JP3716111B2 - 電子部品収納用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体素子や圧電振動子等の電子部品を気密に封止して収容するための電子部品収納用容器に関し、特に封止材にガラスを用いて封止を行う電子部品収納用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電素子、例えば水晶振動子、弾性表面波素子といった圧電振動子等の電子部品を収納するための電子部品収納用容器は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面水晶振動子を収容するための段状の凹部及び該凹部周辺より底面にかけて導出されたタングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末から成るメタライズ配線層が被着形成されている絶縁基体と、同じく酸化アルミニウム質焼結体やガラス等の電気絶縁材料から成る絶縁蓋体とから構成されており、真空中において絶縁基体の凹部の段差部に水晶振動子の一端をポリイミド導電性樹脂から成る接着剤を介して接着固定するとともに水晶振動子の各電極をメタライズ配線層に電気的に接続し、しかる後、前記絶縁基体の上面に絶縁蓋体を低融点ガラスから成る封止材を介して接合させ、絶縁基体と絶縁蓋体とから成る容器内部に水晶振動子を気密に収容することによって最終製品となる。
【0003】
なお、前記絶縁基体と絶縁蓋体とを接合させる封止材としては、一般に酸化鉛56乃至66重量%、酸化硼素4乃至14重量%、酸化珪素1乃至6重量%、酸化ビスマス0.5乃至5重量%、酸化亜鉛0.5乃至3重量%を含むガラス成分に、フィラーとしてこコージェライト系化合物を9乃至19重量%、チタン酸鉛系化合物を10乃至20重量%添加したガラスが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の電子部品収納用容器においては、絶縁基体や絶縁蓋体を形成する酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス及び絶縁基体と絶縁蓋体とを接合させ電子部品を内部に気密に封止するガラスがいずれも電磁波を透過し易く、そのため外部電気回路基板等に他の電子部品とともに実装した場合、隣接する電子部品間に電磁波の相互干渉が起こり電子部品に誤動作を起こさせるという問題を有していた。
【0005】
またこの従来の電子部品収納用容器においては、絶縁基体に絶縁蓋体を接合させる封止材である低融点ガラスの軟化溶融温度が約400℃程度であること、近時の電子部品は高密度化、高集積化にともなって耐熱性が低下してきたこと等から、絶縁基体と絶縁蓋体とを封止材を介して接合し、絶縁基体と絶縁蓋体とから成る絶縁容器の内部に電子部品を気密に収容した場合、封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用して電子部品の特性劣化を招来させ、電子部品を正常に作動させることができないという問題点も有していた。
【0006】
更に、電子部品を絶縁基体の凹部の底面あるいは段差部へポリイミド導電性樹脂等から成る樹脂性の接着剤を介して接着固定した場合、電子部品を接着固定する接着剤の耐熱性が低いため、接着剤に封止材を溶融させる熱が作用すると電子部品の接着固定が破れ、その結果、電子部品を常に、安定に作動させることができなくなるという問題も有していた。
【0007】
また更に、ガラスから成る封止を加熱溶融させて絶縁基体と金属蓋体とを接合させ容器を気密に封止する際、封止材を加熱溶融する時間が多少長いことから、その間に前記絶縁基体と金属蓋体との間に位置ずれが生じ易く、該位置ずれが生じると容器の気密封止が不完全となる問題点を有していた。特に、近時の電子部品収納用容器は封止領域が狭いことから気密封止の信頼性が極めて劣るという問題が誘発した。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み案出されたもので、その目的は容器内部に収容する電子部品に電磁波が作用するのを有効に防止するとともに容器内部に電子部品をその特性に劣化を招来することなく気密に封止し、電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる電子部品収納用容器を提供することにある。
【0009】
本発明は、電子部品が樹脂製の接着材を介して載置される四角形状の載置部を有し、該載置部周辺に接地用配線層の一部が導出されている絶縁基体と、前記載置部周辺に封止材を介して接合され、載置部を塞ぐ四角形状の金属蓋体とから成り、前記絶縁基体は載置部周辺で対角する少なくとも2つの角部に突出部が形成されているとともに、前記金属蓋体の対角する少なくとも2つの角部に前記突出部が嵌合する切り欠き部が形成されており、かつ前記封止材は、軟化溶融温度が350℃以下のガラスから成るとともに、ガラス成分にチタン酸鉛系化合物から成る無機物フィラーと該無機物フィラーより粒径が大きい鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方から成る金属フィラーを含有させて導電性を呈するとともに金属蓋体と前記絶縁基体の接地用配線層とを電気的に接続するように成しており、前記金属フィラーの平均粒径が無機物フィラーの平均粒径よりも2乃至10倍大きく、かつ30乃至70μmであることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は前記封止材のガラス成分が酸化鉛50乃至65重量%、酸化硼素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラスから成ることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は前記金属フィラーの含有量が5乃至10重量%、前記無機物フィラーの含有量が26乃至45重量%であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の電子部品収納用容器によれば、金属蓋体を絶縁基体の上面に導出されている接地用配線層に、ガラス成分に無機物フィラーと、該無機物フィラーより粒径が大きい金属フィラーを含有させた導電性を呈する封止材を介して電気的に接続するようになしたことから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合し、内部に電子部品を気密に収容封止した際、内部に収容される電子部品は前記導電性を呈する封止材を介して接地用配線層に接続された金属蓋体でシールドされることとなり、その結果、外部ノイズが金属蓋体を介して入り込むのを有効に防止することができ、容器内部の電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる。
【0014】
また本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体と金属蓋体とを接合させる封止材として酸化鉛50乃至65重量%、酸化硼素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラス成分に、無機物フィラーとしてチタン酸鉛系化合物無機物を26乃至45重量%、金属フィラーとして鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を5乃至10重量%添加したものを使用しているため封止材の軟化溶融温度が350℃以下となり、絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用しても電子部品の特性に劣化を招来することはなく、その結果、電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0015】
また同時に封止材の軟化溶融温度が350℃以下であり、低温であることから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器の内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱によって電子部品を絶縁基体の凹部の底面あるいは段差部へ接着固定するポリイミド導電性樹脂等から成る樹脂製の接着材が劣化することもなく、これによって電子部品を絶縁基体の凹部底面あるいは段差部へ接着材を介して極めて強固に接着固定することが可能となり、電子部品を常に、安定に作動させることができる。
【0016】
また更に、本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体の電子部品が載置される載置部周辺に突出部を、金属蓋体に前記突出部が嵌合する切り欠き部を設けたことから、絶縁基体と金属蓋体とをガラスから成る封止材を介して接合させ容器を気密に封止する際、絶縁基体と金属蓋体との間に位置ずれが発生することはなく、その結果、容器の気密封止の信頼性が極めて高いものと成る。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1及び図2は本発明の電子部品収納用容器を水晶振動子を収容する容器に適用した場合の一実施例を示し、1は電気絶縁材料より成る絶縁基体、2は金属材料から成る金属蓋体である。この絶縁基体1と金属蓋体2とで水晶振動子4を収容するための容器3が構成される。
【0018】
前記絶縁基体1は酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダー、溶剤、可塑材、分散剤等を添加混合して泥漿物を作るとともに、該泥漿物を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート形成法を採用することによってしセラミックグリーンシート(セラミック生シート)と成し、しかる後、前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約1600℃の高温で焼成することによって製作される。
【0019】
なお、前記接着剤5は、例えば、ポリイミド系導電性樹脂より成り、絶縁基体1の凹部1aの段差部に接着剤5を介して水晶振動子4を載置させ、しかる後、前記接着材5に熱硬化処理を施し、熱硬化させることによって水晶振動子4を絶縁基体1に接着固定する。
【0020】
また前記絶縁基体1には凹部1aの段差部より下面にかけて複数個のメタライズ配線層6が形成されており、該凹部1aの段差部に位置するメタライズ配線層6には水晶振動子4の各電極がポリイミド系導電性樹脂から成る接着材5を介し電気的に接続され、また絶縁基体1の下面に導出された部位には外部電気回路基板の配線導体に半田等のロウ材を介しロウ付けされる。
【0021】
前記メタライズ配線層6はタングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末から成り、該高融点金属粉末に適当な有機溶剤、溶媒、可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストを焼成によって絶縁基体1と成るセラミックグリーンシートに予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておくことによって絶縁基体1の凹部1aの段差部より低面にかけて被着形成される。
【0022】
なお、前記メタライズ配線層6はその露出する外表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつ良導電性である金属をめっき法により1μm乃至20μmの厚さで被着させておくと、メタライズ配線層6の酸化腐食を有効に防止することができるとともにメタライズ配線層6を外部電気回路基板の配線導体に半田等のロウ材を介してロウ付けする際、そのロウ付け強度を強固となすことができる。従って、前記メタライズ配線層6はその露出する外表面にニッケル、金等の金属を1μm乃至20μmの厚みに層着させておくことが好ましい。
【0023】
前記絶縁基体1はまたその上面から下面にかけて接地用配線層8が被着されており、該接地用配線層8は後述する金属蓋体2を外部電気回路基板の接地配線に電気的に接続する作用をなし、接地用配線層8の絶縁基体1上面に位置する領域には金属蓋体2が封止材7を介して電気的に接続され、また絶縁基体1下面に導出する部位には外部電気回路基板の接地配線が接続される。
【0024】
前記接地用配線層8はタングステン、モリブデン、マンガン等の高融点金属粉末から成り、メタライズ配線層6と同様、タングステン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤、溶媒、可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストを焼成によって絶縁基体1と成るセラミックグリーンシートに予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておくことによって絶縁基体1の上面から下面にかけて被着形成される。
【0025】
また前記接地用配線層8はその露出する外表面にニッケル、金等の耐蝕性に優れ、かつ良導電性である金属をめっき法により1μm乃至20μmの厚さに被着させておくと、前記接地用配線層8の酸化腐食を有効に防止することができるとともに前記接地用配線層8と封止材7及び外部電気回路基板の配線導体との接続を強固となすことができる。従って、前記接地用配線層8はその露出する外表面にニッケル、金等の金属を1μm乃至20μmの厚さに被着させておくことが好ましい。
【0026】
前記メタライズ配線層6及び接地用配線層8が被着されている絶縁基体1は更に水晶振動子4が載置収容される四角形状をなす凹部1aの周辺で対角する少なくとも2つの角部に突出部1bが形成されており、該突出部1bは後述する金属蓋体2に設けられた切り欠き部2aが嵌合する。
【0027】
なお、前記突出部1bは、絶縁基体1を製作する際に、例えば最上層に位置するセラミックグリーンシート上にセラミックグリーンシートと同質の材料から成る小片を載置させておくことによって形成される。
【0028】
前記メタライズ配線層6及び接地用配線層8が被着されている絶縁基体1はまたその上面に四角形状を成す金属蓋体2が封止材7を介して接合され、これによって絶縁基体1と金属蓋体2とから成る容器3の内部に水晶振動子4が気密に収容される。
【0029】
前記金属蓋体2は鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料から成り、鉄−ニッケル−コバルト合金等のインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法等、従来周知の金属加工法を施すことによって所定の形状に形成される。
【0030】
前記四角形状を成す絶縁蓋体2にはその対角する少なくとも2つの角部に切り欠き部2aが形成されている。この切り欠き部2aには絶縁基体1の上面に設けた突起部1bが嵌合され、これによって絶縁基体1と金属蓋体2との間の位置決めが正確となるようになっている。
【0031】
前記金属蓋体2はその下面が封止材7及び接地用配線層8を介して外部電気回路基板の接地配線に接続されるとともに絶縁基体1の凹部1a内に収容されている水晶振動子4を覆い、これによって水晶振動子4は金属蓋体2でシールドされ、外部ノイズが金属蓋体2を介して入り込むのが有効に阻止されて容器3内部の水晶振動子4を長期にわたり正常、かつ安定に作動させることができる。
【0032】
また同時に内部に収容した水晶振動子4が発生するノイズも金属蓋体2を介して外部に漏れることが有効に阻止され、水晶振動子4の発生するノイズが他の装置に入り込んで誤動作等の悪影響を与えることも極小となる。
【0033】
前記絶縁蓋体2の絶縁基体1上面への接合は、絶縁基体1上に金属蓋体2を、該絶縁基体1の突出部1bが金属蓋体2の切り欠き部2aに嵌合するようにして、かつ間に封止材7を狭持するようにして載置させ、次に前記封止材7に約320℃の温度を印加し、封止材7を溶融させることによって行われる。この場合、封止材7を加熱溶融させるのに多少時間を要するとしても絶縁基体1と金属蓋体2とは突出部1bを切り欠き部2aに嵌合させているため位置ずれを発生することはなく、その結果、絶縁基体1と金属蓋体2とから成る容器3の気密封止が完全と成り、容器3内部に収容する水晶振動子4を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0034】
前記絶縁基体1と金属蓋体2とを接合させる封止材7は導電性を帯びたガラスからなり、絶縁基体1を金属蓋体2に接合させ、絶縁基体1と金属蓋体2とから成る容器3内部に水晶振動子4を気密に収容するとともに金属蓋体2を絶縁基体1に被着させた外部電気回路基板の接地配線に接続される接地用配線層8に電気的に接続する作用をなす。
【0035】
前記封止材7としては、例えば、酸化鉛50乃至65重量%、酸化硼素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラス成分に、チタン酸鉛系化合物を無機物フィラーとして26乃至45重量%、鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を金属フィラーとして5乃至10重量%含有させたものが使用され、封止の作業性を向上させるために絶縁蓋体2の絶縁基体1側に予め被着されている。
【0036】
前記封止材7の金属蓋体2への被着は、チタン酸鉛系化合物の無機物フィラーと鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくと一方の金属フィラーを含有するガラスに適当な有機溶剤、溶媒を添加混合することによって得たガラスペーストを金属蓋体2下面の絶縁基体1と接合される上面に従来周知のスクリーン印刷法等により所定厚みに印刷塗布することによって行われる。
【0037】
なお、前記導電性を帯びている封止材7はガラス成分として酸化鉛50乃至65重量%、酸化硼素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、 酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラスを使用する場合、かかるガラスの軟化溶融温度が350℃以下と低いことからこの封止材7を用いて絶縁基体1と金属蓋体2とを接合させ、容器3を気密に封止する際、封止材7を溶融させる熱が内部に収容する水晶振動子4に作用してもその温度が低いため水晶振動子4の特性に劣化を招来することはなく、水晶振動子4を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。また同時に封止材7の軟化溶融温度が350℃以下と低いことから水晶振動子4を絶縁基体1の凹部1aに固定している樹脂製接着剤の特性も大きく劣化することはなく、これによって水晶振動子4を絶縁基体1の凹部1aに極めて強固に接着固定しておくことが可能となり、水晶振動子4を常に、安定に作動させることができる。
【0038】
更に、前記封止材7はそれを酸化鉛50乃至65重量%、酸化硼素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラスで形成した場合、酸化鉛が50重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4の特性に劣化を招来してしまい、また65重量%を超えるとガラスの耐薬品性が低化し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまう。従って、酸化鉛はその量が50乃至65重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0039】
また酸化硼素の量は2重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4の特性に劣化を招来してししまい、また10重量%を超えるとガラスの耐薬品性が低化し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまう。従って、前記酸化硼素の量は2乃至10重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0040】
またフッ化鉛の量は10重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4の特性に劣化を招来してしまい、また30重量%を超えるとガラスの耐薬品性が低化し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまう。従って、前記フッ化鉛の量は10乃至30重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0041】
また酸化亜鉛の量は1重量%未満であるとガラスの耐薬品性が低化し、容器3の気密封止の信頼性が大きく低下してしまい、また6重量%を超えるとガラスの結晶化が進んで流動性が大きく低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記酸化亜鉛の量は1乃至6重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0042】
また酸化ビスマスの量は10重量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなって、容器3を気密封止する際の熱によって水晶振動子4に特性の劣化を招来してしまい、また20重量%を超えるとガラスの結晶化が進んで流動性が大きく低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記酸化ビスマスの量は10乃至20重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0043】
また前記封止材7に含有される無機物フィラーは封止材7の熱膨張係数を調整し、絶縁基体1と金属蓋体2とに封止材7を強固に接合させ、容器3の気密封止の信頼性を大きく向上させるとともに封止材7の機械的強度を向上させる作用をなし、チタン酸鉛系化合物が使用され、その含有量は26重量%未満であると封止材7の熱膨張係数が絶縁基体1及び金属蓋体2の熱膨張係数に対し大きく相違して封止材7を絶縁基体1及び金属蓋体2に強固に接合させることができなくなり、また45重量%を超えると封止材7の流動性が大きく低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記チタン酸鉛系化合物を無機物フィラーとして封止材7に含有させており、その量は26乃至45重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0044】
また前記封止材7に含有される金属フィラーは封止材7に導電性を付与する作用をなし、鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方が使用され、その量が5重量%未満であると封止材7の導電性が低下し、金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が不完全となる危険性があり、また20重量%を超えると封止材7の流動性が低下し、容器3の気密封止が困難となってしまう。従って、前記鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を金属フィラーとして封止材7に含有させており、その量は5乃至10重量%の範囲としておくことが好ましい。
【0045】
更に前記導電性を帯びている封止材7に金属フィラーとして鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を含有させており、金属フィラーの粒径が30μm未満となると封止材7の導電性が低下して金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が不完全となる危険性があり、また70μmを超えると封止材7の流動性が低下し、容器3の気密封止が困難となる傾向がある。従って、前記鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を金属フィラーとして封止材7に含有させており、その粒径は30乃至70μmの範囲とする。
【0046】
前記封止材7はまたガラス成分に含有される金属フィラーの平均粒径が無機物フィラーの平均粒径よりも大きくなっており、これによって金属フィラー同士が互いに確実に接触し、その結果、金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が完全となる。
【0047】
なお、前記金属フィラーの平均粒径は無機物フィラーの平均粒径に対し2倍未満の大きさであると金属フィラー同士の接触が不完全となって封止材7の導電性が低下し、金属蓋体2と絶縁基体1の上面に導出している接地用配線層8との電気的接続が不完全となる危険性があり、また10倍を超えると封止材7の流動性が低下し、容器3の気密封止の信頼性が劣化してしまう危険性がある。従って、前記封止材7の金属フィラーの平均粒径は無機物フィラーの平均粒径に対し2乃至10倍の範囲とする。
【0048】
かくして上述の電子部品収納用容器によれば、真空中において絶縁基体1の凹部1aの段差部に水晶振動子4の一端をポリイミド系導電性樹脂から成る接着材5を介して接着固定するとともに水晶振動子4の各電極をメタライズ配線層6に電気的に接続し、しかる後、絶縁基体1の凹部1aを覆うように金属蓋体2を封止材7を介して接合させ、絶縁基体1と金属蓋体2とから成る容器3の内部に水晶振動子4を気密に収容するとともに金属蓋体2と絶縁基体1に被着させた接地用配線層8とを電気的に接続させることによって最終製品が完成する。
【0049】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の例では電子部品として水晶振動子を収容する電子部品収納用容器を例示したが、電子部品が半導体素子等であり、これを収容するための電子部品収納用容器にも適用し得る。
【0050】
また上述の実施例では四角形状の対角する少なくとも2つの角部に切り欠き部2aを設けたが4つの角部全てに切り欠き部2aを設けてもよく、また切り欠き部2aが金属蓋体2の厚み方向に貫通する貫通穴であっても、金属蓋体2の下面に設けた凹部であってもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明の電子部品収納用容器によれば、金属蓋体を絶縁基体の上面に導出されている接地用配線層に、ガラス成分に無機物フィラーと、該無機物フィラーより粒径が大きい金属フィラーを含有させた導電性を呈する封止材を介して電気的に接続するようになしたことから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合し、内部に電子部品を気密に収容封止した際、内部に収容される電子部品は前記導電性を呈する封止材を介して接地用配線層に接続された金属蓋体でシールドされることとなり、その結果、外部ノイズが金属蓋体を介して入り込むのを有効に防止することができ、容器内部の電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0052】
また本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体と金属蓋体とを接合させる封止材として酸化鉛50乃至65重量%、酸化硼素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、 酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラス成分に、無機物フィラーとしてチタン酸鉛系化合物無機物を26乃至45重量%、金属フィラーとして鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方を5乃至10重量%添加したものを使用しているため封止材の軟化溶融温度が350℃以下となり、絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接合させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用しても電子部品の特性に劣化を招来することはなく、その結果、電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0053】
また同時に封止材の軟化溶融温度が350℃以下であり、低温であることから絶縁基体と金属蓋体とを封止材を介して接させ、絶縁基体と金属蓋体とから成る容器の内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱によって電子部品を絶縁基体の凹部の底面あるいは段差部へ接着固定するポリイミド導電性樹脂等から成る樹脂製の接着材が劣化することもなく、これによって電子部品を絶縁基体の凹部底面あるいは段差部へ接着材を介して極めて強固に接着固定することが可能となり、電子部品を常に、安定に作動させることが可能となる。
【0054】
また更に、本発明の電子部品収納用容器によれば、絶縁基体の電子部品が載置される載置部周辺に突出部を、金属蓋体に切り欠き部を設けたことから、絶縁基体と金属蓋体とをガラスから成る封止材を介して接合させ容器を気密に封止する際に前記突出部と切り欠き部とを嵌合させることによって絶縁基体と金属蓋体との間には位置ずれが発生することはなく、その結果、容器の気密封止の信頼性が極めて高いものと成る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品収納用容器を水晶振動子を収容する容器に適用した場合の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1に示す電子部品収納用容器の平面図である。
【符号の説明】
1・・・・・絶縁基体
1b・・・・突出部
2・・・・・金属蓋体
2a・・・・切り欠き部
3・・・・・容器
4・・・・・水晶振動子(電子部品)
7・・・・・封止材
8・・・・・接地用配線層
Claims (3)
- 電子部品が樹脂製の接着材を介して載置される四角形状の載置部を有し、該載置部周辺に接地用配線層の一部が導出されている絶縁基体と、前記載置部周辺に封止材を介して接合され、載置部を塞ぐ四角形状の金属蓋体とから成り、前記絶縁基体は載置部周辺で対角する少なくとも2つの角部に突出部が形成されているとともに、前記金属蓋体の対角する少なくとも2つの角部に前記突出部が嵌合する切り欠き部が形成されており、かつ前記封止材は、軟化溶融温度が350℃以下のガラスから成るとともに、ガラス成分にチタン酸鉛系化合物から成る無機物フィラーと該無機物フィラーより粒径が大きい鉄−ニッケル合金及び鉄−ニッケル−コバルト合金の少なくとも一方から成る金属フィラーを含有させて導電性を呈するとともに金属蓋体と前記絶縁基体の接地用配線層とを電気的に接続するように成しており、前記金属フィラーの平均粒径が無機物フィラーの平均粒径よりも2乃至10倍大きく、かつ30乃至70μmであることを特徴とする電子部品収納用容器。
- 前記封止材のガラス成分が酸化鉛50乃至65重量%、酸化硼素2乃至10重量%、フッ化鉛10乃至30重量%、酸化亜鉛1乃至6重量%、酸化ビスマス10乃至20重量%を含むガラスから成ることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用容器。
- 前記金属フィラーの含有量が5乃至10重量%、前記無機物フィラーの含有量が26乃至45重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用容器。
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