JP3805478B2 - 容量性素子の等価直列抵抗測定方法および等価直列抵抗測定装置 - Google Patents
容量性素子の等価直列抵抗測定方法および等価直列抵抗測定装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサや電解コンデンサなどの容量性素子の内部に存在する等価直列抵抗を測定する容量性素子の等価直列抵抗測定方法および等価直列抵抗測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンデンサの性能を示すパラメータの1つとしていわゆる等価直列抵抗が存在する。この等価直列抵抗は、コンデンサを抵抗と理想コンデンサとの直列回路として等価的に表したときの抵抗を意味する。この等価直列抵抗を測定する装置として、図4に示す等価直列抵抗測定装置21が従来から知られている。
【0003】
この従来の等価直列抵抗測定装置21は、交流定電流を出力する交流電源22、交流電圧計23、位相検出部24および演算部25を備えている。
【0004】
この等価直列抵抗測定装置21では、測定が開始されると、交流電源22が、測定対象物であるコンデンサCに所定周波数で一定電流の交流信号を印加すると共に、その交流信号の電流波形をモニタ信号として位相検出部24に出力する。位相検出部24は、モニタ信号の位相と、コンデンサCの端子間に発生した端子間電圧の位相とを比較することにより両者の位相差を検出し、検出した位相差を演算部25に出力する。一方、交流電圧計23は、コンデンサCの端子間電圧を測定して演算部25に出力する。演算部25は、位相差と端子間電圧とに基づいて、コンデンサCの等価直列抵抗を演算する。
【0005】
ここで、一般的に、等価直列抵抗rは、下記の式によって表される。
r=Z・COSθ
ここで、θは位相差を示す。また、Zは、コンデンサCのインピーダンスの絶対値を表し、以下の式で特定される。
Z=Vo/io
ここで、Voは端子間電圧の絶対値を示し、ioは交流電源22から出力される出力電流の絶対値を示す。
【0006】
演算部25は、入力した端子間電圧と交流電源22の出力電流ioからコンデンサCのインピーダンスZを演算し、位相差θに基づいて、等価直列抵抗rを演算する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の等価直列抵抗装置21による等価直列抵抗の測定には、以下の問題点がある。
すなわち、コンデンサCの容量が大きい場合には、コンデンサCのインピーダンスZの値が等価直列抵抗rの値に近づく。したがって、図5に示すように、モニタ信号31の位相とコンデンサCの端子間電圧波形32との位相差θが値0に近づくことになる。このため、位相検出部24の位相差検出精度が低いと、等価直列抵抗rの測定値に大きな誤差が生じてしまうという問題点がある。
【0008】
この場合、コンデンサCの容量が大きく、等価直列抵抗測rの値が1/(ωC)の値に比較して極めて大きいときには、下記の式によって演算することにより簡易的な測定を行うことも可能である。ただし、ωは、交流信号の角周波数を示す。
r=Vo/io
しかし、この測定方法には、低測定周波数でコンデンサCの等価直列抵抗rを測定しようとした場合に、1/(ωC)の値が小さくならないために、正確な測定値を得ることができないという別の問題点が生じる。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、容量性素子の等価直列抵抗を正確に測定できる容量性素子の等価直列抵抗測定方法および等価直列抵抗測定装置を提供することを主目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法は、直流電源および測定対象物である容量性素子に対して直列に電流検出手段を配設した状態で直流電源の出力部または容量性素子の充電電流入力側端子における電圧を一定にしつつ容量性素子を充電し、その充電開始時から所定時間経過後までの間における充電電流に対応する第1の検出電圧および容量性素子の端子間電圧に対応する第2の検出電圧を電流検出手段および電圧検出手段によってそれぞれ検出させると共に、第1の検出電圧および第2の検出電圧に基づいて充電電流および端子間電圧をそれぞれ演算し、充電電流の最大値を演算した後、最大値の充電電流が流れた時の端子間電圧および充電開始時における端子間電圧の電圧差と最大値とに基づいて容量性素子の等価直列抵抗を測定することを特徴とする。
【0011】
一般的に、測定対象の容量性素子が理想コンデンサのみで構成されている場合には、直流定電圧で容量性素子を充電する際に、容量性素子は、その定電圧まで瞬時に充電される。一方、容量性素子は、有限値である等価直列抵抗を必ず有している。このため、容量性素子に対する充電電流の最大値は、容量性素子の等価直列抵抗によって決定される。また、その最大値の充電電流が流れた時に電圧降下に起因して発生する等価直列抵抗の両端電圧は、充電電流の最大値が得られた時の容量性素子の端子間電圧と、充電開始時における容量性素子の端子間電圧との電圧差と等しくなる。したがって、その電圧差と充電電流の最大値とに基づいて、例えば、その最大値で電圧差を除算することにより、等価直列抵抗を逆算することが可能となる。この場合、等価直列抵抗を測定するために、従来の等価直列抵抗測定装置21おいては位相検出部24によって検出された位相差に基づいて等価直列抵抗を測定していたのに対し、この測定方法では、そのような位相差の測定を必要としないため、容量性素子が大容量の場合であっても、極めて高精度で等価直列抵抗を測定することが可能となる。
【0012】
請求項2記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法は、請求項1記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法において、直流電源および容量性素子に対して直列に接続された電流検出用抵抗と、電流検出用抵抗の両端電圧を差動増幅することにより第1の検出電圧を出力する差動増幅回路とを電流検出手段として用い、第1の検出電圧および電流検出用抵抗の抵抗値に基づいて充電電流を演算することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法は、請求項1記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法において、直流電源および容量性素子に対して直列に配設可能に構成され充電電流に応じた誘起電圧を出力巻線から出力する電流検出用トランスと、電流検出用トランスの出力巻線から出力された誘起電圧を増幅することにより第1の検出電圧を出力する増幅回路とを電流検出手段として用い、第1の検出電圧に基づいて充電電流を演算することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法は、請求項1から3のいずれかに記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法において、充電電流の演算と端子間電圧の演算とを交互に実行することを特徴とする。
【0015】
この場合、充電電流の演算および端子間電圧の演算とは、電流検出手段および電圧検出手段によってそれぞれ実行される検出処理と、両検出手段によってそれぞれ検出された第1の検出電圧または第2の検出電圧を両演算のために実際に入力する入力処理の両者を含む概念である。すなわち、本発明では、電流検出手段による第1の検出電圧の検出と電圧検出手段による第2の検出電圧の検出を交互に実行してもよいし、両検出手段が各検出電圧をそれぞれ連続的に検出し、充電電流および端子間電圧を演算する演算手段などに両検出電圧を交互に出力してもよい。
【0016】
請求項5記載の等価直列抵抗測定装置は、出力電圧または測定対象物である容量性素子の充電電流入力側端子における充電電圧を一定にしつつ容量性素子を充電可能な直流電源と、容量性素子に対する充電電流に対応する第1の検出電圧を検出する電流検出部と、充電時における容量性素子の端子間電圧に対応する第2の検出電圧を検出する電圧検出部と、第1の検出電圧および第2の検出電圧に基づいて充電電流および端子間電圧をそれぞれ演算し、かつ充電電流の最大値を演算すると共に、最大値の充電電流が流れた時の端子間電圧および充電開始時における端子間電圧の電圧差とその最大値とに基づいて容量性素子の等価直列抵抗を演算する演算部とを備えていることを特徴とする。
【0017】
この等価直列抵抗測定装置では、請求項1記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法と同様にして等価直列抵抗の測定を行うことが可能となる。このため、容量性素子が大容量の場合であっても、極めて高精度で等価直列抵抗を測定することが可能となる。
【0018】
請求項6記載の等価直列抵抗測定装置は、請求項5記載の等価直列抵抗測定装置において、電流検出部は、直流電源および容量性素子に対して直列に接続された電流検出用抵抗と、電流検出用抵抗の両端電圧を差動増幅することにより第1の検出電圧を出力する差動増幅回路とを備えていることを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の等価直列抵抗測定装置は、請求項5記載の等価直列抵抗測定装置において、電流検出部は、直流電源および容量性素子に対して直列に配設可能に構成され充電電流に応じた誘起電圧を出力巻線から出力する電流検出用トランスと、電流検出用トランスの出力巻線から出力された誘起電圧を増幅することにより第1の検出電圧を出力する増幅回路とを備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項8記載の等価直列抵抗測定装置は、請求項5から7のいずれかに記載の等価直列抵抗測定装置において、第1の検出電圧と第2の検出電圧とを演算部に交互に出力する検出電圧切替部を備え、演算部は、出力された第1の検出電圧と第2の検出電圧に基づいて充電電流の演算と端子間電圧の演算とを交互に実行することを特徴とする。
【0021】
一般的に、容量性素子の等価直列抵抗の値が小さく、かつ容量性素子を直流定電圧で充電する場合、充電時間は極めて短時間である。このため、電流検出部および電圧検出部によってそれぞれ検出された第1の検出電圧および第2の検出電圧を演算部に同時に出力する場合には、両検出電圧を入力するための手段(例えば、A/D変換部や演算部)が2つ必要となることがある。一方、この等価直列抵抗測定装置では、検出電圧切替部が両検出部によってそれぞれ検出された検出電圧を交互に演算部に出力するため、検出電圧入力用手段としての1つの演算部などが両検出電圧を入力することができる結果、等価直列抵抗測定装置を簡易に構成することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る容量性素子の等価直列抵抗測定方法および等価直列抵抗測定装置を適用した実施の形態について説明する。
【0023】
図1は、測定対象物であるコンデンサCの等価直列抵抗を測定する等価直列抵抗測定装置1(以下、単に「測定装置1」ともいう)の回路図を示している。測定装置1は、直流定電圧を出力する直流電源2と、測定開始スイッチ3と、コンデンサCの充電電流IS を検出するための電流検出用抵抗4と、電流検出用抵抗4の両端電圧VS を差動増幅することにより充電電流IS に対応する検出電圧VI を検出する増幅回路5と、コンデンサCの端子間電圧VC を増幅することにより端子間電圧VC に対応する検出電圧VV を検出する増幅回路6と、本発明における検出電圧切替部に相当する信号切替スイッチ7と、アナログ信号の検出電圧VI ,VV をディジタルデータである測定データDI ,DV に変換するA/D変換部8と、本発明における演算部に相当するCPU9と、A/D変換部8から出力される両測定データDI ,DV に基づいて演算される充電電流IS や端子間電圧VS などを一時的に記憶するRAM10とを備えて構成されている。
【0024】
ここで、直流電源2は、+SENCE 端子および−SENCE 端子の端子間電圧が一定電圧値VA になるように、+OUTPUT端子および−OUTPUT端子間に直流電圧を出力する。ただし、これに限定されず、+OUTPUT端子における電圧を一定に制御する直流電源を用いてもよい。
【0025】
また、測定開始スイッチ3は、測定者によってオン/オフ制御され、オン状態のときには、CPU9にオン信号SONを出力すると共に、直流電源2からの直流電圧を電流検出用抵抗4に出力する。また、信号切替スイッチ7は、CPU9によって切替制御され、可動接点7cがブレーク接点7aに切り替えられている状態のときは増幅回路5から出力された検出電圧VI をA/D変換部8に出力し、可動接点7cがメーク接点7bに切り替えられた状態のときは増幅回路6から出力された検出電圧VV をA/D変換部8に出力する。
【0026】
CPU9は、内部タイマを備えて高速処理が可能に構成されており、電流検出用抵抗4の抵抗値、およびA/D変換部8から出力された両測定データDI ,DV に基づく充電電流IS や端子間電圧VS および等価直列抵抗を演算する。また、CPU9は、図外の主電源スイッチが操作されたときに作動を開始して内部タイマを作動させ、測定開始スイッチ3が操作されたときには、後述する測定処理を開始する。さらに、CPU9は、測定処理時においては、切替信号SC を出力して信号切替スイッチ7の切替を制御することにより、A/D変換部8から出力された測定データDI ,DV を交互に入力する。
【0027】
次に、CPU9による測定処理について、図2(a),(b)を参照しつつ説明する。
【0028】
まず、実際の測定処理に先立って、測定者によって端子Ta,Tb間にコンデンサCが接続される。次いで、主電源スイッチが投入されると、CPU9は、内部タイマをリセットすると共に、切替信号SC を所定時間間隔で出力することにより増幅回路5,6によって増幅された検出電圧VI ,VV をA/D変換部8に対して交互に入力させ、かつA/D変換部8から出力された測定データDI ,DV にそれぞれ基づいて充電電流IS および端子間電圧VC を演算すると共にその演算結果をRAM10に記憶させる。次いで、測定開始スイッチ3が操作されると、CPU9は、測定開始スイッチ3のオン信号SONを入力することにより実際の測定処理を開始する。
【0029】
測定処理では、CPU9は、測定開始スイッチ3のオン信号SONを入力した時の内部タイマのタイマ値を読み取ると共に、そのタイマ値と、その時にA/D変換部8から出力された測定データDI ,DV にそれぞれ基づいて充電電流IS および端子間電圧VC を演算した後にその演算結果をRAM10に記憶させる。この際の、タイマ値、充電電流IS および端子間電圧VS は、同図(a),(b)に示すように、それぞれ値t1 、値0および値V1 となる。なお、同図(a)における充電電流IS は、測定データDI に基づいて演算される電流検出用抵抗4の両端電圧VS を、電流検出用抵抗4の抵抗値で除算することによって求められている。また、同図(b)に示すように、測定対象のコンデンサCは、測定開始時において電荷が蓄積されている状態でもよく、完全に放電している状態のコンデンサCを測定する場合には、測定開始時における端子間電圧VS は値0となる。
【0030】
次いで、CPU9は、所定時間経過後まで、タイマ値と充電電流IS および端子間電圧VC の値とをRAM10に記憶させる。この場合、同図(b)に示すように、端子間電圧VC の値は、コンデンサCが満充電になると、直流電源2から出力される直流電圧VA とほぼ等しくなる。このため、CPU9は、端子間電圧VC の値が直流電圧VA に達した時に測定データDI ,DV の入力、およびRAM10に対する記憶処理を停止してもよい。
【0031】
所定時間経過後、CPU9は、充電電流IS および端子間電圧VC に基づいてコンデンサCの等価直列抵抗rを演算する。
【0032】
この演算処理では、CPU9は、最初に、充電電流IS の最大値を演算する。この場合、充電電流IS の過渡応答は、同図(a)に示すように、測定開始後極めて短時間の時に(タイマ値t2)充電電流の最大値IS(MAX)となり、その後は徐々に減少する特性を示している。したがって、CPU9は、充電電流IS の値を順次比較することにより最大値IS(MAX)を求める。なお、CPU9は、測定データDI の値を順次比較することにより、測定データDI の最大値と、その時のタイマ値とを求めると共に、下記の▲1▼式によって充電電流の最大値IS(MAX)を演算してもよい。
IS(MAX)=測定データDI の最大値/(電流検出用抵抗4の抵抗値)・・▲1▼式
【0033】
次に、CPU9は、最大値IS(MAX)が得られた時の端子間電圧VC の値を求める。この場合、同図(b)に示すように、値V2 が求まる。次いで、CPU9は、最大値IS(MAX)が得られた時におけるコンデンサCの端子間電圧VC と、充電開始時におけるコンデンサCの端子間電圧VC との電圧差ΔVを演算する。この場合、電圧差ΔVは、下記の▲2▼式によって表される。
ΔV=V2 −V1 ・・・・・・・・・▲2▼式
【0034】
次いで、CPU9は、下記の▲3▼式に従って、コンデンサCの等価直列抵抗rを演算する。
r=ΔV/IS(MAX)・・・・・・▲3▼式
ここで、▲3▼式によって等価直列抵抗rを求めることができるのは以下によって説明できる。すなわち、コンデンサCが、理想コンデンサのみで構成され(つまり、等価直列抵抗rの値が0Ω)、かつ直流電源2が無限大の電流値を出力可能に構成されている場合には、コンデンサCの端子間電圧VC は、直流電源2からの充電電流IS によって電圧VA まで瞬時に充電される。一方、コンデンサCが有限値である等価直列抵抗rを有しているため、コンデンサCを充電する充電電流IS の最大値IS(MAX)は、等価直列抵抗rによって決定される。また、その最大値IS(MAX)が流れた時の電圧降下に起因して発生する等価直列抵抗rの両端電圧VS が、上記▲3▼式における電圧差ΔVと等しくなる。したがって、上記▲3▼式に示すように、電圧差ΔVと最大値IS(MAX)とに基づいて等価直列抵抗rを逆算することができる。
【0035】
以上のように、この実施形態に係る測定装置1によれば、充電開始時におけるコンデンサCの端子間電圧VC と、充電電流IS の最大値IS(MAX)が流れた時のコンデンサCの端子間電圧VC と、電流検出用抵抗4の抵抗値とに基づいて、コンデンサCの等価直列抵抗rを容易に測定することができる。この場合、従来の等価直列抵抗測定装置21においては位相検出部24によって検出された位相差に基づいて等価直列抵抗rを測定していたのに対し、この測定装置1では、そのような位相差の測定を必要としない。このため、上記の位相差が小さい大容量コンデンサの等価直列抵抗rを測定する場合の測定精度を従来の等価直列抵抗測定装置21に比べて大幅に向上させることができる。
【0036】
また、コンデンサCに電荷が蓄積されている状態であっても等価直列抵抗rを測定することができるため、例えば、大容量蓄電池などの等価直列抵抗を測定する場合には、煩雑な電荷放電処理を不要にすることができる結果、測定時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0037】
次に、図3を参照して他の実施形態に係る等価直列抵抗測定装置11(以下、単に「測定装置11」ともいう)について説明する。なお、測定装置1と同一の構成要素については同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0038】
同図に示す測定装置11は、電流検出用抵抗4および増幅回路5に代えて、それぞれ、クランプ型の電流センサ12および増幅回路13を用いている点が測定装置1とは異なっている。この場合、電流センサ12は、磁気コアと出力巻線とで構成されたトランスであって、直流電源2とコンデンサCとを接続する接続線を一次巻線とし、その一次巻線に流れる電流に応じた電圧を出力巻線に誘起する。一方、増幅回路13は一般的な増幅器で構成されており、増幅回路5が差動型であるのに対し、簡易に構成することが可能となっている。
【0039】
この測定装置11では、増幅回路13が、電流センサ12から出力される誘起電圧を増幅することにより、検出電圧VI を検出している。他の測定処理を初めとする動作については、測定装置1と同様にして行われる。この測定装置11においても、位相差の測定を必要としないため、その位相差が小さい大容量コンデンサの等価直列抵抗rを測定する場合の測定精度を従来の等価直列抵抗測定装置21に比べて大幅に向上させることができる。
【0040】
なお、本発明は、上記した両実施形態において説明した構成に限定されず、適宜変更することができる。例えば、これらの実施形態では、信号切替スイッチ7を切り替えることによって両測定データDI ,DV をCPU9に交互に入力させているが、A/D変換部8を2つ配設することによって、CPU9が、両測定データDI ,DV を同時に入力するように構成してもよい。また、増幅回路5,6は、任意の構成を採用することができる。
【0041】
また、両実施形態では、増幅回路5,6からの検出電圧VI ,VV を信号切替スイッチ7によって交互に切り替えているが、これに限定されない。例えば、本発明は、増幅回路5および増幅回路6の一方のみを用いると共に、電流検出用抵抗4の両端電圧VS とコンデンサCの端子間電圧VC とを信号切替スイッチ7によって切り替えて一方の増幅回路5(または増幅回路6)に出力し、かつ一方の増幅回路5(または増幅回路6)から検出電圧VI ,VV をA/D変換部8に直接出力するようにしてもよい。この場合には、本発明における差動増幅回路と増幅回路とを1つの増幅回路で構成することができ、これにより、装置のコストダウンを図ることができる。
【0042】
さらに、両実施形態では、CPU9は、主電源が投入されたときにタイマ動作を開始しているが、測定開始スイッチ3からオン信号SONが出力されたときにタイマ動作を開始してもよいのは勿論である。
【0043】
さらに、充電電流を検出する電流検出手段は、両実施形態に示した構成に限定されず、適宜変更することが可能である。また、電流検出手段は、コンデンサCと直流電源2の−OUTPUT端子との間に配設してもよいのは勿論である。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、請求項1から3に記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法、および請求項5から7に記載の等価直列抵抗測定装置によれば、充電電流の最大値が得られた時の容量性素子の端子間電圧および充電開始時における容量性素子の端子間電圧の電圧差と、充電電流の最大値とに基づいて等価直列抵抗を逆算することにより、従来の等価直列抵抗測定装置21とは異なり、等価直列抵抗を測定するためのパラメータとして前述した位相差を用いる必要がないため、容量性素子が大容量の場合であっても、極めて高精度で等価直列抵抗を測定することができる。
【0045】
また、請求項4記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法、および請求項8記載の等価直列抵抗測定装置によれば、充電電流の演算と、容量性素子の端子間電圧の測定とを交互に実行することによって、等価直列抵抗を測定するための測定装置を簡易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る等価直列抵抗測定装置の回路図である。
【図2】(a)はコンデンサの充電電流IS の過渡応答を示す充電電流特性図であり、(b)はコンデンサの端子間電圧VC の過渡応答を示す端子間電圧特性図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る等価直列抵抗測定装置の回路図である。
【図4】従来の等価直列抵抗測定装置の回路図である。
【図5】従来の等価直列抵抗測定装置におけるモニタ信号波形と位相検出部によって検出されたコンデンサの端子間電圧波形とを示す信号波形図である。
【符号の説明】
1 等価直列抵抗測定装置
2 直流電源
4 電流検出用抵抗
5 増幅回路
6 増幅回路
7 信号切替スイッチ
9 CPU
11 等価直列抵抗測定装置
12 電流センサ
13 増幅回路
C コンデンサ
Claims (8)
- 直流電源および測定対象物である容量性素子に対して直列に電流検出手段を配設した状態で当該直流電源の出力部または当該容量性素子の充電電流入力側端子における電圧を一定にしつつ当該容量性素子を充電し、その充電開始時から所定時間経過後までの間における充電電流に対応する第1の検出電圧および前記容量性素子の端子間電圧に対応する第2の検出電圧を前記電流検出手段および電圧検出手段によってそれぞれ検出させると共に、前記第1の検出電圧および前記第2の検出電圧に基づいて前記充電電流および前記端子間電圧をそれぞれ演算し、前記充電電流の最大値を演算した後、当該最大値の充電電流が流れた時の前記端子間電圧および前記充電開始時における当該端子間電圧の電圧差と当該最大値とに基づいて前記容量性素子の等価直列抵抗を測定することを特徴とする容量性素子の等価直列抵抗測定方法。
- 前記直流電源および前記容量性素子に対して直列に接続された電流検出用抵抗と、当該電流検出用抵抗の両端電圧を差動増幅することにより前記第1の検出電圧を出力する差動増幅回路とを前記電流検出手段として用い、前記第1の検出電圧および前記電流検出用抵抗の抵抗値に基づいて前記充電電流を演算することを特徴とする請求項1記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法。
- 前記直流電源および前記容量性素子に対して直列に配設可能に構成され前記充電電流に応じた誘起電圧を出力巻線から出力する電流検出用トランスと、当該電流検出用トランスの出力巻線から出力された誘起電圧を増幅することにより前記第1の検出電圧を出力する増幅回路とを前記電流検出手段として用い、前記第1の検出電圧に基づいて前記充電電流を演算することを特徴とする請求項1記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法。
- 前記充電電流の演算と前記端子間電圧の演算とを交互に実行することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の容量性素子の等価直列抵抗測定方法。
- 出力電圧または測定対象物である容量性素子の充電電流入力側端子における充電電圧を一定にしつつ当該容量性素子を充電可能な直流電源と、前記容量性素子に対する充電電流に対応する第1の検出電圧を検出する電流検出部と、充電時における前記容量性素子の端子間電圧に対応する第2の検出電圧を検出する電圧検出部と、前記第1の検出電圧および前記第2の検出電圧に基づいて前記充電電流および前記端子間電圧をそれぞれ演算し、かつ前記充電電流の最大値を演算すると共に、当該最大値の充電電流が流れた時の前記端子間電圧および前記充電開始時における当該端子間電圧の電圧差と当該最大値とに基づいて前記容量性素子の等価直列抵抗を演算する演算部とを備えていることを特徴とする等価直列抵抗測定装置。
- 前記電流検出部は、前記直流電源および前記容量性素子に対して直列に接続された電流検出用抵抗と、当該電流検出用抵抗の両端電圧を差動増幅することにより前記第1の検出電圧を出力する差動増幅回路とを備えていることを特徴とする請求項5記載の等価直列抵抗測定装置。
- 前記電流検出部は、前記直流電源および前記容量性素子に対して直列に配設可能に構成され前記充電電流に応じた誘起電圧を出力巻線から出力する電流検出用トランスと、当該電流検出用トランスの出力巻線から出力された誘起電圧を増幅することにより前記第1の検出電圧を出力する増幅回路とを備えていることを特徴とする請求項5記載の等価直列抵抗測定装置。
- 前記第1の検出電圧と前記第2の検出電圧とを前記演算部に交互に出力する検出電圧切替部を備え、前記演算部は、前記出力された第1の検出電圧と第2の検出電圧に基づいて前記充電電流の演算と前記端子間電圧の演算とを交互に実行することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の等価直列抵抗測定装置。
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