JP3806047B2 - 加飾成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加飾成形体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、基体表面に対して施された加飾面の模様が違和感なく連続して視認される加飾成形体及びその製造方法に関する。
本発明は、自動車のステアリングホイール、釣竿、スキーストック、ゴルフシャフト等の曲面体への加飾等に幅広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図10に示すように、水面1に浮かべた転写フィルム2にステアリングホイール3を押し付けることにより、そのステアリングホイール3の芯金4を囲撓する樹脂製基体5に対して、転写フィルム2の印刷模様層6にある装飾模様、絵柄、図柄、色彩等の美観を高める装飾表現(本発明ではこれらを総称して模様という。)を転写して、図12に示すように、加飾面Sを形成する、いわゆる水圧転写技術は、特開平11−124042号公報及び特開2001−277790号公報等により公知である。
【0003】
水圧転写技術によると、図13に示すように、まず、転写フィルム2が水圧で曲面を有する成形体である基体5に押し付けられて張り付き、水面の直下で基体5と密着する。次いで、基体5を水中から引き上げれば、図14に示すように、前記基体5の表面は転写フィルム2の他の構成要素であるクリア塗料層8を介して印刷模様層6により加飾され、ステアリングホイール3を握ったときに滑らかな感触が得られるとともに意匠効果が高まる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知技術においては、水面直下で転写フィルム2の両端部側を合体させる過程を経ているので、図14に示すように、印刷模様層6の両端部6a、6bを突き合わせたとき、それらの両端部6a、6bを繋ぎ合わせたような継ぎ目14ができる。その結果、図15に示すように、両端部6a、6bでは模様Pそのものの途中が切れて不連続模様になったり寄木細工のように模様が不連続に変化したりして模様に切れ目Paが入るという問題がある。そこで模様Pが連続して見えるように種々工夫が凝らされているが、基体5を転写フィルム2に押し付ける過程で転写フィルム2がその水面1の近くで、基体5に対して矢印Eに示すように伸張し(図13を参照)、模様Pの模様が伸張したり、薄く見えたりする不具合や、前記継ぎ目14に気泡9が入ったりする不具合等が生じるため不連続模様の解消は困難であった。
【0005】
このように印刷模様層6の継ぎ目14で模様Pが不連続になると、その模様Pが不自然に見え、加飾の効果が半減するという問題がある。そこで公知技術においては継ぎ目14がステアリングホイールの下側面に来るようにして意匠性の低下を抑えたり(特開平11−124042号公報)、同じく継ぎ目14が内側面に来るようにして模様の不自然さが目立たないようにしたりしている(特開2001−277790号公報)。
【0006】
しかしながら、これらの対策は上記問題を根本的に解決するものではなく、表裏面が存在しないもの、例えば、釣竿やゴルフシャフト等に対しては、前記継ぎ目を見えないようにしたり、目立たないようしたりすることが困難である。
本発明は、上記課題を解決するものであり、基体表面に対して施された加飾面の模様が違和感なく連続して視認される加飾成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、基体表面に対して印刷フィルムが密着するように追随させて印刷を施すという水圧転写技術の利点をそのまま活かしながら、曲面に施された加飾面の模様が途切れるという問題を解消できないか、検討したところ、水圧転写法に対して別の印刷手段、特にインクジェット印刷法を付加すればよいという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の加飾成形体は、水圧転写印刷加飾面と、該水圧転写印刷加飾面に連設され、該水圧転写印刷加飾面の模様に連続する模様を有するインクジェット印刷加飾面とを備えることを特徴とする。
本発明では、上記水圧転写印刷加飾面と、上記インクジェット印刷加飾面との合計面積のうちの60〜99%が該水圧転写印刷加飾面であり、1〜40%が該インクジェット印刷加飾面である加飾成形体とすることができる。
また、上記インクジェット印刷加飾面は、上記水圧転写印刷加飾面の端縁部が擦過されて形成されたぼかし面に連設して形成されている加飾成形体とすることができる。
本発明の加飾成形体の製造方法は、水圧転写フィルムを水面に静置し、該水圧転写フィルムに被加飾曲面を有する成形体を圧接し、該被加飾曲面に該水圧転写フィルムを転写して水圧転写印刷加飾面を形成する水圧転写印刷工程と、該水圧転写印刷加飾面の端縁部を擦過し、ぼかし面を形成するぼかし面形成工程と、該ぼかし面及び該被加飾曲面のうちの該水圧転写印刷加飾面が形成されていない部分にインクジェット印刷し、該水圧転写印刷加飾面の模様に連続する模様を有するインクジェット印刷加飾面を形成するインクジェット印刷工程と、をこの順に備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、ステアリングホイールを構成するリング状芯金を囲撓する樹脂製基体の加飾に本発明を具体化した実施態様について詳述し、次いで、その方法で得られた基体の加飾構造について説明する。
最初にステアリングホイール、転写フィルム、水圧転写装置及びインクジェット印刷手段を準備する。
【0010】
(1)ステアリングホイール
図1に示すように、この実施態様に適用されるステアリングホイール3は、ステアリングシャフト(図示なし)の先端部が嵌合されるボス10と、そのボス10から放射方向に向かって外方に延びる3本のスポーク11と、それらのスポーク11の先端部にボス10と同心円状に固定されるリング状の中空芯金4とを備え、スポーク11のうち左右側に存在する2本の左右スポーク11a、11bと芯金4との接合部分が左右握り部12a、12bになっている。そして左右握り部12a、12b間の芯金4にはポリオレフィン系エラストマーを成形して得た基体5が外皮として被覆されている。
【0011】
(2)水圧転写印刷
水圧転写装置は、図2に示すように転写水槽13と、その中に張られた水Wの水面1上に転写フィルム2を供給する供給装置(図示せず)と、転写水槽13上にステアリングホイール3を搬送する搬送装置(図示せず)と、水Wの中にステアリングホイール3を押し込んだり水Wの中から引き上げたりする昇降装置(図示せず)とから構成されている。尚、転写フィルム2は、巻取りローラから長尺状に順次引き出して水面1上に供給したり、所定の長さに切断して水面1上にセットしたりすることが可能となっている。
【0012】
転写フィルム2は、図9に示すように、水溶性又は水膨潤性ベースフィルム(以下、水溶性ベースフィルムと称する。)7の上に印刷模様層6とクリア塗料層8とを順次積層させることにより形成されている。水溶性ベースフィルムは公知のものであり、例えば、ポリビニルアルコールを主成分とし、これにポリアクリル酸アミドや他の水溶性高分子、でんぷん、ゼラチン、にかわ等の副成分を混合して得た厚さ10〜100μmのフィルムである。ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度及びでんぷん等の添加量などを所定の範囲内にすることにより水溶性ベースフィルム7の転写印刷時に必要な機械的強度、水溶性及び変形度が調節されている。
【0013】
印刷模様層6は、バインダー樹脂を含有し着色剤を含有する又は含有しない印刷インキにより、まず水溶性ベースフィルム7に対して下刷り印刷層を形成した後、その下刷り印刷層の上に着色剤を含有する油性の印刷インキを用いて模様を印刷することにより、水溶性ベースフィルム7の上に印刷模様層6が形成される。この際、印刷インキとして架橋型の印刷インキを用いることで、水圧転写の際の水面におけるインクの流出を低減することができる。模様としては基体5の加飾に相応しい模様で、例えば木目模様、石目模様、チェック模様、豹柄模様、木の葉模様、樹皮模様等が選ばれ、それらはグラビア印刷、平板印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等の印刷法により前記水溶性ベースフィルム7上に印刷される。
【0014】
クリア塗装層8は、基体5に対して印刷模様層6を接合し易くするとともに印刷模様層6の保持と延展性を図る油性の塗膜であり、バインダー樹脂を有機溶媒に混合することにより得られる。バインダー樹脂としては、基体5が成形されている原料樹脂の種類によっても異なるが、基体5がポリオレフィンからできている場合、例えば、2−メトキシエチルメタクリレートのようなアルコキシアルキルメタクリレート、塩素化ポリオレフィン及び重合性不飽和基含有ビニル化合物からなる重合体が使用される。またクリア塗装層8には無機繊維、可塑剤、顔料等、通常の塗料に添加される公知の添加剤が混入される。
【0015】
(3)インクジェット印刷
インクジェット印刷手段は、例えば、図3に示すように、種々の模様Pや加飾される基体5の大きさやセット位置等の制御情報が入力されるコンピュータ18と、そのコンピュータ18により演算処理された出力情報により作動する印刷装置19とから基本的に構成されている。コンピュータ18に記憶される模様Pは、コンピュータ18自体に予め入力されている模様製作アプリケーションを利用して創作したものであってもよいし、別個に作成した転写フィルム2の印刷模様層6に施されている模様Pをスキャナー20又はデジタルカメラ21等の画像処理手段を介して入力したものであってもよい。
【0016】
印刷装置19はコンピュータ18からの出力情報を受送信するコントローラ22と、そのコントローラ22の指令によりインクジェットノズル23を所定の位置に変位させて同ノズル23から所定のインク乃至染料(以下、インクと称する。)24を噴射するアクチュエータ25とから構成される。
【0017】
尚、インクジェット印刷をする場合において、模様Pの種類によっては水圧転写された模様Pとインクジェット印刷された模様Pjがずれないように、インクジェット印刷を開始するに先立って基体5に転写された模様Pの位置をデジタルカメラ21等により画像処理することにより、インクジェットノズル23の噴射位置を調整することもできる。
本発明に使用されるインクジェット印刷手段は、前記のように構成されていなくても、インクジェットノズル23から基体5上に噴出されたインク24が転写フィルム2の模様Pと実質上同一の模様Pj、色彩、色調を作画できれば、いかなるインクジェット印刷手段でも使用可能である。
【0018】
(4)水圧転写印刷の方法
水圧転写により、転写フィルム2を基体5に転写するに先立って基体5の外周面にあるバリをカッター、研削リーマー(いずれも図示なし)等により削り取って、被加飾面Soを滑らかにしておく。そして、図10に示すように、転写水槽13に浮かべた転写フィルム2の上方にステアリングホイール3をその回動面が転写フィルム2の延展方向を向くとともに、水面に対して一定の角度(図10においては90°)がつくようにセットして、ホイールを回動させつつ水没させてもよいが、この実施態様においては、図2に示すように、ステアリングホイール3を、ボス10及びスポーク11等による凸部側が水面側を向くようにして転写水槽13の水面1上の転写フィルム2に対して押し付ける方法を採用する。
【0019】
この場合、転写フィルム2は、所定の長さに切断した短尺物であってもよいし、リール(図示なし)に巻かれた長尺物であってもよいが、この実施態様においては、ステアリングホイール3を転写フィルム2に押し付けるとき、ステアリングホイール3の基体5に転写フィルム2が回り込み易くするために、転写フィルム2の中央部に切欠き部2aを設けておく(この転写フィルム2を上面からみた形状はドーナツ状である。)。尚、転写フィルム2は、それを構成する水溶性ベースフィルム7が下面側になりクリア塗料層8が上面側になるように、水面1に浮かべられる。また、基体5に水圧転写する際には、図11に示すように、ステアリングホイールの中心部に、比重の軽い略円盤状の発泡体F等の水圧転写補助材を備え付けて、模様を加飾することができる。この場合、ホイールのスポーク11、11a及び11b等の凸部により生じる水流を、発泡体Fによって緩和させることができ、この水流により転写フィルム2がスポーク11等に引き寄せられ、転写フィルム2が重なったり、伸張したり、皺になるなどの不具合を低減することができ、より均質な加飾面を形成することができる。
【0020】
次に、ステアリングホイール3を転写フィルム2に押し付けることになるが、それに先立って転写フィルム2のクリア塗料層8に有機溶剤、例えば、シンナーを噴霧して表面を軟化させておくとともに基体5に対する濡れ性を高めておく。この際、水面で軟化した転写フィルム2における周辺部の印刷模様層6の印刷インキの流出を低減するため、予め転写フィルム2における各々の端の少なくとも内周の端から30%以内(好ましくは5〜20%)の周辺部に架橋型のインキを含有させておくこともできる。
次いで、ステアリングホイール3をゆっくりと水没させると、ステアリングホイール3が降下するにつれて転写フィルム2が水圧を受けて基体5の表面に接触し、クリア塗料層8が基体5の表面に密着し、それに伴って印刷模様層6の模様Pが前記表面である被加飾面Soに転写される。尚、本発明においては基体5の表面のみを加飾するものであるから、ステアリングホイール3の左右握り部12a、12b等の表面に転写フィルム2が接合しないように、前記表面に離型材を当てたりシンナーを付着させない手段を講じたりしておく。
【0021】
続いて、ステアリングホイール3を水Wの中から引き上げて基体5の表面に転写された転写フィルム2に溶解せず残った水溶性ベースフィルム7を洗い落とした後、基体5を乾燥する。更に、意匠性を向上させるために前記印刷模様層6の上に透明なトップコート層を薄く被覆してもよい。このようにして、図4に示すように、基体5上にクリア塗料層8と印刷模様層6とが順次積層して被覆されたステアリングホイール3が得られ、その上面側に転写フィルム2の両端が当接する継ぎ目14ができる。その結果、上述したように転写フィルム2の両端部2a、2bを跨ぐ印刷模様層6の模様Pに切れ目Paができる。
【0022】
(5)ぼかし面の形成及びインクジェット印刷の方法
切れ目Paがある基体5の上面側を、磨き砂、コンパウンド研磨材、サンドペーパー等を使用して擦過して切れ目Paを含む模様Pの一部分(印刷模様層6の端縁部)をぼかした状態にする、いわゆる「ぼかし面」15を形成する(図5参照)。そして、そのぼかし面15の上に、図3に示したインクジェット印刷手段を使用してインクジェット印刷を行う。すると、図6、図7に示すように、アクチュエータ25のインクジェットノズル23からコンピュータ18及びコントローラ22の指令に基づいてインク24が噴射され、ぼかし面15上に模様Pj(インクジェット印刷層16)が形成される。この模様Pjは水圧転写された模様Pと連続し、それら模様P、Pjには従来技術の加飾ステアリングホイールの基体において視認された切れ目が全く認められない。
【0023】
また、本発明のようにインクジェットノズル23が水平方向に往復運動するようなインクジェット印刷手段を使用する場合、上面が円弧面になっている基体5に対してインク24を噴出することになるので、基体5上に印刷された模様Pjは基体5の外方にゆくにつれて幾分伸ばされる傾向にある。いわゆる模様の流れが起こる。
【0024】
そこで本発明においては、図7に示すように、基体5の長手方向に直交する方向の印刷幅Dを所定の範囲に収まるように制御することにより模様Pjの流れの影響が転写印刷により形成された模様Pに及ばないようにする。本発明では、水圧転写印刷加飾面と、インクジェット印刷加飾面との合計面積のうちの60〜99%(好ましくは70〜90%)が水圧転写印刷加飾面であり、1〜40%(好ましくは10〜30%)がインクジェット印刷加飾面となるように、前記印刷幅Dを厳密に制御できるようにしている。インクジェット印刷で加飾されたインクジェット加飾面が40%を超えると模様Pjが大きく流れて転写印刷により形成された模様Pに影響し、逆に1%未満になると前記切れ目Paを完全には解消できない。
【0025】
更に、印刷範囲内において印刷幅D(図7参照)を定める場合、模様Pの種類を考慮しなければならない。即ち模様Pの流れがある程度許容される場合とそうでない場合がある。例えば、図3に示した印刷模様層6xの模様Pが木目模様である場合、その模様は基体5の長手方向に添って延びるので、インクジェット印刷により描かれた模様Pjはある程度流れてもよいが、同じく印刷模様層6yのように模様Pが点在している場合、模様Pjが流れると不自然さが目立つ。水圧転写法では水面1に近い部位に転写された模様Pも僅かに伸びるので、一見模様Pが流れたようになる。このように流れたようになる模様Pにインクジェット印刷により若干流れた模様Pjを接合する場合、インクジェット印刷では、模様Pの長さと模様Pjの長さの割合を調整する手法を採用することにより前記の不自然さは緩和される。
【0026】
(6)加飾成形体
以上のようにして基体5の被加飾面Soを水圧転写印刷法及びインクジェット印刷法により加飾して加飾面Sが得られたら基体5を乾燥する。乾燥は通常の熱可塑性樹脂の乾燥条件と略同じ条件、即ち70〜90℃で10〜30分間加熱することにより実施される。基体5の加熱後には水圧転写により得られた転写加飾面Sbとインクジェット印刷により得られたインクジェット加飾面Saは、ほぼ同化している。そこで、図8に示すように、加飾面Sの上にトップコート層17を施すと、成形体である基体5は、その表面である曲面に水圧転写された転写加飾面Sbと、その転写加飾面Sbの模様Pと実質的に同一の模様Pjがインクジェット印刷されたインクジェット加飾面Saとを有する加飾成形体となり、転写加飾面Sb及びインクジェット加飾面Saのそれぞれに施されている模様P、Pjが連続して視認されるようになる。
【0027】
本発明はその根本的技術思想を踏襲して発明の効果を著しく損なわない限度において前記実施態様の一部分を変更し、例えば、次のように実施できる。
▲1▼本発明をステアリングホイール以外にゴルフシャフト、ストック、特にスキーストック、機械・器具のハンドル、特に自転車のハンドル、ドアの取手、家具の取手や脚部等、種々の曲面を有する成形体の加飾に適用できる。
▲2▼しかしながら、長さが約20cmを超える成形体の加飾に適用すると、転写フィルム2が伸張して模様が流れるので、図9に示すように、成形体5を転写フィルム2の上に横置きにして転写する。
▲3▼水圧転写する過程で基体5の被加飾面Sを転写フィルム2で略完全に囲撓して継ぎ目14の間隔を極力狭くする必要はない。切れ目Paの存在する領域をインクジェット印刷法によるインクジェット加飾面Saを以って被覆できる範囲内において前記間隔を所定の範囲まで広げることが可能になり、その分水圧転写作業を効率化できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の加飾成形体は、水圧転写により生じる模様の切れ目が、インクジェット印刷による模様により被覆されているため、基体表面に対して施された加飾面の模様が違和感なく連続して視認され、意匠性に優れる。
本発明の加飾成形体の製造方法によれば、曲面を有する基体表面へ、模様の切れ目が全く視認できないほど綺麗に、且つ違和感なく連続して視認できる加飾面を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加飾される一成形体の部分破断平面図である。
【図2】水圧転写工程を示す断面図である。
【図3】インクジェット印刷工程を示す構成図である。
【図4】加飾成形体の一部分を示す部分破断平面図である。
【図5】切れ目消去工程で得られた加飾成形体の断面図である。
【図6】インクジェット印刷工程で得られた加飾成形体の断面図である。
【図7】本発明に係る加飾成形体の一部分を示す上面図である。
【図8】トップコート仕上げされた本発明に係る加飾成形体の断面図である。
【図9】本発明に係る他の実施態様を示す要部断面図である。
【図10】従来技術に係る水圧転写工程を示す断面図である。
【図11】本発明に係る水圧転写工程を上方から見た場合の平面図である
【図12】水圧転写工程で得られた転写模様を示す部分平面図である。
【図13】水圧転写工程で成形体が水圧転写される過程を示す断面図である。
【図14】水圧転写法により得られる加飾成形体の断面図である。
【図15】加飾成形体の模様に切れ目が生じている様子を示す部分平面図である。
【符号の説明】
1:水面、2:転写フィルム、2a:端部、2b:端部、3:ステアリングホイール、4:芯金、5:基体、6:印刷模様層、6x:印刷模様層、6y:印刷模様層、7:水溶性ベースフィルム、8:クリア塗料層、9:気泡、10:ボス、11:スポーク、11a:左スポーク、11b:右スポーク、12a:左握り部、12b:右握り部、13:転写水槽、14:継ぎ目、15:ぼかし面、16:インクジェット印刷層、17:トップコート層、18:コンピュータ、19:印刷装置、20:スキャナー、21:デジタルカメラ、22:コントローラ、23:インクジェットノズル、24:インク、25:アクチュエータ、S:加飾面、So:被加飾面、Sa:インクジェット加飾面、Sb:転写加飾面、E:矢印、F:発泡体、P:模様、Pj:模様、Pa:切れ目、W:水。
Claims (4)
- 水圧転写印刷加飾面と、該水圧転写印刷加飾面に連設され、該水圧転写印刷加飾面の模様に連続する模様を有するインクジェット印刷加飾面とを備えることを特徴とする加飾成形体。
- 上記水圧転写印刷加飾面と、上記インクジェット印刷加飾面との合計面積のうちの60〜99%が該水圧転写印刷加飾面であり、1〜40%が該インクジェット印刷加飾面である請求項1記載の加飾成形体。
- 上記インクジェット印刷加飾面は、上記水圧転写印刷加飾面の端縁部が擦過されて形成されたぼかし面に連設して形成されている請求項1又は2に記載の加飾成形体。
- 水圧転写フィルムを水面に静置し、該水圧転写フィルムに被加飾曲面を有する成形体を圧接し、該被加飾曲面に該水圧転写フィルムを転写して水圧転写印刷加飾面を形成する水圧転写印刷工程と、該水圧転写印刷加飾面の端縁部を擦過し、ぼかし面を形成するぼかし面形成工程と、該ぼかし面及び該被加飾曲面のうちの該水圧転写印刷加飾面が形成されていない部分にインクジェット印刷し、該水圧転写印刷加飾面の模様に連続する模様を有するインクジェット印刷加飾面を形成するインクジェット印刷工程と、をこの順に備えることを特徴とする加飾成形体の製造方法。
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