JP3800982B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回転電機に関し、とくにステータの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転電機、例えば電動機のステータは、従来、特開平9−84282号公報にあるように、ステータコアをケースに焼き嵌めしたり、あるいはステータコアを貫通するボルトによりケースに固定したりしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ステータコアをケースに焼き嵌めする場合、ステータにかかるトルク反力を、ステータコアとケースとの摩擦力で支持することになり、ケースがアルミ合金など電磁鋼板よりなるステータコアに比べて線膨張係数が大きい部材では、高温になるほど摩擦力が低下するため、組み付け時に大きな締め付け力を必要とする。
【0004】
このため、ケースには歪みが発生しやすく、ケースが単純な円筒形状では歪みの影響は小さいが、回転電機を自動車に用いる場合、変速機や減速機と組み合わされることが多く、ケース形状が単純な円筒形にはならず、焼き嵌めにより円周上に一様でない変形が生じる。ステータを固定したケース部材と他のケース部材(例えばケースカバーなど)とを組合せ、両方のケース部材で軸が支持されているような構造の場合、各ケース部材の軸支持部(軸受部など)の位置がずれてしまい、軸が傾き、軸受や歯車の作動が不安定となり、騒音が発生したりする。
【0005】
これを回避するにはステータコアをケースに焼き嵌めしたのち、ケースを機械加工するなどの方法があるが、工程が複雑となりコストが増加したり、加工時の切削屑などがステータコイルに入ったりして信頼性を損なうこともある。
【0006】
また、上記したボルトによりステータコアをケースに固定するものでは、ステータコイルを避けた部位にボルトの貫通穴を設ける必要があり、その分だけスータコアが大きくなり、回転電機も全体的に大型化してしまう。
【0007】
本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ケース内部にステータが固定され、ステータの内周側でロータが回転自由に支持されている回転電機において、円筒部材の内周にステータコアを圧入により固定し、前記円筒部材を非磁性材でかつ線膨張率が前記ステータコアに近い材料で形成し、前記ステータコアよりも軸方向に長く形成した前記円筒部材の軸方向の両側に一対のスプライン部を設け、これらスプライン部がケース内周のスプライン部とスプライン結合すると共に、前記一対のスプライン部はステータコアよりも軸方向の外側にそれぞれ配置される。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記ケースは互いに結合される少なくとも2つのケース部材から構成され、前記ロータのロータ軸の一端が一方のケース部材、他端が他方のケース部材に支持されている。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記円筒部材の線膨張率はステータコア材料よりも大きく、かつケース材料よりも小さくした。
【0011】
第4の発明は、第1から第3の発明において、前記スプライン結合は高温時の径方向隙間がほぼゼロとなるように組み付け時の嵌め合いを決定する。
【0013】
第5の発明は、第1から第4の発明において、前記ケース内周のスプライン部と円筒部材外周のスプライン部との間に冷却通路を形成し、この冷却通路に冷却油を導くようにした。
【0014】
第6の発明は、第5の発明において、前記ケースの内部にはステータの両端に位置して環状の冷媒室を区画形成し、これら冷媒室に導いた冷却油が前記冷却通路に流れるようにした。
【0015】
【作用および効果】
本発明においては、ステータコアを線膨張率の近い円筒部材の内周に圧入し、円筒部材をケース内周に対してスプライン結合するので、ステータコアと円筒部材とは組み付け時と高温時の締め代変化が小さく、このため組み付け時の圧入力を大きくしなくても高温時に緩みが生じることがなく、したがって円筒部材の初期的変形量も小さくでき、また円筒部材の肉厚もそれだけ減少させられる。
【0016】
また、円筒部材とケースとをスプライン結合することにより、ステータのトルク反力を摩擦力ではなく、歯面で支持するので、過大な締め代とすることなく、確実に支持でき、ケースの変形を可及的に小さくすることができる。そして、スプライン部をステータコアの軸方向の外側に配置したので、剛性の高いステータコアを含むことなく、円筒部材とケースとの関係のみで組み付け時の嵌め合いを決定でき、ケースの変形量を抑制できる。
【0017】
また、第4の発明では、高温時においてもスプライン部に径方向の隙間が生じることがなく、ステータとロータとの間隙変動による出力特性の低下や振動の誘発も避けられる。
【0019】
第5、第6の発明では、円筒部材とケースとの間を冷却油で冷却することにより、ステータコイルの発熱を効率よく放出でき、冷却性能を高め、出力性能の低下を阻止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面にしたがって本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は本発明をモータユニットに適用した例であり、ケース内にはモータ部3と、減速機部7とが配置される。
【0022】
ケースの一部となるケース部材1にはモータ部3が収装されるが、その側面には減速機部7を収装したケース部材2が取付けられ、また反対側の側面には別のケース部材8としてのカバーが取付けられる。
【0023】
モータ部3はステータ5とロータ6とから構成され、ステータ5はケース部材1に固定され、ロータ軸6aはケース部材1の軸受1aとケース部材8の軸受8aとの間で回転自由に支持される。
【0024】
また、減速機部7は入力側ギヤ11aと出力側ギヤ11bから構成され、入力側ギヤ11aはケース部材1の軸受1bとケース部材2の軸受2aの間で、また、出力側ギヤ11bはケース部材1の軸受1cとケース部材2の軸受2bとの間で、それぞれ回転自由に支持されている。
【0025】
そしてモータ部3のロータ軸6aは減速機部7の入力側ギヤ11aと連結し、これによりモータ部3の出力が減速機部7に伝達されるようになっている。
【0026】
次に図2を参照して、ケース部材1に対するステータ5の固定構造について説明する。
【0027】
ステータ5は薄板状の電磁鋼板を積層したステータコア51にコイル50を巻装して構成される。ステータコア51は、ステータコア51と線膨張率のあまり異なることのない非磁性材料で形成された、円筒部材52の内周に焼き嵌めなどの圧入により固定される。好ましくは、円筒部材の52は、その線膨張率がステータコア51の線膨張率よりも大きく、かつケース部材1の線膨張率よりも小さい材料、例えばステンレスで形成される。
【0028】
円筒部材52はステータコア51よりも軸方向に長く形成され、その外周の両側には軸方向に延びる一対のスプライン部53aと53bが設けられ、同じくケース部材1の内周面にはこれらスプライン部53a、53bと係合するスプライン部53が形成され、円筒部材52はケース部材1に対してスプライン係合により固定される。
【0029】
ステータコア51の両端には、その内周面の延長上に延びる環状部材61a、61bを配置し、これら各環状部材61a、61bはケース部材1及び8との内周との間で、ステータ5の前後に、密閉された環状空間である冷媒室58と59とを画成する。冷媒室58には冷却油が供給され、この冷却油はステータコア51のステータコイル50を収装するステータスロットを経由して軸方向に流れ、冷媒室59へと導かれる。
【0030】
また、円筒部材52の外周部とケース部材1の内周部との間には、スプライン係合部分に位置して冷却通路54が形成され、冷媒室58の冷却油が冷却通路54を通して円筒部材52の右側端部に設けた切欠部54aから、冷媒室59へと排出されるようになっている。この場合、冷却油は、スプライン部53aの内径側隙間56から冷却通路54に流れ、さらに反対側のスプライン部53bの内径側隙間57を通り、切欠部54aへと達する。
【0031】
なお、スプライン部53aと53bの外径側は、スプライン部53の歯元面と隙間無く圧入され、これにより円筒部材52の軸方向への移動を阻止している。また、前記切欠部55は円筒部材52の端部に形成されるが、冷却通路54の空気抜きのために上方に設けることが望ましい。
【0032】
このように構成したので、まずステータコア51と円筒部材52とが焼き嵌め部分については、互いの線膨張差が小さいため、ステータコイル50の発熱によりステータコア51が高温になっても、組み付け時と高温時での締め代の変化が小さくなり、従来に比較して組み付け時の圧入力を小さくできる。このため円筒部材52の肉厚を薄くすることが可能で、ユニットの小型化ができる。
【0033】
次に円筒部材52とケース部材1とはスプライン係合により固定されるが、ステータ5のトルク反力を支持するためには、スプラインの噛み合い長さ(軸方向長さ)は、歯面の面圧、歯元の曲げ、剪断応力を満足すれば良いので、歯数を多くすることで必要最小限の長さでステータ5のトルク反力を支持できる。
【0034】
また、スプラインによる係合は、隙間を設けて軸方向に滑動させたり、締まり嵌めにして固定したり、諸条件を選択することにより、嵌め合いを管理できる。ケース部材1をアルミ合金で形成するので、高温になるほど隙間が広がることになるが、このため、高温時に隙間がゼロとなるように組み付け時(室温)の諸元を決定することにより、高温時にも径方向、円周方向に隙間が生じないようにすることができ、ロータ6との径方向ギャップが偏りを生じたり、がたつきによる振動騒音の発生も防止できる。
【0035】
さらに円筒部材52の外周に設けたスプライン部53a、53bをステータコア51の軸方向外側に配置したため、ケース部材1の歪み量を低減可能となる。
【0036】
円筒部材52とケース部材1とのスプライン結合部は、剛性の高いステータコア51から外れた外側にあるため、スプライン結合したときのケース部材1の変形量にステータコア51の剛性が直接関与しなくなる。なお、仮にステータコア51にスプラインを設けた場合、円筒部材52の肉厚にステータコア51の肉厚が加算された鉄系の部品と、アルミ合金のケース部材1の圧入となり、同じ締め代を確保しようとすると、本発明に比較してケース部材1の変形が増加することが容易に理解できる。
【0037】
両側のスプライン部53a53bのうち、片側をスプライン無しで圧入することも考えられるが、ステータ5のトルク反力を主としてスプライン側で受けるように設計しないと、スプライン無しの圧入部の締め代が大きくなり、結局はケース部材1の変形量が大きくなってしまう。また、上記したように、スプライン諸元については、所定のトルク反力を支持するのに、モジュールを小さく、歯数を多くすれば、円筒部材52とケース部材1の肉厚を小さくできるので、ユニット全体の小型化にとって有利である。
【0038】
さらにステータ5の発熱するステータコイル50については、ステータコア51の前後に設けた冷媒室58と59の間において、冷却油が円筒部材52外周とケース部材1内周との間の冷却通路54を流れ、またステータスロット内を軸方向に流れ、これらにより効果的に放熱冷却することができる。
【0039】
この場合、円筒部材52の外周とケース部材1の内周との間に冷却油を流すことにより、ステータコイル50の熱を円筒部材52から冷却油を経由してケース部材1へと放熱でき、単に空気層とするよりも放熱性が著しく向上する。
【0040】
上記した実施形態では、本発明をモータユニットに適用したが、発電機ないし発電機ユニットに適用することももちろん可能である。
【0041】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内において、さまざまな変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】その一部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ケース部材
2 ケース部材
3 モータ部
5 ステータ
6 ロータ
7 減速機部
8 ケース部材
50 ステータコイル
51 ステータコア
52 円筒部材
53 スプライン部
53a、53b スプライン部
54 冷却通路
55 切欠部
58 冷媒室
59 冷媒室
Claims (6)
- ケース内部にステータが固定され、
ステータの内周側でロータが回転自由に支持されている回転電機において、
円筒部材の内周にステータコアを圧入により固定し、
前記円筒部材を非磁性材でかつ線膨張率が前記ステータコアに近い材料で形成し、
前記ステータコアよりも軸方向に長く形成した前記円筒部材の軸方向の両側に一対のスプライン部を設け、
これらスプライン部がケース内周のスプライン部とスプライン結合すると共に、前記一対のスプライン部はステータコアよりも軸方向の外側にそれぞれ配置されることを特徴とする回転電機。 - 前記ケースは互いに結合される少なくとも2つのケース部材から構成され、前記ロータのロータ軸の一端が一方のケース部材、他端が他方のケース部材に支持されている請求項1に記載の回転電機。
- 前記円筒部材の線膨張率はステータコア材料よりも大きく、かつケース材料よりも小さい請求項1または2に記載の回転電機。
- 前記スプライン結合は高温時の径方向隙間がほぼゼロとなるように組み付け時の嵌め合いを決定する請求項1〜3のいずれか一つに記載の回転電機。
- 前記ケース内周のスプライン部と円筒部材外周のスプライン部との間に冷却通路を形成し、この冷却通路に冷却油を導くようにした請求項1〜4のいずれか一つに記載の回転電機。
- 前記ケースの内部にはステータの両端に位置して環状の冷媒室を区画形成し、これら冷媒室に導いた冷却油が前記冷却通路に流れるようにした請求項5に記載の回転電機。
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