介して入り込むのが有効に防止されて容器3内部の水晶振動子4を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる。
【0030】
また同時に内部に収容した水晶振動子4が発生するノイズも金属蓋体2を介して外部に漏れることが有効に防止され、水晶振動子4の発生するノイズが他の装置に入り込んで誤動作等の悪影響を与えることも極小となる。
【0031】
更に前記絶縁基体1と金属蓋体2とを接合させる封止材7は導電性を帯びたガラスから成り、絶縁基体1を金属蓋体2に接合させ、絶縁基体1と金属蓋体2とから成る容器3内部に水晶振動子4を気密に収容するとともに金属蓋体2を絶縁基体1に被着させた外部電気回路基板の接地配線に接続される接地用配線層8に電気的に接続する作用をなす。
【0032】
前記封止材7としては、例えば、酸化鉛を50乃至65重量%、酸化ホウ素を2乃至10重量%、フッ化鉛を10乃至30重量%、酸化亜鉛を1乃至6重量%、酸化ビスマスを10乃至20重量%含むガラス成分に、チタン酸鉛系化合物を無機物フィラーとして26乃至45重量%、鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を金属フィラーとして5乃至10重量%含有させたものが好適に使用され、封止の作業性を向上させるために金属蓋体2の下面に予め被着されている。
【0033】
前記封止材7の金属蓋体2への被着は、チタン酸鉛系化合物の無機物フィラーと鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方の金属フィラーを含有するガラスに適当な有機溶剤、溶媒を添加混合することによって得たペーストを金属蓋体2下面の絶縁基体1と接合される部位に従来周知のスクリーン印刷法等により所定厚みに枠状に印刷塗布することによって行われる。
【0034】
なお、前記導電性を帯びている封止材7はガラス成分として酸化鉛を50乃至65重量%、酸化ホウ素を2乃至10重量%、フッ化鉛を10乃至30重量%、酸化亜鉛を1乃至6重量%、酸化ビスマスを10乃至20重量%含むガラスを使用する場合、かかるガラスの軟化溶融温度が350℃以下と低いことからこの封止材7を用いて絶縁基体1と金属蓋体2とを接合させ、容器3を気密に封止する際、封止材7を溶融させる熱が内部に収容する水晶振動子4に作用してもその温度が低いため水晶振動子4の特性に劣化を招来することはなく、水晶振動子4を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。また同時に封止材7の軟化溶融温度が350℃以下と低いことから水晶振動子4を絶縁基体1の凹部1aに固定している樹脂製接着材5の特性も大きく劣化することはなく、これによって水晶振動子4を絶縁基体1の凹部1aに極めて強固に接着固定しておくことが可能となり、水晶振動子4を常に、安定に作動させることができる。
【0035】
更に、前記封止材7はそれを酸化鉛50乃至65重量%、酸化ホウ素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラスで形成した場合、酸化鉛の量が50重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4の特性に劣化を招来してしまい、また65重量%を超えるとガラスの耐薬品性が低下し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまう。従って、前記酸化鉛の量は50乃至65重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0036】
また酸化ホウ素の量は2重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4の特性に劣化を招来してしまい、また10重量%を超えるとガラスの耐薬品性が低下し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまう。従って、前記酸化ホウ素の量は2乃至10重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0037】
またフッ化鉛の量は10重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4の特性に劣化を招来してしまい、また30重量%を超えるとガラスの耐薬品性が低下し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまう。従って、前記フッ化鉛の量は10乃至30重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0038】
また酸化亜鉛の量は1重量%未満であるとガラスの耐薬品性が低下し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまい、また6重量%を超えるとガラスの結晶化が進んで流動性が大きく低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記酸化亜鉛の量は1乃至6重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0039】
また酸化ビスマスの量は10重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4の特性に劣化を招来してしまい、また20重量%を超えるとガラスの結晶化が進んで流動性が大きく低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記酸化ビスマスの量は10乃至20重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0040】
また前記封止材7に含有される無機物フィラーは封止材7の熱膨張係数を調整し、絶縁基体1と金属蓋体2とに封止材7を強固に接合させ、容器3の気密封止の信頼性を大きく向上させるとともに封止材7の機械的強度を向上させる作用をなし、チタン酸鉛系化合物が好適に使用され、その含有量は26重量%未満であると封止材7の熱膨張係数が絶縁基体1及び金属蓋体2の熱膨張係数に対し大きく相違して封止材7を絶縁基体1及び金属蓋体2に強固に接合させることができなくなり、また45重量%を超えると封止材7の流動性が大きく低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記チタン酸鉛系化合物を無機物フィラーとして封止材7に含有させた場合、その量は26乃至45重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0041】
また前記封止材7に含有される金属フィラーは封止材7に導電性を付与する作用をなし、鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方が好適に使用され、その量が5重量%未満であると封止材7の導電性が低下し、金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が不完全となる危険性があり、また20重量%を超えると封止材7の流動性が低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を金属フィラーとして封止材7に含有させた場合、その量は5乃至20重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0042】
更に前記導電性を帯びている封止材7に金属フィラーとして鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を含有させた場合、金属フィラーの粒径が30μm未満となると封止材7の導電性が低下して金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が不完全となる危険性があり、また70μmを超えると封止材7の流動性が低下し、容器3の気密封止が困難となる傾向にある。従って、前記鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を金属フィラーとして封止材7に含有させた場合、その粒径は30乃至70μmの範囲としておくことが好ましい。
【0043】
前記封止材7はまたガラス成分に含有される金属フィラーの平均粒径が無機物フィラーの平均粒径よりも大きくなっており、これによって金属フィラー同士が互いに確実に接触し、その結果、金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が完全となる。
【0044】
なお、前記金属フィラーの平均粒径は無機物フィラーの平均粒径に対し2倍未満の大きさであると金属フィラー同士の接触が不完全となって封止材7の導電性が低下し、金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が不完全となる危険性があり、また10倍を超えると封止材7の流動性が低下し、容器3の気密封止の信頼性が劣化してしまう危険性がある。従って、前記封止材7の金属フィラーの平均粒径は無機物フィラーの平均粒径に対し2乃至10倍の範囲としておくことが好ましい。
【0045】
更に前記金属蓋体2は封止材7が接合される領域で、接地用配線層8と対向する領域の一部を除く下面に高温ガラス層9が枠状に被着されており、該高温ガラス層9は金属蓋体2に対する封止材7の接合を強固とする作用なす。
【0046】
前記高温ガラス層9は、例えば、酸化珪素を55乃至75重量%、酸化ホウ素を15乃至25重量%、酸化アルミニウムを3乃至10重量%、酸化バリウムを1乃至6重量%、酸化ナトリウムを1乃至6重量%、酸化カリウムを1乃至6重量%、酸化リチウムを1乃至6重量%含み、その軟化点が650℃以上と高いことから絶縁基体1と金属蓋体2とを封止材7を介して接合させる際、封止材7を軟化溶融させる熱が高温ガラス層9に作用したとしても高温ガラス層9は軟化溶融することなく金属蓋体2に強固に被着し、これによって絶縁基体1と金属蓋体2とを封止材7を介し強固に接合させ、容器3内部の気密封止を完全として容器3内部に収容する水晶振動子4を長期間にわたり安定に作動させることが可能となる。
【0047】
前記高温ガラス層9は、例えば、酸化珪素を55乃至75重量%、酸化ホウ素を15乃至25重量%、酸化アルミニウムを3乃至10重量%、酸化バリウムを1乃至6重量%、酸化ナトリウムを1乃至6重量%、酸化カリウムを1乃至6重量%、酸化リチウムを1乃至6重量%含むガラス粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して得たガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷法により金属蓋体2の下面に枠状に印刷塗布し、しかる後、これを所定の温度で焼き付けることによって封止材7が接合される領域で、接地用配線層8と対向する領域の一部を除く金属蓋体2の下面に被着される。
【0048】
前記高温ガラス層9はそれを酸化珪素を55乃至75重量%、酸化ホウ素を15乃至25重量%、酸化アルミニウムを3乃至10重量%、酸化バリウムを1乃至6重量%、酸化ナトリウムを1乃至6重量%、酸化カリウムを1乃至6重量%、酸化リチウムを1乃至6重量%含むガラスで形成した場合、酸化珪素の量が55重量%未満であると高温ガラス層9の軟化溶融温度が650℃以下となり 絶縁基体1と金属蓋体2とを封止材7を介して接合させる際、封止材7を軟化溶融させる熱によって高温ガラス層9が軟化溶融する危険性があり、また75重量%を超えると高温ガラス層9の金属蓋体2への接合強度が低くなってしまう。従って、前記酸化珪素の量は55乃至75重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0049】
また前記高温ガラス層9は酸化ホウ素の量が15重量%未満であると高温ガラス層9の金属蓋体2への接合強度が低くなってしまい、また25重量%を超えると高温ガラス層9の耐薬品性が劣化し、容器3の気密封止の信頼性が低下する危険性がある。従って、前記酸化ホウ素の量は15乃至25重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0050】
また前記高温ガラス層9は酸化アルミニウムの量が3重量%未満の場合、高温ガラス層9の金属蓋体2への接合強度が低くなってしまい、また10重量%を超えると高温ガラス層9の耐薬品性が劣化し、容器3の気密封止の信頼性が低下する危険性がある。従って、前記酸化アルミニウムの量は3乃至10重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0051】
また前記高温ガラス層9は酸化バリウムの量が1重量%未満の場合、高温ガラス層9の金属蓋体2への接合強度が低くなってしまい、また6重量%を超えると高温ガラス層9の軟化溶融温度が650℃以下となり 絶縁基体1と金属蓋体2とを封止材7を介して接合させる際、封止材7を軟化溶融させる熱によって高温ガラス層9が軟化溶融する危険性がある。従って、前記酸化バリウムの量は1乃至6重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0052】
また前記高温ガラス層9は酸化ナトリウムの量が1重量%未満の場合、高温ガラス層9の金属蓋体2への接合強度が低くなってしまい、また6重量%を超えると高温ガラス層9の耐薬品性が劣化し、容器3の気密封止の信頼性が低下する危険性がある。従って、前記酸化ナトリウムの量は1乃至6重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0053】
また前記高温ガラス層9は酸化カリウムの量が1重量%未満の場合、高温ガラス層9の金属蓋体2への接合強度が低くなってしまい、また6重量%を超えると高温ガラス層9の耐薬品性が劣化し、容器3の気密封止の信頼性が低下する危険性がある。従って、前記酸化カリウムの量は1乃至6重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0054】
また前記高温ガラス層9は酸化リチウムの量が1重量%未満の場合、高温ガラス層9の金属蓋体2への接合強度が低くなってしまい、また6重量%を超えると高温ガラス層9の耐薬品性が劣化し、容器3の気密封止の信頼性が低下する危険性がある。従って、前記酸化リチウムの量は1乃至6重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0055】
かくして上述の電子部品収納用容器によれば、真空中において絶縁基体1の凹部1aの段差部に水晶振動子4の一端をポリイミド系導電性樹脂から成る接着材5を介して接着固定するとともに水晶振動子4の各電極をメタライズ配線層6に電気的に接続し、しかる後、前記絶縁基体1の上面に金属蓋体2を導電性を呈する封止材7により接合させ、絶縁基体1と金属蓋体2とから成る容器3内部に水晶振動子4を気密に収容するとともに金属蓋体2と絶縁基体1に被着させた接地用配線層8とを電気的に接続させることによって最終製品が完成する。
【0056】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、前述の例では電子部品として水晶振動子を収容する電子部品収納用容器を例示したが、電子部品が半導体素子等であり、これを収容するための電子部品収納用容器にも適用し得る。
【0057】
【発明の効果】
本発明の電子部品収納用容器によれば、金属蓋体を絶縁基体の上面に導出されている接地用配線層に、ガラス成分に無機物フィラーと、該無機物フィラーより粒径が大きい金属フィラーを含有させた導電性を呈する封止材を介して電気的に接続するようになしたことから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合し、内部に電子部品を気密に収容封止した際、内部に収容される電子部品は前記導電性を呈する封止材を介して接地用配線層に接続された金属蓋体でシールドされることとなり、その結果、外部ノイズが金属蓋体を介して入り込むのを有効に防止することができ、容器内部の電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる。
【0058】
また本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体と金属蓋体とを接合させる封止材として、酸化鉛を50乃至65重量%、酸化ホウ素を2乃至10重量%、フッ化鉛を10乃至30重量%、酸化亜鉛を1乃至6重量%、酸化ビスマスを10乃至20重量%含むガラス成分に、無機物フィラーとしてチタン酸鉛系化合物を26乃至45重量%と、金属フィラーとして鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を5乃至10重量%添加したものを使用すると封止材の軟化溶融温度が350℃以下となり、絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用しても電子部品の特性に劣化を招来することはなく、その結果、電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0059】
また同時に封止材の軟化溶融温度が350℃以下であり、低温であることから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器の内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱によって電子部品を絶縁基体の凹部内に接着固定するポリイミド導電性樹脂等から成る樹脂製の接着材が劣化することもなく、これによって電子部品を絶縁基体の凹部内へ接着材を介して極めて強固に接着固定することが可能となり、電子部品を常に、安定に作動させることができる。
【0060】
更に前記金属蓋体の封止材が接合される領域に予め酸化珪素を55乃至75重量%、酸化ホウ素を15乃至25重量%、酸化アルミニウムを3乃至10重量%、酸化バリウムを1乃至6重量%、酸化ナトリウムを1乃至6重量%、酸化カリウムを1乃至6重量%、酸化リチウムを1乃至6重量%含む軟化点が650℃以上の高温ガラス層が被着されていることから封止材の金属蓋体に対する接合が前記高温ガラス層によって強固となり、その結果、絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ、容器内部に電子部品を気密に収容する際、容器の気密封止が完全となって容器内部に収容する電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品収納用容器の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・絶縁基体
2・・・・・・・金属蓋体
3・・・・・・・容器
4・・・・・・・水晶振動子(電子部品)
7・・・・・・・封止材
8・・・・・・・接地用配線層
9・・・・・・・高温ガラス層
Claims (5)
- 上面に電子部品が載置される載置部を有するとともに上面に接地用配線層の一部が導出されている絶縁基体と、金属蓋体とから成り、前記絶縁基体上面と金属蓋体下面とを封止材を介し接合することによって内部に電子部品を気密に収容するように成した電子部品収納用容器であって、前記封止材をガラス成分に無機物フィラーと、該無機物フィラーより粒径が大きい金属フィラーを含有させて導電性となし、かつ前記金属蓋体下面の前記封止材が接合される領域に軟化点が650℃以上の高温ガラス層が被着されていることを特徴とする電子部品収納用容器。
- 前記金属フィラーの平均粒径が無機物フィラーの平均粒径よりも2乃至10倍大きいことを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用容器。
- 前記封止材に含まれるガラス成分は、酸化鉛を50乃至65重量%、酸化ホウ素を2乃至10重量%、フッ化鉛を10乃至30重量%、酸化亜鉛を1乃至6重量%、酸化ビスマスを10乃至20重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用容器。
- 前記封止材に含まれる金属フィラーは、鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方から成り、無機物フィラーは、チタン酸鉛系化合物から成り、かつ前記封止材における金属フィラーの含有量が5乃至10重量%、無機物フィラーの含有量が26乃至45重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用容器。
- 前記高温ガラス層は、酸化珪素を55乃至75重量%、酸化ホウ素を15乃至25重量%、酸化アルミニウムを3乃至10重量%、酸化バリウムを1乃至6重量%、酸化ナトリウムを1乃至6重量%、酸化カリウムを1乃至6重量%、酸化リチウムを1乃至6重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用容器。
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