JP3809608B2 - 無電解銅めっき方法とその装置及びその銅補給液の作製方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板や各種プラスチックに無電解銅めっきを行う新規な無電解銅めっき方法とその装置及びその銅補給液の形成方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板や各種プラスチックのめっきに使用する無電解銅めっき液には、一般に銅成分として硫酸銅5水和物、錯化剤にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、還元剤にホルムアルデヒドを用いている。しかし、不足する銅イオンやホルムアルデヒドを補給して無電解銅めっき液を繰り返し使用して行くと、反応生成物として硫酸イオン;SO4 2−やギ酸イオン;HCOO−などが蓄積し、めっき液比重の増加と共に溶存酸素濃度が低下してめっき液が不安定になる他、めっき膜表面に銅微粒子が付着しやすくなる。このため、ある時点でめっき液を更新する必要があるという問題がある。この課題に対して、硫酸イオンやギ酸イオンを除去ないし生成防止を図って無電解銅めっき液の長寿命化を図る方法が種々提案されている。
【0003】
硫酸イオンやギ酸イオンの除去方法として、特開平8−67987号公報では低温槽内でめっき液を霧状に吹き付けて反応生成物を再結晶化させて除去する方法を提案している。特開平7−286279号公報では硫酸イオンを、水酸化バリウムの添加で硫酸バリウムとして除去する方法を提案している。また、ギ酸イオンについては、特開昭56−136967号公報のような電気透析法か、逆浸透膜法で除去する方法が行われている。
【0004】
一方、硫酸イオンの生成防止については、硫酸銅5水和物の変わりに水酸化銅、酸化銅、オキシ酸銅、及び銅の塩基性炭酸塩、塩基性塩化物もしくは塩基性硫酸塩を使用することが特公昭59−32542号公報で提案されている。また、これら銅成分を溶解してめっき槽へ移送する装置についても、特開昭63−83282号公報、特開平5−306471号公報、特開平6−25863号公報で提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は無電解銅めっき液の銅補給方法、及びその装置に関し、従来の硫酸銅5水和物や水酸化第二銅、酸化第二銅、オキシ酸銅、及び銅の塩基性炭酸塩、塩基性塩化物もしくは塩基性硫酸塩などを使用する変わりに、金属銅を溶解して銅補給液とする新たな方法を提供するものである。
【0006】
一般に還元剤を含む無電解銅めっき液は、安定性向上のため空気や酸素含有ガスを吹き込んでめっき液中の溶存酸素濃度を高めて使用することが知られている。特開平6−97632号公報では、めっき槽外部循環経路の途中より空気を吹き込み、パイプミキサ−で微細化した空気をめっき槽へ供給することでめっき液中の溶存酸素濃度を高めることを提案している。特開平6−33254号公報では、窒素ガス量と空気量とを制御してめっき槽内の溶存酸素濃度を制御してめっき液の活性状態を制御すると共に、混合ガス通気場所と被めっき投入場所とを区別してめっき膜厚のばらつきを抑えることを提案している。
【0007】
一方、空気と酸素ガスとを併用する方法もある。特許第2768408号公報は、めっき反応で生成する硫酸イオンやギ酸イオンの蓄積で不安定化が増すため、これら生成物量に応じて酸素ガスの割合を高くして安定化する方法である。また、特開平4−376号公報では、めっき槽内の中央部よりも周辺部に供給する酸素含有ガス量を多くすること、実施例では酸素ガスを使用することを記載している。
【0008】
しかし、このめっき液中の溶存酸素濃度を過剰に高めるとめっき反応が停止する現象がある。特に酸素ガスをめっき液中に吹き込むとこの現象が発生しやすい。前述の特開平4−376号公報は、被めっき物の微小めっき部分の反応停止を防止しすることを目的として提案されたものである。また、特開平8−74060号公報で、この原理を利用して、析出速度の異なるめっき槽でプリント基板のめっきを行った際に生じる厚さの違いと、表面粗さの違いを解消するため、窒素ガスと酸素ガスを併用し、目標厚さになった時点で酸素ガス分量を多くしてめっき液中の溶存酸素濃度を高め、めっき反応を停止させると共に、且つその後一定時間めっき液中に浸漬しておくことで、めっき厚さを一定にし、また表面粗さを小さくすることを提案している。このことは、めっき反応を停止した状態でめっきした物を浸漬していると、析出した銅がめっき液中に溶解して行くことを示唆している。
【0009】
本発明の目的は、銅補給液や無電解銅めっき液に硫酸イオンの蓄積を防止できると共に、貯液槽、金属銅溶解槽、銅補給槽、及び移送ポンプ、更に配管内に銅の析出が起こらず、繰り返し無電解銅めっきにおいてめっき膜表面に銅微粒子の付着が起こらない平滑なめっき膜を長期間に渡って安定して得ることができる無電解銅めっき方法とその装置及びその銅補給液の形成方法とその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した無電解銅めっき液によるめっき反応停止現象を利用して、めっき槽よりその一部を抜き取った無電解銅めっき液中の溶存酸素によって金属銅をその無電解銅めっき液に溶解して銅濃度を濃くすることができるので、それによって無電解銅めっき液の銅補給液として使用できることを見出しなされたものである。
【0011】
本発明は、無電解銅めっき反応で減少する銅イオンを、そのめっきの最中に無電解銅めっき液の一部を抜き出し、抜き出した無電解銅めっき液液中の溶存酸素によって金属銅を溶解してそれを無電解銅めっき液に補給する無電解銅めっき液の銅補給方法にある。
【0012】
抜き出した無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液液中の溶存酸素によって金属銅を溶解すること、その酸素含有ガスとして、空気と酸素ガスを併用した混合ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス及び酸素ガスのいずれか1種が好ましい。
【0013】
金属銅は、多角形平板、多角形柱、円柱、球状のいずれかを用いることができ、その金属銅を無電解銅めっき液に接触させる以前に実質的に無電解銅めっき反応が起こらない程度の酸化皮膜を形成し、然る後、酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液と接触させて金属銅を溶解することが好ましい。
【0014】
無電解銅めっきは還元剤によって銅析出反応が開始するが、その電位は、無電解銅めっき液の組成によっても異なるが、一般の60℃以上で使用する厚付け用無電解銅めっき液は、空気攪拌下、70℃でおよそ−700〜−750mV(対AgCl電極)である。ここで、参照電極は飽和KCl溶液中のAgCl電極の電位を基準にしている。この参照電極の電位は、「電気化学会編、第5版、電気化学便覧、p189〜p190」に記載されている様に、25℃において標準水素電極に対して0.199Vの電位を示す。以下に示す電位は、この参照電極を基準とした。このめっき液中の溶存酸素濃度を高めると銅析出反応が停止する。これは析出反応表面が酸化されてCuOとなるためである。そして銅溶解作用が始まり、その時の電位はおよそ−400mVよりプラス側にある。
【0015】
この原理を利用することにより、表面に酸化膜を有する金属銅をめっき液に浸漬してもめっき反応は起こらず、この状態でめっき液に浸漬していると、銅が溶解してめっき液中に含まれている錯化剤のEDTAと錯体を形成する。この溶解作用は、めっき液に酸素含有ガスを吹き込んで溶存酸素濃度を高めた状態で持続進行し、めっき液中の銅濃度を濃くすることができ、銅補給液として使用できる。
【0016】
金属銅溶解作用を起こさせる別法としては、外部から電位を負荷して−400mVよりプラス側の電位を負荷する方法もある。これによって銅溶解作用を起こさせることができる。そして、負荷電位を更に高くして−300mV以上にすると銅溶解速度が増加する。この外部から電位を負荷して金属銅を溶解する方法には、対極として金属板が必用であり、金属板に銅が析出するため長時間に渡って行うには好ましくはないが、金属銅の溶解作用を起こさせる初期操作として適用しても差し支えない。
【0017】
外部から電位を負荷させずに銅を溶解するには、めっき液と接触させる金属銅表面を熱して表面を酸化させることが重要である。金属銅を熱する条件は、金属銅、または水で濡らした金属銅を80℃以上で5分以上熱するだけで十分である。即ち、金属銅表面に、実質的に無電解銅めっき反応が起こらない程度の酸化皮膜を形成するだけでよい。表面を酸化した金属銅をめっき液に浸漬すると、析出反応が起こらず銅溶解反応が発生する。この銅溶解反応電位は、空気攪拌下では−370〜−430mVであるが、酸素ガス攪拌下では−260〜−300mVと高い。したがって、銅溶解速度は空気攪拌よりも酸素ガス攪拌の方が速くなる。この点から酸素含有ガスとしては、空気と酸素ガスとの併用、または窒素ガスと酸素ガスの混合ガスを用いて酸素ガス分量を多くすること、あるいは酸素ガスそのものを用いるかのいずれか1種以上の方法で、金属銅を溶解するめっき液に吹き込むことが重要である。酸素ガス分量は18%〜100%の範囲が好ましい。
【0018】
溶解する金属銅の形状は、前述の形状が適用でき、銅溶解速度を速くするには表面積の大きい球状の金属銅が望ましいが、適用する無電解銅めっき液の析出速度に応じて形状と面積を設定してもよい。例えば、析出速度2μm/hのめっき液でめっき面積1dm2/Lをめっきする場合、金属銅の溶解速度1μm/hでは、この金属銅の表面積はめっき面積の2倍以上とすることで、めっきで消費する分の銅濃度を十分に補給できる。
【0019】
金属銅の溶解速度は酸素ガス分量を多くすると速くなる。例えば70℃のめっき液で空気攪拌と酸素ガス攪拌とでの銅溶解速度を比較すると、酸素ガス攪拌下での銅溶解速度は約1.37μm/hであり、空気攪拌時の約3.7倍を示す。また、酸素ガス攪拌下でめっき液の温度を高くすると銅溶解速度が速くなり、その溶解速度は75℃にピ−クを示して1.45μm/hが得られる。めっき液温度50℃と比較すると、75℃での銅溶解速度は50℃の約1.8倍ある。更に銅の溶解速度は、めっき液の実用pH12.2〜pH12.8(at25℃)の範囲では殆ど差がない。
【0020】
一方、無電解銅めっき液を繰り返し使用するとギ酸イオンが蓄積するが、このギ酸イオンの増加によって溶存酸素濃度が低くなり、銅溶解速度は低下するものの十分に銅溶解作用は起こる。酸素ガス攪拌下、ギ酸イオンが0.75mol/L溶解しためっき液での銅溶解速度は0.94μm/hで、ギ酸イオンのない新しいめっき液の銅溶解速度のおよそ70%であるが、ギ酸イオンが増加しても十分に銅溶解反応が起こることを証明している。尚、ギ酸イオンを0.75mol/L含むめっき液は、めっき面積1.5dm2/Lで25μm厚めっきを1回として7回のめっきを行ったものに相当する。
【0021】
以上の銅溶解作用は還元剤の有無にかかわらず起こるが、酸素含有ガスの供給を停止すると還元剤が入っためっき液では金属銅表面にめっき反応が始まり、還元剤のないめっき液ではめっき反応は起こらない。還元剤が入っためっき液で金属銅表面にめっき反応が起きた場合、このめっき反応を停止して再び銅溶解作用を起こさせるには次の2通りの方法がある。一つは、ただちに酸素含有ガスを供給すると共に、外部より+100mV以上の電位を数分間負荷する方法であり、めっき反応が停止して再び銅溶解作用が始まった段階で負荷している電位を遮断する。二つ目の方法は、めっき反応が発生した金属銅を取り出して水洗し、前記した熱処理を行って酸化皮膜を形成する方法であり、その後、酸素含有ガスを供給しためっき液に浸漬すると再び銅溶解作用が起こる。
【0022】
このようにして酸素含有ガスを吹き込んだめっき液中に金属銅を長時間浸漬することで、めっき液中の溶存酸素によって金属銅が溶解して銅イオン濃度が濃くなり、めっき槽内の無電解銅めっき液の銅補給液として使用できる。
【0023】
本発明は、めっき槽と、該めっき槽からその一部を移送ポンプによって送給された前記抜き取られた無電解銅めっき液中の溶存酸素によって金属銅を溶解し銅補給液を形成する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記めっき槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき装置にある。
【0024】
又、本発明は、めっき槽と、該めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を移送ポンプによって送給し貯液する貯液槽と、該貯液槽から移送ポンプによって送給された前記無電解銅めっき液中の溶存酸素によって金属銅を溶解し銅補給液を生成する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記貯液槽に戻す経路と、前記貯液槽から前記銅補給液を前記めっき槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき装置にあり、又、これに、前記貯液槽の前記銅補給液を移送ポンプによって送給し貯液する銅補給槽と、該銅補給槽から前記銅補給液を移送ポンプによって前記めっき槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする。
【0025】
前記金属銅溶解槽は、電位測定器及び金属銅溶解電位よりも高い電位を負荷する電位負荷装置を有すること、前記貯液槽及び銅補給槽は、酸素含有ガス供給手段及び温度調節器を有することが好ましい。
【0026】
本発明は、めっき槽からその一部を抜き取った無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液中の溶存酸素によって金属銅を溶解すること、又、無電解銅めっき液に、空気と酸素ガスとの混合ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス及び酸素ガスのいずれか1種を吹き込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液中の溶存酸素によって金属銅を溶解することを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液の形成方法にある。
【0027】
本発明は、移送ポンプによってめっき槽より一部抜き取った無電解銅めっき液が送給される経路、金属銅を保持する保持手段及び前記無電解銅めっき液中の溶存酸素によって前記金属銅を溶解し形成された銅補給液をめっき槽に送給する経路を有する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液形成装置にある。
【0028】
更に、本発明は、無電解銅めっき液中の金属銅に、該金属銅の溶解電位よりも高い電位を負荷すると共に、前記無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き込み、該ガスが吹き込まれた前記無電解銅めっき液中の溶存酸素によって前記金属銅を溶解作成を起こさせること、又、無電解銅めっき液中の金属銅に、万一、めっき反応が起こった場合、外部から+100mVよりプラス側の電位を強制的に負荷すると共に、前記無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液によって前記金属銅表面に形成される酸化皮膜を溶解してその液をめっき槽に補給しながら銅めっきするものである。
【0029】
無電解銅めっきは還元剤によって銅析出反応が開始するが、めっき液中の溶存酸素濃度を高めると銅析出反応が停止する。この現象は溶存酸素濃度を高めるために、酸素含有ガスの酸素分量を多くすると顕著に現れ、銅析出反応表面が酸化されてCuOとなり銅析出反応が停止する。このことは、酸化した金属銅をめっき液に浸漬してもめっき反応は起こらないことになる。この状態でめっき液に浸漬すると、めっき液中に錯化剤のEDTAが含まれているため、銅が溶解してEDTAと錯体を形成する。この銅溶解作用はめっき液に酸素含有ガスを吹き込んで溶存酸素濃度を高めた状態で持続進行する。このようにして銅濃度を濃くすることができ、無電解銅めっき液の補給液として使用できる。
【0030】
従来、めっき液中の不足する銅補充方法としてCuO粉末を無電解銅めっき液によって溶解する方法が知られているが、本発明は、無電解銅めっき液中で連続的に金属銅表面を酸化してCuOとし、めっき液中に銅を溶解させることで、めっき液中の銅濃度をコントロ−ルできる。
【0031】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明の無電解銅めっき装置の構成図である。先ず、めっき槽1の無電解銅めっき液2を移送ポンプ3で貯液槽4に送る。この貯液槽4から移送ポンプ5によって酸素含有ガス吹き込み装置6を具備した金属銅溶解槽7に送る。この金属銅溶解槽7内には金属銅8を設置しておく。その設置方法は、金属銅8表面に酸素含有ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液2が流れるようにして置く。酸素含有ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液2中の溶存酸素によって金属銅8表面が溶解する。この銅が溶解した無電解銅めっき液2を再び貯液槽4に戻す。この経路を循環することで、無電解銅めっき液2よりも濃度の濃い銅イオンを含む銅補給液9が貯液槽4内に得られる。この銅補給液9を移送ポンプ3を逆回転してめっき槽1に供給することでめっき槽1内の無電解銅めっき液2に補給できる。
【0032】
図2は、本発明の無電解銅めっき液の金属銅溶解槽の断面図である。本装置には、ポンプ5によって供給された銅補給液9が金属銅溶解槽7内に供給されると共に、酸素含有ガス19がバルブ21を介して減圧弁22によってコントロールされて供給され、(b)に示す多くの貫通穴を設けた金属銅支え板18に支えられた金属銅を有し、銅補給液9中の溶存酸素によって金属銅が溶解されるものである。本実施例においては金属銅溶解槽7は貯液槽4に設けられているが、別法としては、作製した銅補給液9を貯液槽4から移送ポンプ10で銅補給槽11に送り、この銅補給槽11から移送ポンプ12によってめっき槽1内の無電解銅めっき液2に補給する方法でも良い。更に、この装置をめっき槽1に直接設けても良いが、銅消費量に対応してその補給量が一致させるようにするのが良い。
【0033】
いずれの方法でも、貯液槽4内と銅補給槽11には銅補給液9が不安定にならないように、めっき槽1に設けた空気攪拌パイプ17と同様の酸素含有ガス噴出しパイプ13を設けて、空気攪拌、酸素ガス攪拌、あるいは酸素ガスと空気との混合攪拌、酸素ガスと窒素ガスとの混合攪拌を行って安定化する。更に、めっき槽1の無電解銅めっき液2の温度と同じとなるように温度調節器14を備えて保温する。温度調節器14は銅補給液9の温度を20℃〜80℃の範囲で調節できるように冷却と加温の両作用を有するものでよい。例えば、冷却する水循環パイプ、または加温する蒸気パイプやポリテトラフルオロエチレンコ−トしたヒ−タなどでよい。
【0034】
一方、前記した金属銅溶解槽7には、電位測定器15と金属銅溶解電位よりも高い電位を負荷できる電位負荷装置16を設けて置く。電位測定器15によって、金属銅溶解槽7内の電位をモニタリングして、金属銅が溶解しているかめっき反応が起こったかを判別できる。万一、金属銅8表面にめっき反応が起こった場合は、電位負荷装置16で前記したように+100mV以上の電位を数分間負荷することでめっき反応を停止させることができ、電位測定器15で再び銅溶解電位になったことを確認した時点で、電位負荷操作を停止する。このように金属銅溶解槽7に、電位測定器15と電位負荷装置16を設けて置くことで、金属銅8の溶解作用をコントロ−ルできる。
【0035】
本実施例においては、5Lのめっき槽1には、作製された表1に示す組成の無電解銅めっき液2を有する。この無電解銅めっき液2の温度を変えて、空気攪拌と酸素ガス攪拌とで銅溶解速度を比較した。空気と酸素ガスの噴出し量は無電解銅めっき液1Lに対してそれぞれ0.5L/分と同量とした。用いた金属銅は、厚さ0.3mm、10mm角の無酸素銅板であり、50ml/Lの希硫酸水溶液に30秒間浸漬し、3分間水洗した後に90℃で5分間乾燥したものである。この時の重量を初期重量とした。温度と攪拌ガスの異なる無電解銅めっき液に5.0h浸漬した後、3分間水洗して80℃で3分間乾燥した。この時の重量を処理後の重量とした。無電解銅めっき液に浸漬している間は、揮発する37%ホルマリンを補給し、pHは200g/LのNaOH水溶液を添加して調整した。銅の溶解速度は、初期重量と処理後の重量との差から1h当たりの平均溶解速度として求めた。表1に示すように、無電解銅めっき液2には、銅イオン源として硫酸銅、錯化剤としてEDTA、還元剤としてホルマリン、pH調整にNaOH水溶液を用いた。
【0036】
【表1】
【0037】
図3は、無電解銅めっき液温度と銅溶解速度との関係を示す線図である。銅溶解速度はめっき液の温度に依存し、75℃にピ−クがあると共に、酸素ガス攪拌の方が空気攪拌よりも速いことを示している。75℃では酸素ガス攪拌での溶解速度は空気攪拌の約3倍以上ある。また、酸素ガス攪拌下でめっき液温度50℃と75℃での銅溶解速度を比較すると、75℃での銅溶解速度は50℃の約1.8倍ある。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同じ組成の無電解銅めっき液を用い、AgCl電極に対して−100mVと−200mVと−300mVの電位を負荷して電位の違いによる銅溶解速度を、還元剤である37%ホルマリンの有,無で比較した。めっき液の攪拌は酸素ガス攪拌とし、めっき液温度は70℃とした。本実施例では、外部からポテンショスタットを用いて電位を負荷し、その他の方法と条件は実施例1と同じくした。
【0039】
図4は、金属銅への負荷電位と銅溶解速度との関係を示す線図である。負荷電位による銅溶解速度は、37%ホルマリンの有,無のいずれも−300mVよりも−100mVの方が速い。また、37%ホルマリンの有,無での銅溶解速度を比較すると、−300mVでは両者に大差はないが、電位が高くなると共に無しの方が溶解速度が大きくなり、−100mVでは37%ホルマリン有りの場合よりも約1.9倍も速い。
【0040】
(実施例3)
実施例1に示した組成の無電解銅めっき液を用いてめっき液の攪拌を酸素ガス攪拌とし、めっき液のpH(at25℃)の違いによる銅溶解速度を比較した。本実施例でも、実施例1と同様に外部からの電位は負荷せずに、その他の方法、条件も実施例1と同じく行った。pH12.2とpH12.8とで比較した結果、前者は1.43μm/h、後者は1.46μm/hとほぼ同じ溶解速度が得られ、めっき液の実用pH範囲内では銅溶解速度に差がないことが判った。
【0041】
(実施例4)
実施例1に示した組成の無電解銅めっき液を用い、繰り返しめっきで蓄積するギ酸イオン濃度と銅溶解速度の関係を調べた。めっき液温度は72℃とし、めっき液の攪拌は酸素ガス攪拌で行った。本実施例でも、実施例1と同様に外部からの電位は負荷せずに、その他の方法、条件も実施例1と同じく行った。
【0042】
図5は、ギ酸イオン濃度と銅溶解速度との関係を示す線図である。図5に示すように、ギ酸イオン濃度の増加で銅溶解速度が徐々に低下するが、ギ酸イオンが0.75mol/Lの増加しためっき液での銅溶解速度は、ギ酸イオンのない新しいめっき液の約70%である。このことは、ギ酸イオンが増加しても十分に銅溶解反応が起こることを証明している。尚、ギ酸イオンを0.75mol/L含むめっき液は、めっき面積1.5dm2/Lで25μm厚めっきを1回として7回のめっきを行ったものに相当する。
【0043】
(実施例5)
実施例1に示した組成の無電解銅めっき液を用い、金属銅を溶解している最中にめっき反応が起こった場合の停止法を検討した。めっき液の攪拌は酸素ガス攪拌とした。先ず、金属銅として実施例1と同じ銅板と対極にTi板を浸漬してAgCl電極をポテンショスタットに接続した。
【0044】
始めに酸素ガス攪拌を行いながら銅の溶解電位を測定した結果、−270mV〜−300mVを示した。約1h後に酸素ガス攪拌を停止した結果、数分後に電位が−740mVとなり、金属銅表面にめっき反応が起こったことを示した。30分後に、ポテンショスタットから+200mVの電位を5分間負荷し、その後、負荷電位を遮断して金属銅表面の電位を測定した結果、銅の溶解電位である−270mV〜−290mVを示した。この点から、万一、金属銅溶解中にめっき反応が起こった場合、外部より電位を負荷すれば、再び銅溶解電位になることが判った。
【0045】
(実施例6)
本実施例を図1の装置を用いて実施した。35Lのめっき槽1と10Lの貯液槽4とに、実施例1と同じ無電解銅めっき液Aを作成した。35Lめっき槽1では、空気攪拌パイプ17から18L/分の量で空気を噴出しながら保管した。貯液槽4では、酸素含有ガス噴出しパイプ13から5L/分の量で空気を噴出して攪拌し、温度調節器14で74℃に保温した。一方、酸素含有ガス吹き込み装置6を具備した容量10Lの金属銅溶解槽7内には、図6に示すように、金属銅8として、希硫酸洗浄と水洗を行って100℃で10分間加熱した厚さ5mm、縦500mm×横100mmの無酸素金属銅板を5mm間隔に20枚設置した。貯液槽4のめっき液を移送ポンプ5によって金属銅溶解槽7内に送入すると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6から7L/分の量の酸素ガスを吹き込んで、貯液槽4に再び流入するようにめっき液を循環させた。金属銅溶解槽7に設置した電位測定器15での電位は−270mV〜−280mVを示した。このように循環を1h行った後では、貯液槽4内のめっき液は、約2.5g/Lの銅濃度の増加が認められた。2h後には貯液槽4内の銅濃度は、最初に作成しためっき液の銅濃度を加算すると約7.4g/Lの銅濃度の銅補給液9が得られた。
【0046】
次に、めっき槽1の無電解銅めっき液を74℃に加温した。そして、銅箔をエッチング除去してめっき触媒を付与した0.3mm厚さの25cm角ガラスエポキシ基板を2枚浸漬すると同時に、めっき槽1内のめっき液の37%ホルマリン量と水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整しながら、且つ、めっき液中の銅濃度が2.3〜2.6g/Lの範囲になるように、貯液槽4内の銅補給液9を移送ポンプ3で送りながら5hのめっきを行った。その結果、ガラスエポキシ基板の表面には、約14μm厚の銅めっき膜が得られた。
【0047】
(実施例7)
実施例6と同様に、貯液槽4のめっき液を移送ポンプ5によって金属銅溶解槽7内に送入すると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6から7L/分の量の酸素ガスを吹き込んで、貯液槽4に再び流入するようにめっき液を循環させた。金属銅溶解槽7に設置した電位測定器15での電位は−270mV〜−280mVを示した。このように循環させてから約2h後に、酸素含有ガス吹き込み装置6の酸素ガス供給を故意に停止した。その結果、約10秒後には電位測定器15の電位が−745mVを示し、金属銅溶解槽7内の金属銅8板にめっき反応が起こったことが判った。
【0048】
直ちに、電位負荷装置16で+200mVの電位を5分間負荷した。その後、この電位負荷を停止した結果、電位測定器15の電位が−280mVを示し、金属銅溶解槽7内の金属銅8板が再び銅溶解を起こしたことが判った。この状態で10h循環を行った結果、銅溶解作用を持続した。
【0049】
(実施例8)
実施例6と同様に、貯液槽4のめっき液を移送ポンプ5によって金属銅溶解槽7内に送入すると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6から7L/分の量の酸素ガスを吹き込んで、貯液槽4に再び流入するようにめっき液を循環させた。金属銅溶解槽7に設置した電位測定器15での電位は−270mV〜−280mVを示した。このように循環させてから約3h後に、酸素含有ガス吹き込み装置6の酸素ガス供給を故意に停止した。その結果、実施例7と同様に、約10秒後には電位測定器15の電位が−745mVとなり、金属銅溶解槽7内の金属銅8板にめっき反応が起こったことを示した。直ちに、移送ポンプ5を停止してめっき液の循環を止めた。そして金属銅溶解槽7内から金属銅8板を取り出して、5分間水洗し、100℃で10分間過熱し、再び金属銅溶解槽7内に設置した。
【0050】
そして、再度、移送ポンプ5を稼動してめっき液を循環させると同時に、酸素含有ガス吹き込み装置6から酸素ガスの供給を行った結果、電位測定器15の電位が−270mVを示し、金属銅溶解槽7内の金属銅8板が銅溶解作用を再開したことが判った。この状態で循環を10h行っても銅溶解作用が持続した。
【0051】
(実施例9)
実施例6において、酸素含有ガス吹き込み装置6を具備した金属銅溶解槽7内に設置する金属銅8として、図7に示すように、φ27mmの無酸素金属銅ボ−ルを用いて千鳥配列で80個充填した。この金属銅ボ−ルも希硫酸洗浄と水洗を行って、100℃で20分間加熱処理した。一方、10L貯液槽4内のめっき液は酸素含有ガス噴出しパイプ13から2.5L/分の量で酸素ガスを噴出して攪拌し、温度調節器14で74℃に保温した。次に、貯液槽4のめっき液を移送ポンプ5によって10L金属銅溶解槽7内に送入すると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6から8L/分の量の酸素ガスを吹き込んで、再び貯液槽4に流入するように金属銅溶解経路を循環させた。そして、貯液槽4内のめっき液の銅濃度が約5.2g/Lになった時点で、この銅補給液9を移送ポンプ10で銅補給槽11へ送り始めた。銅補給槽11では、酸素含有ガス噴出しパイプ13から2.0L/分の量で空気を噴出して攪拌し、温度調節器14で74℃に保温した。と同時に、めっき槽1から貯液槽4への無電解銅めっき液の送入を移送ポンプ3で開始した。この一連の経路は、めっき槽1→貯液槽4→金属銅溶解槽7→貯液槽4→銅補給槽11→めっき槽1となる。
【0052】
この一連の経路を循環しながら、めっき槽1内にめっき触媒を付与した0.3mm厚の25cm角ガラスエポキシ基板を4枚浸漬してめっきを行った。めっき槽1のめっき液の37%ホルマリン量と、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整し、且つ、めっき液中の銅濃度が2.4〜2.7g/Lの範囲になるように、銅補給槽11からの銅補給液9の供給量を移送ポンプ12で調整し、めっき槽1に送りながら9hめっきを行った。その結果、ガラスエポキシ基板表面には約25μm厚の銅めっき膜が得られた。
【0053】
(実施例10)
実施例9の方法で、一回のめっきで銅めっき厚さ25μmを形成するめっきを、消費する金属銅ボ−ルを金属銅溶解槽7内に補充しながら22回の繰り返しめっきを行った。その結果、初期のめっき液比重1.032(at20℃)であったものが、22回目のめっき開始時点では比重1.103に増加した。これはめっき液中にギ酸イオンが増加したためである。しかし、22回めっき終了後でも、めっき液や銅補給液はきわめて安定であり、また、めっき槽1、貯液槽4、金属銅溶解槽7、銅補給槽11の内壁には銅の析出が認められず、更にめっき膜も光沢を呈する平滑な表面であった。
【0054】
(実施例11)
本実施例では、めっき槽1には表2に示す組成の無電解銅めっき液Bを作成し供給した。この無電解銅めっき液Bの析出速度は0.7μm/hである。このめっき液を30℃にして0.3L/分の空気攪拌を行った。また、貯液槽4にも無電解銅めっき液Bを作成し、0.5L/分の空気攪拌を行いながら60℃に加温した。金属銅溶解槽7内には長さ50cmの四角形金属柱を8本設置して、貯液槽4のめっき液を循環すると共に酸素含有ガス噴出し装置より、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス(酸素ガス分量70%)を供給して金属銅の溶解を開始した。そして得られた銅補給液9を銅補給槽11に送り、この銅補給槽11では冷却水を流した加温器で30℃にして0.3L/分の空気攪拌を行った。1回のめっきを1hとして、実施例9と同様に、めっき槽1→貯液槽4→金属銅溶解槽7→貯液槽4→銅補給槽11→めっき槽1の一連の経路を循環しながら繰り返しめっきを行った。めっき中は、めっき槽1内のめっき液の37%ホルマリン量と水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整して行った。
【0055】
その結果、90回の繰り返しめっきを行っても、めっき液や銅補給液はきわめて安定であり、また、めっき槽1、貯液槽4、金属銅溶解槽7、銅補給槽11の内壁、及び各配管内壁には銅の析出が認められず、更にめっき膜も光沢を呈する平滑な表面であった。
【0056】
【表2】
【0057】
(比較例)
実施例10において、金属銅溶解槽7を使用せずに、貯液槽1と銅補給槽11に従来の硫酸銅5水和物20g/L(銅濃度5.1g/L)とした銅補給液9を作成し、それ以外は実施例9と同じ条件で繰り返しめっきを行った結果、10回のめっきでめっき液比重が1.105に増加した。これは、硫酸銅5水和物を補給したことでギ酸イオンの他、硫酸イオンも蓄積したことが原因である。9回目の繰り返しめっき後には、めっき槽1、貯液槽4、銅補給槽11の内壁の一部に銅の析出が始まり、11回目のめっき膜表面は光沢を呈するが銅の微粒子が認められた。11回繰り返しめっき後に、各配管内を観察した結果、配管内壁に銅の析出が認められた。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、表面を酸化させた金属銅を酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液中の溶存酸素によって溶解することができ、これを銅補給液として使用できるものである。これによって、銅補給液や無電解銅めっき液に硫酸イオンの蓄積を防止できるため、無電解銅めっき液を長期間に渡って安定して使用することができる。従来の硫酸銅5水和物を使用した場合と比較して、無電解銅めっき液の使用回数は2倍以上に伸びる。更に、硫酸銅5水和物を使用した場合と比較して、貯液槽、金属銅溶解槽、銅補給槽、及び移送ポンプ、更に配管内に銅の析出が起こらないため、過硫酸アンモニウム水溶液などに代表される銅エッチング液での洗浄回数を削減できるので、これらの廃液処理量を低減することができる。また、繰り返し無電解銅めっきを行ってもめっき膜表面に銅微粒子の付着が起こらないため、平滑なめっき膜を長期間に渡って得ることができる。
【0059】
更に、本発明によれば、硫酸イオンが生成しないことでは従来の水酸化第二銅や酸化第二銅と同様であるが、めっき膜物性に影響するCr、Zn、Pbなどの不純物量が水酸化第二銅や酸化第二銅よりも少ない分、プリント基板や各種プラスチックのめっきに使用する薄付け無電解銅めっき液や、厚付け無電解銅めっき液の長寿命化により一層の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属銅溶解槽を具備した無電解銅めっき装置の構成図である。
【図2】 本発明の無電解銅めっき液の銅補給液形成装置の断面図である。
【図3】 無電解銅めっき液温度と銅溶解速度との関係を示す線図である。
【図4】 無電解銅めっき液中の金属銅への負荷電位と銅溶解速度との関係を示す線図である。
【図5】 無電解銅めっき液中のギ酸イオン濃度と銅溶解速度との関係を示す線図である。
【図6】 本発明の無電解銅めっき液の銅補給液形成装置の断面図である。
【図7】 本発明の無電解銅めっき液の銅補給液形成装置の断面図である。
【符号の説明】
1…めっき槽、2…無電解銅めっき液、3…移送ポンプ、4…貯液槽、5…移送ポンプ、6…酸素含有ガス吹き込み装置、7…金属銅溶解槽、8…金属銅、9…銅補給液、10…移送ポンプ、11…銅補給槽、12…移送ポンプ、13…酸素含有ガス噴出しパイプ、14…温度調節器、15…電位測定器、16…電位負荷装置、17…空気攪拌パイプ、18…金属銅支え板、19…酸素含有ガス、20…めっき液の流れ、21…バルブ、22…減圧弁、23…上部銅板支え冶具、24…下部銅板支え冶具、25…銅板、26…銅ボール。
Claims (16)
- めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜き取り、該抜き取った無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解し、該金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に補給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅めっき方法。
- めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜き取り、該抜き取った無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き込み、該酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解し、該金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に補給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅めっき方法。
- めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜き取り、該抜き取った無電解銅めっき液に空気と酸素ガスとの混合ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス及び酸素ガスのいずれか1種を吹き込み、該酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解し、該金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に補給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅めっき方法。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記金属銅は、多角形平板、多角形柱、円柱及び球状の1種以上からなることを特徴とする無電解銅めっき方法。
- 請求項1〜4において、前記無電解銅めっき液に接触させる前に、前記金属銅表面に酸化皮膜を形成し、前記酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液と接触させて前記酸化皮膜を溶解することを特徴とする無電解銅めっき方法。
- めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜き取り、該抜き取った無電解銅めっき液中で金属銅に、該金属銅の溶解電位よりも高い電位を負荷すると共に、前記抜き取った無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に前記金属銅を溶解し、該金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に補給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅めっき方法。
- めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜き取り、該抜き取った無電解銅めっき液中で金属銅に、−400mVよりプラス側の電位を負荷すると共に、前記抜き取った無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に前記金属銅を溶解し、該金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に補給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅めっき方法。
- めっき槽と、該めっき槽中の無電解銅めっき液からその一部を移送ポンプによって送給された前記無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解して銅補給液を生成する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記めっき槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき装置。
- めっき槽と、該めっき槽中の無電解銅めっき液からその一部を移送ポンプによって送給し貯液する貯液槽と、該貯液槽から移送ポンプによって送給された前記無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解して銅補給液を生成する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記貯液槽に戻す経路と、前記貯液槽から前記銅補給液を前記めっき槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき装置。
- めっき槽と、該めっき槽中の無電解銅めっき液からその一部を移送ポンプによって送給し貯液する貯液槽と、該貯液槽から移送ポンプによって送給された前記無電解銅めっき液めっき液中の溶存酸素によって化学的に溶解して銅補給液を生成する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記貯液槽に戻す経路と、前記貯液槽から前記銅補給液を前記めっき槽に供給する経路と、前記貯液槽の前記銅補給液を移送ポンプによって送給し貯液する銅補給槽と、該銅補給槽から前記銅補給液を移送ポンプによって前記めっき槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき装置。
- 請求項8〜10のいずれかにおいて、前記金属銅溶解槽は、電位測定器及び金属銅溶解電位よりも高い電位を負荷する電位負荷装置を有することを特徴とする無電解銅めっき装置。
- 請求項9〜11のいずれかにおいて、前記貯液槽及び銅補給槽は、酸素含有ガス供給手段及び温度調節器を有することを特徴とする無電解銅めっき装置。
- めっき槽中の無電解銅めっき液からその一部を抜き取った前記無電解銅めっき液めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解することを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液の作成方法。
- めっき槽中の無電解銅めっき液からその一部を抜き取った前記無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解することを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液の作成方法。
- めっき槽中の無電解銅めっき液からその一部を抜き取った前記無電解銅めっき液に、空気と酸素ガスとの混合ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス及び酸素ガスのいずれか1種を吹き込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液めっき液中の溶存酸素によって化学的に金属銅を溶解することを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液の作成方法。
- 移送ポンプによってめっき槽中の無電解銅めっき液からその一部を抜き取った前記無電解銅めっき液が送給される経路、金属銅を保持する保持手段及び前記抜き取った無電解銅めっき液中の溶存酸素によって化学的に前記金属銅を溶解し作製された銅補給液を前記めっき槽に送給する経路を有する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液形成装置。
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