JP3808086B1 - チアミンラウリル硫酸塩結晶及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 臭気が極めて少なく、且つ溶解性に優れたチアミンラウリル硫酸塩結晶及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法は、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを、流動層造粒乾燥機を用いて乾燥することにより粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を得る工程を含むことを特徴とする。前記チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキは、真空乾燥機を用いて乾燥した後、流動層造粒乾燥機を用いて乾燥してもよい。前記製造方法は、さらに、チアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーに加圧濾過処理を施してチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを得る工程を含んでいてもよい。前記加圧濾過処理は、フィルタープレスを用いて施してもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、臭気が少なく、しかも溶解性に優れたチアミンラウリル硫酸塩結晶及びその製造方法に関する。
チアミンラウリル硫酸塩は、ビタミンB1補給の栄養強化剤として各種食品に使用されているが、界面活性基を持ち、制菌作用、特に酵母に対して優れた抗菌力を有するため、日持ち向上剤としても使用されている。しかし、従来のチアミンラウリル硫酸塩は、チアミン特有の強い臭気を有しており、この臭気が食品に添加して利用する際の障害となっていた。また、チアミンラウリル硫酸塩結晶は、一般に、水やアルコール等の溶剤などに溶解したり、他の成分と混合するなどの形態で利用されている。このため、チアミンラウリル硫酸塩結晶を単独で少量で利用する際には臭気がそれほど感じられなくても、該結晶を工場等で大量に取扱う場合や、該結晶を他の成分と混合して利用する場合、例えば結晶を水分を含む食品に添加した場合に強い臭気が発生していた。また、チアミンラウリル硫酸塩結晶は、溶剤に溶解して液体製剤として利用する場合が多いが、液体製剤とした時にはそれほど臭気が感じられない場合であっても、液体製剤を食品に添加すると強い臭気を発生させるという問題があった。
特開平11−189595号公報には、チアミンラウリル硫酸塩の原料を個別に溶解したのちに反応させて、再結晶処理なしに、臭気の少ないチアミンラウリル硫酸塩が得られることが開示されている。しかし、上記文献記載の方法により製造されたチアミンラウリル硫酸塩には、なお臭気を有しており、食品に添加して利用する場合に求められる品質は不十分であった。このため、より低臭化されたチアミンラウリル硫酸塩を製造する方法が求められていた。
一方、チアミンラウリル硫酸塩は、水への溶解性が0.021%(20℃)であり水に対する溶解性が非常に低く、また、結晶自体の分散性が低い。従来、水分の多い食品にチアミンラウリル硫酸塩を容易に分散させる目的で、食品中にプロピレングリコールなどの溶剤や乳化剤等が添加されていたが、昨今の食品安全意識の向上によりこれら溶剤の商品への表示が敬遠される。また、食品添加物用の製剤として、チアミンラウリル硫酸塩結晶をアルコール水溶液に溶解した溶液の形態で提供する場合があるが、このような製剤を寒冷地での利用時や低温保管時に結晶が析出するなど安定性に劣るという問題があった。また、添加した食品に含まれる水分量が低下した場合に、食品表面にチアミンラウリル硫酸塩に起因する白色の結晶粉末が生じて食品の品質誤認を引き起こすという問題もあった。このように、食品添加物としての用途の観点から、臭気が少なく、しかも溶解性に優れたチアミンラウリル硫酸塩の提供が求められていた。
特開平11−189595号公報
本発明の目的は、臭気が極めて少なく、且つ溶解性に優れたチアミンラウリル硫酸塩結晶及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、他の成分と混合した際に臭気が生じにくいチアミンラウリル硫酸塩結晶及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、反応生成物を晶析させた後の濾過工程及び乾燥工程を特定の方法で行うことにより、最終製品の臭気を著しく抑制でき、且つ溶解性の向上効果が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、チアミン又はその塩とラウリル硫酸又はその塩との反応混合液又はその処理液を撹拌しつつ晶析処理を施してチアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーを得る工程、及びチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを、真空乾燥機を用いて乾燥した後、流動層造粒乾燥機を用いて乾燥することにより粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を得る工程を含むチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法を提供する
本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法は、チアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーに加圧濾過処理を施して湿ケーキを得る工程を含んでいてもよく、前記加圧濾過処理をフィルタープレスを用いて施してもよい。前記加圧濾過処理により、例えば含水量12重量%以下の湿ケーキを得ることができる。
本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法はさらに、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを洗浄する工程を含んでいてもよい。本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法は、また、粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を整粒する工程を含んでいてもよい。
本願明細書中、上記製造方法により得られるチアミンラウリル硫酸塩結晶を「チアミンラウリル硫酸塩結晶1」と称する場合がある。
さらに、本発明は、80メッシュを通過する粒子で構成され、下記の条件で測定したイオン強度m/z281のGC−MSクロマトグラムにおいて、保持時間22.6分付近で検出されるピークのピーク面積の絶対値が7493以上、8500以下であるチアミンラウリル硫酸塩結晶(以下、「チアミンラウリル硫酸塩結晶2」と称する場合がある)を提供する。
測定条件
カラム:DB−1(膜厚1μm、長さ60m、内径0.32mm)
カラム温度:40℃(10分間保持)−10℃/分−240℃(5分間保持)
気化室温度:150℃
ニードル温度:100℃
バイアル保温温度:60℃(10分間)
サンプル量:200mg
キャリアガス:ヘリウム
カラム流量:29.4ml/分
検出器:電子イオン化法(EI法)
測定イオン強度:281m/z(SIM測定)
検出器ゲイン:1.20kV
本発明は、また、80メッシュを通過する粒子が全体の50%以上であって、上述した条件で測定したイオン強度m/z281のGC−MSクロマトグラムにおいて、保持時間22.6分付近で検出されるピークのピーク面積の絶対値が7493以上、8500以下であるチアミンラウリル硫酸塩結晶(以下、「チアミンラウリル硫酸塩結晶3」と称する場合がある)を提供する。
本発明の製造方法によれば、流動層造粒乾燥機を用いるため、凝集した結晶粒子を速やかに分散して微粒子化することができ、溶解性に優れた結晶を効率よく形成することができる。しかも、早期に微粒子化されるため、臭気の生成原因となる乾燥時の熱による影響が少なく、臭いが極めて少ない粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を得ることができる。本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶は、食品添加物用途として特に好適である。
本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法は、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを、流動層造粒乾燥機を用いて乾燥することにより粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を得る工程(乾燥工程)を含むことを特徴としている。
乾燥工程に付されるチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキは、例えば、チアミン又はその塩とラウリル硫酸又はその塩との反応混合液に、必要に応じて濃縮、希釈、抽出等の処理を施した後、晶析、濾過、洗浄等の分離精製手段を施すことにより調製できる。
乾燥に付される湿ケーキは、チアミンラウリル硫酸塩結晶の個々の粒子(一次粒子)が相互に凝集し、塊状化した凝集粒子(二次粒子)の形態を有する粒子群で構成されていると推察される。上記乾燥工程によれば、前記構成の湿ケーキを層内で流動状態に保持して、チアミンラウリル硫酸塩の二次粒子を部分的に分解することにより、適度な二次粒子径を有する凝集粒子群からなる粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を形成することができる。
流動層造粒乾燥機は、回分式、半連続式、連続式を用いることもでき、例えば、通常流
動層型、循環流型流動層型、強制循環流型流動層型、噴流層型等の装置を用いることができる。流動層造粒乾燥機を単独で使用した場合には、乾燥は、例えば45〜55℃程度の温度で、1〜2時間程度の条件で行うことができる。
本発明における乾燥工程は、流動層造粒乾燥機を用いるため、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを速やかに分散、粉砕して、層内に湿ケーキを投入した早期の段階で微粒子化することができる。こうして得られる微粒子は、表面積が大きいため放熱効率がよいことから、高温乾燥による臭気成分が生成等の影響がほとんどない。このため、流動層造粒乾燥機を用いる場合は乾燥温度を高く設定でき、短時間で臭気が極めて少ない乾燥品を得ることができる利点がある。
本発明は、また、流動層造粒乾燥機を用いる乾燥処理の前又は後に、さらに他の乾燥手段を用いた乾燥処理を施すこともできる。他の乾燥手段としては、例えば、真空乾燥機、コニカルドライヤー、噴霧乾燥機、気流乾燥機(フラッシュドライヤー)、回転式乾燥機、コーンタイプドライヤー、棚段式乾燥機等の慣用の乾燥機を用いることができる。
本発明における乾燥工程の好ましい態様としては、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを、真空乾燥機を用いて乾燥した後、流動層造粒乾燥機を用いて乾燥する方法が挙げられる。真空乾燥機を用いる場合には、湿ケーキに含まれる熱により変質しやすい物質が臭気成分に変換されるのを回避するため、比較的低温条件下で乾燥処理が施される。より詳細には、真空乾燥機を用いて、例えば温度30〜45℃程度で、1時間〜3時間程度乾燥した後、流動層造粒乾燥機を用いて、45〜55℃程度で0.2〜1時間程度乾燥することができる。チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを直接流動層造粒乾燥機を用いて乾燥すると、水分量が多いため凝集粒子が分散しにくく、却って臭気が低減しにくい場合がある。これに対し、真空乾燥機を用いて予め粒子の含水量を低減させることにより、流動層造粒乾燥機において粒子が容易に分散できるため、凝集粒子の粉砕効率及び乾燥効率を向上でき、二次粒子径が小さい凝集粒子の比率が高い粒子群からなるチアミンラウリル硫酸塩結晶を得ることができる。このように、真空乾燥機と流動層造粒乾燥機とを組み合わせた乾燥工程によれば、(i)優れた粒度分布の粒子群を形成でき、(ii)臭気が極めて低く、(iii)作業性を向上しうるという極めて優れた効果を奏する。
上記乾燥工程により、80メッシュ(メッシュ線径218μm)を通過する粒子が全体の50%以上である粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を生成することができる。80メッシュを通過する粒子の割合が50%未満では、二次粒子径の大きい凝集粒子の割合が多いため溶け残りが生じやすく、完全に溶解するまでにさらに加熱や撹拌を行う必要がある。また、溶解性を向上する目的で、二次粒子径の大きい凝集粒子の割合が多い粒子群に対して別途粉砕等の造粒手段を施すことも考えられるが、工程が煩雑となり、生産性に極めて劣るため好ましくない。80メッシュを通過する粒子は、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶の粒度分布は、乾燥手段の種類、乾燥条件(温度、時間等)等に応じて適宜調整することができる。例えば、乾燥手段として真空乾燥機と流動層造粒乾燥機とを組み合わせて用いることにより、80メッシュを通過する粒子をより多く含む粒子群からなる粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を形成することができる。
本発明者らの検討によれば、80メッシュを通過する粒子群からなるチアミンラウリル硫酸塩結晶は極めて優れた溶解性(混和性)を発揮することができることを見いだした。上記構成のチアミンラウリル硫酸塩結晶は、例えば、水、アルコールや酢酸等の有機溶媒、及びこれらの混合溶媒などの溶剤に速やかに溶解することができる。チアミンラウリル硫酸塩結晶は、通常、該結晶を適宜な溶剤に溶解させて得られる液体製剤の形態で利用されるが、上記構成の結晶によれば、均一で安定性に優れたチアミンラウリル硫酸塩の液体製剤を形成することができる。従って、上記構成のチアミンラウリル硫酸塩結晶、及び該結晶から調製される液体製剤は、水等の液体を含む食品等に添加した場合に良好に混合することができ、しかも、混合後に当該食品等に含まれる液体成分の量(含水量等)が低下した場合にも結晶が析出しにくく、優れた安定性を発揮することができる。上記乾燥工程によれば、前記特性を有する80メッシュを通過する粒子が全体の50%以上と高い比率で構成された粒子群を得ることができる。
本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法は、上記乾燥工程の前工程として、チアミンラウリル硫酸塩を含む反応混合液又はその処理液に晶析処理を施してチアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーを得る晶析工程を含んでいる。また、本発明の製造方法は、上記乾燥工程の前工程として、さらに、チアミン又はその塩とラウリル硫酸又はその塩とを反応させてチアミンラウリル硫酸塩を含む反応混合液を得る反応工程、チアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーに加圧濾過処理を施してチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを得る濾過工程、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを洗浄する洗浄工程から選択される少なくとも1つの工程を含んでいても良い。すなわち、前記乾燥工程に付されるチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキは、低臭化及び溶解性向上の観点から、上記工程の少なくとも一つの工程を含む方法で調製されるものであることが好ましい。
前記反応工程に用いるチアミン又はその塩(以下、「チアミン類」と称する場合がある)としては、例えば、遊離のチアミン;チアミン塩酸塩、硫酸塩等のチアミンの無機塩や有機塩等のチアミンの塩が挙げられる。また、ラウリル硫酸又はその塩(以下、「ラウリル硫酸塩類」と称する場合がある)としては、例えば、ラウリル硫酸;ラウリル硫酸のナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩等の無機塩や有機塩等のラウリル硫酸の塩が挙げられる。反応工程に用いるこれら原料には、食品や医薬品の分野で利用可能なものが用いられる。
臭いの少ない反応生成物を得るため、反応には臭いの少ない高純度の原料を用いることが好ましい。このような原料として、市販のチアミン類及びラウリル硫酸塩から純度の高いグレードのものを選択して用いたり、これらの中でもより臭いの少ないロットを選択して用いることができる。好ましくは、これらの市販品に個別に晶析等の慣用の精製手段を施したものが用いられる。精製手段を施すことにより、市販品に含まれる臭いの原因物質となる不純物を極めて低減することができるため、このような原料を用いた反応により、臭気がないか又は極めて少ないチアミンラウリル硫酸塩を得ることができる。
反応は、例えば35〜55℃程度の温度下で、0.2〜10時間程度、撹拌下又は静置させて行われる。反応により、チアミン又はその塩とラウリル硫酸又はその塩とからチアミンラウリル硫酸塩を含む反応混合液が得られる。
前記晶析工程は、反応混合液又はその処理液に溶解されているチアミンラウリル硫酸塩を晶出させ、固体のチアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーを得る工程である。チアミンラウリル硫酸塩を含む反応混合液としては、前記反応工程で得られたチアミンラウリル硫酸塩を含む反応混合液を用いることができる。その処理液としては、前記該反応混合液に濃縮、希釈、抽出等の適宜な処理を施して得られる溶液又は混合液が挙げられる。
晶析温度は、例えば2〜15℃程度であり、低いほど速やかに析出し且つ粒子サイズが小さい結晶が形成されやすい点で、好ましくは2〜7℃程度、特に5℃程度が好ましい。本発明においては、粒子の形状が揃った均一な結晶が得られる点で、回転速度100〜3600rpm、好ましくは500〜3400rpm程度で撹拌しつつ晶析処理が施される。撹拌速度は、速いほど転動作用に加えて解砕作用が働いて粗大粒子の微粒子化に寄与し、均一な粒度分布が形成されやすくなる点で好ましく、結晶の析出を阻害しない速度を上限として適宜選択される。ここでチアミンラウリル硫酸塩結晶において、粒子形状が揃っており、粒度分布が均一であると、後述する濾過工程により含水量が極めて低い湿ケーキを形成しやすい点で有利であると推察される。
撹拌に用いる撹拌翼としては、特に限定されず、例えば、タービン翼、パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼及びこれらの組み合わせ等が挙げられ、これらは必要に応じてバッフル(邪魔板)を設けて利用することもできる。撹拌しつつ晶析する場合には、例えば、傾斜型パドルミキサー等を用いることができる。
上記晶析工程により、粒子状のチアミンラウリル硫酸塩の粗結晶が析出したスラリーが生成する。チアミンラウリル硫酸塩の粗結晶は、一次粒子の平均粒子径が例えば5〜100μm、好ましくは10〜80μm程度である。前記平均粒子径が100μmを超える場合は、溶媒へ溶解しにくい傾向にあり、また、溶解した後に低温下で析出しやすくなり好ましくない。前記平均粒子径は、晶析時の温度及び撹拌速度等を適宜選択することにより調整することができる。
本発明における晶析工程によれば、平均粒子径が小さく、粒子の形状が揃っており、しかも粒度分布が均一な粒子を形成することができるため、臭気が低減され、溶解性に優れたチアミンラウリル硫酸塩結晶を得ることができる。
濾過工程は、チアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーに加圧濾過処理を施すことによりチアミンラウリル硫酸塩の湿ケーキを形成する工程である。濾過工程で生成される湿ケーキは、含有する水分中に反応に用いた原料や副生物などの水溶性不純物が溶存しているため、これらの水溶性不純物が後の工程で熱に曝されるなどの刺激を受けて臭気の原因物質を形成する可能性があると推察される。これに対し、本発明における濾過工程では、加圧濾過処理を施すことにより水分量の少ない湿ケーキを形成できる。このため、湿ケーキに含まれる臭気の原因物質の量を低減して、最終製品の低臭化に寄与することができる。
加圧濾過処理に付されるチアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーとしては、固体のチアミンラウリル硫酸塩が溶液中に分散した分散液(スラリー)であれば特に限定されないが、前記晶析工程により得られたチアミンラウリル硫酸塩の粗結晶が析出したスラリーが好ましく用いられる。加圧濾過処理に用いる濾過機としては、加圧下で濾過処理を施すことができるものであれば特に限定されず、例えば、フィルタープレス、加圧濾過機などを用いることができる。なかでも、水分量を極めて低い湿ケーキを形成することができる点で、フィルタープレスが好ましい。
加圧濾過処理後に得られる湿ケーキの含水量は、例えば12重量%以下(2〜12重量%程度)、好ましくは3〜10重量%、特に4〜7重量%程度であることが好ましい。前記含水量が12重量%を超える場合には、チアミンラウリル硫酸塩特有の臭気を生じる最終製品が製造されやすく、含水量が低すぎると、乾燥工程において適度な二次粒子径を有する凝集粒子が得られにくくなり好ましくない。湿ケーキの含水量は、湿ケーキを構成する結晶の性質、濾過機の種類、濾過条件(圧力、処理量、時間等)等により調整することができる。本発明においては、特に、チアミンラウリル硫酸塩結晶を構成する粒子の形状が均一であるほど、また原料中の不純物含有量が少ないほど、湿ケーキの含水量を低減する効果を奏する推察される。例えば、晶析工程の条件を適宜選択することにより粒子形状を均一にでき、また、反応工程において適宜な洗浄処理を施した原料を用いることにより不純物含有量を低減することができる。
本発明における濾過工程は、加圧濾過処理を施すため、水に溶解している水溶性の不純物を製造工程の初期の段階で除去することにより、臭気の発生を効率よく抑制することができる。
前記洗浄工程は、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを、洗浄用溶媒中に分散した後、適宜な分離手段を用いて該洗浄用溶媒を除去してチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを回収する方法により行われる。チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキとしては、例えば、チアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーに、濾布による濾過、加圧濾過、真空濾過、遠心分離等の慣用の分離手段を施して得られる湿ケーキ等を用いることができる。好ましくは、前記濾過工程で得たチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキが用いられる。洗浄用溶媒は、例えば、水、アセトン等の有機溶媒、及びこれらの混合溶媒等から除去対象物に応じて適宜選択して用いられる。有機溶媒としては、食品や医薬品の製造に用いる洗浄用溶媒として公知のものを利用でき、例えばアセトン等が用いられる。なかでも、水、アセトン、水とアセトンとの混合溶媒等が好ましい。洗浄に用いる溶媒の量は、溶媒の種類に応じて適当量使用できる。
洗浄処理は、上記溶媒を用いて少なくとも一度行われればよく、同一又は異なる洗浄用溶媒を用いて複数回繰り返し行ってもよい。異なる溶媒を用いて段階的に洗浄処理を施すことにより、多様な臭いの原因物質を効率よく除去して、高度に低臭化された製品を提供することができる。洗浄には、例えば、低臭化を促進する目的で、活性炭やゼオライト等の多孔体などの吸着剤、その他の添加剤等を用いてもよい。
湿ケーキを洗浄用溶媒に分散させた後は、濾過、遠心分離等の慣用の分離手段を用いて洗浄用溶媒を除去し、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを回収する。洗浄用溶媒の除去手段としては、該溶媒に溶存する不純物を効率よく除去して臭気の発生を抑えることができる点で、加圧濾過処理が好ましく、特にフィルタープレスを用いた濾過処理が好ましく用いられる。同様の観点から、洗浄用溶媒を除去して得られる湿ケーキの含水量は低いものほど好ましく、例えば12重量%以下(2〜12重量%程度)、好ましくは3〜10重量%、特に4〜7重量%程度であることが好ましい。
本発明における洗浄工程の好ましい態様としては、水を用いた洗浄工程と、アセトン等の有機溶媒を用いた洗浄工程との組み合わせからなる。水を用いた洗浄工程により、チアミンラウリル硫酸塩結晶に混入している無機塩等の塩類を除去することができる。洗浄に用いる水の量は、湿ケーキに対して例えば1重量倍以上(1〜20重量倍程度)、好ましくは2重量倍以上(2〜10重量倍程度)であり、湿ケーキに対して大過剰量用いてもよい。湿ケーキを水中に分散させた後は、慣用の分離手段を用いて水を除去し、湿ケーキを回収することができる。特に、フィルタープレスにより含水量12重量%以下程度の湿ケーキを得ることにより、臭気の低減効果を向上することができる。こうして得られる湿ケーキは、上記乾燥工程に付されるチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキとして用いることができる。
有機溶媒を用いた洗浄工程により、チアミンラウリル硫酸塩結晶に混入している有機物を除去することができる。有機溶媒としてはアセトンが好ましく用いられる。なお、有機溶媒は水と混合して洗浄に用いてもよい。洗浄に用いる溶媒の量は、最終製品に残存して溶剤臭の原因となりやすいため、低臭化の目的上使用量を抑制することが好ましく、また、廃液処理が必要となるため環境面からも使用量は少ないほどよい。有機溶媒の使用量は、湿ケーキの総量に対して、例えば40重量%以下、好ましくは30重量%以下であることが好ましい。前記使用量が40重量%を超えると、不純物による臭いを抑制した場合であっても、洗浄に用いた有機溶媒に起因する臭気が生じやすいため、全体としての低臭化効果を損ないやすく好ましくない。一方、本発明では、湿ケーキに対して40重量%以下のアセトンを用いて洗浄することにより、(i)アセトンに溶解する有機系不純物を効率よく除去でき、(ii)凝集粒子のサイズ(二次粒子径)が適度に小さい結晶を多く形成でき、(iii)水抜きがよくなり含水量の低い湿ケーキを容易に得ることができ、(iv)洗浄後に得られた湿ケーキの乾燥効率を向上することができる点で好ましい。
湿ケーキをアセトン中に分散させた後は、慣用の分離手段を用いてアセトンを除去し、湿ケーキを回収することができる。特に、好ましくは、フィルタープレスにより含水量12重量%以下程度の湿ケーキを得ることにより、臭気の低減効果を向上することができる。
上記洗浄工程で得られるチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキは、上記乾燥工程に付されるチアミンラウリル硫酸塩として用いることができる。
本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶1は、上記本発明の方法により製造されるチアミンラウリル硫酸塩結晶である。チアミンラウリル硫酸塩結晶1は、上述したように、結晶自体の臭気が極めて抑制されると共に、溶剤に溶解した後の溶液の形態で食品等に添加した場合にも臭気の発生が著しく抑制されるため、特に食品添加物として好適に利用できる。また、溶剤に対して極めて優れた溶解性を示すことから、水分の多い食品等に対する食品添加物として、またアルコール水溶液へ良好に溶解できるため製剤用途として広く利用することができる。
また、本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法は、上記乾燥工程の後工程として、さらに、粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を整粒する整粒工程が設けられていてもよい。整粒手段としては、篩、遠心分離、比重差分離等の慣用の分級手段;粉砕等の造粒手段等を用いることができる。なかでも、溶解性に優れた形態の粒子を簡便に選別することができる点で篩が好ましく、特に80メッシュの篩が好ましく用いられる。
本発明における整粒工程の好ましい態様としては、上記乾燥工程により得られた80メッシュを通過する粒子が全体の50%以上含まれるチアミンラウリル硫酸塩結晶を、80メッシュを用いた分級手段により、80メッシュを通過する粒子のみ(100%)で構成されるチアミンラウリル硫酸塩結晶を得る方法が挙げられる。このような整粒工程を経て得られるチアミンラウリル硫酸塩結晶は、溶解性に極めて優れているためそのまま食品添加物として多様な食品に適用することができる。
本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶2は、80メッシュを通過する粒子で構成されている。このような結晶は、上記乾燥工程後、さらに前記整粒工程を行うことにより得ることができる。上記構成のチアミンラウリル硫酸塩結晶2は、優れた溶解性を発揮することができるため、水分の多い食品に添加する食品添加物として、また溶剤に溶解して調製される製剤用原料として好適である。
また、本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶3は、80メッシュを通過する粒子が全体の50%以上である。チアミンラウリル硫酸塩結晶3は、上記構成を有するため、速やかに溶解することができ、チアミンラウリル硫酸塩からなる均一な溶液を容易に調製することができるため、取扱性に極めて優れている。
本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶(チアミンラウリル硫酸塩結晶結晶2及び3)は、下記の条件で測定したイオン強度m/z281のGC−MSクロマトグラムにおいて、保持時間22.6分付近で検出されるピークのピーク面積の絶対値が8500以下である。
測定条件
カラム:DB−1(膜厚1μm、長さ60m、内径0.32mm)
カラム温度:40℃(10分間保持)−10℃/分−240℃(5分間保持)
気化室温度:150℃
ニードル温度:100℃
バイアル保温温度:60℃(10分間)
サンプル量:200mg
キャリアガス:ヘリウム
カラム流量:29.4ml/分
検出器:電子イオン化法(EI法)
測定イオン強度:281m/z(SIM測定)
検出器ゲイン:1.20kV
前記「イオン強度m/z281のGC−MSクロマトグラムにおいて、保持時間22.6分付近で検出されるピーク」は、チアミンラウリル硫酸塩の臭気成分として知られている。
チアミンラウリル硫酸塩結晶は、そのままで、又は適宜溶剤に溶解した液体製剤の形態で利用することができる。一般に、チアミンラウリル硫酸塩結晶は、添加量の調整がしやすく、且つ他の成分と容易に混和(溶解)することができるなど取扱性に優れる点で、液体製剤の形態で用いられる場合が多い。本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶は、水や溶剤等に溶解したり食品に添加した場合にも臭気の発生がほとんどなく、しかも優れた溶解性を発揮することができることから、液体製剤の形態として特に好ましく利用できる。尚、チアミンラウリル硫酸塩結晶の液体製剤は、該結晶を含水アルコールに溶解することにより調製される。
チアミンラウリル硫酸塩結晶(又はその液体製剤)は、固体状又は液体状の食品(水分を含む食品等)に添加する食品添加物や医薬品等として利用できる。本発明のチアミンラウリル硫酸塩結晶は、結晶自体の臭気が極めて少なく、また、水や溶剤等に溶解したり食品に添加した場合にも臭気の発生がほとんどなく、しかも優れた溶解性を発揮することができることから、食品添加物用途として好適である。具体的には、スナック菓子、ゼリー、焼き菓子等の菓子類、コロッケなどの冷凍食品、しょうゆなどの調味料などの固体状又は液体状の加工食品等に添加する食品添加物として広く利用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、図1及び図2に示す光学顕微鏡写真は3.25mm×2.55mmの範囲を倍率40倍で観測したものである。
実施例1
塩酸チアミン150kgを水250Lに加え、60℃の温度下で溶解して得た塩酸チアミン溶液を濾布を用いて濾過した。一方、ラウリル硫酸ナトリウム250kgを水1350Lに加え、60℃の温度下で溶解して得たラウリル硫酸ナトリウム溶液を濾布を用いて濾過した。
濾過処理後の塩酸チアミン溶液とラウリル硫酸ナトリウム溶液を混合し、40℃の温度下で2時間撹拌することにより反応させた。得られた反応液を冷却下で撹拌し、34℃で接種した。
温度5℃以下で、撹拌機(回転数3000rpm)を用いて撹拌しながらで一晩(15時間)撹拌チアミンラウリル硫酸塩の粗結晶を晶析させた。得られた粗結晶を含むスラリーを、フィルタープレス機を用いて濾過処理を施して含水量5重量%の湿ケーキを得た。
得られた湿ケーキ420kgを、4倍量の水中に分散させた後、フィルタープレス機(同上)を用いて濾過することにより洗浄処理を施した。得られた結晶をアセトン100L中に分散させ、フィルタープレス機を用いて濾過することにより再度洗浄処理を施した。
得られた結晶を、真空乾燥機を用いて35℃で90分間乾燥処理を施した後、さらに下記条件下で流動層造粒乾燥機を用いて50℃で30分間乾燥処理を施すことにより粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶348kg(歩留まり87%)を得た。得られた粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶の粒度分布を後述する方法で測定した。その結果を表1に示す。乾燥直後のチアミンラウリル硫酸塩結晶の光学顕微鏡写真を図1に示す。図1中、Aは凝集していない粒子(一次粒子)を示し、Bは凝集した粒子(二次粒子:径135μm)を示している。
乾燥条件(流動層造粒乾燥機):
混合時間 5分
乾燥時間 30分
シェーク 18
吸気温度 50℃
排気温度 40℃
冷却時間 15分
実施例2
実施例1と同様の操作により、洗浄処理が施されたチアミンラウリル硫酸塩結晶を得た。
得られた結晶を、流動層造粒乾燥機(容量212L)を用いて下記の条件で乾燥処理を施すことにより粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶342kg(歩留まり86%)を得た。得られたチアミンラウリル硫酸塩結晶の粒度分布を後述する方法で測定した。その結果を表1に示す。
乾燥条件(流動層造粒乾燥機):
混合時間 5分
乾燥時間 100分
シェーク 18
吸気温度 50℃
排気温度 40℃
冷却時間 15分
比較例1
塩酸チアミン150kgを水550Lに加え、25℃の温度下で溶解して得た塩酸チアミン溶液を、加圧濾過器を用いて加圧濾過を行った。
一方、ラウリル硫酸ナトリウム245kgを水950Lとエチルアルコール100Lの混合溶媒に加え、45℃の温度下で溶解して得たラウリル硫酸ナトリウム溶液を、加圧濾過器を用いて加圧濾過を行った。
濾過処理後の塩酸チアミン溶液とラウリル硫酸ナトリウム溶液を混合し、40℃の温度下で1時間撹拌することにより反応させた。得られた反応液を冷却下で撹拌し、34℃で接種した後、10℃の温度下で、撹拌速度50rpmで15時間撹拌することによりチアミンラウリル硫酸塩の粗結晶を晶析させた。得られた粗結晶を含むスラリーを遠心分離機を用いて濾過処理を施し、回収した粗結晶を水1100L及びアセトン200Lの混合溶媒で洗浄した。得られた結晶を40℃の温度下で2時間減圧乾燥することにより粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶337.5kg(歩留まり84.44%)を得た。得られたチアミンラウリル硫酸塩結晶の粒度分布を後述する方法で測定した。その結果を表1に示す。乾燥直後のチアミンラウリル硫酸塩結晶の光学顕微鏡写真を図2に示す。図2中、Cは凝集していない粒子(一次粒子)を示し、Dは凝集した粒子(二次粒子:二次粒子径460μm)を示している。
(評価試験)
粒度分布
実施例1、2及び比較例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶について、40メッシュ、60メッシュ,80メッシュ,100メッシュ(各メッシュ線径:445μm、323μm、218μm、154μm)を用いて分級した。これらの結果を表1に示す。表1中、「<40」は40メッシュを通過しなかった粒子、「40〜60」は40メッシュを通過し60メッシュを通過しなかった粒子(「60〜80」、「80〜100」も同様)、「100<」100メッシュを通過した粒子の各割合を示す。なお、いずれの結晶も140メッシュを通過した粒子はほぼ0%であった。
水への溶解性
実施例1及び比較例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶2重量部と水1000重量部とを1Lビーカー内で混合し、該1Lビーカーを水を張った槽型超音波発生装置に入れ、常温で撹拌することにより0.2重量%チアミンラウリル硫酸塩水溶液を調製した。実施例1の結晶は5秒以内に完全に溶解したが、比較例1の結晶が完全に溶解するまでには10秒程度撹拌を要した。
アルコール水溶液への溶解性
実施例1及び比較例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶100重量部、エタノール600重量部、水300重量部を1Lビーカー内で混合し、該1Lビーカーを水を張った槽型超音波発生装置に入れ、常温で撹拌することにより10重量%チアミンラウリル硫酸塩アルコール水溶液(製剤)を調製した。実施例1の結晶は20秒程度、比較例1の結晶は1分間の撹拌ですべて溶解した。これらの溶液をそれぞれ4℃の温度下で2週間保持したところ、実施例1の結晶で調製した溶液は結晶の析出は見られず均一な溶液状態が保たれていたが、比較例1の結晶で調製した溶液には結晶が析出していた。
GC−MSによる臭気測定
実施例1及び比較例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶各200mgをヘッドスペース測定用バイアル(容量20ml)に入れ、テフロン(登録商標)コートゴムで密栓し、ヘッドスペースオートサンプラーで60℃10分間保温し、下記の条件で、測定イオン強度m/z281(SIM測定)でGC−MSクロマトグラムを得た。その結果、保持時間22.6付近のピークのピークの面積は、実施例1が7493、比較例1が10038であった。実施例1のクロマトグラムを図3に、比較例1のクロマトグラムを図4にそれぞれ示す。
GC−MS測定条件
分析機器:島津GCMS−QP5050A
Perkin Elmer HS40XLヘッドスペースオートサンプラー+SHIMADZU Hユニット
カラム:DB−1(ジメチルポリシロキサン:J&W社製、膜厚1μm、長さ60m、内径0.32mm)
カラム温度:40℃(10分間保持)−10℃/分−240℃(5分間保持)
気化室温度:150℃
ニードル温度:100℃
バイアル保温温度:60℃(10分間)
サンプル量:200mg
キャリアガス:ヘリウム
カラム流量:29.4ml/分
検出器:電子イオン化法(EI法)
測定イオン強度:281m/z(SIM測定)
検出器ゲイン:1.20kV
臭気の官能試験
実施例1及び比較例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶100g、及び該チアミンラウリル硫酸塩結晶を70℃の水に溶解して得た20重量%チアミンラウリル硫酸塩水溶液について、健康な成人男女20名をパネラーとしてブラインドテストを行い、臭いが強いと感じた場合は「×」、臭いがないか極めて少ないと感じた場合は「○」、よくわからないと感じた場合は「△」として評価をした。その結果を表2に示す。
実施例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶については18名のパネラーが臭いがないか極めて少ないと評価したのに対し、比較例1で得た結晶については同数のパネラーがチアミン特有の臭いが強く感じられたと評価していた。特に、実施例1の結晶の水溶液については、パネラー全員によりチアミンラウリル硫酸塩特有の臭いがないと評価されていた。以上の結果より、本発明の方法により製造されるチアミンラウリル硫酸塩は、水に溶解して利用される食品添加物として特に好適である。
実施例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶の光学顕微鏡写真である。 比較例1で得たチアミンラウリル硫酸塩結晶の光学顕微鏡写真である。 実施例1で得たチアミンラウリル硫酸塩のGC−MSスペクトルデータである。 比較例1で得たチアミンラウリル硫酸塩のGC−MSスペクトルデータである。
符号の説明
A,C チアミンラウリル硫酸塩の単独粒子(一次粒子)
B,D 塊状化したチアミンラウリル硫酸塩の粒子群(二次粒子)

Claims (8)

  1. チアミン又はその塩とラウリル硫酸又はその塩との反応混合液又はその処理液を、回転速度100〜3600rpmで撹拌しつつ晶析処理を施してチアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーを得る工程、及びチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを、真空乾燥機を用いて乾燥した後、流動層造粒乾燥機を用いて乾燥することにより粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を得る工程を含むチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法。
  2. さらに、チアミンラウリル硫酸塩を含むスラリーに加圧濾過処理を施してチアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを得る工程を含む請求項記載のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法。
  3. フィルタープレスを用いて加圧濾過処理を施す請求項記載のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法。
  4. 加圧濾過処理により含水量12重量%以下の湿ケーキを得る請求項2又は3に記載のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法。
  5. さらに、チアミンラウリル硫酸塩を含む湿ケーキを洗浄する工程を含む請求項1〜の何れかの項に記載のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法。
  6. さらに、粒子状のチアミンラウリル硫酸塩結晶を整粒する工程を含む請求項1〜の何れかの項に記載のチアミンラウリル硫酸塩結晶の製造方法。
  7. 80メッシュを通過する粒子で構成され、下記の条件で測定したイオン強度m/z281のGC−MSクロマトグラムにおいて、保持時間22.6分付近で検出されるピークのピーク面積の絶対値が7493以上、8500以下であるチアミンラウリル硫酸塩結晶。
    測定条件
    カラム:DB−1(膜厚1μm、長さ60m、内径0.32mm)
    カラム温度:40℃(10分間保持)−10℃/分−240℃(5分間保持)
    気化室温度:150℃
    ニードル温度:100℃
    バイアル保温温度:60℃(10分間)
    サンプル量:200mg
    キャリアガス:ヘリウム
    カラム流量:29.4ml/分
    検出器:電子イオン化法(EI法)
    測定イオン強度:281m/z(SIM測定)
    検出器ゲイン:1.20kV
  8. 80メッシュを通過する粒子が全体の50%以上であって、下記の条件で測定したイオン強度m/z281のGC−MSクロマトグラムにおいて、保持時間22.6分付近で検出されるピークのピーク面積の絶対値が7493以上、8500以下であるチアミンラウリル硫酸塩結晶。
    測定条件
    カラム:DB−1(膜厚1μm、長さ60m、内径0.32mm)
    カラム温度:40℃(10分間保持)−10℃/分−240℃(5分間保持)
    気化室温度:150℃
    ニードル温度:100℃
    バイアル保温温度:60℃(10分間)
    サンプル量:200mg
    キャリアガス:ヘリウム
    カラム流量:29.4ml/分
    検出器:電子イオン化法(EI法)
    測定イオン強度:281m/z(SIM測定)
    検出器ゲイン:1.20kV
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