JP3804225B2 - 防振ブッシュ付きアーム部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、二つの部材間に装着されてそれら両部材を防振連結するアーム部材に係り、特に、少なくとも一方の部材に対する一つの取付部位に防振ブッシュを備えた防振ブッシュ付きアーム部材に関するものである。より詳しくは、防振ブッシュに形成された液室の圧力を能動的に制御することにより、防振ブッシュの防振特性を調節することの出来る流体封入式の防振ブッシュを備えたアーム部材に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装されて、それらの部材を防振連結するアーム部材として、実公昭47−13925号公報や特公平6−29637号公報等に記載されているように、アーム部材における少なくとも一つの取付部位に対してゴムブッシュを組み付けた構造のものが知られている。このような防振ブッシュ付きアーム部材は、例えば、自動車のサスペンションロッドの他、サスペンションアームやサスペンションメンバ、デフマウントメンバ、サブフレーム等として、好適に採用されている。また、かくの如きアーム部材においては、要求される防振特性を達成するために、上記特公平6−29637号公報にも記載されているように、ゴムブッシュの内部に非圧縮性流体が封入された液室を形成し、流体の共振作用等の流動作用を利用するようにした流体封入式防振ブッシュ等が採用されている。
【0003】
ところが、近年、要求される防振性能が高度化してきたために、振動入力時における受動的な流体の流動作用を利用するだけでは、十分な防振性能を達成することが難しい場合があった。特に、自動車の懸架系に用いられるアーム部材では、車両の操縦安定性を確保すべく、低周波の振動領域で高剛性と高減衰が要求されるために、乗り心地に関して問題となる高周波の振動領域でも、十分な低動ばね特性を発揮させて防振性能を確保することが、極めて難しかったのである。
【0004】
なお、特許第2510915号公報等には、液室の壁部の一部を振動板で構成し、該振動板をボイスコイル型やムービングコイル型等の電磁駆動手段で加振せしめて、液室の内圧を、入力振動に応じて、能動的に制御することにより防振特性を調節可能とした内圧制御型の流体封入式筒型マウントが提案されており、かかるマウント構造を、アーム部材の防振ブッシュに適用することも考えられる。しかしながら、アーム部材の防振ブッシュは、一般に、アーム部材の端部に形成されたアームアイ等の装着孔に組み付けられる小型のものであり、永久磁石やコイル等からなる大型の電磁駆動手段を設けることが、極めて困難であった。特に、自動車の懸架系を構成するアーム部材には、走行時の大荷重が入力されることから、一般的なサイズの電磁駆動手段では、有効な内圧制御を為し得る程の加振力を振動板に及ぼすことが難しく、目的とする防振性能が発揮され難いという問題もあった。
【0005】
また、かかる内圧制御型の流体封入式筒型マウントにおいて、振動板に対して大きな加振力を及ぼすために、電磁駆動手段に代えて、より大きな駆動力を発生し得る電歪素子や磁歪素子を用いることも考えられる。ところが、電歪素子や磁歪素子は、出力ストロークが小さいために、液室に対して十分な大きさの内圧変化量を生ぜしめることが難しいという問題があり、必ずしも有効ではなかった。また、出力ストロークを確保しようとすると、長尺の歪素子を用いる必要があるために、結局、大型化してしまい、アーム部材に装着される防振ブッシュへの適用が難しいという問題があった。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、低周波の振動領域における高剛性な特性を確保しつつ、高周波の振動領域では、防振ブッシュに形成された液室の内圧制御に基づいて、優れた振動絶縁効果が発揮される、新規な構造の防振ブッシュ付きアーム部材を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、防振ブッシュに形成された液室の壁部を構成する振動板に対して大きな加振力を及ぼし得るアクチュエータが、優れたスペース効率をもって装着され得て、液室において有効な内圧制御が為されることにより、能動的な防振効果が有利に発揮される、新規な構造の防振ブッシュ付きアーム部材を提供することも、目的とする。
【0008】
【解決手段】
そして、このような課題を解決するために、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、二つの部材を連結するアーム部材における筒状のロッド部の少なくとも一方の端部に設けた円筒形状のアームアイに対して、軸部材と該軸部材の径方向外方に離間して配された外筒部材が本体ゴム弾性体で連結されてなる防振ブッシュが圧入され、該防振ブッシュを介して、該アーム部材が連結すべき部材に取り付けられるようにされた防振ブッシュ付きアーム部材において、前記防振ブッシュに対して、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて内部に非圧縮性流体が封入された主液室を形成すると共に、該主液室の壁部の他の一部を、前記外筒部材に設けた開口窓を覆蓋する前記アームアイの前記ロッド部との連結部に設けられた筒形開口部において変位可能に支持された振動板で構成する一方、前記ロッド部に対して、その筒状内に収容されるようにして、電界又は磁界の変化によって変形する歪素子を用いたアクチュエータを装着し、該アクチュエータで前記振動板を加振することにより、前記主液室の内圧が制御せしめられるようにしたことにある。
【0009】
なお、防振ブッシュは、アーム部材によって連結される部材の少なくとも一方に対する少なくとも一つの取付部位に装着されていれば良い。また、アクチュエータのアーム部材への装着態様としては、アーム部材の内部にアクチュエータを収容せしめて装着する他、アーム部材の外面上にアクチュエータを装着するようにしても良い。更にまた、アーム部材としては、金属や樹脂等で形成されたものが何れも採用可能であり、長手ロッド形状の他、自動車用L型アームやA型アーム等、或いは自動車用サブフレーム等のように、各種の形状のものが採用され得る。更に、振動板を変位可能に支持せしめるには、例えばゴム弾性体や金属板ばね等を用いた弾性的な支持構造が有利に採用される。
【0010】
このような請求項1に記載の発明に従う構造とされた防振ブッシュ付きアーム部材においては、主液室の振動板を加振するアクチュエータが、アーム部材に対して装着されていることから、防振ブッシュ自体のサイズが小さくても、能動的に防振特性を制御できる内圧制御型の防振ブッシュが、有利に実現されるのである。しかも、アクチュエータとしては、歪素子を用いたものが採用されていることから、振動板に対して大きな加振力を及ぼすことが出来、入力荷重が大きい場合でも有効な内圧制御が実現され得て優れた防振効果が発揮されるのである。また、アクチュエータをアーム部に装着して配設スペースを有利に確保し得たことにより、採用される歪素子サイズの長尺化が可能となるのであり、それによって、アクチュエータの出力ストロークも大きく設定することが出来ることから、より有効な内圧制御が実現されて、一層優れた防振効果が発揮されるのである。
【0011】
特に、アクチュエータの配設スペースを、防振ブッシュの装着孔からアーム部材内部に延び出す位置に形成することにより、高度なスペース効率が実現されると共に、アクチュエータの他部材への緩衝等が問題となるようなこともない。その際、アーム部材を、アクチュエータ用のケース部材(筐体)として利用することも出来る。
【0012】
さらに、このような構造の防振ブッシュ付きアーム部材においては、主液室の内圧制御により、特に高周波振動に対して優れた防振効果が有利に発揮されることから、高周波振動に対する防振性能を十分に確保しつつ、防振ブッシュ自体の静ばね剛性を高く、また低周波振動に対する減衰特性を大きく設定することが出来るのであり、それ故、例えば自動車の懸架系のアーム部材において、操縦安定性と乗り心地を高度に両立させることが可能となるのである。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前述の如き課題を解決するために為されたものであって、その特徴とするところは、二つの部材を連結するアーム部材における筒状のロッド部の少なくとも一方の端部に設けた円筒形状のアームアイに対して、軸部材と該軸部材の径方向外方に離間して配された外筒部材が本体ゴム弾性体で連結されてなる防振ブッシュが圧入され、該防振ブッシュを介して、該アーム部材が連結すべき部材に取り付けられるようにされた防振ブッシュ付きアーム部材において、前記防振ブッシュに対して、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて内部に非圧縮性流体が封入された主液室を形成する一方、壁部の一部が変位可能に支持された振動板で構成されて内部に非圧縮性流体が封入された加圧室を有すると共に、電界又は磁界の変化によって変形する歪素子を用いたアクチュエータを備え、該アクチュエータで該振動板を加振することにより該加圧室に圧力変化を生ぜしめる圧力発生装置を、前記アーム部材から独立して設け、更に該圧力発生装置の加圧室を前記防振ブッシュの主液室に連通する流体管路を設けて、該圧力発生装置における該アクチュエータでの該振動板の加振により、前記主液室の内圧が制御せしめられるように構成し、且つ前記外筒部材に設けた開口窓を覆蓋する前記アームアイ部位において設けられた、外方に開口するポート部に対して、前記流体管路が接続せしめられるようになっていると共に、該流体管路を通じて流動せしめられる前記非圧縮性流体の共振周波数が、防振すべき振動周波数に対応するように、該流体管路における流路長さと流路断面積を設定したことにある。
【0014】
なお、請求項1に記載の発明と同様、防振ブッシュは、アーム部材における少なくとも一つの取付部位に装着されていれば良く、また、アーム部材としては、金属や樹脂等の各種の材質および自動車用サスペンションアーム等の各種の形状のものが採用され得る。また、アクチュエータは、アーム部材の内部や外面上において、アーム部材に対して固定的に装着する他、アーム部材とは別の部材に装着するようにしても良い。更に、流体管路は、剛性管体であっても可撓性管体であっても良く、金属管体の他、ゴム管体や樹脂管体等も採用可能であるが、内部流通流体の圧力吸収が十分に抑えられるものが望ましい。また、振動板を変位可能に支持せしめるには、例えばゴム弾性体や金属板ばね等を用いた弾性的な支持構造が有利に採用される。
【0015】
このような請求項2に記載の発明に従う構造とされた防振ブッシュ付きアーム部材においては、主液室に圧力変化を及ぼすアクチュエータが、防振ブッシュとは別体にて形成されており、防振ブッシュの装着部位から離れた別の適当な空きスペースに装着することが可能であることから、防振ブッシュ自体のサイズが小さくても、能動的に防振特性を制御できる内圧制御型の防振ブッシュが、有利に実現されるのである。しかも、請求項1に記載の発明と同様、長尺な歪み素子を用いたアクチュエータを採用することが可能であることから、入力荷重が大きい場合でも主液室に対して有効な内圧制御を及ぼすことが出来、それによって、優れた防振効果が発揮されるのである。
【0016】
特に、かかる請求項2に記載の発明に従う構造とされた防振ブッシュ付きアーム部材においては、流体管路における流路長さと流路断面積を適当にチューニングすることにより、流体管路を通じて流動せしめられる非圧縮性流体の共振周波数を、防振すべき振動周波数に対応させることが出来るのであり、それによって、流体管路を流通せしめられる流体の共振作用を利用して、加圧室から主液室への圧力伝達効率の向上を図り、以て、主液室の内圧制御効果ひいては防振性能の更なる向上を図ることも可能である。
【0017】
なお、請求項1および請求項2の何れに記載の発明に従う構造とされた防振ブッシュ付きアーム部材においても、その防振ブッシュにおいて、主液室とは独立して、振動入力によって主液室との間に相対的な圧力変化が生ぜしめられる、内部に非圧縮性流体が封入された副液室を形成すると共に、それら主液室と副液室を相互に連通するオリフィス通路を形成せしめてなる構成が、有利に採用され得る。
【0018】
このような構造とされた防振ブッシュ付きアーム部材においては、オリフィス通路の通路断面積や通路長さを適当に調節することによって、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、主液室の内圧制御効果の向上を図ったり、或いは主液室の内圧制御による防振効果が有効に発揮され難い周波数域(例えば低周波数域)の入力振動に対する防振性能の向上を図ったりすることが可能となる。なお、副液室としては、壁部の一部が本体ゴム弾性体で構成されて、軸部材を挟んで主液室と反対側に位置せしめられることにより、振動入力時に主液室とは正負が反対となる内圧変動が積極的に生ぜしめられる受圧室構造のものの他、壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成されて、容積変化が容易に許容されることにより圧力変動が吸収される平衡室構造のもの等も、採用され得る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1には、本発明に従う防振ブッシュ付きアーム部材の一実施形態としての自動車用サスペンションアーム10が、示されている。このサスペンションアーム10は、直線的に延びる長手棒状のロッド部12に対して、その軸方向両端部に防振ブッシュとしての第一のゴムブッシュ14と第二のゴムブッシュ16が装着された構造を有している。そして、図面上に明示はされていないが、かかるサスペンションアーム10は、その一端部が、第一のゴムブッシュ14を介して、車体側と車輪側の何れか一方に取り付けられる一方、他端部が、第二のゴムブッシュ16を介して、車体側と車輪側の何れか他方に取り付けられることにより、車輪側部材を車体側部材に対して防振連結するようになっている。また、かかる装着状態下、サスペンションアーム10には、防振すべき主たる振動がロッド部12の軸方向に入力されるようになっている。
【0021】
より詳細には、第一のゴムブッシュ14は、小径円筒形状の第一の内筒金具18と、薄肉の大径円筒形状の第一の外筒金具20が、径方向に離間して同軸的に配されていると共に、それら第一の内外筒金具18,20が、第一の本体ゴム弾性体21によって弾性的に連結された構造とされている。換言すれば、第一の本体ゴム弾性体21は、厚肉円筒形状を有しており、この第一の本体ゴム弾性体21の内周面に第一の内筒金具18が、外周面に第一の外筒金具20が、それぞれ加硫接着されてなる一体加硫成形品として、第一のゴムブッシュ14が形成されているのである。
【0022】
さらに、この第一のゴムブッシュ14は、必要に応じて第一の外筒金具20が縮径されて第一の本体ゴム弾性体21に予圧縮が加えられた後、厚肉の大径円筒形状を有する金属製の第一のアームアイ22に対して圧入されており、第一の外筒金具20が第一のアームアイ22に対して内嵌固定されている。また、第一のアームアイ22には、その外周面に対して、直線的な円筒形状を有する第一のロッド筒金具24が溶着固定されており、かかる第一のロッド筒金具24が、その中心軸がアームアイ22の中心軸に直交する状態で、アームアイ22から外方に突出せしめられている。
【0023】
一方、第二のゴムブッシュ16は、小径円筒形状の第二の内筒金具26と、薄肉の大径円筒形状の第二の外筒金具28が、径方向に離間して同軸的に配されていると共に、それら第二の内外筒金具26,28が、第二の本体ゴム弾性体30によって弾性的に連結された構造とされている。要するに、第二の本体ゴム弾性体30は、厚肉円筒形状を有しており、その内外周面に対して、第二の内筒金具26と第二の外筒金具28が、それぞれ加硫接着された一体加硫成形品として、第二のゴムブッシュ16が形成されている。また、かかる一体加硫成形品においては、第二の外筒金具28に対して、周上の一か所に開口する略円形の開口窓32が形成されていると共に、第二の本体ゴム弾性体30に対して、外周面上に開口する凹状のポケット部34が形成されており、該ポケット部34が、開口窓32を通じて、第二の外筒金具28の外周面に開口せしめられている。なお、ここでは、第二の内筒金具26が軸部材に、また第二の外筒金具28が外筒部材に、それぞれ相当している。
【0024】
さらに、この第二のゴムブッシュ16は、必要に応じて第二の外筒金具28が縮径されて第二の本体ゴム弾性体30に予圧縮が加えられた後、厚肉の大径円筒形状を有する金属製の第二のアームアイ36に対して圧入されており、第二の外筒金具28が第二のアームアイ36に対して内嵌固定されている。それによって、第二の外筒金具28の開口窓32が第二のアームアイ36によって流体密に覆蓋せしめられ、以て、ポケット部34内に非圧縮性流体が封入された主液室38が形成されている。なお、非圧縮性流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が好適に採用され得、特に、粘性率が0.1Pa・s以下のものが有利に用いられる。
【0025】
また、第二のアームアイ36には、第二の外筒金具28の開口窓32を覆蓋して主液室38の壁部の一部を構成する部分において、外周面上に向かって突出して開口する円筒形状の筒形開口部40が設けられている。更に、この筒形開口部40内には、振動板42が配設されており、連結ゴム弾性体44によって、筒形開口部40に対して弾性的に連結されている。この振動板42は、金属や樹脂等の剛性材で形成されており、厚肉の円板形状を有している。また、連結ゴム弾性体44は、円筒形状を有しており、その内周面に対して振動板42が加硫接着されていると共に、内周面に対して薄肉円筒形状の金属スリーブ46が加硫接着されている。要するに、連結ゴム弾性体44は、振動板42と金属スリーブ46を有する一体加硫成形品として形成されている。
【0026】
そして、この連結ゴム弾性体44の一体加硫成形品は、必要に応じて金属スリーブ46が縮径されて連結ゴム弾性体44に予圧縮が加えられた後、金属スリーブ46が、第二のアームアイ36の筒形開口部40に圧入されることにより、筒形開口部40に対して流体密に嵌着固定されている。これによって、振動板42が、第二のアームアイ36に対して、連結ゴム弾性体44を介して、弾性的に連結支持されているのであり、また、かかる振動板42によって、主液室38の壁部の一部が構成されているのである。
【0027】
要するに、主液室38は、その壁部の一部が、第二の本体ゴム弾性体30と振動板42によって構成されており、振動入力時における第二の本体ゴム弾性体30の弾性変形に基づいて、内圧変化が生ぜしめられるようになっているのである。反対に言うと、この主液室38の内圧を制御することによって、第二のゴムブッシュ16ひいてはサスペンションアーム10の防振特性を調節することが可能とされているのである。なお、主液室38への流体の封入は、例えば、第二のアームアイ36に金属スリーブ46を圧入して振動板42を組み付けた後、流体中において、第二のアームアイ36に第二の外筒金具28を圧入して第二のゴムブッシュ16を組み付けること等によって、有利に為され得る。
【0028】
さらに、第二のアームアイ36の筒形開口部40には、長手円筒形状を有する第二のロッド筒金具48が、その一端側開口部において外嵌され、必要に応じて溶着されて固定されている。また、この第二のロッド筒金具48における他端側開口部には、円板形状を有する硬質の蓋体50が圧入されて嵌着固定されており、それにより、第二のロッド筒金具48の軸方向両側の開口部が、振動板42と蓋体50によって覆蓋されている。
【0029】
そして、かかる第二のロッド筒金具48の内部には、振動板42を加振駆動するためのアクチュエータ52が収容されており、振動板42を挟んで主液室38と反対側に配設されている。このアクチュエータ52は、円形ブロック形状乃至はロッド形状を有する磁歪素子54を備えており、かかる磁歪素子54が、第二のロッド筒金具48内の中心軸上に配設されている。
【0030】
この磁歪素子54の軸方向両端面には、それぞれ略円板形状を有する硬質の端部材56,58が重ね合わされて固着されており、これら両端部材56,58が、第二のロッド筒金具48に対して、それぞれ、リング状支持材60を介して、第二のロッド筒金具48の軸方向の小変位が許容され得る状態で、且つ軸直角方向の変位が可及的に抑えられる状態で、取り付けられている。そして、一方の端部材56は、振動板42に重ね合わされて、ボルトにて固着されている。また、他方の端部材58は、蓋体50に重ね合わされ、必要に応じて接着等により取り付けられている。特に、本実施形態では、振動板42にボルト固定された端部材56と筒形開口部40の開口端面との対向面間にコイルスプリング62が介装されており、端部材56に対して、筒形開口部40から離隔する方向の付勢力が及ぼされている。このコイルスプリング62の付勢力が磁歪素子54から他方の端部材58に及ぼされて、端部材58が蓋体50に押し付けられて固定されることにより、磁歪素子54における振動板42と反対側の端部が、第二のロッド筒金具48によって固定的に支持されている。しかも、かかるコイルスプリング62の付勢力により、磁歪素子54には、その軸方向(出力ストローク方向)の圧縮力が、予荷重として及ぼされているのである。なお、コイルスプリング62の付勢力は、端部材58を蓋体50に対して固定するに十分であると共に、磁歪素子54に有効な予荷重を及ぼし得、且つ磁歪素子54における軸方向の磁歪によってスムーズに伸縮変形せしめられる程度に設定される。
【0031】
また、磁歪素子54の外側には、ボビン66に巻回されたコイル68が配設されており、図示しないリード線を通じて給電されるようになっている。このコイル68が巻回されたボビン66は、樹脂やアルミニウム等の非磁性材で形成され、磁歪素子54の外周面に対して所定間隙を隔てて外挿されている。また、ボビン66は、その軸方向一端側において蓋体50に固定された端部材58に固着されている一方、磁歪素子54の軸方向他端部に固定された端部材56に対しては、所定距離を隔てて離間配置されており、ボビン66やコイル68によって、磁歪素子54における軸方向の伸縮変形が阻害されることがないようにされている。
【0032】
かくの如き磁歪素子54とコイル68を含んで構成されたアクチュエータ52にあっては、コイル68への通電によって生ぜしめられる磁界が磁歪素子54に及ぼされることとなり、以て、かかる磁歪素子54に対して変形(軸方向の伸縮)が生ぜしめられるようになっている。そして、この磁歪素子54の変形が、振動板42に及ぼされることにより、振動板42が、主液室38に対して出し入れ方向(筒形開口部40の軸方向)に変位せしめられるようになっているのである。なお、ここにおいて、磁歪素子54としては、ニッケル,アルフェロ合金等の一般的な磁性材料を用いることも可能であるが、特にテルビウム(Tb)等の希土類元素を含む磁性材料、より好ましくはテルビウム(Tb)とジスプロシウム(Dy),鉄(Fe)を含む組成物からなり、磁歪で起こる結晶の変位が最大2000ppmに達する超磁歪素子が、好適に採用される。
【0033】
さらに、このようなアクチュエータ52が内蔵的に組み込まれた第二のロッド筒金具48には、第二のアームアイ36とは反対側の軸方向端部に対して、第一のアームアイ22に固着された第一のロッド筒金具24が外挿され、必要に応じて溶着されることによって外嵌固定されている。それによって、第一のロッド筒金具24と第二のロッド筒金具48が同一軸上で軸方向に繋ぎ合わされて固着され、全体として一本のロッド部12の軸方向両端部分に第一及び第二のアームアイ22,36が一体形成されてなるアーム部材が構成されていると共に、第一のアームアイ22に対して第一のゴムブッシュ14が、第二のアームアイ36に対して第二のゴムブッシュ16が、それぞれ組み込まれている。
【0034】
上述の如き構造とされた本実施形態のサスペンションアーム10においては、コイル68に交番電流を通電することにより、コイル68の磁気作用によって、磁歪素子54が軸方向に伸縮変形せしめられて、第二のゴムブッシュ16に形成された主液室38の壁部を構成する振動板42が、主液室38の容積を拡縮する方向に加振されることとなる。それ故、コイル68に対する通電電流を制御して振動板42を適当な周期およびストロークで加振することにより、主液室38の内圧を制御することが出来るのであり、それによって、第二のゴムブッシュ16の防振特性ひいてはサスペンションアーム10の防振特性を、防振すべき振動に応じて、適宜、変更,調節することが可能となるのである。
【0035】
具体的には、例えば、路面凹凸や懸架部材共振等によってロードノイズやこもり音等の原因となる高周波振動が入力された際、振動板42を、入力振動と逆位相で振動させることにより、第二のゴムブッシュ16において振動を相殺的に軽減して振動伝達率の低下を図ることが出来るのである。そして、特に、上述の如きサスペンションアーム10においては、主液室38の圧力調節による能動的な防振効果に基づいて、高周波振動に対する有効な防振性能が達成されることから、高周波振動に対する優れた防振性能を確保しつつ、第一及び第二のゴムブッシュ14,16に対して、例えば本体ゴム弾性体21,30の材質や形状等を適当に設定することなどによって、静的ばね定数乃至は低周波振動に対する動ばね定数を大きく設定することが出来るのであり、それによって、優れた車両乗り心地を確保しつつ、高度な操縦安定性を実現せしめることが可能となるのである。
【0036】
しかも、かかるサスペンションアーム10においては、振動板42を加振するためのアクチュエータ52が、ロッド部12内に完全に収納された状態で組み付けられていることから、小型の第一のゴムブッシュ16を採用するに際しても、アクチュエータ52の配設スペースが有利に確保され得て、主液室38の内圧制御による防振効果を有利に利用することが可能となるのである。特に、ロッド部12内のスペースを利用することによって、サスペンションアーム10全体の大型化を伴うことなく、アクチュエータ52の配設スペースを大きく確保することが可能とされることから、磁歪素子54の出力ストローク方向の寸法を十分に大きく設定して、大きな出力ストロークを得ることが出来るのであり、それ故、応答速度に優れ、制御が容易であり、且つ大きな駆動力を容易に得ることが出来るといった磁歪素子の利点を十分に確保しつつ、変形量(出力ストローク)が小さいという磁歪素子の特質に起因する欠点を効果的に軽減乃至は解消せしめて、主液室38の内圧制御に基づいた優れた防振効果を有効に且つ安定して得ることが出来るのである。
【0037】
次に、図2には、本発明に従う防振ブッシュ付きアーム部材の第二の実施形態としてのサスペンションアーム70が、示されている。このサスペンションアーム70は、その一端に防振ブッシュとしてのゴムブッシュ74が組み付けられており、このゴムブッシュ74を介して、サスペンションアーム70が、図示しない連結すべき一方の部材に取り付けられるようになっている。また、ゴムブッシュ74には、非圧縮性流体が封入された主液室76が設けられていると共に、この主液室76の内圧が、サスペンションアーム70とは独立的に形成された圧力発生装置78によって制御されるようになっており、主液室76の圧力制御に基づいて、ゴムブッシュ74ひいてはサスペンションアーム70の防振性能が調節,制御されるようになっている。なお、サスペンションアーム70における、連結すべき他方の部材への取付部位は、図示を省略する。
【0038】
より詳細には、サスペンションアーム70は、金属製円筒体からなるロッド部80を有しており、該ロッド部80の一端部に対して、金属製の大径円筒体からなるアームアイ82が、中心軸が互いに直交する状態で溶着固定されている。そして、このアームアイ82に対して、ゴムブッシュ74が組み付けられている。なお、サスペンションアーム70の車両への装着状態下では、防振すべき主たる振動が、ロッド部80の軸方向に入力されることとなる。
【0039】
かかるゴムブッシュ74は、第一の実施形態における第二のゴムブッシュ16と同様、互いに径方向に離間して同軸的に配設された小径円筒形状の内筒金具84と薄肉の大径円筒形状の外筒金具86を有しており、それら内外筒金具84,86が、軸部材と外筒部材を構成して、本体ゴム弾性体88によって弾性的に連結された構造とされている。また、本体ゴム弾性体88には、外周面上に開口するポケット部90が形成されており、このポケット部90が、外筒金具86に形成された開口窓92を通じて外周面に開口せしめられている。
【0040】
そして、必要に応じて本体ゴム弾性体88に予圧縮が加えられた後、ゴムブッシュ74がアームアイ82に圧入され、外筒金具86がアームアイ82に嵌着固定されることによって組み付けられている。そこにおいて、ポケット部90は、アームアイ82におけるロッド部80の連結部位とは径方向反対側に位置せしめられており、開口窓92がアームアイ82で流体密に覆蓋されることによって、非圧縮性流体が封入された主液室76が形成されている。なお、封入流体としては、前記第一の実施形態の主液室と同様なものが採用され得る。
【0041】
要するに、主液室76は、壁部の一部が本体ゴム弾性体88で構成されており、振動入力時における本体ゴム弾性体88の弾性変形に基づいて、内圧変化が生ぜしめられるようになっているのであり、反対に言うと、この主液室76の内圧を制御することによって、ゴムブッシュ74ひいてはサスペンションアーム70の防振特性を調節することが可能とされているのである。
【0042】
さらに、アームアイ82には、外筒金具86の開口窓92を覆蓋する部位において、外方に突出するポート部95が形成されており、このポート部95を通じて、主液室76に対して、非圧縮性流体の給排を行うことが出来るようになっている。即ち、ポート部95を通じての非圧縮性流体の給排によって、主液室76の内圧を制御することが可能とされているのである。
【0043】
また一方、圧力発生装置78は、長手円筒形状を有する金属製のケース筒体96を備えており、該ケース筒体96の一方の開口部に対して、有底円筒形状を有する第一の蓋体98が、その開口部側で圧入固定されていると共に、該ケース筒体96の他方の開口部に対して、円板形状を有する第二の蓋体100が圧入固定されている。そして、これらケース筒体96と第一及び第二の蓋体98,100によって、中空円筒形状の装置筐体101が構成されている。
【0044】
また、第一の蓋体98の開口部には、振動板102が配設されており、連結ゴム弾性体104によって、第一の蓋体98の開口部に対して弾性的に連結されている。この振動板102は、前記第一の実施形態の振動板と同様、厚肉の円板形状を有しており、その外周面に対して円筒形状の連結ゴム弾性体104が加硫接着され、更に該連結ゴム弾性体104の外周面には、金属スリーブ106が加硫接着されている。そして、金属スリーブ106が第一の蓋体98の開口部に圧入固定されることにより、振動板102が、第一の蓋体98に対して、連結ゴム弾性体104を介して、弾性的に連結支持されている。また、第一の蓋体98の開口部が振動板102で流体密に覆蓋されることによって、第一の蓋体98の内部に、壁部の一部が振動板102で構成されて非圧縮性流体が封入されてなる加圧室108が形成されている。
【0045】
更にまた、加圧室108とは、振動板102を挟んで反対側にアクチュエータ110が配設され、装置筐体101内に収容配置されている。このアクチュエータ110は、第一の実施形態と同様な構造を有しており、磁歪素子112の軸方向一端部が、端部材114を介して、振動板102にボルト固定されると共に、磁歪素子112の軸方向他端部が、端部材116を介して、第二の蓋体100に固定されており、コイルスプリング118によって軸方向の圧縮荷重が加えられている。また、磁歪素子112には、コイル120が巻回されたボビン122が外挿されて端部材116に固着されており、このコイル120に交番電流を通電することにより、磁歪素子112の変形が振動板102に及ぼされて、振動板102が加振せしめられ、以て、加圧室108に圧力変化が生ぜしめられるようになっているのである。
【0046】
さらに、加圧室108の壁部を構成する第一の蓋体98の底壁部中央には、外方に向かって突出するポート部124が形成されており、このポート部124を通じて、加圧室108の圧力を外部に取り出すことが出来るようになっている。そして、このポート部124と、前記主液室76の壁部を構成するアームアイに形成されたポート部95が、流体管路としての圧力管体126によって接続されており、それによって、主液室76と加圧室108が相互に連通されている。なお、圧力管体126は、ゴム管体や樹脂管体,金属管体等が何れも採用可能であり、材質等は何等限定されるものでないが、サスペンションアーム70の製作性や装着作業性,取扱性等を考慮すると可撓性のものが望ましい。尤も、圧力管体126の変形によって圧力吸収されることなく、主液室76と可圧室108の間での圧力伝達効率が十分に確保されるように、発生圧力の大きさを考慮して、容易に膨出変形が許容されない特性のものが採用される。なお、本実施形態では、厚肉のゴム弾性体からなる管体が採用されており、両端部が、それぞれ、各ポート部95,124に外挿され、締付ベルト128によって流体密に接続固定されている。
【0047】
特に、本実施形態では、主液室76と加圧室108の圧力差に基づいて圧力管体126を通じて流動せしめられる流体が、防振すべき振動周波数に対応した周波数域で固有振動数を持つように、主液室76の壁ばね剛性等を考慮しつつ、圧力管体126の管路長さや管路断面積が設定されている。これにより、かかる流体の固有振動数域では、圧力管体126を通じての流体流動が積極的に生ぜしめられて、加圧室108と主液室76の間での圧力伝達が一層積極的乃至は効率的に為され得るようになっている。
【0048】
上述の如き構造とされた本実施形態のサスペンションアーム70にあっては、第一の実施形態のサスペンションアームと同様、主液室76の内圧を制御することによって、ゴムブッシュ74ひいてはサスペンションアーム70の防振特性を調節することが出来るのであり、それ故、圧力発生装置78のコイル120への通電電流を、ゴムブッシュ74に入力される防振すべき振動に応じて制御して振動板102を適当な周期およびストロークで加振することにより、加圧室108に圧力変動を生ぜしめ、それを圧力管体126を通じて主液室76に及ぼすことによって、入力振動に対して能動的な防振効果が発揮されるのである。
【0049】
特に、本実施形態のサスペンションアーム70にあっては、圧力管体126を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、主液室76の圧力制御がより効率的に実現され得ることから、防振すべき振動に対して、一層優れた防振効果が発揮されることとなる。
【0050】
また、本実施形態のサスペンションアーム70においても、主液室76の圧力調節による能動的な防振効果に基づいて、高周波振動に対する防振性能を確保しつつ、静的ばね定数乃至は低周波振動に対する動ばね定数を大きく設定することが可能であり、それによって、車両乗り心地と操縦安定性の高度な両立が実現され得る等といった、前記第一の実施形態のサスペンションアームと同様な効果が、何れも有効に発揮されるのである。
【0051】
しかも、特に本実施形態のサスペンションアーム70においては、主液室76の内圧制御のためのアクチュエータ110が、圧力発生装置78として、サスペンションアーム70から独立形成されていることから、アクチュエータ52の配設スペースの設定自由度が、第一の実施形態のサスペンションアームよりも一層大きく確保されるのであり、例えば、サスペンションアーム70とは別体の他の部材に対して、圧力発生装置78を装着することも出来るのである。特に、可撓性の圧力管体126を採用することによって、サスペンションアーム70とは動きの異なる部材への装着も実現可能となる。それにより、磁歪素子112の出力ストローク方向の寸法を十分に大きく設定して、大きな出力ストロークひいては大きな主液室76の内圧制御量を確保せしめて、防振性能の更なる向上を図ることも出来るのである。
【0052】
次に、図3には、本発明に従う防振ブッシュ付きアーム部材の第三の実施形態としてのサスペンションアーム130が、示されている。なお、かかるサスペンションアーム130は、第一の実施形態のサスペンションアームにおいて、第二のゴムブッシュとして異なる構造のものを採用した一具体例であり、従って、その要部だけを示し、且つ第一の実施形態のサスペンションアームと同様な構造とされた部材および部位については、図中に第一の実施形態のサスペンションアームと同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0053】
すなわち、本実施形態のサスペンションアーム130において第二のアームアイ36に装着された第二のゴムブッシュ132にあっては、互いに径方向に離隔配置された内外筒金具134,136が本体ゴム弾性体138によって弾性連結されることによって形成されており、基本的構造を第一の実施形態における第二のゴムブッシュと同様とする。そこにおいて、外筒金具136には、径方向に対向位置する部分に、第一の開口窓140と第二の開口窓142が形成されていると共に、本体ゴム弾性体138には、径方向に対向位置する部分に第一のポケット部144と第二のポケット部146が形成されており、第一のポケット部144が第一の開口窓140を通じて、第二のポケット部146が第二の開口、142を通じて、それぞれ外周面に開口せしめられている。
【0054】
そして、外筒金具136における第一及び第二の開口窓140,142が、第二のアームアイ36によって流体密に閉塞されることにより、それぞれ内部に非圧縮性流体が封入された主液室38と、副液室148が形成されている。即ち、副液室148は、主液室38に対して、内筒金具134を挟んで、防振すべき主たる振動の入力方向である径方向で対向位置せしめられており、それによって、第二のゴムブッシュ132への振動入力時に、主液室38と副液室148の間に、略正負が反対となる内圧変化が生ぜしめられて相対的な内圧変動が惹起されるようになっている。
【0055】
また、ゴムブッシュ132の外筒金具136には、軸方向中間部分において、第一の開口窓140と第二の開口窓142における一方の周方向端部間に跨がって延びる凹溝150が、外周面に開口して形成されている。そして、この凹溝150が、第二のアームアイ36で流体密に覆蓋されることにより、主液室38と副液室148を相互に連通するオリフィス通路152が形成されている。ここにおいて、かかるオリフィス通路152は、その内部を通じて流動せしめられる流体の固有振動数(共振周波数)が、防振すべき振動の周波数に対応するように、主液室38や副液室148の壁ばね剛性等を考慮してオリフィス通路152の通路長さや通路断面積が設定されている。
【0056】
このような構造とされた本実施形態のサスペンションアーム130においては、振動入力時に主液室38と副液室148の間に惹起される圧力差に基づいて、オリフィス通路152を通じての流体流動が生ぜしめられるのであり、以て、このオリフィス通路152を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて低動ばね効果が発揮されることにより、防振すべき振動に対する優れた防振性能が実現されるのである。
【0057】
なお、オリフィス通路152を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果は、振動板42の加振による主液室38の内圧制御を行わない状況下でも発揮され得るが、オリフィス通路152のチューニング周波数域で、振動板42の加振による主液室38の内圧制御を併せて行うことにより、オリフィス通路152を通じて流動せしめられる流体の共振作用によって、主液室38と副液室148の圧力制御に基づく能動的な防振効果が一層有利に発揮されることとなる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、これらの実施形態に関する具体的説明によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0059】
例えば、前記実施例では、何れも、アクチュエータとして、磁歪素子を用いたものの具体例を示したが、それに代えて電歪素子を用いたアクチュエータを採用することも可能である。なお、電歪素子としては、例えば特許公報第2510919号等に記載されているように、鉛(Pb),ジルコニウム(Zr),チタン(Ti)等を主成分としたピエゾ・セラミックスを用いて形成されたもの等、逆圧電効果を発揮し得る公知のものが何れも採用可能であるが、特に、ピエゾ・セラミックスを多数積層して、積層方向の伸縮変形である縦効果を利用するようにした、所謂積層型のものが、発生力が大きいこと等から好適に採用される。また、積層型の電歪素子は、一般に、積層方向における引張強度が小さいことから、前記実施形態における磁歪素子の如く、コイルスプリングの付勢力等を利用して、積層方向の加圧力(プレ・コンプレッション)を及ぼすことが望ましく、それによって、電歪素子の耐久性と信頼性の向上が図られ得る。
【0060】
また、前記実施形態では、一方の部材に取り付けられる側の防振ブッシュだけにおいて、主液室の内圧制御による能動的な防振特性の調節が可能とされていたが、アーム部材によって連結される両方の部材への取付部位に配設される防振ブッシュにおいて、何れも、主液室の内圧制御による能動的な防振特の調節が可能なものを採用することが可能である。更に、本発明は、自動車用或いは自動車用以外の各種装置において防振連結される部材間に介装される各種構造のアーム部材に適用され得るものであって、防振連結される部材に対する少なくとも一つの取付部位に防振ブッシュが装着されるものであれば良く、その他の取付部位の構造は、何等限定されるものでなく、ピロボールや摺動ブッシュ等による連結構造、或いは剛結構造等も採用可能である。
【0061】
さらに、振動板による主液室の内圧制御効率をより有効に確保するためには、例えば、振動板の有効ピストン面積を軸部材の有効ピストン面積よりも大きく設定することが有効である。なお、振動板の有効ピストン面積とは、アーム装着状態等の基準状態下で、振動板を加振方向に単位量だけ変位させた際に主液室乃至は加圧室から排出される流体量をいい、軸部材の有効ピストン面積とは、同じ条件下で、軸部材を同じ単位量だけ変位させた際に主液室から排出される流体量をいう。
【0062】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0063】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた防振ブッシュ付きアーム部材においては、振動板を加振して主液室を圧力制御することにより防振特性を調節するアクチュエータが、アーム部材に対して、或いはアーム部材とは別体の他部材に対して装着されることから、アクチュエータの配設スペースの設定自由度が有利に確保されるのであり、それ故、形状や大きさが制限されたアーム部材においても、能動的な防振制御が可能な防振ブッシュが有利に採用され得て、優れた防振性能が実現可能とされるのである。
【0064】
そして、特に、振動板を加振するアクチュエータとして歪素子を用いたものを採用したことにより、応答速度に優れ、制御が容易であり、且つ大きな駆動力を容易に得ることが出来るといった歪素子の利点を十分に確保しつつ、有利に確保されるアクチュエータの配設スペースを利用して歪素子の出力ストロークを有利に設定することが出来るのであり、それによって、主液室の内圧制御に基づく防振効果がより一層有利に発揮されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのサスペンションアームを示す縦断面説明図である。
【図2】 本発明の第二の実施形態としてのサスペンションアームの要部を示す縦断面説明図である。
【図3】本発明の第三の実施形態としてのサスペンションアームの要部を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10,70,130 サスペンションアーム
12 ロッド部
14 第一のゴムブッシュ
16,132 第二のゴムブッシュ
26,134 第二の内筒金具
28,136 第二の外筒金具
30,138 第二の本体ゴム弾性体
36 第二のアームアイ
38,76 主液室
42,102 振動板
44,104 連結ゴム弾性体
52,110 アクチュエータ
54,112 磁歪素子
68,120 コイル
74 ゴムブッシュ
78 圧力発生装置
82 アームアイ
84 内筒金具
86 外筒金具
88 本体ゴム弾性体
108 加圧室
126 圧力管体
148 副液室
152 オリフィス通路

Claims (4)

  1. 二つの部材を連結するアーム部材における筒状のロッド部の少なくとも一方の端部に設けた円筒形状のアームアイに対して、軸部材と該軸部材の径方向外方に離間して配された外筒部材が本体ゴム弾性体で連結されてなる防振ブッシュが圧入され、該防振ブッシュを介して、該アーム部材が連結すべき部材に取り付けられるようにされた防振ブッシュ付きアーム部材において、
    前記防振ブッシュに対して、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて内部に非圧縮性流体が封入された主液室を形成すると共に、該主液室の壁部の他の一部を、前記外筒部材に設けた開口窓を覆蓋する前記アームアイの前記ロッド部との連結部に設けられた筒形開口部において変位可能に支持された振動板で構成する一方、前記ロッド部に対して、その筒状内に収容されるようにして、電界又は磁界の変化によって変形する歪素子を用いたアクチュエータを装着し、該アクチュエータで前記振動板を加振することにより、前記主液室の内圧が制御せしめられるようにしたことを特徴とする防振ブッシュ付きアーム部材。
  2. 二つの部材を連結するアーム部材におけるロッド部の少なくとも一方の端部に設けた円筒形状のアームアイに対して、軸部材と該軸部材の径方向外方に離間して配された外筒部材が本体ゴム弾性体で連結されてなる防振ブッシュが圧入され、該防振ブッシュを介して、該アーム部材が連結すべき部材に取り付けられるようにされた防振ブッシュ付きアーム部材において、
    前記防振ブッシュに対して、前記本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて内部に非圧縮性流体が封入された主液室を形成する一方、壁部の一部が変位可能に支持された振動板で構成されて内部に非圧縮性流体が封入された加圧室を有すると共に、電界又は磁界の変化によって変形する歪素子を用いたアクチュエータを備え、該アクチュエータで該振動板を加振することにより該加圧室に圧力変化を生ぜしめる圧力発生装置を、前記アーム部材から独立して設け、更に該圧力発生装置の加圧室を前記防振ブッシュの主液室に連通する流体管路を設けて、該圧力発生装置における該アクチュエータでの該振動板の加振により、前記主液室の内圧が制御せしめられるように構成し、且つ前記外筒部材に設けた開口窓を覆蓋する前記アームアイ部位において設けられた、外方に開口するポート部に対して、前記流体管路が接続せしめられるようになっていると共に、該流体管路を通じて流動せしめられる前記非圧縮性流体の共振周波数が、防振すべき振動周波数に対応するように、該流体管路における流路長さと流路断面積を設定したことを特徴とする防振ブッシュ付きアーム部材。
  3. 前記流体管路が、可撓性とされている請求項2に記載の防振ブッシュ付きアーム部材。
  4. 前記防振ブッシュにおいて、前記主液室とは独立して、振動入力によって該主液室との間に相対的な圧力変化が生ぜしめられる、内部に非圧縮性流体が封入された副液室が形成されていると共に、それら主液室と副液室を相互に連通するオリフィス通路が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の防振ブッシュ付きアーム部材。
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