JP3805076B2 - 自動車用空気調和装置のフィルター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用空気調和装置のインテークユニットにおいて、導入空気を濾過するフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用空気調和装置には、内気8´(車室内空気)あるいは外気8(車室外空気)に含まれた塵埃などを除去し、清浄な空気を室内に供給するため、インテークユニットのファン上流側に取り入れた空気を濾過するフィルターを設けたものがある(例えば、特開昭62−137222号公報参照)。
【0003】
この種のインテークユニットは、図3に示すように、内気8´と外気8とを選択するドア6´を備えた空気取入口6、及びファン3が収納されたファンスクロール12と、ファン3よりも上方位置に取り付けられファンスクロール12に流入する空気を清浄にするフィルター1と、を備えている。
【0004】
ファン3の上流に設置したフィルター1は、空気中に含まれる小さなゴミ(花粉、煙など)を捕集する以外にも、比較的大きなゴミ(枯れ葉、紙くずなど)をも捕集する。この比較的大きなゴミは、フィルター1上面に捕集されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図3に示すようにフィルター1に吸入された空気と共に外気8中に含まれる雨水がフィルター1に染み込み、水滴となってベルマウス2を経由してファン3上に落下することがあった。この結果として水分10がファン3の下流に続く通気ダクト5内に侵入して、黴などの微生物の発生原因となったり機器の故障の原因となったりする。
【0006】
また厳冬期などに於て吸入した粉雪が融解した水分10がファン3の動作停止時に付着した場合、その付着した水分10が再び氷塊となりファン1の再起動動作時における、ファン1の羽の重量のアンバランスからくる回転むらの原因となる。また、意図しない形状の氷塊が羽に付着したことによる不要な風切り音の原因ともなり、乗員が不快感を覚えるばかりで無くファン3駆動用のモータ4の回転軸の劣化にもつながる。
【0007】
本発明は、このような従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、厳冬期などにファンの異音や回転むらが発生する要因を取り除き、また通気ダクトに水が侵入するのを防止し得る自動車用空気調和装置のフィルターを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の自動車用空気調和装置のフィルターは、外気を導入する空気取入口が設けられたインテークボックスと、ファンが収納されたファンスクロールと、前記インテークボックスと前記ファンスクロールを隔離する隔壁と、前記隔壁面上に前記ファンの回転軸と同軸に開口して位置するベルマウスと、前記ベルマウスよりも上方位置に取り付けられ、前記ファンスクロールに流入する空気を清浄にするフィルターであって、前記フィルターの下面が水平面に対し傾斜して形成され、前記フィルターが捕集した水分が傾斜に沿って滴下して排水されるようにしたことを特徴とする。
【0009】
このようにすれば、空気取入口から外気と共に侵入した水分や粉雪などがフィルター面に到達しても、フィルターのベルマウスに対向する下面が水平面に対して斜めに形成されているので、重力に引かれて斜め下方に排水される。このため、ベルマウスよりファンに向けて水分が滴下することがないので、効果的に通気ダクト内に水が侵入するのが防げる。またファンに付着した水分が冬期などに凍結してファンの回転むらの原因となったり、異音の原因となったりすることを防止できる。
【0010】
また、本発明の自動車用空気調和装置のフィルターは、前記フィルターを構成する濾材が断面略波状に折畳まれて形成され、当該フィルター下面の前記濾材の前記略波状の頂点が成す稜線に排水ガイドを備え、前記排水ガイドの前記稜線が傾斜方向と一致することを特徴とする。
【0011】
このように構成すれば、ベルマウス上に設けられたフィルターにより侵入を阻止された水分が、この排水ガイドを伝わって効果的に排水される。またフィルターの折畳まれた溝方向に略波状の頂点が成す稜線が傾斜しているので、より効果的に水分が案内されて排水する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態である自動車用空気調和装置を示す縦断面図である。また、本発明の実施の形態である自動車用空気調和装置のフィルターを示す図2(b)中のa−a断面図を図2(a)に示し、また同図(b)は、同実施の形態のフィルターの縦断面を示す図である。
【0013】
図1に示される自動車用空気調和装置の構成は、空気の流れに沿って上流よりインテークボックス7とファンスクロール12、そして通気ダクト5へと続く構造を採っている。
【0014】
空気取入口6より吸入された外気あるいは車室内空気はインテークボックス7に導かれ、ここで空気中に含まれる埃や水分がフィルター1により取り除かれる。このフィルター1は本発明による一実施の形態であって、フィルター1の構造は後述する。このフィルター1により清浄された空気はベルマウス2に導かれ、当該ベルマウス2の直下に設けられたファン3によって下流の通気ダクト5に送り込まれる。このファン3は遠心型のファンでモータ4によって高速回転をしており、回転翼の効果でベルマウス2より吸引して半径方向に吹出され、ファンスクロールの働きで通気ダクト5に空気を導出している。
【0015】
以上の様な構成に於ての本願発明のフィルター1は、空気取入口6より吸入された外気あるいは車室内空気の通気の下流面にあたるフィルター下面部分のみが水平面に対して傾斜θの角度を成しており、一方でフィルター1の上面は水平を成している。空気取入口6から侵入した外気もしくは車室内空気はフィルター1の上面に到達し、フィルター1を透過する際に含有する埃と水分が除去される。このとき、外気と共に導入された水滴や粉雪などはフィルター1によって集められ液体となって貯留し、やがてフィルター1の下面の傾斜θに沿って流下する。この水分10は図1に示すように重力に引かれてフィルター1の最下端部に集まり、ここで下方向に滴下することとなる。このようにして集まった水分10はベルマウス2に滴下することなく、好ましく端部に設けられた排水口11より外部に排出される。
【0016】
図2(a),(b)には本発明のフィルター1の構造が示されており、濾材保持枠体21と、型くずれしないように接着によって濾材保持枠体21に保持された濾材20とでフィルター1が構成されている。この濾材20は断面が略波状となるように折畳まれている。このため、フィルター下面23には略波状の頂点が折目の数だけ複数存在している。この略波状の頂点に水分10が重力に引かれて集まり、この略波状に折り畳まれた濾材が形成する稜線の方向が傾斜θをつけられて設置されていることから、フィルター1の最下端に水分10が集まることとなる。この様子を図2(b)に示す。
【0017】
このように構成されたフィルター1は図2(b)に示すように、その略波状の頂点に排水ガイド24を備えている。この排水ガイド24は例えば接着などの手段により脱落すること無く固定されており、その断面形状は略三角形となるように成形される。この排水ガイド24に集まった水分10は当該排水ガイド24の頂点部分に集まって伝わって流れ落ちることとなる。フィルター1にこの様な排水ガイド24を設けずにフィルター1のみでも本願発明の効果は得られるが、この排水ガイド24を設けることで更に本願発明の効果を向上させるものである。この排水ガイド24は図にしめされるような断面略三角形状に限定されることはなく、例えば断面が円形のものなども考えられる。
【0018】
また排水ガイド24の材質も樹脂や金属を用いることができるので、製造設備やコストなどの面で任意に選択できる。また、排水ガイド24の材質に化学反応による硬化特性を持つ高分子材料などを選択すれば、当該高分子材料が硬化する前に、フィルター1の略波状の頂点が形成する稜線へ塗布もしくは浸漬する方法で排水ガイド24が形成できる。
【0019】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1に記載の本発明によれば、空気取入口から外気と共に侵入した水滴や粉雪などがフィルター面に到達しても、本発明のフィルターによれば、フィルター下面が水平面に対して斜めに構成されているので、重力に引かれて斜め下方に排水される。このため、ベルマウスよりファンに向けて水分が滴下することがないので、効果的に通気ダクト内に水が侵入するのが防げる。またファンに付着した水分が冬期などにファンの停止時に羽に付着して凍結し、ファンの回転むらの原因となったり、異音の原因となったりすることを防止することができる。
【0021】
また、請求項2に記載の本発明によれば、下面を斜めに構成されたフィルターにより侵入を阻止された水分が、フィルター下面に設けられた排水ガイドを伝わって効果的に排水される。またフィルターの折畳まれた溝方向に傾斜しているので、より効果的に水分が案内されて排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施の形態である自動車用空気調和装置のフィルターを示す縦断面図である。
【図2】 図2(a)は、本発明の他の実施の形態である自動車用空気調和装置のフィルターを示すa−a断面図、同図(b)は、同実施の形態のフィルターの縦断面を示す図である。
【図3】 図3は、従来のフィルターを用いた自動車用空気調和装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1…フィルター、
2…ベルマウス、
3…ファン、
4…モータ、
5…通気ダクト、
6…空気取入口、
6´…ドア、
7…インテークボックス、
8…外気、
8´…内気、
9…吐出空気、
10…水分、
11…排水口、
12…ファンスクロール、
13…隔壁、
20…濾材、
21…濾材保持枠体、
22…フィルター上面、
23…フィルター下面、
24…略波状の頂点。

Claims (2)

  1. 外気(8) を導入する空気取入口(6) が設けられたインテークボックス(7) と、
    ファン(3) が収納されたファンスクロール(12)と、
    前記インテークボックス(7) と前記ファンスクロール(12)を隔離する隔壁(13)と、
    前記隔壁(13)面上に前記ファン(3) の回転軸と同軸に開口して位置するベルマウス(2) と、
    前記ベルマウス(2) よりも上方位置に取り付けられ、前記ファンスクロール(12)に流入する空気を清浄にするフィルター(1) であって、
    前記フィルター(1) の下面が水平面に対し傾斜( θ) して形成され、前記フィルター(1) が捕集した水分(10)が傾斜( θ) に沿って流下して前記ベルマウス(2) 外へ滴下されるようにしたことを特徴とする自動車用空気調和装置のフィルター。
  2. 前記フィルター(1) を構成する濾材(20)が断面略波状に折畳まれて形成され、当該フィルター下面の前記濾材(20)の前記略波状の頂点が成す稜線に排水ガイド(24)を備え、前記排水ガイド(24)の前記稜線が傾斜方向と一致することを特徴とする請求項1に記載の自動車用空気調和装置のフィルター。
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