JP3808164B2 - 自動車用フットレスト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員の足を載せる自動車用のフットレスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フットレストは、一般に、車室のフロア面から斜め前方に立上るトーボード面に前上りの傾斜姿勢で配置されている。
【0003】
ところで、衝突時にトーボードの後方への変形でフットレストが傾斜姿勢から起立することがある。フットレストが起立すると、乗員の足とすねとの成す角度が減少させられる。
【0004】
そのための対策として、従来、特開平8−164782号公報により、フットレストの上部に側方に突出するピンを設けると共に、トーボード面に先端を傾斜縁に形成した支持片を取付け、ピンの周面を支持片の傾斜縁に当接させることでフットレストをトーボード面との間に隙間を明けた状態で支持するようにしたフットレスト装置が知られている。
【0005】
このものでは、衝突時にトーボードが後方に変形すると、ピンが傾斜縁に沿って前方に相対移動して支持片から外れ、フットレストが前上りの傾斜姿勢から水平姿勢に近づく方向に傾動して、乗員の足とすねとの成す角度の減少が抑制される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、衝突時に慣性で乗員の下肢が前方に動くことがあり、この場合はトーボードが変形しなくても乗員の足とすねとの成す角度が減少する。然し、上記従来例のものは、トーボードが変形しない限りフットレストの傾動機能は発揮されず、改良が望まれている。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、衝突時にトーボードが変形しなくてもフットレストの傾動機能が発揮されるようにした装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明の第1の特徴によれば、車体に固設したブラケットに、乗員の足を載せるフットレストの基端部を枢支結合するとともに、その枢軸の近傍に、衝突時に伸長作動するアクチュエータの一端を連結し、該アクチュエータの他端をフットレストの先端部にリンク結合して連動機構を構成し、該連動機構はアクチュエータに連動してフットレストを前上りの傾斜姿勢から水平姿勢に近づく方向に傾動させている。
【0009】
また、本発明の第1の特徴によれば、車体に固設したブラケットに、乗員の足を載せるフットレストを枢支結合するとともに、その枢軸の近傍に、衝突時に伸長作動するアクチュエータの一端を連結し、該アクチュエータの他端は、ブラケットに回動自在に支持したロック部材に連結し、該ロック部材の回動する端部をフットレストに係合させてフットレストを前上りの傾斜姿勢にロックし、ロック部材によるフットレストのロックをアクチュエータの作動で解除するようにしている。
【0010】
上記第1の特徴のものでは、衝突時、アクチュエータの作動により連動機構を介してフットレストが水平姿勢に近づく方向に傾動され、また、第2の特徴のものでは、アクチュエータの作動によりフットレストのロックが解除され、フットレストが踏力によって水平姿勢に近づく方向に傾動される。
【0011】
そして、第1と第2の何れの特徴のものも、トーボードの変形を利用するものではないため、衝突時の乗員の慣性によって足とすねとの成す角度が減少させられることを抑制できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1は自動車車体のフロアパネルであり、フロアパネル1の前端から斜め前方に立上るトーボード2に対向するようにフットレスト3を前上りの傾斜姿勢で配置している。
【0013】
トーボード2にはフットレスト3用のブラケット4が取付けられており、フロアパネル1に着座するブラケット4の下端部にフットレスト3をその下端の枢軸3aを介して傾動自在に支持している。
【0014】
また、衝突時にエアバッグ用の加速度センサからの信号で点火される火薬を内蔵するシリンダ型のアクチュエータ5を設け、衝突時にアクチュエータ5の作動により連動機構6を介してフットレスト3が前上りの傾斜姿勢から水平姿勢に近づく方向に傾動されるようにしている。
【0015】
連動機構6は、フットレスト3の上端部に一端を枢着した第1リンク6aと、ブラケット4の上端部に一端を枢着した第2リンク6bとを両者の他端同士で枢着して成るリンク機構で構成されている。第2リンク6bには、第1リンク6aのフットレスト3に対する枢着部6cと第2リンク6bのブラケット4に対する枢着部6dとを結ぶ結線より両リンク6a,6bの枢着部6eが少許下方に位置する図1(A)に示す下折れ状態で第1リンク6aの上縁に係合するストッパ部6fが設けられており、フットレスト3に乗員の足aからの踏力が作用しても、フットレスト3が前上りの所定の傾斜姿勢に保持されるようにしている。
【0016】
アクチュエータ5は衝突時に内蔵火薬の点火でロッド5aが伸長動作するように構成されており、アクチュエータ5の下端部をブラケット3の下端部に枢着し、ロッド5aの上端部を前記両リンク6a,6bの枢着部6eに枢着している。
【0017】
かくて、衝突時にはアクチュエータ5のロッド5aの伸長動作で両リンク6a,6bが図1(B)に示す如く上折れ状態に押し上げられ、フットレスト3が前上りの傾斜姿勢から水平姿勢に近づく方向、即ち、前側に傾動され、慣性により乗員の下肢が前方に動いても足とすねとの成す角度が減少することはない。
【0018】
尚、上記実施形態では、ストッパ部6fを第2リンク6bに設けているが、第1リンク6aに両リンク6a,6bの下折れ状態で第2リンク6bの上縁に係合するようにストッパ部6fを設けても良い。また、両リンク6a,6bの一方に、両リンク6a,6bの上折れ状態で他方のリンクの下縁に係合するようにストッパ部を設けても良い。この場合は、衝突時にロッド5aが収縮動作されるようにアクチュエータ5を構成し、ロッド5aの収縮動作で両リンク6a,6bを下折れ状態に引き下げ、フットレスト3を前側に傾動させる。
【0019】
また、アクチュエータ5として回転型のものを用い、衝突時に第2リンク6bをアクチュエータ5により回転させ、第1リンク6aを介してフットレスト3を前側に傾動させるようにすることも可能である。
【0020】
また、上記実施形態では、連動機構6を2個のリンク6a,6bから成るリンク機構で構成したが、図2に示す第2実施形態のように1個のリンク6gで連動機構6を構成することも可能である。このものでは、衝突時にロッド5aが収縮動作するように構成したアクチュエータ5をブラケット4に固定し、ロッド5aの上端部とフットレスト3の上端部とをリンク6gを介して連結している。そして、常時は、ブラケット4の上端に設けたストッパ4aと下端に設けたストッパ4bとに夫々リンク6gとフットレスト3の下端とを当接させて、フットレスト3が図2(A)に示す前上りの所定の傾斜姿勢に保持されるようにし、衝突時にロッド5aの収縮動作で図2(B)に示す如くリンク6gを引き下げて、フットレスト3を前側に傾動させるようにしている。
【0021】
図3は第3の実施形態を示し、このものでは、フットレスト3の下端に係合してフットレスト3を前上りの所定の傾斜姿勢にロックするロック部材7を設け、フットレスト3を傾動自在に支持するブラケット4にロック部材7を揺動自在に枢着して、その揺動でロック部材7がフットレスト3の下端に係脱されるようにしている。また、衝突時に伸長動作するシリンダ型のアクチュエータ5をロック部材7とブラケット4との間に介設している。
【0022】
そして、常時は、図3(A)に示す如くロック部材7がフットレスト3の下端に係合して、フットレスト3が前上りの所定の傾斜姿勢にロックされるようにし、衝突時にアクチュエータ5の伸長動作でロック部材7が図3(B)に示す如く下方に揺動されてフットレスト3の下端から離脱するようにしている。これによれば、フットレスト3のロックが解除され、踏力及び自己の慣性力でフットレスト3が前側に傾動し、慣性により乗員の下肢が前方に動いても足とすねとの成す角度が減少することはない。
【0023】
尚、上記第1と第2と第3の実施形態では、フットレスト3を車体に取付けたブラケット4に傾動自在に支持しているが、フットレストを傾動自在となるように車体に直接支持させることも可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、衝突時にトーボードが変形しなくてもフットレストを水平姿勢に近づく方向に傾動させることができ、乗員の慣性によって乗員の足とすねとの成す角度が減少させられることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)第1実施形態の通常時の状態を示す側面図、(B)その衝突時の状態を示す側面図
【図2】 (A)第2実施形態の通常時の状態を示す側面図、(B)その衝突時の状態を示す側面図
【図3】 (A)第3実施形態の通常時の状態を示す側面図、(B)その衝突時の状態を示す側面図
【符号の説明】
3 フットレスト 5 アクチュエータ
6 連動機構 7 ロック部材
Claims (2)
- 車体に固設したブラケットに、乗員の足を載せるフットレストの基端部を枢支結合するとともに、その枢軸の近傍に、衝突時に伸長作動するアクチュエータの一端を連結し、該アクチュエータの他端をフットレストの先端部にリンク結合して連動機構を構成し、該連動機構はアクチュエータに連動してフットレストを前上りの傾斜姿勢から水平姿勢に近づく方向に傾動させることを特徴とする自動車用フットレスト装置。
- 車体に固設したブラケットに、乗員の足を載せるフットレストを枢支結合するとともに、その枢軸の近傍に、衝突時に伸長作動するアクチュエータの一端を連結し、該アクチュエータの他端は、ブラケットに回動自在に支持したロック部材に連結し、該ロック部材の回動する端部をフットレストに係合させてフットレストを前上りの傾斜姿勢にロックし、ロック部材によるフットレストのロックをアクチュエータの作動で解除することを特徴とする自動車用フットレスト装置。
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