JP3803398B2 - 人体過剰対応抑制剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、人体過剰対応抑制剤、アレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬に関し、詳しくは、抗体産生細胞の増殖を抑制する作用を有する人体過剰対応抑制剤、アレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活を中心とするライフスタイルの変化に伴い、全身性エリテマトーデス、結節性動脈周囲炎、強皮症、皮膚筋炎、慢性関節リューマチ等の自己免疫疾患、あるいは、花粉症、枯草熱、アトピー性皮膚炎、遅延型接触皮膚炎等のアレルギー性疾患の罹患者が急増している。特に、花粉症については、3人に1人が罹患しているといわれる程、患者数は増大している。また、花粉症の原因となる植物についても、春の杉に留まらず、椚、楢、ブタクサ、セイタカアワダチソウと種類も増え、従って、季節も通年に亘るようになってきた。
【0003】
これらのアレルギー性疾患や自己免疫疾患は、抗体産生細胞が過剰に活発化する等による人体の外部刺激に対する過剰対応がその原因であるとされている。例えば、自己免疫疾患には、多彩な自己抗体、自己抗原感作リンパ球の存在が確認されており、自己抗体単独、補体依存性、食細胞抗体性、キラー細胞依存性の反応のもとに組織障害を起こしていることも実験的に確かめられている。また、アレルギー性疾患も外部抗原に対する生体側の過剰防衛反応であり、抗体産生細胞等の過剰対応が原因であるとされている。
【0004】
この様なアレルギー性疾患や自己免疫疾患の治療には、従来より抗ヒスタミン剤やステロイド剤等の投与が対症療法的に行われてきた。しかしながら、これらの薬剤を用いても十分な効果は得られず、副作用が強いため、又、長期連続投与できないため、その使用には大きな制限があった。そこで、アレルギー性疾患や自己免疫疾患に対する根本的治療の手段として、生体側の過剰対応を抑制する、例えば、抗体産生細胞の増殖を抑制する薬剤やそれを用いた治療方法の開発が強く望まれていた。
【0005】
また、花粉症など発症のタイミングが明かな疾患に対しては、生体の過剰対応を予防的に抑制することで発症を防ぐことも可能であり、このための有効な予防的治療手段の開発も望まれていた。
【0006】
一方、センキュウ、タンジン、ケイケットウ、モウトウセイ、エンゴサク、ウコン、キョウオウ、ヤクモソウ、ジュウイシ、タクラン、リョウショウカ、ゲッキカ、サクバイカ、シカラク、セキシャク、トウニン、コウカ、バンコウカ、ガジュツ、サンリョウ、ニュウコウ、モツヤク、ゴシツ、オウフルギョウ、ロロツウ、リュウキド、ラクトクダ、自然銅、ケッケツ、ソボク、キュウセイシ、ゴレイシ、ガリョウシ、センザンコウ、スイテツ、シャチュウ、サンヨウケツ、ゴオウ、ユウタン等の漢方薬は、血の流れの停滞で起こるとされている鬱血性疼痛、狭心症や心筋梗塞などの際に現れる真心痛等を、血流を改善して治療する活血薬として知られているが、これら活血作用を有する漢方薬が人体の過剰対応を抑制する作用を有することは全く知られておらず、また、これらをアレルギー性疾患や、自己免疫疾患の予防的治療や治療に用いた報告もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたものであり、アレルギー性疾患や自己免疫疾患の原因となる生体の過剰対応反応を十分に抑制する薬剤を提供すると共に、これを用いた、安全性が高く、十分な薬効を有するアレルギー性疾患治療薬、並びに自己免疫疾患治療薬を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、過剰対応反応を抑制する物質を求めて、種々の物質を対象として抗体産生細胞抑制作用を指標にスクリーニングを重ねた結果、漢方で活血作用を有する薬剤であるセンキュウ、タンジン、ケイケットウ、モウトウセイ、エンゴサク、ウコン、キョウオウ、ヤクモソウ、ジュウイシ、タクラン、リョウショウカ、ゲッキカ、サクバイカ、シカラク、セキシャク、トウニン、コウカ、バンコウカ、ガジュツ、サンリョウ、ニュウコウ、モツヤク、ゴシツ、オウフルギョウ、ロロツウ、リュウキド、ラクトクダ、自然銅、ケッケツ、ソボク、キュウセイシ、ゴレイシ、ガリョウシ、センザンコウ、スイテツ、シャチュウ、サンヨウケツ、ゴオウ、ユウタン等がその作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、活血作用を有する漢方薬を有効成分として含有する人体過剰対応抑制剤、及びこの人体過剰対応抑制剤からなるアレルギー性疾患治療薬、自己免疫疾患治療薬である。
【0010】
ここで、本明細書に用いるアレルギー性疾患治療薬、自己免疫疾患治療薬中の「治療」とは、症状を抑制もしくは低減させるための治療の他に、症状の発症を防ぐいわゆる予防的治療を含む概念として用いられる。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
<1>活血作用を有する漢方薬
本発明の人体過剰対応抑制剤は、有効成分として活血作用を有する漢方薬を含有する。
【0013】
ここで、活血作用とは漢方の概念であり、血液の流れを改善して、それが原因とされる様々な疾患を治療する作用のことをいうが、この様な活血作用を有する漢方薬として、例えば、センキュウ、タンジン、ケイケットウ、モウトウセイ、エンゴサク、ウコン、キョウオウ、ヤクモソウ、ジュウイシ、タクラン、リョウショウカ、ゲッキカ、サクバイカ、シカラク、セキシャク、トウニン、コウカ、バンコウカ、ガジュツ、サンリョウ、ニュウコウ、モツヤク、ゴシツ、オウフルギョウ、ロロツウ、リュウキド、ラクトクダ、自然銅、ケッケツ、ソボク、キュウセイシ、ゴレイシ、ガリョウシ、センザンコウ、スイテツ、シャチュウ、サンヨウケツ、ゴオウ、ユウタン等の漢方薬を挙げることができる。
【0014】
これらの漢方薬は何れも活血作用を有することで知られる漢方薬であるが、具体的にはそれぞれ、以下のものを示している。
センキュウはセリ科センキュウ(Ligusticum wallichii)の根茎の乾燥物、タンジンはシソ科タンジン(Salvia miltiorrhiza)の根の乾燥物、ケイケットウはマメ科コンメイケイケットウ(Millettia reticulata)又は白花油麻藤(Mucuna birdwoodiana Tutcher)の茎の乾燥物、モウトウセイはモチノキ科モウヒジュ(Irex pubescens Hook. et Arn)の根の乾燥物、エンゴサクはケシ科エンゴサク(Corydalis bulbosa DC.)の塊茎の乾燥物、ウコンはショウガ科キョウオウ(Curcuma longa L.)又はウコン(Curcuma aromatica Salisb.)の塊根の乾燥物、キョウオウはショウガ科キョウオウ(Curcuma longa L.)の塊根の乾燥物、ヤクモソウはシソ科ヤクモソウ(Leonurus heterophillus Sweet)の全草の乾燥物、ジュウイシはシソ科ヤクモソウ(Leonurus heterophillus Sweet)の果実の乾燥物、タクランはシソ科シロネ(Lycopus lucidus Turcz)の茎根の乾燥物、リョウショウカはノウゼンカズラ科リョウショウ(Camsis gradiflora(Thunb.)Loisel)の花の乾燥物である、ゲッキカはバラ科ゲッキ(Rosa chinensis Jacq.)の花ライ又は花びらの乾燥物、サクバイカはロウバイ科ロウバイ(Chimonanthus praecox(L.)Link.)のガク付きの花の乾燥物、シカラクはウリ科ヘチマ(Luffa cylindria(L.)Roem)の網状繊維束の乾燥物、セキシャクはボタン科シャクヤク(Paeonia latiflora Pall)の根の乾燥物、トウニンはバラ科モモ(Prunus persica(L.)Batsch.)の種子中の仁の乾燥物、コウカはキク科紅花(Carthumus tinctorius L.)の花冠の乾燥物、バンコウカはアヤメ科サフラン(Crocus sativus L.)の柱頭又は花柱上部の乾燥物、ガジュツはショウガ科ガジュツ(Curcuma zedoria Rosc.)の根茎の乾燥物、サンリョウはカヤツリグサ科ウキヤガラ(Scirpus yagara Ohwi.)の塊根の乾燥物、ニュウコウはカンラン科ニュウコウジュ(Boswellia carterii Birdwood)の膠質物質、モツヤクはカンラン科モツヤクジュ(CVommiphora myrrha Engl.(C. molmol Engl.))の油膠質物質、ゴシツはヒユ科ゴシツ(Achyranthes bidentata Blume)又はカワゴシツ(Cyathula capitata Miq.)の根の乾燥物、オウフルギョウはナデシコ科ドウカンソウ(Vaccaria pyramidata Medic.)の種子又はクワ科オオイタビ(Ficus pumila L.)の果殻の乾燥物、ロロツウはマンサク科フウ(Liquidambar Taiwaniana Hance)の果実の乾燥物、リュウキドはキク科キコウ(Artemisia anomala S Moore)又はゴマノハグサ科ヒキヨモギ(Sinphonostegia chnensis Benth.)の全草の乾燥物、ラクトクダはスイカズラ科のリクエイ(Sambucus javanica Rein.)の全草の乾燥物、自然銅は黄鉄鉱の硫化鉄鉱石、ケッケツはヤシ科キリンケツ(Daemonorops draco Bl.)の樹脂、ソボクはマメ科スオウ(Caesalpinia sappan L.)の茎木の乾燥物、キュウセイシはツリフネソウ科ホウセンカ(Impatiens balsamina L.)の種子の乾燥物、ゴレイシはオオコウモリ科オオコウモリ(Petaurista xanthotis Milne-Edwards)の糞の乾燥物、ガリョウシはビヨウブガイ科ハイガイ(Arca granosa L.)の貝殻の粉砕物、センザンコウはセンザンコウ科センザンコウ(Manis pentadactyla L.)の甲羅片の粉砕物、スイテツはヒルド科ウマビル(Whitmania pigra Whitman)の乾燥物、シャチュウはゴキブリ科シナゴキブリ(Eupolyphaga sinensis Walk.)の雄の乾燥物、サンヨウケツはウシ科ハイイロヒマラヤカモシカ(Naemorhedus goral Hardwicke)の血の乾燥物、ゴオウはウシ科黄牛(Bas taurus domesticus Gmelin)の胆石の乾燥物、ユウタンはクマ等の動物の胆嚢の乾燥物である。
【0015】
この様な活血作用を有する漢方薬は、何れも抗体産生細胞抑制作用を有しており、本発明においては、これらの1種又は2種以上を人体過剰対応抑制剤の有効成分として配合するが、その場合、活血作用を有する漢方薬をそのまま用いることも可能であり、また、これらを適宜水や有機溶媒など適当な抽出溶媒で抽出し、溶媒除去等したものを用いることも可能である。更に、抽出物等を液液抽出やカラムクロマトグラフィーによって分画することで、活血作用を有する漢方薬から抗体産生細胞抑制活性の高い画分のみを取り出して用いてもよい。また、活血作用を有する漢方薬が生薬由来のものである場合には、その生薬が由来する植物等を原料として得られる抽出物、濃縮物、分画物等を同様にして本発明の人体過剰対応抑制剤の有効成分として用いることもできる。
【0016】
上記抽出に用いる抽出溶媒としては、水やアルコール、アセトン等の極性溶媒が好ましい。更に、上記漢方薬類は何れも熱安定性がよいため、抽出に際して加熱操作を加えてもよい。また、この様にして得られる抽出物のうちでも、上記漢方薬類の水抽出物を凍結乾燥したものが本発明には好ましく用いられる。
【0017】
一方、これらの活血作用を有する漢方薬は古くから用いられているので、安全性に関しての懸念は極めて少ない。
【0018】
<2>本発明の人体過剰対応抑制剤、アレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬
本発明の人体過剰対応抑制剤は、上記活血作用を有するセンキュウ、タンジン、ケイケットウ、モウトウセイ、エンゴサク、ウコン、キョウオウ、ヤクモソウ、ジュウイシ、タクラン、リョウショウカ、ゲッキカ、サクバイカ、シカラク、セキシャク、トウニン、コウカ、バンコウカ、ガジュツ、サンリョウ、ニュウコウ、モツヤク、ゴシツ、オウフルギョウ、ロロツウ、リュウキド、ラクトクダ、自然銅、ケッケツ、ソボク、キュウセイシ、ゴレイシ、ガリョウシ、センザンコウ、スイテツ、シャチュウ、サンヨウケツ、ゴオウ、ユウタン等の漢方薬から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として含有する。この人体過剰対応抑制剤中における活血作用を有する漢方薬の作用は、生体の過剰対応の原因のひとつである抗体産生細胞の増殖を抑制することである。
【0019】
また、本発明の人体過剰対応抑制剤における活血作用を有する漢方薬の配合量は、薬剤全量に対して1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましい配合量は5〜30重量%である。
【0020】
本発明の人体過剰対応抑制剤の剤型は、特に限定されないが、一般に製剤上許容される無害の一種、あるいは数種のベヒクル、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、矯味矯臭剤、コーティング剤、着色剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、滑沢剤等と共に混和して、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、水薬等の経口投与剤、軟膏剤、クリーム、ローション剤等の経皮投与剤、無菌溶液剤、懸濁液剤等の注射剤とすることができる。これらは、上記活血作用を有する漢方薬の1種又は2種以上を配合する以外は、従来公知の技術を用いて製造することができる。
【0021】
例えば、上記活血作用を有する漢方薬から選ばれる1種又は2種以上とコーンスターチ、ゼラチン等の結合剤、微晶性セルロース等の賦形剤、馬鈴薯デンプン、アルギン酸ナトリウム等の膨化剤、乳糖、ショ糖等の甘味剤等を、配剤して散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口投与剤とすることができる。また、注射剤とする場合は、溶媒として注射用蒸留水、又はポリエチレングリコール等が使用され、あるいはこれに分散剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張剤、安定剤、防腐剤、抗酸化剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0022】
経皮投与剤とする場合には、ワセリン、流動パラフィン等の炭化水素類、ホホバ油、ミツロウ等のエステル類、オリーブ油、牛脂等のトリグリセライド類、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、POE硬化ヒマシ油、ステアリン酸モノグリセライド等のノニオン界面活性剤類、石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ステアリルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸等の保湿剤、パラベン類、グルコン酸クロルヘキシジン等の防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤等の安定剤等の任意成分と共に上記活血作用を有する漢方薬の1種又は2種以上を配剤すれば、軟膏、クリーム、ローション剤等を得ることができる。
【0023】
また、同様にして上記活血作用を有する漢方薬を、通常、化粧料、医薬部外品等に配合される任意成分と共に配合して、過剰対応抑制作用を有する化粧料、医薬部外品等として用いることも可能である。
【0024】
更に、これらの薬剤には、生体過剰対応反応に併発しがちな炎症、発赤を抑える消炎鎮痛剤等、他の薬効成分を各種目的に合わせて加えることも可能である。本発明の人体過剰対応抑制剤は、アレルギー性疾患、例えば、花粉症、枯草熱、アトピー性皮膚炎、遅延型接触皮膚炎等及び自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデス、結節性動脈周囲炎、強皮症、皮膚筋炎、慢性関節リューマチ等の治療及び予防的治療に有効であり、これをアレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬として用いることもできる。
【0025】
この様な本発明のアレルギー性疾患治療薬あるいは自己免疫疾患治療薬の好適な適用量は、疾患の種類、症状、患者の年令、性別、体重等により異なるが、成人1人1日当たり、活血作用を有する漢方薬の量として、皮膚外用剤では1〜5000mg、注射剤では1〜2500mg、経口投与剤では1〜5000mg投与するのが適当である。注射剤の投与方法としては、静脈内投与、動脈内投与、門脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与等が例示できる。また、経皮投与剤の適応部位については、顔、手、足の露出部分にとどまらず、頭皮等の全身の皮膚に適用可能である。
【0026】
【作用】
本発明の人体過剰対応抑制剤は、活血作用を有する漢方薬の1種又は2種以上を含有することで、抗体産生細胞の増殖を抑制して、生体の過剰対応反応を抑制する作用を有する。以下に、活血作用を有する漢方薬としてセンキュウ、タンジン、ケイケットウ、モウトウセイ、エンゴサク、ウコン、キョウオウ、ヤクモソウ、ジュウイシ、タクラン、リョウショウカ、ゲッキカ、サクバイカ、シカラク、セキシャク、トウニン、コウカ、バンコウカ、ガジュツ、サンリョウ、ニュウコウ、モツヤク、ゴシツ、オウフルギョウ、ロロツウ、リュウキド、ラクトクダ、ケッケツ、ソボク、キュウセイシ、ゴレイシ、ガリョウシ、センザンコウ、スイテツ、シャチュウ、サンヨウケツ、ゴオウ、ユウタンの抽出物等を用いて抗体産生細胞抑制作用を評価した実験について述べる。
【0027】
なお、評価に用いた抽出物は、上記各漢方薬に水を10倍量加え、3時間煮沸させて冷却し、濾過により不溶物を取り除いた後、凍結乾燥したものであった。但し、ゴオウとユウタンについては原料粉末をそのまま用いた。表1に、漢方薬名と共に、上記抽出に用いた仕込み量及び収量を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
<抗体産生細胞抑制作用の評価>
抗体産生細胞抑制作用の評価は、ジェルン(Jern)らが開発した溶血プラーク法(Science,140,405,1963)に従って、脾細胞の抗体産生細胞数を計数する方法を用いた。
【0030】
1群6匹づつ60週齢の老齢ddy系雄性マウスの1群には、コントロール群として、上記漢方薬抽出物等を含有しない生理食塩水を、また、それ以外の各群には、上記で得られた各漢方薬抽出物等を1g/mLの濃度で含有する生理食塩水溶液を、それぞれ0.5mLづつ腹腔内投与した。
【0031】
その後、全マウスに4×108個/mLの羊赤血球(SRBC)を0.25mLづつ投与し、感作させた。感作後1日目、2日目、3日目の計3回、全マウスに、感作前に投与したものと同じ試験液を、感作前の投与と同様にして1匹当たり0.5mLづつ腹腔内投与した。
【0032】
各試験液の腹腔内投与終了の翌日、各群のマウスの脾臓を摘出し、脾細胞中の抗体産生細胞をジェルンらの方法に準じて検出し、その細胞数を計測した。この計測結果を用いて、コントロール群の抗体産生細胞数から、漢方薬抽出物等投与群の抗体産生細胞数を引いた値をコントロール群の抗体産性細胞数で除した値に100をかけた値を求め、これを抗体産生細胞抑制率として評価に用いた。尚、抗体産生細胞抑制率の計算に用いた各群の抗体産性細胞数は、各群6匹のマウスの平均値であった。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
この結果より、本発明の人体過剰対応抑制剤の有効成分である活血作用を有する漢方薬が、抗体産生細胞の増殖を抑制していることがわかり、これにより、本発明の人体過剰対応抑制剤が生体の過剰対応反応を抑制する作用に優れるといえる。
【0035】
更に、上記実験では、マウス1匹当たりの、上記各種漢方薬抽出物等の投与量が極めて多かったにもかかわらず、異常を起こしたマウスは全くなく、これらの安全性が高いことがわかる。
【0036】
また、この様な人体過剰対応抑制剤からなるアレルギー性疾患治療薬や自己免疫疾患治療薬は、その有効成分である活血作用を有する漢方薬の抗体産性細胞増殖抑制作用により、生体の過剰対応反応を抑制し、上述のような生体の過剰対応反応が原因とされる様々なアレルギー性疾患や自己免疫疾患の治療に対して有効に働くものである。
【0037】
更に、アレルギー性疾患や自己免疫疾患のうちでも、特に花粉症など発症のタイミングが明かな疾患に対しては、上記薬剤の投与により、予め抗体産性細胞の増殖を抑制しておくことで、アレルギー原に対する生体の過剰対応を抑制することができ、結果としてその発症を防ぐという予防的治療の効果を持たせることも可能である。
【0038】
【実施例】
以下に、活血作用を有する漢方薬を含有する本発明の人体過剰対応抑制剤、アレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬の実施例を説明する。尚、実施例に用いた漢方薬抽出物は上記作用の実験に用いたものと同様の方法で得られたものである。また、以下に用いる配合量は全て重量部とする。
【0039】
【実施例1】
クリーム
表3に示すA成分、B成分をそれぞれ80℃に加熱し溶解させ、A成分にB成分を徐々に加え乳化し冷却してクリームを得た。
【0040】
【表3】
【0041】
【実施例2】
顆粒剤
表4に示す成分をグラッド造粒器に入れ水を加えて加湿しながら造粒し、その後40℃で24時間送風乾燥し、整粒して顆粒剤を得た。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】
本発明の人体過剰対応抑制剤は、抗体産生細胞の増殖を抑制する作用を有し、生体過剰対応反応を抑制する上、安全性も高い。また、これを用いたアレルギー性疾患治療薬、自己免疫疾患治療薬は、これらの疾患を治療する効果、あるいは、これらの疾患を予防的に治療する効果を有すると共に、長期連続使用が可能である。
Claims (5)
- モウトウセイ、ヤクモソウ、タクラン、リュウキド、ケッケツ、ゴレイシ、スイテツ、ゴオウ、ユウタンから選ばれる漢方薬の1種又は2種以上を有効成分として含有する人体過剰対応抑制剤。
- 請求項1に記載の人体過剰対応抑制剤からなるアレルギー性疾患治療薬。
- 請求項1に記載の人体過剰対応抑制剤からなる自己免疫疾患治療薬。
- アレルギー性疾患が、花粉症、枯草熱、アトピー性皮膚炎、遅延型接触皮膚炎の何れかであることを特徴とする請求項2記載のアレルギー性疾患治療薬。
- 自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、結節性動脈周囲炎、強皮症、皮膚筋炎、慢性関節リューマチの何れかであることを特徴とする請求項3記載の自己免疫疾患治療薬。
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