JP3807734B2 - 破砕面部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用される破砕面部材に関する。この形式の粉砕機として、例えばロール粉砕機、コーンクラッシャー、リングロールミル、竪型ローラミル、エッジランナー等がある。破砕面部材とは、このような粉砕機において破砕面を構成するロール、ローラ、タイヤ、テーブルライナー等を言う。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄鉱石、石炭、コークス、黒鉛、転炉、高炉スラグ、石灰石、クリンカー、岩石等の各種材料を粉砕するために、ロール、ローラ、タイヤ、テーブルライナー等の破砕面部材を組み合わせた種々の粉砕機が使用されている。その中でもセメント工場におけるセメント原料を粉砕する竪型ローラミルは、非常に苛酷な磨耗環境に晒され、特にその粉砕ローラは、高クロム鋳鉄製ローラを使用した場合、破砕面である外周面におおよそ100〜120mm程度の磨耗が早期に生じるが、その磨耗はローラ軸方向で極端な偏磨耗となる。材質が同じ鋳鋼ローラ、鋳鉄ローラの場合、この偏磨耗を防止する方法が無く、局部的な磨耗のため、部分的に肉厚が十分残っていてもローラを交換しなくてはならず、非常に不経済であった。
【0003】
又、高クロム鋳鉄製ローラは、操業中に破損する危険性があり、耐磨耗性を与えるための炭化物を多量析出させると脆くなるので、炭化物の析出量を抑制せざるを得なかった。このため、耐磨耗性に劣り、長期の使用寿命を与えることが出来なかった。
【0004】
このような偏磨耗を発生し材料効率が悪く短寿命の高クロム鋳鉄製ローラに代わり、肉盛りローラを採用すれば、肉盛りワイヤの選択により磨耗が抑制され、しかも偏磨耗対策が可能になり、使用寿命を延長することが出来るようになる。偏磨耗対策としては、ローラ外径が一定である事から、磨耗が顕著な部分に厚く肉盛りワイヤを溶着する必要があり、その部分で母材金属ローラを深く削り取らねばなら無い。従って、偏磨耗の少ない破砕面に較べ、アンダーカット部は深くなり、かつ深さが変化する部分で段差を伴う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高クロム鋳鉄製ローラより寿命を延長するためには、優れた耐磨耗性を持つ硬化肉盛りワイヤを30〜100mm程度の厚みに厚肉盛りする必要がある。また、肉盛り断面は厚い部分と薄い部分が隣り合った不連続断面形状となり、セメント原料ミルローラのように硬化肉盛りワイヤを多量に肉盛りする場合、肉盛り量が約2〜3トンにも達するため、溶接肉盛りによる残留応力が莫大になり、母材金属ローラの段差部(不連続断面部)に応力が集中して、操業中の振動や高面圧荷重等が引きがねになって、母材金属に割れや破損が生じる危険性があった。
【0006】
しかも、硬化肉盛り金属は多数の割れを発生するためにその割れが母材金属に伝播し易いことも影響した。又、硬化肉盛りワイヤを厚く肉盛りするために硬化肉盛り金属がローラ本体から剥離、脱落しやすい問題もあった。
【0007】
本発明の目的は、肉盛り断面に不連続断面形状が存在するにもかかわらず、操業時の振動、高面圧荷重を受けても母材金属の割れや破損、硬化金属の剥離や脱落を防止できる破砕面部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するめに、本発明の破砕面部材は、対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用され、前記破砕面に耐磨耗性硬化金属材料が肉盛りされた破砕面部材であって、破砕方向に直角な方向において顕著な磨耗を受ける部分の母材表面に、破砕方向に連続するアンダーカット部を部分的に設け、該アンダーカット部に、前記破砕方向に所定間隔で配列される隔壁であって、それぞれが前記耐磨耗性硬化金属材料より耐磨耗性が劣る材料からなると共に、当該アンダーカット部の深さとほぼ同じ高さのリブを取り付け、隣接するリブ間に第1の耐磨耗性硬化金属材料を肉盛り充填し、第1の耐磨耗性硬化金属材料の上から破砕面全体に第2の耐磨耗性硬化金属材料を肉盛りしたものである。
【0009】
セメント工場におけるセメント原料粉砕ミルローラのような巨大な寸法を持ち、肉盛り厚みが少なくとも30mm以上を超える厚肉盛りを行なうローラ式粉砕機の粉砕ローラや粉砕テーブルの肉盛り製作に関して、局部磨耗を受ける粉砕面の母材金属ローラに硬化肉盛り金属を厚く肉盛りし、さほど磨耗を受けにくい破砕面に薄く肉盛りを行なって磨耗速度を合致させ粉砕機部材の使用効率を高める必要がある。
【0010】
この要求に対しては、ローラ外径が一定であることから母材金属ローラに厚肉盛り部と薄肉盛り部との異なった肉盛り断面を形成しなくてはならず、厚肉盛り部は深くアンダーカットして、薄肉盛り部との肉盛り面に不連続な断面形状が形成される。操業中の高粉砕面圧や振動によりローラの断面不連続部に集中応力が生じてローラ本体に割れや硬化肉盛り金属に剥離,脱落を発生させる危険性が生じる。
【0011】
このような割れや破損を防止するための簡便な対策として、本発明者は母材金属ローラのアンダーカット部にのみ耐磨耗性の低いリブをローラ周方向に所定間隔で取り付け、隣接するリブ間に耐磨耗性の高い硬化金属を埋め込む。耐磨耗性の低いリブがアンダーカット部内に多数存在することにより、不連続部に集中する応力が分断かつ分散され、これにより母材金属ローラの割れや破損が防止される。
【0012】
更に、割れを多発する炭化物析出型合金肉盛りワイヤは、非常に耐磨耗性に優れている反面、脆く、多層肉盛りを行うと剥離し易い傾向がある。このような
肉盛りワイヤを溶融させながら30mmを超え100mmまでローラの外周面に巻き付ける一般的な肉盛り方法を採用すると溶接残留応力が莫大になり、母材金属ローラと硬化金属との融合線に生じる冶金的不連続部に残留応力が集中してその融合線から一気に硬化金属が剥離、脱落する危険がある。このような剥離、脱落を生じない限界肉盛り厚みは、使用するワイヤの化学成分にもよるが、50mm以下が安全である。しかるに、本発明を適用すれば、50mmを超える厚肉盛りが可能になり、剥離、脱落の発生を回避できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す粉砕ローラの縦断正面図及び縦断側面図、図2は同粉砕ローラが使用される竪型ローラミルの一部破断立面図である。
【0014】
本実施形態の破砕面部材は、竪型ローラミルに使用される粉砕ローラである。竪型ローラミルは、セメント工場におけるセメント原料の粉砕等に使用される。この竪型ローラミルは、図2に示すように、テーブル20上に円周方向に等間隔で配置された3個の粉砕ローラ10を有する。テーブル20は下方の駆動機構40により回転駆動される。粉砕原料はミル中央からテーブル20上に投入される。テーブル20の中央部上に投入された粉砕原料は、テーブル20の回転に伴う遠心力で中央部から外周方向に追いやられ、粉砕ローラ10との間に噛み込まれる。
【0015】
一般にスフェリカルローラと呼称されている3個の粉砕ローラ10は、摩擦力によりテーブル20に追従して回転しており、外周方向へ追いやられる粉砕原料を噛み込んで粉砕する。各粉砕ローラ10に弾性機構30で適切な面圧を加えることにより、必要とする微粉度を得る。粉砕ローラ10の粉砕面である外周面に加わる面圧が莫大であることは前述したとおりである。
【0016】
各粉砕ローラ10は、図1に示すように、破砕面である外周面に、優れた耐磨耗性を持つ硬化金属14を、幅方向(ローラ軸方向)で異なる厚みに肉盛りした偏厚肉盛りローラである。具体的に説明すると、母材金属ローラ11の外周面は周方向に直角なローラ軸方向で湾曲した曲率半径Rの円弧面である。この外周面の幅方向中央部が幅方向でほぼ同じ厚みにアンダーカットされており、このアンダーカット部12内に当該アンダーカット部12の深さDとほぼ同じ高さのリブ13が、ローラ周方向に所定の間隔で配列され、母材金属ローラ11の外周面に固定されている。
【0017】
リブ13は、硬化金属14より耐磨耗性が低い材料からなり、隣接するリブ13,13間には第1の硬化金属14aが肉盛り充填されている。これにより、アンダーカット部12内の肉盛りが完了し、その表面と両側の母材表面とが面一になる。そして更に、第1の硬化金属14aの上から母材金属ローラ11の外周面全体に第2の硬化金属14bが目標とする肉厚まで肉盛りされている。
【0018】
第1の硬化金属14aの肉盛りは、フラックス入り硬化肉盛りワイヤを使用するノンガスアーク、炭酸ガスアーク溶接等により施工される。第2の硬化金属14bの肉盛りは、ローラ外周面に同じくフラックス入り硬化肉盛り溶接ワイヤを溶融させながら巻き付ける方法で施工される。
【0019】
このように2通りの肉盛り方法が適用されることにより、磨耗が顕著な偏磨耗部が厚肉盛りとされるが、アンダーカット部においては、耐磨耗性が低いリブを用いたスリット肉盛り法により、厚肉盛りにより発生する溶接残留応力が無害化される。更にその上に溶接硬化ワイヤによる溶融金属を巻き付け肉盛りすることにより、所定の肉厚分布の硬化金属が形成され長寿命化が図られる。
【0020】
更なる特徴は、円周巻き付け肉盛り部(第2の硬化金属部)が磨耗消失してから、スリット肉盛り部(リブもつ第1の硬化金属部)が現れ、低下しつつある粉砕能力がスリット肉盛り部の優れた噛み込み性により回復し再度維持されるようになり、結果として全肉盛り厚みに対して粉砕能力が持続するようになる。
【0021】
耐磨耗性の低いリブの材質には、通常軟鋼、炭素鋼、14%マンガン鋼、ステンレス鋼等板が選択される。これら材質は、母材金属ローラと同じ材質であるか若しくは優れた靭性を持つ。またリブの板厚は、6〜9mmが望ましく、その高さはアンダーカット深さにほぼ相当する深さが選択される。リブの取り付け間隔は30〜50mmが好ましい。これらのリブはアンダーカット部内に溶接で取り付けられる。隣接するリブに囲まれた空間に溶接硬化肉盛りワイヤが充填肉盛りされてアンダーカット部の肉盛り施工が完了する。
【0022】
溶接残留応力は、もしリブ(隔壁)が存在しないと仮定すれば、肉盛りワイヤはローラ円周上に巻き付ける方法で肉盛りされるようになり、破砕部断面から見れば、アンダーカットされた機械加工線と融合して境界を形成する溶接融合線がローラ円周上に連続して形成され、この融合線は冶金的な不連続部を形成するために、その部分に応力集中を招来するようになる。冶金的な不連続線となる理由としては、母材金属ローラと溶接硬化肉盛りワイヤとが異質材料で、それぞれの物理的性質が圧倒的に異なることと、硬化肉盛り金属には多数の割れが発生しており、この割れが伝播してローラ素材の割れや破壊に繋がる危険性が大きくなることがある。特に溶着金属が厚く肉盛りされればされる程、溶接残留応力が増大して、割れ伝播の危険性が高くなり、硬化金属が一挙にローラ本体から剥離、脱落し易くなる。したがって、連続した冶金的な不連続部の形成は、応力集中の点から絶対避けねばならないことである。
【0023】
このような観点から、耐磨耗性の低いリブ、代表的には軟鋼壁は、ローラ円周上に等間隔で多数溶接により取り付けられており、軟鋼壁で形成された各空間毎に溶接肉盛りが完了されるために、応力発生は各ブロック内部に閉じ込められ分散されるので、連続肉盛りに較べ応力蓄積が大幅に軽減される。又、軟鋼壁が肉盛り中に変形して溶接残留応力を吸収する点からも、応力蓄積が軽減される。
【0024】
耐磨耗性の低いリブ、代表的には軟鋼壁は、冶金的な不連続線を断ち切る効果を発揮して応力集中を防止し、操業中には、ローラの粉砕面が受ける繰り返しせん断応力を吸収し、脆い溶着金属の剥離脱落をも防止する。
【0025】
ローラ円周巻き付け肉盛り方法では、連続した肉盛り線をローラ全周に形成するので、母材金属と溶接肉盛り金属との間の冶金的な不連続線がローラ全周に形成されることになる。そして、その部分に溶接残留応力が集中して、一旦割れが発生すると、割れはその線上を伝播し続けて溶接残留応力が完全に解放されるまで伝播する。
【0026】
このような集中応力による母材割れや硬化金属の剥離、脱落、破損を防止するためのリブの効果は、(1)その板厚、(2)取り付け本数、(3)その高さなどにより大きな影響を受ける。
【0027】
(1)リブの板厚wは、隣接するリブの間隔、即ちこの間の第1の硬化金属のローラ周方向長さをWとして、0.1W≦w≦Wの範囲内が好ましい。例えば、W=50mmの場合、wの範囲は5.0mm〜50mmになる。wを大きくすれば、ローラ素材の補強ブロックの効果が増大し、ローラ素材の破損を防止する上で非常に有効になる。しかし、あまり厚くすると、耐磨耗硬化金属の長さが減少して磨耗が促進されるようになる。又、あまり小さくすると補強部材としての効果も無くなる。実際に最も多く適用される板厚wの範囲は6.0〜12mmである。
【0028】
(2)リブの取り付け本数が多いほど母材ローラや硬化金属の剥離、脱落防止に効果があるが、その取り付け本数は、wの大きさ、Wの大きさにより決定される。実際面から考慮すれば、板厚wは6〜12mmの範囲にあり、Wの大きさ、即ち耐磨耗性に優れた第1の硬化金属の長さは20〜60mmの範囲が考慮されるが、実用上、最も多く選択されるWは30〜50mmの範囲である。これらの2因子で取り付け枚数が決定される。
【0029】
(3)リブの高さは、素材ローラの割れや破損、硬化肉盛り金属の剥離、脱落という2つの問題を解決するための最も有効な因子になる。硬化金属の肉盛り厚が30mmを超え100mmまで肉盛りする場合、一般的にローラの肉盛り方法に採用されているローラ円周方向に肉盛りワイヤを溶融させて巻き付ける方法によれば、50mmを超える溶着金属を肉盛りすると、ローラ母材との境界線から一気に応力解放するための剥離、脱落を生じる危険性が高い。その理由は、素材ローラと硬化肉盛り金属の性質が著しく異なるために、その融合線に一種の冶金的な不連続部が形成され、その部分に多層肉盛りにより生じた溶接残留応力が集中してローラ素材に割れを発生させ、硬化肉盛り金属の剥離や脱落を発生させる。硬化肉盛り金属の場合には50mmを超えると剥離、脱落の危険性が生じるようになるが、素材ローラに発生する割れや脱落は硬化金属の厚みが30mm以上から発生していた。
【0030】
A)硬化肉盛り金属の脱落を防止できるスリット肉盛り厚み(第1硬化金属厚)は、全硬化金属厚みとの関係で表すと表1のとおりである。円周巻き付け肉盛り(第1硬化金属)の限界厚みは50mmである。硬化金属の剥離、脱落に関しては、50mm以上の肉厚を与えると、これが発生するので、スリット肉盛りの厚みは、全肉厚から剥離肉厚50mmを差し引いた厚みを適用すれば良い。
【0031】
【表1】
【0032】
B)母材金属の割れ、破損を防止できるスリット肉盛り厚み(第1硬化金属厚)は、全硬化金属厚みとの関係で表すと表2のとおりである。母材金属の割れ、脱落に関しては、硬化金属の厚みが30mmを超えて発生する。従って、母材の割れや破損を防止するためのスリット肉厚は全硬化金属の厚みの1/3以上となる。
【0033】
【表2】
【0034】
A)B)の両条件を満足する範囲を総括すると表3になる。ここに記載されたスリット肉盛り厚み(第1硬化金属厚)を採用することにより、硬化肉盛り金属の脱落、母材金属の割れ、破損の両方を防止できる。即ち、大きいほうのスリット肉盛り厚み(第1硬化金属厚)、具体的には全硬化金属厚みが80mm未満の場合はB)を採用し、全硬化金属厚みが80mm以上の場合はA)を採用することにより、硬化肉盛り金属の脱落、母材金属の割れ、破損の両方を防止できる。
【0035】
【表3】
【0036】
従来、一般的に使用されているローラ円周にワイヤを溶融させて巻き付ける肉盛り方法に関しては、硬化金属の肉厚が約30mm以上から素材ローラの一部に割れを発生する危険性が増大し、さらに硬化金属の肉厚が50mm以上を超えるとその一部の割れを起点として、20mm厚く肉盛りしたことによる溶接残留応力の増加により、一気に硬化金属との境界部から引き裂く剥離、脱落が発生した。これは、溶接残留応力が完全に解放されバランスが取れる距離まで亀裂が進展し、その間の溶着金属が剥離、脱落することに繋がった。本実施形態によるとこれが効果的に防止され、30mm以上、更には50mm以上の硬化金属肉厚が可能になる。
【0037】
【実施例】
セメント工場におけるスラグ、クリンカー粉砕ローラに関しての実施例を説明する。
【0038】
粉砕機は、1時間当たり90〜100トン/時の粉砕能力を持つ竪型ローラミル(図2)である。粉砕ローラ(図1)は、重量が7〜10トン、最大直径が約2300mm、最大幅が約700mmという巨大ローラである。ローラ素材肉厚は最大径部で約160mmである。粉砕ローラの粉砕面に加わる面圧は莫大であり、外周の破砕面に肉盛りされた硬化金属の断面形状が不連続形状になって場合、高面荷重により不連続部に集中応力が発生してローラ素材に割れが多発する。その割れはローラ素材表面上の無数の不規則な場所から垂直に進展しており、その最大深さは約50mmにも達し、破壊の危険性もあった。また、ある場合には、ローラの外周面ににほぼ平行な剥離割れを生じることもあった。母材金属ローチの材質は鋳鋼であり、JIS炭素鋼鋳鋼品SC460相当品である。
【0039】
特に鋳鋼品の場合は、結晶の成長に方向性があり、最後に凝固する。粒界に低融点の不純物が集積し易く、高面圧を受ける用途では、上記粒界に沿って割れや破壊を発生し易い性質がある。
【0040】
このような状況下で、アンダーカット部にスリット方法を適用することにした。硬化金属の全肉厚は60mmであり、母材金属ローラ表面(アンダーカット部の底面)から35mmまでリブによるスリット方法を採用した。但し、35mmのうらの下5mmは下盛り層で耐磨耗性は無い。あくまで割れ伝播防止用として肉盛り層である。
【0041】
リブは軟鋼壁であり、9mmのフラットバー材を使用し肉厚wを9mmとした。その高さは前述したとおり35mmである。ローラ素材面の幅方向中央部に形成された深さ35mmのアンダーカット部内に120個のリブを約50mmの等間隔で溶接により取り付けた。アンダーカット部を埋めるリブ間のスリット肉盛りは、SB−0ワイヤを使用した埋め込み肉盛り施工である。
【0042】
スリット肉盛り完了後、スリット肉盛り面を含めたローラの外周面全体に約25mm厚みにSB−0ワイヤを溶融させながら巻き付けた。SB−0ワイヤの化学成分はC:4.5%、Cr:22%、Nb:7.0%、Mo:2.0%、V:1.5%であり、硬度はHV750〜850、磨耗係数は2.8〜4.0である。
【0043】
従来、この種の破砕ローラは、耐磨耗性付与のために、アンダーカット部を含め高クロム鋳鉄系ワイヤでローラ円周巻き付け肉盛り施工方法を実施していたが、使用開始から約2,000時間で母材金属ローラの亀裂発生や硬化金属の剥離、脱落を生じ、交換を余儀なくされていた。しかるに、本実施例のローラは、約4,000〜6,000時間を経過しても、硬化金属の剥離やローラ素材の亀裂を発生することが無かった。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明の破砕面部材は、セメント工場におけるセメント原料粉砕ミルローラのような巨大な寸法を持ち、肉盛り厚みが少なくとも30mm以上を超える厚肉盛りを行なうローラ式粉砕機の粉砕ローラや粉砕テーブルの肉盛り製作に関して、局部磨耗を受ける粉砕面の母材金属ローラに硬化肉盛り金属を厚く肉盛りし、さほど磨耗を受けにくい破砕面に薄く肉盛りを行なって磨耗速度を合致させ粉砕機部材の使用効率を高めるような場合にあって、深くアンダーカットした厚肉盛り部と薄肉盛り部との間に形成される不連続な断面形状の不連続部に操業中の高粉砕面圧や振動により集中応力が生じることによる母材金属ローラの割れや硬化肉盛り金属の剥離、脱落を、簡易な施工法により効果的に防止できる。これにより50mmを超える厚肉盛りを可能し、母材金属ローラの割れ防止、硬化金属の剥離、脱落の防止と合わせ、従来より格段に長い使用寿命を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態を示す粉砕ローラの縦断正面図、(b)は(a)中のA−A線矢示図で、同粉砕ローラの主要部の縦断側面図である。
【図2】同粉砕ローラが使用される竪型ローラミルの一部破断立面図である。
【符号の説明】
10 粉砕ローラ
11 母材金属ローラ
12 アンダーカット部
13 リブ
14 硬化金属
20 テーブル
Claims (1)
- 対向する破砕面の間に材料を連続的に噛み込んで粉砕する形式の粉砕機に使用され、前記破砕面に耐磨耗性硬化金属材料が肉盛りされた破砕面部材であって、破砕方向に直角な方向において顕著な磨耗を受ける部分の母材表面に、破砕方向に連続するアンダーカット部を部分的に設け、該アンダーカット部に、前記破砕方向に所定間隔で配列される隔壁であって、それぞれが前記耐磨耗性硬化金属材料より耐磨耗性が劣る材料からなると共に、当該アンダーカット部の深さとほぼ同じ高さのリブを取り付け、隣接するリブ間に第1の耐磨耗性硬化金属材料を肉盛り充填し、第1の耐磨耗性硬化金属材料の上から破砕面全体に第2の耐磨耗性硬化金属材料を肉盛りしたことを特徴とする破砕面部材。
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