JP3801233B2 - 液体加熱調理器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は調理用油、湯といった液媒体を介して食材を加熱する液体加熱調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液体加熱調理器としてフライヤ−・ゆで麺器等が知られている。例えば、フライヤ−では油槽に満たされた調理用油の油温を検出して油温が所定温度範囲内に維持されるように燃焼器の燃焼を制御している。通常、こうした温度制御は、ON・OFFの単一制御により行われている。つまり、検出した油温が所定温度範囲以下に低下したときに燃焼を開始し、油温が上昇して所定温度範囲を越えたときには燃焼を停止して油温を所定温度範囲内に維持するように燃焼制御するのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般にこうした器具、例えばフライヤ−では、食材を良好に調理するために、早く油温を所定温度範囲内にまで上昇させる必要があり、高出力バ−ナを複数用いて燃焼させている。ところが、食材が油槽内に投入されていないときも投入時と同様に全数のバ−ナを燃焼させて保温している。そのため所定温度範囲を越えるオ−バ−シュ−ト部分が大きく、無駄なエネルギ−を消費していた。そこで、予めオ−バ−シュ−トを見越して所定温度範囲を狭く設定して燃焼制御すれば、油の過熱は抑えられるものの、今度はバ−ナの点滅回数(ON・OFF回数)が増し、燃焼器各部品、例えば電磁弁や点火装置の劣化が促進されることとなる。
本発明の液体加熱調理器は上記課題を解決し、液温のオ−バ−シュ−ト抑制、省エネルギ−化及びバ−ナ点滅回数の減少による燃焼器各部品の劣化の低減を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の液体加熱調理器は、
調理用油、湯等の液体が満たされる液槽と、
上記液槽内の液体を加熱する複数の燃焼器と、
上記液体の液温を検出する温度検出手段と、
上記液体の温度が所定温度範囲を下回っている際に上記燃焼器を燃焼させ、所定温度範囲を越えたときに燃焼停止して上記液体が所定温度範囲内に維持されるよう燃焼制御する燃焼制御手段とを備え、上記液体を介して食材を加熱する液体加熱調理器において、
上記液温の温度勾配を算出する温度勾配算出手段と、
上記温度勾配が、予め設定した設定下降勾配よりも絶対値で大きい場合には、食材が投入されたと判断して上記複数の燃焼器を全て燃焼させ、該設定下降勾配よりも絶対値で小さい場合には、食材が投入されず自然冷却によるものと判断して上記複数の燃焼器の内の一つを単独燃焼させる燃焼器数決定手段とを備え、
上記単独燃焼開始後、上記液温の温度勾配の算出を行い、液温が温度降下である、あるいは上昇勾配が予め設定した設定上昇勾配よりも緩やかであると判断した場合には、途中で食材が投入されたと判断して単独燃焼から全燃焼器燃焼に切り換えることを要旨とする。
【0006】
【作用】
上記構成を有する本発明の請求項1記載の液体加熱調理器は、温度勾配算出手段により液体の液温の温度勾配、つまり液温の時間的変化の度合いを算出し、この温度勾配によって、燃焼器数決定手段が複数の燃焼器を全て燃焼させる全燃焼器燃焼と複数の燃焼器の内の一つを燃焼させる単独燃焼とを切り換える。温度勾配が、予め設定した設定下降勾配よりも絶対値で大きい場合には、食材が投入されたと判断して全燃焼器燃焼させ、設定下降勾配よりも絶対値で小さい場合には、食材が投入されず自然冷却によるものと判断して単独燃焼させる。この結果、液温を所定温度範囲内に維持することが容易となり、バ−ナの点滅回数を増やすことなく食材投入時のダウンシュートおよび食材が投入されていない保温時のオーバーシュートが抑制できる。
また、単独燃焼開始後、液温の上昇勾配が予め設定した設定上昇勾配よりも小さい場合には、途中で食材が投入されたと判断して全燃焼器燃焼に切り換える。この結果、燃焼中の食材投入による液温降下を抑制することができる。
【0008】
【実施例】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の液体加熱調理器の好適な実施例について説明する。
【0009】
図1は、一実施例としてのフライヤ−の概略構成図である。フライヤ−は、フライドチキン、フライドポテト等の加工食品を調理するもので、調理用油が満たされる油槽10と、この油漕10内に設けられ調理用油を加熱するための2台のパルス燃焼器(第1バ−ナ1A,第2バ−ナ1B;以下、総称してパルス燃焼器1と呼ぶ)とを備える。
【0010】
このパルス燃焼器1は、油槽10内に設けられパルス燃焼が行われる燃焼室31A,31Bと、油槽10内で蛇行して設けられ、燃焼室31A,31Bからの高温燃焼排気の排気通路となるテ−ルパイプ22A,22Bと、テ−ルパイプ22A,22Bの下流側に設けられる排気マフラ−23A,23Bとで燃焼排気系を構成し、燃焼室31A,31B及びテ−ルパイプ22A,22Bの外壁の熱で油槽10内の油を加熱するようになっている。また、油槽10の側壁には油槽10内の油温を検出するための温度センサ−11が設けられる。
【0011】
一方、燃焼室31A,31Bへの吸気系としては、燃焼用空気を吸い込む送風機24A,24Bと、送風機24A,24Bの下流側に設けられる給気マフラ−25A,25B、給気マフラ−25A,25B通過後の燃焼用空気が供給されるエアチャンバ26A,26Bとから構成される。
また、燃焼ガス供給系としては、ガス導管27A,27Bに設けられ燃料ガス通路の開閉を司る本電磁弁28A,28B、主電磁弁29A,29Bと、エアチャンバ26A,26B内それぞれに設けられるガスチャンバ30A,30Bとからなる。
【0012】
エアチャンバ26A,26B内には、ガスチャンバ30A,30Bに連接して燃料ガスと燃焼用空気とが供給される混合室21A,21Bが設けられ、ここで混合された混合気が燃焼室31A,31Bに供給されるように構成されている。燃焼室31A,31Bには、燃焼開始時に混合気に点火するための点火プラグ32A,32Bと、炎検出素子であるフレ−ムロッド33A,33Bがそれぞれ設けられている。
【0013】
こうしたパルス燃焼器1は、定常燃焼時における自己着火や燃焼用空気の自然吸引等の利点を生かして一定のサイクルで爆発燃焼を繰り返すもので、本実施例では燃料ガス及び燃焼用空気の供給源側に燃焼用空気が逆流しないようにフラッパバルブ(図示略)が混合室21A,21Bの入口(燃料ガス及び燃焼用空気の供給口)に設けられている。
【0014】
このパルス燃焼器1の燃焼を制御するために、本体ケ−ス内にはコントロ−ラ40が設けられている。コントロ−ラ40は、周知の算術演算論理回路を構成するCPU、ROM、RAM(図示略)と、温度センサ−11、フレ−ムロッド33A,33Bからの信号を入力する入力インタ−フェ−ス(図示略)と、元電磁弁28A,28B、主電磁弁29A,29B、送風機24A,24B、点火用イグナイタ34に制御信号を出力する出力インタ−フェ−ス(図示略)等からなるマイクロコンピュ−タを主要部として構成される。
【0015】
ここで、本実施例のフライヤ−の燃焼(油温)制御について図2に示したフロ−チャ−トを用いて説明する。尚、この油温制御ル−チンと並行して温度センサ−11による温度検出が行われる。
【0016】
電源スイッチ41を投入すると本ル−チンが起動し、まずステップ10により全バ−ナ(第1バ−ナ1Aおよび第2バ−ナ1B)の燃焼を開始する。次にステップ11に移行し、並行して行われている温度検出処理により検出された温度センサ−の出力(以下、センサ−温度と呼ぶ)Txが予め設定されたOFF点の温度であるTs0(本実施例では182℃)に等しい、又は大きいか否かを判断し、Ts0に等しい、又は大きくなると、ステップ12にて全バ−ナの燃焼を停止する。
【0017】
全バ−ナの燃焼を停止した後も温度センサ−による油温検出は引き続き行われ、
それに基づいてステップ13にて温度勾配Kxが算出される。油温Txが予め設定されたON点の温度であるTs1(本実施例では180℃)より小さいか否かをステップ14にて判断し、Ts1より小さくなったときに初めてそれまで算出していた温度勾配Kxを予め設定していた温度下降勾配Kt0とステップ15にて比較判断する。設定下降勾配Kt0よりも絶対値で大きな勾配を示した場合、つまり温度下降度合いが大きい場合には、食材が投入されたと判断して、ステップ10にて全バ−ナ燃焼を開始する。逆に、温度勾配Kxが設定下降勾配Kt0よりも絶対値で小さな勾配を示した場合、つまり温度下降度合いが小さい場合には、食材が投入されず、自然冷却によるものと判断してステップ16以降の単独燃焼の処理へ移る。これによって食材投入時の油温Txのダウンシュ−トおよび食材が投入されていない保温時のオ−バ−シュ−トを抑え、油温低下に対する適切な対処がなされる。
【0018】
ステップ16では、前回の単独燃焼時に運転していたバ−ナを判断し、第1バ−ナ1Aのときは第2バ−ナ1B、第2バ−ナ1Bのときは第1バ−ナ1Aを燃焼させる。また、このときステップ19にて、どのバ−ナを燃焼させたかを記憶しておく。このように保温時(単独燃焼時)には、バ−ナを交互に燃焼するように制御することによって、各燃焼器の使用頻度を平均化して、装置全体の寿命を延ばすことができる。
【0019】
単独燃焼開始後、ステップ20にて温度勾配Kxの算出を常時行い、油温Txが設定上のOFF点であるTs0になる以前に温度降下あるいは上昇勾配が設定上の上昇勾配Ks0よりも緩やかであると判定された場合、途中で食材が投入されたと判断して、ステップ21にて単独燃焼から全バ−ナ燃焼に切り換えるように判断する。つまり、図4に示したグラフより点A通過時に食材投入が行われ、点Bにて算出された温度勾配KxがKx<Ks0と判断された場合、単独燃焼から他の全てのバ−ナも燃焼する全バ−ナ燃焼に切り換えられていることから、油温降下に迅速に対応できる。また、逆に温度勾配KxがKx>Ks0と判断された場合、油温TxがTs0を上回るまで単独燃焼を続け、上回った瞬間に燃焼を停止する。これによって燃焼中の食材投入による油温降下を抑制することができるのである。
【0020】
この燃焼制御では、通常時においては油温Txを所定温度範囲内に維持するように、燃焼・燃焼停止を切り換えるオン・オフ制御とともに燃焼器の数を変化させることによって保温を行う。つまり、所定の周期で検出されるセンサ−温度Txに基づいてオン・オフ制御を行い、続けて燃焼する燃焼器の数を切り換えることにより加熱量の制御を行う。本実施例のフライヤ−においては、電源投入後、全バ−ナ燃焼を行い、油温Txが設定上のOFF点であるTs0を越えると燃焼を停止する。燃焼停止後も温度センサ−による油温検出を常時行い、図5に示すように油温Txが設定上のON点であるTs1へ降下するまでに温度勾配Kxが絶対値で設定下降勾配Kt0よりも大きくなった場合(急な温度降下)は、Ts1を下回った時点で全バ−ナ燃焼を開始し、設定下降勾配Kt0よりも小さければ第1バ−ナ1Aまたは第2バ−ナ1Bのうちどちらか一方のバ−ナのみを燃焼させるように制御する。また単独燃焼開始後、油温TxがTs1からTs0の間にあるときの温度勾配Kxが設定上昇勾配Ks0より大きい勾配であれば、そのまま一つのバ−ナを単独燃焼させる。逆にKs0より小さい勾配、つまり図4に示すような油温降下あるいは設定上昇勾配Ks0よりも緩やかな勾配と判定された場合には、全バ−ナ燃焼への切換制御を行う。以後、上記制御を繰り返し行うことによって、油温TxをほぼTs1〜Ts0に維持するように制御する。
【0021】
食材は、このように油温Txが所定温度範囲内にて保温されている状態でバスケット(図示略)に載せられて投入される。温度センサ−は、例えば0.1秒毎に油温Txを検出して、10サイクル分(1秒間に相当)の油温平均値Tyを算出し、連続した2つの油温平均値Ty1,Ty2から温度勾配Kxを算出する。そのとき算出された温度勾配Kxから急な温度降下と判断された場合、全バ−ナ燃焼を開始する。また逆に、温度勾配Kxが所定勾配範囲内と判断された場合、第1バ−ナ1A,第2バ−ナ1Bのうちどちらか一方のバ−ナのみを燃焼させる。この結果、食材投入か否かの判断をすることによって液体への加熱に必要なバ−ナの数を判断するので、無駄なエネルギ−の消費がないようにすることができ、良好に調理ができる。
【0022】
以上説明したように、本実施例の液体加熱調理器によれば、油槽内の温度勾配に基づいて食材の投入を判断し、それと同時に燃焼させるべきバ−ナの数が決定されるので、図3に示すように従来に比べ、油温Txのオ−バ−シュ−ト,ダウンシュ−トを抑制することができる。また、図5に示すように燃焼停止中でも、急な液温降下があれば全バ−ナ燃焼への切換制御が行われるので、短時間で所定温度範囲内に油温Txを維持することができる。つまり、点D(油温Txが設定上のON点であるTs1から設定上のOFF点であるTs0までの間にある任意の点)通過時において設定下降勾配Kt0よりも算出勾配Kxが絶対値の値で大きいと判断されると、点Eより全バ−ナ燃焼を開始する。これらの結果、いつでも良好な状態で調理を開始することができ、食材を良好に調理することができる。また、図3に示すように単独燃焼時には油温上昇が緩やかとなり、バ−ナの点滅回数が減少するとともに他方のバ−ナを休ませることができるため、燃焼器各部品の劣化を低減することができる。
【0023】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施例ではパルス燃焼器を熱源とした器具に適用したものであったが、ブンゼンバ−ナや電熱ヒ−タを熱源とした種々の器具にも適用できるものである。また、燃焼器の台数は2台に限らず、複数の燃焼器に適用できるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上記述したように本発明の液体加熱調理器によれば、液温の温度勾配に基づいて食材の投入の有無を判断して全燃焼器燃焼と単独燃焼とを切り換えるため、液温のオ−バ−シュ−ト,ダウンシュ−トが抑えられ、燃焼器の点滅回数を増大することなく液温を所定温度範囲内に維持しやすい。
また、単独燃焼開始後、液温の上昇勾配が予め設定した設定上昇勾配よりも小さい場合には、途中で食材が投入されたと判断して全燃焼器燃焼に切り換える。この結果、燃焼中の食材投入による液温低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例としてのフライヤ−の概略構成図である。
【図2】油温制御ル−チンを表すフロ−チャ−トである。
【図3】全バ−ナ燃焼と単独バ−ナ燃焼の油温上昇勾配の違いを示したグラフである。
【図4】燃焼中に食材投入が行われたときの燃焼器の切換制御を表したグラフである。
【図5】燃焼停止中に食材投入が行われたときの燃焼器の切換制御を表したグラフである。
【符号の説明】
10・・・油槽,11・・・温度センサ−,1A,1B・・・パルス燃焼器
40・・・コントロ−ラ
Claims (1)
- 調理用油、湯等の液体が満たされる液槽と、
上記液槽内の液体を加熱する複数の燃焼器と、
上記液体の液温を検出する温度検出手段と、
上記液体の温度が所定温度範囲を下回っている際に上記燃焼器を燃焼させ、所定温度範囲を越えたときに燃焼停止して上記液体が所定温度範囲内に維持されるよう燃焼制御する燃焼制御手段とを備え、上記液体を介して食材を加熱する液体加熱調理器において、
上記液温の温度勾配を算出する温度勾配算出手段と、
上記温度勾配が、予め設定した設定下降勾配よりも絶対値で大きい場合には、食材が投入されたと判断して上記複数の燃焼器を全て燃焼させ、該設定下降勾配よりも絶対値で小さい場合には、食材が投入されず自然冷却によるものと判断して上記複数の燃焼器の内の一つを単独燃焼させる燃焼器数決定手段とを備え、
上記単独燃焼開始後、上記液温の温度勾配の算出を行い、液温が温度降下である、あるいは上昇勾配が予め設定した設定上昇勾配よりも緩やかであると判断した場合には、途中で食材が投入されたと判断して単独燃焼から全燃焼器燃焼に切り換えることを特徴とする液体加熱調理器。
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