JP3806217B2 - 新規多価ヒドロキシ化合物、新規エポキシ樹脂、それらの製造方法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐湿性、耐熱性、耐衝撃性等の機械的強度に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤として有用な多価ヒドロキシ化合物、それらの製造方法、さらにはそれらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物に関し、これらは半導体封止用などの電気・電子分野の成形材料等に好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に先端材料分野の進歩に伴い、より高性能なベースレジンの開発が求められている。例えば、半導体封止の分野においては、近年の高密度実装化に対応したパッケージの薄形化、大面積化、さらには表面実装方式の普及により、パッケージクラックの問題が深刻化しており、これらのベース樹脂としては、耐湿性、耐熱性、耐衝撃性等の向上が強く求められている。また、航空宇宙産業に利用される複合材マトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂については、よりいっそうの高耐熱性、耐湿性が強く要請されている。
【0003】
しかしながら、従来より知られているエポキシ樹脂には、これらの要求を満足するものは未だ知られていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、耐湿性や耐衝撃性に問題がある。
【0004】
そこで、特開昭63−238,122号公報には、耐湿性、耐衝撃性を向上させる目的でフェノールアラルキル樹脂のエポキシ化合物が提案されているが、耐熱性の点で十分でない。また、特開昭64−79,215号公報には、耐熱性を向上させる目的で2価フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化合物が提案されているが、耐湿性の点で十分ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、耐湿性、耐熱性に優れ、かつ耐衝撃性等の機械的特性に優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に有用な新規エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤として有用な新規多価ヒドロキシ化合物、さらにはそれらの製造方法、並びにそれらを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応させることを特徴とする新規エポキシ樹脂の製造方法である。
【化6】
【0007】
上記新規多価ヒドロキシ化合物は、下記一般式(b)で表されるフェノール性化合物と下記一般式(2)で表される縮合剤とを反応させることにより得ることができる。
【化8】
【化9】
【0008】
さらに、本発明は、下記一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂である。
【化10】
【0009】
上記一般式(1)、(b)、(2)及び(3)において、Aは炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよいナフタレン環を示し、R1 〜R3は同一又は異なってもよい水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Gはグリシジル基を示し、nは1〜15の数、mは1を示す。また、式(1)、(2)及び(3)中に存在する2つのフェニレン基はいずれも 1,4- フェニレン基である。
【0010】
さらに、本発明は、上記の新規エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填剤を必須成分として配合してなる半導体封止用のエポキシ樹脂組成物である。
【0011】
さらにまた、本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、上記エポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物であり、またこのエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物は、特定のフェノール性化合物と特定の縮合剤を反応させることにより得ることができる。一般式(1)において、Aはベンゼン環又はナフタレン環を示し、これらの環は炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。好ましくは、Aは無置換若しくはメチル基で置換されたベンゼン環又はナフタレン環である。R1 及びR2 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示すが、好ましくは水素原子又はメチル基であり、これらは同一又は異なってもよい。mは1又は2であるが、好ましくは1である。nは平均の繰り返し数を示し、1〜15であるが、好ましくは1.5〜5である。このような新規多価ヒドロキシ化合物は、一般式(a)又は(b)で表されるフェノール性化合物と一般式(2)で表される縮合剤とを反応させることにより得られる。一般式(a)又は(b)において、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であるが、好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。pは0〜3の整数であるが、好ましくは1である。
【0013】
一般式(a)で表されるフェノール類又は一般式(b)で表されるナフトール類としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール類、イソプロピルフェノール類、ターシャリーブチルフェノール類、アリルフェノール類、フェニルフェノール類、2,6−キシレノール、2,6−ジエチルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、1−ナフトール、2−ナフトール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールなどが挙げられる。これらのフェノール類又はナフトール類は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
また、一般式(2)において、R3 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは水素原子又はメチル基である。一般式(2)で表される縮合剤として、ジフェニルエーテルのジメチロール化合物又はそのジアルキルエーテル類が使用できる。このような縮合剤としては、例えば4,4’−ジヒドロキシメチルジフェニルエーテル、2,4’−ジヒドロキシメチルジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジメトキシメチルジフェニルエーテル、2,4’−ジメトキシメチルジフェニルエーテル、2,2’−ジメトキシメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジイソプロポキシメチルジフェニルエーテル、2,4’−ジイソプロポキシメチルジフェニルエーテル、2,2’−ジイソプロポキシメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジブトキシメチルジフェニルエーテル、2,4’−ジブトキシメチルジフェニルエーテル、2,2’−ジブトキシメチルジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0015】
メチロール基又はそのアルキルエーテル基のジフェニルエーテルに対する置換位置は、4,4’−位、2,4’−位、2,2’−位のいずれでもよいが、縮合剤として望ましい化合物は4,4’−体であり、全縮合剤中に4,4’−体が50重量%以上含まれるものが特に好ましい。これより少ないと合成された樹脂を硬化させる際の硬化速度が低下したり、得られた硬化物がもろくなるなどの欠点がある。
【0016】
フェノール性化合物と縮合剤の反応においては、縮合剤に対して過剰量のフェノール性化合物を使用することが好ましい。縮合剤の使用量は、フェノール性化合物1モルに対し0.1〜0.9モル、好ましくは0.2〜0.7モルである。これより多いと樹脂の軟化点が高くなり、成形作業性に支障をきたす。また、これより少ないと反応終了後、過剰のフェノール性化合物の除く量が多くなり、工業的に好ましくない。
【0017】
この縮合反応は酸触媒の存在下に行うことがよく、この酸触媒として、周知の無機酸又は有機酸から適宜選択することができる。このような酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸や、活性白土、シリカ−アルミナ、ゼオライト等の固体酸などが挙げられる。
【0018】
通常、この縮合反応は10〜250℃で1〜20時間行う。さらに、反応溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物などを使用することができる。
【0019】
本発明の新規エポキシ樹脂は、一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得られる。この反応は通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。例えば、一般式(1)で表される多価ヒドロキシ化合物を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好ましくは60〜120℃で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。このアルカリ金属水酸化物の使用量は、多価ヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対し0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.0モルである。また、エピクロルヒドリンは多価ヒドロキシ化合物中の水酸基に対して過剰に用いられるが、通常、多価ヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対し1.5〜15モル、好ましくは2〜8モルである。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。このエポキシ樹脂は一般式(3)で表されるものを主成分とするが、当然のことながらエポキシ基がエーテル結合してオリゴマー化したものも含まれる。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなり、エポキシ樹脂成分として一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂、又は硬化剤成分として一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物の少なくともいずれか一方を必須成分として配合したものである。
【0021】
一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂を必須成分とする場合のエポキシ樹脂組成物においては、一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を配合することもできる。このようなエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂であれば全て使用できるが、具体的に例示すれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類や、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類や、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化物などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。そして、一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂の配合量は、エポキシ樹脂全体に対し5〜100%、好ましくは50〜100%である。
【0022】
一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂を必須成分とする場合の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものは全て使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族又は脂肪族アミン類などがある。具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類や、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類や、さらにフェノール類、ナフトール類又はビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物などが挙げられる。また、酸無水物としては、例えば無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。また、アミン類としては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類や、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類、あるいは一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物などが挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物には、これらの硬化剤を単独で配合してもよいし、2種以上を併用してもよい。通常、これらの硬化剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対し硬化剤中の官能基が0.5〜2.0モルとなるように配合することがよい。
【0023】
また、一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物を必須成分とする場合のエポキシ樹脂組成物においては、一般式(1)で表される多価ヒドロキシ化合物以外の硬化剤を配合することもできる。このような硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として知られている上記例示の硬化剤が全て使用できる。これらの硬化剤は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。そして、一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物の配合量は、硬化剤全体に対し5〜100%、好ましくは50〜100%である。
【0024】
一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物を必須成分とする場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂が全て使用できる。このようなエポキシ樹脂としては、上記例示のエポキシ樹脂及び一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。通常、これらのエポキシ樹脂は、硬化剤中の官能基1モルに対しエポキシ樹脂中のエポキシ基が0.5〜2.0モルとなるように配合することがよい。
【0025】
また、一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂又は一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ樹脂のいずれか一方を必須成分とする本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合してもよい。無機充填剤としては、例えば球状又は破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナなどが挙げられ、顔料としては、例えば有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料などが挙げられる。揺変性付与剤としては、例えばシリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系などが挙げられる。さらに必要に応じて、従来より公知の硬化促進剤、例えばアミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸などを使用してもよい。その配合量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対し0.2〜5重量部である。またさらに必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、例えばカルナバワックス、OPワックス等の離型剤、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、例えばカーボンブラック等の着色剤、例えば三酸化アンチモン等の難燃剤、例えばシリコンオイル等の低応力化剤、例えばステアリン酸カルシウム等の滑剤などを配合してもよい。
【0026】
本発明の硬化物は、上記のエポキシ樹脂組成物を例えば注型、圧縮成形、トランスファー成形等の成型方法により成形加工することで得ることができる。その成型温度は120〜220℃程度である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
実施例1
500mlの4口フラスコに、フェノール性化合物成分としてフェノール131.6g(1.4モル)、縮合剤として4,4’−ジメトキシメチルジフェニルエーテル144.5g(0.56モル)及び触媒としてp−トルエンスルホン酸0.3gを仕込み、窒素気流下に攪拌しながら120℃で3時間反応させた。反応後、炭酸ナトリウムにて中和し、さらに過剰のフェノールを減圧留去し、淡褐色状樹脂(多価ヒドロキシ化合物)176.9gを得た。その軟化点は62℃、ICIコーンプレート法に基づく150℃での溶融粘度は0.4ポイズ、水酸基当量は218であった。この多価ヒドロキシ化合物のGPCチャートを図1、H−NMRスペクトルを図2、赤外吸収スペクトルを図3に示す。なお、GPC測定は、装置:HLC−82A(東ソー(株)製)及びカラム:TSK−GEL2000×3本及びTSK−GEL4000×1本(いずれも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/分、温度:38℃、検出器:RIの条件で行った。
【0028】
実施例2
フェノール性化合物成分として2−ナフトール216g(1.5モル)、縮合剤として実施例1と同じ4,4’−ジメトキシメチルジフェニルエーテル64.8g(0.45モル)を用い、実施例1と同様にして反応させ、褐色状樹脂(多価ヒドロキシ化合物)144.6gを得た。その軟化点は76℃、ICIコーンプレート法に基づく150℃での溶融粘度は0.7ポイズ、水酸基当量は234であった。
【0029】
実施例3
実施例1で得た樹脂(多価ヒドロキシ化合物)100gをエピクロルヒドリン700gに溶解し、減圧下(約150mmHg)、70℃で48%水酸化ナトリウム水溶液37.5gを3.5時間かけて滴下した。この間に生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内にもどした。滴下終了後、さらに30分間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を除き、さらに水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂124gを得た。このエポキシ樹脂の軟化点は51℃、溶融粘度は0.2ポイズ、エポキシ当量は296であった。このエポキシ樹脂のGPCチャートを図4、H−MNRスペクトルを図5、赤外吸収スペクトルを図6に示す。
【0030】
実施例4
実施例2で得た樹脂(多価ヒドロキシ化合物)100g、48%水酸化ナトリウム水溶液34.9gを用い、実施例3と同様にして反応を行い、エポキシ樹脂121gを得た。このエポキシ樹脂の軟化点は68℃、150℃での溶融粘度は0.4ポイズ、エポキシ当量は314であった。
【0031】
実施例5〜8、比較例1〜2
実施例1〜4で合成した樹脂、軟化点75℃のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)、軟化点68℃のフェノールノボラック(PN)及び軟化点68℃のフェノールアラルキル樹脂(三井東圧製XL−225−3L(PA))を用い、表1に示す配合(硬化促進剤:トリフェニルホスフィン)で樹脂組成物を調製した後、成形(150℃、3分)して硬化試験片を得た。試験片は180℃で12時間ポストキュアを行った後、種々の物性試験に供した。なお、ガラス転移点及び線膨張係数の測定は、熱機械測定装置を用いて7℃/分の昇温速度で測定した。また、吸水率は、不飽和型プレッシャークッカー装置を用いて、133℃、3気圧の条件で96時間吸湿させて測定した。さらに、破壊靭性はA.F.Yee, R.A.Pearson, Journal of Materials Science, 21, 2462(1986)に記載の方法に従って測定した。物性試験の結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】
上記実施例にも示したように本発明の新規エポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、耐湿性、耐熱性に優れ、かつ耐衝撃性等の機械的特性に優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着などの用途に好適に使用することができる。なお、上記実施例において、実施例1〜3及び5〜7及び9は参考例と理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造した多価ヒドロキシ化合物のGPCチャートである。
【図2】実施例1で製造した多価ヒドロキシ化合物のH−NMRスペクトルである。
【図3】実施例1で製造した多価ヒドロキシ化合物の赤外吸収スペクトルである。
【図4】実施例3で製造したエポキシ樹脂のGPCチャートである。
【図5】実施例3で製造したエポキシ樹脂のH−NMRスペクトルである。
【図6】実施例3で製造したエポキシ樹脂の赤外吸収スペクトルである。
Claims (7)
- 新規多価ヒドロキシ化合物が、フェノール性化合物1モルに対し、0.1〜0.9モルの縮合剤を反応させて得られたものである請求項2記載の新規エポキシ樹脂の製造方法。
- 請求項4記載の新規エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填剤を必須成分として配合してなる半導体封止用のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、請求項4記載の新規エポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項6記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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