JPH11255688A - 新規多価ヒドロキシ化合物、新規エポキシ樹脂、それらの製造方法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

新規多価ヒドロキシ化合物、新規エポキシ樹脂、それらの製造方法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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JPH11255688A
JPH11255688A JP5860998A JP5860998A JPH11255688A JP H11255688 A JPH11255688 A JP H11255688A JP 5860998 A JP5860998 A JP 5860998A JP 5860998 A JP5860998 A JP 5860998A JP H11255688 A JPH11255688 A JP H11255688A
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epoxy resin
represented
resin
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general formula
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JP5860998A
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English (en)
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Masashi Kaji
正史 梶
Kazuhiko Nakahara
和彦 中原
Hiroyuki Yano
博之 矢野
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐湿性、耐熱性、接着性に優れ、かつ耐衝撃
性等の機械的特性に優れた性能を有し、積層、成形、注
型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂及びエポキシ樹
脂硬化剤として有用な多価ヒドロキシ樹脂、それらを用
いたエポキシ樹脂組成物などを提供する。 【解決手段】 一般式(1)で表される新規多価ヒドロ
キシ化合物、及び一般式(3)で表される新規エポキシ
樹脂。 【化1】 【化3】 (式中、Aは炭素数1〜6のアルキル基で置換されてい
てもよいナフタレン環を示し、Rは水素原子又はメチル
基を示し、Gはグリシジル基を示し、nは0〜15の数
を示す) エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物に
おいて、上記エポキシ樹脂又は上記多価ヒドロキシ樹脂
の少なくともいずれか一方を必須成分として配合してな
るエポキシ樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐湿性、耐熱性、
接着性、耐衝撃性等の機械的強度に優れた硬化物を与え
るエポキシ樹脂、多価ヒドロキシ樹脂及びそれらの製造
方法、さらにはそれを用いたエポキシ樹脂組成物並びに
その硬化物に関し、半導体封止、積層板、コーティング
材料及び複合材料等に好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特に先端材料分野の進歩にともな
い、より高性能なベースレジンの開発が求められてい
る。例えば、半導体封止の分野においては、近年の高密
度実装化に対応したパッケージの薄形化、大面積化、さ
らには表面実装方式の普及により、パッケージクラック
の問題が深刻化しており、これらのベース樹脂として
は、耐湿性、耐熱性、接着性、耐衝撃性等の向上が強く
求められている。また、航空宇宙産業に利用される複合
材マトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂については、
よりいっそうの高耐熱性、耐湿性が強く要請されてい
る。
【0003】しかしながら、従来より知られているエポ
キシ樹脂には、これらの要求を満足するものは未だ知ら
れていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ
樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていること
や、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広
く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題があ
る。また、耐熱性を改良したものとして、フェノールノ
ボラック型エポキシ樹脂が知られているが、耐湿性や耐
衝撃性に問題がある。
【0004】そこで、特開昭63−238,122号公
報には、耐湿性、耐衝撃性の向上を目的とするフェノー
ルアラルキル樹脂のエポキシ化合物が提案されている
が、これは耐熱性の点で十分でない。また、特開昭64
−79,215号公報には、高耐熱性を目的とする2価
フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化合物が提案され
ているが、これは耐湿性の点で十分ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、耐湿性、耐熱性、接着性に優れ、かつ耐衝撃性
等の機械的特性に優れた性能を有し、積層、成形、注
型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂及びエポキシ樹
脂硬化剤として有用な多価ヒドロキシ樹脂、さらにはそ
れらの製造方法並びにそれらを用いたエポキシ樹脂組成
物、さらにはその硬化物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記一般式(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物で
ある。
【化4】
【0007】また、本発明は、ナフタレンジオール類と
下記一般式(2)で表されるジビニルビフェニル類を3
0%以上含有する架橋剤とを反応させて得られる上記一
般式(1)記載の新規多価ヒドロキシ化合物を含有する
多価ヒドロキシ樹脂であり、ナフタレンジオール類1モ
ルに対し、0.05〜0.9モルのジビニルビフェニル
類を酸性触媒の存在下に反応させることを特徴とする多
価ヒドロキシ樹脂の製造方法である。
【化5】
【0008】さらに、本発明は、下記一般式(3)で表
される新規エポキシ樹脂である。
【化6】
【0009】なお、上記一般式(1)、(2)及び
(3)において、Aは炭素数1〜6のアルキル基で置換
されていてもよいナフタレン環を示し、Rは水素原子又
はメチル基を示し、Gはグリシジル基を示し、nは0〜
15の数を示す。
【0010】さらに、本発明は、上記一般式(1)で表
される多価ヒドロキシ化合物又はこれを含有する多価ヒ
ドロキシ樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させて得ら
れる上記一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂を含
有するエポキシ樹脂である。
【0011】さらにまた、本発明は、エポキシ樹脂及び
硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ
樹脂成分としての上記エポキシ樹脂又は硬化剤成分とし
ての上記多価ヒドロキシ化合物若しくはこれを含有する
多価ヒドロキシ樹脂の少なくともいずれか一方を必須成
分として配合してなるエポキシ樹脂組成物であり、また
このエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。一般式
(1)で表される新規多価ヒドロキシ化合物は、ナフタ
レンジオール類と特定の架橋剤とを反応させることによ
り得ることができる。一般式(1)において、Aはナフ
タレン環を示し、これらの環は炭素数1〜6のアルキル
基で置換されていてもよいが、好ましくは、Aは無置換
又はメチル基で置換されたナフタレン環である。また、
Rは水素原子又はメチル基である。nは平均の繰り返し
数を示し、0〜15であるが、好ましくは0.1〜5で
ある。
【0013】このナフタレンジオール類としては、炭素
数1〜6のアルキル基置換又は未置換のものであり、具
体的には1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタ
レンジオール、1,7−ナフタレンジオール、2,6−
ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールなど
が挙げられる。これらのナフタレンジオール類は単独で
もよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】また、架橋剤としては、ジビニルビフェニ
ル類や(ヒドロキシメチル)ビフェニル類等の二官能性
化合物などが挙げられるが、好ましくは一般式(2)で
表されるジビニルビフェニル類又はこれを主成分とする
ものである。一般式(2)において、Rは水素原子又は
メチル基である。ジビニルビフェニル類は、特に限定す
るものではないが、一般にジエチルビフェニル類、ジイ
ソプロピルビフェニル類の脱水素反応により製造するこ
とができる。このようにして得られたジビニルビフェニ
ル類には、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニ
ル、4−ビニルビフェニル、エチルビニルビフェニル
類、ジエチルビフェニル類、2−イソプロペニルビフェ
ニル、3−イソプロペニルビフェニル、4−イソプロペ
ニルビフェニル、イソプロピルイソプロペニルビフェニ
ル類、ジイソプロピルビフェニル類を含有していてもよ
いが、これらを完全に分離する必要はなく、ジビニルビ
フェニル類の含有量が30%以上、好ましくは50%以
上に濃縮すればよい。したがって、ビニルビフェニル
類、エチルビニルビフェニル類、イソプロペニルビフェ
ニル類、イソプロピルイソプロペニルビフェニル類等の
モノビニル体の含有量は、70%以下とすればよい。こ
れよりモノビニル体の含有量が多いと樹脂を硬化させた
ときの架橋密度が低下し、耐熱性の低下をもたらす場合
がある。主成分であるジビニルビフェニル類の具体例と
しては、2,2’−ジビニルビフェニル、2,3’−ジ
ビニルビフェニル、2,4’−ジビニルビフェニル、
3,3’−ジビニルビフェニル、3,4’−ジビニルビ
フェニル、4,4’−ジビニルビフェニル、2,2’−
ジイソプロペニルビフェニル、2,3’−ジイソプロペ
ニルビフェニル、2,4’−ジイソプロペニルビフェニ
ル、3,3’−ジイソプロペニルビフェニル、3,4’
−ジイソプロペニルビフェニル、4,4’−ジイソプロ
ペニルビフェニルなどが挙げられ、これらは単独又は混
合物として使用される。ジビニルビフェニル類の好まし
い異性体としては、4,4’−ジ置換体であり、具体的
には4,4’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジイソ
プロペニルビフェニルである。これらの異性体の含有率
が高いものほど、耐熱性に優れた硬化物を与える。
【0015】ナフタレンジオール類と架橋剤の反応にお
いては、架橋剤に対して過剰量のナフタレンジオール類
が使用される。架橋剤の使用量は、ジビニルビフェニル
類等の2官能の化合物として、通常ナフタレンジオール
類1モルに対して0.05〜0.9モルであるが、好ま
しくは0.1〜0.7モルである。これより多いと樹脂
の軟化点が高くなり、成形作業性に支障をきたす。ま
た、これより少ないと反応終了後に過剰のナフタレンジ
オール類の除く量が多くなり、工業的に好ましくない。
【0016】この反応は酸触媒の存在下に行うことがよ
く、この酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適
宜選択することができる。このような酸触媒としては、
例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ
酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有
機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ
化ホウ素等のルイス酸、あるいは活性白土、シリカ−ア
ルミナ、ゼオライト等の固体酸などが挙げられる。
【0017】通常、この反応は、10〜250℃で1〜
20時間行う。さらに、反応溶媒として、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリ
コール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアル
コール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジ
クロロベンゼンなどを使用することができる。
【0018】反応終了後、場合により、中和、水洗等の
方法により、触媒を除去し、必要に応じて残存する溶媒
及び未反応のナフタレンジオール類を減圧留去などの方
法により系外に除き、多価ヒドロキシ樹脂とする。場合
により、残存するナフタレンジオール類を除かなくても
よい。
【0019】本発明には、一般式(1)の新規多価ヒド
ロキシ化合物を含有する多価ヒドロキシ樹脂混合物も包
含される。例えば、ナフタレンジオール類と反応させる
架橋剤として、モノビニルビフェニル類を含有する架橋
剤を用いた場合、一般式(1)の新規多価ヒドロキシ化
合物と、一般式(1)の新規多価ヒドロキシ化合物の芳
香族環にモノビニルビフェニル類が1又はそれ以上付加
した化合物などとの混合物となる。また、ナフタレンジ
オール類として2種類以上の混合物を反応に用いた場
合、場合により、1分子中に2種類以上のナフタレンジ
オール類を含有する多価ヒドロキシ化合物が生成し、一
般式(1)の新規多価ヒドロキシ化合物との混合物とな
る。これらは混合物であっても、本発明の効果を発揮す
ることに支障はなく、これらをエポキシ樹脂硬化剤とし
て用いることができるし、また本発明の新規エポキシ樹
脂の原料として使用することができる。
【0020】本発明のエポキシ樹脂は、一般式(1)で
表される新規多価ヒドロキシ化合物又はこれを含有する
多価ヒドロキシ樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させ
ることにより得られる。この反応は、通常のエポキシ化
反応と同様に行うことができる。例えば、一般式(1)
で表される多価ヒドロキシ化合物を過剰のエピクロルヒ
ドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150
℃、好ましくは60〜120℃で1〜10時間反応させ
る方法が挙げられる。この際、アルカリ金属水酸化物の
使用量は、多価ヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対
して0.8〜2モル、好ましくは0.9〜1.2モルで
ある。また、エピクロルヒドリンは多価ヒドロキシ化合
物中の水酸基に対して過剰に用いられるが、通常、多価
ヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対して1.5〜1
5モル、好ましくは2〜8モルである。反応終了後、過
剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、
メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水
洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することによ
り目的のエポキシ樹脂を得ることができる。このエポキ
シ樹脂は一般式(3)で表されるものを主成分とする
が、当然のことながらエポキシ基がエーテル結合として
オリゴマー化したものも含まれる。
【0021】本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ
樹脂及び硬化剤よりなり、エポキシ樹脂成分として一般
式(3)で表される新規エポキシ樹脂若しくはこれを含
有するエポキシ樹脂、又は硬化剤成分として上記一般式
(1)で表される多価ヒドロキシ化合物若しくはこれを
含有する多価ヒドロキシ樹脂の少なくともいずれか一方
を必須成分として配合してなるものである。
【0022】一般式(3)で表される新規エポキシ樹脂
を必須成分とする場合の硬化剤としては、一般にエポキ
シ樹脂の硬化剤として知られているものは全て使用でき
る。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸
無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類などが挙げられ
る。具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール
S、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノー
ル、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾル
シン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あ
るいはトリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノ
ボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノー
ル等に代表される3価以上のフェノール類、さらにはフ
ェノール類、ナフトール類又はビスフェノールA、ビス
フェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェ
ノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノ
ール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオー
ル等の2価のフェノール類のホルムアルデヒド、アセト
アルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズ
アルデヒド、p−キシリレングリコール等の縮合剤によ
り合成される多価フェノール性化合物などが挙げられ
る。また、酸無水物としては、無水フタル酸、テトラヒ
ドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、
ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無
水トリメリット酸などが挙げられる。また、アミン類と
しては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,
4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−
キシリレンジアミン等の芳香族アミン類や、エチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類や、一
般式(1)で表される多価ヒドロキシ化合物などが挙げ
られる。本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤を単独
で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、本発
明に係わるエポキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂全体
中、5〜100%である。
【0023】一般式(1)で表される多価ヒドロキシ化
合物を必須成分とする場合のエポキシ樹脂としては、分
子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂
は全て使用できる。具体的に例示すれば、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、
4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハ
イドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類や、
トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,
2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック
等の3価以上のフェノール類や、テトラブロモビスフェ
ノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導され
るグリシジルエーテル化物や、一般式(3)で表される
多官能エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキ
シ樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用して
もよいが、本発明に係わる多価ヒドロキシ化合物の配合
量は硬化剤全体中、5〜100%である。なお、本発明
のエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂及び硬化剤の合
計に対し、本発明のエポキシ樹脂並びに多価ヒドロキシ
化合物及び多価ヒドロキシ樹脂の合計は10%以上、好
ましくは30%以上であることがよい。
【0024】また、本発明のエポキシ樹脂組成物中に
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエー
テル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹
脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を
適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難燃剤、揺
変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤
を配合してもよい。無機充填剤としては、例えば球状若
しくは破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉
末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、
炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナなどが挙げら
れ、顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片
状顔料などが挙げられる。揺変性付与剤としては、シリ
コン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポ
リエチレンワックス、有機ベントナイト系などが挙げら
れる。さらに必要に応じて、従来より公知の硬化促進
剤、例えばアミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン
類、ルイス酸などを用いることができる。硬化促進剤の
配合量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対
して0.2〜10重量部である。
【0025】さらに必要に応じて、本発明の樹脂組成物
には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップ
リング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチ
モン等の難燃助剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ス
テアリン酸カルシウム等の滑剤などを配合することもで
きる。
【0026】本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成
物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の成形方法
で成形加工することにより得ることができる。通常、成
形温度は120〜220℃である。
【0027】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を
具体的に説明する。 実施例1 〔多価ヒドロキシ樹脂の製造〕1000mlの4口フラ
スコに1,6−ナフタレンジオ−ル 160g(1.0
モル)、エチレングリコールジメチルエーテル160
g、触媒としてp−トルエンスルホン酸4.0gを仕込
み、窒素気流下、50℃に加熱した。その後、ジビニル
ビフェニル類51.8%、エチルビニルビフェニル類2
3.7%、ジエチルビフェニル類4.6%、メチルビニ
ルビフェニル類6.3%、モノビニルビフェニル類5.
8%、エチルビフェニル類1.4%、メチルビフェニル
類1.2%、その他5.2%よりなる架橋剤94.06
gを1時間要して徐々に滴下した。滴下終了後、さらに
攪拌しながら昇温し150℃で1時間反応させた。反応
後、炭酸ナトリウムで中和し、エチレングリコールジメ
チルエーテルを減圧留去し、褐色状樹脂136gを得
た。得られた樹脂の軟化点は101.3℃、ICIコー
ンプレート法に基づく150℃での溶融粘度は4.4ポ
イズ、水酸基当量は133.0であった。得られた樹脂
のGPCチャートを図1、赤外吸収スペクトルを図2、
H−NMRスペクトルを図3に示す。ここでGPC測定
は、装置:HLC−82A(東ソー(株)製)及びカラ
ム:TSK−GEL2000×3本及びTSK−GEL
4000×1本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶
媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/分、温
度:38℃、検出器:RIの条件で行った。
【0028】実施例2 〔エポキシ樹脂の製造〕実施例1で得た樹脂100gを
エピクロロヒドリン703gに溶解し、減圧下(約14
0mmHg)、65℃で48%水酸化ナトリウム水溶液
61.5gを4時間かけて滴下した。この間、生成する
水はエピクロロヒドリンとの共沸により系外に除き、留
出したエピクロロヒドリンは系内に戻した。滴下終了
後、さらに30分間反応を継続した。その後、濾過によ
り生成した塩を除き、エピクロロヒドリンを留去し、粗
製エポキシ樹脂を得た。得られた粗製エポキシ樹脂をメ
チルイソブチルケトン520mlに溶解した後、80℃
に加熱し、撹拌しながら24%水酸化ナトリウム49g
を加え、2時間反応させた。反応後、イオン交換水で水
洗を行った後、メチルイソブチルケトンを留去し、濃黄
色のエポキシ樹脂116gを得た。得られた樹脂のエポ
キシ当量は193.0、軟化点は66.5℃、ICIコ
ーンプレート法に基づく150℃での溶融粘度は0.5
ポイズ、加水分解性塩素は675ppmであった。な
お、ここで加水分解性塩素は、樹脂試料0.5gを1,
4−ジオキサン30mlに溶解させたものを1N−KO
H/メタノール溶液5mlで30分間煮沸還流したもの
を、硝酸銀溶液で電位差滴定を行うことにより求めた。
得られた樹脂のGPCチャートを図4、赤外吸収スペク
トルを図5、H−NMRスペクトルを図6に示す。
【0029】実施例3〜6及び比較例1〜4 実施例1、2で合成した樹脂、軟化点65℃のO−クレ
ゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂A:日
本化薬製、EOCN−1020−65;エポキシ当量2
00、加水分解性塩素400ppm、軟化点65℃)、
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポ
キシ樹脂B:日本化薬製、EPPN−501H;エポキ
シ当量164、加水分解性塩素430ppm、軟化点5
3℃)、軟化点80℃のフェノ−ルノボラック(硬化剤
A:群栄化学製、PSM−4261;OH当量103、
軟化点80℃)、軟化点100℃のフェノ−ルノボラッ
ク(硬化剤B:群栄化学製、PSM−4324;OH当
量103、軟化点100℃)、フェノールアラルキル型
樹脂(硬化剤C:三井化学製、XL−225−LL;O
H当量174、軟化点75℃)、トリスヒドロキシフェ
ニルメタン型(硬化剤D:明和化成製、MEH−750
0;OH当量97、軟化点110℃)を用い、さらに難
燃剤としてノボラック型臭素化エポキシ(臭素化エポキ
シA:日本化薬製、BREN−S;エポキシ当量28
4、加水分解性塩素600ppm、軟化点84℃)、充
填剤として球状シリカ(シリカA:平均粒径、18μ
m)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン、及び
その他の表1に示す添加剤を用い、表1に示す配合で混
練しエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表中の数値
は配合における重量部で示されている。このエポキシ樹
脂組成物を用いて175℃で成形し、175℃で12時
間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物
性測定に供した。結果を表2に示す。
【0030】ガラス転移点は、熱機械測定装置により昇
温速度7℃/分の条件で求めた。曲げ試験は、240℃
での高温曲げ強度、曲げ弾性率を3点曲げ法により行っ
た。接着強度は、銅板2枚の間に25mm×12.5m
m×0.5mmの成形物を圧縮成型機により175℃で
成形し、175℃、12時間ポストキュアを行った後、
引張剪断強度を求めることにより評価した。また、吸水
率は、エポキシ樹脂組成物を用いて、直径50mm、厚
さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後85℃、85
%RHの条件で100時間吸湿させた時のものであり、
クラック発生率は、QFP−80pin(14mm×2
0mm×2.5mm、194アロイ)を成形し、ポスト
キュア後、85℃、85%RHの条件で所定の時間吸湿
後、260℃の半田浴に10秒間浸漬させた後、パッケ
ージの状態を観察し求めた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】本発明で規定した条件を満たす実施例3〜
6は、いずれも耐湿性、耐熱性、接着性、耐衝撃性等の
機械的強度に優れた性能を有する硬化物を与えることが
わかる。すなわち、低吸水率、高ガラス転移温度、高接
着性、高強度(高温)、高半田耐熱性を同時に満足す
る。一方、本発明で規定した条件を満たしていない、す
なわち一般式(1)で表わされる新規多価ヒドロキシ化
合物若しくはこれを含む多価ヒドロキシ樹脂、又は一般
式(3)で表わされる新規エポキシ樹脂のいずれも成分
として含んでいない比較例1〜4は、実施例ほど前述の
特性の全てが同時に優れてはいない。すなわち、比較例
1、2では、接着性、高温強度、半田耐熱性が実施例に
比べて低下している。また、比較例3、4では、耐湿
性、接着性、半田耐熱性が実施例に比べて低下してい
る。
【0034】
【発明の効果】本発明の新規エポキシ樹脂若しくはこれ
を含有するエポキシ樹脂、又は硬化剤成分として本発明
の新規多価ヒドロキシ化合物若しくはこれを含有する多
価ヒドロキシ樹脂の少なくともいずれか一方を必須成分
として配合してなるエポキシ樹脂組成物は、耐湿性、耐
熱性、接着性に優れ、かつ耐衝撃性等の機械的特性に優
れる硬化物を与える。また、この硬化物は積層、成形、
注型、接着等の用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多価ヒドロキシ樹脂のGPCチャートである。
【図2】多価ヒドロキシ樹脂の赤外吸収スペクトルであ
る。
【図3】多価ヒドロキシ樹脂のH−NMRスペクトルで
ある。
【図4】エポキシ樹脂のGPCチャートである。
【図5】エポキシ樹脂の赤外吸収スペクトルである。
【図6】エポキシ樹脂のH−NMRスペクトルである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される新規多価ヒ
    ドロキシ化合物。 【化1】 (式中、Aは炭素数1〜6のアルキル基で置換されてい
    てもよいナフタレン環を示し、Rは水素原子又はメチル
    基を示し、nは0〜15の数を示す)
  2. 【請求項2】 ナフタレンジオール類と下記一般式
    (2)で表されるジビニルビフェニル類を30%以上含
    有する架橋剤とを反応させて得られる請求項1記載の新
    規多価ヒドロキシ化合物を含有する多価ヒドロキシ樹
    脂。 【化2】 (式中、Rは水素原子又はメチル基を示す)
  3. 【請求項3】 ナフタレンジオール類1モルに対し、
    0.05〜0.9モルのジビニルビフェニル類を酸性触
    媒の存在下に反応させることを特徴とする請求項2記載
    の多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 下記一般式(3)で表される新規エポキ
    シ樹脂。 【化3】 (式中、Aは炭素数1〜6のアルキル基で置換されてい
    てもよいナフタレン環を示し、Rは水素原子又はメチル
    基を示し、Gはグリシジル基を示し、nは0〜15の数
    を示す)
  5. 【請求項5】 請求項2記載の多価ヒドロキシ樹脂とエ
    ピクロルヒドリンを反応させて得られる請求項4記載の
    新規エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂。
  6. 【請求項6】 エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキ
    シ樹脂組成物において、請求項5記載のエポキシ樹脂又
    は請求項2に記載の多価ヒドロキシ樹脂の少なくともい
    ずれか一方を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のエポキシ樹脂組成物を硬
    化してなる硬化物。
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