JP3801246B2 - 操作支援情報提示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、対話型の情報処理装置において、その操作方法や機能や注意事項を利用者に提示するための操作支援情報提示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやワードプロセッサあるいは複写機やファクシミリ等の対話型の情報処理装置においては、機能の多様化とともにその操作方法が複雑化してきている。複雑化した操作方法を知るために、オンラインヘルプ機能やガイダンス表示機能などの操作支援情報提示装置が従来から利用されている。これらの操作支援情報提示装置の目標は、利用者が必要としている操作支援情報を過不足なく適切なタイミングで利用者に提示することである。近年、この目標に向けて種々の技術が開発されている。
【0003】
利用者は、操作方法を思い出せない場合に操作支援情報を参照することが多い。したがって、操作支援情報提示装置には、利用者が思い出しにくい部分を優先的にあるいは少ない手間で参照できることが望まれる。このような要求に対し、例えば、特開平3−268049号公報に記載されているように、今後の参考のために利用者が書き留めた操作支援情報を、操作画面ごとに一操作で選択し表示する方法がある。
【0004】
しかし、この方法では、利用者と操作画面の両者によってのみ操作支援情報を識別しているために、書き留めた操作支援情報の数が膨大になると、全情報を提示するために表示領域という有限の資源を多量に消費してしまう。一方、利用者は同じ操作を繰り返し実行することにより操作方法を記憶し忘却しにくくなるため、書き留めた操作支援情報の多くは利用者にとって不要になってくる。そのため、多くの不要な操作支援情報の中から必要とする操作支援情報だけを選択することに、利用者は多くの手間と時間をかける必要があった。特に、近年の対話型の情報処理装置では、基本的な操作画面が1つあるいは少数なので、1つの操作画面に書き留めておきたい操作支援情報の数は増加する傾向にある。この問題点に対する解決策は、書き留めた操作支援情報の表示方法を工夫するだけでは不十分で、不必要となった操作支援情報そのものの削除を支援して、有限の表示領域という資源を有効に活用することが本質的な課題であった。
【0005】
また、利用者はごく初歩的な操作が実行できると、その段階で新たな機能の学習をやめてしまうことが多い。したがって、操作支援情報提示装置には、利用者が使ったことがないか、あるいは忘れている機能であって、より便利な機能やより容易な操作方法などを、適切なタイミングで利用者に提示できることが望まれる。このような要求に対し、例えば、特公平4−20211号公報に記載されているように、利用者の使用時間や機能ごとの利用頻度に応じて、新たな機能についての操作支援情報を段階的に提示する方法がある。
【0006】
利用者が新たな操作支援情報を参照するタイミングは、利用者の学習の程度に応じて利用者の既有知識とほどほどに関連づけできる時であることが重要であって、利用者の使用経験とは直接の関係はない。しかしながら、特公平4−20211号公報に記載されている装置は、利用者の使用時間や機能ごとの利用頻度に応じて、新たな機能についての操作支援情報を段階的に提示するため、使用経験は長いがしばらく使っていなかったために操作方法を忘れてしまった場合や、使用経験は短いが多くの知識を習得したなどの学習についての個人差に対応することができず、不適切な操作支援情報が提示されてしまうという問題があった。この問題は、利用者の学習の程度を使用経験だけで代表しようという点に起因し、使用経験ではなく利用者の学習の程度をより直接的に反映することが本質的な課題であった。また、特公平4−20211号公報に記載されている装置は、利用者が特定の操作を行なった場合に限って操作支援情報が提示されるために、利用者の作業を中断しない限り提示された操作支援情報を参照することはできなかった。したがって、後の参考のために書き留めることや、後で参照したいと考えた際に容易に操作支援情報を参照することができないという問題もあった。
【0007】
さらに、利用者が思い出すことのできる知識の量は状況によって大きく左右される。したがって、操作支援情報提示装置には、同じ内容の情報を提示する場合でも、状況に応じて適切な表現を選択できることが望まれる。そのため、例えば、特開平5−53743号公報に記載されているように、機能の使用回数と誤操作の回数によって、提示する操作支援情報の詳しさのレベルを自動的に選択する方法がある。
【0008】
しかし、利用者が参照したい操作支援情報の詳しさは、基本的には利用者の操作回数や誤操作回数などで決まるものではない。利用者が必要としない内容は省略し、利用者にとって冗長でない表現を選択できることが重要である。経験が豊富であっても、操作方法を忘却した場合は、具体的な内容を伴った操作支援情報が必要であるし、単純なミスタッチのような誤操作をした場合であれば、特に操作支援情報は必要ではない。
【0009】
上述の特開平5−53743号公報にあるような装置では、操作回数が増加して上級者用の操作支援情報が提示されるようになると、以後は利用者が操作を忘却した場合でも上級者用の操作支援情報だけが選択的に提示されてしまう。さらに、操作方法は完全に覚えていても、単純なミスタッチを繰り返してしまうと、利用者にとっては不要で冗長な初心者用の操作支援情報が提示されてしまう。この問題は、利用者の学習の程度を操作回数や誤操作回数だけで代表しようという点に起因し、操作回数や誤操作回数ではなく、利用者の学習の程度をより直接的に反映することが本質的な課題である。
【0010】
なお、近年の対話型の情報処理装置では、そもそも誤操作が存在しないように設計されたものが多くなっている。例えば、先に対象を選択しなければ実行できないコマンド体系である場合、対象が選択されていない状態ではコマンドが選択できないようにする技術が用いられている。したがって、上述の特開平5−53743号公報に記載されている装置のように、誤操作の存在を前提とした技術は、近年の良く設計された対話型の情報処理装置においては、有効に機能しないという問題もあった。
【0011】
以上をまとめると、従来の操作支援情報提示装置においては、操作支援情報を自動的に選択する際に、利用者の学習の程度をより直接的に反映する手段がなく、不必要な操作支援情報を省略する手段と必要な操作支援情報の参照が容易に行なえる手段とを合わせ持っていないという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、利用者が操作支援情報を必要とするか否かを示す評価性情報に応じて、一つあるいは複数の操作支援情報を選択し、限られた提示領域を効率的に利用することのできる操作支援情報提示装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、対話型の情報処理装置が有する機能の一つあるいは複数の操作支援情報を選択的に利用者に提示する操作支援情報提示装置において、前記機能の操作支援情報を複数保持する操作支援情報記憶手段と、利用者から特定の機能についての不理解あるいは理解を表明する評価性情報を獲得する評価性情報獲得手段と、少なくとも前記評価性情報を用い前記特定の機能ごとに操作支援情報の必要度を計算する必要度計算手段と、該必要度計算手段によって計算された前記操作支援情報の必要度を記憶する必要度記憶手段と、該必要度記憶手段に記憶されている前記操作支援情報の必要度に基づき前記操作支援情報を所定の数だけ選択する操作支援情報選択手段を備え、前記評価性情報獲得手段は、利用者から特定の機能についての前記操作支援情報を選択したことをもって評価性情報を獲得し、前記必要度計算手段は、前記評価性情報獲得手段で前記評価性情報が獲得されたときに選択された操作支援情報の必要度が最上位となるように変更する必要度上方変更手段と、利用者が特定の機能を実行したことを実行性情報として獲得する実行性情報獲得手段と、該実行性情報獲得手段によって獲得された前記実行性情報に基づき対応する機能の前記操作支援情報の必要度を下位に変更する必要度下方変更手段を有していることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の操作支援情報提示装置において、前記操作支援情報選択手段は、前記操作支援情報の必要度の高いものから所定の数だけ前記操作支援情報を選択することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態を示すブロック構成図である。図中、1は入力部、2は応用処理部、3は操作支援情報記憶部、4は表示部、5は評価性情報獲得部、6は必要度上方変更部、7は実行性情報獲得部、8は必要度下方変更部、9は必要度記憶部、10は操作支援情報選択部である。図1に示す操作支援情報提示装置は、文書作成および編集などの対話型の応用ソフトウェアを実行する情報処理装置に含まれ、当該応用ソフトウェアの操作方法や機能や注意事項などの操作支援情報を利用者に提示する。図1には、操作支援情報提示装置を構成する主要な部分のみを示しており、実際にはこれら以外にも図示しないいくつかの構成要素が付加される場合がある。
【0017】
入力部1は、利用者が文字や図形あるいはコマンドや変数などの入力を行なう。応用処理部2は、入力部1における入力に基づいて、文書の作成および編集など、応用ソフトウェアの処理を行なう。操作支援情報記憶部3は、複数の操作支援情報を記憶している。表示部4は、文書作成および編集など、応用ソフトウェアの処理結果や操作支援情報などを利用者に提示する。
【0018】
評価性情報獲得部5は、利用者から特定の機能についての不理解あるいは理解を表明する評価性の情報を獲得する。必要度上方変更部6は、特定の操作支援情報の必要度を上方に変更する。実行性情報獲得部7は、利用者が特定の機能を実行したという実行性の情報を獲得する。必要度下方変更部8は、特定の操作支援情報の必要度を下方に変更する。必要度記憶部9は、操作支援情報の必要度を記憶する。操作支援情報選択部10は、必要度の高い操作支援情報を所定の数だけ選択する。
【0019】
図2は、操作支援情報記憶部3に記憶されている操作支援情報の一例の説明図である。図中、21は機能ID、22は閾値、23はタイトル、24は内容、25はキーワードである。操作支援情報記憶部3には、複数の操作支援情報からなる集合が記憶されている。図2には操作支援情報の集合の一例を一部示している。
【0020】
操作支援情報は、例えば図2に示すように、機能ID21、閾値22、タイトル23、内容24、キーワード25の5つのフィールドから構成することができる。機能ID21は、個々の操作支援情報を機能ごとに識別するための複数桁の記号から成るIDである。閾値22は、同じ機能IDを持つ複数の操作支援情報を識別するための複数桁の記号から成る。タイトル23は、操作支援情報を文字列で表現したものである。内容24は、操作支援情報の内容を示している。キーワード25は、操作支援情報を操作支援情報をキーワード検索するためのキーワード群である。
【0021】
図2に示した具体例では、機能ID「DD」を有する2つの操作支援情報と、機能ID「EE」を有する1つの操作支援情報を示している。同じ機能であっても、操作支援を行なうレベルに応じた操作支援情報を記憶させておくことができる。操作支援を行なうレベルは、閾値22によって区別される。ここでは、閾値22が小さいほど、初心者向けの操作支援情報を示している。
【0022】
図2においては、内容24は文字列のみによって例示しているが、アニメーションのためのデータや、音声を含む動画像データや、あるいは、応用処理部2の機能を実行するためのスクリプトおよびボタンなどのデータを含むことが可能である。
【0023】
図3は、必要度記憶部9に記憶されている操作支援情報の必要度の一例の説明図である。図中、31は必要度、32は機能ID、33は実行性情報である。必要度記憶部9には、機能ごとの必要度を表わす情報の集合を記憶している。必要度を表わす情報は、例えば、必要度31、機能ID32、実行性情報33等によって構成することができる。必要度31は、その機能の必要性の高低を示し、複数桁の記号からなる。機能ID32は、個々の操作支援情報を機能ごとに識別するためのIDであり、図2に示した機能ID21に対応するものである。実行性情報33は、機能ごとの実行回数を表わしている。具体的には、機能ID「AA」の機能の必要度は「1」であり、25回実行されていることを示している。
【0024】
図4は、表示部4に表示された評価性情報獲得部5の画面の一例の説明図である。図中、41は操作支援情報提示ウィンドウ、42はタイトル表示領域、43は検索ボタン、44はキーワード入力領域、45は検索結果表示領域、46は内容表示領域、47は終了ボタンである。応用ソフトウェアとは別に、例えば、図4に示すような操作支援情報を提示するための操作支援情報提示ウィンドウ41が表示部4に表示されている。操作支援情報提示ウィンドウ41には、タイトル表示領域42、キーワード入力領域44、検索結果表示領域45、内容表示領域46等の各表示領域と、検索ボタン43、終了ボタン47等が配置されている。
【0025】
タイトル表示領域42には、操作支援情報のタイトルが列挙して提示される。内容を参照したいタイトルが存在する場合、表示されているタイトルを選択することが可能である。キーワード入力領域44には、キーワードによって操作支援情報を検索する際に、キーワードを入力するための領域である。検索ボタン43は、キーワード入力領域44に入力されたキーワードによって操作支援情報を検索する際に、検索処理を指示するためのボタンである。検索結果表示領域45はキーワード検索処理の検索結果のタイトルを列挙して提示すると同時に、内容を参照したいタイトルを選択することが可能な領域である。内容表示領域46は、タイトル表示領域および検索結果表示領域において選択されたタイトルを持つ操作支援情報を提示する領域である。終了ボタン47は操作支援情報提示処理の終了を指示するためのボタンである。なお、図4に示した操作支援情報提示ウィンドウは一例であって、他の構成としてもよいことは言うまでもない。
【0026】
図5は、本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態における動作の一例を示すフローチャートである。上述の図2ないし図4に示す具体例を用いながら説明して行く。なお、操作支援情報選択部10は、必要度の高い操作支援情報を上位4つだけ選択するように、事前に利用者が指定しているものとする。また、必要度は、図3に示す必要度31の値が小さいほど必要度が高いものとする。
【0027】
まず、文書作成および編集などの対話型の応用ソフトウェアを起動すると、応用ソフトウェアのウィンドウと異なる操作支援情報提示ウィンドウ41が表示される。初期動作として、S51において、操作支援情報選択部10は、必要度記憶部9に記憶された必要度を表わす情報を参照し、必要度の高い4つの機能IDを選択する。図3に示す必要度を表わす情報の例では、必要度が「1」から「4」までの4つの機能ID「AA」、「BB」、「CC」、「DD」が選択される。
【0028】
次に、S52において、操作支援情報選択部10で選択された各機能IDごとに、必要度を表わす情報の実行性情報33と、操作支援情報記憶手段3に記憶されている操作支援情報の閾値22とを比較する。そして、閾値22が実行性情報33の値以上であって、かつ、最小の値である操作支援情報のタイトルをタイトル表示領域42に表示する。例えば、機能ID「DD」については、図3から実行性情報が「19」であり、図2から操作支援情報の閾値が「10」および「20」であるので、それぞれ比較する。この場合、実行性情報「19」以上であって、かつ、最小の閾値は「20」である。したがって、「文字列の削除」というタイトルがタイトル表示領域42に表示される。この初期動作は、前回の操作時点での利用者の必要度の高かった操作支援情報だけを提示することを可能にする。
【0029】
以上で初期動作が終了し、以下は一連の入力判断の処理の動作を説明する。S53において検索ボタン43が押されていたら、S54においてキーワード入力領域44に入力されているキーワードをもとにキーワード検索を行ない、検索された結果を検索結果表示領域45に表示する。また、S55においてタイトルが選択されていた場合には、S56において選択されたタイトルを有する操作支援情報の内容を内容表示領域46に表示し、さらにS58において評価性情報および実行性情報の処理を行なう。また、S57においてある機能が実行されていた場合には、これを実行性情報獲得部7で実行性情報として獲得し、S58において評価性情報および実行性情報処理を行なう。S58における処理は後述する。S59において終了ボタン47が押されていた場合には操作支援情報の提示処理を終了する。終了ボタン47が押されていなければ、S53へ戻って、検索ボタン43の押下、タイトルの選択、実行性情報の獲得の判定および対応する処理を行なう。
【0030】
例えば、利用者がレイアウトを統一的に編集する方法を理解していないために、キーワード入力領域44に「レイアウト」と入力し、検索ボタン43を押下したとする。すると、S53からS54へ進み、S54でキーワード検索処理が実行される。そして、操作支援情報記憶部3内の操作支援情報中でキーワード25に「レイアウト」を持つもののタイトルを検索結果表示領域45に表示し、S53からの一連の入力判断の処理に戻る。図2に示した操作支援情報のうちでは、機能ID「EE」がキーワード「レイアウト」を有しているので、検索結果表示領域45にタイトル「スタイルについて」が表示される。
【0031】
さらに、利用者がスタイルについて理解していないために、検索結果表示領域45に表示されたタイトル「スタイルについて」を選択したとする。このとき、S55からS56に進み、S56において、選択されたタイトルを持つ操作支援情報の内容を操作支援情報記憶部3から呼び出して内容表示領域46に表示する。同時に、このことは、利用者が「スタイルについて」という操作支援情報を必要として参照したものと考えられる。したがって、評価性情報獲得部5は、S58において評価性及び実行性獲得処理を行なう。
【0032】
また、文字列の削除について思い出せないために、タイトル表示領域42に表示された「文字列の削除」を選択したとする。このときも検索結果表示領域45に表示されているタイトルを選択した場合と同様に、S56において、選択されたタイトル「文字列の削除」を持つ操作支援情報の内容を操作支援情報記憶部3から呼び出して、内容表示領域406に表示する。また、S58において、評価性情報獲得部5は評価性及び実行性獲得処理を行なう。
【0033】
また、ある操作が実行された場合、S57からS58へ進み、実行性獲得部7は、評価性及び実行性獲得処理を行なう。
【0034】
なお、終了ボタン47が押下された場合、S59においてこれを検出し、処理を終了する。それ以外の場合は、S53からの一連の入力判断の処理に戻る。
【0035】
図6は、本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態において行なわれる評価性及び実行性獲得処理の動作の一例を示すフローチャートである。S61およびS63において、評価性情報が獲得されたのか実行性情報が獲得されたのかを判定し、それぞれの処理を行なう。評価性情報獲得部5で評価性情報が獲得された場合には、S62において、必要度情報変更部6は必要度記憶部9に格納されている必要度の値を上方へ変更し、必要度を高める。
【0036】
実行性情報獲得部7で実行性情報が獲得された場合には、まずS64において、必要度記憶部9に記憶されている必要度を表わす情報のうちの実行性情報33を更新する。そして、S65において、更新した実行性情報33が、対応する機能IDを有する操作支援情報記憶部3に記憶されている操作支援情報のうちの最大の閾値以上となったか否かを判定する。実行性情報33が最大の閾値以上となった場合には、その機能の操作回数としては十分習熟できる状態となったことを示すので、S66においてその必要度を下方へ変更し、必要度を低下させる。
【0037】
そして、S67において、更新された必要度を必要度記憶部9に記憶させ、S68において、操作支援情報選択部10で再度、操作支援情報を選択し、選択した操作支援情報をS69において再表示する。
【0038】
なお、S68,S69の処理は、図5のS51,S52と同様の処理である。また、図6では評価性情報も実行性情報も獲得されなかった場合、S67に進むように示しているが、そのまま終了するように構成してもよい。
【0039】
一例として、上述のようにキーワード「レイアウト」を入力して検索ボタン43を押下して検索を行ない、検索結果表示領域45にタイトル「スタイルについて」が表示された状態でこのタイトルを選択したとする。図5のS56においてタイトル「スタイルについて」の内容を内容表示領域46に表示後、評価性情報獲得部5が図6に示した評価性及び実行性獲得処理を開始する。
【0040】
まず、評価性情報獲得部5によって、特定の操作支援情報のタイトルが選択されたことをもって評価性情報の獲得が判断されると、S61からS62へ進む。選択されたタイトル「スタイルについて」に対応する機能IDは「EE」であるので、必要度上方変更部6は、図3における機能IDが「EE」であるデータの必要度を新たに「1」に変更すると同時に実行性情報を「0」にする。さらに、機能ID「AA」の必要度を「2」に、「BB」を「3」に、「CC」を「4」に、「DD」を「5」にそれぞれ変更する。そして、S67において更新された必要度を必要度記憶部9に記憶する。
【0041】
図7は、タイトル「スタイルについて」選択時の評価性および実行性獲得処理後の必要性を示す情報の一例の説明図である。必要度の上方への変更後は、図7に示すように、機能ID「EE」が最も必要度が高くなり、機能ID「AA」から「DD」の必要度は繰り下げられる。
【0042】
その後、図7に示すように変更された必要度を表わす情報をもとに、操作支援情報選択部10はS68において必要度の上位4つの操作支援情報を選択し、そのタイトルをS69においてタイトル表示領域42に表示する。
【0043】
図8は、タイトル「スタイルについて」選択後の操作支援情報提示ウィンドウの一例の説明図である。図8では、検索結果表示領域45に表示されている選択したタイトル「スタイルについて」に下線を施し、選択されたことを示している。このタイトルの選択とともに、内容表示領域46には図2に示した操作支援情報のタイトル「スタイルについて」に対応する内容が表示されている。さらに、必要度の更新によって、図7に示すように必要度の上位4つの操作支援情報が変わっているので、利用者が理解できていなかった「スタイルについて」の操作支援情報のタイトルがタイトル表示領域42の一番上に提示されており、代わりに、タイトル「文字列の削除」がタイトル表示領域42から削除されている。
【0044】
一方、利用者が文字列の削除操作を実行したことによって、図5におけるS57からS58へ進み、評価性及び実行性獲得処理が開始されたとする。文字列の削除操作の機能IDは「DD」である。まず、S63で実行性情報の獲得が判断されると、S64において、必要度下方変更部8は、図3における機能IDが「DD」である必要度を表わす情報中の実行性情報「19」に「1」を加算して「20」とする。次に、S65において、図2における機能IDが「DD」であるすべての操作支援情報の閾値の中の最大値「20」と、S64で更新した実行性情報「20」とを比較する。この場合には、実行性情報が最大閾値以上であるため、S66において、必要度下方変更部8は、図3における「DD」の必要度を下げるべく「5」にする。同時に、「EE」の必要度を「4」に変更する。
【0045】
図9は、文字列の削除操作実行時の評価性および実行性獲得処理後の必要性を示す情報の一例の説明図である。必要度の下方への変更後は、図9に示すように、機能ID「DD」の必要度は1つだけ下げられ、その代わりに機能ID「EE」の必要度が1つだけ高くなっている。その後、図9に示すように変更された必要度を表わす情報をもとに、操作支援情報選択部10はS68において必要度の上位4つの操作支援情報を選択し、そのタイトルをS69においてタイトル表示領域42に表示する。
【0046】
図10は、文字列の削除操作実行後の操作支援情報提示ウィンドウの一例の説明図である。必要度の更新によって上位4つの操作支援情報が図9に示すように変わり、利用者が理解できて不要になった操作支援情報のタイトル「文字列の削除について」がタイトル表示領域42から削除され、代わりに、タイトル「スタイルについて」がタイトル表示領域42の一番下に提示されている。
【0047】
このようにして、利用者が操作支援情報を利用すれば、その操作支援情報の必要度を高める。また、操作支援情報の必要なしに操作を続けることによって自動的に操作支援情報の内容を変更し、さらに操作支援情報を利用せずに操作を続けると、利用者はその操作に習熟してきたものと解し、必要度を低下させる。必要度が低下した操作支援情報のタイトルは、操作を続けている間にタイトル表示領域に表示されなくなり、利用者にとって不要な操作支援情報を自動的に削除したのと同等の効果をもたらす。代わりに、習熟度の低い機能に対する操作支援情報のタイトルが表示されるので、利用者が使ったことがないか、あるいは忘れている機能であって、より便利な機能を利用者に提示できる。このように実行性情報とともに必要度に応じて、利用者にとってその時点で必要と認められる操作支援情報を利用者に提示することができる。
【0048】
図11は、本発明の操作支援情報提示装置の第2の実施の形態を示すブロック構成図である。図中、図1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。11は通信部である。この第2の実施の形態では、複写機あるいはファクシミリ機あるいはそれらの複合装置などの対話型の情報処理装置の操作方法や機能や注意事項などの操作支援情報を利用者に提示するための構成を示している。以後、複写機あるいはファクシミリ機あるいはそれらの複合装置などの対話型の情報処理装置のことを簡単のために対象装置と記述する。特にこの第2の実施の形態では、対象装置を遠隔操作できる携帯可能な対話型の情報処理装置に含まれるように構成可能である。
【0049】
図11において、通信部11は、対象装置との間の情報の交換を行なう。必要度下方変更部8は、対象装置の特定の操作が実行されたことを通信部11を介して対象装置からの実行性情報により検知し、対応する特定の操作支援情報の必要度を下方に変更する。
【0050】
図12は、本発明の操作支援情報提示装置の第2の実施の形態における対象装置の一例を示すブロック構成図である。図中、71は複写・ファクシミリ部、72は通信部、73は利用者識別部、74は実行性情報獲得部である。複写・ファクシミリ部71は、通常の複写あるいはファクシミリ機能を実現する。通信部72は、図11に示した操作支援情報提示装置との間の情報の交換を行なう。利用者識別部73は、IDカードあるいはパスワードの入力などによって利用者を識別する。実行性情報獲得部74は、第1の実施の形態における実行性情報獲得部7と同様の構成であり、対象装置において特定の利用者が特定の操作を行なったという実行性の情報を獲得し、記憶する。
【0051】
操作支援情報記憶部3に記憶されている操作支援情報、および、必要度記憶部9に記憶されている操作支援情報の必要度を表わす情報は、それぞれ上述の第1の実施の形態の場合と同様であり、例えば、図2および図3に示したような情報が記憶される。また、操作支援情報提示ウィンドウの様子も、例えば、図4に示した構成と同様である。
【0052】
この第2の実施の形態においては、操作支援情報提示装置と、実際に操作が実行される対象装置とが異なっている。そのため、操作支援情報提示装置に実行性情報が入力されるのは、両者の間で離散的に通信を行なった場合に限られる。両者の間で通信が行なわれると、操作支援情報提示装置の通信部11は、操作支援情報提示装置の所有者に対応する利用者情報に基づき、対象装置の実行性情報獲得部74から、所有者が行なった実行性情報だけを複写する。そして、複写した実行性情報に従い、第1の実施の形態の場合と同様に、必要度下方変更部8が必要度記憶部9内の実行性情報の更新と、必要度の変更の処理を行なう。
【0053】
なお、上述の2つの実施の形態では、文書作成および編集などの対話型の応用ソフトウェアを実行する情報処理装置や、複写機あるいはファクシミリ機あるいはそれらの複合装置などといった対話型の情報処理装置を例に説明したが、本発明は他の対話型の情報処理装置に対しても応用可能である。
【0054】
また、評価性情報獲得部5は、操作支援情報の表示の指示をもって、利用者がその操作について不理解であると解釈し、評価性情報を獲得する例を説明した。しかしこれに限らず、参照している時間、すなわち操作支援情報が表示されてから次の操作を行なうまでの時間による判断を加えて動作させても差し支えない。
【0055】
また、必要度上方変更部6は、常に参照された操作支援情報の必要度を最上位に変更をする例を説明したが、必要度が上方に変更されればよく、例えば、上述の参照時間などを考慮して、最上位以外に変更することも可能である。また、必要度上方変更部6は、選択されたタイトルが、タイトル表示領域402に表示されたタイトルであるか、あるいは、検索結果表示領域405に表示されたタイトルであるかにかかわらず同一の処理を行なう例を説明したが、利用者に常に提示されているタイトル表示領域42からの参照は、検索結果表示領域45からの参照ほど大きな意味を持たないと考えて、必要度の変更は行なわない等の選択的な処理も可能である。
【0056】
さらに、操作支援情報選択部10は、必要度の上位から4番目までを選択する例で説明したが、この値は利用者が任意に変更可能である。また、必要度31は所定の順序であるとしたが、これに限らず、重複しない数値であるとし、数値の大きさで必要度を判定するように構成してもよい。実行性情報33は、初期状態において値がすべて0であるとし、この初期状態から処理を開始させることを前提としているが、すでに類似の対話型情報処理装置を使用した経験を持つ利用者は、自分自身の必要度と過去の使用回数とを入力することにより、より利用者の必要度に合致した操作支援情報の提示を受けることも可能である。また、必要度31と実行性情報33は、非負整数である例を説明したが、大小を定量的に比較できればよく、実数などでも差し支えない。機能ID32は、機能を特定できればよいので、英字に限らず、数値やコードであってよい。
【0057】
さらに、上述の各実施の形態では、評価性情報に従って必要度を上方に変更し、また、実行性情報に従って必要度を下方に変更しているが、それぞれ、上方および下方に変更可能に構成することも可能である。例えば、誤操作が多い場合には必要度を上方に変更して操作支援情報の参照を促すなどの支援も可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、評価性情報が獲得された場合、必要度計算手段は機能ごとの評価性情報に基づいて該操作支援情報の必要度を計算し、計算された必要度に基づいて操作支援情報選択手段は操作支援情報を選択して利用者に提示する。特に、請求項2に記載の発明のように、評価性情報が獲得された場合に、操作支援情報の必要度を上位に変更し、また、請求項3に記載の発明のように、実行性情報が獲得された場合に、操作支援情報の必要度を下位に変更し、変更した必要度に基づいて操作支援情報を選択して利用者に提示する。これにより、利用者の学習の程度をより直接的に反映して、操作支援情報を提示することができるという効果を奏する。
【0059】
すなわち、従来は利用時間や利用頻度あるいは誤操作回数などの実行性情報のみによって利用者の学習の程度を推測していたが、本発明では、利用者の不理解を直接に表明する評価性情報を用いるようにしたので、利用者の学習の程度や利用者が特定の操作情報を必要とする程度に直接合致する適切な操作支援情報を提示することが可能になった。
【0060】
また、請求項4に記載の発明のように、操作支援情報選択手段は、必要度記憶手段に記憶された機能ごとの必要度の高いものから所定の数だけを選択するように構成することができる。この場合、利用者が多量の不必要な操作支援情報の存在によって必要な操作支援情報を探し出すために時間や手間がかかるという問題を低減できる。つまり、従来は不必要になった操作支援情報を提示しないようにするという工夫が全く無いか極めて不十分であったが、本発明では、利用者にとって不必要になった操作支援情報を提示しないようにすることができ、操作支援情報を提示する表示領域は有限の大きさしか持っていないという物理的な制約や、人間は一度に有限の情報しか把握できないという人間に起因する制約に対し、効率的に対処することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態を示すブロック構成図である。
【図2】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態において、操作支援情報記憶部3に記憶されている操作支援情報の一例の説明図である。
【図3】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態において、必要度記憶部9に記憶されている操作支援情報の必要度の一例の説明図である。
【図4】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態において、表示部4に表示された評価性情報獲得部5の画面の一例の説明図である。
【図5】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態における動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態において行なわれる評価性及び実行性獲得処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態におけるタイトル「スタイルについて」選択時の評価性および実行性獲得処理後の必要性を示す情報の一例の説明図である。
【図8】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態におけるタイトル「スタイルについて」選択後の操作支援情報提示ウィンドウの一例の説明図である。
【図9】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態における文字列の削除操作実行時の評価性および実行性獲得処理後の必要性を示す情報の一例の説明図である。
【図10】 本発明の操作支援情報提示装置の第1の実施の形態における文字列の削除操作実行後の操作支援情報提示ウィンドウの一例の説明図である。
【図11】 本発明の操作支援情報提示装置の第2の実施の形態を示すブロック構成図である。
【図12】 本発明の操作支援情報提示装置の第2の実施の形態における対象装置の一例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1…入力部、2…応用処理部、3…操作支援情報記憶部、4…表示部、5…評価性情報獲得部、6…必要度上方変更部、7…実行性情報獲得部、8…必要度下方変更部、9…必要度記憶部、10…操作支援情報選択部、11…通信部、71…複写・ファクシミリ部、72…通信部、73…利用者識別部、74…実行性情報獲得部。
Claims (2)
- 対話型の情報処理装置が有する機能の一つあるいは複数の操作支援情報を選択的に利用者に提示する操作支援情報提示装置において、前記機能の操作支援情報を複数保持する操作支援情報記憶手段と、利用者から特定の機能についての不理解あるいは理解を表明する評価性情報を獲得する評価性情報獲得手段と、少なくとも前記評価性情報を用い前記特定の機能ごとに操作支援情報の必要度を計算する必要度計算手段と、該必要度計算手段によって計算された前記操作支援情報の必要度を記憶する必要度記憶手段と、該必要度記憶手段に記憶されている前記操作支援情報の必要度に基づき前記操作支援情報を所定の数だけ選択する操作支援情報選択手段を備え、前記評価性情報獲得手段は、利用者から特定の機能についての前記操作支援情報を選択したことをもって評価性情報を獲得し、前記必要度計算手段は、前記評価性情報獲得手段で前記評価性情報が獲得されたときに選択された操作支援情報の必要度が最上位となるように変更する必要度上方変更手段と、利用者が特定の機能を実行したことを実行性情報として獲得する実行性情報獲得手段と、該実行性情報獲得手段によって獲得された前記実行性情報に基づき対応する機能の前記操作支援情報の必要度を下位に変更する必要度下方変更手段を有していることを特徴とする操作支援情報提示装置。
- 前記操作支援情報選択手段は、前記操作支援情報の必要度の高いものから所定の数だけ前記操作支援情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の操作支援情報提示装置。
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