JP3805849B2 - 自動二輪車の収納ボックス照明構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車の収納ボックス照明構造に関し、特にその照明ランプをオンオフするスイッチの配置構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車において、乗員用のシートは、その前側にヒンジ部を有し、このヒンジ部を中心に車体に対し回動可能であって、後側を上方に持上げることができる。このようなシートの下側には、ヘルメットや雨具その他の備品を収容する収納ボックスが設けられ、シートを回動させることによってこの収納ボックスを開閉する。このような収納ボックスはシートを回動させて開いたときに、内部を明るく照明することが望ましい。このため、収納ボックス内にランプを設け、このランプをシートの開閉動作に連動して作動するスイッチによりオンオフさせる収納ボックス照明構造が従来より用いられている。
【0003】
従来の収納ボックスは、上面が開口した箱体からなり、この箱体を車体フレームを構成する左右のシートレール間に装着したものであり、この箱体の周壁の上部にランプを設けていた。また、このランプをオンオフするスイッチは、所定のストロークを有する接触子を備えた機械的接触スイッチであり、このスイッチをその接触子がシート下面に対向するように上向きにボックス内の上縁部に設けていた。これにより、シートが閉じたときは接触子を押し下げてスイッチをオフとしてランプを消灯し、シートが開いたときにシートが接触子から離間してスイッチをオンにしてボックス内を照明するようにランプがオンオフされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の収納ボックス照明構造においては、ボックスの内側にスイッチを取付けていたため、収容スペースを制約するとともに、物品の出し入れ時の邪魔になり使用性を低下させていた。また、スペース制約量を小さくするために小型のスイッチを用いれば、接触子のストロークも小さくなり、シートの開度が小さい状態でスイッチがオンとなりランプが点灯する。このため、シートが完全に閉じていない状態で放置されたときにランプが点灯し続け、バッテリーが消耗してしまう問題があった。更に、スイッチの接触子への塵埃の付着による作動不良も懸念される。
【0005】
本発明は上記の点を考慮してなされたものであって、収納ボックス内スペースを制約せず、物品の出し入れの邪魔にならず、しかもシートの開閉状態を確実に検出して不完全な閉状態での誤点灯を防止してバッテリーの無駄な消耗を防止すると共に塵埃等の付着による作動不良を防止可能な自動二輪車の収納ボックス照明構造の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、前側のヒンジ軸を中心に車体に対し回動可能に設けたシートと、このシート下側に配設され、上面が開口してこの開口を前記シートによって開閉される収納ボックスと、この収納ボックス内を照明するランプと、前記シートの開閉状態を検出して前記ランプをオンオフさせるためのスイッチとを備えた自動二輪車の収納ボックス照明構造において、前記スイッチをシート側に設けたことを特徴とする自動二輪車の収納ボックス照明構造を提供する。
【0007】
この構成によれば、スイッチがシート側に取付けられるため、ボックス内スペースの制約にならずまた物品の出し入れの邪魔にもならず、収納性や使用性が向上する。また、接触子を用いたスイッチの場合、ボックス内スペースを制約しないため、ストロークの大きいスイッチを用いることができ、不完全な閉状態でのスイッチの誤点灯が防止される。また、接触子を備えた機械的接触スイッチの場合、接触子が下向きに配置されるため、接触子への塵埃付着が抑制され、接触不良や作動不良等を防止できる。さらに、スイッチを所謂転倒式スイッチとしてシートのクッション材の内部に埋設して設ければ塵埃等の付着も防止され信頼性の高い機能が維持される。
【0008】
【発明の実施の形態】
好ましい実施の形態においては、前記スイッチは、所定のストロークを有する接触子を備え、この接触子を車体側に対向して下向きに配置したことを特徴としている。
【0009】
これにより、動作が簡単で安価な接触子型の機械的スイッチを用いて、前述のように、塵埃付着による作動不良を防止し、またストロークを大きくして不完全な閉状態での誤点灯を防止することができ、実用性の高い収納ボックス照明構造が達成される。
【0010】
別の好ましい実施の形態においては、前記スイッチは、所定位置に対するそれ自体の傾斜角度によってシートが前記ヒンジ軸廻りに回動したときの開き角度を検出する所謂転倒式スイッチからなることを特徴としている。
【0011】
これにより、前述のように、ボックス内スペースを制約することなく、スイッチをシート内に埋設して塵埃付着を防止して機能の信頼性を高めるとともに、スイッチが動作するシートの開き角度を任意に設定できるため、シートの開き角度が小さく不完全な閉状態ではスイッチを確実にオフにすることができ、バッテリーの無駄な消耗を確実に防ぐことができる。
【0012】
さらに好ましい実施の形態においては、前記収納ボックスは、その断面が上部開口より下部内方の収納空間が広がった形状を有し、この下部の上面壁に前記ランプを設けたことを特徴としている。
【0013】
このような入口開口部より内方の収容部が大きい形状は、例えば樹脂材料のブロー成形等により容易に形成可能であり、このような形状により、左右の車体フレームの間およびその下側の空間を有効に利用して収納スペースの拡大を図ることができる。また、このような収納ボックスの開口部から外れた収納空間の上面にランプが配置されるため、開口部を狭めることなくまた収納スペースを制約することなくランプを取付けることができ、収納性および使用性が高められる。
【0014】
【実施例】
図1は、本発明が適用される自動二輪車の側面図である。また、図2および図3はそれぞれ図1のA−A部およびB−B部の概略的な断面図であり、図4は図1のCーC部の詳細な断面図である。また、図5はランプ取付部の分解斜視図である。
【0015】
この自動二輪車1はスクータ型のもので、車体前側にハンドル2を備え、ハンドル2はそのステアリング軸をヘッドパイプ(いずれも図示しない)に回動可能に装着され、さらに左右のフロントフォーク3を介して前輪4に連結される。この車体前側はフロントカウル5で覆われる。車体後部には、後端に後輪6を支持するユニットスイング式エンジン50が上下揺動自在に設けられている。車体の左右両側はサイドカバー7で覆われる。車体後部の上側にはグラブバー8が装着される。この車体の中央部から後部にかけての上側にシート9が装着される。このシート9は、前側の運転者用のメインシート9aと、その後側のバックレスト9bと、さらにその後側のタンデムライダー用のリヤシート9cとからなる二人乗り用のダブルシート(タンデムシート)型式である。シート9は、その前端部下側のシートヒンジ軸10を介して、図の二点鎖線で示すように、車体に対し回動可能である。このシート9は、図2および図4に示すように、例えばポリプロピレンその他の硬質樹脂材料からなる底板11上にウレタンフォーム等の弾性樹脂材料からなるクッション材9dを設けその表面を塩化ビニールレザー等の表皮9eで覆ったものである。
【0016】
シート9のメインシート9aの下側の車体中央部には燃料タンク44がサイドカバー7に覆われた左右のメインフレーム51にブラケット等を介して固定保持されている。また、シート9後部のリヤシート9cの下側のサイドカバー7内には左右シートレール16(図3)間に配設された収納ボックス12が備る。この収納ボックス12は、図3に示すように、上部開口より下部内方の収納空間が広がった形状であり、シートレール16およびメインフレーム51の後部51’等を避けてサイドカバー7内のスペースを有効に収納空間として利用している。このような形状の収納ボックス12は、例えば樹脂材料のブロー成形により形成可能である。
【0017】
図3および図5に示すように、この収納ボックス12の入口開口を形成する上縁部12aと拡大した収納部の側壁12bとの間の肩部すなわち下部内方の収納部の上面壁12cに開口32(図5)を設けここにランプ14が装着される。このランプ14は、その取付ステー14aを収納ボックス12の上縁部12aにビス17によりネジ止めすることにより固定される。収納ボックス12はメインフレーム51の後部51’に取付られる。このランプ14の照射範囲は、図3の点線矢印で示すように、収納ボックス12の底面全体をカバーする範囲である。このように収納ボックス12の肩部にランプ14を設けることにより、入口開口面積を狭めずまた物品の出し入れの邪魔にならず、かつ収納部の上側に設けられるため収納された物品に遮られることなく内部を充分に照明することができる。
【0018】
この収納ボックス12の上縁部12aの上端には、左右両サイドカバー7の内側端部に設けた屈曲凹部からなるシール部7a(図3、図4)が装着される。このシール部7aに対応してシート9の底板11にリブ11aが垂下して設けられこのリブ11aの下端にゴム等の弾性材からなるシール材13が装着される。このシール材13が、シート9を閉じたときに、サイドカバー7のシール部7a上に圧接して収納ボックス12の開口を全周にわたってシールする。図4、図5において、収納ボックス12の外側のシートレール16に固着された取付ブラケット31にグラブバー8がボルト32により固定されている。
【0019】
図1および図2に示すように、シート9のクッション材9d内には、前記ランプ14をオンオフさせるための転倒スイッチ15が設けられる。この転倒スイッチ15は、所定位置に対するそれ自体の傾斜角度によりスイッチ動作するものであり、その構造自体は公知である。この例では転倒スイッチ15は、シート9に取付けられているため、このシート9の傾斜角度(スイッチの転倒角)に応じてスイッチがオンオフする。このような転倒スイッチのオンオフが切換わる動作転倒角は任意に設定可能である。図の例では、シート9がヒンジ軸10廻りに回動してPで示す位置まで開かれたときにスイッチがオフからオンに切換わるようにスイッチ15の動作転倒角が設定される。このように転倒スイッチ15の動作転倒角度をシート9が充分開いた角度に設定しておくことにより、シート9が閉じ方が不完全であって使用者の意志に反してシート9が僅かに開いた状態のときに、スイッチがオンとなってランプ14を点灯させることが確実に防止でき、バッテリーの無駄な消費を防ぐことができる。
【0020】
また、この転倒スイッチ15はシート9内に埋設されるため、塵埃等の付着が防止され機能劣化を来すことがなくなるとともに、収納ボックス12の入口開口部や内部収納空間を狭めることはなく、車体側のスペースを収納空間として有効に大きく利用できる。
【0021】
図6〜図9は、本発明の別の実施例を示す。図6はこの別の実施例の概略基本構成を示す側面図、図7はその詳細な断面図、図8は図7のD矢視図、図9はその要部分解斜視図である。この例は、各図に示すように、シート9前端部のヒンジ軸10の取付け部分に、前記収納ボックス照明用のランプをオンオフさせるためのスイッチ23を設けたものである。このスイッチ23は、所定のストロークを有する接触子25を備えた機械的接触型のスイッチである。スイッチ23は取付け片23a(図9)を有し、この取付け片23aを介してネジ43により支持ステー22に固定される。尚、52は支持ステー22に形成された孔55に挿入される回り止めピンである。この支持ステー22は、シート9に固定されたシート側ヒンジ部材20に溶接により固着されている。
【0022】
シート側ヒンジ部材20は、図7、図8に示すように、これに一体に突設されたボルト38とナット53によりシート側のフレーム部材37に固定される。このシート側ヒンジ部材20はそのヒンジ孔20aに、図1のヒンジ軸10を構成するボルト21をスプリングワッシャ42を介して挿通させて車体側のヒンジ部材19にヒンジ結合される。車体側のヒンジ部材19は、車体左右両側のメインフレーム51を連結する門型の横断ブラケット18の水平部18aに固着されている。この横断ブラケット18は、シート9の下方に配置される燃料タンク44(図9)をボルト45により同時に支持している。車体側のヒンジ部材19には、横断ブラケット18の水平部18aに沿って水平部19aが形成されスイッチ23の接触子25は、車体側のヒンジ部材19の水平部19aの上面に対向してこれに当接するように下向きに設けられる。
【0023】
図7の詳細断面において、シート9の下部に燃料タンク44が配設され、その燃料キャップ36の前側のシート9にリツド33が設けられる。リッド33は抓み35の操作により軸34廻りに回動して開閉可能である。シート底板11にはシート開閉用ガスダンパー41が取付けられる。39は燃料のオーバーフローパイプである。
【0024】
上記構成のスイッチ取付け構造において、シート9をヒンジ軸10廻りに回動させて開いていくと、スイッチ23の接触子25が車体側のヒンジ部材19の水平部19aに当接しながらしだいにスイッチケース内から伸び出て、所定の開度で完全に水平部材18aから離れる。この接触子25の伸び出る量が所定量に達したとき又は完全に水平部19aから離れたときに、スイッチ回路がオンになり前述の収納ボックス12のランプ14(図1、図3、図5)が点灯される。
【0025】
このような構成においては、他の部材が配設されることのないシート側ヒンジ部材20の可動範囲となるこのヒンジ部材下側の比較的広い空間内にスイッチ23を装着しているため、他の部材のスペース的な制約とならず、ストロークの大きい比較的大型のスイッチを用いることができ、シート9が充分に開いた角度でスイッチをオンにすることができ、開き角度が小さい不完全な閉状態での誤点灯を防止できる。また、接触子25は下向きに配置されるため、塵埃等が付着しにくくなり、接触子の作動不良が回避され、信頼性の高い機能が保持される。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、ランプ点灯用のスイッチがシート側に取付けられるため、ボックス内スペースの制約にならずまた物品の出し入れの邪魔にもならず、収納性や使用性が向上する。また、接触子を用いたスイッチの場合、ボックス内スペースを制約しないため、ストロークの大きいスイッチを用いることができ、シートが僅かに開いた不完全な閉状態でのスイッチの誤点灯が防止され、これによりバッテリーの無駄な消費が防止される。また、接触子を備えた機械的接触スイッチの場合、接触子が下向きに配置されるため、接触子への塵埃付着が抑制され、接触不良や作動不良等を防止でき信頼性の高い点灯動作が達成される。さらに、スイッチを転倒式スイッチとしてシートのクッション材の内部に埋設して設ければ塵埃等の付着も防止され信頼性の高い機能が維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る自動二輪車の側面図。
【図2】 図1のA−A線の概略断面図。
【図3】 図1のB−B線の概略断面図。
【図4】 図1のC−C線の詳細断面図。
【図5】 図1の実施例のランプ取付け部の分解斜視図。
【図6】 本発明の別の実施例の概略側面図。
【図7】 図6の実施例の詳細断面図。
【図8】 図7のD矢視図。
【図9】 図6の実施例の分解斜視図。
【符号の説明】
9:シート、10:ヒンジ軸、11:底板、12:収納ボックス、
13:シール材、14:ランプ、15:転倒スイッチ、
18:横断ブラケット、18a:水平部、19:車体側ヒンジ部材、
20:シート側ヒンジ部材、22:支持ステー、23:スイッチ、
25:接触子。
Claims (3)
- 前側のヒンジ軸を中心に車体に対し回動可能に設けたシートと、
このシート下側に配設され、上面が開口して、この開口を前記シートによって開閉される収納ボックスと、
この収納ボックス内を照明するランプと、
前記シートの開閉状態を検出して前記ランプをオンオフさせるためのスイッチとを備えた自動二輪車の収納ボックス照明構造において、
前記スイッチをシート側に設け、
前記収納ボックスは、その断面が上部開口より下部内方の収納空間が広がった形状を有し、前記開口を形成する上縁部と、拡大した収納部の側壁との間の肩部であり、車幅方向外側が下方に傾斜した下部内方の収納部の上面壁を備え、この下部の上面壁に収納ボックスの底面全体を照明するように収納部の上側に前記ランプを設けたことを特徴とする自動二輪車の収納ボックス照明構造。 - 前記スイッチは、所定のストロークを有する接触子を備え、この接触子を車体側に対向して下向きに配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の収納ボックス照明構造。
- 前記スイッチは、所定位置に対するそれ自体の傾斜角度によってシートが前記ヒンジ軸廻りに回動したときの開き角度を検出する所謂転倒式スイッチからなることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の収納ボックス照明構造。
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