JP2003321777A - 無電解銅めっき方法とその装置及びその銅補給液の作製方法とその装置 - Google Patents

無電解銅めっき方法とその装置及びその銅補給液の作製方法とその装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】銅補給液や無電解銅めっき液に硫酸イオンの蓄
積を防止できると共に、貯液槽、金属銅溶解槽等に銅の
析出が起こらず、繰り返し無電解銅めっきにおいてめっ
き膜表面に銅微粒子の付着が起こらない平滑なめっき膜
を長期間に渡って安定して得ることができる無電解銅め
っき方法とその装置及びその銅補給液の作成方法とその
装置。 【解決手段】めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜
き取り、抜き取った無電解銅めっき液により金属銅を溶
解し、金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき
槽に補給しながら銅めっきを行う無電解銅めっき方法;
めっき槽と、該めっき槽から移送ポンプによって送給さ
れた前記無電解銅めっき液によって金属銅を溶解し銅補
給液を形成する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸
素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前
記金属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記めっき槽に供給
する経路とを具備した装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板や
各種プラスチックに無電解銅めっきを行う新規な無電解
銅めっき方法とその装置及びその銅補給液の形成方法と
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プリント配線板や各種プラスチッ
クのめっきに使用する無電解銅めっき液には、一般に銅
成分として硫酸銅5水和物、錯化剤にエチレンジアミン
四酢酸(EDTA)、還元剤にホルムアルデヒドを用いて
いる。しかし、不足する銅イオンやホルムアルデヒドを
補給して無電解銅めっき液を繰り返し使用して行くと、
反応生成物として硫酸イオン;SO 2−やギ酸イオ
ン;HCOOなどが蓄積し、めっき液比重の増加と共
に溶存酸素濃度が低下してめっき液が不安定になる他、
めっき膜表面に銅微粒子が付着しやすくなる。このた
め、ある時点でめっき液を更新する必要があるという問
題がある。この課題に対して、硫酸イオンやギ酸イオン
を除去ないし生成防止を図って無電解銅めっき液の長寿
命化を図る方法が種々提案されている。
【0003】硫酸イオンやギ酸イオンの除去方法とし
て、特開平8−67987号公報では低温槽内でめっき
液を霧状に吹き付けて反応生成物を再結晶化させて除去
する方法を提案している。特開平7−286279号公
報では硫酸イオンを、水酸化バリウムの添加で硫酸バリ
ウムとして除去する方法を提案している。また、ギ酸イ
オンについては、特開昭56−136967号公報のよ
うな電気透析法か、逆浸透膜法で除去する方法が行われ
ている。
【0004】一方、硫酸イオンの生成防止については、
硫酸銅5水和物の変わりに水酸化銅、酸化銅、オキシ酸
銅、及び銅の塩基性炭酸塩、塩基性塩化物もしくは塩基
性硫酸塩を使用することが特公昭59−32542号公
報で提案されている。また、これら銅成分を溶解してめ
っき槽へ移送する装置についても、特開昭63−832
82号公報、特開平5−306471号公報、特開平6
−25863号公報で提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は無電解銅めっ
き液の銅補給方法、及びその装置に関し、従来の硫酸銅
5水和物や水酸化第二銅、酸化第二銅、オキシ酸銅、及
び銅の塩基性炭酸塩、塩基性塩化物もしくは塩基性硫酸
塩などを使用する変わりに、金属銅を溶解して銅補給液
とする新たな方法を提供するものである。
【0006】一般に還元剤を含む無電解銅めっき液は、
安定性向上のため空気や酸素含有ガスを吹き込んでめっ
き液中の溶存酸素濃度を高めて使用することが知られて
いる。特開平6−97632号公報では、めっき槽外部
循環経路の途中より空気を吹き込み、パイプミキサ−で
微細化した空気をめっき槽へ供給することでめっき液中
の溶存酸素濃度を高めることを提案している。特開平6
−33254号公報では、窒素ガス量と空気量とを制御
してめっき槽内の溶存酸素濃度を制御してめっき液の活
性状態を制御すると共に、混合ガス通気場所と被めっき
投入場所とを区別してめっき膜厚のばらつきを抑えるこ
とを提案している。
【0007】一方、空気と酸素ガスとを併用する方法も
ある。特許第2768408号公報は、めっき反応で生
成する硫酸イオンやギ酸イオンの蓄積で不安定化が増す
ため、これら生成物量に応じて酸素ガスの割合を高くし
て安定化する方法である。また、特開平4−376号公
報では、めっき槽内の中央部よりも周辺部に供給する酸
素含有ガス量を多くすること、実施例では酸素ガスを使
用することを記載している。
【0008】しかし、このめっき液中の溶存酸素濃度を
過剰に高めるとめっき反応が停止する現象がある。特に
酸素ガスをめっき液中に吹き込むとこの現象が発生しや
すい。前述の特開平4−376号公報は、被めっき物の
微小めっき部分の反応停止を防止しすることを目的とし
て提案されたものである。また、特開平8−74060
号公報で、この原理を利用して、析出速度の異なるめっ
き槽でプリント基板のめっきを行った際に生じる厚さの
違いと、表面粗さの違いを解消するため、窒素ガスと酸
素ガスを併用し、目標厚さになった時点で酸素ガス分量
を多くしてめっき液中の溶存酸素濃度を高め、めっき反
応を停止させると共に、且つその後一定時間めっき液中
に浸漬しておくことで、めっき厚さを一定にし、また表
面粗さを小さくすることを提案している。このことは、
めっき反応を停止した状態でめっきした物を浸漬してい
ると、析出した銅がめっき液中に溶解して行くことを示
唆している。
【0009】本発明の目的は、銅補給液や無電解銅めっ
き液に硫酸イオンの蓄積を防止できると共に、貯液槽、
金属銅溶解槽、銅補給槽、及び移送ポンプ、更に配管内
に銅の析出が起こらず、繰り返し無電解銅めっきにおい
てめっき膜表面に銅微粒子の付着が起こらない平滑なめ
っき膜を長期間に渡って安定して得ることができる無電
解銅めっき方法とその装置及びその銅補給液の形成方法
とその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した無電解
銅めっき液によるめっき反応停止現象を利用して、金属
銅を無電解銅めっき液に溶解して銅濃度を濃くすること
ができるので、それによって無電解銅めっき液の銅補給
液として使用できることを見出しなされたものである。
【0011】本発明は、無電解銅めっき反応で減少する
銅イオンを、そのめっきの最中に無電解銅めっき液の一
部を抜き出し、抜き出した無電解銅めっき液で金属銅を
溶解してそれを無電解銅めっき液に補給する無電解銅め
っき液の銅補給方法にある。
【0012】抜き出した無電解銅めっき液に酸素含有ガ
スを吹き込んで金属銅を溶解すること、その酸素含有ガ
スとして、空気と酸素ガスを併用した混合ガス、窒素ガ
スと酸素ガスとの混合ガス及び酸素ガスのいずれか1種
が好ましい。
【0013】金属銅は、多角形平板、多角形柱、円柱、
球状のいずれかを用いることができ、その金属銅を無電
解銅めっき液に接触させる以前に実質的に無電解銅めっ
き反応が起こらない程度の酸化皮膜を形成し、然る後、
酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液と接触させ
て金属銅を溶解することが好ましい。
【0014】無電解銅めっきは還元剤によって銅析出反
応が開始するが、その電位は、無電解銅めっき液の組成
によっても異なるが、一般の60℃以上で使用する厚付
け用無電解銅めっき液は、空気攪拌下、70℃でおよそ
−700〜−750mV(対AgCl電極)である。ここ
で、参照電極は飽和KCl溶液中のAgCl電極の電位
を基準にしている。この参照電極の電位は、「電気化学
会編、第5版、電気化学便覧、p189〜p190」に
記載されている様に、25℃において標準水素電極に対
して0.199Vの電位を示す。以下に示す電位は、こ
の参照電極を基準とした。このめっき液中の溶存酸素濃
度を高めると銅析出反応が停止する。これは析出反応表
面が酸化されてCuOとなるためである。そして銅溶解
作用が始まり、その時の電位はおよそ−400mVより
プラス側にある。
【0015】この原理を利用することにより、表面に酸
化膜を有する金属銅をめっき液に浸漬してもめっき反応
は起こらず、この状態でめっき液に浸漬していると、銅
が溶解してめっき液中に含まれている錯化剤のEDTA
と錯体を形成する。この溶解作用は、めっき液に酸素含
有ガスを吹き込んで溶存酸素濃度を高めた状態で持続進
行し、めっき液中の銅濃度を濃くすることができ、銅補
給液として使用できる。
【0016】金属銅溶解作用を起こさせる別法として
は、外部から電位を負荷して−400mVよりプラス側
の電位を負荷する方法もある。これによって銅溶解作用
を起こさせることができる。そして、負荷電位を更に高
くして−300mV以上にすると銅溶解速度が増加す
る。この外部から電位を負荷して金属銅を溶解する方法
には、対極として金属板が必用であり、金属板に銅が析
出するため長時間に渡って行うには好ましくはないが、
金属銅の溶解作用を起こさせる初期操作として適用して
も差し支えない。
【0017】外部から電位を負荷させずに銅を溶解する
には、めっき液と接触させる金属銅表面を熱して表面を
酸化させることが重要である。金属銅を熱する条件は、
金属銅、または水で濡らした金属銅を80℃以上で5分
以上熱するだけで十分である。即ち、金属銅表面に、実
質的に無電解銅めっき反応が起こらない程度の酸化皮膜
を形成するだけでよい。表面を酸化した金属銅をめっき
液に浸漬すると、析出反応が起こらず銅溶解反応が発生
する。この銅溶解反応電位は、空気攪拌下では−370
〜−430mVであるが、酸素ガス攪拌下では−260
〜−300mVと高い。したがって、銅溶解速度は空気
攪拌よりも酸素ガス攪拌の方が速くなる。この点から酸
素含有ガスとしては、空気と酸素ガスとの併用、または
窒素ガスと酸素ガスの混合ガスを用いて酸素ガス分量を
多くすること、あるいは酸素ガスそのものを用いるかの
いずれか1種以上の方法で、銅金属銅を溶解するめっき
液に吹き込むことが重要である。酸素ガス分量は18%
〜100%の範囲が好ましい。
【0018】溶解する金属銅の形状は、前述の形状が適
用でき、銅溶解速度を速くするには表面積の大きい球状
の金属銅が望ましいが、適用する無電解銅めっき液の析
出速度に応じて形状と面積を設定してもよい。例えば、
析出速度2μm/hのめっき液でめっき面積1dm
Lをめっきする場合、金属銅の溶解速度1μm/hで
は、この金属銅の表面積はめっき面積の2倍以上とする
ことで、めっきで消費する分の銅濃度を十分に補給でき
る。
【0019】金属銅の溶解速度は酸素ガス分量を多くす
ると速くなる。例えば70℃のめっき液で空気攪拌と酸
素ガス攪拌とでの銅溶解速度を比較すると、酸素ガス攪
拌下での銅溶解速度は約1.37μm/hであり、空気
攪拌時の約3.7倍を示す。また、酸素ガス攪拌下でめ
っき液の温度を高くすると銅溶解速度が速くなり、その
溶解速度は75℃にピ−クを示して1.45μm/hが
得られる。めっき液温度50℃と比較すると、75℃で
の銅溶解速度は50℃の約1.8倍ある。更に銅の溶解
速度は、めっき液の実用pH12.2〜pH12.8(a
t25℃)の範囲では殆ど差がない。
【0020】一方、無電解銅めっき液を繰り返し使用す
るとギ酸イオンが蓄積するが、このギ酸イオンの増加に
よって溶存酸素濃度が低くなり、銅溶解速度は低下する
ものの十分に銅溶解作用は起こる。酸素ガス攪拌下、ギ
酸イオンが0.75mol/L溶解しためっき液での銅
溶解速度は0.94μm/hで、ギ酸イオンのない新し
いめっき液の銅溶解速度のおよそ70%であるが、ギ酸
イオンが増加しても十分に銅溶解反応が起こることを証
明している。尚、ギ酸イオンを0.75mol/L含む
めっき液は、めっき面積1.5dm/Lで25μm厚め
っきを1回として7回のめっきを行ったものに相当す
る。
【0021】以上の銅溶解作用は還元剤の有無にかかわ
らず起こるが、酸素含有ガスの供給を停止すると還元剤
が入っためっき液では金属銅表面にめっき反応が始ま
り、還元剤のないめっき液ではめっき反応は起こらな
い。還元剤が入っためっき液で金属銅表面にめっき反応
が起きた場合、このめっき反応を停止して再び銅溶解作
用を起こさせるには次の2通りの方法がある。一つは、
ただちに酸素含有ガスを供給すると共に、外部より+1
00mV以上の電位を数分間負荷する方法であり、めっ
き反応が停止して再び銅溶解作用が始まった段階で負荷
している電位を遮断する。二つ目の方法は、めっき反応
が発生した金属銅を取り出して水洗し、前記した熱処理
を行って酸化皮膜を形成する方法であり、その後、酸素
含有ガスを供給しためっき液に浸漬すると再び銅溶解作
用が起こる。
【0022】このようにして酸素含有ガスを吹き込んだ
めっき液中に金属銅を長時間浸漬することで、めっき液
中に金属銅が溶解して銅イオン濃度が濃くなり、めっき
槽内の無電解銅めっき液の銅補給液として使用できる。
【0023】本発明は、めっき槽と、該めっき槽から移
送ポンプによって送給された前記無電解銅めっき液によ
って金属銅を溶解し銅補給液を形成する金属銅溶解槽
と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含
有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽内の前記銅補
給液を前記めっき槽に供給する経路とを具備したことを
特徴とする無電解銅めっき装置にある。
【0024】又、本発明は、めっき槽と、該めっき槽の
無電解銅めっき液を移送ポンプによって送給し貯液する
貯液槽と、該貯液槽から移送ポンプによって送給された
前記無電解銅めっき液によって金属銅を溶解し銅補給液
を生成する金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含
有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金
属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記貯液槽に戻す経路
と、前記貯液槽から前記銅補給液を前記めっき槽に供給
する経路とを具備したことを特徴とする無電解銅めっき
装置にあり、又、これに、前記貯液槽の前記銅補給液を
移送ポンプによって送給し貯液する銅補給槽と、該銅補
給槽から前記銅補給液を移送ポンプによって前記めっき
槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする。
【0025】前記金属銅溶解槽は、電位測定器及び金属
銅溶解電位よりも高い電位を負荷する電位負荷装置を有
すること、前記貯液槽及び銅補給槽は、酸素含有ガス供
給手段及び温度調節器を有することが好ましい。
【0026】本発明は、無電解銅めっき液により金属銅
を溶解すること、無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹
き込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液により
金属銅を溶解すること、又、無電解銅めっき液に、空気
と酸素ガスとの混合ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合
ガス及び酸素ガスのいずれか1種を吹き込み、該ガスが
吹き込まれた無電解銅めっき液により金属銅を溶解する
ことを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液の形成方
法にある。
【0027】本発明は、移送ポンプによって無電解銅め
っき液が送給される経路、金属銅を保持する保持手段及
び前記無電解銅めっき液によって前記金属銅を溶解し形
成された銅補給液をめっき槽に送給する経路を有する金
属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き
込む酸素含有ガス吹き込み装置とを具備したことを特徴
とする無電解銅めっき液の銅補給液形成装置にある。
【0028】更に、本発明は、無電解銅めっき液中の金
属銅に、該金属銅の溶解電位よりも高い電位を負荷する
と共に、前記無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き込
み、該ガスが吹き込まれた前記無電解銅めっき液によっ
て前記金属銅を溶解作成を起こさせること、又、無電解
銅めっき液中の金属銅に、万一、めっき反応が起こった
場合、外部から+100mVよりプラス側の電位を強制
的に負荷すると共に、前記無電解銅めっき液に酸素含有
ガスを吹き込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき
液によって前記金属銅を溶解してその液をめっき槽に補
給しながら銅めっきするものである。
【0029】無電解銅めっきは還元剤によって銅析出反
応が開始するが、めっき液中の溶存酸素濃度を高めると
銅析出反応が停止する。この現象は溶存酸素濃度を高め
るために、酸素含有ガスの酸素分量を多くすると顕著に
現れ、銅析出反応表面が酸化されてCuOとなり銅析出
反応が停止する。このことは、酸化した金属銅をめっき
液に浸漬してもめっき反応は起こらないことになる。こ
の状態でめっき液に浸漬すると、めっき液中に錯化剤の
EDTAが含まれているため、銅が溶解してEDTAと
錯体を形成する。この銅溶解作用はめっき液に酸素含有
ガスを吹き込んで溶存酸素濃度を高めた状態で持続進行
する。このようにして銅濃度を濃くすることができ、無
電解銅めっき液の補給液として使用できる。
【0030】従来、めっき液中の不足する銅補充方法と
してCuO粉末を無電解銅めっき液によって溶解する方
法が知られているが、本発明は、無電解銅めっき液中で
連続的に金属銅表面を酸化してCuOとし、めっき液中
に銅を溶解させることで、めっき液中の銅濃度をコント
ロ−ルできる。
【0031】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、本発明の無
電解銅めっき装置の構成図である。先ず、めっき槽1の
無電解銅めっき液2を移送ポンプ3で貯液槽4に送る。
この貯液槽4から移送ポンプ5によって酸素含有ガス吹
き込み装置6を具備した金属銅溶解槽7に送る。この金
属銅溶解槽7内には金属銅8を設置しておく。その設置
方法は、金属銅8表面に酸素含有ガスが吹き込まれた無
電解銅めっき液2が流れるようにして置く。これによっ
て金属銅8表面が溶解する。この銅が溶解した無電解銅
めっき液2を再び貯液槽4に戻す。この経路を循環する
ことで、無電解銅めっき液2よりも濃度の濃い銅イオン
を含む銅補給液9が貯液槽4内に得られる。この銅補給
液9を移送ポンプ3を逆回転してめっき槽1に供給する
ことでめっき槽1内の無電解銅めっき液2に補給でき
る。
【0032】図2は、本発明の無電解銅めっき液の金属
銅溶解槽の断面図である。本装置には、ポンプ5によっ
て供給された銅補給液9が金属銅溶解槽7内に供給され
ると共に、酸素含有ガス19がバルブ21を介して減圧
弁22によってコントロールされて供給され、(b)に
示す多くの貫通穴を設けた金属銅支え板18に支えられ
た金属銅を有し、銅補給液9によって金属銅が溶解され
るものである。本実施例においては金属銅溶解槽7は貯
液槽4に設けられているが、別法としては、作製した銅
補給液9を貯液槽4から移送ポンプ10で銅補給槽11
に送り、この銅補給槽11から移送ポンプ12によって
めっき槽1内の無電解銅めっき液2に補給する方法でも
良い。更に、この装置をめっき槽1に直接設けても良い
が、銅消費量に対応してその補給量が一致させるように
するのが良い。
【0033】いずれの方法でも、貯液槽4内と銅補給槽
11には銅補給液9が不安定にならないように、めっき
槽1に設けた空気攪拌パイプ17と同様の酸素含有ガス
噴出しパイプ13を設けて、空気攪拌、酸素ガス攪拌、
あるいは酸素ガスと空気との混合攪拌、酸素ガスと窒素
ガスとの混合攪拌を行って安定化する。更に、めっき槽
1の無電解銅めっき液2の温度と同じとなるように温度
調節器14を備えて保温する。温度調節器14は銅補給
液9の温度を20℃〜80℃の範囲で調節できるように
冷却と加温の両作用を有するものでよい。例えば、冷却
する水循環パイプ、または加温する蒸気パイプやポリテ
トラフルオロエチレンコ−トしたヒ−タなどでよい。
【0034】一方、前記した金属銅溶解槽7には、電位
測定器15と金属銅溶解電位よりも高い電位を負荷でき
る電位負荷装置16を設けて置く。電位測定器15によ
って、金属銅溶解槽7内の電位をモニタリングして、金
属銅が溶解しているかめっき反応が起こったかを判別で
きる。万一、金属銅8表面にめっき反応が起こった場合
は、電位負荷装置16で前記したように+100mV以
上の電位を数分間負荷することでめっき反応を停止させ
ることができ、電位測定器15で再び銅溶解電位になっ
たことを確認した時点で、電位負荷操作を停止する。こ
のように金属銅溶解槽7に、電位測定器15と電位負荷
装置16を設けて置くことで、金属銅8の溶解作用をコ
ントロ−ルできる。
【0035】本実施例においては、5Lのめっき槽1に
は、作製された表1に示す組成の無電解銅めっき液2を
有する。この無電解銅めっき液2の温度を変えて、空気
攪拌と酸素ガス攪拌とで銅溶解速度を比較した。空気と
酸素ガスの噴出し量は無電解銅めっき液1Lに対してそ
れぞれ0.5L/分と同量とした。用いた金属銅は、厚
さ0.3mm、10mm角の無酸素銅板であり、50m
l/Lの希硫酸水溶液に30秒間浸漬し、3分間水洗し
た後に90℃で5分間乾燥したものである。この時の重
量を初期重量とした。温度と攪拌ガスの異なる無電解銅
めっき液に5.0h浸漬した後、3分間水洗して80℃
で3分間乾燥した。この時の重量を処理後の重量とし
た。無電解銅めっき液に浸漬している間は、揮発する3
7%ホルマリンを補給し、pHは200g/LのNaO
H水溶液を添加して調整した。銅の溶解速度は、初期重
量と処理後の重量との差から1h当たりの平均溶解速度
として求めた。表1に示すように、無電解銅めっき液2
には、銅イオン源として硫酸銅、錯化剤としてEDT
A、還元剤としてホルマリン、pH調整にNaOH水溶
液を用いた。
【0036】
【表1】
【0037】図3は、無電解銅めっき液温度と銅溶解速
度との関係を示す線図である。銅溶解速度はめっき液の
温度に依存し、75℃にピ−クがあると共に、酸素ガス
攪拌の方が空気攪拌よりも速いことを示している。75
℃では酸素ガス攪拌での溶解速度は空気攪拌の約3倍以
上ある。また、酸素ガス攪拌下でめっき液温度50℃と
75℃での銅溶解速度を比較すると、75℃での銅溶解
速度は50℃の約1.8倍ある。
【0038】(実施例2)実施例1と同じ組成の無電解
銅めっき液を用い、AgCl電極に対して−100mV
と−200mVと−300mVの電位を負荷して電位の
違いによる銅溶解速度を、還元剤である37%ホルマリ
ンの有,無で比較した。めっき液の攪拌は酸素ガス攪拌
とし、めっき液温度は70℃とした。本実施例では、外
部からポテンショスタットを用いて電位を負荷し、その
他の方法と条件は実施例1と同じくした。
【0039】図4は、金属銅への負荷電位と銅溶解速度
との関係を示す線図である。負荷電位による銅溶解速度
は、37%ホルマリンの有,無のいずれも−300mV
よりも−100mVの方が速い。また、37%ホルマリ
ンの有,無での銅溶解速度を比較すると、−300mV
では両者に大差はないが、電位が高くなると共に無しの
方が溶解速度が大きくなり、−100mVでは37%ホ
ルマリン有りの場合よりも約1.9倍も速い。
【0040】(実施例3)実施例1に示した組成の無電
解銅めっき液を用いてめっき液の攪拌を酸素ガス攪拌と
し、めっき液のpH(at25℃)の違いによる銅溶解速
度を比較した。本実施例でも、実施例1と同様に外部か
らの電位は負荷せずに、その他の方法、条件も実施例1
と同じく行った。pH12.2とpH12.8とで比較し
た結果、前者は1.43μm/h、後者は1.46μm/h
とほぼ同じ溶解速度が得られ、めっき液の実用pH範囲
内では銅溶解速度に差がないことが判った。
【0041】(実施例4)実施例1に示した組成の無電
解銅めっき液を用い、繰り返しめっきで蓄積するギ酸イ
オン濃度と銅溶解速度の関係を調べた。めっき液温度は
72℃とし、めっき液の攪拌は酸素ガス攪拌で行った。
本実施例でも、実施例1と同様に外部からの電位は負荷
せずに、その他の方法、条件も実施例1と同じく行っ
た。
【0042】図5は、ギ酸イオン濃度と銅溶解速度との
関係を示す線図である。図5に示すように、ギ酸イオン
濃度の増加で銅溶解速度が徐々に低下するが、ギ酸イオ
ンが0.75mol/Lの増加しためっき液での銅溶解速
度は、ギ酸イオンのない新しいめっき液の約70%であ
る。このことは、ギ酸イオンが増加しても十分に銅溶解
反応が起こることを証明している。尚、ギ酸イオンを
0.75mol/L含むめっき液は、めっき面積1.5d
/Lで25μm厚めっきを1回として7回のめっき
を行ったものに相当する。
【0043】(実施例5)実施例1に示した組成の無電
解銅めっき液を用い、金属銅を溶解している最中にめっ
き反応が起こった場合の停止法を検討した。めっき液の
攪拌は酸素ガス攪拌とした。先ず、金属銅として実施例
1と同じ銅板と対極にTi板を浸漬してAgCl電極を
ポテンショスタットに接続した。
【0044】始めに酸素ガス攪拌を行いながら銅の溶解
電位を測定した結果、−270mV〜−300mVを示
した。約1h後に酸素ガス攪拌を停止した結果、数分後
に電位が−740mVとなり、金属銅表面にめっき反応
が起こったことを示した。30分後に、ポテンショスタ
ットから+200mVの電位を5分間負荷し、その後、
負荷電位を遮断して金属銅表面の電位を測定した結果、
銅の溶解電位である−270mV〜−290mVを示し
た。この点から、万一、金属銅溶解中にめっき反応が起
こった場合、外部より電位を負荷すれば、再び銅溶解電
位になることが判った。
【0045】(実施例6)本実施例を図1の装置を用い
て実施した。35Lのめっき槽1と10Lの貯液槽4と
に、実施例1と同じ無電解銅めっき液Aを作成した。3
5Lめっき槽1では、空気攪拌パイプ17から18L/
分の量で空気を噴出しながら保管した。貯液槽4では、
酸素含有ガス噴出しパイプ13から5L/分の量で空気
を噴出して攪拌し、温度調節器14で74℃に保温し
た。一方、酸素含有ガス吹き込み装置6を具備した容量
10Lの金属銅溶解槽7内には、図6に示すように、金
属銅8として、希硫酸洗浄と水洗を行って100℃で1
0分間加熱した厚さ5mm、縦500mm×横100m
mの無酸素金属銅板を5mm間隔に20枚設置した。貯
液槽4のめっき液を移送ポンプ5によって金属銅溶解槽
7内に送入すると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6か
ら7L/分の量の酸素ガスを吹き込んで、貯液槽4に再
び流入するようにめっき液を循環させた。金属銅溶解槽
7に設置した電位測定器15での電位は−270mV〜
−280mVを示した。このように循環を1h行った後
では、貯液槽4内のめっき液は、約2.5g/Lの銅濃
度の増加が認められた。2h後には貯液槽4内の銅濃度
は、最初に作成しためっき液の銅濃度を加算すると約
7.4g/Lの銅濃度の銅補給液9が得られた。
【0046】次に、めっき槽1の無電解銅めっき液を7
4℃に加温した。そして、銅箔をエッチング除去してめ
っき触媒を付与した0.3mm厚さの25cm角ガラス
エポキシ基板を2枚浸漬すると同時に、めっき槽1内の
めっき液の37%ホルマリン量と水酸化ナトリウム水溶
液でpHを調整しながら、且つ、めっき液中の銅濃度が
2.3〜2.6g/Lの範囲になるように、貯液槽4内の
銅補給液9を移送ポンプ3で送りながら5hのめっきを
行った。その結果、ガラスエポキシ基板の表面には、約
14μm厚の銅めっき膜が得られた。
【0047】(実施例7)実施例6と同様に、貯液槽4
のめっき液を移送ポンプ5によって金属銅溶解槽7内に
送入すると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6から7L
/分の量の酸素ガスを吹き込んで、貯液槽4に再び流入
するようにめっき液を循環させた。金属銅溶解槽7に設
置した電位測定器15での電位は−270mV〜−28
0mVを示した。このように循環させてから約2h後
に、酸素含有ガス吹き込み装置6の酸素ガス供給を故意
に停止した。その結果、約10秒後には電位測定器15
の電位が−745mVを示し、金属銅溶解槽7内の金属
銅8板にめっき反応が起こったことが判った。
【0048】直ちに、電位負荷装置16で+200mV
の電位を5分間負荷した。その後、この電位負荷を停止
した結果、電位測定器15の電位が−280mVを示
し、金属銅溶解槽7内の金属銅8板が再び銅溶解を起こ
したことが判った。この状態で10h循環を行った結
果、銅溶解作用を持続した。
【0049】(実施例8)実施例6と同様に、貯液槽4
のめっき液を移送ポンプ5によって金属銅溶解槽7内に
送入すると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6から7L
/分の量の酸素ガスを吹き込んで、貯液槽4に再び流入
するようにめっき液を循環させた。金属銅溶解槽7に設
置した電位測定器15での電位は−270mV〜−28
0mVを示した。このように循環させてから約3h後
に、酸素含有ガス吹き込み装置6の酸素ガス供給を故意
に停止した。その結果、実施例7と同様に、約10秒後
には電位測定器15の電位が−745mVとなり、金属
銅溶解槽7内の金属銅8板にめっき反応が起こったこと
を示した。直ちに、移送ポンプ5を停止してめっき液の
循環を止めた。そして金属銅溶解槽7内から金属銅8板
を取り出して、5分間水洗し、100℃で10分間過熱
し、再び金属銅溶解槽7内に設置した。
【0050】そして、再度、移送ポンプ5を稼動してめ
っき液を循環させると同時に、酸素含有ガス吹き込み装
置6から酸素ガスの供給を行った結果、電位測定器15
の電位が−270mVを示し、金属銅溶解槽7内の金属
銅8板が銅溶解作用を再開したことが判った。この状態
で循環を10h行っても銅溶解作用が持続した。
【0051】(実施例9)実施例6において、酸素含有
ガス吹き込み装置6を具備した金属銅溶解槽7内に設置
する金属銅8として、図7に示すように、φ27mmの
無酸素金属銅ボ−ルを用いて千鳥配列で80個充填し
た。この金属銅ボ−ルも希硫酸洗浄と水洗を行って、1
00℃で20分間加熱処理した。一方、10L貯液槽4
内のめっき液は酸素含有ガス噴出しパイプ13から2.
5L/分の量で酸素ガスを噴出して攪拌し、温度調節器
14で74℃に保温した。次に、貯液槽4のめっき液を
移送ポンプ5によって10L金属銅溶解槽7内に送入す
ると共に、酸素含有ガス吹き込み装置6から8L/分の
量の酸素ガスを吹き込んで、再び貯液槽4に流入するよ
うに金属銅溶解経路を循環させた。そして、貯液槽4内
のめっき液の銅濃度が約5.2g/Lになった時点で、
この銅補給液9を移送ポンプ10で銅補給槽11へ送り
始めた。銅補給槽11では、酸素含有ガス噴出しパイプ
13から2.0L/分の量で空気を噴出して攪拌し、温
度調節器14で74℃に保温した。と同時に、めっき槽
1から貯液槽4への無電解銅めっき液の送入を移送ポン
プ3で開始した。この一連の経路は、めっき槽1→貯液
槽4→金属銅溶解槽7→貯液槽4→銅補給槽11→めっ
き槽1となる。
【0052】この一連の経路を循環しながら、めっき槽
1内にめっき触媒を付与した0.3mm厚の25cm角
ガラスエポキシ基板を4枚浸漬してめっきを行った。め
っき槽1のめっき液の37%ホルマリン量と、水酸化ナ
トリウム水溶液でpHを調整し、且つ、めっき液中の銅
濃度が2.4〜2.7g/Lの範囲になるように、銅補給
槽11からの銅補給液9の供給量を移送ポンプ12で調
整し、めっき槽1に送りながら9hめっきを行った。そ
の結果、ガラスエポキシ基板表面には約25μm厚の銅
めっき膜が得られた。
【0053】(実施例10)実施例9の方法で、一回の
めっきで銅めっき厚さ25μmを形成するめっきを、消
費する金属銅ボ−ルを金属銅溶解槽7内に補充しながら
22回の繰り返しめっきを行った。その結果、初期のめ
っき液比重1.032(at20℃)であったものが、2
2回目のめっき開始時点では比重1.103に増加し
た。これはめっき液中にギ酸イオンが増加したためであ
る。しかし、22回めっき終了後でも、めっき液や銅補
給液はきわめて安定であり、また、めっき槽1、貯液槽
4、金属銅溶解槽7、銅補給槽11の内壁には銅の析出
が認められず、更にめっき膜も光沢を呈する平滑な表面
であった。
【0054】(実施例11)本実施例では、めっき槽1
には表2に示す組成の無電解銅めっき液Bを作成し供給
した。この無電解銅めっき液Bの析出速度は0.7μm
/hである。このめっき液を30℃にして0.3L/分
の空気攪拌を行った。また、貯液槽4にも無電解銅めっ
き液Bを作成し、0.5L/分の空気攪拌を行いながら
60℃に加温した。金属銅溶解槽7内には長さ50cm
の四角形金属柱を8本設置して、貯液槽4のめっき液を
循環すると共に酸素含有ガス噴出し装置より、窒素ガス
と酸素ガスとの混合ガス(酸素ガス分量70%)を供給し
て金属銅の溶解を開始した。そして得られた銅補給液9
を銅補給槽11に送り、この銅補給槽11では冷却水を
流した加温器で30℃にして0.3L/分の空気攪拌を
行った。1回のめっきを1hとして、実施例9と同様
に、めっき槽1→貯液槽4→金属銅溶解槽7→貯液槽4
→銅補給槽11→めっき槽1の一連の経路を循環しなが
ら繰り返しめっきを行った。めっき中は、めっき槽1内
のめっき液の37%ホルマリン量と水酸化ナトリウム水
溶液でpHを調整して行った。
【0055】その結果、90回の繰り返しめっきを行っ
ても、めっき液や銅補給液はきわめて安定であり、ま
た、めっき槽1、貯液槽4、金属銅溶解槽7、銅補給槽
11の内壁、及び各配管内壁には銅の析出が認められ
ず、更にめっき膜も光沢を呈する平滑な表面であった。
【0056】
【表2】
【0057】(比較例)実施例10において、金属銅溶
解槽7を使用せずに、貯液槽1と銅補給槽11に従来の
硫酸銅5水和物20g/L(銅濃度5.1g/L)とし
た銅補給液9を作成し、それ以外は実施例9と同じ条件
で繰り返しめっきを行った結果、10回のめっきでめっ
き液比重が1.105に増加した。これは、硫酸銅5水
和物を補給したことでギ酸イオンの他、硫酸イオンも蓄
積したことが原因である。9回目の繰り返しめっき後に
は、めっき槽1、貯液槽4、銅補給槽11の内壁の一部
に銅の析出が始まり、11回目のめっき膜表面は光沢を
呈するが銅の微粒子が認められた。11回繰り返しめっ
き後に、各配管内を観察した結果、配管内壁に銅の析出
が認められた。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、表面を酸化させた金属
銅を酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液によっ
てその金属銅を溶解することができ、これを銅補給液と
して使用できるものである。これによって、銅補給液や
無電解銅めっき液に硫酸イオンの蓄積を防止できるた
め、無電解銅めっき液を長期間に渡って安定して使用す
ることができる。従来の硫酸銅5水和物を使用した場合
と比較して、無電解銅めっき液の使用回数は2倍以上に
伸びる。更に、硫酸銅5水和物を使用した場合と比較し
て、貯液槽、金属銅溶解槽、銅補給槽、及び移送ポン
プ、更に配管内に銅の析出が起こらないため、過硫酸ア
ンモニウム水溶液などに代表される銅エッチング液での
洗浄回数を削減できるので、これらの廃液処理量を低減
することができる。また、繰り返し無電解銅めっきを行
ってもめっき膜表面に銅微粒子の付着が起こらないた
め、平滑なめっき膜を長期間に渡って得ることができ
る。
【0059】更に、本発明によれば、硫酸イオンが生成
しないことでは従来の水酸化第二銅や酸化第二銅と同様
であるが、めっき膜物性に影響するCr、Zn、Pbな
どの不純物量が水酸化第二銅や酸化第二銅よりも少ない
分、プリント基板や各種プラスチックのめっきに使用す
る薄付け無電解銅めっき液や、厚付け無電解銅めっき液
の長寿命化により一層の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属銅溶解槽を具備した無電解銅め
っき装置の構成図である。
【図2】 本発明の無電解銅めっき液の銅補給液形成装
置の断面図である。
【図3】 無電解銅めっき液温度と銅溶解速度との関係
を示す線図である。
【図4】 無電解銅めっき液中の金属銅への負荷電位と
銅溶解速度との関係を示す線図である。
【図5】 無電解銅めっき液中のギ酸イオン濃度と銅溶
解速度との関係を示す線図である。
【図6】 本発明の無電解銅めっき液の銅補給液形成装
置の断面図である。
【図7】 本発明の無電解銅めっき液の銅補給液形成装
置の断面図である。
【符号の説明】
1…めっき槽、2…無電解銅めっき液、3…移送ポン
プ、4…貯液槽、5…移送ポンプ、6…酸素含有ガス吹
き込み装置、7…金属銅溶解槽、8…金属銅、9…銅補
給液、10…移送ポンプ、11…銅補給槽、12…移送
ポンプ、13…酸素含有ガス噴出しパイプ、14…温度
調節器、15…電位測定器、16…電位負荷装置、17
…空気攪拌パイプ、18…金属銅支え板、19…酸素含
有ガス、20…めっき液の流れ、21…バルブ、22…
減圧弁、23…上部銅板支え冶具、24…下部銅板支え
冶具、25…銅板、26…銅ボール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤星 晴夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 飯田 正 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所エンタープライズサーバ事業部内 (72)発明者 宮崎 智行 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所エンタープライズサーバ事業部内 Fターム(参考) 4K022 AA13 AA42 BA08 DA01 DB04 DB06 DB08 DB13 DB20 DB25

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜
    き取り、該抜き取った無電解銅めっき液により金属銅を
    溶解し、該金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記め
    っき槽に補給しながら銅めっきを行うことを特徴とする
    無電解銅めっき方法。
  2. 【請求項2】めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜
    き取り、該抜き取った無電解銅めっき液に酸素含有ガス
    を吹き込み、該酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっ
    き液により金属銅を溶解し、該金属銅を溶解した無電解
    銅めっき液を前記めっき槽に補給しながら銅めっきを行
    うことを特徴とする無電解銅めっき方法。
  3. 【請求項3】めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜
    き取り、該抜き取った無電解銅めっき液に空気と酸素ガ
    スとの混合ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス及び
    酸素ガスのいずれか1種を吹き込み、該酸素含有ガスを
    吹き込んだ無電解銅めっき液により金属銅を溶解し、該
    金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に補
    給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅め
    っき方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかにおいて、前記金
    属銅は、多角形平板、多角形柱、円柱及び球状の1種以
    上からなることを特徴とする無電解銅めっき方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4において、前記金属銅は、前
    記無電解銅めっき液に接触させる前に、実質的に無電解
    銅めっき反応が起こらない程度の酸化皮膜を形成し、前
    記酸素含有ガスを吹き込んだ無電解銅めっき液と接触さ
    せて前記金属銅を溶解することを特徴とする無電解銅め
    っき方法。
  6. 【請求項6】めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜
    き取り、該抜き取った無電解銅めっき液中で金属銅に、
    該金属銅の溶解電位よりも高い電位を負荷して溶解し、
    該金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に
    補給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅
    めっき方法。
  7. 【請求項7】めっき槽中の無電解銅めっき液の一部を抜
    き取り、該抜き取った無電解銅めっき液中で金属銅に、
    −400mVよりプラス側の電位を負荷して溶解し、該
    金属銅を溶解した無電解銅めっき液を前記めっき槽に補
    給しながら銅めっきを行うことを特徴とする無電解銅め
    っき方法。
  8. 【請求項8】めっき槽と、該めっき槽から移送ポンプに
    よって送給された前記無電解銅めっき液によって金属銅
    を溶解して銅補給液を生成する金属銅溶解槽と、該金属
    銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素含有ガス吹き
    込み装置と、前記金属銅溶解槽内の前記銅補給液を前記
    めっき槽に供給する経路とを具備したことを特徴とする
    無電解銅めっき装置。
  9. 【請求項9】めっき槽と、該めっき槽の無電解銅めっき
    液を移送ポンプによって送給し貯液する貯液槽と、該貯
    液槽から移送ポンプによって送給された前記無電解銅め
    っき液によって金属銅を溶解して銅補給液を生成する金
    属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き
    込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽内
    の前記銅補給液を前記貯液槽に戻す経路と、前記貯液槽
    から前記銅補給液を前記めっき槽に供給する経路とを具
    備したことを特徴とする無電解銅めっき装置。
  10. 【請求項10】めっき槽と、該めっき槽の無電解銅めっ
    き液を移送ポンプによって送給し貯液する貯液槽と、該
    貯液槽から移送ポンプによって送給された前記無電解銅
    めっき液によって金属銅を溶解して銅補給液を生成する
    金属銅溶解槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹
    き込む酸素含有ガス吹き込み装置と、前記金属銅溶解槽
    内の前記銅補給液を前記貯液槽に戻す経路と、前記貯液
    槽から前記銅補給液を前記めっき槽に供給する経路と、
    前記貯液槽の前記銅補給液を移送ポンプによって送給し
    貯液する銅補給槽と、該銅補給槽から前記銅補給液を移
    送ポンプによって前記めっき槽に供給する経路とを具備
    したことを特徴とする無電解銅めっき装置。
  11. 【請求項11】請求項8〜10のいずれかにおいて、前
    記金属銅溶解槽は、電位測定器及び金属銅溶解電位より
    も高い電位を負荷する電位負荷装置を有することを特徴
    とする無電解銅めっき装置。
  12. 【請求項12】請求項9〜11のいずれかにおいて、前
    記貯液槽及び銅補給槽は、酸素含有ガス供給手段及び温
    度調節器を有することを特徴とする無電解銅めっき装
    置。
  13. 【請求項13】無電解銅めっき液により金属銅を溶解す
    ることを特徴とする無電解銅めっき液の銅補給液の作成
    方法。
  14. 【請求項14】無電解銅めっき液に酸素含有ガスを吹き
    込み、該ガスが吹き込まれた無電解銅めっき液により金
    属銅を溶解することを特徴とする無電解銅めっき液の銅
    補給液の作成方法。
  15. 【請求項15】無電解銅めっき液に、空気と酸素ガスと
    の混合ガス、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガス及び酸素
    ガスのいずれか1種を吹き込み、該ガスが吹き込まれた
    無電解銅めっき液により金属銅を溶解することを特徴と
    する無電解銅めっき液の銅補給液の作成方法。
  16. 【請求項16】移送ポンプによって無電解銅めっき液が
    送給される経路、金属銅を保持する保持手段及び前記無
    電解銅めっき液によって前記金属銅を溶解し作製された
    銅補給液をめっき槽に送給する経路を有する金属銅溶解
    槽と、該金属銅溶解槽内に酸素含有ガスを吹き込む酸素
    含有ガス吹き込み装置とを具備したことを特徴とする無
    電解銅めっき液の銅補給液形成装置。
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