JPH10143846A - 磁気記録媒体および磁気情報の読み取り方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気情報の読み取り方法

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JPH10143846A
JPH10143846A JP8307476A JP30747696A JPH10143846A JP H10143846 A JPH10143846 A JP H10143846A JP 8307476 A JP8307476 A JP 8307476A JP 30747696 A JP30747696 A JP 30747696A JP H10143846 A JPH10143846 A JP H10143846A
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JP8307476A
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Osamu Nakamura
修 中村
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同一の媒体から得られる記録情報の出力レベ
ルが変化する磁気記録媒体を提供し、この出力レベルの
変化を予め確認することにより、従来にも増して記録情
報の偽造防止を図る。 【解決手段】 基板と、この基板の上に形成された磁気
記録部とを備える磁気記録媒体であって、前記磁気記録
部は、少なくとも硬磁性層と軟磁性層との2層積層体を
備え、前記2層積層体の界面には、磁気情報としての複
数の凹凸部が磁気ヘッドの走査方向に沿って配列されて
なるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体、特
に、偽造防止のために形成された磁気記録部を備えるプ
リペイドカード等の磁気カードに代表される磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、プリペイドカード等
のカードの偽造防止のために、カード上に所定の磁気パ
ターンからなる書き換え不能な固定情報を予め形成する
ことが行われている。これは、予め形成された磁気パタ
ーンを使用時に読み取り、所定の磁気出力信号が得られ
るか否かを判定することによりカードの真偽を決定する
ものである。
【0003】このような磁気パターンの読み取りには、
通常、2つのコイルを巻いた磁気ヘッドが用いられ、こ
の磁気ヘッドの一方のコイルには定電流を流し、磁気ヘ
ッドが磁気パターンを走査したときに誘起される誘導電
流または電圧を他方のコイルで検出する。誘導される電
流は、磁気ヘッドの磁束の変化に応じて発生する。
【0004】一方、磁気パターンを構成する材料として
は、例えば、強磁性体が用いられ、また、磁気パターン
の形状は種々のものが考えられるが、いわゆるバーコー
ド状のパターンが一般的に用いられる。このバーコード
状のパターンである磁気パターンは、パターン要素であ
る複数の磁気バーがその横幅方向に配列されて構成され
ており、磁気パターンを構成する個々の磁気バーの横幅
は、1種類または2種類以上から形成される。
【0005】そして、バーコード状の磁気パターンを上
述のような磁気ヘッドを密着して一定の速度で走査する
ことにより、磁気パターンに対応した磁気出力信号が得
られる。
【0006】磁気パターンを形成する方法としては、ス
クリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等
を用いることが知られており、これらの印刷法は、製造
コストの面で有利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、印刷法
によるパターン形成には印刷法の特性に起因して、印
刷線幅そのものを小さくすることに物理的限界があり、
記録密度の向上が図れない、記録密度を上げようとす
ればする程、インキの転移が不安定になり、さらにイン
キのレベリング等によって印刷形状は不均一となり(ま
た、横幅の増加に伴い印刷膜厚が増加する傾向にあ
る)、磁気出力及び波形の点でも不安定となり、正確な
情報を得ることが困難になるという問題があった。
【0008】このような問題点を解決するために、本願
に係る出願人はすでに、磁気層にレーザー等を用いて微
細な凹凸を設け、これを磁気バーコード的な固定情報と
する磁気記録媒体を提案している(特願平7−1348
11号)。また、類似の技術として、特開平7−210
859号には、記録情報の偽造防止を図るために、基板
の上に2つの磁性層を積層して設け、一方の磁性層に磁
性体の粗密パターンを形成した磁気記録媒体が提案され
ている。
【0009】しかしながら、上記提案のものはいずれ
も、その磁性層の構成より同一の媒体から得られる記録
情報の出力レベルは基本的に変化しない。本願では、こ
の点に注目し、同一の媒体から得られる記録情報の出力
レベルが変化する磁気記録媒体を提供し、この出力レベ
ルの変化を予め確認することにより、従来にも増して記
録情報の偽造防止を図ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は、基板と、この基板の上に形成され
た磁気記録部とを備える磁気記録媒体であって、前記磁
気記録部は、少なくとも硬磁性層と軟磁性層との2層積
層体を備え、前記2層積層体の界面には、磁気情報とし
ての複数の凹凸部が磁気ヘッドの走査方向に沿って配列
されてなるように構成される。
【0011】また、前記磁気情報としての複数の凹凸部
は、基板の上に最初に形成された硬磁性層または軟磁性
層を部分的に物理的に除去して形成される。
【0012】また、前記凹凸部の凹部は、深さが同一で
磁気ヘッドの走査方向の幅である横幅が異なる複数の種
類を備えているように構成される。
【0013】また、前記凹凸部の凸部は、高さが同一で
磁気ヘッドの走査方向の幅である横幅が異なる複数の種
類を備えているように構成される。
【0014】また、前記磁気情報としての複数の凹凸部
を形成するために行われる磁性層の物理的除去は、レー
ザー光を照射することによりなされるように構成され
る。
【0015】また、本発明は、前記磁気記録媒体に記録
された磁気情報の読み取り方法であって、該方法は、磁
気ヘッドに再生バイアス電流をかけながら少なくとも2
回の信号の読み取りを行い、1回目の信号読み取りと、
2回目の信号の読み取りを行う際の再生バイアス電流の
向きを逆にして行うように構成される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。図1〜図4には、それぞれ本発明の
実施の形態を説明するための図面が示されており、図1
は本発明の一例であるカード状の磁気記録媒体の斜視
図、図2は図1のA−A断面矢視図であって、本発明の
理解を容易にするために断面状態を模式的かつ簡略に描
いたもの、図3はデータフォーマットの設定の一例を示
し、凹凸形状パターンと磁気再生波形の対応を示す図で
あり、図4は図1に示される凹凸形状パターンと磁気再
生波形の対応を示す図である。
【0017】本発明の磁気記録媒体1は、図1および図
2に示されるように基板10と、この基板10の上に形
成された磁気記録部20とを備えている。
【0018】本発明の磁気記録媒体1を構成する基板1
0は、基板として要求される耐熱性、強度、剛性等を考
慮して、ナイロン、セルロースジアセテート、セルロー
ストリアセテート、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、
ポリカーボネート等の樹脂、銅、アルミニウム等の金
属、紙、含浸紙等の材料の中から適宜選択した材料の単
独あるいは組み合わせた複合体により構成することがで
きる。また、いわゆる光分解性や生物分解性のプラスチ
ック材質のものを用いてもよい。このような基板10の
厚さは、0.005mm〜5mm程度とすることができ
る。
【0019】前記磁気記録部20は、図2に示されるよ
うに少なくとも硬磁性層21と軟磁性層25との2層積
層体を備えている。そして、2層積層体の界面には、図
示のごとく磁気情報としての複数の凹凸部Rが磁気ヘッ
ドの走査方向に沿って配列されている。複数の凹凸部R
は図2の紙面奥行き方向に所定の長さをもっており(こ
のことは図1を見れば容易に理解できる)、このことよ
り複数の凹凸部Rは、磁気バーコード的に類似する構造
を採っているとも言える。
【0020】このような複数の凹凸部Rは、基板10の
上に最初に均一厚さに形成された硬磁性層21の表面を
部分的に物理的除去、すなわち複数の凹部21a〜21
eを除去することによってその残部として形成される。
このようにして形成された複数の凹凸部Rを備える硬磁
性層21の上に、軟磁性層25が積層形成される。この
際、硬磁性層21の凹部は軟磁性層25の形成材料によ
って埋没される。
【0021】硬磁性層21は、このものがいわゆる磁性
塗料を塗布する方法により形成される場合には、硬磁性
層21の構成材料として、硬磁性を示す磁性粉末(以
下、単に『硬磁性粉末』と称す)と樹脂バインダを含有
している。含有される硬磁性粉末としては、例えば、γ
−Fe23 、Co被着γ−Fe23 、Fe34
Fe、Fe−Cr、Fe−Co、Co−Cr、Co−N
i、Baフェライト、Srフェライト、CrO2 等の磁
性微粒子が挙げられる。
【0022】上記の硬磁性粉末が分散される樹脂バイン
ダ(あるいはインキビヒクル)としては、ブチラール樹
脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹
脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等が用いられ、
必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレ
タンエラストマー等が添加される。また、紫外線硬化型
や電子線硬化型の放射線硬化型樹脂を用いてもよい。紫
外線硬化型の樹脂成分としては、エポキシアクリレー
ト、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレー
ト、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレー
ト、不飽和ポリエステル等の光重合性オリゴマー;単官
能アクリレート(スチレン、酢酸ビニル等)、多官能ア
クリレート等の光重合性モノマー(反応希釈剤);ベン
ゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、パー
オキシド系等の光重合開始剤;アミン系、キノン系等の
光重合開始剤;熱重合禁止剤、無機ないし有機の充填
剤、接着剤付与剤、チクソ付与剤、可塑剤、非反応性ポ
リマー等のその他の添加剤;顔料等の着色剤が挙げられ
る。また、電子線硬化型の樹脂成分としては、上記紫外
線硬化型の樹脂成分から光重合開始剤を除外して調製す
れば良い。さらに、樹脂バインダとして、耐熱性を考慮
して、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルサルホン
等のガラス転移温度(Tg)の高い樹脂、あるいは硬化
反応によりTgが上昇する系を用いることができる。上
記のような樹脂あるいはインキビヒクル中に磁性粒子が
分散されてなる分散物中に、必要に応じて界面活性剤、
シランカップリング剤、可塑剤、ワックス、シリコーン
オイル、カーボン等の顔料を添加してもよい。
【0023】また、硬磁性層21は、上記の塗布方法に
限定されることなく、上記の磁性材料そのものを用い
て、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等により
形成することもできる。これらの具体的製造方法の詳細
については、後述する。
【0024】このような硬磁性層21の上には、上述し
たように直接、軟磁性層25が形成される。軟磁性層2
5は、前記硬磁性層21と同様に、このものがものがい
わゆる磁性塗料を塗布する方法により形成される場合に
は、軟磁性層25の構成材料として、軟磁性を示す磁性
粉末(以下、単に『軟磁性粉末』と称す)と樹脂バイン
ダを含有している。軟磁性粉末の材料としては、Al、
Si、Fe等からなる磁性合金材料、パーマロイ、セン
ダスト、Fe等の金属高透磁率材料、Mn−Znフェラ
イト、Co−Znフェライト、Ni−Znフェライト等
のフェライト、金属アモルファス材料等を挙げることが
できる。樹脂バインダやその他の添加成分は、前記硬磁
性層21のところで述べた通りである。軟磁性層25
は、上記の磁性材料そのものを用いて、真空蒸着法、ス
パッタリング法、メッキ法等により形成することもでき
る。
【0025】ここで、軟磁性層25は、再生バイアス電
流がかけられた読み取り用の磁気ヘッドに発生する磁界
によって、その磁化方向が反転するものであり、硬磁性
層21は、発生する磁界によって、その磁化方向が反転
しないものである。一般に、磁性層の磁化方向を反転さ
せるためには、磁性層の保磁力(抗磁力)の約3倍の外
部磁界をかける必要がある。従って、本発明における軟
磁性層25の保磁力は、硬磁性層21の保磁力よりも小
さいものである。例えば、バイアス磁界として、30
[Oe]の強さの磁界を発生する磁気ヘッドに対して、
軟磁性層25として保磁力10[Oe]以下の磁性層、
硬磁性層21として保磁力100[Oe]以上の磁性層
が好ましい。本発明において、磁気記録部20を形成
する硬磁性層21の凹凸部Rの凸部は、高さが同一でそ
の横幅(磁気ヘッドの走査方向の幅)の種類として、少
なくとも異なる2種類以上の横幅を備えて構成される
か、あるいは、磁気記録部20を形成する凹凸部Rの
凹部21a〜21eは、深さが同一でその横幅(磁気ヘ
ッドの走査方向の幅)の種類として、少なくとも異なる
2種類以上の横幅を備えて構成される。読み取り出力の
波形の差異を、『0』,『1』のディジタル信号値にデ
ータ判別するためである。前者の場合には、主として
『0』,『1』のディジタル信号を凹凸部Rの凸部の横
幅の違いから検出する場合であり、従って、凹部21a
〜21eの横幅は同一であっても互いに異なっていても
よい。後者の場合には、主として0,1のディジタル
信号を凹部21a〜21eの横幅の違いから検出する場
合であり、従って、凹凸部Rの凸部の横幅は同一であっ
ても互いに異なっていてもよい。また、上記および
の両方を組み合わせて検出するようにしてもよい(FM
記録)。
【0026】また、上記の実施の態様は、基板10上に
形成された硬磁性層21を設け、この硬磁性層21の表
面に固定された磁気情報としての凹凸部Rを設け、さら
にこの硬磁性層21の上に軟磁性層25を積層した構造
を採択しているが、硬磁性層21と軟磁性層25との積
層順を逆した組み合わせであってものよい。また、凹凸
部Rは、硬磁性層21と軟磁性層25との界面に存在し
ていればよく、硬磁性層21と軟磁性層25のいずれか
一方の層の一部を物理的に除去して形成すればよい。
【0027】このようにして硬磁性層21と軟磁性層2
5との界面に、固定された磁気情報としての凹凸部Rを
設けることよって、同一信号かつ出力レベルの異なる信
号が得られる。すなわち、本発明の磁気記録媒体は磁気
情報を読み取る際に、磁気ヘッドに流すバイアス電流の
向きによって、得られる出力レベルが変化するのであ
る。従って、磁気ヘッドに再生バイアスをかけながら少
なくとも2回の信号の読み取りを行い、1回目の信号読
み取りと、2回目の信号の読み取りを行う際の再生バイ
アス電流の向きを逆にして行うと互いの出力レベルが変
化する。これにより、予め記録されている固定情報が改
竄されているか否かが容易に判断される。具体的作用を
図2に示されるごとく硬磁性層21の上に軟磁性層25
が形成されている場合を例にとって詳細に説明する。硬
磁性層21の図面の左エッジ側がそれぞれS極で、右エ
ッジ側がそれぞれN極であるとする。硬磁性層21は硬
磁性を示すが故に、磁気ヘッドの再生バイアス電流によ
って極性が変化することはない。これに対して軟磁性層
25は軟磁性を示すが故に、磁気ヘッドの再生バイアス
電流によって極性が変化する。そして、 1)再生バイアス電流により、軟磁性層25の左エッジ
側がそれぞれN極、右エッジ側がそれぞれS極になった
場合を考える。この場合、軟磁性層25の左エッジ側と
硬磁性層21の右エッジ側とが、また軟磁性層25の右
エッジ側と硬磁性層21の左エッジ側とが、それぞれ同
一位置に該当する。
【0028】従って、図2のHにおける軟磁性層25の
左エッジ側に注目すると、そこでは軟磁性層25および
硬磁性層21ともにN極になっており、再生出力をE1
とすると、E1は、[Br(hard) + Bs (soft)]に比
例するという関係が成り立つ。ここで、Br(hard) は、
硬磁性層21のbの部分の残留磁束密度、Bs (soft)
は、軟磁性層25のaの部分の飽和磁束密度を示す。
【0029】この一方で、 2)再生バイアス電流の向きを変えて、上記の1)と逆
に軟磁性層25の右エッジ側がそれぞれN極、左エッジ
側がそれぞれS極になった場合を考える。この場合上記
1)と同様に図2のHにおける軟磁性層25の左エッジ
側に注目すると、そこでは軟磁性層25はS極、硬磁性
層21はN極になっており、再生出力をE2とすると、
E2は、[|Br(hard) − Bs (soft)|]に比例する
という関係が成り立つ。
【0030】すなわち、本発明の磁気記録媒体では、再
生バイアス電流の向きによって、得られる磁気出力が2
通りのレベルで現れる。このことは、本発明の磁気記録
媒体固有の特徴であり、この2通りのレベルを確認する
ことにより、カードの真偽が判別でき、変造カードの排
除が可能となる。なお、磁気ヘッドの再生バイアス電流
を逆転することはわずかな回路の変更で実現でき、本発
明の磁気記録媒体の作用を施すカードリーダの作製には
なんら問題はない。
【0031】次に、上記の磁気記録部20を形成する凹
凸部Rのデータフォーマットの設定例を図3に基づいて
説明するとともに、図4に基づいて実際の凹凸部Rに対
応する再生出力が変化する態様を具体例を説明する。図
3に示されるごとく、上段に示される凹凸形状パターン
のデータを『1』、下段に示されるの凹凸形状パターン
のデータを『0』とする。磁気再生波形は、それぞれ凹
凸形状に対応してそれらの境界領域にピークが立ち、図
示のごとく表示される。
【0032】図4(a)は、図2と同一の図面を示した
ものであり、図4(b)および(c)は、図4(a)で
示される固定の磁気情報である凹凸部Rを、それぞれ磁
気ヘッドでバイアス読み取りを行った場合の磁気再生波
形である。図4(b)と図4(c)とは、バイアス読み
取りを行う際のバイアス電流の向きがそれぞれ異なって
おり、図4(b)が高い出力レベルE1が得られる場合
(例えば点線で示される境界Hでの磁極がN/Nの組み
合わせ)、図4(c)が低い出力レベルE2が得られる
場合(例えば点線で示される境界Hでの磁極がN/Sの
組み合わせ)を示している。
【0033】また、図4(a)に示されるように、本発
明の硬磁性層21と軟磁性層25との2層積層体の上面
(図面では軟磁性層25の上面)に、他の磁気情報とし
て凹凸部Pを形成してもよい。ただし、このものは、図
4(b),(c)に示されるごとくバイアス電流の向き
を変えることにより極性変化を起こし、波形の位相が逆
転するものの、出力レベルE3,E4に変化はない。各
出力レベルの関係は、E2<(E3,E4)<E1とな
る。なお各々の『0』,『1』のデータは、図4(c)
の下部に示す通りである。
【0034】このような本発明の層構成を備えていれ
ば、書き換え不能な固定の磁気情報にも関わらず、再生
バイアス電流の向きを変えることで、書き込まれた情報
の内容は変化せずに2通り以上のレベルの再生出力が得
られる。このような手法は磁気的な手法で模倣すること
はできないので、変造に強いセキュリティ性の高い磁気
記録媒体が得られる。
【0035】固定の磁気情報としての凹凸部Rの個々の
横幅(磁気ヘッドの走査方向の凹部および凸部の幅)
は、通常、30μm〜1mm程度とされる。凹凸部Rの
高さおよび深さは、通常、印刷による塗布形成によれ
ば、2〜30μm、好ましくは5〜20μmとされ、ま
た、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法によれば
100〜1000Å、好ましくは400〜600Åとさ
れる。
【0036】このような凹凸部Rを硬磁性層と軟磁性層
との界面に備える2層積層体(磁気記録部20)の上に
は、保護層40を形成することが好ましい。保護層40
の材質としては、公知の種々の樹脂成分を適宜選定して
用いることができる。また、保護効果を高めるための各
種添加剤を含有させてもよい。このような保護層40
は、通常、グラビア法、ロール法、ナイフエッジ法、オ
フセット法等の塗布方法あるいは印刷方法により形成さ
れる。
【0037】次に、上述してきた本発明の磁気記録媒体
1の具体的製造方法について、図2を参照しつつ説明す
る。
【0038】まず、シート上の基板10を準備し、この
基板10上に硬磁性層21を形成する。硬磁性層21の
形成は、前述したように予め調合された磁性塗料をシル
クスクリーン印刷法、グラビア法、ロール法、ナイフエ
ッジ法等の公知の塗布方法に従って行ってもよいし、磁
性材料そのものを用いて、真空蒸着法、スパッタリング
法、メッキ法等により形成してもよい。
【0039】このような硬磁性層21は、基板10の全
面に形成してもよいが、一般的には経済性を考慮して、
磁気記録部20を作るのに必要な部分のみに、例えば、
ストライプ形状に形成される。もちろん、硬磁性層21
は、均一厚さに形成する必要があるが、上記の公知の連
続的塗布法であれば、十分な均一厚さが得られる。
【0040】次いで、図2に示されるように、均一厚さ
に形成された硬磁性層21の所定箇所の表面は、部分的
に物理的除去されて複数の凹部21a〜21e(基板1
0まで達してもしなくてもどちらでもよい)が形成さ
れ、その結果、所定のパターンを備える複数の凹凸部が
形成される。
【0041】硬磁性層21を部分的に物理的除去する方
法としては、例えば、凹部21a〜21eの対応位置に
レーザー光を照射する方法や、電子線を照射する方法、
放電による破壊、ルーチング(彫刻)加工等が挙げられ
る。
【0042】レーザー光を用いる場合には、部分的に物
理的除去される硬磁性層21の物性や、除去すべき線幅
等を考慮しつつ、用いるレーザーの種類、レーザー波
長、レーザーパワー等を適宜設定すればよい。
【0043】気体レーザーとしては、He−Neレーザ
ー、He−Cdレーザー、アルゴンレーザー(0.48
8μm連続発振,0.1〜20W)等の稀ガスイオンレ
ーザー;炭酸ガスレーザー(10.6μm連続発振,1
W〜10kW);金属蒸気レーザー等を使用することが
できる。また、固体レーザーとしては、ルビーレーザー
(0.6943μmパルス発振,10〜1000J)、
Ndガラスレーザー(1.06μmパルス発振,10〜
1000J)、Nd:YAGレーザー等のパルス励起固
体レーザー;あるいはルビーレーザー、Ndガラスレー
ザー、Nd:YAGレーザー(1.06μm連続発振,
1〜200W)、Nd:YAlO3 レーザー等の連続励
起固体レーザー等を使用することができる。また、液体
レーザーとしては、色素レーザー、ラマンレーザー、キ
レートレーザー、Nd3+液体レーザー等を使用すること
ができ、半導体レーザーとしては、GaAsダイオード
レーザー等を使用することができる。
【0044】これらの中でも特に、波長10.6μmの
CO2 ガスレーザー(出力0.5W〜20W)、波長
0.488μm(または0.5145μm)のArガス
レーザー(出力0.5W〜20W)、波長1.06μm
のNd:YAGレーザー(出力0.5W〜20W)が好
適例として挙げられる。なお、レーザーの出力が大きく
なり過ぎると、高温による基板の損傷や磁性層を構成す
るバインダー樹脂の熱収縮によりパターンの精度不良が
起こり、この一方で出力が小さ過ぎると、十分なパター
ンの削除ができない。
【0045】このようにして凹部21a〜21eが形成
された硬磁性層21の上には、軟磁性層25が形成され
る。軟磁性層25の形成は、硬磁性層21と同様に予め
調合された磁性塗料をシルクスクリーン印刷法、グラビ
ア法、ロール法、ナイフエッジ法等の公知の塗布方法に
従って行ってもよいし、磁性材料そのものを用いて、真
空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法等により形成し
てもよい。軟磁性層25の形成の際に、硬磁性層21に
形成された凹部21a〜21eは、軟磁性層25の材料
で完全に埋没される。これによって、本発明の固定され
た磁気情報としての凹凸部Rを備える磁気記録部20が
形成される。
【0046】さらに必要に応じて、軟磁性層25の表面
には、図示のごとく他の磁気情報として凹凸部Pを形成
してもよい。このものは、バイアス電流の向きを変える
ことによって出力レベルが変化するものではないが、例
えば、ID番号に類する磁気情報として用いることがで
きる。
【0047】このような磁気記録部20の上には、通
常、磁気記録部20を保護する目的で保護層40が形成
される。この場合、塗膜面の平滑性が確保できるように
塗膜形成方法や塗膜厚さを適宜調整する必要がある。
【0048】なお、前述したように図2に示される実施
の態様においては硬磁性層21の上に軟磁性層25を積
層した構造を採択しているが、硬磁性層21と軟磁性層
25との積層順を逆した組み合わせであってものよい。
また、凹凸部Rは、硬磁性層21と軟磁性層25との界
面に存在していればよく、硬磁性層21と軟磁性層25
のいずれか一方の層の一部を物理的に除去して形成すれ
ばよい。
【0049】また、本発明の磁気記録媒体に記録された
磁気情報の読み取り方法は、磁気ヘッドに再生バイアス
をかけながら少なくとも2回の信号の読み取りを行い、
1回目の信号読み取りと、2回目の信号の読み取りを行
う際の再生バイアス電流の向きを逆にして行なわれる。
そして、同じデータでかつ出力レベルが異なる2種類の
波形が得られる否かで情報の真偽が判別できる。本発明
で用いられる読み取りヘッドに関し、その概略構成はす
でに上述しているのであるが、さらにその構成を補足説
明しておく。読み取りヘッドは、ギャップを境にして、
バイアスコイルと読み取り用のコイルが設けられてい
る。そして、固定情報を読む際には、ヘッドのバイアス
コイルに一定のバイアス電流を印加して、ギャップから
バイアス磁界を発生させながら、固定信号(固定情報)
としての凹凸部Rを走査させる。この際、固定信号に応
じて磁気抵抗が変化するので、読み取りコイルと鎖交す
る磁束が変化し、読み取りコイルの両端には磁束の変化
量に比例した出力波形が発生するようになっている。
【0050】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0051】(実施例1)まず、最初に硬磁性層21と
軟磁性層25との2層積層体を形成するために下記の組
成を有する磁性塗料1および磁性塗料2を準備した。
【0052】 (硬磁性層21形成のための磁性塗料1) ・硬磁性粉末(Baフェライト) … 41重量部 ・ポリウレタン樹脂 … 7重量部 ・トルエン … 25重量部 ・メチルエチルケトン … 25重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 2重量部 (軟磁性層25形成のための磁性塗料2) ・軟磁性粉末(パーマロイ) … 41重量部 ・ポリウレタン樹脂 … 7重量部 ・トルエン … 25重量部 ・メチルエチルケトン … 25重量部 ・イソシアネート系硬化剤 … 2重量部 次に、被印刷物(基板)としてのポリエチレンテレフタ
レート製のカード(厚み250μm)を準備し、このカ
ードの上にマイヤーバーで上記磁性塗料1を塗布し、湿
潤状態のうちに対向磁石で磁気配向を行い、その後、乾
燥させて硬磁性層21を形成した。
【0053】次に、波長λ=1.06nm、出力15W
のNd:YAGレーザ光を用いて、磁気ストライプの長
手方向に対して垂直方向に硬磁性層21の表面を部分的
に物理的除去して線幅85μmおよび170μm(深さ
は5μmで同一)の2種類の凹部を所定パターンで形成
した。このように加工された硬磁性層21の上に、上記
磁性塗料2を塗布し、その後、室温で放置して磁性塗料
2を乾燥させて、塗布厚さ10μm(凹凸部が形成され
ていない場所での厚さ)の軟磁性層25を形成した。こ
れによって、本発明が目的とする固定信号(固定情報)
の凹凸部Rを作製した。
【0054】次いで、軟磁性層25の表面の所定箇所
に、他の磁気情報として凹凸部Pを形成した。凹凸部P
は、上記凹凸部Rに類似の大きさとし、同一トラック上
に互いの情報が重ならないように注意して作製した。
【0055】このような軟磁性層25の上に、公知の保
護層40を塗布法で形成し、図2に示されるごとく本発
明の磁気記録媒体(実施例1サンプル)を作製した。
【0056】このようにして作製した磁気記録媒体の記
録情報を、磁気ヘッドに再生バイアスをかけながら2回
の信号読み取りを行なった。もちろん1回目の信号読み
取りと、2回目の信号の読み取りの際の再生バイアスの
電流の向きは逆にした。実際に検出した磁気再生波形を
調べたところ、図4に示されるとおり、同じデータでか
つ出力レベルが異なる2種類の波形(出力レベルE1,
E2)が得られることが確認された。
【0057】(実施例2)上記実施例1において、硬磁
性層21と軟磁性層25との積層順を変え、軟磁性層2
5、硬磁性層21の順に積層した。それ以外は、上記実
施例1と同様にして、実施例2のサンプルを作製した。
このものについて、上記実施例1と同様にして2回の信
号読み取りを行なったところ、この場合もやはり図4に
示されるとおり、同じデータでかつ出力レベルが異なる
2種類の波形が得られることが確認された。
【0058】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の磁気記
録媒体は、基板と、この基板の上に形成された磁気記録
部とを備える磁気記録媒体であって、前記磁気記録部
は、少なくとも硬磁性層と軟磁性層との2層積層体を備
え、前記2層積層体の界面には、磁気情報としての複数
の凹凸部が磁気ヘッドの走査方向に沿って配列されてい
る。従って、磁気ヘッドに再生バイアスをかけながら少
なくとも2回の信号の読み取りを行い、1回目の信号読
み取りと、2回目の信号の読み取りを行う際の再生バイ
アス電流の向きを逆にして行なえば、同じデータでかつ
出力レベルが異なる2種類の波形が得られる。この出力
レベルの変化を予め確認することにより従来にも増して
情報の真偽が確実に判断でき、カードの偽造防止を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例であるカード状の磁気記録媒体の
斜視図である。
【図2】図1のA−A断面矢視図であって、本発明の理
解を容易にするために断面状態を模式的かつ簡略に描い
たものである。
【図3】データフォーマットの設定の一例を示した図で
ある。
【図4】図2に示される凹凸形状パターンと磁気再生波
形の対応を示す図である。
【符号の説明】
10…基板 20…磁気記録部 40…保護層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、この基板の上に形成された磁気
    記録部とを備える磁気記録媒体であって、 前記磁気記録部は、少なくとも硬磁性層と軟磁性層との
    2層積層体を備え、 前記2層積層体の界面には、磁気情報としての複数の凹
    凸部が磁気ヘッドの走査方向に沿って配列されてなるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁気情報としての複数の凹凸部は、
    基板の上に最初に形成された硬磁性層または軟磁性層を
    部分的に物理的に除去して形成される請求項1に記載の
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記凹凸部の凹部は、深さが同一で磁気
    ヘッドの走査方向の幅である横幅が異なる複数の種類を
    備えていることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 前記凹凸部の凸部は、高さが同一で磁気
    ヘッドの走査方向の幅である横幅が異なる複数の種類を
    備えていることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁気情報としての複数の凹凸部を形
    成するために行われる磁性層の物理的除去は、レーザー
    光を照射することによりなされることを特徴とする請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記請求項1ないし請求項5のいずれか
    に記載された磁気記録媒体に記録された磁気情報の読み
    取り方法であって、 該方法は、 磁気ヘッドに再生バイアス電流をかけながら少なくとも
    2回の信号の読み取りを行い、1回目の信号読み取り
    と、2回目の信号の読み取りを行う際の再生バイアス電
    流の向きを逆にして行うことを特徴とする磁気情報の読
    み取り方法。
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CN113884956A (zh) * 2020-07-02 2022-01-04 华润微电子控股有限公司 锑-铟系化合物半导体磁阻连续电流传感器及其制造方法

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