JP3806206B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体、特に、偽造防止のために磁気的に消去および書き換えが不能であり、媒体の不正な再利用を不可能とする機能を備えた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、磁気情報の付与の手段の一つとして、磁気ヘッドを用いて磁性層に飽和書き込みを行って磁気情報を付与する方法が一般によく知られている。この方法は極めて簡便な方法ではあるが、付与された磁気情報をリード/ライト磁気ヘッドにより簡単に消去および書き換えすることができ、カードの変造が容易にできてしまうという問題がある。
【0003】
このような問題に対処するために、従来より、例えば、プリペイドカード等のカードの偽造防止のために、カード上に所定の磁気パターンからなる書き換え不能な固定情報を予め形成することが行われている。これは、予め形成された磁気パターンを使用時に読み取り、所定の磁気出力信号が得られるか否かを判定することによりカードの真偽を決定しようとするものである。
【0004】
磁気的に書き換え不能な固定情報を与えるための方法として、従来よりシルク印刷等で所定パターンの磁気バーコードを形成する方法が広く知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、磁気的に消去および書き換えができない固定の磁気情報としての磁気バーコードは、そのバーコードパターンの形成に印刷の手法を用いるため、多くのパターンの情報に対応することができず、カード毎に情報を変えるという要望に適用することは困難である。また、特定の変調方式に基づくディジタル磁気情報にまで発展させたものではなく、磁気情報の高密度化にも適したものとは言えない。さらに、情報パターンの高密度化の形成ができたとしても安定して磁気出力を得ることが困難となってしまう。さらに、従来からすでに使用されているリード/ライト機能を備えるハードを改変することなくそのままの状態で、カード情報の読み取りができることも必要とされる大きな要素の一つである。
【0006】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、特定の変調方式に基づくディジタル磁気情報を備え、しかも、そのディジタル磁気情報の書き換えおよび消去が実質的に不能であってセキュリティ性の極めて高いディジタル磁気情報を備える磁気記録媒体を提供することにある。さらには、磁気情報の高密度化にも対応でき、しかもカード毎に磁気情報を変えることもでき多品種少量の磁気カードの作製も極めて容易となる磁気記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明は、基板と、この基板の上に形成された磁性層とを備える磁気記録媒体であって、前記磁性層は、磁気ヘッドの走査方向に沿って、分断されることなく連続するように配列された複数の磁気凹凸部を備えており、前記磁気凹部または磁気凸部は、均一厚さに形成された磁性層を物理的除去して形成されたものであり、該磁気凹凸部は、ディジタル磁気情報を形成し、『一の基本データ値』として、1ビット幅内に磁気凹部から磁気凸部への変移部位(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部から磁気凹部への変移部位(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させ、『他の基本データ値』として、1ビット幅内に1ビット幅と同じ幅で磁気凹部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させてFM変調方式のディジタル磁気情報として形成されてなるように構成される。
【0011】
また、好ましい態様として、前記磁気凹凸部は、レーザー光を照射することにより磁性層を物理的に除去して形成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の一例であるカード状の磁気記録媒体の斜視図を示しており、図2(a)は、図1のA−A断面矢視図を示す図である。
【0013】
本発明の磁気記録媒体1は、図1および図2(a)に示されるように基板10と、この基板10の上に形成された磁性層20と、この磁性層20の上に形成された隠蔽層30を備えている。
【0014】
本発明の磁気記録媒体1を構成する基板10は、基板として要求される耐熱性、強度、剛性等を考慮して、ナイロン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂、銅、アルミニウム等の金属、紙、含浸紙等の材料の中から適宜選択した材料の単独あるいは組み合わせた複合体により構成することができる。また、いわゆる光分解性や生物分解性のプラスチック材質のものを用いてもよい。このような基板10の厚さは、0.005mm〜5mm程度とすることができる。
【0015】
磁性層20は、磁気ヘッドの走査方向に沿って、配列された複数の磁気凹凸部を備えており、この磁気凹凸部は、ディジタル磁気情報を形成し、図2(a)に示される実施の態様では、『一の基本データ値』(例えば、2進値の『1』)として、1ビット幅内に磁気凸部から磁気凹部へ変移部位P1(前ビットの終端が磁気凹部である場合)、および1ビット幅内に磁気凹部から磁気凸部への変移部位P2(前ビットの終端が磁気凸部である場合)を存在させ、『他の基本データ値』(例えば、2進値の『0』)として、1ビット幅内に1ビット幅と同じ幅で磁気凸部厚さを備える平坦部F1(前ビットの終端が磁気凹部である場合)および1ビット幅内に1ビット幅と同じ幅で磁気凹部厚さを備える平坦部F2(前ビットの終端が磁気凸部である場合)を存在させている。
【0016】
これらの『一の基本データ値』(例えば、2進値の『1』)および『他の基本データ値』(例えば、2進値の『0』)の表現手法を、図3(a)および(b)ならびに図4(a)および(b)に基づいてさらに詳細に説明する。なお、図3および図4において、説明の便宜上、図面の左側が前ビット側、図面の右側が後ビット側を示している。
【0017】
本発明において磁性層20に付与される凹凸パターン(磁気凹凸部)は、Frequency Modulation(FM)変調方式の基本形(double frequency) におけるディジタル磁気情報の『1』および『0』を形成しており、図3(a)および(b)で示される磁気層の1ビット形状が、それぞれ、データ『1』を形成している。図3(a)に示される磁気層の1ビット形状(データ『1』)は、1ビット幅A内に磁気凹部21から磁気凸部25への(垂直に上がる)変移部位P2を備えている。この変移部位P2は、例えば、図示のごとく、1ビット分の磁性層の約左上半分を除去深さD、除去幅Bで除去することによって形成される。図3(a)に示される磁気層の1ビット形状(データ『1』)は、前ビットが磁性層厚さCの磁気凸部で終わっている場合に形成される形である。図3(b)で示される磁気層の1ビット形状もデータ『1』を形成しており、この磁気層の1ビット形状(データ『1』)は、1ビット幅A内に磁気凸部25から磁気凹部21への(垂直に下がる)変移部位P1を備えている。この変移部位P1は、例えば、図示のごとく、1ビット分の磁性層の約右上半分を除去深さD、除去幅Bで除去することによって形成される。図3(b)に示される磁気層の1ビット形状(データ『1』)は、前ビットが磁性層厚さ(C−D)の磁気凹部で終わっている場合に形成される形である。
【0018】
従って、データ『1』が『1,1,1…』と言うように連続するときには、前ビット形態との関係より、上記図3(a)(または上記図3(b))で示される同じパターンの磁性層形態が連続して繰り返される。なお、1ビット幅Aは所望の記録密度によって適宜決定される。
【0019】
この一方で、図4(a)および(b)で示される磁気層の1ビット形状は、それぞれ、1ビット内に変移部位を備えていない平坦形状であり、データ『0』を形成している。図4(a)に示される磁気層の1ビット形状(データ『0』)は、1ビット幅A内に1ビット幅と同じ幅で磁気凹部厚さ(C−D)を備える平坦部F2(除去深さDで除去された磁性層部分である)を存在させている。図4(a)に示される磁気層の1ビット形状(データ『0』)は、前ビットが磁性層厚さCの磁気凸部で終わっている場合に形成される形である。
【0020】
また、図4(b)に示される磁気層の1ビット形状(データ『0』)は、1ビット幅A内に1ビット幅と同じ幅で磁気凸部厚さCを備える平坦部F1を存在させている。図4(b)に示される磁気層の1ビット形状(データ『0』)は、前ビットが磁性層厚さ(C−D)の磁気凹部で終わっている場合に形成される形である。
【0021】
従って、データ『0』が『0,0,0…』と言うように同じ値が連続するときには、前ビット形態との関係より、上記図4(a)と上記図4(b)で示される磁性層形態が交互に連続して繰り返される。
【0022】
上記図1〜4に示される態様は、磁性層厚さCの磁性層を基板の上に形成した後、所定箇所の磁性層を部分的に除去して凹部深さDを形成したものである。
【0023】
上記の説明においては、図3(a)および(b)に示される状態を『一の基本データ値』(2進値の『1』)とし、図4(a)および(b)に示される状態を『他の基本データ値』(2進値の『0』)として説明してきたが、これらを互いに、逆転して『0』と『1』を表現してもよい。
【0024】
ところで、図2(a)の実施の態様に示されるように、磁気凹部21においては、磁気凹部21の左エッジ側がN極に、磁気凹部21の右エッジ側がS極にそれぞれ磁化される。このような磁化形成に際して、磁性層20が硬磁性粉末を含有する硬磁性層であるならば、磁性層塗布後に磁場配向処理を行えばよく、また、磁性層20が軟磁性粉末を含有する軟磁性層であるならば、いわゆるバイアス磁界をかけながら磁気の読み取りを行えばよい。図2(a)の状態における再生波形は図2(b)に示されるように磁気凹部21のエッジ部(N極,S極)に対応して各波形ピークが現われる。また、上記磁気凹部21における左右のエッジの磁極を逆にしてもよい。
【0025】
さらに、図2(a)に示されるごとく形成された磁気記録媒体の磁気凹凸部と、FM変調との対応関係が、図5(a)〜(c)に示される。図5(a)は、図2(a)の磁性層20を単独で示しており、図5(b)は、磁気記録媒体の再生波形を示しており、図5(c)はFM変調方式による変調波形および対応するデータ値『1』,『0』を示している。図5からわかるように、FM変調方式の変調規則は、情報が『1』の場合には『0』の場合の2倍の周波数を読み出しパルスを発生するように磁化反転させる。磁化反転間隔は、A/2,A(A:ビット間隔)であり、記録密度比(DR)は1/2である。
【0026】
上記磁性層20をいわゆる磁性塗料を塗布する方法により形成した場合には、通常、磁性粉末と樹脂バインダとが含有される。磁性粉末としては、強磁性粉末であれば、硬磁性粉末、軟磁性粉末いずれでもよい。硬磁性粉末としては、例えば、γ−Fe23 、Co被着γ−Fe23 、Fe34 、Fe、Fe−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−Ni、Baフェライト、Srフェライト、CrO2 等の磁性微粒子が挙げられる。軟磁性粉末の材料としては、Al、Si、Fe等からなる磁性合金材料、パーマロイ、センダスト、Fe等の金属高透磁率材料、Mn−Znフェライト、Co−Znフェライト、Ni−Znフェライト等のフェライト、金属アモルファス材料等を挙げることができる。
【0027】
上記の磁性粉末が分散される樹脂バインダ(あるいはインキビヒクル)としては、ブチラール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等が用いられ、必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマー等が添加される。また、紫外線硬化型や電子線硬化型の放射線硬化型樹脂を用いてもよい。紫外線硬化型の樹脂成分としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレート、不飽和ポリエステル等の光重合性オリゴマー;単官能アクリレート(スチレン、酢酸ビニル等)、多官能アクリレート等の光重合性モノマー(反応希釈剤);ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、パーオキシド系等の光重合開始剤;アミン系、キノン系等の光重合開始剤;熱重合禁止剤、無機ないし有機の充填剤、接着剤付与剤、チクソ付与剤、可塑剤、非反応性ポリマー等のその他の添加剤;顔料等の着色剤が挙げられる。また、電子線硬化型の樹脂成分としては、上記紫外線硬化型の樹脂成分から光重合開始剤を除外して調製すれば良い。さらに、樹脂バインダとして、耐熱性を考慮して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン等のガラス転移温度(Tg)の高い樹脂、あるいは硬化反応によりTgが上昇する系を用いることができる。上記のような樹脂あるいはインキビヒクル中に磁性粒子が分散されてなる分散物中に、必要に応じて界面活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、ワックス、シリコーンオイル、カーボン等の顔料を添加してもよい。塗布方法としてはグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の方法が用いられる。
【0028】
また、磁性層20は、上記の塗布方法に限定されることなく、上記の磁性材料そのものを用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等により形成することもできる。
【0029】
このような磁性層20の上には、図2(a)に示されるように磁性層20表面の凹凸をフラットにし、ヘッドタッチを良くするとともに、外観的に磁化パターンの認識を困難にさせるための隠蔽層30や、保護・装飾効果を上げるための保護層を形成することが好ましい。
【0030】
隠蔽層30や保護層(絵柄も含む)は、エチルセルロース、硝酸セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導体;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、あるいはスチレン共重合樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂の単独あるいは共重合樹脂;ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹脂等のバインダーに、着色すべき色に応じて各種の顔料を添加し、必要に応じて磁気ヘッドのクリーニング効果をもたせるよう酸化チタン、アルミナ粉末、マイクロシリカ等を添加し、さらに必要に応じて、可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、乾燥補助剤、硬化剤、増粘剤、分散剤を添加した後、溶剤あるいは希釈剤で充分に混練してなる着色塗料あるいはインキを用いて、通常のグラビア法、ロール法、ナイフエッジ法、オフセット法等の塗布方法あるいは印刷方法により、形成される。
【0031】
なお、隠蔽層30の形成に際しては、図2(a)に示されるように磁性層20の磁気凹部21を、隠蔽層30形成塗料で埋設するようにすることが好ましい。表面平滑性を上げるためである。
【0032】
次に、このような磁気記録媒体1の具体的製造方法を、図2(a)に基づいて説明する。
【0033】
まず、シート上の基板10を準備し、この基板10上に磁性層20を形成する。磁性層20の形成は、前述したように予め調合された磁性塗料をシルクスクリーン印刷法、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に従って行ってもよいし、磁性材料そのものを用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等により形成してもよい。
【0034】
このような磁性層20は、基板10の全面に形成してもよいが、一般的には経済性を考慮して、磁気情報を形成するのに必要な部分のみに、例えば、ストライプ形状に形成される。もちろん、磁性層20は、均一厚さに形成する必要があるが、上記の公知の連続的塗布法であれば、十分な均一厚さが得られる。
【0035】
次いで、図2(a)に示されるように、均一厚さに形成された磁性層20は、所定のフォーマットに基づいて部分的に物理的除去されて複数の磁気凹部21が所定の位置および大きさに形成される。その結果、図3(a),(b)および図4(a),(b)の形状が組み合わされて、所定のディジタル磁気情報を備える磁気記録媒体が形成される。
【0036】
磁性層20を部分的に物理的除去する好適な方法としては、例えば、磁気凹部21の対応位置にレーザー光を照射する方法や、電子線を照射する方法、放電による破壊、ルーチング(彫刻)加工等が挙げられる。このような方法により磁気凹部21が形成されるので、磁性層20にかき込まれる不変記録としての情報は、一枚一枚容易に個別のデータとすることができ、いわゆるIDカード等の作製には好適に応用される。
【0037】
レーザー光を用いる場合には、部分的に物理的除去される磁性層20の物性や、除去すべき線幅等を考慮しつつ、用いるレーザーの種類、レーザー波長、レーザーパワー等を適宜設定すればよい。また、レーザー照射により物理的除去して凹部を形成する際には、CW(Constant Wave )を用いて直線状に設けてもよいし、あるいはパルスを用いて点線状に設けてもよい。
【0038】
気体レーザーとしては、He−Neレーザー、He−Cdレーザー、アルゴンレーザー(0.488μm連続発振,0.1〜20W)等の稀ガスイオンレーザー;炭酸ガスレーザー(10.6μm連続発振,1W〜10kW);金属蒸気レーザー等を使用することができる。また、固体レーザーとしては、ルビーレーザー(0.6943μmパルス発振,10〜1000J)、Ndガラスレーザー(1.06μmパルス発振,10〜1000J)、Nd:YAGレーザー等のパルス励起固体レーザー;あるいはルビーレーザー、Ndガラスレーザー、Nd:YAGレーザー(1.06μm連続発振,1〜200W)、Nd:YAlO3 レーザー等の連続励起固体レーザー等を使用することができる。また、液体レーザーとしては、色素レーザー、ラマンレーザー、キレートレーザー、Nd3+液体レーザー等を使用することができ、半導体レーザーとしては、GaAsダイオードレーザー等を使用することができる。
【0039】
これらの中でも特に、波長10.6μmのCO2 ガスレーザー(出力0.5W〜20W)、波長0.488μm(または0.5145μm)のArガスレーザー(出力0.5W〜20W)、波長1.06μmのNd:YAGレーザー(出力0.5W〜20W)が好適例として挙げられる。なお、レーザーの出力が大きくなり過ぎると、高温による基板の損傷や磁性層を構成するバインダー樹脂の熱収縮によりパターンの精度不良がおこり、この一方で出力が小さ過ぎると、十分なパターンの削除ができない。
【0040】
このような磁性層20の上には、通常、磁気パターンが直接目に触れないように隠蔽層30が塗布形成される。さらに、隠蔽層30の上には、通常、保護・装飾効果を上げるための保護層を塗布形成してもよい。
【0041】
次に、上記してきた本発明の実施の形態の変形例を、図6に基づいて説明する。図6は、本発明の第2の実施の態様を示す断面図であり、前記図2(a)に相当する図面である。図6に示される第2の実施の態様の磁気記録媒体は、基板10の表面を物理的除去して凹部を設け、この凹部に磁性層20の一部を埋設して、結果として磁気凹凸部を形成させている。図6に示される態様においても、前述した図3(a),(b)および図4(a),(b)に示される法則をそのまま適用することができ、これらを組み合わせることによって書き換え不能なセキュリティ性の高いディジタル磁気情報が実現できる。
【0042】
また、他の実施の態様として、磁性層を磁気特性の異なる多層構造に積層して、これらの中の一つの層に本発明の書き換え不能なディジタル磁気情報、すなわち、『一の基本データ値』として、1ビット幅内に磁気凹部から磁気凸部への変移部位(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部から磁気凹部への変移部位(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させ、『他の基本データ値』として、1ビット幅内に1ビット幅と同じ幅で磁気凹部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させるようにしてもよい。この場合、もちろん硬磁性層や軟磁性層を同時に積層した組み合わせであってもよい。さらに、本発明の書き換え不能な凹凸部によるディジタル磁気情報以外に、通常の書き換え可能な磁気情報を他の磁性層に入れるように構成してもよい。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0044】
(実施例1)
まず、最初に磁性層20形成のために下記の組成を有する磁性塗料を準備した。
【0045】
磁性塗料の組成
・磁性粉末(Baフェライト) … 41重量部
・ポリウレタン樹脂 … 7重量部
・トルエン … 25重量部
・メチルエチルケトン … 25重量部
・イソシアネート系硬化剤 … 2重量部
次に、被印刷物(基板)としてのポリエチレンテレフタレート製のカード(厚さ250μm)を準備し、このカードの上にグラビアコート印刷法で、ストライプ状に磁性塗料を塗設し、塗設された磁性層の磁場配向処理を行った後、乾燥させて、塗布厚さ10μm、塗布長さ85mmの磁性層(磁気ストライプ)を作製した。
【0046】
次に、波長λ=1.06nm、出力5WのNd:YAGレーザ光を用いて、磁気ストライプの長手方向に対して垂直方向に磁性層を部分的に物理的除去して線幅60μm、ビット間隔120μm、記録密度約210bpiの条件で、図2(a)に示すような所定のマーキング(磁気凹部21の形成)を行った。
【0047】
さらに、この磁性層20の上に下記の組成からなる隠蔽層インキ組成物をグラビアコート印刷法で、厚さ5μmに塗布して隠蔽層を形成し、本発明の情報記録媒体サンプルを作製した。
【0048】
隠蔽層インキ組成物
・アルミ粉体 …10.5重量部
・ポリウレタン樹脂 … 4重量部
・メチルエチルケトン … 50重量部
・トルエン … 25重量部
・酸化チタン粉体 …10.5重量部
このサンプルを用いて、上記のFM変調方式による磁気凹凸部の磁気情報を再生したところ、所定の変調波形に基づく2進値のデータが再生できることが確認された。さらに、この磁気凹凸部による磁気情報は、磁気的に消去および書き換えができないものでもあった。
【0049】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、基板と、この基板の上に形成された磁性層とを備える磁気記録媒体であって、前記磁性層は、磁気ヘッドの走査方向に沿って、配列された複数の磁気凹凸部を備えており、該磁気凹凸部は、ディジタル磁気情報を形成し、『一の基本データ値』として、1ビット幅内に磁気凹部から磁気凸部への変移部位(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部から磁気凹部への変移部位(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させ、『他の基本データ値』として、1ビット幅内に1ビット幅と同じ幅で磁気凹部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させてなるように構成している。従って、本発明の磁気記録媒体(磁性層)には特定の変調方式に基づくディジタル磁気情報が書き込まれ、この書き込まれたディジタル磁気情報は、書き換えおよび消去が実質的に不能であり、従来にも増してセキュリティ性の向上が図れる。さらには、磁気情報の高密度化にも対応でき、しかもカード毎に磁気情報を変えることもでき多品種少量の磁気カードの作製も極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例であるカード状の磁気記録媒体の斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1のA−A断面矢視図であって、本発明の理解を容易にするために断面状態を模式的かつ簡略に描いたものであり、図2(b)は、図2(a)の磁気状態に対応した再生波形を示すものである。
【図3】図3(a)および(b)は、それぞれ、『一の基本データ値』に対応する1ビット幅の磁性層形状を示す断面図である。
【図4】図4(a)および(b)は、それぞれ、『他の基本データ値』に対応する1ビット幅の磁性層形状を示す断面図である。
【図5】図5(a),(b)および(c)は、それぞれ、磁性層断面形状、再生波形、および変調波形(データを含む)を示す図である。
【図6】図2(a)に相当する他の実施態様を示す断面図である。
【符号の説明】
10…基板
20…磁性層
21…磁気凹部
25…磁気凸部
30…隠蔽層

Claims (2)

  1. 基板と、この基板の上に形成された磁性層とを備える磁気記録媒体であって、
    前記磁性層は、磁気ヘッドの走査方向に沿って、分断されることなく連続するように配列された複数の磁気凹凸部を備えており、
    前記磁気凹部または磁気凸部は、均一厚さに形成された磁性層を物理的除去して形成されたものであり
    該磁気凹凸部は、ディジタル磁気情報を形成し、
    『一の基本データ値』として、1ビット幅内に磁気凹部から磁気凸部への変移部位(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部から磁気凹部への変移部位(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させ、
    『他の基本データ値』として、1ビット幅内に1ビット幅と同じ幅で磁気凹部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凸部である場合)または磁気凸部厚さを備える平坦部(前ビットの終端が磁気凹部である場合)を存在させてFM変調方式のディジタル磁気情報として形成されてなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記磁気凹凸部は、レーザー光を照射することにより磁性層を物理的に除去して形成されてなる請求項1に記載の磁気記録媒体。
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