JP3803473B2 - フィルム形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム形成装置に係り、特に、インフレーション成形したフィルムを巻取りロールにゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正かつ容易に巻回することのできるフィルム形成方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱可塑性樹脂などからなる原料樹脂を押出機の加熱シリンダ中で溶融してスクリューによりダイから押し出しこれを吹膨して2軸方向に延伸させるというインフレーション成形によりチューブ状のフィルムを連続して形成するとともに、このチューブ状のフィルムを少なくとも一方が回転駆動される1対のロールからなる引取用ピンチロールにより2つ折り状態で引き取り、その後、前記引取用ピンチロールから送出される前記フィルムを所定のフィルム走行経路に沿って配設された少なくとも一方が回転駆動される1対のロールからなる少なくとも一つの中間ピンチロールを介して回転駆動可能な巻取りロールに巻き取るフィルム形成方法および装置が知られている。
【0003】
図7は、この種の従来からあるフィルム形成方法を用いたフィルム形成装置の一例を示すものであり、従来のフィルム形成装置1においては、押出機2の上面に取着されたホッパ3から押出機2の加熱シリンダ4の内部へ供給された原料樹脂Rは、この加熱シリンダ4の内部で溶融され、モータなどからなる駆動源5の駆動力をもって回転駆動されるスクリュー6により加熱シリンダ4の内部を搬送されて、加熱シリンダ4の先端部に配設されたヘッド部7およびジョイント部8を通ってダイ9の樹脂吐出口10よりチューブ状にして押し出される。
【0004】
そして、ダイ9から押し出された溶融された原料樹脂Rは、コンプレッサ11から樹脂吐出口10の内側に設けられたエア吐出口12を介して内部に供給されるエアなどによって吹膨されて2軸方向に延伸されるとともに、冷却ブロア13から分岐管14を介して環状に形成されたエアリング15に供給されるエアなどの冷却媒体により冷却されて薄膜のチューブ状のフィルムFとされる。その後、このチューブ状のフィルムFは、安定板16により規制されて、1対のロール17a,17aからなる引取用ピンチロール17により挟持するようにして引き取ることにより扁平化されて2つ折り状態とされる。この引取用ピンチロール17は、モータ18により少なくとも何れか一方のロール17aが回転駆動可能とされており、モータ18の回転速度を変化させることにより扁平化されたフィルムFの引取速度を変更することができるようになっている。
【0005】
前記引取用ピンチロール17により引き取られた扁平化されたフィルムFは、所定のフィルム走行経路に沿って配設された1対のロール19a,19aからなる少なくとも一つ、例えば図7に示すように、2つの中間ピンチロール19A,19Bと、回転自在なガイドロール20により案内されて巻取りロール21にロール状に巻き取られる。
【0006】
前記各中間ピンチロール19A,19Bは、モータ22A,22Bにより少なくとも何れか一方のロール19aが回転駆動可能とされており、各モータ22A,22Bの回転速度を変化させることによりフィルムFの引取速度を変更して走行するフィルムFのテンションを可変制御することができるようになっている。また、前記巻取りロール21は、巻取りモータ23により回転駆動可能とされており、巻取りモータ23の回転速度を変化させることによりフィルムFの引取速度を変更して走行するフィルムFのテンションを可変制御することができるようになっている。
【0007】
なお、従来からあるフィルム形成方法を用いたフィルム形成装置の他の例としては、引取用ピンチロール17により扁平化されて2つ折り状態とされたフィルムFを巻取りロール21の手前で、図示しない公知の切開手段により、例えば折り目から切開して2枚のシート状のフィルムFとし、各シート状のフィルムFを2本の巻取りロール21にそれぞれ巻き取る構成のものが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来のフィルム形成装置1においては、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路を走行するフィルムFの各パート間のテンションT1,T2,T3を設定するために、作業員が各中間ピンチロール19A,19Bおよび巻取りロール21の回転速度を操作していた。このため、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路を走行するフィルムFの各パート間のテンションT1,T2,T3を全て設定する、つまり、すべての中間ピンチロール19A,19Bおよび巻取りロール21の回転速度を調整するには、多大な労力と時間とを有するとともに、作業員の熟練を必要とするという問題点があった。
【0009】
また、各中間ピンチロール19A,19Bおよび巻取りロール21の回転速度を人手により経験に基づいて調整するので、テンションの調整にバラツキが生じ、巻取りロール21にフィルムFが、ゆるく巻かれたり、きつく巻かれたりして、常に適正に巻回することができないという問題点があった。
【0010】
そこで、インフレーション成形したフィルムFを巻取りロール21にゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正にかつ容易に巻回することのできるフィルム形成方法および装置が望まれていた。
【0011】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、インフレーション成形したフィルムを巻取りロールにゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正かつ容易に巻回することのできるフィルム形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため、本発明者らは、インフレーション成形したフィルムを巻取りロールにゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正にかつ容易に巻回することのできるフィルム形成装置を得るべく鋭意研究を行った結果、引取用ピンチロールから巻取りロールへ至るフィルム走行経路を走行する前記フィルムのテンションを、引取用ピンチロールとこの引取用ピンチロールのフィルム走行経路の下流側に隣位する中間ピンチロールとの間を走行するフィルムのテンションに基づいて少なくとも巻取りロールとこの巻取りロールのフィルム走行経路の上流側に隣位する中間ピンチロールとの間におけるフィルムのテンションを制御することにより、インフレーション成形したフィルムを巻取りロールに常に適正にかつ容易に巻回することができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0019】
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明のフィルム形成装置の特徴は、引取用ピンチロールから巻取りロールへ至るフィルム走行経路のうちの引取用ピンチロールとこの引取用ピンチロールのフィルム走行経路の下流側に隣位する中間ピンチロールとの間を走行するフィルムのテンションを検出するための先頭側テンション検出手段と、引取用ピンチロールから巻取りロールへ至るフィルム走行経路のうちの巻取りロールとこの巻取りロールのフィルム走行経路の上流側に隣位する中間ピンチロールとの間を走行するフィルムのテンションを検出するための末尾側テンション検出手段と、先頭側テンション検出手段により検出されたフィルムのテンションに応じて中間ピンチロールおよび巻取りロールの回転を制御することにより少なくとも末尾側テンション検出手段により検出されるフィルムのテンションを制御可能なロール制御手段とを有し、ロール制御手段は、少なくとも先頭側テンション検出手段および末尾側テンション検出手段により検出された各テンションを比較する比較部と、比較部で得られた比較結果が予め設定された設定値の範囲内になるように中間ピンチロールおよび巻取りロールの回転を制御するコントローラとを有する点にある。そして、このような構成を採用したことにより、インフレーション成形したフィルムを巻取りロールに常に適正にかつ容易に巻回することができる。
【0020】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載の本発明のフィルム形成装置の特徴は、請求項1において、フィルムを切開して2枚のシート状のフィルムとするため巻取りロールのフィルム走行経路の上流側に配設された切開手段と、これらシート状のフィルムを巻き取る2本の巻取りロールとを有する点にある。そして、このような構成を採用したことにより、フィルムを切開して2枚のシート状とし、各シート状のフィルムを2本の巻取りロールにそれぞれ巻き取ることができるので、インフレーション成形したチューブ状のフィルムをシート状のフィルムとして巻き取ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0022】
図1および図2は本発明に係るフィルム形成装置の第1実施形態を示すものであり、図1は要部の概略構成図であり、図2はロール制御手段の構成を示すブロック図である。なお、前述した従来のものと同一乃至相当する構成については図面中に同一の符号を付して説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態のフィルム成形装置25は、押出機2を有しており、この押出機2には、原料樹脂Rを溶融するための加熱シリンダ4が配設されている。この加熱シリンダ4の内部には、原料樹脂Rを搬送するためのスクリュー6が配設されており、スクリュー6は、図1において右方に配設されたモータなどからなる駆動源5の駆動力をもって回転駆動可能とされている。つまり、駆動源5の駆動力をもってスクリュー6を回転駆動することにより、原料樹脂Rは図1において右方から左方に向かって搬送されるとともに、原料樹脂Rは搬送の途中で加熱シリンダ4により所定温度に加熱されて溶融状態とされ、溶融されて液体状となった原料樹脂Rは、加熱シリンダ4の先端部から押し出されるようにされている。また、加熱シリンダ4の図1において右方に示す後端部近傍の上面には、原料樹脂Rを加熱シリンダ4の内部に供給するための原料樹脂供給手段としてのホッパ3が取着されている。
【0024】
前記押出機2の加熱シリンダ4の先端部には、溶融状態とされた原料樹脂Rを上方に向けて案内するためのヘッド部7が配設されており、ヘッド部7の上部には、ジョイント部8を介してダイ9が配設されている。このダイ9には、溶融状態にされた原料樹脂Rをチューブ状にして押し出すための平面略円環状に形成された樹脂吐出口10が設けられている。また、ダイ9には、エア吐出口12が樹脂吐出口10の内側に設けられている。このエア吐出口12は、公知の如く、コンプレッサ11から供給されたエアを樹脂吐出口10からチューブ状にして吐出された溶融状態の原料樹脂Rの内部に吐出して2軸方向に延伸し、薄膜のチューブ状のフィルムFとするためのものである。
【0025】
前記ダイ9の上方には、エアなどの冷却媒体をチューブ状のフィルムFの外周面に向かって吐出してチューブ状のフィルムFを冷却するための平面略環状に形成されたエアリング15が配設されており、エアなどの冷却媒体は、冷却ブロア13から分岐管14を介してエアリング15に供給されるようになっている。
【0026】
前記ダイ9のさらに上方には、安定板16が配設されており、その上方には、1対のロール17a,17aからなる引取用ピンチロール17が配設されている。この引取用ピンチロール17は、冷却されて薄膜のチューブ状とされたフィルムFを挟持するようにして扁平化して2つ折り状態で引き取るためのものであり、1対のロール17a,17aのうちの少なくとも一方のロール17aがモータ18により回転駆動可能とされており、図示しない制御手段によりモータ18の回転速度を変化させることにより、引取用ピンチロール17の回転速度を変化させてフィルムFの引取速度を制御することができるようになっている。
【0027】
そして、前記引取用ピンチロール17により引き取られた扁平化されたフィルムFは、フィルム走行経路に沿って配設された1対のロール19a,19aからなる少なくとも一つ、本実施形態においては二つの中間ピンチロール19A,19Bと、回転自在なガイドロール20により案内されて巻取りロール21にロール状に巻き取られるようになされている。
【0028】
前記各中間ピンチロール19A,19Bを構成する1対のロール19a,19aのうちの少なくとも一方のロール19aは、モータ22A,22Bによりそれぞれ回転駆動可能とされている。そして、各モータ22A,22Bは、後述するロール制御手段26と電気的に接続されており、ロール制御手段26から送出される制御指令に基づいて各モータ22A,22Bの回転速度をそれぞれ独立的に変化させることにより、引取用ピンチロール17と中間ピンチロール19Aとの間を走行するフィルムFの走行速度およびテンションT1、および、各中間ピンチロール19A,19Bの間を走行するフィルムFの走行速度およびテンションT2を制御することができるようになっている。
【0029】
前記巻取りロール21は、巻取りモータ23により回転駆動可能とされている。そして、巻取りモータ23は、後述するロール制御手段26と電気的に接続されており、ロール制御手段26から送出される制御指令に基づいて巻取りモータ23の回転速度を変化させることにより、中間ピンチロール19Bと巻取りロール21との間を走行するフィルムFの走行速度およびテンションT3を制御することができるようになっている。
【0030】
前記ロール制御手段26は、図2に示すように、少なくともCPU27と、適宜な容量のROM、RAMなどにより形成されたメモリ28と、前記各モータ22A,22Bおよび巻取りモータ23の回転速度をそれぞれ独立的に駆動するためのコントローラ29とを有しており、このロール制御手段26には、少なくとも各種の設定値を入力するためのタッチパネルやキーボードなどからなる入力機器30が接続されている。
【0031】
そして、入力機器30からは、少なくとも生産するフィルムFの原料のヤング率、幅、厚さ、伸びおよび温度補正値が設定値として入力されメモリ28の入力データ記憶部31に記憶される。この時、原料のヤング率は、その値が入力機器30から直接入力されるのではなく、原料を示す数値化された原料コードが入力される。そして、原料コードが入力されると、換算テーブルなどの形でメモリ28の図示しないにデータ記憶領域に予め記録された原料のヤング率が入力データ記憶部31に記憶されるようになっている。また、温度補正値もその値が入力機器30から直接入力されるのではなく、例えば室温として入力される。そして、室温が入力されると、原料コードに応じて換算テーブルなどの形でメモリ28の図示しないにデータ記憶領域に予め記録された温度補正値が入力データ記憶部31に記憶されるようになっている。さらに、原料のヤング率や温度補正値などは、予め実験やシュミレーションなどにより得ることができる。
【0032】
前記メモリ28には、前記入力機器30から入力され前記入力データ記憶部31に記憶されたフィルムFの原料のヤング率E(Kg/mm2 )、幅W(mm)、厚さt(mm)、伸びδ(%)、温度補正値kから走行するフィルムFの適正なテンションTをE×W×t×δ×k(但し、0.2≦δ≦0.5)により算出するプログラムが格納された演算手段32が設けられている。すなわち、走行するフィルムFの適正なテンションをフィルムFの伸びに基づいて算出することができるので、走行するフィルムFのテンションを自動的に制御することが可能となる。
【0033】
また、前記メモリ28には、前記演算手段32により算出されたテンションTを得るのに必要な前記各中間ピンチロール19A,19Bおよび前記巻取りロール21の回転速度(回転数)を算出するモータ制御プログラムが格納されており、このモータ制御プログラムにより算出された各中間ピンチロール19A,19Bおよび前記巻取りロール21の回転速度などは制御データとしてメモリ28の出力データ記憶部33に記憶される。そして、装置の稼働時には、出力データ記憶部33に記憶された制御データに基づいて前記コントローラ29が各モータ22A,22Bおよび巻取りモータ23を制御することにより、走行するフィルムFの各テンションT1,T2,T3を適正とするように各中間ピンチロール19A,19Bおよび前記巻取りロールの回転速度を制御するようになっている。
【0034】
つぎに、前述した構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0035】
本実施形態のフィルム形成装置25によってフィルムFを形成する際には、フィルムFの生産を開始する前に、まず、入力機器30から、生産するフィルムFの原料の原料コード、幅、厚さ、伸びおよび室温を設定値として入力する。すると、ロール制御手段26の入力データ記憶部31に原料のヤング率、幅、厚さ、伸びおよび温度補正値がデータとして記憶される。そして、これらのデータに基づいて演算手段32は、走行するフィルムFの適正なテンションTをE×W×t×δ×k(但し、0.2≦δ≦0.5)により算出する。そして、演算手段32がテンションTを算出すると、メモリ28に記憶されたモータ制御プログラムは、演算手段32により算出されたテンションTを得るのに必要な前記各中間ピンチロール19A,19Bおよび前記巻取りロール21の回転速度(回転数)を得るのに必要な各モータ22A,22Bおよび巻取りモータ23の回転速度(回転数)を算出し、出力データ記憶部33に制御データとして記憶する。
【0036】
すなわち、本実施形態においては、引取用ピンチロール17とこの引取用ピンチロール17のフィルム走行経路の下流側に隣位する中間ピンチロール19Aとの間を走行するフィルムFのテンションT1と、両中間ピンチロール19A,19Bの間を走行するフィルムFのテンションT2と、巻取りロール21とこの巻取りロール21のフィルム走行経路の上流側に隣位する中間ピンチロール19Bの間を走行するフィルムFのテンションT3との3者とも、前記演算手段32により算出された適正なテンションTの値が自動的に付与される。
【0037】
つぎに、本実施形態のフィルム形成装置25が稼動すると、押出機2の上面に取着されたホッパ3から押出機2の加熱シリンダ4の内部へ供給された原料樹脂Rは、この加熱シリンダ4の内部で溶融され、モータなどからなる駆動源5の駆動力をもって回転駆動されるスクリュー6により加熱シリンダ4の内部を搬送されて、加熱シリンダ4の先端部に配設されたヘッド部7およびジョイント部8を通ってダイ9の樹脂吐出口10よりチューブ状にして押し出される。そして、ダイ9から押し出された溶融された原料樹脂Rは、コンプレッサ11から樹脂吐出口10の内側に設けられたエア吐出口12を介して内部に供給されるエアなどによって吹膨されて2軸方向に延伸されるとともに、冷却ブロア13から分岐管14を介して環状に形成されたエアリング15に供給されるエアなどの冷却媒体により冷却されて薄膜のチューブ状のフィルムFとされる。その後、このチューブ状のフィルムFは、安定板16により規制されて、引取用ピンチロール17により挟持するようにして引き取ることにより扁平化されて2つ折り状態とされる。そして、引取用ピンチロール17により引き取られた扁平化されたフィルムFは、フィルム走行経路に沿って配設された二つの中間ピンチロール19A,19B、および、回転自在なガイドロール20により案内されて巻取りロール21によってロール状に巻き取られる。
【0038】
この時、各中間ピンチロール19A,19Bを駆動する各モータ22A,22Bおよび巻取りロール21を駆動する巻取りモータ23は、ロール制御手段26の出力データ記録部に記憶された制御データに基づいて前記コントローラ29から送出される制御指令により、走行するフィルムFのテンションT1,T2,T3を算出された適正なテンションTとするように各中間ピンチロール19A,19Bおよび前記巻取りロール21の回転速度をそれぞれ独立的にかつ自動的に制御する。
【0039】
したがって、本実施形態においては、人手によらず引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路を走行するフィルムFのテンションT1,T2,T3を適正に自動的に付与することができるので、インフレーション成形したフィルムFを巻取りロール21にゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正かつ容易に巻回することができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、装置を稼働する前に温度補正値を設定するための室温を入力する構成としたが、室温は一日の時間帯および装置の稼動時間とともに変化するので、室温の変化に応じて室温をロール制御手段26に入力して走行するフィルムFの適正なテンションTを逐次変更する構成としてもよい。
【0041】
また、走行するフィルムFの温度を図示しない温度センサによりリアルタイムで検出し、この検出したフィルムFの温度を室温の代わりにロール制御手段26に自動的に入力し、このフィルムFの温度に応じて走行するフィルムFの適正なテンションTを逐次変更可能なように制御する、すなわち、フィルムFの温度に応じて各中間ピンチロール19A,19Bおよび前記巻取りロール21の回転速度を連続的に制御する構成とすることがインフレーション成形したフィルムFを巻取りロール21により適正に巻き取るうえでより好ましい。
【0042】
図3は本発明に係るフィルム形成装置の第2実施形態の要部を示したもので、本実施形態のフィルム形成装置25Aは、扁平化して2つ折り状態のフィルムFを切開して2枚のシート状とし、各シート状のフィルムFを2本の巻取りロール21,21にそれぞれ巻き取るものであり、このため本実施形態のフィルム形成装置25Aには、巻取りロール21が2つ配設されているとともに、こられの巻取りロール21,21のフィルム走行経路の上流側には、扁平化して2つ折り状態としたフィルムFを折り目に沿って2枚に切り開くための公知の切開手段40が配設されている。
【0043】
また、本実施形態においては、中間ロール19Bを越えた位置で扁平化して2つ折り状態のフィルムFが2枚のシート状のフィルムFに分割されるので、ロール制御手段26Aには、引取用ピンチロール17とこの引取用ピンチロール17のフィルム走行経路の下流側に隣位する中間ピンチロール19Aとの間、および、両中間ピンチロール19A,19Bの間においては演算手段32により算出された適正なテンションTを付与し、各巻取りロール21,21とこれらの巻取りロール21,21のフィルム走行経路の上流側に隣位する中間ピンチロール19Bの間には演算手段32により算出された適正なテンションTの1/2を付与するプログラムが格納されている。
【0044】
その他の構成は前述した第1実施形態と同様とされている。
【0045】
このような構成により、本実施形態のフィルム形成装置25Aは、引取用ピンチロール17とこの引取用ピンチロール17のフィルム走行経路の下流側に隣位する中間ピンチロール19Aとの間を走行するフィルムFのテンションT1と、両中間ピンチロール19A,19Bの間を走行するフィルムFのテンションT2とには、演算手段32でE×W×t×δ×k(但し、0.2≦δ≦0.5)により算出された適正なテンションTの値が自動的に付与される。
【0046】
また、各巻取りロール21,21とこれらの巻取りロール21,21のフィルム走行経路の上流側に隣位する中間ピンチロール19Bの間をそれぞれ走行するフィルムFのテンションT3には、演算手段32でE×W×t×δ×k(但し、0.2≦δ≦0.5)により算出された適正なテンションTの値の1/2の値が自動的に付与される。
【0047】
したがって、本実施形態のフィルム形成装置25Aによれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、インフレーション成形したチューブ状のフィルムFをシート状のフィルムとして適正かつ容易に巻き取ることができる。
【0048】
図4および図5は本発明に係るフィルム形成装置の第3実施形態の要部を示したもので、本実施形態のフィルム形成装置25Bは、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路のうちの引取用ピンチロール17とこの引取用ピンチロール17のフィルム走行経路の下流側に隣位する中間ピンチロール19Aとの間を走行するフィルムのテンションT1を検出するためのテンションピックアップからなる先頭側テンション検出手段44が配設されている。また、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路のうちの巻取りロール21とこの巻取りロール21のフィルム走行経路の上流側に隣位する中間ピンチロール19Bとの間を走行するフィルムのテンションT3を検出するためのテンションピックアップからなる末尾側テンション検出手段45が配設されている。そして、先頭側テンション検出手段44および末尾側テンション検出手段45は、ロール制御手段26Bと電気的に接続されており、前記各テンションT1,T3の検出結果をロール制御手段26Bに送出することができるようになっている。
【0049】
前記ロール制御手段26Bは、図5に示すように、少なくともCPU27Bと、適宜な容量のROM、RAMなどにより形成されたメモリ28Bと、前記モータ22Bおよび巻取りモータ23の回転速度をそれぞれ独立的に駆動するためのコントローラ29Bとを有している。
【0050】
前記メモリ28には、先頭側テンション検出手段44および末尾側テンション検出手段45により検出されたフィルムFのテンションT1,T3を比較して、テンションT1とテンションT3とが同一となるように、前記中間ピンチロール19Bおよび巻取りロール21の回転速度(回転数)を制御するようにモータ22Bおよび巻取りモータ23を制御する制御データを得るプログラムが格納されたモータ動作制御部48が設けられており、装置の稼働時には、モータ動作制御部48の制御データによってコントローラ29Bがモータ22Bおよび巻取りモータ23を制御することにより、フィルムFの各テンションT1,T3が同一となるように中間ピンチロール19Bおよび巻取りロール21の回転速度を自動的に制御するようになっている。
【0051】
その他の構成は前述した第1実施形態と同様とされている。
【0052】
このような構成の本実施形態のフィルム形成装置25Bによれば、作業者が中間ピンチロール19Aの回転速度を操作することにより、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路のうちの引取用ピンチロール17とこの引取用ピンチロール17のフィルム走行経路の下流側に位置する中間ロール19Aとの間のテンションT1が適正なテンションTに設定される。そして、このテンションT1の値は、先頭側テンション検出手段44によって検出されロール制御手段26Bに送出される。また、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路のうちの巻取りロール21とこの巻取りロール21のフィルム走行経路の上流側に隣位する中間ピンチロール19Bとの間を走行するフィルムのテンションT3が末尾側テンション検出手段45によって自動的に検出され、このテンションT3の値がロール制御手段26Bに送出される。
【0053】
つぎに、ロール制御手段26Bのモータ動作制御部48において、先頭側テンション検出手段44によって検出されたテンションT1の値と、末尾側テンション検出手段45によって検出されたテンションT3の値とが比較され、テンションT1とテンションT3とが同一となるように、前記中間ピンチロール19Bおよび巻取りロール21の回転速度(回転数)を制御するようにモータ22Bおよび巻取りモータ23を制御する制御データが形成され、この制御データによってコントローラ29Bがモータ22Bおよび巻取りモータ23を制御することにより、フィルムFの各テンションT1,T3が同一となるように中間ピンチロール19Bおよび巻取りロール21の回転速度がそれぞれ自動的に制御される。
【0054】
したがって、本実施形態のフィルム形成装置25Bによれば、作業者はテンションT1のみを適正なテンションTに設定するという簡単な操作を行うことにより、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路を走行するフィルムFの残りの箇所のテンションT2,T3を全て自動的に設定する、つまり、中間ピンチロール19Aの回転速度を設定することにより、中間ピンチロール19Bおよび巻取りロール21の回転速度を自動的にかつ適正に調整することができるので、引取用ピンチロール17から巻取りロール21へ至るフィルム走行経路を走行するフィルムFの各テンションT1,T2,T3を未熟練の作業者がテンションの調整にバラツキがない状態で、短時間で調整することができ、その結果、インフレーション成形したフィルムFを巻取りロール21にゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正にかつ容易に巻回することができる。
【0055】
なお、図4に一点鎖線にて示すように、各中間ピンチロール19A,19Bの間を走行するフィルムFのテンションT2を検出するテンションピックアップからなる中間テンション検出手段46を設ける構成としてもよい。
【0056】
さらに、3つ以上の中間ピンチロールがある場合には、相互に隣位する中間ピンチロールの間にテンションピックアップからなるテンション検出手段を設ける構成としてもよい。
【0057】
また、設計コンセプトなどの必要に応じて、ロール制御手段26Bを設けずに、先頭側テンション検出手段44および末尾側テンション検出手段45により検出されるテンションT1,T3の値を、モニターなどの表示手段に表示させ、作業者が表示手段に表示されたテンションT1,T3が同一となるように中間ピンチロール19Bおよび巻取りロール21の回転速度を調整する構成としてもよい。そして、このような構成とすることにより、作業者による操作を必要とするものの、未熟練の作業者が、インフレーション成形したフィルムFを巻取りロール21にゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正にかつ容易に巻回することができる。またこのような構成は、既存の従来のフィルム形成装置1に容易に適用することができる。
【0058】
図6は本発明に係るフィルム形成装置の第4実施形態の要部を示したもので、本実施形態のフィルム形成装置25Cは、扁平化して2つ折り状態のフィルムFを切開して2枚のシート状とし、各シート状のフィルムFを2本の巻取りロール21,21にそれぞれ巻き取るものであり、このため本実施形態のフィルム形成装置25Cには、巻取りロール21が2つ配設されているとともに、こられの巻取りロール21,21のフィルム走行経路の上流側には、扁平化して2つ折り状態としたフィルムFを折り目に沿って2枚に切り開くための公知の切開手段40が配設されている。
【0059】
また、本実施形態においては、中間ロール19Bを越えた位置で扁平化して2つ折り状態のフィルムFが2枚のシート状のフィルムFに分割されるので、中間ピンチロール19Bと各巻取りロール21,21との間を走行するフィルムFのテンションT3,T3を検出するための末尾側テンション検出手段45が2つ配設されているとともに、ロール制御手段26Cには、先頭側テンション検出手段44によって検出されたテンションT1の適正なテンションTの値と、各末尾側テンション検出手段45,45によって検出されたテンションT3,T3の値とが比較され、適正なテンションT(T1=T)に対して各テンションT3,T3の値が1/2となるように、前記中間ピンチロール19Bおよび各巻取りロール21,21の回転速度(回転数)を制御するようにモータ22Bおよび各巻取りモータ23,23を制御する制御データが形成され、この制御データによって図示しないコントローラがモータ22Bおよび各巻取りモータ23,23を制御することにより、フィルムFのテンションT1に対して各テンションT3,T3が1/2となるように中間ピンチロール19Bおよび各巻取りロール21,21の回転速度がそれぞれ自動的に制御されるようになっている。
【0060】
その他の構成は前述した第3実施形態と同様とされている。
【0061】
このような構成により、本実施形態のフィルム形成装置25Cは、前記第3実施形態と同様の効果を奏するとともに、インフレーション成形したチューブ状のフィルムをシート状のフィルムFとして適正にかつ容易に巻き取ることができる。
【0062】
なお、3つ以上の中間ピンチロールがある場合には、相互に隣位する中間ピンチロールの間にテンションピックアップからなるテンション検出手段を設けるとよい。
【0063】
また、設計コンセプトなどの必要に応じて、ロール制御手段26Cを設けずに、先頭側テンション検出手段44および各末尾側テンション検出手段45,45により検出されるテンションT1,T3,T3の値を、モニターなどの表示手段に表示させ、作業者が表示手段に表示されたテンションT3,T3がテンションT1の1/2となるように,中間ピンチロール19Bおよび各巻取りロール21,21の回転速度を調整する構成としてもよい。
【0064】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のフィルム形成装置によれば、インフレーション成形したフィルムを巻取りロールにゆるすぎることなく、かつ、きつすぎることなく、常に適正にかつ容易に巻回することができるという極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るフィルム形成装置の第1実施形態の要部を示す概略構成図
【図2】 図1のロール制御手段の構成を示すブロック図
【図3】 本発明に係るフィルム形成装置の第2実施形態の要部を示す図1と同様の図
【図4】 本発明に係るフィルム形成装置の第3実施形態の要部を示す図1と同様の図
【図5】 図4のロール制御手段の構成を示す図2と同様の図
【図6】 本発明に係るフィルム形成装置の第4実施形態の要部を示す図1と同様の図
【図7】 従来のフィルム形成方法を用いた従来のフィルム形成装置の一例の要部を示す概略構成図
【符号の説明】
2 押出機
3 ホッパ
4 加熱シリンダ
6 スクリュー
9 ダイ
10 樹脂吐出口
12 エア吐出口
15 エアリング
16 安定板
17 引取用ピンチロール
17a (引取用ピンチロールを構成する)ロール
18 (引取用ピンチロールの)モータ
19A、19B 中間ピンチロール
19a (中間ピンチロールを構成する)ロール
20 ガイドロール
21 巻取りロール
22A、22B (中間ピンチロールの)モータ
23 巻取りモータ
25、25A、25B、25C フィルム製造装置
26、26A、26B、26C ロール制御手段
27、27B CPU
28 28B メモリ
29、29B コントローラ
30 入力機器
31 入力データ記憶部
32 演算手段
33 出力データ記憶部
40 切開手段
44 先頭側テンション検出手段
45 末尾側テンション検出手段
48 モータ動作制御部
R 原料樹脂
F フィルム
T、T1、T2、T3 (フィルムの)テンション
Claims (2)
- インフレーション成形したチューブ状のフィルムを扁平化して2つ折り状態で引き取る回転駆動可能な引取用ピンチロールと、この引取用ピンチロールから送出される前記フィルムを巻き取る回転駆動可能な巻取りロールと、前記引取用ピンチロールから前記巻取りロールへ至るフィルム走行経路に沿って配設された少なくとも一つの回転駆動可能な中間ピンチロールとを有するフィルム成形装置において、
前記引取用ピンチロールから前記巻取りロールへ至るフィルム走行経路のうちの前記引取用ピンチロールとこの引取用ピンチロールのフィルム走行経路の下流側に隣位する前記中間ピンチロールとの間を走行する前記フィルムのテンションを検出するための先頭側テンション検出手段と、
前記引取用ピンチロールから前記巻取りロールへ至るフィルム走行経路のうちの前記巻取りロールとこの巻取りロールのフィルム走行経路の上流側に隣位する前記中間ピンチロールとの間を走行する前記フィルムのテンションを検出するための末尾側テンション検出手段と、
前記先頭側テンション検出手段により検出された前記フィルムのテンションに応じて前記中間ピンチロールおよび前記巻取りロールの回転を制御することにより少なくとも前記末尾側テンション検出手段により検出される前記フィルムのテンションを制御可能なロール制御手段と、
を有し、
前記ロール制御手段は、少なくとも先頭側テンション検出手段および末尾側テンション検出手段により検出された各テンションを比較する比較部と、
前記比較部で得られた比較結果が予め設定された設定値の範囲内になるように前記中間ピンチロールおよび前記巻取りロールの回転を制御するコントローラと、
を有することを特徴とするフィルム成形装置。 - 前記フィルムを切開して2枚のシート状のフィルムとするため前記巻取りロールのフィルム走行経路の上流側に配設された切開手段と、これらシート状のフィルムを巻き取る2本の巻取りロールとを有することを特徴とする請求項1に記載のフィルム成形装置。
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