JP3804368B2 - 熱現像感光材料、それを用いる画像記録方法及び画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料、それを用いる画像記録方法及び画像形成方法 Download PDF

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性乳剤、熱現像感光材料、それを用いる画像記録方法及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から印刷製版や医療の分野では、画像形成材料の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザ・イメージセッタやレーザ・イメージャにより効率的な露光が可能で、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされてきた。
【0003】
このための技術として熱現像処理法を用いて写真画像を形成する熱現像写真感光材料は、例えば米国特許第3,152,904号、同第3,457,075号及びD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)に開示されている。
【0004】
ところでこれらの熱現像写真感光材料は感光層中設置された感光性ハロゲン化銀粒子を光センサーとし、有機銀塩を銀イオンの供給源とし、内蔵された還元剤によって通常80〜140℃で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わないことが特徴である。そのため、ハロゲン化銀へのスムーズな銀イオン供給と光散乱による透明感の低下防止を両立させるべく、感光層内で適切に配置しやすく光散乱に悪影響の少ない有機銀粒子形状の改良に多くの努力が払われてきた。
【0005】
しかしながら、上記の目的に対し、分散機等を用いて高いエネルギーで分散およびまたは粉砕するなどして単純に微粒化しようという試みに対しては、ハロゲン化銀粒子や有機銀塩粒子の損傷によってカブリが上昇し、感度が低下するほか、画質が劣化するなどという問題が発生するため、銀量を増加させることなく高い光感度、画像濃度が得られ、かつカブリも低下させる技術が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感度が高く、低カブリであり、且つ、画像欠陥の少ない感光性乳剤、熱現像感光材料、それを用いる画像記録方法及び画像形成方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の項目1〜によって達成された。
【0008】
1.支持体上に、少なくとも感光性乳剤と還元剤及びバインダーを含有する感光性層を有する熱現像感光材料において、
該感光性乳剤が、少なくとも有機銀塩、感光性ハロゲン化銀塩及び溶媒を含有し、該有機銀塩がアスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であり、且つ、主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値が1.1以上10.0未満であり、銀1gあたり、0.01〜0.5mgのジルコニウムを含有し、且つ、前記有機銀塩の単分散度が1%〜30%の単分散粒子であることを特徴とする熱現像感光材料。
【0011】
2.熱現像感光材料の支持体面と垂直な断面を電子顕微鏡観察した時、0.025μm 2 未満の投影面積を示す有機銀塩粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の70%以上を示し、且つ、0.2μm 2 以上の投影面積を示す粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の10%以下である感光性乳剤を含有することを特徴とする前記1に記載の熱現像感光材料。
【0015】
3.感光性層中の総銀量が2.4g/m2以下であることを特徴とする前記1または2に記載の熱現像感光材料。
【0016】
4.露光面と走査レーザ光のなす角度が実質的に垂直になることがない露光装置を用いて、前記1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を露光することを特徴とする画像記録方法。
【0017】
5.縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて、前記1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を露光することを特徴とする画像記録方法。
【0018】
6.熱現像感光材料中に溶媒が5mg〜1000mg/m2含有している状態において前記1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を現像することを特徴とする画像形成方法。
【0019】
7.保護層と加熱されたドラムを接触させ、前記1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を現像することを特徴とする画像形成方法。
【0020】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
前記1項に記載の本発明の感光性乳剤について説明する。
【0021】
前記1項に記載の本発明の感光性乳剤に係る有機銀塩は、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子を有し、且つ、最大面積を有する2枚のほぼ平行に相対する面(主平面)の形状異方性が小さくして感光層中での充填を行うため、主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値が1.1以上、10.0未満であるが、好ましい針状比率は1.1以上5.0未満である。
【0022】
尚、本発明においてアスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子を有するとは、前記平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の50%以上を占めることを表す。更に、本発明に係る有機銀塩は、アスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子が全有機銀塩粒子の個数の60%以上を占めることが好ましく、更に好ましくは70%以上(個数)であり、特に好ましくは80%以上(個数)である。
【0023】
本発明において、アスペクト比3以上の平板状粒子とは平均粒径と平均厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上の粒子である。
【0024】
AR=平均粒径(μm)/平均厚さ(μm)
本発明に係る平板状有機銀塩粒子のアスペクト比は、好ましくは、3〜20であり、さらに好ましくは3〜10である。その理由としては、アスペクト比が低すぎると、有機銀塩粒子が最密されやすくなり、また、アスペクト比があまりに高い場合には、有機銀塩粒子同士が重なりやすく、また、くっついた状態で分散されやすくなるので光散乱等が起きやすくなり、その結果として感光材料の透明感の低下をもたらすので、上記記載の範囲が好ましい範囲と考えている。
【0025】
上記記載の平均粒径を求めるには、分散後の有機銀塩を希釈してカーボン支持膜付きグリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日本電子製、2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った。スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み、適当な画像処理ソフトを用いて粒径(円相当径)を300個以上測定し、平均粒径を算出した。
【0026】
上記記載の平均厚さを求めるには、下記に示すようなTEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により算出した。
【0027】
まず、支持体上に塗布された感光性層を接着剤により適当なホルダーに貼り付け、支持体面と垂直な方向にダイヤモンドナイフを用いて厚さ0.1〜0.2μmの超薄切片を作製する。作製された超薄切片を、銅メッシュに支持させ、グロー放電により親水化されたカーボン膜上に移し液体窒素により−130℃以下に冷却しながら透過型電子顕微鏡(以下TEMと称す)を用いて、倍率5,000倍乃至40,000倍にて明視野像を観察し、画像はフィルム、イメージングプレート、CCDカメラなどに素早く記録する。この際、観察される視野としては切片に破れや弛みがない部分を適宜選択することが好ましい。
【0028】
カーボン膜としては極薄いコロジオン、ホルムバールなど有機膜に支持されたものを使用することが好ましく、更に好ましくは、岩塩基板上に形成し基板を溶解除去して得るか、または、上記有機膜を有機溶媒、イオンエッチングにより除去して得られたカーボン単独の膜である。TEMの加速電圧としては80ないし400kVが好ましく、特に好ましくは80ないし200kVである。
【0029】
その他、電子顕微鏡観察技法、および試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0030】
適当な媒体に記録されたTEM画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解しコンピュータによる画像処理をおこなうことが好ましい。画像処理をおこなうためには、フィルムに記録されたアナログ画像はスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことが好ましい。その後、ヒストグラムを作製し2値化処理によって有機銀に相当する箇所を抽出する。
【0031】
上記抽出した有機銀塩粒子の厚さを300個以上適当なソフトでマニュアル測定し、平均値を求めた。
【0032】
平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値は下記に方法により求められる。
まず、平板状有機銀塩粒子を含む感光層を光感光層バインダーを溶解可能な有機溶媒にて膨潤させて支持体上から剥離し、上記溶媒を用いた超音波洗浄、遠心分離、上澄み除去を5回繰り返す。尚、上記工程はセーフライト下に実施する。
【0033】
続いて、有機銀固形分濃度が0.01%になるようにMEK(メチルエチルケトン)にて希釈し、超音波分散した後グロー放電により親水化されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に滴下し乾燥させる。
【0034】
粒子が搭載されたフィルムは真空蒸着装置にてフィルム面に対して30°の角度から厚さとして3nmのPt−Cを電子ビームにより斜め蒸着した後観察に使用することが好ましい。
【0035】
その他、電子顕微鏡観察技法、および試料作製技法の詳細については「日本電子顕微鏡学会関東支部編/医学・生物学電子顕微鏡観察法」(丸善)、「日本電子顕微鏡学会関東支部編/電子顕微鏡生物試料作製法」(丸善)をそれぞれ参考にすることができる。
【0036】
作製された試料は電界放射型走査電子顕微鏡(以下FE−SEMと称す)を用いて加速電圧2kVないし4kVにて倍率として5000〜20000倍にて二次電子像を観察し、適当な記録媒体への画像保存をおこなう。
【0037】
上記処理のためには電子顕微鏡本体からの画像信号をAD変換し直接メモリ上にデジタル情報として記録可能な装置を用いるのが便利であるが、ポラロイドフィルムなどに記録されたアナログ画像もスキャナなどでデジタル画像に変換し、シェーディング補正、コントラスト・エッジ強調などを必要に応じ施すことにより使用することができる。
【0038】
適当な媒体に記録された画像は、画像1枚を少なくとも1024画素×1024画素、好ましくは2048画素×2048画素以上に分解し、コンピュータによる画像処理をおこなうことが好ましい。
【0039】
上記記載の画像処理の手順としては、まず、ヒストグラムを作製し2値化処理によって、アスペクト比3以上の有機銀塩粒子に相当する箇所を抽出する。やむを得ず凝集した粒子は適当なアルゴリズムまたはマニュアル操作にて切断し輪郭抽出をおこなう。その後、各粒子の最大長(MX LNG)および粒子の最小幅(WIDTH)を少なくとも1000個の粒子に関して各々測定し、各粒子ごとに下記式にて針状比率を求める。粒子の最大長とは粒子内の2点を直線で結んだ時の最大値をいう。粒子の最小幅とは粒子に外接する2本の平行線を引いた時、平行線の距離が最小値になる時の値をいう。
【0040】
針状比率=(MX LNG)÷(WIDTH)
その後、計測された全粒子に関する針状比率の平均値を算出する。上記手順で計測をおこなう際にはあらかじめ、標準試料を用いて、1画素あたりの長さ補正(スケール補正)および計測系の2次元ひずみの補正を十分におこなうことが好ましい。標準試料としては米国ダウケミカル社より市販されるユニフォーム・ラテックス・パーティクルス(DULP)が適当であり、0.1ないし0.3μmの粒径に対して10%未満の変動係数を有するポリスチレン粒子が好ましく、具体的には粒径0.212μm、標準偏差0.0029μmというロットが入手可能である。
【0041】
画像処理技術の詳細は「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なのであれば特に限定はされないが、一例としてニレコ社製Luzex−IIIが挙げられる。
【0042】
上記記載の形状を有する有機銀塩粒子を得る方法としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態および/または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保つ事や、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすることなどが有効である。
【0043】
本発明に係る平板状有機銀塩粒子は必要に応じバインダーや界面活性剤などと共に予備分散した後、メディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散粉砕することが好ましい。上記予備分散にはアンカー型、プロペラ型等の一般的攪拌機や高速回転遠心放射型攪拌機(ディゾルバ)、高速回転剪断型撹拌機(ホモミキサ)を使用することができる。
【0044】
また、上記メディア分散機としては、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミルなどの転動ミルや、媒体攪拌ミルであるビーズミル、アトライター、その他バスケットミルなどを用いることが可能であり、高圧ホモジナイザとしては壁、プラグなどに衝突するタイプ、液を複数に分けてから高速で液同士を衝突させるタイプ、細いオリフィスを通過させるタイプなど様々なタイプを用いることができる。
【0045】
メディア分散時に使用されるセラミックスビーズに用いられるセラミックスとしては、例えば、Al23、BaTiO3、SrTiO3、MgO、ZrO、BeO、Cr23、SiO2、SiO2−Al23、Cr23−MgO、MgO−CaO、MgO−C、MgO−Al23(スピネル)、SiC、TiO2、K2O、Na2O、BaO、PbO、B23、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、BeAl24、Y3Al512、ZrO2−Y23(立方晶ジルコニア)、3BeO−Al23−6SiO2(合成エメラルド)、C(合成ダイヤモンド)、Si2O−nH2O、チッカ珪素、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ等が好ましい。分散時におけるビーズや分散機との摩擦による不純物生成が少ない等の理由から、イットリウム安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(これらジルコニアを含有するセラミックスを以下においてジルコニアと略す)が特に好ましく用いられる。
【0046】
本発明に係る平板状有機銀塩粒子を分散する際に用いられる装置類において、該有機銀塩粒子が接触する部材の材質としてジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素などのセラミックス類またはダイヤモンドを用いることが好ましく、中でも、ジルコニアを用いることが好ましい。
【0047】
上記分散をおこなう際、バインダー濃度は有機銀重量の0.1〜10%添加することが好ましく、予備分散から本分散を通して液温が45℃を上回らないことが好ましい。また、本分散の好ましい運転条件としては、例えば高圧ホモジナイザを分散手段として用いる場合には、29.42MPa〜98.06MPa、運転回数は2回以上が好ましい運転条件として挙げられる。又、メディア分散機を分散手段として用いる場合には、周速が6m/秒から13m/秒が好ましい条件として挙げられる。
【0048】
また、ビーズや部材の一部にジルコニアを使用し、分散時に分散乳剤中に混入させることが出来る。これが写真性能上好ましく有効である。ジルコニアの破片を分散乳剤中に後添加したり、予備分散時にあらかじめ添加しておいてもよい。具体的な方法としては特に限定されないが、一例としてジルコニアビーズを充填したビーズミルにMEKを循環させれば、高濃度のジルコニア溶液を得る事ができる。これを好ましい時期に好ましい濃度で添加してやればよい。
【0049】
前記1項に記載の感光性乳剤中においては、銀1gあたり、0.01mg〜0.5mgのジルコニウムを含有する事が好ましく、更に好ましいジルコニウム含有量は、0.01mg〜0.3mgである。また、好ましい含有形態としては、粒径0.02μm以下の微粒子であることが好ましい。
【0050】
次に、前記3項に記載の熱現像感光材料に付いて説明する。
前記3項に記載の熱現像感光材料においては、感光材料の支持体面と垂直な断面を電子顕微鏡観察した時、0.025μm2未満の投影面積を示す有機銀塩粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の70%以上を示し、且つ、0.2μm2以上の投影面積を示す粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の10%以下である特徴を有する感光性乳剤を含有している、このような場合、感光性乳剤中において有機銀塩粒子の凝集が少なく、且つ、均一に分布した状態を得ることが出来る。
【0051】
上記記載のような特徴を有する感光性乳剤を作製する条件としては、特に限定されないが、有機酸アルカリ金属塩ソープ形成時の混合状態および/または前記ソープに硝酸銀を添加する際の混合状態などを良好に保ことや、ソープと反応する硝酸銀の割合を最適にすること、分散粉砕にはメディア分散機または高圧ホモジナイザなどで分散すること、その際バインダー濃度は有機銀重量の0.1〜10%添加すること、乾燥から本分散終了までの温度が45℃を上回らないことなどに加えて、調液時にはディゾルバを使用し周速2.0m/秒以上で攪拌することなどが好ましい条件として挙げられる。
【0052】
また、前記3項の熱現像感光材料に係る感光性乳剤中においては、銀1gあたり、0.01mg〜0.5mgのジルコニウムを含有する事が好ましく、更に好ましいジルコニウム含有量は、0.01mg〜0.3mgである。
【0053】
前記3項に記載の熱現像感光材料において、本発明に記載の効果を更に得るためには、前記1項に記載の感光性乳剤を含有することが好ましく、更に好ましくは、前記2項に記載の感光性乳剤を含有することである。
【0054】
上記記載のような特定の投影面積値を有する有機銀粒子の投影面積や全投影面積にしめる割合などは、上記記載のアスペクト比3以上の平板状粒子の平均厚さを求める個所で記載したと同様に、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた方法により、有機銀に相当する個所を抽出する。
【0055】
この際に凝集した有機銀はひとつの粒子と見なして処理し各粒子の面積(AREA)を求める。同様にして少なくとも1,000個、好ましくは2,000個の粒子について面積を求め、それぞれについて、A:0.025μm2未満、B:0.025μm2以上0.2μm2未満、C:0.2μm2以上の3つの群に分類する。本発明の感光材料は、A群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の70%以上であり、かつC群に属する粒子の面積の合計が測定された全粒子の面積の10%以下を満たすものである。
【0056】
上記手順で計測をおこなう際にはあらかじめ、標準試料を用いて、1画素あたりの長さ補正(スケール補正)および計測系の2次元ひずみの補正を十分におこなうことが好ましい。標準試料としては米国ダウケミカル社より市販されるユニフォーム・ラテックス・パーティクルス(DULP)が適当であり、0.1ないし0.3μmの粒径に対して10%未満の変動係数を有するポリスチレン粒子が好ましく、具体的には粒径0.212μm、標準偏差0.0029μmというロットが入手可能である。
【0057】
画像処理技術の詳細は「田中弘編 画像処理応用技術(工業調査会)」を参考にすることができ、画像処理プログラムまたは装置としては上記操作が可能なのであれば特に限定はされないが、一例としてニレコ社製Luzex−IIIが挙げられる。
【0058】
前記1項に記載の本発明の感光性乳剤または前記3項の熱現像感光材料に係る、各々の有機銀塩粒子は、単分散粒子であることが好ましく、好ましい単分散度としては1〜30%であり、この範囲の単分散粒子にすることにより、濃度の高い画像が得られる。ここでいう単分散とは、下記式で定義される。
【0059】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
上記記載の有機銀塩の平均粒径は0.01〜0.8μmが好ましく、更に好ましくは、0.05〜0.5μmであり、平均粒径(円相当径)とは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径を表す。
【0060】
本発明に係る有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環を有する複素環式カルボン酸等が好ましく用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機または無機の銀塩錯体も有用である。
【0061】
本発明において好ましく用いられる有機酸銀塩の例としては、Research Disclosure第17029及び29963に記載されており、次のものがある:脂肪酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸との重合反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)とヒドロキシ置換芳香族カルボン酸類(例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸等)との重合反応生成物の銀錯体等)、チオン類の銀塩または錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン、及び3−カルボキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン)、イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体また塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメルカプタン誘導体の銀塩。上記記載の有機銀塩の中でも、脂肪酸の銀塩が好ましく用いられ、更に好ましく用いられるのは、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀および/またはステアリン酸銀である。
【0062】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法等が好ましく用いられる。また、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法を用いることも可能である。
【0063】
具体的には、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、前記ソープに硝酸銀を添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよいが、上記一連の反応工程は、適当な攪拌部材を用いて反応槽内が均一になるように十分に攪拌しながら行う必要がある。
【0064】
本発明に係る感光性ハロゲン化銀について説明する。
本発明に係る感光性ハロゲン化銀は光センサーとして機能する。
【0065】
本発明においては、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために感光性ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.1μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を指す。またハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40以下をいう。更に好ましくは30以下であり、特に好ましくは20%以下となる粒子である。
【0066】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani、J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0067】
またもう一つの好ましいハロゲン化銀の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして垂直方向の厚みhμmした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくはアスペクト比が3以上50以下である。また粒径は0.1μm以下であることが好ましく、さらに0.01μm〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許第5,264,337号、同第5,314,798号、同第5,320,958号等に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。
【0068】
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。
【0069】
本発明に用いられるハロゲン化銀には、周期表の6族から11族に属する金属イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0070】
これらの金属イオンは金属錯体または金属錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。これらの金属錯体または金属錯体イオンとしては、下記一般式で表される6配位金属錯体が好ましい。
【0071】
一般式 〔ML6m
式中、Mは周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは配位子、mは0、−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0072】
Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0073】
以下に、遷移金属錯体イオンの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0074】
1:〔RhCl63-
2:〔RuCl63-
3:〔ReCl63-
4:〔RuBr63-
5:〔OsCl63-
6:〔IrCl64-
7:〔Ru(NO)Cl52-
8:〔RuBr4(H2O)〕2-
9:〔Ru(NO)(H2O)Cl4-
10:〔RhCl5(H2O)〕2-
11:〔Re(NO)Cl52-
12:〔Re(NO)(CN)52-
13:〔Re(NO)Cl(CN)42-
14:〔Rh(NO)2Cl4-
15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4-
16:〔Ru(NO)(CN)52-
17:〔Fe(CN)63-
18:〔Rh(NS)Cl52-
19:〔Os(NO)Cl52-
20:〔Cr(NO)Cl52-
21:〔Re(NO)Cl5-
22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2-
23:〔Ru(NS)Cl52-
24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2-
25:〔Os(NS)Cl(SCN)42-
26:〔Ir(NO)Cl52-
27:〔Ir(NS)Cl52-
これらの金属イオン、金属錯体または金属錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。これらの金属イオン、金属錯体または金属錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-2モルが適当であり、好ましくは1×10-8〜1×10-4モルである。
【0075】
これらの金属を提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。
【0076】
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。
【0077】
これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。
【0078】
粒子表面に添加する時には、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0079】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀粒子は粒子形成後に脱塩してもしなくてもよいが、脱塩を施す場合、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができる。
【0080】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法が適用出来る。
【0081】
硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7−128768号等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。
【0082】
貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許第2,448,060号、英国特許第618,061号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。
【0083】
還元増感法に用いられる具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0084】
本発明の熱現像感光材料には還元剤が内蔵されている。好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号、及びResearch Disclosure第17029及び29963に記載されており、次のものがある。アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノリダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノヘキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒドまたはケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシン類;アジン類(例えば、脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ、リダクトンまたはヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチル)フェノール)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラゾリドン類。中でも、特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール類である。ヒンダードフェノール類としては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0085】
【化1】
Figure 0003804368
【0086】
式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、ブチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基等)を表し、R′及びR″は、各々、炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基等)を表す。
【0087】
一般式(A)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、これらに限定されない。
【0088】
【化2】
Figure 0003804368
【0089】
【化3】
Figure 0003804368
【0090】
前記一般式(A)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×10-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルである。
【0091】
本発明の熱現像感光材料中にはかぶり防止剤が含有されることが好ましい。最も有効なかぶり防止剤として知られているものは水銀イオンである。感光材料中にかぶり防止剤として水銀化合物を使用することについては、例えば米国特許第3,589,903号に開示されている。しかし、水銀化合物の使用は、環境的に好ましくない。
【0092】
非水銀かぶり防止剤としては、例えば米国特許第4,546,075号及び同第4,452,885号及び特開昭59−57234号に開示されている様な、かぶり防止剤が好ましい。
【0093】
特に好ましい非水銀かぶり防止剤は、米国特許第3,874,946号及び同第4,756,999号に開示されているような化合物、−C(X1)(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲン原子を表し、X3は水素またはハロゲン原子を表す)で表される置換基を1以上備えたヘテロ環状化合物である。また、その他に好適なかぶり防止剤としては、特開平9−288328号の段落番号〔0030〕〜〔0036〕に記載されている化合物、特開平9−90550号の段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されている化合物、米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同第605,981号、同第631,176号等に開示されている化合物等を用いることが出来る。
【0094】
本発明の熱現像感光材料には、現像後の銀色調を改良する目的で色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。
【0095】
イミド類(例えば、フタルイミド);環状イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロックされたピラゾール類、イソチウロニウム(isothiuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウムまたは8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンゾオキサジン、ナルトキサジン誘導体;ベンゾオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンゾオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン)。好ましい色調剤としてはフタラゾンまたはフタラジンである。
【0096】
本発明の熱現像感光材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。
【0097】
本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item18431(1979年8月p.437)等に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナ光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0098】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンゾイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0099】
本発明においては、感光性層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のためには感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を乳剤層側の全バインダーに対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0100】
本発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0101】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0102】
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0103】
ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下記の式で表される値である。
(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明に用いられるマット剤は任意の構成層中に含むことができるが、本発明の目的を達成するためには好ましくは感光性層以外の構成層であり、更に好ましくは支持体から見て最も外側の層である。本発明に用いられるマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0104】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物および/または導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、感光性層と下引の間の層などに含まれる。本発明においては米国特許第5,244,773号カラム14〜20に記載された導電性化合物が好ましく用いられる。
【0105】
各種の添加剤は感光性層、非感光性層、またはその他の構成層のいずれに添加しても良い。本発明の熱現像感光材料には上述した以外に例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いても良い。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤はResearch Disclosure Item17029(1978年6月p.9〜15)に記載されている化合物を好ましく用いることができる。
【0106】
本発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0107】
また感光材料の表面を保護したり擦り傷を防止するために、感光性層の外側に非感光性層を有することができる。これらの非感光性層に用いられるバインダーは感光性層に用いられるバインダーと同じ種類でも異なった種類でもよい。
【0108】
本発明においては、熱現像の速度を速めるために感光性層のバインダー量が1.5〜10g/m2であることが好ましい。さらに好ましくは1.7〜8g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0109】
本発明に用いられる支持体は現像処理後の画像の変形を防ぐためにプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。
【0110】
中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチック(以下SPSと略す)の支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。また熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前記のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とはこれらの支持体を製膜後、感光性層が塗布されるまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度で、好ましくは35℃以上高い温度で、更に好ましくは40℃以上高い温度で加熱することがよい。
【0111】
次に、本発明に用いられるプラスチックについて説明する。
PETはポリエステルの成分が全てポリエチレンテレフタレートからなるものであるが、ポリエチレンテレフタレート以外に、酸成分としてテレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、イソフタル酸、ブチレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸等と、グリコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等との変性ポリエステル成分が全ポリエステルの10モル%以下含まれたポリエステルであってもよい。
【0112】
SPSは通常のポリスチレン(アタクチックポリスチレン)と異なり立体的に規則性を有したポリスチレンである。SPSの規則的な立体規則性構造部分をラセモ連鎖といい、2連鎖、3連鎖、5連鎖、あるいはそれ以上と規則的な部分がより多くあることが好ましく、本発明において、ラセモ連鎖は、2連鎖で85%以上、3連鎖で75%以上、5連鎖で50%以上、それ以上の連鎖で30%以上であることが好ましい。SPSの重合は特開平3−131843号明細書記載の方法に準じて行うことが出来る。
【0113】
本発明に用いられる支持体の製膜方法及び下引製造方法は公知の方法を用いることができるが、好ましくは、特開平9−50094号の段落〔0030〕〜〔0070〕に記載された方法を用いることである。
【0114】
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している熱現像感光材料であることが好ましい。
【0115】
本発明の熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0116】
本発明の熱現像感光材料は支持体上に少なくとも一層の感光性層を有している。支持体の上に感光性層のみを形成しても良いが、感光性層の上に少なくとも1層の非感光性層を形成することが好ましい。感光性層に通過する光の量または波長分布を制御するために感光性層と同じ側にフィルター染料層および/または反対側にアンチハレーション染料層、いわゆるバッキング層を形成しても良いし、感光性層に染料または顔料を含ませても良い。用いられる染料としては所望の波長範囲で目的の吸収を有するものであればいかなる化合物でも良いが、例えば特開昭59−6481号、同59−182436号、米国特許第4,271,263号、同第4,594,312号、欧州特許公開533,008号、同652,473号、特開平2−216140号、同4−348339号、同7−191432号、同7−301890号等に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0117】
またこれらの非感光性層には前記のバインダーやマット剤を含有することが好ましく、さらにポリシロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのようなスベリ剤を含有してもよい。
【0118】
本発明に係る感光性層は複数層にしても良く、また階調の調節のため感度を高感層/低感層または低感層/高感層にしても良い。
【0119】
本発明の熱現像感光材料の好ましい総銀量は0.5g/m2〜2.4g/m2であり、さらに好ましくは1.0g/m2〜2.2g/m2である。前記総銀量は、感光材料の使用目的、条件などに応じて決めることが出来るが、前記の範囲に調製することにより、感度、カブリ、保存性能などの性能が良好な熱現像感光材料を得ることが出来る。
【0120】
熱現像感光材料の詳細は前述のとおり例えば米国特許第3,152,904号、同第3,457,075号、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Material)」やD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed SilverSystems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1969年)等に開示されている。その中でも本発明においては、感光材料を80〜140℃で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わないことが特徴である。そのため、未露光部に残ったハロゲン化銀や有機銀塩は除去されずにそのまま感光材料中に残る。
【0121】
本発明においては、熱現像処理した後の、400nmにおける支持体を含んだ感光材料の光学透過濃度が0.2以下であることが好ましい。光学透過濃度の更に好ましい値は0.02以上0.2以下である。0.02未満では感度が低く使用ができないことがある。
【0122】
本発明において溶媒としては、例えば、ケトン類としてアセトン、イソフォロン、エチルアミルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。アルコール類としてメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。グリコール類としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。エーテルアルコール類としてエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。エーテル類としてエチルエーテル、ジオキサン、イソプロピルエーテル等が挙げられる。エステル類として酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソプロピル等が挙げられる。炭化水素類としてn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。塩化物類として塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロベンゼン等が挙げられる。アミン類としてモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。その他として水、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、ピリジン、トルイジン、テトラヒドロフラン、酢酸等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒は、単独、または、数種類組合わせて使用できる。
【0123】
なお、感光材料中の上記溶媒の含有量は塗布工程後の乾燥工程等における温度条件等の条件変化によって調製できる。また、当該溶媒の含有量は、下記に示すようなガスクロマトグラフィーを用いた方法によって測定できる。
【0124】
本発明の熱現像感光材料中に含有される溶媒の量は合計量で5〜1000mg/m2、好ましくは、10〜300mg/m2であるように調製することが好ましい。当該含有量が上記範囲においては、高感度でありながら、カブリ濃度が低い感熱材料にすることができる。
【0125】
本発明において、露光はレーザ走査露光により行うことが好ましいが、感光材料の露光面と走査レーザ光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザ走査露光機を用いることが好ましい。
【0126】
ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザ走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度以上84度以下、最も好ましくは70度以上82度以下であることをいう。
【0127】
レーザ光が、感光材料に走査されるときの感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザ入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザ走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来る。
【0128】
また、本発明に用いられる露光は縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて行うことが好ましい。縦単一モードの走査レーザ光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がよい。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0129】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0130】
実施例1
《支持体の作製》
濃度0.170(コニカ(株)製デンシトメータPDA−65)に青色着色した、厚み175μmのPETフィルムの両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施した。
【0131】
《バック面側塗布》
メチルエチルケトン(MEK)830gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(EastmanChemical社、CAB381−20)84.2gおよびポリエステル樹脂(Bostic社、VitelPE2200B)4.5gを添加し、溶解した。次に、溶解した液に、0.30gの赤外染料−1を添加し、さらにメタノール43.2gに溶解したF系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40)4.5gとF系活性剤(大日本インク社、メガファッグF120K)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1質量%の濃度でディゾルバ型ホモジナイザにて分散したシリカ(W.R.Grace社、シロイド64X6000)を75g添加、攪拌しバック面側用の塗布液を調製した。
【0132】
このように調製した、バック面塗布液を、乾燥膜厚が3.5μになるように押し出しコーターにて塗布、乾燥を行った。乾燥温度100℃、露天温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥した。
【0133】
《感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
A1
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
化合物(A)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
B1
0.67N硝酸銀水溶液 2635ml
C1
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
D1
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml
水で1982mlに仕上げる
E1
0.4N臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
F1
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
G1
56%酢酸水溶液 18.0ml
H1
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる
化合物(A):
HO(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)17−(CH2CH2O)mH:(m+n=5〜7)
特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合攪拌機を用いて溶液(A1)に溶液(B1)の1/4量及び溶液(C1)全量を温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液(F1)の全量を添加した。6分間経過後、溶液(B1)の3/4量及び溶液(D1)の全量を、温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、40℃に降温し、溶液G1を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水を10リットル加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10リットル加え、攪拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液(H1)を加え、60℃に昇温し、更に120分攪拌した。最後にpHが5.8になるように調整し、銀量1モル当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0134】
この乳剤は平均粒子サイズ0.058μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0135】
《粉末有機銀塩Aの調製》
4720mlの純水にベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの上記の感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。
【0136】
次に1Mの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、40℃にて重量減がなくなるまで温風循環乾燥機にて乾燥を行い、粉末有機銀塩Aを得た。
【0137】
《粉末有機銀塩Bの調製》
4720mlの純水にベヘン酸217.6g、アラキジン酸28.2g、ステアリン酸6.4gを90℃で溶解した。次に4N−NaOH93.3mlを添加し40℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記脂肪酸ナトリウム溶液を40℃に保ったまま45.3gの感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し5分間攪拌した。以下粉末有機銀塩Aを調製するのと同様にして粉末有機銀塩Bを得た。
【0138】
《予備分散液Aの調製》
ポリビニルブチラール粉末(Monsanto社製、Butvar B−79)14.57gをメチルエチルケトン1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて攪拌しながら粉末有機銀塩A500gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液Aを調製した。
【0139】
《予備分散液Bの調製》
粉末有機銀塩Aを粉末有機銀塩Bにかえた以外は予備分散液Aを調製するのと同様にして予備分散液Bを調製した。
【0140】
《感光性乳剤分散液1の調製》
予備分散液Aをポンプを用いてミル内滞留時間が10分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なうことにより感光性乳剤分散液1を調製した。
【0141】
《感光性乳剤分散液2の調製》
予備分散液Aをミル内滞留時間が3分間となるように、感光性乳剤分散液1の調製に使用した分散機に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なった。続いてこの分散液をGM−2型圧力式ホモジナイザ(エスエムテー社製)を用いて処理圧は54.92MPaにて1パス分散することにより感光性乳剤分散液2を調製した。
【0142】
《感光性乳剤分散液3の調製》
予備分散液Aをミル内滞留時間が0.7分間となるように、感光性乳剤分散液1の調製に使用した分散機に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なった。続いてこの分散液をGM−2型圧力式ホモジナイザ(エスエムテー社製)を用いて処理圧は54.92MPaにて1パス分散することにより感光性乳剤分散液3を調製した。
【0143】
《感光性乳剤分散液4の調製》
予備分散液Aをミル内滞留時間が3分間となるように、感光性乳剤分散液1の調製に使用した分散機に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行ない、感光性乳剤分散液4を調製した。
【0144】
《感光性乳剤分散液5の調製》
予備分散液Aをミル内滞留時間が0.7分間となるように、感光性乳剤分散液1の調製に使用した分散機に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行ない、感光性乳剤分散液5を調製した。
【0145】
《感光性乳剤分散液6の調製》
GM−2型圧力式ホモジナイザ(エスエムテー社製)を用いて、予備分散液Aを2パス分散することにより感光性乳剤分散液6を調製した。尚、この際、1パス時の処理圧は27.46MPaであり、2パス時の処理圧は54.92MPaとした。
【0146】
《感光性乳剤分散液7の調製》
予備分散液Aをミル内滞留時間が0.7分間となるように、感光性乳剤分散液1の調製に使用した分散機に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行ない、感光性乳剤分散液7を調製した。
【0147】
《感光性乳剤分散液8の調製》
予備分散液Bをミル内滞留時間が3分間となるように、感光性乳剤分散液1の調製に使用した分散機に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行ない、感光性乳剤分散液8を調製した。
【0148】
《感光性乳剤分散液9の調製》
GM−2型圧力式ホモジナイザ(エスエムテー社製)を用いて、予備分散液Bを2パス分散することにより感光性乳剤分散液9を調製した。尚、この際、1パス時の処理圧は27.46MPaであり、2パス時の処理圧は54.92MPaとした。
【0149】
《安定剤液の調製》
1.0gの安定剤1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
【0150】
《赤外増感色素液の調製》
19.2mgの赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの安定剤2および365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのMEKに暗所にて溶解し赤外増感色素液を調製した。
【0151】
《添加液aの調製》
27.98gのA−3、1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの赤外染料1をMEK110gに溶解し添加液aとした。
【0152】
《添加液bの調製》
3.56gのかぶり防止剤2、3.43gのフタラジンをMEK40.9gに溶解し添加液bとした。
【0153】
《感光層塗布液の調製》
前記感光性乳剤分散液1(50g)およびMEK15.11gを攪拌しながら21℃に保温し、かぶり防止剤1(10%メタノール溶液)390μlを加え、1時間攪拌した。さらに臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して20分攪拌した。続いて、安定剤液167mgを添加して10分間攪拌した後、2.622gの赤外増感色素液を添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで降温してさらに30分攪拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール(Monsanto社 Butvar B−79)13.31gを添加して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4質量%MEK溶液)1.084gを添加して15分間攪拌した。さらに攪拌を続けながら、12.43gの添加液a、1.6mlのDesmodurN3300/モーベイ社社製の脂肪族イソシアネート(10%MEK溶液)、4.27gの添加液bを順次添加し攪拌することにより感光層塗布液を得た。
【0154】
《マット剤分散液の調製》
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、7.5gのCAB171−15)をMEK42.5gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality Minerals社、Super−Pflex200)5gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザにて8000rpmで30min分散しマット剤分散液を調製した。
【0155】
《表面保護層塗布液の調製》
MEK(メチルエチルケトン)865gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAB171−15):96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21):4.5g、ビニルスルホン化合物(HD−1):1.5g、ベンゾトリアゾール:1.0g、F系活性剤(旭硝子社、サーフロンKH40):1.0g、を添加し溶解した。次にマット剤分散液30gを添加して攪拌し、表面保護層塗布液を調製した。
【0156】
【化4】
Figure 0003804368
【0157】
【化5】
Figure 0003804368
【0158】
【化6】
Figure 0003804368
【0159】
《感光層面側塗布》
前記感光層塗布液と表面保護層塗布液を押し出しコーターを用いて同時に重層塗布することにより感光材料1を作製した。塗布は、感光層は塗布銀量1.9g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになる様にしておこなった。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行った。
【0160】
次いで、感光性乳剤分散液1を用いる代わりに、上記記載の感光性乳剤分散液2〜9を各々用いる以外は、感光材料1の作製と同様にして、感光材料2〜9を作製した。
【0161】
《露光及び現像処理》
上記のように作製した感光材料の乳剤面側から、高周波重畳にて波長800nm〜820nmの縦マルチモード化された半導体レーザを露光源とした露光機によりレーザ走査による露光を与えた。この際に、感光材料の露光面と露光レーザ光の角度を75度として画像を形成した。(なお、当該角度を90度とした場合に比べムラが少なく、かつ予想外に鮮鋭性等が良好な画像が得られた。)
その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて感光材料の保護層とドラム表面が接触するようにして、110℃で15秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。得られた画像の評価を濃度計により行った。測定の結果は、感度(未露光部分よりも1.0高い濃度を与える露光量の比の逆数)およびカブリで評価し、感光材料1の感度を100とする相対値で表1に示した。
【0162】
《単分散度の測定》
分散液をMEKにて1000倍希釈して親水化処理済みのカーボン支持膜付グリッド上に分散し、透過型電子顕微鏡(日本電子製 2000FX型)、直接倍率5000倍にて撮影を行った。この時ダメージを防ぐために試料ホルダーを−120℃まで冷却した。スキャナにてネガをデジタル画像として取り込み適当な画像処理ソフトを用いて円相当径を300個以上測定し、平均値及び変動係数を算出した。
【0163】
《Zr(ジルコニウム)含有量の評価》
フィルム10×10cmを切り出し、感光層をMEKで剥離した。マイクロダイジェストA300型マイクロウェーブ式湿式分解装置(プロラボ社製)にて硫硝酸分解し、誘導結合プラズマ質量分析装置PQ−Ω型ICP−MS(VGエレメンタル社製)にて検量線法により分析を行った。結果を表1に示す。
【0164】
《フィルム中の溶媒含有量の測定》
フィルム面積として46.3cm2を切り出し、これを5mm程度に細かく刻んで専用バイアル瓶に収納しセプタムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレット・パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7694型にセットした。
【0165】
ヘッドスペースサンプラーと接続したガスクロマトグラフィー(GC)は検出器として水素炎イオン化検出器(FID)を装着した、ヒューレット・パッカード社製5971型を使用した。主な測定条件は下記のとおりである。
【0166】
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分
GC導入温度:150℃
カラム:J&W社製 DB−624
昇温:45℃、3分保持→100℃(8℃/分)
上記の測定条件を用いてガスクロマトグラムを得た。測定対象溶媒はMEK、メタノールとし、左記溶媒の各々ブタノールにて希釈された一定量を専用バイアル瓶に収納した後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムのピーク面積を用いて作製した検量線を使用してフィルム中の溶媒含有量を得た。
【0167】
《有機銀塩粒子の針状比率平均値評価》
真空蒸着装置として、JFD−7000型(日本電子社製)を用いて試料を作製し、FE−SEMとして、S−5000H型(日立製作所製)を用いて加速電圧2.0kVにてアスペクト比3以上の有機銀粒子個数が1000個以上となるように視野数を選び観察した。画像はデジタル化し接続されたファイリング装置(VIDEOBANK)に転送しMOディスク中に保存した。続いて、LUZEX−III型(ニレコ社製)画像処理装置にて粒子の重なりや接触がある場合はマニュアル操作にて粒子を抽出し、それぞれの粒子にたいしてMX LNG/WIDTHを測定し、平均値を求めた。結果は表1に示した。なお、感光性乳剤分散液1〜9においてアスペクト比3以上の粒子の割合は80%以上であった。
【0168】
また、作製した感光材料試料1〜9の溶媒含有量は、32mg/m2〜80mg/m2と数値的な違いはあるが、熱現像感光材料の現像時の特性にあたえる影響としては、実質的にほぼ同一とみなせる量であり、写真性能に対する影響も実質的に相違がなかった。
【0169】
【表1】
Figure 0003804368
【0170】
表1から、比較の試料と比べて、本発明の試料は十分な感度があり、且つ、カブリが低い熱現像感光材料であることが明かである。
【0171】
実施例2
下記記載の感光性乳剤分散液11〜15を各々用いる以外は実施例1と全く同様にして熱現像感光材料11〜15を作製した。
【0172】
《感光性乳剤分散液11の調製》
予備分散液Aをポンプを用いてミル内滞留時間が3分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なうことにより感光性乳剤分散液11を調製した。
【0173】
《感光性乳剤分散液12の調製》
GM−2型圧力式ホモジナイザ(エスエムテー社製)を用いて、予備分散液Aを2パス分散することにより感光性乳剤分散液12を調製した。尚、この際、1パス時の処理圧は27.46MPaであり、2パス時の処理圧は54.92MPaとした。
【0174】
《感光性乳剤分散液13の調製》
予備分散液Aを調製する際に使用するMEKをあらかじめミル内滞留時間が3.0分間となるように、感光性乳剤分散液1の調製に使用した分散機に供給し(ミル周速13m/s)、それ以外は感光性乳剤分散液12を調製するのと全く同様にして感光性乳剤分散液13を調製した。
【0175】
《感光性乳剤分散液14の調製》
予備分散液Aをポンプを用いてミル内滞留時間が3分間となるように、0.5mmジルコニア強化アルミナビーズ(東レ製トレビーズ)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なうことにより感光性乳剤分散液14を調製した。
【0176】
《感光性乳剤分散液15の調製》
予備分散液Bをポンプを用いてミル内滞留時間が0.5分間となるように、0.5mmジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なうことにより感光性乳剤分散液15を調製した。
【0177】
《有機銀塩粒子投影面積の評価》
ミクロトームとして、LKB社製ウルトラトームNOVA型を使用して、支持体と垂直な方向に切片を作製し、次いで、TEM(透過型電子顕微鏡)として、日本電子(株)製JEM−2000FX型を加速電圧200kVにて使用し、有機銀塩粒子が1000個以上となるように5000倍にて写真撮影を行った。ネガをスキャナにて解像度600dpi(dpiとは2.54cmあたりの画素密度を表す)にてデジタル画像として取り込み、続いて、ニレコ社製LUZEX−IIIを用いて画像処理を施し投影面積のヒストグラムを作製した後、投影面積0.025μm2以下の粒子の割合と0.2μm2以上の粒子の割合を算出した。結果は表2に示した。
【0178】
《画質の評価》
現像済み試料の濃度1.0の部分をミツトヨ製光学顕微鏡、透過モード、100倍にて観察を行い、白抜け、凝集物などによる画質劣化を下記4段階で評価した。
4:白抜け、凝集物はほとんどなく良好な画質
3:白抜け、凝集物は若干認められるが製品としては問題無い画質
2:白抜け、凝集物が存在し、製品としては使用限度の画質
1:白抜け、凝集物が多く製品としては使用できない
なお、単分散度、感度、カブリ、溶媒含有量、ジルコニア含有量についても実施例1に記載の方法でそれぞれ測定した結果を表2にしめす。また、作製した感光材料試料11〜15の溶媒含有量は、32mg/m2〜90mg/m2と数値的な違いはあるが、熱現像感光材料の現像時の特性にあたえる影響としては、実質的にほぼ同一とみなせる量であり、写真性能に対する影響も実質的に相違がなかった。
【0179】
【表2】
Figure 0003804368
【0180】
表2から、本発明の試料は比較試料と比べて、十分な感度があり、且つ、低カブリで、画像欠陥の少ない高画質な熱現像感光材料であることがわかる。
【0181】
【発明の効果】
本発明により、感度が高く、低カブリであり、且つ、画像欠陥の少ない感光性乳剤、熱現像感光材料、それを用いる画像記録方法及び画像形成方法を提供することが出来た。

Claims (7)

  1. 支持体上に、少なくとも感光性乳剤と還元剤及びバインダーを含有する感光性層を有する熱現像感光材料において、
    該感光性乳剤が、少なくとも有機銀塩、感光性ハロゲン化銀塩及び溶媒を含有し、該有機銀塩がアスペクト比3以上の平板状有機銀塩粒子であり、且つ、主平面方向から計測される該平板状有機銀塩粒子の針状比率の平均値が1.1以上10.0未満であり、銀1gあたり、0.01〜0.5mgのジルコニウムを含有し、且つ、前記有機銀塩の単分散度が1%〜30%の単分散粒子であることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 熱現像感光材料の支持体面と垂直な断面を電子顕微鏡観察した時、0.025μm 2 未満の投影面積を示す有機銀塩粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の70%以上を示し、且つ、0.2μm 2 以上の投影面積を示す粒子の割合が有機銀塩粒子の全投影面積の10%以下である感光性乳剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
  3. 感光性層中の総銀量が2.4g/m 2 以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像感光材料。
  4. 露光面と走査レーザ光のなす角度が実質的に垂直になることがない露光装置を用いて、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を露光することを特徴とする画像記録方法。
  5. 縦マルチである走査レーザ光を発するレーザ走査露光機を用いて、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を露光することを特徴とする画像記録方法。
  6. 熱現像感光材料中に溶媒が5mg〜1000mg/m 2 含有している状態において請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を現像することを特徴とする画像形成方法。
  7. 保護層と加熱されたドラムを接触させ、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を現像することを特徴とする画像形成方法。
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