JP2004105066A - 粉末醤油 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体醤油を粉末化したものであって、賦形剤の添加量を低減しても、保存期間中に、固結することの少ない、保存安定性の良好な粉末醤油を提供すること。
【解決手段】醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を粉末化し、粉末醤油を得る。または、醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を、通常の醤油に10〜90%の割合で添加し、混合したものを粉末化し、粉末醤油を得る。
【解決手段】醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を粉末化し、粉末醤油を得る。または、醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を、通常の醤油に10〜90%の割合で添加し、混合したものを粉末化し、粉末醤油を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な粉末醤油に係わり、その特徴は固結することが少なく、保存安定性の良好な粉末醤油にある。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に即席食品や半加工食品等の需要が伸びてきており、これらの食品に用いる調味料は、粉末醤油、粉末味噌等、粉末の形態で使用されることが多い。
【0003】
これらの粉末調味料、特に粉末醤油は、吸湿性が強いため保存中に固結し易いという、問題点があった。粉末醤油の製造は、デキストリン等の乾燥状態にあって疎水性であり、かつ可食の物質を賦形剤として醤油に添加・混合して粉末化する方法が一般的である(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、上記の一般的な方法では保存安定性に問題があり、この解決策として賦形剤を、得られる粉末の20〜40重量%となるように添加し、粉末化する改良方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、上記改良方法によっても粉末の固結防止には不十分であり、また賦形剤を40重量%以上用いて固結を防止しようとすると、粉末醤油の香味が弱くなり本来の醤油としての機能を果たさなくなる。
【0005】
【非特許文献1】
浜野光年、他2名,「粉末醤油の吸湿性にたいする糖類の影響について」,日本農芸化学会誌,1976年,第50巻,第7号,p.311−317
【特許文献1】
特開2001−037440号公報(第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、液体醤油を粉末化したものであって、賦形剤の添加量を低減しても、保存期間中に、固結することの少ない、保存安定性の良好な粉末醤油を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を、粉末化した粉末醤油は、通常の醤油を粉末化した粉末醤油に比べて、保存における固結安定性が著しく向上することを見出した。さらに、通常の醤油に上記非透過液を10〜90%添加し、これを粉末化してなる粉末醤油も同様の効果があることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液、またはこれを醤油に10〜90%混合したものを粉末化した粉末醤油である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
まず本発明が適用できる醤油としては、濃口醤油、淡口醤油、減塩醤油、溜り醤油、白醤油、酵素分解による化学醤油等を挙げることができ、またそれらの生醤油、火入れ醤油を問わず利用できるが、火入れ醤油が好ましい。
次に、本発明で使用する濾過膜は、分画分子量500以上のナノ濾過膜(以下、NF膜という)あるいは限外濾過膜であり、好ましくは分画分子量1000〜20000の膜である。具体的には、アミコンダイアフローメンブレンYM1(日本ミリポア社製)、同じくPM10、XM50を用いることができる。工業的には、NF膜としては、NTR−7410、NTR−7430(日東電工(株)製)、SU−200(東レ(株)製)等、限外濾過膜としては、マイクローザUF(旭化成(株)製)、MLモジュールUF(クラレ(株)製)、トレフィル外圧式PAN中空糸UF膜モジュール(東レ(株)製)等を用いることができる。また形式としては管状、中空繊維状、スパイラル状、平板状を問わず利用することができる。
【0010】
本発明においては、上記醤油を上記した限外濾過膜により濃縮する。濃縮は20〜80%の範囲で行い、作業工程を勘案し適宜効率のよい条件を選択することができる。例えばアミコンの限外濾過システム(撹拌式セル8400)にダイアフローメンブレンYM10を用いて濃口醤油300mlを加圧しながら12時間濃縮すると非透過液150mlが採取できる。さらに工業的には、食塩阻止率10%以上のNF膜を利用した場合、濾過圧力1〜5MPa・G、濾過温度20〜40℃の条件で1.5〜3.0倍程度の濃縮が可能である。またUF膜を利用した場合、濾過圧力0.05〜1MPa・G、濾過温度15〜40℃の条件で、1.5〜3.0倍程度の濃縮が可能である。
【0011】
上記の方法で得られた醤油の濃縮液、すなわち非透過液は原液の醤油と比較して色の増加は認められるが成分的にはほとんど差異のないものである。こうして得られた非透過液に、賦形剤として例えばデキストリンを5〜40重量%、好ましくは15 〜30重量%添加混合し、通常の方法で粉末化する。
また上記非透過液を通常の醤油(膜処理していない醤油)に一部混合し、これを粉末化して粉末醤油としてもよい。非透過液の混合割合は、醤油に対して10〜90%である。
【0012】
醤油を粉末化する方法は、通常の液体醤油の乾燥粉末化する手段を採用することができる。例えば減圧ドラム乾燥法や真空凍結乾燥法、あるいは噴霧乾燥法等であるが、噴霧乾燥法が特に好適に用いられる。噴霧乾燥法に用いられる装置としては、例えば加圧ノズル式噴霧乾燥機、二流体ノズル式噴霧乾燥機、回転円盤(ディスクアトマイザー)式噴霧乾燥機、噴霧乾燥・造粒兼用乾燥機などが挙げられる。
噴霧乾燥の条件は、通常の液体醤油の乾燥粉末化する条件と変わるところはなく、例えば、試験機では、入口熱風温度120〜200℃、出口温度75〜120℃、フィード量10〜36ミリリットル/分、円盤回転速度15000〜30000rpmの条件で粉末化する。ノズル方式の実機では、入口温度150〜230℃、出口温度85〜130℃、フィード量500〜2000リットル/時間の条件で粉末化する。
こうして得られた粉末醤油は、固結しにくく保存性が顕著に向上したものとなる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。本発明の技術的範囲は、それらの例により、何ら限定されるものではない。
【0014】
(実施例1)
濃口火入醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末醤油の窒素成分が3.0%、食塩含有量が40%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて入口熱風温度150〜160℃、出口温度90〜95℃の条件で噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)180gを得た。
また上記と同様の濃口火入醤油2000mlを分画分子量500(アミコンダイアフローメンブレンYC05)の限外濾過膜により濾過し、非透過液1000mlを調製し、この非透過液500mlを上記と同様にして噴霧乾燥し、粉末醤油(本発明A)210gを得た。さらに上記濃口火入醤油400mlに上記非透過液100mlを加え、上記と同様にして粉末化して、粉末醤油(本発明B)210gを得た。
【0015】
得られた3種類の粉末醤油を1gづつ秤量管に採取し、湿度80%のデシケーター(温度30℃)中で6時間放置した後、その粉末の状態、およびその粉末を薬サジで圧縮した状態を観察し、以下の基準に従がって評価し、評点を固結度とした。
【0016】
0 粉状で、固結は認めらず、問題なし
1 固結が認められるが、簡単に崩れる
2 固結が認められるが、崩れる
3 固結が認められ、強く圧縮すれば崩れるが、製品価値はない
4 固結が認められ、強く圧縮しても崩れない
結果の一例を表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
表1の結果から、非透過液および非透過液を20%添加して粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0019】
(実施例2)
市販減塩醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末の窒素成分が3.2%、食塩含有量が30%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて実施例1と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)160gを得た。次に同じく減塩醤油1000mlを分画分子量50000(アミコンダイアフローメンブレンXM50)の限外濾過膜により処理し非透過液500mlを得た。この非透過液200mlと上記減塩醤油300mlとを混合し上記と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(本発明)190gを得た。
実施例1と同様にして、両者の固結状態を比較した。
【0020】
【表2】
【0021】
表2の結果から、非透過液を40%添加して粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0022】
(実施例3)
市販の淡口醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末の窒素成分が2.2%、食塩含有量が40%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて実施例1と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)190gを得た。次に同じく淡口醤油1000mlを分画分子量10000(アミコンダイアフローメンブレンYM10)の限外濾過膜により処理し非透過液500mlを得た。この透過液を上記と同様にして粉末化し粉末醤油(本発明)220gを得た。
実施例1と同様にして、両者の固結状態を比較した。
【0023】
【表3】
【0024】
表3の結果から、非透過液を粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0025】
(実施例4)
市販の丸大豆醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末の窒素成分が3.0%、食塩含有量が33%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて実施例1と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)200gを得た。次に同じく丸大豆醤油1000mlを分画分子量10000(アミコンダイアフローメンブレンYM10)の限外濾過膜により処理し非透過液500mlを得た。この透過液を上記と同様にして粉末化し粉末醤油(本発明)230gを得た。
実施例1と同様にして、両者の固結状態を比較した。
【0026】
【表4】
【0027】
表4の結果から、非透過液を粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0028】
【発明の効果】
本発明の粉末醤油は、保存期間中に固結することが少なく、保存安定性に優れているため取り扱いが容易である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な粉末醤油に係わり、その特徴は固結することが少なく、保存安定性の良好な粉末醤油にある。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に即席食品や半加工食品等の需要が伸びてきており、これらの食品に用いる調味料は、粉末醤油、粉末味噌等、粉末の形態で使用されることが多い。
【0003】
これらの粉末調味料、特に粉末醤油は、吸湿性が強いため保存中に固結し易いという、問題点があった。粉末醤油の製造は、デキストリン等の乾燥状態にあって疎水性であり、かつ可食の物質を賦形剤として醤油に添加・混合して粉末化する方法が一般的である(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、上記の一般的な方法では保存安定性に問題があり、この解決策として賦形剤を、得られる粉末の20〜40重量%となるように添加し、粉末化する改良方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、上記改良方法によっても粉末の固結防止には不十分であり、また賦形剤を40重量%以上用いて固結を防止しようとすると、粉末醤油の香味が弱くなり本来の醤油としての機能を果たさなくなる。
【0005】
【非特許文献1】
浜野光年、他2名,「粉末醤油の吸湿性にたいする糖類の影響について」,日本農芸化学会誌,1976年,第50巻,第7号,p.311−317
【特許文献1】
特開2001−037440号公報(第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、液体醤油を粉末化したものであって、賦形剤の添加量を低減しても、保存期間中に、固結することの少ない、保存安定性の良好な粉末醤油を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を、粉末化した粉末醤油は、通常の醤油を粉末化した粉末醤油に比べて、保存における固結安定性が著しく向上することを見出した。さらに、通常の醤油に上記非透過液を10〜90%添加し、これを粉末化してなる粉末醤油も同様の効果があることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液、またはこれを醤油に10〜90%混合したものを粉末化した粉末醤油である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
まず本発明が適用できる醤油としては、濃口醤油、淡口醤油、減塩醤油、溜り醤油、白醤油、酵素分解による化学醤油等を挙げることができ、またそれらの生醤油、火入れ醤油を問わず利用できるが、火入れ醤油が好ましい。
次に、本発明で使用する濾過膜は、分画分子量500以上のナノ濾過膜(以下、NF膜という)あるいは限外濾過膜であり、好ましくは分画分子量1000〜20000の膜である。具体的には、アミコンダイアフローメンブレンYM1(日本ミリポア社製)、同じくPM10、XM50を用いることができる。工業的には、NF膜としては、NTR−7410、NTR−7430(日東電工(株)製)、SU−200(東レ(株)製)等、限外濾過膜としては、マイクローザUF(旭化成(株)製)、MLモジュールUF(クラレ(株)製)、トレフィル外圧式PAN中空糸UF膜モジュール(東レ(株)製)等を用いることができる。また形式としては管状、中空繊維状、スパイラル状、平板状を問わず利用することができる。
【0010】
本発明においては、上記醤油を上記した限外濾過膜により濃縮する。濃縮は20〜80%の範囲で行い、作業工程を勘案し適宜効率のよい条件を選択することができる。例えばアミコンの限外濾過システム(撹拌式セル8400)にダイアフローメンブレンYM10を用いて濃口醤油300mlを加圧しながら12時間濃縮すると非透過液150mlが採取できる。さらに工業的には、食塩阻止率10%以上のNF膜を利用した場合、濾過圧力1〜5MPa・G、濾過温度20〜40℃の条件で1.5〜3.0倍程度の濃縮が可能である。またUF膜を利用した場合、濾過圧力0.05〜1MPa・G、濾過温度15〜40℃の条件で、1.5〜3.0倍程度の濃縮が可能である。
【0011】
上記の方法で得られた醤油の濃縮液、すなわち非透過液は原液の醤油と比較して色の増加は認められるが成分的にはほとんど差異のないものである。こうして得られた非透過液に、賦形剤として例えばデキストリンを5〜40重量%、好ましくは15 〜30重量%添加混合し、通常の方法で粉末化する。
また上記非透過液を通常の醤油(膜処理していない醤油)に一部混合し、これを粉末化して粉末醤油としてもよい。非透過液の混合割合は、醤油に対して10〜90%である。
【0012】
醤油を粉末化する方法は、通常の液体醤油の乾燥粉末化する手段を採用することができる。例えば減圧ドラム乾燥法や真空凍結乾燥法、あるいは噴霧乾燥法等であるが、噴霧乾燥法が特に好適に用いられる。噴霧乾燥法に用いられる装置としては、例えば加圧ノズル式噴霧乾燥機、二流体ノズル式噴霧乾燥機、回転円盤(ディスクアトマイザー)式噴霧乾燥機、噴霧乾燥・造粒兼用乾燥機などが挙げられる。
噴霧乾燥の条件は、通常の液体醤油の乾燥粉末化する条件と変わるところはなく、例えば、試験機では、入口熱風温度120〜200℃、出口温度75〜120℃、フィード量10〜36ミリリットル/分、円盤回転速度15000〜30000rpmの条件で粉末化する。ノズル方式の実機では、入口温度150〜230℃、出口温度85〜130℃、フィード量500〜2000リットル/時間の条件で粉末化する。
こうして得られた粉末醤油は、固結しにくく保存性が顕著に向上したものとなる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。本発明の技術的範囲は、それらの例により、何ら限定されるものではない。
【0014】
(実施例1)
濃口火入醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末醤油の窒素成分が3.0%、食塩含有量が40%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて入口熱風温度150〜160℃、出口温度90〜95℃の条件で噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)180gを得た。
また上記と同様の濃口火入醤油2000mlを分画分子量500(アミコンダイアフローメンブレンYC05)の限外濾過膜により濾過し、非透過液1000mlを調製し、この非透過液500mlを上記と同様にして噴霧乾燥し、粉末醤油(本発明A)210gを得た。さらに上記濃口火入醤油400mlに上記非透過液100mlを加え、上記と同様にして粉末化して、粉末醤油(本発明B)210gを得た。
【0015】
得られた3種類の粉末醤油を1gづつ秤量管に採取し、湿度80%のデシケーター(温度30℃)中で6時間放置した後、その粉末の状態、およびその粉末を薬サジで圧縮した状態を観察し、以下の基準に従がって評価し、評点を固結度とした。
【0016】
0 粉状で、固結は認めらず、問題なし
1 固結が認められるが、簡単に崩れる
2 固結が認められるが、崩れる
3 固結が認められ、強く圧縮すれば崩れるが、製品価値はない
4 固結が認められ、強く圧縮しても崩れない
結果の一例を表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
表1の結果から、非透過液および非透過液を20%添加して粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0019】
(実施例2)
市販減塩醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末の窒素成分が3.2%、食塩含有量が30%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて実施例1と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)160gを得た。次に同じく減塩醤油1000mlを分画分子量50000(アミコンダイアフローメンブレンXM50)の限外濾過膜により処理し非透過液500mlを得た。この非透過液200mlと上記減塩醤油300mlとを混合し上記と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(本発明)190gを得た。
実施例1と同様にして、両者の固結状態を比較した。
【0020】
【表2】
【0021】
表2の結果から、非透過液を40%添加して粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0022】
(実施例3)
市販の淡口醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末の窒素成分が2.2%、食塩含有量が40%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて実施例1と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)190gを得た。次に同じく淡口醤油1000mlを分画分子量10000(アミコンダイアフローメンブレンYM10)の限外濾過膜により処理し非透過液500mlを得た。この透過液を上記と同様にして粉末化し粉末醤油(本発明)220gを得た。
実施例1と同様にして、両者の固結状態を比較した。
【0023】
【表3】
【0024】
表3の結果から、非透過液を粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0025】
(実施例4)
市販の丸大豆醤油(キッコーマン社製)500mlに、得られる粉末の窒素成分が3.0%、食塩含有量が33%になるようにデキストリン(DE値 9、松谷化学社製)と食塩を加えた調合液を、モービルマイナー型スプレードライヤー(ニロ社製)にて実施例1と同様に噴霧乾燥し、粉末醤油(対照)200gを得た。次に同じく丸大豆醤油1000mlを分画分子量10000(アミコンダイアフローメンブレンYM10)の限外濾過膜により処理し非透過液500mlを得た。この透過液を上記と同様にして粉末化し粉末醤油(本発明)230gを得た。
実施例1と同様にして、両者の固結状態を比較した。
【0026】
【表4】
【0027】
表4の結果から、非透過液を粉末化したものは、対照に比べて固結度が低く保存安定性に優れていることが認められた。
【0028】
【発明の効果】
本発明の粉末醤油は、保存期間中に固結することが少なく、保存安定性に優れているため取り扱いが容易である。
Claims (4)
- 醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を粉末化してなる粉末醤油。
- 被膜処理醤油が火入醤油である請求項1記載の粉末醤油。
- 醤油を分画分子量500以上の濾過膜で処理して得られる非透過液を、原料醤油に10〜90%添加し、これを粉末化してなる粉末醤油。
- 被膜処理醤油及び原料醤油が火入れ醤油である請求項3記載の粉末醤油。
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---|---|---|---|
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---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007049917A (ja) * | 2005-08-17 | 2007-03-01 | Kikkoman Corp | 糖低減化醤油、粉末醤油および糖低減化醤油の製造法 |
JP2007252242A (ja) * | 2006-03-22 | 2007-10-04 | Kikkoman Corp | 粉末醤油、糖低減化醤油、および糖低減化醤油の製造法 |
WO2008068814A1 (ja) | 2006-11-30 | 2008-06-12 | Misato Plaheat Mfg. Ltd. | 粉末乾燥調味料とその製造方法及びその製造装置 |
US9808030B2 (en) | 2011-02-11 | 2017-11-07 | Grain Processing Corporation | Salt composition |
-
2002
- 2002-09-18 JP JP2002271155A patent/JP2004105066A/ja active Pending
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