JP3806912B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコネクタ、特に雌雄コネクタの嵌合を保持するためのロックカバーを備えたコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、雄コネクタハウジングのフード部に回動可能なカバーを取り付けたものがある。このカバーは雌雄コネクタが嵌合したときに、雌コネクタに係合することで両コネクタの嵌合状態を確実に保持するためのものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このカバーはフード部を貫通するような突片を有するとともに、この突片にはカム面が形成されており、雌コネクタが嵌合する過程でカム面に当接すると、以後はカム面の傾斜によってカバー自体が持ち上げられるようにしていた。そして、両コネクタの嵌合が完了した後にカバーを完全に閉じ、その状態でロックを行わねばならない。つまり、雌雄の両コネクタの嵌合が完了しただけでは、カバーは完全に閉じ切らないため、最終的には作業者がカバーの閉じ操作を行わねばならない。このように、従来のものではコネクタの嵌合操作に加えカバーの閉じ操作も必要となるため、作業性の点で改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その課題は、ロックカバーを備えたコネクタにおいて、作業性の良好なものを提供するところにある。
【0004】
上記の課題を解決するための請求項1の発明に係るコネクタは、相互に嵌合可能なコネクタハウジングの一方の側には、ロックカバーが回動可能に取り付けられるとともに、このロックカバーには他方側コネクタハウジングの嵌合に伴って同ロックカバーを持ち上げ方向に回動させ、両コネクタハウジングが完全嵌合したときには閉じ方向に回動して他方側コネクタハウジングとの係合によって両コネクタハウジングの嵌合状態を保持するロック部と、前記他方のコネクタハウジングが完全嵌合位置に至るときに押圧されることで前記ロックカバーを閉じ方向に回動させる作動片部とが備えられ、かつ前記一方のコネクタハウジングには、内部に収容する雄端子金具を保護するフード部が設けられるとともに、そのフード部には、外側に設けられた前記ロックカバーの回動中心寄りに通し孔を設け、前記作動片部を前記フード部内に突入させかつ他方側の雌コネクタハウジングの進入領域中に配置させ、前記作動片部が前記両コネクタハウジングが完全嵌合するときに前記他方のコネクタハウジングの前端面にて押されることにより、前記ロックカバーを閉じ方向に回動させて前記フード部と密着状態にすることを特徴とする。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものであって、前記ロックカバーの自由端側は両コネクタハウジングを離間操作させるための操作部となっていることを特徴とする。
【0006】
【発明の作用および効果】
請求項1の発明によれば、一方のコネクタハウジングに対し他方のコネクタハウジングが嵌合されると、その過程で、まず他方側コネクタハウジングがロック部を介してロックカバーを持ち上げる。さらに、嵌合が進行すると、他方側コネクタハウジングは作動片部を押圧してロックカバーを閉じ方向に回動させる。そして、両コネクタハウジングが完全嵌合状態に至ると、ロック部が他方側コネクタハウジングと係合するため、これによって両コネクタハウジングが抜け止めされる。このように本発明によれば、作業性の良好なコネクタが提供される。
また、作動片部がフード部内に突入しているため、作動片部の変形や損傷が防止される。
【0007】
請求項2の発明によれば、ロックカバーの自由端側を操作することにより、両コネクタハウジングを離間させることができる。離間操作の初期には最も多くの力を必要とするため、作動片部の作用により離間時の操作性が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図1〜図7を参照しつつ説明する。
図1は、本発明を具現化した雄コネクタ1と相手側の雌コネクタハウジング7との組付け前の様子を示すものである。
雄コネクタ1は、雄端子金具2を収容可能な雄コネクタハウジング3と、相手側の雌コネクタハウジング7を抜止状態にするロックカバー5とから構成される。
雄コネクタハウジング3は合成樹脂材で一体に成形されており、内部には後述する雄端子金具2を収容する。雄コネクタハウジング3の前側(雌コネクタハウジング7との嵌合する面側)には、雄端子金具2を保護するためのフード部6が設けられている。このフード部6は後側より一回り大きな角筒状に形成され、前方へ開放して雌コネクタハウジング7と嵌合可能である。
【0009】
フード部6の内側には、雄端子金具2のタブ部13が突出するように装着され、雌雄両コネクタハウジング3,7が嵌合したときに、雌雄の端子金具19,2が電気的に導通した状態で接続される。また、フード部6における左右の壁面のほぼ中央部分には、開口縁から一対の凹溝8が設けられている。この凹溝8には、雌コネクタハウジング7の側壁面に突設されたロック片9が進入可能とされている。
また、フード部6の上面中央から後端面の中央にかけて、ロックカバー5の下面から突設されたカムロック10と作動片部15とを貫通させる通し孔11が開口している。
また、雄コネクタハウジング3においてフード部6より後側の内部には、雄端子金具2を収容するための端子収容室12が、二室が水平方向に並列して設けられている。この端子収容室12の後方側は雄端子金具2を収容するために大きく開口され、前方側は雄端子金具2のタブ部13を挿入する端子挿入孔12Aがフード部6内に貫通して小さく開口されている。
【0010】
さらに、雄コネクタハウジング3の両側面の中央部には、ロックカバー5を回動支持するための回動中心である一対の回動軸18が突設されている。
なお、雄端子金具2は導電性金属板を折曲げ形成されてなり、相手側の雌端子金具19に連結して雌雄両コネクタ間の導通を図る。雄端子金具2の先端には、雌端子金具19に結合するタブ部13が突設されており、そのタブ部13の後方の両側縁からは一対のスタビライザ20が切り起こしによって下向きに突出している。また、雄端子金具2の後部には電線Wをカシメ着けておくバレル部21が突設されている。
ロックカバー5は合成樹脂材により形成され、かつ両側に一対の側片5Aを備えてほぼ断面コの字状をなしている。また、ロックカバー5は両側片5Aを拡開させるような適度の弾性を有しており、両側片5Aの後方端部に形成された一対の軸孔23へ前記した回動軸18を嵌め込むことができ、これによってロックカバー5が雄コネクタハウジング3に対して回動可能にかつフード部6の上側半分を覆った状態で組み付けられる。
【0011】
また、ロックカバー5の両側片5Aの前端寄りには一対のロック孔22が開口している。この両ロック孔22はロックカバー5が雄コネクタハウジング3に対して閉じた位置にあるとき(図1において実線で示した状態)、フード部6の凹溝8と適合するようにしてある。つまり、雌雄両コネクタハウジング3,7が完全に嵌合すると、雌コネクタハウジング7側に設けられたロック片9がフード部6の凹溝8内に位置する。このとき、ロック片9の先端部分は凹溝8から側方に突出する。この状態でロックカバー5が閉じると、ロック孔22内にロック片9が係合される。
ロックカバー5の内面からは下向きにカムロック10と作動片部15とが突設されており、ロックカバー5と雄コネクタハウジング3とが組み付けられたときに、通し孔11へ挿入されるようになっている。
カムロック10は、雌雄両コネクタハウジング3,7が嵌合したときには雌コネクタハウジング7側の係合溝24に係合可能とされている。また、カムロック10の前面には、傾斜面をなす案内面10Aが形成されている。
【0012】
また、作動片部15は、ロックカバー5と雄コネクタハウジング3とが組み付けられて閉止した位置(ロックカバー5の天井面がフード部6の上面と密着する位置)にあるときには、雌雄両コネクタハウジング3、7の嵌合面と平行になるように垂下する。そして、ロックカバー5が閉止した位置では、雌コネクタハウジング7が正規に嵌合したときの前面位置が丁度、この作動片部15の前面(フード部6内の奥壁面と面一をなす)と当たり合う位置関係となるように設定されている。また、ロックカバー5が上方に回動したときには、フード部6の開口側に向かって傾斜した状態となる(図5、6を参照)。
なお、両コネクタハウジング3,7を離脱操作させる場合には、ロックカバー5の先端側を持ち上げることで作動片部15を介して雌コネクタハウジング7を押し出すようにすることもでき、このような場合にはロックカバー5の先端側は離脱用の操作部17となる。
【0013】
雌コネクタハウジング7は合成樹脂材により略直方体状に形成され、内部に雌端子金具19を収容して雄側のコネクタハウジング3と電気的に接続する。雌コネクタハウジング7は、フード部6と同等かそれよりもやや小さく形成されている。雌コネクタハウジング7が完全に雄コネクタハウジング3と嵌合したときには、雌コネクタハウジング7の前端面16がフード部6の奥面に当接するようになっている。
雌コネクタハウジング7の両側壁からは一対のロック片9が突出されており、その先端部分は上方に向かってテーパ状にされている。このロック片9は、雌雄コネクタハウジング3,7が嵌合したときには、雄コネクタハウジング3の凹溝8に嵌まり込む。
雌コネクタハウジング7の上面側には、係合溝24が設けられており、ロックカバー5から突設されたカムロック10が係合する。係合溝24を形成する壁面のうち、前方側の壁面の上端は角が削られて斜面24Aが設けられている。
【0014】
また、雌コネクタハウジング7の前端面16の上端部分は斜めに削られて当接面4が形成されており、雌雄コネクタハウジング7,3の嵌合操作中に、カムロック10の案内面10Aに当接してロックカバー5の持ち上げ動作を円滑に行えるようにしている。
さらに、雌コネクタハウジング7の内部には、雌端子金具19を収容するための端子収容室14が形成されている。端子収容室14の前方側は、前端面16に開口するタブ挿入孔14Aが設けられており、雄端子金具2のタブ部13が挿通可能とされる。
【0015】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果について説明する。
雌コネクタハウジング7をフード部6内に挿入すると、その挿入作業に伴って雌コネクタハウジング7の当接面4がロックカバー5の内面側に突設したカムロック10に当接する(図4を参照)。カムロック10の先端側は斜面状の案内面10Aとされているため、雌コネクタハウジング7の挿入によって、カムロック10は当接面4から上向きの力を受ける(図4中の矢印)。このため、ロックカバー5は回動軸18を回動中心として押し上げ方向に回動する(図5を参照)。このように、雌雄コネクタハウジング3,7の嵌合操作に伴って、ロックカバー5が持ち上げられる。つまり、ロックカバー5は両ハウジング3,7の嵌合動作を阻害しない位置へ自動的に退避する。
【0016】
ところで、このロックカバー5の上方への回動に伴って、作動片部15はフード部6内の奥側から前方向にやや突き出すように傾斜する。そこで、さらに深い位置まで雌コネクタハウジング7を挿入すると、その前端面16が作動片部15を押圧する(図6を参照)。
すると、ロックカバー5は下向きのモーメントを受けることとなるため(図6中の矢印)、このモーメントによって、ロックカバー5は閉じ方向への回動が強制される。
そして、雌コネクタハウジング7を押し込んで正規深さ位置(雌コネクタハウジング7の前面がフード部6内の奥壁面に当接する位置)まで挿入されると、ロックカバー5がフード部6の上面と密着した閉止位置に至る。一方、カムロック10が係合溝24の位置に整合して、ここに嵌まり込む。このとき、係合溝24の前面には斜面24Aが形成されているため、カムロック10が進入し易くなっている。
【0017】
また、このとき側壁面においては、雌コネクタハウジング7のロック片9が、フード部6の凹溝8内に嵌まり込んでおり、ロックカバー5の閉じ方向への回動に伴って、ロックカバー5のロック孔22内に雌コネクタハウジング7のロック片9が係合する。このようにして、二カ所の係合により、雌雄両コネクタハウジング3,7は抜止状態に保持される(図7を参照)。
このようにして、本実施形態によれば、雌雄コネクタハウジング7,3の嵌合操作に伴って、ロックカバー5の開放及び、閉じ方向への回動がなされるため、別にロックカバー5の開閉を行う必要がなく、組付け作業性の良好なコネクタ1が提供される。
【0018】
また、作動片部15はフード部6内に進入されているため、変形や損傷から保護される。
次に、この状態から雌雄コネクタハウジング7,3の嵌合を離間させるには、まず、ロックカバー5の先端部分を拡開方向に変形させつつロック孔22とロック片9との係合を外しながら、ロックカバー5の先端側を左右から挟み付けるようにして掴んで操作部17を持ち上げ操作して上方に回動させる。これにより、作動片部15がフード部6内に突出してくるため、雌コネクタハウジング7の前端面16が離間方向に押圧される。このとき、カムロック10と係合溝24との係合も外れ、雌コネクタハウジング7がフード部6の前方側に押し出される。ロックカバー5を上方に回動し終えたら、雌コネクタハウジング7を引き出すことで、離間操作が終了する。
このように、離間操作の際には、ロックカバー5の自由端側を操作することにより、雌雄両コネクタハウジング7,3を離間させることができる。離間操作の初期には最も多くの力を必要とするため、作動片部15の作用によりその操作性が向上する。
【0019】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、様々に変更して実施することができる。
▲1▼ロックカバーのロック部はフード部内に設けられていなくてもよい。例えば、側壁面に形成されたロック片とロック孔との係合手段に対して、ロック片9の先端を案内面として形成し、ロック孔を鈎爪状とすることによって、雌雄コネクタの嵌合操作にともなってロックカバーが持ち上がる構造とできる。
▲2▼フード部を設けないで、ロックカバーがフード部を兼ねる構造とすることもできる。そのようにすれば、構成が簡易となる。また、ロックカバーは上下一対に取り付けてもよい。
▲3▼回動軸の位置は、ロックカバーの後端部分に限らず、中央部分でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態においてコネクタハウジングを組付ける前の斜視図
【図2】同実施形態においてロックカバーの開閉の様子を示す斜視図
【図3】同実施形態において雌雄コネクタハウジングを組付けるときの側面図
【図4】同実施形態においてカムロックと当接面とが当接したときの側面図
【図5】同実施形態において当接面がカムロックを上方に押し上げたときの側面図
【図6】同実施形態において前端面が作動片部を押圧するときの側面図
【図7】同実施形態においてコネクタハウジングの嵌合が終了したときの側面図
【符号の説明】
1…コネクタ
2…雄端子金具
3…雄コネクタハウジング(コネクタハウジング)
5…ロックカバー
6…フード部
7…雌コネクタハウジング(他方側コネクタハウジング)
10…カムロック(ロック部)
11…通し孔
15…作動片部
17…操作部
18…回動軸(回動中心)

Claims (2)

  1. 相互に嵌合可能なコネクタハウジングの一方の側には、ロックカバーが回動可能に取り付けられるとともに、
    このロックカバーには他方側コネクタハウジングの嵌合に伴って同ロックカバーを持ち上げ方向に回動させ、両コネクタハウジングが完全嵌合したときには閉じ方向に回動して他方側コネクタハウジングとの係合によって両コネクタハウジングの嵌合状態を保持するロック部と、
    前記他方のコネクタハウジングが完全嵌合位置に至るときに押圧されることで前記ロックカバーを閉じ方向に回動させる作動片部とが備えられ、
    かつ前記一方のコネクタハウジングには、内部に収容する雄端子金具を保護するフード部が設けられるとともに、そのフード部には、外側に設けられた前記ロックカバーの回動中心寄りに通し孔を設け、前記作動片部を前記フード部内に突入させかつ他方側の雌コネクタハウジングの進入領域中に配置させ、前記作動片部が前記両コネクタハウジングが完全嵌合するときに前記他方のコネクタハウジングの前端面にて押されることにより、前記ロックカバーを閉じ方向に回動させて前記フード部と密着状態にすることを特徴とするコネクタ。
  2. 請求項1に記載のものであって、前記ロックカバーの自由端側は両コネクタハウジングを離間操作させるための操作部となっていることを特徴とするコネクタ。
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