JP3802967B2 - 緩衝スペーサー - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車のラックアンドピニオン式ステアリング装置のラック軸のストローク量を規制するための緩衝スペーサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来のこの種の緩衝スペーサーを示している。自動車のラックアンドピニオン式ステアリング装置においては、ラック軸1の端部はボールジョイント2を介してタイロッド3に連結されている。ボールジョイント2は、タイロッド3の端部に一体に成形されたボール4と、このボール4に傾動可能に嵌装されるソケット5とからなる。ソケット5の端部にはねじ棒6が一体に成形され、このねじ棒6がラック軸1の端部に形成されたねじ穴7にねじ込まれて両者が連結されている。ソケット5のラック軸1側の端部外周面には、環状ロックプレート8の大径装着部8aが嵌装されている。環状ロックプレート8の小径装着部8bの外周面には、緩衝スペーサー9が装着されている。ラック軸1はラックチューブ10の中を通され、ラックチューブ10の端部とタイロッド3のボールジョイント2側の端部との間にはゴム様弾性体からなるブーツ11が被せられている。
【0003】
緩衝スペーサー9は、図4に示すように、円筒部12aとこの円筒部12aの環状ロックプレート8側の側面から半径方向外側に延びるフランジ部12bからなる金属環部12と、フランジ部12bのラックチューブ側の側面に、円筒部12aよりも突出して一体に成形されたゴム様弾性体からなる緩衝部材13と、円筒部12aの内周面に一体に成形されたゴム様弾性体からなる嵌合部14とからなる。嵌合部14は、環状ロックプレート8の小径装着部8bに嵌装されたときに折り返されて、常態では半径方向内側に突出するリップ部14aを有する。このリップ部14aは、万一緩衝スペーサー9が環状ロックプレート8から外れた場合に、緩衝スペーサー9をラック軸1に対してセンタリングして、ラック軸1がラックチューブ10に接近してラックチューブ10の端部壁面10aに当たった時に、緩衝スペーサー9が自動的に環状ロックプレート8に嵌装されるように働く。
【0004】
ステアリング操作により、ラック軸1が図3において左側にいっぱいに移動すると、緩衝スペーサー9の緩衝部材13がラックチューブ10の端部壁面10aに当たって、ステアリング操作時のショックを吸収する。次いで緩衝スペーサー9の緩衝部材13が圧縮されて、金属環部12の円筒部12aがラックチューブ10の端部壁面10aに当たることにより、それ以上の移動が阻止され、ラック軸1のストローク量が規制される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の緩衝スペーサーでは、図4に示すように、金属環部12が円筒部12aとフランジ部12bとで構成されているため、全体的に重量がかさむとともにコストアップになり、また半径方向外側の寸法が大きくなるため、ステアリング装置の構造によっては、角度が付いた時に緩衝スペーサー9がその外側のブーツ11に接触して、ブーツ11を破損させる恐れがある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、軽量で低コスト、しかもステアリング装置に取り付けて使用した際にブーツに干渉することのない緩衝スペーサーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、緩衝スペーサーの金属環部を円板状に形成するとともに、この金属環部の少なくとも一方の側面に円周方向に複数の凹陥部を設け、その部分に金属環部の側面よりも突出して緩衝部材を設けたものである。これにより、金属環部の径を小さくできるので、軽量で低コスト、しかもステアリング装置に取り付けて使用した際にブーツに干渉することのない緩衝スペーサーを実現することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。ステアリング装置全体の構成については図3に示したものと同様なので、ここでは緩衝スペーサーのみについて説明する。図1は緩衝スペーサー21を示し、(a)は緩衝スペーサー21の左半分を示す部分正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。緩衝スペーサー21は、ラック軸側部材とラックチューブ側部材との間に設けられ、ラック軸のストローク量を規制するとともに荷重を受ける円板状の金属環部22と、この金属環部22のラックチューブ側の側面に円周方向に4カ所設けられた凹陥部23に一体に成形されたゴム様弾性体からなる緩衝部材24とからなる。緩衝部材24は、凹陥部23に収まる大きさで金属環部22の側面よりもラックチューブ側に突出する緩衝部24aと、金属環部22の内周面に環状ロックプレート側の一部を残して形成された嵌合部24bと、嵌合部24bから半径方向内側に延びるリップ部24cからなる。
【0009】
この緩衝スペーサー21も、従来例と同様に、図3の環状ロックプレート8の小径装着部8bに嵌装され、そのときにリップ部24cが折り返されて嵌装される。リップ部24aは、万一緩衝スペーサー21が環状ロックプレート8から外れた場合に、緩衝スペーサー21をラック軸1に対してセンタリングして、ラック軸1がラックチューブ10に接近した時に、緩衝スペーサー21が自動的に環状ロックプレート8に嵌装されるように働く。また、ラック軸側部材の端部とラックチューブ側部材の端部が最も接近して緩衝部材24の緩衝部24aが潰された時に、金属環部22の側面がそれぞれラック軸側部材とラックチューブ側部材の両方に接触することにより、ラック軸のストローク量を確実に設定するとともに、ラック軸にかかる荷重を確実に受け止めることができる。
【0010】
本実施の形態における緩衝スペーサー21は、上記のように構成されているため、金属環部22の径を小さくできるので、軽量で低コスト、しかもステアリング装置に取り付けて使用した際にブーツに干渉することのない緩衝スペーサーを実現することができる。
【0011】
なお、本実施の形態においては、緩衝スペーサー21を環状ロックプレート8を介してソケット5に取り付けるのではなく、緩衝スペーサー21を直接ソケット5に固定するようにしてもよい。
【0012】
図2は本実施の形態における別の緩衝スペーサー31の例を示す図1と同様な図であり、金属環部32の両側面に円周方向に互い違いに凹陥部33を設け、それぞれの凹陥部33に緩衝部材34を設けたものである。各緩衝部材34は、上記実施の形態と同様に、緩衝部34aと嵌合部34bとリップ部34cとを有する。本実施の形態における緩衝スペーサー31も同様に、図3の環状ロックプレート8に嵌装されるものであり、環状ロックプレート8側にも突出した緩衝部34aを有するので、環状ロックプレート8の小径装着部8bの軸方向の寸法を長くする必要があるが、金属環部33の両側面に凹陥部33を設けたので、金属環部32の重量を一層軽減できる利点がある。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、緩衝スペーサーの金属環部を円板状に形成するとともに、その金属環部の少なくとも一方の側面に円周方向に複数の凹陥部を設け、その部分に金属環部の側面よりも突出して緩衝部材を設けたので、金属環部の径を小さくすることができ、軽量で低コスト、しかもステアリング装置に取り付けて使用した際にブーツに干渉することのない緩衝スペーサーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における緩衝スペーサーを示し、(a)は緩衝スペーサーの左半分を示す部分正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図2】本発明の別の実施の形態における緩衝スペーサーを示し、(a)は緩衝スペーサーの左半分を示す部分正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図3】従来のラックアンドピニオン式ステアリング装置を示す断面図である。
【図4】従来のラックアンドピニオン式ステアリング装置における緩衝スペーサー部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
21、31 緩衝スペーサー
22、32 金属環部
23、33 凹陥部
24、34 緩衝部材
Claims (2)
- ラックアンドピニオン式のステアリング装置において、ラック軸側部材とラックチューブ側部材との間に設けられ、ラック軸のストローク量を規制するとともに荷重を受ける円板状の金属環部と、前記金属環部の少なくとも一方の側面に円周方向に複数の凹陥部を設け、この凹陥部に前記金属環部よりも軸方向に突出するゴム様弾性体からなる緩衝部材を設けた緩衝スペーサー。
- ラック軸側部材の端部とラックチューブ側部材の端部が最も接近して緩衝部材が潰された時に、金属環部の側面がそれぞれラック軸側部材とラックチューブ側部材の両方に接触することを特徴とする請求項1記載の緩衝スペーサー。
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JP10470597A JP3802967B2 (ja) | 1997-04-22 | 1997-04-22 | 緩衝スペーサー |
Applications Claiming Priority (1)
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JP10470597A JP3802967B2 (ja) | 1997-04-22 | 1997-04-22 | 緩衝スペーサー |
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- 1997-04-22 JP JP10470597A patent/JP3802967B2/ja not_active Expired - Lifetime
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