JP3809335B2 - エアロゾルを送る喫煙物品 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は喫煙具に関する。特に、本発明は、加熱された空気に反応してエアロゾルを生成する喫煙具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
［発明の背景］
喫煙は、おそらく数百年もの間、多くの文化に共通の気晴らしであった。従来、喫煙は、巻きタバコ、葉巻、パイプ等のタバコの燃焼に関する様々な器具を用いてなされるものであった。タバコの燃焼は、ユーザに送られる煙を発生する。パイプや葉巻の場合典型的にユーザは煙を吸い込むが、巻きタバコの場合は煙を吸い込まない。タバコを燃焼することによって発生する煙に含まれる香味にはユーザを心地よくさせる効果がある。タバコに依存しない喫煙具を作る様々な試みがなされてきた。これらの器具の多くは、巻きタバコ等従来の喫煙品に似せて改造したものである。そのような一例に、レイに付与された米国特許第４，２８４，０８９号に記載の模造喫煙具がある。この模造喫煙具は、ニコチン源を内部に持つ容器を有する。ニコチン源は容器の通気路を完全には塞がない。そこで、通気路の圧縮域がニコチン源内に形成される。ユーザが容器の一端を吸引すると、通路の圧縮部が減圧し、ニコチン源からニコチンが放出し、通過する空気に入り込む。
【０００３】
エリスらに付与された欧州特許第０ １９８ ２６８号に記載の別の器具では、一端に従来の巻きタバコを収納するハウジングを、他端に巻きタバコの煙をユーザに送る口部を有する喫煙具が開示されている。口部と従来の巻きタバコとの間にはニコチン投与ユニットが配されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
更に別の器具も従来の喫煙品の代用として開発された。一般にこれらの物品は、タバコ製品を燃焼せずに従来の巻きタバコの模造しようとする。例えば、多くの器具は、内部加熱部材によって加熱される内部エアロゾル形成材を有する。加熱は、器具のユーザへ送られる香味豊かなエアロゾルの生成を促進する。内部加熱部材は、従来は、炭素燃料要素であるか、水と接触して発熱する金属酸化物、無水金属硫化物、金属硫化物、無機塩及び糖等の組み合わせ等の電気化学的熱源があった。これらの器具においては、巻きタバコの再利用は不可能である。炭素燃料要素は一旦点火されると、放っておいても要素中の全燃料が消費されるまで燃え続ける。点火された燃料要素は、水その他の消火手段では消火が非常に難しい。電気化学反応に基づく場合でも反応停止は困難で、全反応物の消尽によってのみ終了する。他の器具はエアロゾル形成基質を刺激する電気加熱部材を有する。これらはふかしている途中で消すことができるが、電気加熱部材は電池を要して扱いにくい。
【０００５】
従来の巻きタバコをそっくり模倣するが、タバコの燃焼を必要とせずに再利用が可能な物品を提供することが望まれる。また、個々の一服のタイミングが、反応時間や種類により決定されずに、ユーザによって決定される物品の需要もある。更に、この器具で加熱空気を吸い込む間に基体の燃焼副産物を、除去できなければ最少化することが望まれる。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
［発明の要約］
本発明によれば、喫煙具（物品）は、基体をあまり燃焼せずに、物品を通過しエアロゾル形成要素と接触する高温空気によってユーザにエアロゾルを送る。物品は、管の加熱端部とユーザ（口）端部との間に延在する通気路を画定する中空管を有する。管は、炎その他の適当な加熱材を印加しても燃焼しにくい。エアロゾル形成基体は、基体が管の加熱端部から退避するように、通路に充填して配置される。その結果、基体を点火せずに熱気を熱源、例えば、炎から基体へ送る所定長の空隙が基体の末端部と加熱端部との間に画定される。熱気は、典型的に香味づけされたエアロゾルを形成し、吸引時に管の口端部に送る。
【０００７】
本発明の上述の長所と顕著な特徴は、以下の明細書及び添付図面を参照して、より十分に理解されるであろう。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１は、エアロゾル形成基体１４を囲む管１２を有する物品１０を示す。ここで使用されるように、エアロゾル形成基体１４はエアロゾル形成要素を含む基体である。管１２は、中空で、加熱端部１８とユーザ／口端部２０との間で通気路を画定する。管１２は、耐熱性で加熱端部１８に炎２１を当てても燃えない。管１２に使用できる好適材料は以下により詳細に説明する。
【０００９】
エアロゾル形成基体１４は、管内に、管の内径いっぱいに配置される。また、エアロゾル形成基体１４は、その末端部１５が管１２の加熱端部１８から退避するように、管内に配置される。管は３乃至１６ｍｍの内径ｄを有する。隙間１６は、炎とエアロゾル支持基体の末端部との直接接触を防止するのに十分な長さを有する。基体１４の末端部は、好ましくは、隙間の径ｄの２乃至１０倍の距離だけ管の加熱端部から退避する。従って、隙間は少なくとも６ｍｍである。これにより、基体１４の加熱端部１８と末端部との間に空隙又は空気管１６が形成される。空気管１６は、基体１４を点火又は実質的に燃焼せずに基体１４を加熱するために、炎２１から物品１０に入る熱気用通路を提供する。エアロゾル形成基体は通気性であるので、管１２の口端部２０から加熱端部１８に至る通気路を形成する。また、エアロゾル形成基体１４は、その内部を通過する加熱された空気にエアロゾルを供給する。
【００１０】
物品１０の使用において、図７にみるように、ユーザは、管１２の加熱端部１８に炎２１を当てる。これにより、ユーザが管１２の口端部２０に自分の口をつけて吸い込むと、炎２１から熱空気及び熱気が管１２内の空気管１６に入る。これにより、炎２１によって生成された熱気は管１２内の通気路に入る。ユーザが吸い込むと、熱気がエアロゾル形成基体１４を通過し、エアロゾルを熱気に放出する。そして、エアロゾルを含む熱気はユーザの口内へ通過して快適な効果をもたらす。
【００１１】
空気管又は隙間１６は、典型的に少なくとも２センチメートルの長さで、好ましくは２乃至６センチメートルの長さである。基体１４を実質的に燃焼又は点火せずに炎２１から基体１４へ熱気を送るように隙間の長さは選択される。空気管１６の長さは、この目的達成のために、管１２の径に依存する。２乃至６センチメートルが、従来の巻きタバコの寸法の管に好適である。管１２の径が異なれば、末端部１５は、退避長さと管１２の径との間のアスペクト比を保持するために、上記範囲から多かれ少かれ退避する。
【００１２】
エアロゾル形成基体１４は一以上の蒸留可能物質を内部に染み込ませた支持材からなる。好適な支持材は、通気に十分な多孔性と蒸留可能物質の保持に十分な吸収性があれば実質的に何でもよい。好適な支持材は、例えば、紙、綿、木材パルプ及びそれらの組み合わせなどの繊維状セルロース性物質である。また、支持材は、タバコ又は再構成タバコ、石炭酸で処理されたセルロース性物質、メタル・ウール、セラミック・ウール及び多孔セラミックでもよい。また、十分な多孔性と吸収性を有する高分子材料も使用可能である。
【００１３】
支持材に吸収させる蒸留可能物質は、ユーザに快い感覚を提供するために選択される。蒸留可能物質は、炎２１からの熱気による熱に反応して揮発しなければならない。好適な蒸留可能物質は、水や、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロールトリアセテート、トリエチレングリコールジアセテート及びそれらの組み合わせ等の多価アルコールを含む。他の例としては、タバコエキス、タバコ熱分解生成物、ステアリン酸メチル、ジメチルドデカンジオアーテ、ジメチルテトラデカンジオアーテ等の、一・二・又は多カルボン酸の脂肪酸エステル及びそれらの混合物である。また、所望の味効果を生むために、蒸留可能物質に香味を添加してもよい。香味づけの例としては、ココア脂、チョコレート酒、蝋、油及びそれらの組み合わせがある。また、従来のメンソール巻きタバコが生む感覚を模倣するためにメンソール香味が添加されてもよい。
【００１４】
蒸留可能物質は、支持材を蒸留可能物質の混合物に浸したり、蒸留可能物質を支持材に吹き付けたりすることによって、支持材中に染み込ませることができる。あるいは、蒸留可能物質の混合物を加圧して支持材に押し込んでもよい。エアロゾル形成基体１４は、既成の管１２に挿入してもよいし、管１２がエアロゾル形成基体１４のまわりを巻き付けてもよいし、耐燃包装材で包装されたものを管１２に挿入されてもよい。
【００１５】
管１２は、炎を当てても不燃か少なくとも点火しにくい。管１２に好適な材料は、セラミック、海泡石、金属、紙、板紙、再構成タバコ、木材、竹、ガラス、金属薄片及びそれらの組み合わせである。前記材料のいずれかに燃焼防止処理を施してもよい。燃焼傾向低減の化学処理は当業界で公知である。
【００１６】
また、ベークライトなどの適当なプラスチックが管１２に使用されてもよい。管１２は、例えば、射出吹込み成形、押出し成形及び従来の成形方法など、適当なやり方を選んで形成することができる。管を既成であれば、エアロゾル形成基体１４は、典型的に、成形管１２に挿入される。代替的に、管１４は、例えば、化学処理を施した枚葉紙等、平滑部材又はシートから形成できる。物品１０が管１２の材料にシートを使用して作られると、シートは、典型的に、製造中にエアロゾル形成基体１４に巻かれる。物品１０の特定の形成例を説明したが、物品１０を製造するのに適当などのような方法も利用可能である。例えば、管１２は複合材料からなるものでもよい。また、管１２は、一体又はモノリシックでもよく、複数部分からなるものでもよく、層状でもよい。
【００１７】
図２は、物品１０がフィルタ２２を更に有する本発明の代替的実施形態を示す。フィルタ２２は、エアロゾル形成基体１４と管１２の口端部２０との間に配置される。フィルタ２２は、従来の巻きタバコにより似た外見を物品１０に単純に与えてもよい。代替的に、フィルタ２２はユーザに送られる気体を濾過する有用な機能を果たしてもよい。
【００１８】
図３は、フィルタ２２が部分的に管１２の口端部２０の中にあると共に部分的に外部にある物品１０のさらに別の実施形態を示す。本構成では、ユーザは、取り外しを容易にするためにフィルタをつかむことができる。また、本デザインは物品の挿入深さが制限して隙間の制御を容易にする。
【００１９】
図４に示す更に別の実施形態では、熱拡散器２４が、エアロゾル形成基体１４の末端部と加熱端部１８との間の空気管に挿入されている。熱拡散器は、熱気を拡散器２４内に含まれる穴を通じて炎２１からエアロゾル形成基体１４へ送る機能を有する。また、熱拡散器２４は、ユーザが口端部２０で吸い込むときに、エアロゾル形成基体１４に炎が接触することを防止する。これによって、エアロゾル形成基体１４の点火と実質的な燃焼を防止しやすくなる。また、熱拡散器２４は、一酸化炭素を二酸化炭素に転化させる触媒で処理されてもよい。また、熱拡散器２４は、様々な種類の炎や加熱部材によって発生するある種の炭化水素を除去する触媒で処理されてもよい。炎２１は、例えば、マッチ、ブタンガスライター、その他のいかなる種類の燃焼制御ガスをも含有するガスライター等によって、発生する。管１０の端部にライターを固定的又は取り外し可能に取り付けることも本発明の範囲内である。逆に、熱気を管１２に導入するのに不燃加熱部材を使用してもよい。本発明の好ましい実施形態では熱拡散器２４は金網（Ｗｉｒｅ Ｍｅｓｈ）である。
【００２０】
図５は、熱拡散器が中空穿孔拡散管２６形状を有する本発明の更に別の代替実施形態を示す。中空穿孔拡散管２６はエアロゾル形成基体１４に挿入される。そのような拡散管によって、エアロゾル形成基体１４の表面により広く、炎２１からの熱気を伝播しやすくなる。また、拡散管は、エアロゾル形成基体１４への圧力低下を低くすることが可能で、これにより、ユーザは加熱端部１８から口端部２０に気体を容易に吸い込むことができる。本構成では、管１２の口端部２０の近くにある拡散管２６の基端部は、エアロゾル形成基体１４を完全に超えて延在していない。従って、加熱端部１８には、エアロゾル生成基体１４を通らずに口端部２０に至る空気の直通路はない。
【００２１】
上述のように、フィルタ２２は使用してもしなくてもよい。フィルタ２２が使用される場合には、それは典型的にエアロゾル形成基体１４の基端部に一端で近接する。それが使用されない場合には、エアロゾル形成基体１４の基端部は管１２の口端部とほぼ一致する。
【００２２】
図６Ａ及び６Ｂにおいて、物品１０は、厚み１０２、内径１０４の管１００を有すると共に、開口１０６及び切り欠き１０８を有する。開口１０６の使用によって、物品の適切な使用が確保される。ユーザが、末端側の隙間（図１の隙間１６）を形成するために管１００に何かを装入しなければ、空気は、ホルダ１００の端部１１２ではなく、穴１０６を通じてホルダに引き込まれる。また、管１００は切り欠き１０４を備え、基体を有するフィルタを容易に取り除けるようになっている。
【００２３】
本発明の特定の実施形態を開示してきたが、本発明の本旨と範囲から逸脱せずにこれらの実施形態に変更を加えうることは当業者によって理解されるであろう。例えば、本発明の好ましい実施形態では、物品は従来の巻きタバコの寸法を有する。しかし、管の径、長さ及び形体を含む寸法は、本発明の範囲を逸脱することなく変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による物品を示す。
【図２】 内部フィルタ及びエアロゾル形成基体を有する物品を示す。
【図３】 内部フィルタ及びエアロゾル形成基体を有する本発明による物品を示す。
【図４】 熱拡散器を有する本発明による物品を示す。
【図５】 穿孔拡散管形状の熱拡散器を有する本発明による物品を示す。
【図６】 図６Ａ及び６Ｂは本発明の物品の代替的な筐体を示す。
【図７】 ユーザによる本発明の操作を示す。

Claims (4)

1. ユーザにエアロゾルを送る物品であって、
   受熱端部と口端部との間で通気路を画定し、当該通気路の長さに沿って実質的に均一な断面領域を有して、炎の接触に対して燃えにくい中空管と、
   エアロゾル形成要素を含む基体であって、前記受熱端部の近くに炎を配したときに前記基体の燃焼を防止するのに十分な距離の連続空隙を形成するために前記中空管の前記受熱端部から離間される末端部を有する基体と、
   前記連続空隙中に配され、熱気は通過可能だが前記基体に接触した炎は遮る複数の穴を有する熱拡散器を有する物品。
2. 前記熱拡散器は、金網からなる請求項１に記載の物品。
3. 前記熱拡散器は、一酸化炭素の酸化を促進する触媒を有する請求項１に記載の物品。
4. 前記熱拡散器は、実質的に筒状で、前記基体内に後部が埋め込まれている請求項１に記載の物品。

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