JP3801851B2 - 感光性樹脂積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、水現像可能な感光性樹脂積層体、特にフレキソ印刷に適した感光性樹脂版に関する。さらに詳しくは柔軟性が高く、かつ印刷時のドットゲインが非常に少ない優れた性能を有する感光性樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フレキソ印刷版は感光性の樹脂の版上にネガまたはポジフィルムを密着させ、活性光を照射して感光層の一部分を露光した後、未露光部分を洗浄除去(現像)してレリーフを形成する方法により製造される。このようなフレキソ印刷版に用いられる感光性樹脂刷版の感光層には、現像後のレリーフの凸部分である細線や網点が狭く及び凹部分である白抜け深度が深い(画像再現性が高い)ことはもちろんのことであるが、更に印刷時、インキの塗布された樹脂版から被印刷体である紙やフィルム等にインキが転移される時の外圧による樹脂版の太り(ドットゲイン)が少ないことが要求される。
【0003】
ドットゲインを増加させる主な原因としては、印刷時に樹脂版が圧胴より圧力を受けた際に、版上の網点が太ること、露光時に樹脂版表面での光散乱によりネガに対して網点頂部が太ること、また水現像版の場合は版の極性が高くなっていることが考えられる。
【0004】
そこで、ドットゲインを低減する手段として、例えば特開昭55−6392号公報や特開昭62−296142号公報等に記されているように硬い上層と柔らかい下層から成る2層構造のいわゆるキャップ版が提案されている。ところが、この手法は2種類の樹脂を用いる必要があるため、液状感光層樹脂、固型版の何れにおいても製造工程、プロセス、装置等が煩雑になるという欠点がある。
【0005】
また、2層ではなく単層で硬い上層と柔らかい下層を構成させるために、感光性樹脂組成物中に低分子の光重合性エチレン性単量体を導入する方法がある。このような樹脂版は網点の変形が起こりにくくドットゲインは少ないが、刷版自体が剛直で長時間の印刷時により版胴から版が剥がれてくるなどの欠点がある。
【0006】
なお、このような樹脂版の装着性を良くするために、組成物中に柔軟な低分子の可塑剤やオリゴマーを含有させる方法が提案されている。しかし、可塑剤としては相溶性の観点から樹脂成分と極性の近いものを選ぶ必要があり、また使用する可塑剤の分子量が低すぎると生版の取り扱い性が悪くなる、一方、分子量が高すぎると充分な可塑効果が得られないこともあり非常に選択の幅が限られている。
【0007】
また、特開平4−251255号公報等に記されているようにスリップコート層に重合禁止剤を含有させることによりネガに対して予めレリーフ部を細らせる(ドットロスさせる)手段がある。ところが、この手法では重合禁止剤が界面や感光層にマイグレードしロス率を制御することが困難になる危険性がある。それに加え、高線数のハイライト部では力学強度不足により耐刷性が低下するという問題点も内在している。
【0008】
さらにフッ素またはシリコン系の化合物または特別の化合物で表面処理する手法が、例えば特開昭61−47966号公報等に記されているが、後処理の煩雑さを伴っていたり、長時間印刷における効果が充分であるとは言い難い。
このような問題に鑑み、複雑な工程や構造を用いずに単層の樹脂でドットゲインの改善された水現像性感光性樹脂印刷版の出現が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は印刷時のドットゲインが少なく、また長時間の印刷においても版が剥がれてくるようなことのない印刷版を得るための感光性樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決すべく、本発明者らは、鋭意、研究、検討を重ねた結果、特定の分子量範囲内にあり剛直性と弾性を兼ね備えた構造を有しかつ樹脂版の成分に対し相溶性の高い1,2−ブタジエン骨格を有する光重合性不飽和基を持たない特定の共役ジエン系オリゴマーを感光性樹脂組成物の一成分として用いることにより、印刷版表面部と内部に硬度差が付与でき、さらに驚くべきことには感光性樹脂層内部の光散乱が大幅に低減されることで前記目的を達成できることを見出し、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、(1)少なくとも支持体、感光性樹脂層及びカバーフィルムを有する感光性樹脂積層体であって、前記感光性樹脂層硬化後の表面部のダイナミック硬さが0.1以上、内部のダイナミック硬さが0.1未満となり、かつ該感光性樹層に1,2−ブタジエン骨格を有する光重合性不飽和基を持たない共役ジエンオリゴマーおよび粒子状の親水性または水膨潤性エラストマーが含有されていることを特徴とする感光性樹脂積層体。(2)共役ジエンオリゴマーの分子量が500〜10000である前記(1)記載の感光性樹脂積層体。(3)感光性樹脂層に、(A)粒子状の親水性または水膨潤性エラストマー、(B)少なくとも2個以上のエチレン性不飽和基を末端または側鎖に有する共役ジエン系炭化水素含有オリゴマーまたはポリマー(B)、および/または(C)該(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物、および(D)開始剤系が含有されている前記(1)記載の感光性樹脂積層体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において重要な点は、後記する条件下で測定した150線5%の網点表面のダイナミック硬さが0.1以上を示しかつ樹脂版内部のダイナミック硬さが0.1未満を示すことである。網点表面が0.1未満であると印圧によって網点の変形が起こり網点側面部に多量のインキが受理され被印刷体に転移されるため印刷物のドットゲインを免れない。また、かすれ現象が生じた場合、或いはがたつきの大きな印刷機を使用する場合、更に印圧をかけることになるが、印圧に対するドットゲインの増加率が大きく問題が生ずる。また、樹脂版内部のダイナミック硬さが0.1以上では、当業者が使用する際に余りにも樹脂版硬度が高すぎるため、特に版胴に対する版の装着性が悪くなり使用に耐え得ない。
【0012】
本発明において感光性成分光硬化後の内部のダイナミック硬さを0.1未満にする方法としては、少なくとも1,2−ブタジエン骨格を有する光重合性不飽和基を持たない共役ジエン系オリゴマーを含有する感光性樹脂組成物を用いることが挙げられる。1,2−ブタジエン骨格を有する光重合性不飽和基を持たない共役ジエン系オリゴマーの分子量は500〜10000の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1000〜5000、特に1000〜4000が望ましい。分子量が500未満であると、樹脂版のハンドリングが悪くなるだけでなく、印刷用インキの希釈溶剤にオリゴマー成分が抽出されるために版の強度が損なわれたり、印刷の繰り返しによって版の硬度が変化し、印刷物の仕上がりが変わってしまってしまうなどの問題が生じるので好ましくない。また、分子量が10000を超えると期待されるような可塑効果が得られず、また感光性樹脂成分との相溶性も損なわれるため好ましくない。
【0013】
このような1,2−ブタジエン骨格を有する共役ジエン系オリゴマーとしては、末端官能基を有さないポリブタジエンオリゴマー、ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、ポリアクリロニトリルーブタジエンオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、ポリクロロプレンオリゴマー、末端アリル基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端アリル基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端アリル基含有ポリアクリロニトリルーブタジエンオリゴマー、末端アリル基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端アリル基含有ポリクロロプレンオリゴマー、末端水酸基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端水酸基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端水酸基含有ポリアクリロニトリルーブタジエンオリゴマー、末端水酸基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端水酸基含有ポリクロロプレンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリアクリロニトリルーブタジエンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端カルボキシル基含有ポリクロロプレンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリブタジエンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリスチレン−ブタジエンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリアクリロニトリルーブタジエンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリイソプレンオリゴマー、末端アミノ基含有ポリクロロプレンオリゴマー等が挙げられる。
【0014】
次に本発明において感光性成分光硬化後の表面部のダイナミック硬さを0.1以上にする方法としては、感光性フレキソ刷版組成の架橋密度を向上させる方法、物理的な架橋を用いる方法なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
架橋密度を向上させる方法としては、例えば(A)親水性または水膨潤性エラストマー、(B)少なくとも2個以上のエチレン性不飽和基を末端または側鎖に有する共役ジエン系炭化水素含有オリゴマーまたはポリマー(B)、および/または(C)該(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物、および(D)開始剤系を含有する感光性樹脂組成物を用いることにより、架橋密度を向上させることができる。
【0015】
前記組成物は連続相と分散相とを有する構造であることが好ましく、分散相が(A)成分である親水性または水膨潤性エラストマーであり、それが粒子状になっていることが望ましく、その粒子は紫外線で光硬化する以前に化学的に架橋していても非架橋であっても良い。ここで扱う架橋も架橋密度を上げる一手段であるが、副次的であることを付け加えておく。
【0016】
前記(A)成分である架橋タイプの粒子状親水性または水膨潤性エラストマーは、特開平1−300246号公報等に示されているラジカル乳化重合によって得られる部分内部架橋共重合体の例が挙げられる。この部分内部架橋重合体は脂肪族共役ジエンモノマー40〜95モル%、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸1〜30モル%および少なくとも2個の付加重合可能な基を有する化合物0.1〜10モル%を含有するモノマー混合物をラジカル乳化重合することによって得られる。
【0017】
前記共重合成分としての脂肪族共役ジエンモノマーの例としてはブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。α,β−エチレン系不飽和カルボン酸の例としてはアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラコン酸、プロトン酸などが挙げられる。少なくとも2個の付加重合可能な基を有する化合物の例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。尚、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸のカルボキシル基は塩基性窒素原子含有化合物によって塩化されていても良く、好ましい塩基性窒素原子含有化合物としてはN、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル−N−(メタ)アクリロイルカーバメイト、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジエチルアミノエトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
架橋タイプの粒子状親水性または水膨潤性エラストマーのもう一つの例としては、特開平2−175702号公報等に示されたコアシェルミクロゲルバインダーが挙げられる。ここで言うコアシェルミクロゲルバインダーは10%以下のクロスリンキングを持つコアと、酸で変性されたコポリマーからなる、水系で処理しうるクロスリンキングをしていない外部シェルとの二つの領域を持つ粒子である。コアを形成するモノマー類としてはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、メタアクリル酸、ブチルメタクリレート、エチルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、スチレン及びアリルメタアクリレート、更にクロスリンク剤としてのブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。一方、シェルを形成する酸で変性されたコポリマーとしては、メタアクリル酸で変性したn−ブチルアクリレートが好ましいと記されている。コアシェルミクロゲルバインダーはこれらのモノマーを用いて通常乳化重合により製造される。
【0019】
前記以外に、架橋または非架橋タイプの粒子状親水性又は水膨潤性エラストマーとしては、特開平6−289610号公報等に記されているラテックスの例が挙げられる。このラテックスはモノオレフィン系不飽和単量体及び親水性官能基を持つ不飽和単量体からなる単量体混合物を乳化重合することによって得られる。モノオレフィン系単量体としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類やこれらのメタクリル酸エステル類などが挙げられる。
その他のモノオレフィン系不飽和単量体としてはスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、エチリデンノルボルネン、プロペニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。また場合によっては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等の共役ジエン系単量体を用いても良いし、架橋させるために多官能ビニル化合物を導入しても良い。親水性官能基としてはカルボキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基が挙げられる。
【0020】
本発明における非架橋体と架橋体より構成される場合を以下に説明する。
非架橋タイプの粒子状親水性または水膨潤性エラストマーの例としては、特開平3−72353号公報等に記されている疎水性ポリマーを主成分とする相及び親水性ポリマーを主成分とする相を有する粒子を挙げることができる。該粒子を構成する疎水性ポリマーとしては共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、または共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物を重合させて得られる共重合体、共役ジエン系炭化水素を含まない重合体等が挙げられる。また主に該粒子を囲む相を形成する親水性ポリマーとしては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基等の親水性基および/あるいはポリエチレングリコール鎖を有するポリマーが挙げられる。
【0021】
疎水性ポリマーを主成分とする相を形成する該共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、または共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物を重合させて得られる共重合体の例としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−ブタジエン重合体、スチレン−イソプレン重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0022】
疎水性ポリマーを主成分とする相を形成する該共役ジエン系炭化水素を含まない重合体の例としては、塩素を特定量含有するエラストマー及び非共役ジエン系炭化水素を挙げることができ、具体的にはエピクロロヒドリン重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合体、エピクロロヒドリン−プロピレンオキシド共重合体及び、またはこれらとアリルグリシジルエーテルの共重合体であるエピクロロヒドリンゴム[大阪ソーダ工業(株)製エピクロマー、Goodrich(株)製HYDRIN、日本ゼオン(株)製GECHRON、ゼオスパン、Hercules(株)製HERCLOR]、塩素化ポリエチレン[昭和電工(株)製エラスレン、大阪ソーダ工業(株)製ダイソラック、Hoechst(株)製HORTALITZ、Dow Chemical(株)製Dow CPE等が挙げられる。
【0023】
これらの疎水性ポリマーは単独でも2種以上組み合わせても良く、組成物中の含有率としては20重量%以上80重量%以下であることが好ましい。20重量%以下であると著しくハンドリング性が損なわれ、80重量%以上であると水現像性が損なわれる。特に好ましい含有率は30重量%以上70重量%以下である。
【0024】
次に親水性ポリマーを主成分とする相を形成する該親水性ポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性ポリウレタン、水溶性ポリエステル、水溶性エポキシ化合物、カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、カルボキシル基含有スチレン−ブタジエンコポリマー、カルボキシル基含有ポリブタジエン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシル基含有ポリウレタン、ポリアミド酸等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
なお、前記組成物の場合、各成分を配合、混合している間に相分離して、連続相及び分散相を形成するものが好ましく、親水性ポリマーの含有率は水現像性及び水系インキ耐性の観点から、1重量%以上40重量%以下、好ましくは2重量%以上30重量%以下、特に好ましくは3重量%以上20重量%以下である。
【0026】
以上、粒子状親水性または水膨潤性エラストマーについてタイプ別に述べてきたが、全組成物中における水膨潤性エラストマーの含有率としては20重量%以上80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上70重量%以下である。20重量%未満では現像性、形態保持性に問題が生じ、80重量%を超えると耐水性に問題が生じるので好ましくない。
【0027】
本発明において刷版表面の架橋密度を上げるために、特定エチレン性不飽和化合物を一定量添加することが好ましい。本発明における特定のエチレン性不飽和化合物とは、分子量が500以下で少なくとも2個以上のエチレン性不飽和基を末端または側鎖に有する化合物である。このような特定のエチレン性不飽和化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3ープロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4ーブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ーヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ーノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10ーデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12ードデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14ーテトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアリルオキシジ(メタ)アクリレート、トリチトロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリチトロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリチトロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリチトロールプロパントリ(メタ)アクリレー の1分子中に2個以上のラジカル重合性エチレン基を有する化合物が挙げられる。
【0028】
前記のような特定のエチレン性不飽和化合物は、分子量が小さいために刷版の相構造のうち、粘度が低く流動性の高い連続相に分布しやすい。この結果として、海成分の量が多い刷版表面では特定のエチレン性不飽和化合物が刷版内部よりも多くなり、架橋密度が刷版内部よりも大きくなる。この結果、本発明の特徴である刷版表面と内部の硬度差が生じる。また、同時に特定のエチレン性不飽和化合物の含有量が刷版表面で多いために、刷版を構成する感光層全体の感度が飛躍的に高くなり、本発明の特徴である従来のフレキソ刷版では実現し得なかった高度な画像再現性を達成することができる。
【0029】
以上のような特定のエチレン性不飽和化合物が刷版表面に分布するためには、その含有量が刷版感光層中において0.5重量%から10重量%の範囲にあることが好ましい。この範囲より含有量が多くなると、刷版内部の硬度が高くなり印刷におけるクッション効果が小さくなる。また、この範囲より含有量が少なくなると、刷版表面の架橋密度が小さくなり、画像部が印刷時に変形することになる。
【0030】
本発明では、前記特定のエチレン性不飽和化合物を分子量が1000以上でありかつ末端あるいは側鎖にエチレン性不飽和基を有する化合物と併用しても良い。このようなものとしては、特開平1−219833号公報等に記載されているようなオリゴブタジエン(メタ)アクリレート、オリゴスチレンブタジエン(メタ)アクリレート、オリゴニトリルブタジエン(メタ)アクリレート、オリゴイソプレン(メタ)アクリレート、オリゴブタジエンウレタン(メタ)アクリレート、オリゴスチレンブタジエン(メタ)アクリレート、オリゴブタジエンアミド(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、このような分子量が1000以上であるエチレン性不飽和基を有する化合物は、前記特定のエチレン性不飽和化合物と任意の比率で混合しても良い。
【0031】
本発明で用いる開始剤としては、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−ジケトン類、アシロイン類、アシロインエーテル類、ベンジルアルキルケタール類、多核キノン類、チオキサントン類、アシルフォスフィン類等が挙げられ、具体的にはベンゾフェノン、クロルベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ジアセチル、ベンゾイン、ピバロイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルイソプロピルケタール、アントラキノン、1,4−ナフトキノン、2−クロルアントラキノン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いても組合わせても良く、0.01から10重量%組成物中に配合されることが好ましい。0.01重量%未満では開始剤としての機能を果たすことができず、10重量%を超えると内部フィルター的な働きが強くなるため内部の硬化が不充分となる。より好ましくは0.5から5重量%である。
【0032】
その他、本発明においては、前記組成物以外に可塑剤、保存安定剤、色素、その他種々の添加剤が配合されていても良い。
可塑剤としては、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油、分子量3000以下のポリスチレン、石油樹脂、ポリアクリレート、1,4ーポリブタジエン及びそれらの末端変性物、液状アクリロニトリルーブタジエン共重合体、液状スチレンーブタジエン共重合体及びこれらのカルボキシル化物が挙げられる。
保存安定剤としては、ハイドロキノン、ピロガロール、pーメトキシフェノール、tーブチルカテコール、2,6ージーtーブチルーpークレゾール、ベンゾキノン等のフェノール、ベンゾキノン、pートルキノン、pーキシロキノン等のキノン、フェニルーαーナフチルアミン等のアミン等が挙げられる。
【0033】
本発明における感光性樹脂組成物は、通常、ニーダーやロールミル等を用いて、上記成分を混練して調製することによって得られる。
本発明の感光性樹脂版は、支持体とその主要面上に形成された前記感光性樹脂組成物の層とからなる積層構造のものである。
支持体は、通常、可塑性フィルム又はシートからなり、必要に応じて離型層又は接着剤もしくはプライマーからなる下塗り層を有する。この支持体は、フレキソ印刷版において通常用いられるものであれば限定されず、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等の可塑性フィルム、天然ゴム、合成ゴム、軟質塩化ビニル樹脂等の弾性体状組成物を裏貼りしたポリエチレンテレフタレート製、ポリプロピレン製、ポリイミド製等の可塑性フィルム等が挙げられる。
【0034】
支持体の主要面に感光性樹脂組成物の層を形成するには、従来公知の方法を採用すればよい。例えば、感光性樹脂組成物を押出機、プレス機、カレンダー等の成形機を用いてシート状に成形した後、そのシートを支持体に接着するか又は感光性樹脂組成物としてクロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン等の溶媒に前記成分を溶解させたものを、シート状枠型の中に注入し、次いで溶媒を蒸発させシートを成形した後、そのシートを支持体に接着する。
【0035】
本発明感光性樹脂積層体には、感光性樹脂組成物の層の上に被服層として非粘着性の水溶性ポリマーの薄層を設ける事が好ましい。感光性樹脂組成物層の表面は、通常、粘着性が強いので、その表面に直接原画フィルムを貼ると、感光性樹脂組成物とフィルムとの間に気泡が入り込み、活性光の乱屈折が起きて、感光層の露光、硬化が進まず、結果としてレリーフの再現性が悪化する上、感光性樹脂組成物層表面と粘着した原画フィルムは再利用が出来ないという問題が生じる事がある。非粘着性の水溶性ポリマーの薄層を設ける事により、上記問題が解消される。
【0036】
本発明における水系現像可能な感光性樹脂組成物は、水に界面活性剤が添加された現像液により未硬化部分を除去することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを単独であるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。
また現像液には炭酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、ピロリン酸カリウム、ケイ酸ソーダ、硫酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、酢酸ソーダ、酢酸マグネシウム、クエン酸ソーダ、コハク酸ソーダ等の酸性またはアルカリ性の無機または有機の塩類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の高分子系添加剤、pH調整のための硫酸、塩酸、燐酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ、その他、粘度調整剤、分散安定剤、凝集剤、ゼオライト等の各種添加剤を必要に応じて添加しても良い。
現像は感光性樹脂組成物を現像液に浸漬し、必要ならばブラシで擦って未硬化部分を除去する。現像液の温度は30℃〜50℃が好ましい。
【0037】
本発明感光性樹脂積層体には、支持体の、感光性樹脂組成物層が形成されている面とは反対の面に発砲体を積層してもよい。発砲体積層によりフレキソ印刷時の印圧を調整する事が出来る。
【0038】
以上かかる構成よりなる本発明感光性樹脂組成物は、要求される物性に応じて、原材料、構造、製造方法など適宜選択し、目的とする感光性樹脂積層体を得ることができる。
【0039】
本発明における感光性樹脂組成物は、特にフレキソ印刷版として有用であり、耐インク性、インクの転移性、耐刷性にも優れている。なお、本発明で用いられる感光性樹脂組成物は主にフレキソ印刷版として有用であるが、フォトレジスト、サンドプラストにも適用でき、他に紫外線によって硬化するエラストマーとしての用途、例えば接着剤、フィルム、塗料、その他にも使用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。なお実施例、比較例中の部及び%は重量基準である。また、感光性エラストマー組成物及び感光性樹脂版の評価は下記の試験法に基づいて行った。
【0041】
1)ダイナミック硬さの評価:本発明におけるダイナミック硬さは島津ダイナミック超微小硬度計DUH−201を用い、室温、湿度40〜80%の環境下で、下記測定条件に従って測定し、下記式により算出した値である。
試験モード :軟質材料試験(MODE3)
圧子 :三角すい圧子115°
試験荷重 :0.25gf
負荷速度 :10(0.0145gf/秒)
保持時間 :1秒
変位フルスケール :10μ
なお、ダイナミック硬さ測定に当たり印刷版(レリーフ)の製版条件は以下のようにした。露光機は照度8.5mW/cm2程度のケミカルランプ、ネガは網点階調と細線、独立点、白抜を含む検査ネガを用い、製版は約0.8mm程度の深度になる裏露光時間、300μmスリット幅の白抜深度が少なくと50μ以上でしかも150線2%の網点が再現される最小露光量の主露光時間、適正な現像工程と乾燥工程を経て、表からのみ主露光の半分に相当する程度の後露光を行い、測定に供した。
具体的には、上記製版条件で製版したレリーフの150線5%の網点から約5mm角のサンプルを切り出し、ベース面を下に試料台にセットし、付属金属顕微鏡で網点表面の中央に圧子が降下するように調整して、1回目の測定を行った。測定終了後実荷重及び実押し込み深さ算出の基準となる表面検出点がずれていないことを確認し次の測定に進んだ。2回目以降は1回目に測定した網点から少なくとも400μm離れた網点をX−Yステージによって探し、違う網点を5個以上測定した。測定終了後、実押し込み深さ5μmのダイナミック硬さを解析データからピックアップして平均値を求め、そのサンプルのダイナミック硬さとした。このダイナミック硬さ(DH)は圧子を押し込んでいく過程の荷重と押し込み深さから得られる硬さで、以下の式で定義される。
DH=αP/D2
α:圧子形状による定数(115°三角すい圧子の場合 37.838)
P:試験荷重(gf) D:押し込み深さ(μm)
樹脂版内部のダイナミック硬さについては、ベタ部分から約5mm角のサンプルを切り出し、表面より深さ1mm地点の側面部を網点サンプルと同様にして測定した。
【0042】
2)印刷性の評価:厚さ3.0mmの各組成物について粘着防止層を有する方のマットフィルムを剥離して、画像を有するネガフィルムをその上に密着させて高圧水銀灯(大日本スクリーン(株)製)で照度25W/m2で5分間露光した。次いでネガフィルムを除いた後、ブチルナフタレンスルホン酸ソーダ(ペレックスNBL 花王(株)製)2重量部を含有する40℃の水系現像液に浸せきし、15分間ブラシで感光性樹脂層を擦って感光性樹脂印刷版を得た。この得られた感光性樹脂印刷版について、水性インク(アクアパック39藍、東洋インキ製造(株)製)でコート紙(竜王コート 大昭和紙工産業)に印刷を行なった。得られた印刷物の150lpi30%の網点部の光学濃度を反射濃度計(DMー800 大日本スクリーン(株)製)で測定した。光学濃度が小さいほど印刷物の太り(ドットゲイン)が小さく、明るい印刷物が得られるので望ましい。
【0043】
参考例1
(親水性ポリマーの合成)
ポリテトラメチレングリコール29.0部(保土ヶ谷化学製Gー850)、ジメチロールプロピオン酸62.0部(藤井義通商)、 ヘキサメチレンジイソシアネート119.0部(日本ポリウレタン工業製)及びジラウリン酸−n−ブチルスズ5.0部をテトラヒドロフラン300.0部に溶解した溶液を撹拌機のついた1リットルフラスコに入れ、撹拌を続けながらフラスコを65℃に加熱し、3時間反応を続けた。更にヒドロキシエチルメタクリレート26.0部を加え、65℃に加熱しながら2時間反応を続けた。別の容器で末端アミノ基含有アクリロニトリルブタジエンオリゴマー(宇部興産製HycarATBN 1300×16)184.0部をテトラヒドロフラン270.0部に溶解して調整した溶液を上記の1lフラスコ内に室温下で撹拌しながら添加した。得られたポリマー溶液を減圧乾燥してテトラヒドロフランを除去した。得られたポリマーは、還元粘度ηsp/c(dl/g)0.22、数平均分子量(Mn)6703、重量平均分子量(Mw)30026、多分散度(Mw/Mn)4.48、酸価63.9(mgKOH)を示した。
次に該ポリマー100部をテトラヒドロフラン100部に溶解した溶液に、水酸化リチウム2.4部、酢酸マグネシウム5.3部をイオン交換水100部に溶解した水溶液を室温下で撹拌しながら添加し、さらに30分間撹拌することによって、親水性ポリマーを得た。
【0044】
実施例1
上記参考例1で得られた親水性ポリマー10.5部、アクリロニトリルーブタジエン型ランダム共重合体(Nipol1042 日本ゼオン(株)製)33部、ポリブタジエンゴム(JSR BR02LL 日本合成ゴム(株)製)22部、末端アリル基含有ポリブタジエンオリゴマー(分子量2000、日石ポリブタジエンLPB 日本石油化学(株)製)29部、 1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート3部、光開始剤としてベンジルジメチルケタール2部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を、トルエン40部、水10部と共に加熱ニーダーを用いて105℃で混練し、その後溶剤を減圧留去する事により、感光性樹脂組成物を得た。
この感光性樹脂組成物を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にポリエステル系接着剤をコーティングしたフィルムと、同じポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着防止層(ポリビニルアルコール、プロピレンアルコール、界面活性剤を含有)をコーティングしたマットフィルムで挟み(接着層、粘着防止層が感光性樹脂組成物と接触するように)、ヒートプレス機で105℃、100kgfで1分間加熱加圧することにより、厚さ3.0mmの感光性樹脂版を得た。
得られた感光性樹脂版の粘着防止層を有する方のマットフィルムを剥離して、画像を有するネガフィルムをその上に密着させて高圧水銀灯(大日本スクリーン(株)製)で照度25W/m2で5分間露光した。次いでネガフィルムを除いた後、ブチルナフタレンスルホン酸ソーダ(ペレックスNBL 花王(株)製)2重量部を含有する40℃の水系現像液に浸せきし、15分間ブラシで感光性樹脂層を擦って感光性樹脂印刷版を得た。得られた感光性樹脂は透明性が高く、樹脂の光散乱は23%であった。この感光性樹脂印刷版について、150線5%の網点のダイナミック硬さを測定したところ、0.14であった。また樹脂版内部のダイナミック硬さは0.05であった。この感光性樹脂版を用い、水性インク(アクアパック39藍、東洋インキ製造(株)製)でコート紙(竜王コート 大昭和紙工産業(株)製)に印刷を行なった。その際、印刷機への版の装着性は非常に優れており長時間の印刷にも耐えうるものであった。また、得られた印刷物の網点画像は解像度が高く鮮明であり、150lpi30%の網点部の光学濃度を反射濃度計(DMー800 大日本スクリーン(株)製)で測定したところ、光学濃度は52%であった。
【0045】
実施例2
実施例1において、末端アリル基含有ポリブタジエンオリゴマーの代わりに末端水酸基含有ポリブタジエンオリゴマー(分子量2000、Nisso−PB 日本曹達(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして感光性樹脂版を作成した。得られた感光性樹脂は透明性が高く、樹脂の光散乱は25%であった。この感光性樹脂印刷版について、150線5%の網点のダイナミック硬さを測定したところ、0.12であった。また樹脂版内部のダイナミック硬さは0.04であった。また、印刷機への版の装着性は非常に優れており長時間の印刷にも耐えうるものであった。得られた印刷物の網点画像は解像度が高く鮮明であり、150lpi30%の網点部の光学濃度は54%であった。
【0046】
実施例3
実施例1において、末端アリル基含有ポリブタジエンオリゴマーの代わりに末端カルボキシル基含有ポリブタジエンオリゴマー(分子量4800、Hycar−CTB 宇部興産(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして感光性樹脂版を作成した。得られた感光性樹脂は透明性が高く、樹脂の光散乱は27%であった。この感光性樹脂印刷版について、150線5%の網点のダイナミック硬さを測定したところ、0.13であった。また樹脂版内部のダイナミック硬さは0.07であった。また、印刷機への版の装着性は非常に優れており長時間の印刷にも耐えうるものであった。得られた印刷物の網点画像は解像度が高く鮮明であり、150lpi30%の網点部の光学濃度は55%であった。
【0047】
実施例4
実施例1において、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートの代わりに1,9−ノナンジオールジメタクリレートを用いた事以外は実施例1と同様にして感光性樹脂版を作製した。得られた感光性樹脂は透明性が高く、樹脂の光散乱は18%であった。この感光性樹脂印刷版について、150線5%の網点のダイナミック硬さを測定したところ、0.11であった。また樹脂版内部のダイナミック硬さは0.04であった。また、印刷機への版の装着性は非常に優れており長時間の印刷にも耐えうるものであった。得られた印刷物の網点画像は解像度が高く鮮明であり、150lpi30%の網点部の光学濃度は56%であった。
【0048】
比較例1
実施例1において、 末端アリル基含有ポリブタジエンオリゴマーの代わりに末端アクリレート基含有ポリブタジエンオリゴマー(分子量3000)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性樹脂版を作成した。得られた感光性樹脂は透明性が高く、樹脂の光散乱は18%であった。この感光性樹脂印刷版について、150線5%の網点のダイナミック硬さを測定したところ、0.20であった。しかし樹脂版内部のダイナミック硬さは0.15であった。印刷機への版の装着性は悪く長時間の印刷には耐えうるものではなかった。得られた印刷物の網点画像は解像度が悪くやや鮮明さに欠け150lpi30%の網点部の光学濃度は62%であった。得られた印刷物の網点画像は解像度が悪くやや鮮明さに欠け、150lpi30%の網点部の光学濃度は62%であった。
【0049】
比較例2
実施例1において、 末端アリル基含有ポリブタジエンオリゴマーの代わりに末端官能基を有さない1,4−ブタジエンオリゴマー(分子量3000)を用いた以外は実施例1と同様にして感光性樹脂版を作成した。得られた感光性樹脂は透明性が悪く、樹脂の光散乱は50%であった。この感光性樹脂印刷版について、150線5%の網点のダイナミック硬さを測定したところ、0.08であった。また、樹脂版内部のダイナミック硬さは0.04であった。印刷機への版の装着性は非常に優れており長時間の印刷にも耐えうるものであった。しかし、得られた印刷物の網点画像は解像度が悪くやや鮮明さに欠け150lpi30%の網点部の光学濃度は65%であった。
【0050】
実施例1〜4と比較例1〜2で得られた感光性樹脂層の光散乱率、印刷機への版の装着性、150線5%の網点及び樹脂版内部のダイナミック硬さ、印刷物の150lpi30%の網点部の光学濃度を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003801851
【0052】
以上より、1,2−ブタジエン骨格を有する光重合性不飽和基を持たない特定の共役ジエン系オリゴマーを感光性樹脂組成物の一成分として用いることにより、感光性樹脂版の光散乱を低減でき、印刷時の版の装着性の向上及び印刷時の太り(ドットゲイン)の低減が実現することがわかる。
【0053】
【発明の効果】
以上、本発明感光性樹脂積層体は、従来公知の感光性樹脂版に比べて印刷時のドットゲインも少なく、鮮明な印刷を再現し、しかも長時間の印刷においても版が剥がれてくるようなことのないので、高級プロセスカラー印刷などを始め広範囲の銘柄への対応が可能となる。さらに、感光性樹脂版は水系で現像が可能であることから、現像液の廃液がpH調整、吸着剤や凝集剤の添加、微生物処理といった公知の廃液処理技術により容易に処理できることも大きな特長の一つであり、産業界に寄与すること大である。

Claims (3)

  1. 少なくとも支持体、感光性樹脂層及びカバーフィルムを有する感光性樹脂積層体であって、前記感光性樹脂層硬化後の表面部のダイナミック硬さが0.1以上、内部のダイナミック硬さが0.1未満となり、かつ該感光性樹層に1,2−ブタジエン骨格を有する光重合性不飽和基を持たない共役ジエンオリゴマーおよび粒子状の親水性または水膨潤性エラストマーが含有されていることを特徴とする感光性樹脂積層体。
  2. 共役ジエンオリゴマーの分子量が500〜10000である請求項1記載の感光性樹脂積層体。
  3. 感光性樹脂層に、(A)粒子状の親水性または水膨潤性エラストマー、(B)少なくとも2個以上のエチレン性不飽和基を末端または側鎖に有する共役ジエン系炭化水素含有オリゴマーまたはポリマー(B)、および/または(C)該(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物、および(D)開始剤系が含有されている請求項1記載の感光性樹脂積層体。
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