JP3807000B2 - ポジトロンect装置 - Google Patents

ポジトロンect装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3807000B2
JP3807000B2 JP35486296A JP35486296A JP3807000B2 JP 3807000 B2 JP3807000 B2 JP 3807000B2 JP 35486296 A JP35486296 A JP 35486296A JP 35486296 A JP35486296 A JP 35486296A JP 3807000 B2 JP3807000 B2 JP 3807000B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data
address
radiation
mask
collected
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP35486296A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10186038A (ja
Inventor
昌治 天野
友彦 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP35486296A priority Critical patent/JP3807000B2/ja
Publication of JPH10186038A publication Critical patent/JPH10186038A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3807000B2 publication Critical patent/JP3807000B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Nuclear Medicine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多数の検出器をリング型に配列したポジトロンECT装置に関し、とくにマスクデータ収集手法によるエミッションデータ・トランスミッションデータ同時収集方式のポジトロンECT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポジトロンECT装置は、ポジトロン放出性の放射性核種を用い、その消滅ガンマ線を検出して核種の分布像を撮影するものである。たとえば人体にポジトロン放出性の放射性核種で標識された薬剤を投与すると、特定の臓器に集積する。そのとき人体の外部に放出されてくるガンマ線を、人体外に配置した検出器で検出してデータを収集する。消滅ガンマ線は180゜反対の方向に放出されるので、1対の検出器に同時に入射したことを検出し、その1対の検出器を結ぶ線上に核種が存在していることのデータを得る。このような同時計数によって収集したデータを所定のアルゴリズムで処理することにより、所定の断面での核種の濃度分布像を再構成する。この再構成画像は特定の臓器の診断のために用いられる。
【0003】
被検体外部でガンマ線を検出する検出器としてシンチレーション検出器などが用いられ、これが多数リング型に配列される。この検出器のリング型配列の平面に位置している核種からのガンマ線のうち上記の平面に平行に放出されたものがリング型に配列された検出器のどれかに入射して検出されるので、被検体のこの平面(スライス面)でのデータが収集されることになり、再構成画像はこのスライス面における核種の濃度分布像ということになる。
【0004】
一方、このポジトロンECT装置では、被検体の内部の核種からの放射線を外部において検出するため、その放射線が被検体の内部で吸収されてしまうことの影響を受けることが避けられない。そのため、再構成画像では被検体の中央部の濃度が異常に低いものとなったり、定量的な測定ができず精度が低いなどの問題が生じる。
【0005】
そこで、被検体における吸収分布を求めて、これによりエミッションデータにおける吸収の影響を補正しようという考えが登場する。この吸収分布はいわゆるトランスミッションデータを収集することにより求められる。ここでトランスミッションデータ(透過データ)とは、被検体の内部から放射される放射線によるデータであるエミッションデータ(放射データ)に対するもので、被検体の外部から放射され被検体を透過した放射線によるデータをいう。
【0006】
具体的には、検出器のリング型配列の内部に放射性薬剤の投与されていない被検体を配置するとともにポジトロン放出性の線源を配置し、これを検出器のリング型配列に沿って被検体の周囲に回転させ、その回転角度ごとに同時計数データを収集する。つぎに被検体を検出器のリング型配列内から取り出した上で、線源を同じように回転させながら同時計数データを収集する。前者のデータは放射線が被検体を通ることによる吸収の影響を受けたものであるのに対して、後者のデータにはこのような影響はない。そこで、これらのデータの関係から、吸収の影響がわかる。そこで、今度は被検体に放射性薬剤を投与して検出器のリング型配列内に配置してエミッションデータを収集する(このとき被検体外部の線源は取り除かれている)。このエミッションデータを上記の関係に応じて補正すれば、吸収の影響を除くことができる。
【0007】
従来では、このように被検体についてのトランスミッションデータとエミッションデータは、被検体に放射性薬剤を投与した状態と投与していない状態とで別々に収集していたため、検査時間がかかり、被検体(患者)を固定している時間が長くかかっていた。そこで、特開平4−168392号公報では、被検体に放射性薬剤を投与した状態でトランスミッションデータとエミッションデータとを同時に収集するようにして、検査時間の短縮、患者固定時間の短縮を図っている。
【0008】
すなわち、これは、被検体の周囲に回転させる外部線源の位置が容易に検出でき、その位置が分かれば、それからの放射線によるデータがアドレス上でどの領域に現れるかも分かることに着目したものである。その領域をマスクしてその領域ではデータ収集しないこととすれば、被検体に放射性薬剤を投与した状態で外部線源を回転させるようにしても、エミッションデータが得られ、また、これと同時に、一切マスクせずにデータ収集し、このデータから上記のエミッションデータを引けばトランスミッションデータを得ることができる、というのである。
【0009】
さらに本発明者等は、このマスクデータ収集手法によるエミッションデータ・トランスミッションデータ同時収集方式を発展させて、データの定量性を高めた提案も行っている(特願平7−353619号)。被検体の周囲に回転させる外部線源は放射能の高いものを用いるためその線源周囲に散乱線を生じ、それにより収集したデータに大きな誤差が含まれることになる。そこで、エミッションデータ収集用のマスクのマスク部(遮蔽部)の面積を、外部線源からの放射線によるデータが現れる領域よりは大きなものとしてその周囲に現れる散乱線ノイズを取り除いてエミッションデータ収集するとともに、トランスミッションデータ収集についてもマスクを用い、そのマスクの通過部(マスクされない領域)を狭くし、散乱線ノイズを排除して外部線源からの放射線によるデータのみを収集する。こうすることにより、外部線源の散乱線ノイズの影響をなくして、データの定量性を高めることができる、というのがこの提案である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のマスクデータ収集手法によるエミッションデータ・トランスミッションデータ同時収集方式では、いずれにしても、トランスミッションデータとして収集したデータ中に含まれるエミッションデータ成分を正確に取り除くことができず、定量性は完全ではない、という問題がある。
【0011】
すなわち、特開平4−168392号公報では、マスクせずに収集した第1のデータからマスクして収集した第2のデータを減じてトランスミッションデータを得ているため、マスク領域では第2のデータは無であるから、このマスク領域では減算結果として第1のデータがそのまま残る。この残存したマスク領域での第1のデータというのは、外部線源からの放射線がとるであろうアドレスでの放射線を全てカウントしたものであるから、この外部線源を通るものであれば被検体内部からの放射線もカウントしたものということになる。そのため、このエミッションデータ成分を正確に減じなければ、精度の高いトランスミッションデータは得られない。
【0012】
このことは、特願平7−353619号でも同様である。これでは、トランスミッションデータもマスクして収集しているが、マスクされない領域に入るデータは、外部線源からの放射線によるもの以外に被検体内部からの放射線によるものも含んでいるため、そのエミッションデータ成分を推定してこれが含まれないような値に変換している。ところが、被検体内部から放射されて外部線源を通る放射線は、外部線源を通る際に吸収されるため、この外部線源での吸収の影響をも考慮しなければ、正確なトランスミッションデータを得ることはできない。
【0013】
この発明は、上記に鑑み、マスクデータ収集手法によってエミッションデータとトランスミッションデータとを同時収集する際に、トランスミッションデータとして収集したデータに含まれるエミッションデータ成分を、そのエミッションデータ成分が外部線源での吸収の影響を受けたものであることを正確に見積もった上で、除去して正確なトランスミッションデータを得、これによってデータの定量性を高めるよう改善した、ポジトロンECT装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明によるポジトロンECT装置においては、多数の放射線検出手段がリング型に配列された放射線検出手段のリング型配列と、上記の多数の放射線検出手段のうちの2つから同時に出力が生じたことを検出する同時検出手段と、該2つの検出手段の対を、対応するアドレス信号に変換するアドレス変換手段と、該アドレス信号が生じたときそのアドレス信号で指定されるアドレスにおいてカウントすることによりデータ収集する手段と、上記リング型配列内に配置され、該リング型配列に沿って回転移動させられるポジトロン放出性放射線発生手段と、その回転位置情報を得る手段と、該回転位置情報に応じて変化させられる、上記アドレス上のマスク領域をマスクすることによりその領域内のアドレスではカウントさせないこととして、ポジトロン放出性物質を含む被検体が上記リング型配列内に配置されているときに上記データ収集手段においてトランスミッションデータとエミッションデータとを別個に同時収集させる手段と、上記被検体の代わりにポジトロン放出性物質を含むファントムを配置するとともに上記ポジトロン放出性放射線発生手段の代わりにこれと同じ吸収特性を有する吸収体を用い、該吸収体を回転させながら収集した該ファントムからの放射線によるエミッションデータと該吸収体を取り除いた状態で収集した該ファントムからの放射線によるエミッションデータとの関係から放射線が上記ポジトロン放出性放射線発生手段を透過する際に受ける吸収に関するデータを求める手段と、上記トランスミッションデータとして収集されたデータから、対応するアドレスのエミッションデータに上記吸収データを作用させることにより補正したデータを減算してエミッションデータ成分を除いたトランスミッションデータを得る手段と、該エミッションデータ成分を除いたトランスミッションデータと被検体が上記リング型配列内に配置されていないときのトランスミッションデータとの関係に応じて上記のエミッションデータの吸収補正を行う吸収補正手段とが備えられることが特徴となっている。
【0015】
放射性薬剤の投与された被検体の周囲に線源を回転させ、その回転位置に応じて変化するマスクを用いて選別しながらデータ収集することにより、トランスミッションデータとエミッションデータとを同時収集することができるが、この収集されたトランスミッションデータにはエミッションデータ成分が含まれている。このエミッションデータ成分は、被検体から外部に放射された放射線によるデータであって、基本的には、上記のエミッションデータに対応しているが、外部線源を通ることからこれによって吸収されたものとなっている。
【0016】
一方、上記被検体の代わりにポジトロン放出性物質を含むファントムを配置するとともに上記外部線源の代わりにこれと同じ吸収特性を有する吸収体を用いる。この吸収体を回転させながら該ファントムからの放射線によるエミッションデータを収集する。また、この吸収体を取り除いた状態でもそのファントムからの放射線によるエミッションデータを収集する。この吸収体のある・なしのエミッションデータの間の関係から外部線源における吸収データがアドレスごとに求められる。
【0017】
この吸収データを上記のエミッションデータ(同時収集したうちの一方)に作用させれば、外部線源を通った放射線によるエミッションデータを正確に見積もることができる。そこで、上記の収集したトランスミッションデータの各アドレスのデータから、対応するアドレスの上記のエミッションデータ(同時収集したうちの一方)に吸収データを作用させて補正したものを減算すれば、外部線源での吸収の影響を正確に補正したエミッションデータ成分を収集したトランスミッションデータから取り除くことができたことになり、正確なトランスミッションデータを得ることができる。
【0018】
そこで、このトランスミッションデータと被検体が配置されていないときのトランスミッションデータとの関係を用いることにより、エミッションデータにおける吸収補正(被検体自体での吸収の補正)を行うことができて、データの定量性が高められる。
【0019】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この発明にかかるポジトロンECT装置では、図1に示すように、多数の放射線検出器11がリング型に配列されており、そのリング型配列10の中に被検体(患者)30が配置されるようになっている。これらの検出器11の各出力はコインシデンス回路12に導かれ、いずれか2つの検出器11に同時に放射線が入射してこれらから出力が同時に生じたことが検出される。そして、このように同時に2つの検出器11から出力が生じてこれがコインシデンス回路12により検出されると、そのコインシデンス回路12からの出力がアドレス変換器13に送られ、その2つの検出器11の組み合わせに応じたアドレス変換がなされる。
【0020】
このアドレス変換は、2つの検出器11から同時に出力が生じたとき、その2つの検出器11を結ぶ線に関する位置情報に変換するものである。この2つの検出器11を結ぶ線の位置を表す情報は、たとえば図1に示すように、角度θと中心からの距離dとで表されるものである。つまり、ある2つの検出器11で同時に検出信号が生じたとき、それらの検出器11を結ぶ線を表すθとdよりなるアドレスへの変換がなされる。
【0021】
こうして変換されて出力されたアドレス信号は2つのマスク処理回路14、15を経てそれぞれのデータ収集用のメモリ21〜25に送られて、各アドレスごとにカウントされる。すなわち、各データ収集用メモリ21〜25では、それぞれ、あるアドレス信号が入力されるとそのアドレスに「1」を加算することにより、(d、θ)で表わされるアドレスごとにガンマ線入射個数を示すカウント値を集積していく。
【0022】
一方、ライン線源18が、図では省略されている機構により、点線のように検出器リング型配列10内でこれに沿って所定の小さな角度ごとにステップ的に回転移動させられる。このライン線源18は、ライン状に形成された放射線源であり、スライス面(検出器リング型配列10が含まれる平面)に直交するよう配置される(図では紙面に直角に配置される)。このライン線源18はポジトロン放出性の核種により形成されている。
【0023】
そこで、ポジトロン放出性の核種により標識された薬剤の投与された被検体30を検出器11のリング型配列10中に配置し、ライン線源18をその周囲に回転させるときにメモリ21〜25で収集されるデータは、マスク処理回路14、15での処理を考えないものとすると、図3のようになるはずである。なお、図3のようにアドレス(d、θ)ごとにカウント値を集積したデータをサイノグラムという。
【0024】
図3の(a)〜(d)のサイノグラムは、ライン線源18が図2の(a)〜(d)のようにそれぞれ位置している時点で収集されたものを示している。実際には、ライン線源18が1回転していく期間で得られるアドレス信号が、すべて対応するアドレスに加算されていくので、図3の(a)〜(d)のようなサイノグラムが個別に得られるわけではなく、これらが加算された(重なった)ものとなる。図2の(a)のようにライン線源18が上方にあるとき、図3の(a)のサイノグラムのように、ライン線源18によるデータは角度0°で中央(dの中心)に集中し、角度90°で右端になり、角度180°で中央に位置する。そのため、図3の(a)では、ライン線源18によるデータは曲線42のようなものとなる。これに対して、被検体30は左右方向に偏平であるため、被検体30内の核種からのガンマ線によるデータは、角度0°と180°でd方向に広い領域で、角度90°でd方向に狭い領域で収集される。そのため、被検体30からのデータは砂目模様部分41のようになる。
【0025】
同様に、図2の(b)のようにライン線源18が左方にあるときは、ライン線源18からのデータは図3の(b)の曲線42の位置で収集され、図2の(c)のようにライン線源18が下方にあるときは、ライン線源18からのデータは図3の(c)の曲線42の位置で収集され、図2の(d)のようにライン線源18が右方にあるときは、ライン線源18からのデータは図3の(d)の曲線42の位置で収集される。これに対して、被検体30からのデータは、ライン線源18がどのような位置にあっても、被検体30は不変であるから、同じような形状の砂目模様部分41で収集される。
【0026】
そこで、ライン線源18の位置とともに動いていく、ライン線源18からのデータ収集領域42に対応した通過部を持つマスクをマスク生成器16から、ライン線源18からのデータ収集領域42に対応した遮蔽部(マスク部)を持つマスクをマスク生成器17から発生させる。マスク生成器16は図4に示すようなマスクを生成し、マスク生成器17は図5のようなマスクを生成する。このようなマスクによりマスク処理回路14、15が行う処理は、特定のアドレスは通過させ、他の特定のアドレスは遮蔽(マスク)して通過させないという処理であり、ここでのマスクとは、その通過させるアドレス部(通過部)と、遮蔽するアドレス部(遮蔽部)とを持つものをいうこととする。図4、図5では、砂目模様の部分が遮蔽部で、白抜き部分が通過部である。
【0027】
これらのマスクをライン線源18の位置に対応して生成するため、ライン線源18の位置情報がマスク生成器16、17に入力される。この位置情報は、ライン線源18の回転位置を読み取る回転位置読み取り装置19によって得られる。この回転位置読み取り装置19はたとえばパルスエンコーダとカウンタ等から構成される。
【0028】
ライン線源18が図2の(a)〜(d)の各位置にあるときに図4の(a)〜(d)のようなマスクがマスク生成器16で生成されてその白抜き部分のみがマスク処理回路14を通過させられるので、図3の領域42のデータのみが通過させられることになる。つまり、ライン線源18からの放射線によるTmデータ(トランスミッションデータ)が取り出される。このTmデータは、データ収集メモリ22に送られてデータ収集がなされる。このメモリ22をTmメモリといい、マスク生成器16はTマスク生成器、マスク処理回路14はTマスク処理回路ということにする。ライン線源18が回転し、それに伴いマスクが図4の(a)〜(d)のように変化し、1回転(360°)する期間にTmメモリ22の各アドレスで加算がなされることによりデータ収集が行われる。
【0029】
他方、ライン線源18が図2の(a)〜(d)の各位置にあるときに図5の(a)〜(d)のようなマスクがマスク生成器17で生成されてその白抜き部分のみがマスク処理回路15を通過させられる。この遮蔽部(砂目模様部分)は、図3の領域42に対応しているが、その幅が拡大されたものとなっている。そこで、ライン線源18からの放射線によるデータおよびその周辺のデータが遮蔽され、それ以外の領域のデータ、つまり被検体30中の核種からのEmデータ(エミッションデータ)のみが取り出される。このEmデータは、データ収集メモリ25に送られてデータ収集がなされる。このメモリ25をEmメモリ、マスク生成器17をEマスク生成器、マスク処理回路15をEマスク処理回路という。Emメモリ25では、ライン線源18の回転に伴い図5の(a)〜(d)のように変化していくマスクの通過部を通ったデータを、そのアドレスごとに加算していく。
【0030】
ここで、図5のマスクの遮蔽部の幅が広いものとなっているため、Emメモリ25ではライン線源18からのデータのみならず、その周辺のアドレスのデータも収集されないことになる。そのため、強い放射能を持つライン線源18の周辺に生じる散乱線によるノイズは収集されないこととなる。このように遮蔽部の幅が広いが、この遮蔽部はライン線源18の回転とともに図5の(a)〜(d)のように動いていくので、ライン線源18の1回転の期間内ではつねに遮蔽されてしまう領域はなく、おおむね均等にデータ収集される。
【0031】
しかし、厳密にいうと各アドレスで均等な効率でデータ収集されるわけではない。これは、ライン線源18の1回転の期間に変化する図5のマスクによって遮蔽されている時間(あるいは通過部となっている時間)が、すべてのアドレスで同一でなく、アドレスによって異なることに原因がある。そのため、検出器11の各々の対から一様に検出出力を生じさせた場合、本来ならサイノグラムのどのアドレスでも均一なカウントとなるはずであるが、実際にはこれらのマスクの作用でカウントの高いアドレスと低いアドレスとが生じる。
【0032】
Eマスク感度補正回路27は、このEマスクによる感度不均一性を補正するものである。補正係数Cが別途アドレスごとに求められており、この補正係数CをアドレスごとのEmに乗算することにより、Eマスクによる感度不均一性が補正される。補正後のEmデータをEtとすると、つぎの式のようになる。
Et=Em・C
この補正係数Cは、たとえば、検出器11のすべての対から一様に出力を生じさせ、Eマスクを1回転分変化させて、その期間、Eマスク処理回路15で処理されたアドレス信号をEmメモリ25で収集し、アドレスごとのデータを比較してみることにより求められる。すなわち、このようにして収集したデータは本来どのアドレスでも同じ値となるはずであるのにアドレスによって異なった値となっているのであるから、たとえば平均値で各アドレスの値を割った値の逆数を求めることにより補正係数Cを求めることができる。あるいは、Eマスクの各角度ごとのパターン(1回転分のパターン)はあらかじめ分かっているため、コンピュータシミュレーションによって各アドレスのデータを求めて、補正係数Cを求めるようにしてもよい。
【0033】
一方、Tmメモリ22に収集されたTmデータには、ライン線源18からの放射線による真のトランスミッションデータのみならず、Tマスク(図4)を通った被検体30からのエミッションデータも含まれている。そして、このTmデータに含まれるエミッションデータ成分は、基本的にはEmデータと同じものと見てよい。TmデータとEmデータは同一対象を同一時間測定したものであるからである。しかし、厳密にいうと、EmデータはEマスクによってライン線源18を通ったものを排除したものであるのに対して、Tmデータに含まれるエミッションデータ成分はライン線源18を通ってそこで吸収されて減衰したものとなっている点で違いがある。そのため、Eマスク感度補正したEtデータをTmデータから対応するアドレスごとに減算すると過大に減算することになり、ライン線源18での吸収減衰分だけ小さくなり過ぎる。
【0034】
そこで、図6のように、ライン線源18と同じ吸収特性を有するライン状吸収体51を用い、これをライン線源18と同じに回転移動させる。このライン状吸収体51は放射能を持たず、単に放射線を吸収するだけのもので、吸収特性がライン線源18と同じになるよう、ライン線源18と同じ吸収係数を有する物質からなり、ライン線源18と同じ大きさ(太さ)とされている。そして、Ga−60等のポジトロン放出性核種を入れたファントム52を被検体30の代わりにリング型配列10内に配置する。この状態で、Tマスク生成器16からのTマスクを用いて処理するTマスク処理回路14を経たアドレス信号を、アドレスごとにTcメモリ23でカウントし、Tcデータを収集する。
【0035】
また、図7に示すようにこのライン状吸収体51を取り除き、ファントム52のみとした状態で、同様に、Tマスク生成器16からのTマスクを用いて処理するTマスク処理回路14を経たアドレス信号を、アドレスごとにTvメモリ24でカウントし、Tvデータを収集する。
【0036】
このTcデータとTvデータとの比(Tc/Tv)は、ライン状吸収体51のある・なしのデータの比であるから、ファントム52から出た放射線のライン状吸収体51での吸収減衰を表わすものとなっている。そこで、トランスミッションデータ補正回路26において、つぎの演算を行ってTtデータを得る。
Tt=Tm−Em・k・(Tc/Tv)
ここで、kはTマスクとEマスクとの間の収集効率の比であり、この式の右辺の第2項は、Tmデータに含まれる真のエミッションデータ成分となる。すなわち、Emデータは上記の通りEマスクによる感度不均一性の影響を受けているが、Tmデータに含まれる被検体30からのエミッションデータもまたTマスクによる感度不均一性の影響を受けている(なお、Tmデータに含まれる線源18からの放射線によるデータはTマスクをつねに通過するのでTマスクの影響を受けず、Tマスク感度不均一性補正の必要はない)。そこで、あらかじめ、検出器11のすべての対から一様に出力を生じさせ、TマスクおよびEマスクを1回転分変化させて、その期間、Tマスク処理回路14およびEマスク処理回路15で処理されたアドレス信号をTmメモリ22やEmメモリ25で収集するか、あるいはこれと同等の処理をコンピュータシュミュレーションで行って、その各アドレスでのカウントTCDおよびECDをそれぞれ得て、k=TCD/ECDを各アドレスごとに求めておき、このkをEmに乗じれば、Eマスクを通して収集された各アドレスのカウントを、Tマスクを通して収集した被検体30からのエミッションデータに変換することができる。そして、このEm・kに(Tc/Tv)を乗じることは、被検体30からの放射線のライン線源18での吸収減衰を補正することになる。そのため、上記の式で得られるTtデータは、Tmデータに含まれる真のエミッションデータ成分を除去した、ライン線源18から放射線によるデータのみからなる真のトランスミッションデータとなる。
【0037】
このTtデータは吸収算出回路28に送られて、Tメモリ21から読み出されたTデータと比較される。このTデータは、被検体30を配置しない状態でライン線源18のみを回転させたときTメモリ21で収集したデータであり、被検体30が存在しないため、被検体30による吸収をまったく受けていないものである。そのため、各アドレスごとに求めたそれらの比(Tt/T)は、アドレス(d、θ)ごとの、被検体30における吸収の割合を表わすことになる。
【0038】
吸収補正回路29では、Eマスク感度補正回路27から得られるアドレスごとのEtデータに対し、対応するアドレスの(Tt/T)比が作用させられ、これにより吸収の影響について補正されたエミッションデータが得られる。このエミッションデータは画像再構成装置31によって画像再構成演算を受け、再構成された画像はディスプレイ装置32で表示され、あるいは図示しない記録装置で記録される。
【0039】
なお、上記において、メモリ21〜25を個別メモリとして表現したが、これらはいずれも単にサイノグラムのアドレスに対応したアドレスを持つデータ収集用の加算メモリであれば足り、大きな容量の単一のメモリの一部ずつを利用するよう構成することもできる。また、アドレスの所定領域をマスクする処理を一種のゲート回路であるマスク処理回路14、15で行うとしたが、マスクされた領域に含まれるアドレスでは加算をしなければよいのであるから、マスク生成器16、17で生成されるマスクに関する情報で直接メモリを制御するようにしてもよいし、アドレス変換器13が、マスクされる領域のアドレスの変換自体を行わないように構成することもできる。後者の場合、アドレス変換器13を2系統設けて、それぞれにTマスク生成器16、Eマスク生成器17の機能を含ませることもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のポジトロンECT装置によれば、被検体に放射性薬剤を投与した状態でその周囲にトランスミッションデータ収集用の外部線源を回転させながら、マスクデータ収集手法によってエミッションデータとトランスミッションデータとを同時収集する際に、トランスミッションデータとして収集したデータに含まれるエミッションデータ成分を、そのエミッションデータ成分が外部線源での吸収の影響を受けたものであることを正確に見積もった上で上記の同時収集したエミッションデータから求めて、これを除去して正確なトランスミッションデータを得、データの定量性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるポジトロンECT装置のブロック図。
【図2】ライン線源18の各位置を示す模式図。
【図3】ライン線源18の各位置でのサイノグラムを示す図。
【図4】ライン線源18の各位置でのTマスクを示す図。
【図5】ライン線源18の各位置でのEマスクを示す図。
【図6】ライン線源18での吸収補正データを得るためファントム52の周囲にライン状吸収体51を回転させる様子を示す模式図。
【図7】ライン線源18での吸収補正データを得るためファントム52の周囲にライン状吸収体51を配置しない状態を示す模式図。
【符号の説明】
10 検出器リング型配列
11 検出器
12 コインシデンス回路
13 アドレス変換器
14 Tマスク処理回路
15 Eマスク処理回路
16 Tマスク生成器
17 Eマスク生成器
18 ライン線源
19 回転位置読み取り装置
21 Tデータ収集用メモリ
22 Tmデータ収集用メモリ
23 Tcデータ収集用メモリ
24 Tvデータ収集用メモリ
25 Emデータ収集用メモリ
26 トランスミッションデータ補正回路
27 Eマスク感度補正回路
28 吸収算出回路
29 吸収補正回路
30 被検体
31 画像再構成装置
32 ディスプレイ装置
41 被検体30からのデータ
42 ライン線源18からのデータ
51 ライン状吸収体
52 ファントム

Claims (1)

  1. 多数の放射線検出手段がリング型に配列された放射線検出手段のリング型配列と、上記の多数の放射線検出手段のうちの2つから同時に出力が生じたことを検出する同時検出手段と、該2つの検出手段の対を、対応するアドレス信号に変換するアドレス変換手段と、該アドレス信号が生じたときそのアドレス信号で指定されるアドレスにおいてカウントすることによりデータ収集する手段と、上記リング型配列内に配置され、該リング型配列に沿って回転移動させられるポジトロン放出性放射線発生手段と、その回転位置情報を得る手段と、該回転位置情報に応じて変化させられる、上記アドレス上のマスク領域をマスクすることによりその領域内のアドレスではカウントさせないこととして、ポジトロン放出性物質を含む被検体が上記リング型配列内に配置されているときに上記データ収集手段においてトランスミッションデータとエミッションデータとを別個に同時収集させる手段と、上記被検体の代わりにポジトロン放出性物質を含むファントムを配置するとともに上記ポジトロン放出性放射線発生手段の代わりにこれと同じ吸収特性を有する吸収体を用い、該吸収体を回転させながら収集した該ファントムからの放射線によるエミッションデータと該吸収体を取り除いた状態で収集した該ファントムからの放射線によるエミッションデータとの関係から放射線が上記ポジトロン放出性放射線発生手段を透過する際に受ける吸収に関するデータを求める手段と、上記トランスミッションデータとして収集されたデータから、対応するアドレスのエミッションデータに上記吸収データを作用させることにより補正したデータを減算してエミッションデータ成分を除いたトランスミッションデータを得る手段と、該エミッションデータ成分を除いたトランスミッションデータと被検体が上記リング型配列内に配置されていないときのトランスミッションデータとの関係に応じて上記のエミッションデータの吸収補正を行う吸収補正手段とを備えることを特徴とするポジトロンECT装置。
JP35486296A 1996-12-20 1996-12-20 ポジトロンect装置 Expired - Fee Related JP3807000B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35486296A JP3807000B2 (ja) 1996-12-20 1996-12-20 ポジトロンect装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35486296A JP3807000B2 (ja) 1996-12-20 1996-12-20 ポジトロンect装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10186038A JPH10186038A (ja) 1998-07-14
JP3807000B2 true JP3807000B2 (ja) 2006-08-09

Family

ID=18440415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35486296A Expired - Fee Related JP3807000B2 (ja) 1996-12-20 1996-12-20 ポジトロンect装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3807000B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4765224B2 (ja) * 2001-08-10 2011-09-07 株式会社島津製作所 ポジトロンect装置
US20080317194A1 (en) * 2005-11-10 2008-12-25 Koninklijke Philips Electronics N. V. Pet Imaging Using Anatomic List Mode Mask
JP2007248121A (ja) * 2006-03-14 2007-09-27 Fujita Gakuen 断層画像の輪郭抽出方法、プログラム、および装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10186038A (ja) 1998-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4384209A (en) Method of and device for determining the contour of a body by means of radiation scattered by the body
US8008625B2 (en) Method and apparatus for high-sensitivity single-photon emission computed tomography
KR100991640B1 (ko) 핵의학 진단장치, 형태단층촬영 진단장치, 핵의학용 데이터연산처리방법 및 형태단층화상 연산처리방법
JP2005326406A (ja) 陽電子放出断層システムの規格化のための方法及びシステム
US10307127B2 (en) Correcting X-ray image data relating to a decay process of a radioactive material
JPH0720245A (ja) ポジトロンct装置
US6281504B1 (en) Diagnostic apparatus for nuclear medicine
JP2004077132A (ja) Ct装置
JP2535762B2 (ja) 陽電子断層撮影装置におけるγ線吸収体による散乱同時計数測定法及び陽電子断層撮影装置
JP4976874B2 (ja) 核医学診断装置
JP3807000B2 (ja) ポジトロンect装置
JP2006284346A (ja) 放射線断層撮影装置
Saha et al. Performance characteristics of PET scanners
JP3610655B2 (ja) ポジトロンect装置
JP3671283B2 (ja) ポジトロンect装置
JPH0457986B2 (ja)
JP2007101341A (ja) 陽電子放出断層撮影装置および陽電子放出断層撮影方法
JP4765224B2 (ja) ポジトロンect装置
JP4374194B2 (ja) X線検査装置の造影剤厚さ演算方法
JPH10282238A (ja) ポジトロンect装置
JP4207661B2 (ja) 核医学イメージング装置
JP3763165B2 (ja) Spectの吸収補正方法
JP4585085B2 (ja) 核医学診断装置及び減弱補正方法
JP3563477B2 (ja) シンチレーションカメラ及びspect装置
JP3763159B2 (ja) Spectの吸収補正方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050323

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050331

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050520

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100526

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100526

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110526

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110526

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120526

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130526

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130526

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140526

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees