JP3802837B2 - 傾き検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾斜センサとして使用される傾き検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、傾斜角に応じて回転する錘とこの錘の回転によって動作される回転操作型電機部品とを用いた傾き検出装置が知られている。かかる従来既知の傾き検出装置は、回転操作型電機部品の一例である可変抵抗器を基台に固定すると共に、この可変抵抗器の回転軸を基台に回転自在に支持し、この回転軸に錘を取り付けて概略構成されている。
【0003】
このように構成された傾き検出装置においては、傾斜角に応じて錘と回転軸が一体的に回転すると、回転軸に連動して可変抵抗器に内蔵された摺動子が抵抗体上を摺動し、これら摺動子と抵抗体の摺接位置に応じた抵抗値変化が出力されるため、その出力値に基づいて傾斜角を検出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の傾き検出装置では、回転軸を支持する軸受け部分の摩擦や、摺動子と抵抗基板間の摺動摩擦等、錘の回転を妨げる種々の摩擦力が作用するため、できるだけ重い錘を使用して傾斜角に対する感度を良好にしている。この場合において、回転軸の軸線が常に水平面と一致していれば、回転軸の軸線と直交する垂直面内で錘をスムーズに回転させることができるものの、回転軸の軸線が水平面に対して傾くと、錘の重力の分力が回転軸の軸線方向に作用するため、重い錘を使用するほどスムーズに回転しなくなる。したがって、このような傾き検出装置が適用される機器に自由な動きがある場合、例えばゲーム機用コントローラや自動車の傾斜センサとして使用した場合、機器の傾斜方向によって錘がスムーズに回転しなくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、傾斜方向に拘わらず錘をスムーズに回転させることができ、小型化にも好適な傾き検出装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の傾き検出装置は、回転軸の回転角度に応じた信号を出力する回転操作型電気部品と、前記回転軸に固着されて一体的に回転する大径歯車と、支軸を中心に回転自在に支持された小径歯車と、この小径歯車と一体的に供回りする錘とを備え、前記大径歯車と前記小径歯車のそれぞれの歯部を噛合させると共に、前記回転軸と前記支軸のそれぞれの軸線を互いに平行に設定し、かつ、前記錘の回転領域を前記回転操作型電気部品にオーバーラップさせる構成とした。
【0007】
このように構成された傾き検出装置では、大径歯車と小径歯車のギヤ比によって錘のトルクが大きくなるため、傾斜方向に拘わらず錘をスムーズに回転させることができると共に、軽い錘を用いて小型化を実現することができ、しかも、回転軸と支軸のそれぞれの軸線を互いに平行に設定すると共に、錘の回転領域を回転操作型電気部品にオーバーラップさせてあるため、高さ方向の寸法についても小型化することができる。
【0009】
また、上記の構成において、大径歯車と小径歯車として内ば歯車やはすば歯車あるいはねじ歯車等、種々の歯車を用いることが可能であるが、大径歯車が外周面の一部に歯部を有する平板状歯車からなると共に、小径歯車が全周面に歯部を有する平歯車からなる組み合わせの場合、薄型化と小型化の両方を実現できて好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る傾き検出装置のカバーを省略して示す正面図、図2は該傾き検出装置の断面図、該傾き検出装置の動作説明図である。
【0011】
本実施形態例に係る傾き検出装置は例えばゲーム機用コントローラに内蔵され、ユーザによって手動操作される該コントローラの傾斜角を検出する傾斜センサとして機能するものである。
【0012】
図1〜図3に示すように、この傾き検出装置は、回転操作型電気部品の一例である回転操作型の可変抵抗器1と、この可変抵抗器1を支持するベース部材2と、可変抵抗器1の回転軸3に固着された大径歯車4と、この大径歯車4に噛合し支軸5を中心として回転自在な小径歯車6と、この小径歯車6と一体的に供回りする錘7と、ベース部材2に一体化されたカバー8とで構成されており、可変抵抗器1と大径歯車4と小径歯車6および錘7はベース部材2とカバー8の内部に収納されている。
【0013】
可変抵抗器1は、複数本の端子9をインサート成形した抵抗基板10と、この抵抗基板10を支持する合成樹脂製のケース11と、これら抵抗基板10とケース11に対して回転可能に支持された前記回転軸3と、この回転軸3に取り付けられた摺動子12とで構成されており、抵抗基板10上には摺動子12と摺接する馬蹄形状の抵抗体(図示せず)が形成されている。ケース11の左右両側には腕部11a,11bが突設されており、一方の腕部11aには円形孔11cが、他方の腕部11bには水平方向に延びる長孔11dが形成されている。また、ケース11の下端には一対の自立脚11eが垂設されており、各端子9はこれら自立脚11eの間で下方へ突出している。各端子9はコントローラ内の図示せぬ回路基板の半田ランドに半田付けされ、両自立脚11eは回路基板の孔に挿入されて可変抵抗器1の姿勢を保持する。
【0014】
ベース部材2には一対の位置決めピン2aが突設されており、これら位置決めピン2aを円形孔11cと長孔11dに対してかしめることにより、可変抵抗器1はベース部材2の内面に起立状態で固定されている。その際、使用される可変抵抗器1毎に若干の寸法誤差があったとしても、かかる寸法誤差は一方の位置決めピン2aと長孔11dの水平方向への相対移動によって吸収され、可変抵抗器1は円形孔11cを位置決め基準としてベース部材2に固定される。また、ベース部材2のほぼ中央に前記支軸5が突設されており、この支軸5の先端はカバー8の孔8aに挿入され、支軸5の軸線と回転軸3の回転中心軸(図2中の一点鎖線P)は平行に設定されている。これらベース部材2とカバー8はねじ止めやかしめ等の固定手段を用いて一体化されており、支軸5はベース部材2とカバー8によって両端支持構造となっている。なお、支軸5の左右斜め上方には錘7の回動範囲を規制する一対のストッパ13,14が配設されており、これらストッパ13,14の両端もベース部材2とカバー8に支持されている。
【0015】
大径歯車4は可変抵抗器1の外形に比べて十分に小さな平板状歯車からなり、その外周面の一部に複数の歯部4aが形成されている。大径歯車4の一側面には断面D形状の突起4bが一体形成されており、この突起4bを回転軸3に形成された断面D形状の孔3aに挿入することにより、大径歯車4は可変抵抗器1の回転軸3と一体的に回転するようになっている。なお、大径歯車4と回転軸3の連結手段はこれに限らず、例えば本実施形態例とは逆に大径歯車4の孔に回転軸3を挿入することも可能であり、要は大径歯車4と回転軸3が一体的に回転するように連結されていればよい。各歯部4aは大径歯車4の回動支点(すなわち、回転軸3の回転中心軸P)を中心とする同一円上に形成されているが、大径歯車4の形状を可変抵抗器1に比べて十分に小さな非円形としているため、各歯部4aは大径歯車4の外周面の一部に形成されている。一方、小径歯車6は全周面に複数の歯部6aを有する平歯車からなり、これら歯部6aは大径歯車4の歯部4aに噛合している。
【0016】
錘7は黄銅等の比較的質量の大きな材料からなり、扇形状の肉厚部7aと、肉厚部7aの中央から上方へ延びる棒状部7bとを有している。棒状部7bの上端一側面には断面D形状の突部7cが一体形成され、この突部7cの中心に円形の孔7dが形成されている。突部7cには小径歯車6に形成された断面D形状の孔6bが挿入されており、錘7の孔7dを支軸5に挿入することにより、錘7と小径歯車6は一体的に供回りするように支軸5に支持されている。この場合、錘7は可変抵抗器1のケース11と対向する面内を回転し、錘7の回転領域と可変抵抗器1とは正面視オーバーラップしている。なお、錘7と小径歯車6の連結手段もこれに限らず、例えば錘7と小径歯車6を予め一体形成したり、本実施形態例とは逆に錘7の孔に小径歯車6の突部を挿入することも可能であり、要は錘7と小径歯車6が支軸5を中心として一体的に回転するように連結されていればよい。
【0017】
次に、本実施形態例に係る傾き検出装置の動作について説明すると、図1は当該傾き検出装置を内蔵するコントローラが水平姿勢にある状態を示しており、この場合、小径歯車6の歯部6aは大径歯車4のほぼ中央の歯部4aに噛合している。この状態からコントローラを紙面と直交する軸回りに時計方向へ傾けると、傾き検出装置全体が同方向へ傾斜して錘7が相対的に反時計方向へ回転し、図3に示すように、最大角度まで回転した時点で錘7は一方のストッパ13に当接して停止する。なお、図3において、傾き検出装置の構成部材である可変抵抗器1やベース部材2が鉛直方向を向き、これら部材に対して錘7が斜めに描かれているが、両者の動きは相対的なものであり、実際は錘7が図1と同様に鉛直方向を向き、この錘7に対して可変抵抗器1やベース部材2等の部材が傾いた姿勢となる。
【0018】
このようにして錘7が反時計方向へ回転すると、錘7と小径歯車6が支軸5を中心に反時計方向へ一体的に回転し、歯部6a,4aの噛合によって大径歯車4が時計方向へ回転する。これにより大径歯車4の突起4bに連結された回転軸3が同方向へ一体的に回転し、この回転軸3の回転に伴って摺動子12が抵抗基板10の図示せぬ抵抗体上を摺動するため、端子9から出力される抵抗値に基づいて回転軸3の回転量、すなわち傾き検出装置やコントローラの傾斜角を検出することができる。その際、大径歯車4の回転中心から歯部4aまでの長さに対して小径歯車6の回転中心から歯部6aまでの長さが十分に小さく設定されており、これら大径歯車4と小径歯車6のギヤ比によって錘7のトルクが大きくなっているため、錘7の総重量を軽くしてもスムーズに回転させることができる。したがって、コントローラの傾倒操作時に回転軸3や支軸5の軸線が水平面に対して傾き、例えば傾き検出装置が図2の矢印θ方向へ倒れた状態で時計方向へ傾斜したとしても、錘7を大きなトルクでスムーズに回転させることができる。
【0019】
なお、図1の状態からコントローラを上記と逆の反時計方向へ傾けた場合は、傾き検出装置全体が同方向へ傾斜して錘7が相対的に時計方向へ回転し、この錘7の回転が小径歯車6から大径歯車4を介して回転軸3に伝達されることにより、可変抵抗器1の端子9から出力される抵抗値に基づいて傾き検出装置やコントローラの傾斜角を検出することができる。この場合、錘7が最大角度まで回転した時点で他方のストッパ14に当接して停止することを除き、それ以外の動作は上記と同様であり、ここでは重複説明を省略する。
【0020】
このように本実施形態例に係る傾き検出装置では、可変抵抗器1の回転軸3と一体的に回転する大径歯車4の歯部4aに対し、支軸5を中心に錘7と一体的に回転する小径歯車6の歯部6aを噛合させたので、これら大径歯車4と小径歯車6のギヤ比によって錘7のトルクを大きくすることができる。したがって、回転軸3や支軸5の軸線が水平面に対して傾いている場合でも、錘7をスムーズに回転させることができると共に、軽量の錘7を用いて傾き検出装置の小型化を実現することができる。また、回転軸3と支軸5の軸線を互いに平行に設定すると共に、錘7の回転領域を可変抵抗器1にオーバーラップさせたので、傾き検出装置の高さ方向の寸法が大きくならず、この点からも小型化に好適となる。さらに、大径歯車4として外周面の一部に歯部4aを有する平板状歯車を用い、この大径歯車4を可変抵抗器1の外形から突出しないように重ねて配置すると共に、小径歯車6として全周面に歯部6aを有する平歯車を用いたので、傾き検出装置の薄型化と小型化の両方を実現することができる。
【0021】
なお、上記実施形態例では、回転操作型電気部品として可変抵抗器を例示して説明したが、回転軸の回転角度に応じた信号を出力するものであれば可変抵抗器以外のものでもよく、例えばロータリエンコーダやロータリスイッチ等の回転操作型電気部品を使用することも可能である。
【0022】
また、上記実施形態例では、傾き検出装置が適用される機器としてゲーム機用コントローラを例示したが、それ以外の機器に適用可能であることはいうまでもない。さらに、コントローラ等の機器に内蔵される傾き検出装置は1つに限らず、例えば2組の傾き検出装置を互いに直交させて配置すれば、直交する2方向の傾斜角を検出することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0024】
回転操作型電気部品の回転軸と一体的に回転する大径歯車の歯部に対し、支軸を中心に錘と一体的に回転する小径歯車の歯部を噛合させたので、これら大径歯車と小径歯車のギヤ比によって錘のトルクが大きくなり、しかも、回転軸と支軸のそれぞれの軸線を互いに平行に設定すると共に、錘の回転領域を回転操作型電気部品にオーバーラップさせてあるため、高さ方向の寸法が大きくならず、それ故、傾斜方向に拘わらず錘をスムーズに回転させることができると共に、軽い錘を用いて傾き検出装置の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る傾き検出装置のカバーを省略して示す正面図である。
【図2】該傾き検出装置の断面図である。
【図3】該傾き検出装置の動作説明図である。
【符号の説明】
1 可変抵抗器(回転操作型電気部品)
2 ベース部材
3 回転軸
3a 孔
4 大径歯車
4a 歯部
4b 突起
5 支軸
6 小径歯車
6a 歯部
7 錘
7a 肉厚部
7b 棒状部
8 カバー
10 抵抗基板
11 ケース
12 摺動子
13,14 ストッパ

Claims (2)

  1. 回転軸の回転角度に応じた信号を出力する回転操作型電気部品と、前記回転軸に固着されて一体的に回転する大径歯車と、支軸を中心に回転自在に支持された小径歯車と、この小径歯車と一体的に供回りする錘とを備え、前記大径歯車と前記小径歯車のそれぞれの歯部を噛合させると共に、前記回転軸と前記支軸のそれぞれの軸線を互いに平行に設定し、かつ、前記錘の回転領域を前記回転操作型電気部品にオーバーラップさせたことを特徴とする傾き検出装置。
  2. 請求項1の記載において、前記大径歯車が外周面の一部に歯部を有する平板状歯車からなると共に、前記小径歯車が全周面に歯部を有する平歯車からなることを特徴とする傾き検出装置。
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