JP3802824B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パッドと、基板本体の基準位置を表す導体パターンと、を基板本体の表面に備える配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、配線基板としては、銅メッキにて構成された配線パターンを有する合成樹脂製又はセラミック製の基板本体表面に、複数の入出力端子を主表面に備えるICチップ(半導体集積回路チップ)を搭載するためのパッドを備えたICチップ搭載用の配線基板が知られている。また、この種の配線基板としては、ICチップをフリップチップ実装方式にて接合するためのハンダバンプを、パッド表面に備えたものが知られている。
【0003】
フリップチップ実装方式は、配線基板表面に配列されたパッドに、ICチップをフェイスダウンでハンダ付けにより接続するものであり、マイクロコンピュータなどの高密度ICチップを搭載するための配線基板に応用されている。
このフリップチップ実装用のハンダバンプを備える配線基板は、ボールグリッドアレイ(BGA)、ピングリッドアレイ(PGA)などといったタイプのパッケージ製造に用いられ、そのハンダバンプが形成されたパッドを有する基板本体の第一面には、ICチップを機械操作で基板本体に実装する際に必要な基板本体の基準位置を表す導体パターン(以下、「アライメントマーク」と表現する。)が形成されている。また、第一面とは異なる基板本体の第二面には、例えば、球状のハンダ(所謂ハンダボール)を取り付けてBGAパッケージを作製するためのハンダ層が、その第二面のパッド表面に形成されている。
【0004】
ところで、このような配線基板を製造する際には、フリップチップ実装用の上記ハンダバンプ又はハンダボール取付用の上記ハンダ層をパッド表面に形成する前に、無電解ニッケルメッキによって、パッド表面にニッケルメッキ層を形成するのが一般的である。このニッケルメッキ層は、ハンダが濡れないパッドにハンダ付けを行えるようにする目的で形成するものであり、パッドと、上記ハンダバンプ又は上記ハンダ層を接続するためのものである。また、このニッケルメッキ層には、ニッケルメッキ層の酸化を防ぎ、安定したはんだ付け性を得るために、金メッキを施すことが多い。
【0005】
この他、パッドにニッケルメッキ層を形成する場合には、アライメントマーク表面にも同時にニッケルメッキ層を形成して、そのアライメントマークを構成する銅メッキ表面が酸化するのを防止するのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ニッケルメッキ層をパッド表面に形成すると、フリップチップ実装時やハンダボール取付時において、ニッケルがハンダ内部に拡散して、ニッケルメッキ層とハンダ(上記ハンダバンプや上記ハンダ層)との境界に、ニッケルとスズによる脆い金属間化合物が形成され、これが原因でICチップ又はハンダボールとパッドとの間の接合強度が十分に確保できないといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明者らは、パッド表面にニッケルメッキ層を形成せずに、ICチップ又はハンダボールとパッドとの間の接合を良好に保つ方法を考え出した。このような方法を採用する際には、パッド表面にニッケルメッキ層を形成する工程を省くと同時に、アライメントマークへのニッケルメッキ層の形成工程も省くのが生産効率の上からも良い。
【0008】
しかしながら、ニッケルメッキ層の形成工程を省くと、アライメントマークには表面を覆うニッケルメッキ層がなくなってしまい、そのままではアライメントマーク表面が酸化してしまうといった問題が新たに生じた。
ICチップを機械操作で基板本体に実装する際にアライメントマークを読み取る光学読取装置は、基板本体に光を発して、その光の反射光にてアライメントマークを読み取るものであるから、アライメントマークの表面が酸化してしまい、その表面に光沢がなくなってしまうと、光学読取装置にてアライメントマークをうまく読み取れなくなってしまう。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、基板本体の基準位置を表す導体パターンを光学読取装置にて読み取ることが可能な配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた本発明の製造方法は、配線構造を有する基板本体の表面に配列された銅製のパッド、及び、基板本体表面に形成された基板本体の基準位置を表す銅製の導体パターンの表面に、ハンダ層を形成してなる配線基板の製造方法であって、基板本体に形成されたパッド及び導体パターン表面に、ハンダペーストを直接印刷する印刷工程と、基板本体に形成されたパッド及び導体パターン表面の内、パッドに対してフラックスを塗布することなく、導体パターン表面に対して選択的に、フラックスを塗布するフラックス塗布工程と、印刷工程及びフラックス塗布工程後に、ハンダペーストをリフローし、パッド及び導体パターン表面に、ハンダ層を形成するリフロー工程と、を備えるものである。
【0011】
上述の工程により、本発明の配線基板の製造方法では、配線構造を有する基板本体の表面に配列された銅製のパッドに、パッド表面に接触しパッド表面を被覆するハンダ層を形成すると共に、基板本体表面に形成された基板本体の基準位置を表す銅製の導体パターンに、導体パターンに接触し導体パターンを被覆するハンダ層を形成する。
【0012】
この製造方法によれば、銅と比較して酸化しにくいハンダ(Pb−Sn共晶ハンダなど)を用いて、導体パターンを被覆するので、その導体パターン表面の酸化を防止することができ、導体パターンを光学読取装置に読み取らせることができる。
【0013】
また、この配線基板の製造方法によれば、導体パターン表面にフラックスを塗布することによって、導体パターンに印刷したハンダペーストのハンダ濡れ性を調整しているので、導体パターン表面のハンダ層を、その導体パターン表面全体に均一に形成することができ、導体パターン上のハンダ層上面を平坦にすることができる。従って、導体パターンを光学読取装置などで読み取る場合に、その導体パターンを上手く読み取ることができる。つまり、上面が平坦状であるので、光学読取装置から照射した光が、乱反射しにくく、導体パターンの形状を正確に読み取ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、フラックスでハンダ濡れ性を調節するので、パッド表面及び導体パターン表面に同一種類のハンダペーストを印刷しながら、パッド表面上と導体パターン上にそれぞれ異なった形状のハンダ層(ハンダパンプなど)を形成することができる。
【0015】
即ち、この製造方法によれば、例えば、パッド表面には、ソルダーレジスト層表面より突出するフリップチップ実装用のハンダバンプを形成しつつ、導体パターン表面には、上面がソルダーレジスト層上面より低い位置となるようにハンダ層を形成することができる。このように、本発明によれば、パッドのハンダ層と同じ材料を用いて導体パターンの表面に平坦なハンダ層を形成することができるので、生産コストを抑制することができる。
【0016】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、同一種類のハンダペーストを用いることができるので、パッド表面及び導体パターン表面に同時にハンダペーストを印刷することができ、配線基板の製造工程数を抑えることができる。
尚、フラックス塗布工程は、印刷工程前に行われるものであってもよいし、印刷工程後に行われるものであってもよい。
【0017】
この他、請求項2に記載の発明は、配線構造を有する基板本体の表面に配列された銅製のパッド、及び、基板本体表面に形成された基板本体の基準位置を表す銅製の導体パターンの表面に、ハンダ層を形成してなる配線基板の製造方法であって、基板本体に形成されたパッド及び導体パターン表面に、ハンダペーストを直接印刷する印刷工程と、印刷工程後、パッド及び導体パターン表面に印刷されたハンダペーストをリフローする第一リフロー工程と、第一リフロー工程後、導体パターン表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、フラックス塗布工程後、フラックスが塗布された導体パターン表面のハンダをリフローし、パッド及び導体パターン表面に、上記ハンダ層を形成する第二リフロー工程と、を備える配線基板の製造方法である。
【0018】
請求項2に記載の配線基板の製造方法によれば、導体パターン表面にフラックスを塗布することによって、導体パターン上のハンダ濡れ性を調整することができるので、請求項1に記載の配線基板の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0019】
また、請求項1又は請求項2記載の配線基板の製造方法は、導体パターンが十字形状の配線基板を製造する際に、適用することができる(請求項3)。
【0020】
その他、上述の印刷工程では、メタルマスクを、基板本体表面に載置し、ハンダペーストを、メタルマスク上から塗布して、メタルマスクに形成された貫通孔を介し、パッド及び導体パターン表面に、ハンダペーストを印刷するようにしてもよい(請求項4)。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例について、図面とともに説明する。
図1は、ICチップ3及びハンダボール5が取り付けられた配線基板1の側面の構成を表す概略側面図である。また、図2は、基板本体10の第一面の構成を表す説明図(同図(a))及び、その第一面とは反対側の第二面の構成を表す説明図(同図(b))である。この他、図3は、配線基板1の断面の構成を概略的に表す概略断面図である。また、図4は、アライメントマーク13の上面の構成を表す概略上面図(同図(a))、及び、アライメントマーク13のA−A’断面の構成を表す概略断面図(同図(b))、及び、光学読取装置7にて読み取ったアライメントマーク13の形状に関する説明図である。
【0025】
本発明が適用された配線基板1は、29mm四方の基板本体10を備え、その基板本体10の両面に銅メッキからなるパッド11,12を備えている。
詳述すると、基板本体10は、エポキシ樹脂などの合成樹脂から構成される基体21と、銅メッキ22,23,26,33による配線層と、樹脂絶縁層29,35と、を備えている。
【0026】
この基板本体10には、第一面の中央部(中央の概ね10mm四方)に、最上層の配線層として、ICチップ3の入出力端子の配列パターンに対応する配列で、複数の上記パッド11(以下、「FCパッド11」とも表現する。)が形成されている。また、基板本体10の第二面には、略全面(概ね25mm四方)に分散して複数の上記パッド12(以下、「BGAパッド12」とも表現する。)が配列されている。この他、基板本体10の第一面には、十字状の銅メッキパターンであるアライメントマーク13が形成されている。尚、このアライメントマーク13は、基板本体10の基準位置を表す導体パターンであり、光学読取装置7にて、読み取るためのものである。
【0027】
そして、基板本体10の表面には、FCパッド11及びBGAパッド12を構成する銅メッキ22,23の一部を露出した状態で、ソルダーレジスト層14が形成されている。
即ち、両面のパッド(FCパッド11及びBGAパッド12)は、基板本体10最上部のソルダーレジスト層14に周囲(周縁)を包囲されており、そのソルダーレジスト層14が形成されていない基板本体10の凹部15,16内に位置している。尚具体的に、本実施例の配線基板1では、FCパッド11の径が概ね100μm程度の大きさになるように、凹部15を形成している(ただし、搭載するICチップ3により大きさは若干異なる。)。そして、BGAパッド12の径が概ね530μmになるように、凹部16を形成している。この他、ソルダーレジスト層14は、BGAパッド12表面より概ね21μmの高さまで形成されている。
【0028】
また、ソルダーレジスト層14は、基板本体10の第一面に形成されているアライメントマーク13の端部(図4(a)に表すアライメントマーク13の端部点線部分)をわずかに被覆し、そのアライメントマーク13の中央部を露出した状態で、包囲するようにされている。つまり、アライメントマーク13の略全面は、ソルダーレジスト層14が形成されていない基板本体10の凹部17内に位置している。尚、本実施例では、ソルダーレジスト層14に正方形状の開口部を形成することにより凹部17を構成している。また本実施例においては、その開口部の一辺を、概ね550μmとしている。この他、ソルダーレジスト層14は、アライメントマーク13の表面より概ね21μmの高さまで形成されている。
【0029】
そして、この基板本体10の第一面に配列されたFCパッド11には、フリップチップ実装方式にてICチップ3を接合するためのPb−Sn共晶ハンダからなるハンダバンプ18がソルダーレジスト層14より突出するようにして形成されている(図3参照)。尚、このハンダバンプ18は、後述する製造方法により、直接FCパッド11に接触して、そのFCパッド11の表面を被覆するように形成されている。
【0030】
また、第二面に配列されたBGAパッド12には、ハンダボール5(本実施例ではφ=600μm)を接合して取り付けるためのPb−Sn共晶ハンダからなる第一ハンダ層19が、そのBGAパッド12の表面を被覆するようにして形成されている。尚、この第一ハンダ層19は、後述する製造方法により、上面(より詳しくは、頂点)がソルダーレジスト層14の上面より低い位置となるようにされて、BGAパッド12に接触するように形成されている。
【0031】
この他、第一面に形成されたアライメントマーク13には、アライメントマーク13を構成する銅メッキ表面が酸化するのを防止するためのPb−Sn共晶ハンダからなる第二ハンダ層20が、そのアライメントマーク13の露出部全面を被覆するように形成されている(図4(b)参照)。
【0032】
尚、この第二ハンダ層20は、後述する製造方法により、上面(より詳しくは、頂点)がソルダーレジスト層14の上面より低い位置となるようにされて、アライメントマーク13に接触するように形成されている。具体的に説明すると、第二ハンダ層20は、アライメントマーク13表面から9μm〜14μm程度の高さまで形成されている。
【0033】
次に、上記構成の配線基板1の製造方法について、その第一実施例を説明する。尚、図5及び図6は、第一実施例の配線基板1の製造方法に関する説明図であり、図5(a)は基板本体10の構成を表す概略断面図、図5(b)は洗浄工程に関する説明図である。また、図6(a)は、第一ハンダ印刷工程に関する説明図であり、図6(b)は、フラックス塗布工程に関する説明図であり、図6(c)は、第二ハンダ印刷工程に関する説明図であり、図6(d)は、リフロー工程に関する説明図である。また、図7は、ハンダバンプ18の形成過程を表した説明図である。この他、図8は、第二ハンダ層20の形成過程を表した説明図である。
【0034】
第一実施例においては、基板本体10の作製工程(図5(a))、洗浄工程(図5(b))、第一ハンダ印刷工程(図6(a))、フラックス塗布工程(図6(b))、第二ハンダ印刷工程(図6(c))、リフロー工程(図6(d))の各工程を経て配線基板1を製造しているため、以下では、この順に各工程について説明する。ただし、基板本体10は、周知の方法で作製されているため、ここでは簡単に説明することにする。
【0035】
基板本体10の作製工程では、まず基体21の両面に、銅箔25(10〜15μm程度)を形成する。この後、ドリル等で基体21にスルーホール(貫通孔)を形成し、銅箔25が形成された基体21の両面及びスルーホール内の側面に銅メッキ26を施して、基体21の両面の銅メッキ26をスルーホールを介して接続する。更に、基体21上の銅メッキ26表面を粗化し、スルーホールを充填材27(例えば、エポキシ樹脂)にて充填する。
【0036】
そして、両面の銅メッキ26上にエッチングレジスト層(図示せず)を形成し、配線パターンに対応するガラスマスクを用いて露光、現像処理を施すことにより、エッチングレジスト層を一部除去し、更に、このエッチングレジスト層上部からエッチング液を用いてエッチング処理を施すことにより、銅メッキ26及びそれより下層の上記銅箔25を一部除去して、銅メッキ26による配線層(配線パターン)を形成する。
【0037】
この後、残留するエッチングレジスト層を基体21から除去して、銅メッキ26を表面粗化し、この上に絶縁フィルムによる樹脂絶縁層29を形成する。この樹脂絶縁層29の形成後、露光、現像により一部の樹脂絶縁層29を除去してビア31(孔)を形成し、更に、樹脂絶縁層29を熱硬化、表面粗化する。そして、樹脂絶縁層29の表面に所定のパターンのめっきレジストを形成し、選択的に銅メッキ33を施し、一層目の銅メッキ26(配線層)に接続するようにして、二層目の配線層(配線パターン)を形成する。また更に、この二層目の配線層が形成された基体21上に樹脂絶縁層35を形成する。尚、このような方法(公知のフォトリソグラフィ技術、アディティブ法、サブトラクティブ法など)で銅メッキによる配線層(配線パターン)の形成及び樹脂絶縁層の形成を繰り返すことにより多層に配線層を形成する。また、最上層の配線層には、十字状の銅メッキを形成することにより、アライメントマーク13を設ける。
【0038】
このようにして最上層の配線層を形成した後には更に、最上層の配線層を構成する銅メッキ22,23の表面を粗化し、その配線層の上にソルダーレジスト層14を形成する。このソルダーレジスト層14の形成後には、露光、現像により、配列するパッド11,12及びアライメントマーク13表面のソルダーレジスト層14のみを選択的に除去して上記凹部15,16,17を形成する。これにより、銅メッキ22,23の一部が露出されてソルダーレジスト層14に周囲を包囲されるパッド11,12が完成する。また、アライメントマーク13は外部に露出される。
【0039】
このパッド11,12及びアライメントマーク13の形成後には、ソルダーレジスト層14に対して熱硬化、表面粗化などの処理を施す。以上の処理により、FCパッド11とBGAパッド12とを下層の配線層を介して電気的に接続する基板本体10が完成する(図5(a))。また、このように基板本体10が完成した後においては、洗浄工程に処理を移行する。
【0040】
洗浄工程では、過硫酸ナトリウム溶液にパッド(FCパッド11及びBGAパッド12)及びアライメントマーク13の表面を浸すことにより、パッド11,12及びアライメントマーク13の表面をソフトエッチングし、パッド11,12表面及びアライメントマーク13表面の酸化膜などの不純物を除去する。また、硫酸にパッド(FCパッド11及びBGAパッド12)表面及びアライメントマーク13表面を浸すことにより、パッド11,12表面及びアライメントマーク13表面を洗浄し、パッド11,12表面及びアライメントマーク13表面の酸化膜やその他の不純物などをパッド11,12表面及びアライメントマーク13表面から除去する。
【0041】
尚、この工程は、主に、パッド11,12表面及びアライメントマーク13表面を洗浄することにより酸化膜を除去して、ハンダ濡れ性を良くするための工程である。本実施例では、二種類の溶液(過硫酸ナトリウム溶液及び硫酸)を用いて酸化膜を除去し、不純物をパッド11,12表面及びアライメントマーク13表面から除去するようにしているが、いずれか一方の溶液を用いるだけでも酸化膜、不純物の除去は十分可能であり、洗浄工程では、過硫酸ナトリウム溶液による洗浄、硫酸による洗浄、一方だけ行っても良い。
【0042】
この洗浄工程後には、パッド(FCパッド11及びBGAパッド12)及びアライメントマーク13表面にニッケルメッキ層などの金属層を形成することなく、図6(a)に示す第一ハンダ印刷工程に移行する。
第一ハンダ印刷工程では、FCパッド11及びアライメントマーク13へ直接ハンダペースト41をスクリーン印刷(則ち、ハンダ印刷)する。尚、このFCパッド11及びアライメントマーク13へのハンダ印刷では、FCパッド11に対応する配列パターンの貫通孔43及び、アライメントマーク13の交差部13a(図4(a)に示す中央点線部分)に対応する位置に形成された貫通孔44を有するメタルマスク45(図7,図8参照)が用いられる。貫通孔43,44の開口径及びメタルマスク45の厚みは、形成するハンダバンプ18の形状及び第二ハンダ層20の形状に合わせて設定されている。
【0043】
第一ハンダ印刷工程では、基板本体10の第二面を下側にして載置台47に載置した後、図7(a)及び図8(a)に示すように、メタルマスク45を基板本体10上面(即ち第一面)に載置し、ハンダペースト41を、そのメタルマスク45の上面から塗布することにより、貫通孔43,44を介して基板本体10の第一面に形成されたFCパッド11表面及びアライメントマーク13の交差部13a表面にハンダペースト41を直接印刷する。図7(a)は、FCパッド11表面におけるハンダペースト41の印刷態様を表した説明図であり、図8(a)は、アライメントマーク13表面におけるハンダペースト41の印刷態様を表した説明図である。
【0044】
尚、第一ハンダ印刷工程において塗布するハンダペースト41には、FCパッド11に形成するハンダバンプ18の形状に合わせてフラックスが混合されている。つまり本実施例においては、ソルダーレジスト層14より突出する形状のハンダバンプ18を形成するために、リフロー時に必要以上に濡れ広がらないようなハンダ濡れ性を有するハンダペースト41を第一面のFCパッド11及びアライメントマーク13の交差部13aに塗布している。また、第一実施例では、上記メタルマスク45を用いることにより、FCパッド11表面のハンダペースト41の印刷量を、配線基板完成時のハンダバンプ18がソルダーレジスト層14より突出する量に調整している。また、アライメントマーク13表面のハンダペースト41の印刷量を、配線基板完成時の第二ハンダ層20の上面がソルダーレジスト層14の上面より低くなる量に調整している。
【0045】
そして、このハンダペーストの印刷後には、図7(b)、図8(b)に示すように、メタルマスク45を基板本体10から取り除き、基板本体10を図6(a)に示すような状態とする。
またこの後、アライメントマーク13表面にフラックスを塗布する(図6(b)に示すフラックス塗布工程)。つまり、ここでは、第一面のアライメントマーク13部分にのみ図8(b)に示すようにフラックスを塗布し、FCパッド11表面には、フラックスを塗布しない。尚、フラックス塗布は、メタルマスクによるスクリーン印刷法により行ってもよい。
【0046】
第一ハンダ印刷工程後、このような処理を施すのは、光学読取装置7にてアライメントマーク13の形状を光学的にうまく読み取るためである。
第一実施例では、上述のようにハンダバンプ18の形状に合わせて、塗布するハンダペーストの種類を選択しているから、そのまま同種類のハンダペースト41をアライメントマーク13に印刷してリフローするだけでは、第二ハンダ層が図10(a)に示すように盛り上がってしまい、この結果として光学読取装置7からの入射光が第二ハンダ層20表面で散乱し、反射光にてアライメントマーク13の形状を光学的にうまく読み取れなくなってしまう(図10(b))。
【0047】
そこで、本実施例では、FCパッド11表面にフラックスを塗布しないことにより、FCパッド11に印刷したハンダペースト41がリフロー時に必要以上に濡れ広がらないようにして、ソルダーレジスト層14より突出する形状のハンダバンプ18を形成できるようにし、一方で、アライメントマーク13表面にフラックスを塗布することにより、交差部13aに印刷したハンダペースト41がリフロー時にアライメントマーク13表面全面に均一濡れ広がるようにし、第二ハンダ層20の上面を平坦に形成できるようにしている。
【0048】
このようにしてフラックス塗布工程が完了すると、基板本体10を裏返し、第一面を下側にして載置台47に載置した後に、BGAパッド12に対応するパターンの貫通孔を有するメタルマスク49を、基板本体10の第二面に載置し、この後、メタルマスク49の上面からハンダペースト41を塗布することにより、貫通孔を介して基板本体10の第二面に形成されたBGAパッド12表面にハンダペースト41を直接印刷する(第二ハンダ印刷工程)。尚、図6(c)は、BGAパッド12表面にハンダペースト41を印刷する際における基板本体10の態様を表した説明図である。
【0049】
上記FCパッド11へのハンダ印刷時と同様、第二ハンダ印刷工程においては、BGAパッド12用に貫通孔の開口径、厚みなどを設定して上記メタルマスク49を形成し、そのメタルマスク49を用いることにより、ハンダペースト41の印刷量を、配線基板完成時の第一ハンダ層19の上面がソルダーレジスト層14上面より低くなる量に調整している。
【0050】
また、上記載置台47は、基板本体10の第一面のFCパッド11が形成された中央部に接触しないようにして、FCパッド11が形成されていない基板本体10の端部を支持する構成にされており、本実施例では、この載置台47を用いて、FCパッド11及びアライメントマーク13を有する第一面、BGAパッド12を有する第二面の順にハンダ印刷を行うことにより、基板本体10の第一面に印刷されたハンダペースト41を崩さずに両面のハンダ印刷を行うようにしている。
【0051】
この後、リフロー工程において、両面がハンダ印刷された基板本体10をリフロー炉内に収容し(図6(d))、そのリフロー炉内でハンダペースト41を加熱してリフローすることにより、図7(c)に示すようにFCパッド11表面にフリップチップ実装用のハンダバンプ18を形成し、図8(c)に示すようにアライメントマーク13表面に、上面が平坦な第二ハンダ層20を形成し、BGAパッド12にハンダボール取付用の第一ハンダ層19を形成する。以上のような工程を経て配線基板1は完成する。
【0052】
また、このように製造された配線基板1のFCパッド11には、周知の技法にて、ICチップ3が載置された状態で、ハンダバンプ18が溶解され、これによりICチップ3がFCパッド11に接合される。この他、配線基板1のBGAパッド12には、ハンダボール5が載置された状態で、第一ハンダ層19が溶解され、これによりハンダボール5がBGAパッド12に接合される。また同時に、ハンダボール5はプリント基板9(マザーボード等)の入出力端子と接合され、これにより配線基板1は、プリント基板9(マザーボード等)に接合される。
【0053】
以上、配線基板1の構成、及びその製造方法について説明したが、この配線基板1の製造方法によれば、アライメントマーク13表面に第二ハンダ層20を形成しているので、従来ようにニッケルメッキ層を形成しなくても、アライメントマーク13の表面を被覆して、そのアライメントマーク13表面の酸化を防止することができる。
【0054】
特に、第一実施例では、FCパッド11表面へのハンダ印刷と同時に、同じハンダペースト41を用いてアライメントマーク13表面にハンダ印刷を行い、第二ハンダ層20を形成しているから、配線基板1の製造工程数が少なくてすみ、そのアライメントマーク13表面の被覆が簡単に行える。
【0055】
また、第一実施例では、ハンダペースト41を印刷した後、アライメントマーク13表面にフラックスを塗布することによって、アライメントマーク13表面に印刷したハンダペーストのハンダ濡れ性を良くし、第二ハンダ層20が、ソルダーレジスト層14の上面より低く、しかも上面全体が平坦になるようにしているので、光学読取装置7でのアライメントマーク13の読み取りが良好に行える。
【0056】
つまり、上記製造方法で作製した配線基板1では、アライメントマーク13表面の第二ハンダ層20の上面が、図4(b)に示すように平坦状になるから、光学読取装置7は、図1に示すように光をアライメントマーク13に当てて、そのアライメントマーク13を読み取った場合、図4(c)にしめすように、そのアライメントマーク13の形状を、実際の形状(点線)と略同様の実線形状のように認識することができる。したがって、第一実施例の製造方法で作製した配線基板1においては、光学読取装置7がアライメントマーク13を正確に読み取れないためICチップを実装できないなどといった事態が発生するのを防止することができる。
【0057】
また、本実施例の配線基板1では、第二ハンダ層20がソルダーレジスト層14の上面より低くなるように形成されているので、ICチップ3等のアセンブリの際に、第二ハンダ層20が邪魔にならなくて済む。
尚、本実施例では、アライメントマーク13が十字形状の配線基板1及びその製造方法について説明したが、本発明は、その他の形状(三角形状など)のアライメントマークを有する配線基板にも適用することが可能である。
【0058】
また、配線基板1を製造する際には、必ずしも上記手順でフラックスを塗布しなくてもよく、第一ハンダ印刷工程とフラックス塗布工程との順序を入れ替えてもよい。つまり、フラックス塗布工程として、ハンダ印刷前のアライメントマーク13表面にフラックスの塗布を行い、この後に、第一ハンダ印刷工程として、FCパッド11及びアライメントマーク13に上記方法でハンダペースト41を印刷してもよい。
【0059】
このようにフラックス塗布をハンダ印刷前に行っても、フラックス塗布後にハンダ印刷を行う上記第一実施例と同様に、配線基板1を製造することができて、第一実施例の製造方法と同様の効果を得ることができる。
その他、図9に示すような手順で第二ハンダ層20を形成してもよい。図9は、第二実施例の配線基板1の製造方法に関して、特にアライメントマーク13上の第二ハンダ層20の形成過程を表す説明図である。以下では、第二実施例の配線基板1の製造方法について、第一実施例の配線基板1の製造方法と異なる部分を主に説明することにし、同一部分に関しては省略することにする。
【0060】
第二実施例では、まず、上述の第一実施例と同様、基板作製工程にて図5(a)に示すような基板本体10を作製し、この後に、洗浄工程として、図5(b)に示すように、パッド11,12及びアライメントマーク13表面を洗浄する。この洗浄工程を終えると続く第一ハンダ印刷工程にて、図6(a)に示すようにFCパッド11表面にハンダペースト41を直接印刷し、同時に、アライメントマーク13表面にも、フラックス塗布を行うことなくハンダペースト41を直接印刷する(図9(a))。そして、メタルマスク45を取り除く(図9(b))。尚、図9(a)は、第一ハンダ印刷工程におけるハンダペースト41の塗布態様を表す説明図であり、図9(b)は、第一ハンダ印刷工程完了後のアライメントマーク13表面の構成を表す説明図である。この第一ハンダ印刷工程において、FCパッド11及びアライメントマーク13表面には同一種類のハンダペースト41が印刷される。
【0061】
第一ハンダ印刷工程を終えると、フラックス塗布工程をスキップして、第二ハンダ印刷工程に処理を移行し、その第二ハンダ印刷工程にて、BGAパッド12にハンダペースト41を直接印刷する(図6(c))。また、この第二ハンダ印刷工程後、リフロー工程にて、FCパッド11表面及びBGAパッド12表面及びアライメントマーク13表面のハンダペースト41をリフローする(図6(d))。
【0062】
この状態において、FCパッド11表面にはハンダバンプ18が完成し、BGAパッド12表面には第一ハンダ層19が完成する。一方、アライメントマーク13表面には、フラックスを塗布せずにリフローしたので、全体的に盛り上がった形状の未完成の第二ハンダ層20’が形成される(図9(c))。尚、図9(c)は、リフロー工程後のアライメントマーク13表面の構成を表す説明図である。
【0063】
勿論、この状態では光学読取装置7でのアライメントマーク13の読取が好ましくないので、第二実施例では、リフロー工程後、図9(d)に示すように、アライメントマーク13表面にフラックスを塗布する(フラックス塗布工程)。尚、図9(d)は、リフロー工程後のアライメントマーク13表面へのフラックス塗布の態様を表す説明図である。
【0064】
そして、このフラックス塗布後に、再度、基板本体10をリフロー炉内に収容して、ハンダバンプ18、第一ハンダ層19と共に、フラックスが塗布された未完成の第二ハンダ層20’をリフローする(再リフロー工程)。このようにフラックス塗布後、アライメントマーク13上の第二ハンダ層20’を再度リフローすると、未完成の第二ハンダ層20’は、図9(e)に示すように、アライメントマーク13全面に濡れ広がり、上面が平坦状の第二ハンダ層20が完成する。そして、配線基板1は完成する。
【0065】
以上、第二実施例について説明したが、この製造方法では、基板作製工程、洗浄工程、第一ハンダ印刷工程、第二ハンダ印刷工程、リフロー工程、フラックス塗布工程、再リフロー工程の順に各工程を行うことにより、配線基板1を製造しているため、第一実施例の製造方法と比較すると、二度のリフロー工程をおこわなければならないという欠点がある。しかしながら、フラックス塗布をリフロー工程の後に行えばよいので、製造ラインを、既存の製造ラインから変更して組み立てるのが容易で、便利である。
【0066】
尚、本発明の導体パターンは、上記実施例のアライメントマーク13に相当し、本発明の第二リフロー工程は、上記実施例の再リフロー工程に相当する。
【0067】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の配線基板の製造方法は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、FCパッド11が形成された基板本体10の第一面のアライメントマーク13に第二ハンダ層20を形成した配線基板1の例について説明したが、勿論、BGAパッド12側にアライメントマークが形成されている場合には、そのアライメントマークにも、上記実施例と同様の手順で、第二ハンダ層を形成するのが良い。
【0068】
この他、ハンダバンプ18及び第一ハンダ層19及び第二ハンダ層20には、Sn−AgやSn−Ag−Cu等の共晶ハンダを用いても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の配線基板1の側面の構成を表す概略側面図である。
【図2】 基板本体10の第一面及び第二面の構成に関する説明図である。
【図3】 配線基板1の断面の構成を概略的に表す概略断面図である。
【図4】 アライメントマーク13の構成に関する説明図である。
【図5】 第一実施例の配線基板1の製造方法に関する説明図である。
【図6】 第一実施例の配線基板1の製造方法に関する説明図である。
【図7】 ハンダバンプ18の形成過程を表す説明図である。
【図8】 第二ハンダ層20の形成過程を表す説明図である。
【図9】 第二実施例の配線基板1の製造方法に関する説明図である。
【図10】 第二ハンダ層を盛り上げて形成した際における第二ハンダ層120の構成を表す概略断面図(同図(a))と、そのアライメントマークの読取結果に関する説明図(同図(b))である。
【符号の説明】
1…配線基板、3…ICチップ、5…ハンダボール、7…光学読取装置、9…プリント基板、10…基板本体、11…FCパッド、12…BGAパッド、13…アライメントマーク、13a…交差部、14…ソルダーレジスト層、15,16,17…凹部、18…ハンダバンプ、19…第一ハンダ層、20…第二ハンダ層、21…基体、22,23,26,33…銅メッキ、25…銅箔、27…充填材、29,35…樹脂絶縁層、31…ビア、41…ハンダペースト、43,44…貫通孔、45,49…メタルマスク、47…載置台
Claims (4)
- 配線構造を有する基板本体の表面に配列された銅製のパッド、及び、該基板本体表面に形成された該基板本体の基準位置を表す銅製の導体パターンの表面に、ハンダ層を形成してなる配線基板の製造方法であって、
前記基板本体に形成された前記パッド及び前記導体パターン表面に、ハンダペーストを直接印刷する印刷工程と、
前記基板本体に形成された前記パッド及び前記導体パターン表面の内、前記パッドに対してフラックスを塗布することなく、前記導体パターン表面に対して選択的に、フラックスを塗布するフラックス塗布工程と、
前記印刷工程及び前記フラックス塗布工程後に、前記ハンダペーストをリフローし、前記パッド及び前記導体パターン表面に、前記ハンダ層を形成するリフロー工程と、
を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 配線構造を有する基板本体の表面に配列された銅製のパッド、及び、該基板本体表面に形成された該基板本体の基準位置を表す銅製の導体パターンの表面に、ハンダ層を形成してなる配線基板の製造方法であって、
前記基板本体に形成された前記パッド及び前記導体パターン表面に、ハンダペーストを直接印刷する印刷工程と、
該印刷工程後、前記パッド及び導体パターン表面に印刷された前記ハンダペーストをリフローする第一リフロー工程と、
該第一リフロー工程後、前記導体パターン表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、
該フラックス塗布工程後、前記フラックスが塗布された前記導体パターン表面のハンダをリフローし、前記パッド及び前記導体パターン表面に、前記ハンダ層を形成する第二リフロー工程と、
を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記導体パターンは、十字形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配線基板の製造方法。
- 前記印刷工程では、メタルマスクを、前記基板本体表面に載置し、ハンダペーストを、前記メタルマスク上から塗布して、前記メタルマスクに形成された貫通孔を介し、前記パッド及び導体パターン表面に、ハンダペーストを印刷することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
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