JP5754324B2 - 回転電機のロータおよびロータの形成方法 - Google Patents
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Description
この従来技術によれば、エンドプレートの外周部にテーパ部が形成されているため、エンドプレートに貫通させたピンをかしめることによりテーパ部がロータコアを押圧し、エンドプレートによってロータコアを強固に保持することができる。
一方、取付ボルトの締め付けトルクにより、取付ボルトの頭部からエンドプレートに対して所定の押圧荷重が働く。したがって、エンドプレートにおけるボルト孔の周辺は、取付ボルトの頭部からの荷重に耐え得るだけの強度を必要としている。
ところが、上述したエンドプレートのボルト孔は、プレス機によって、パンチを板材の厚み方向に貫通させて形成されるため、ボルト孔のパンチが進入した側の端部にはプレスだれが発生する。この場合のプレスだれとは、ボルト孔の端部内周面がエッジ状でなくなり、略R面取り形状となることをいう。
したがって、エンドプレートの双方の面のうち、ボルト孔にプレスだれが発生した側の面から取付ボルトが挿入されると、取付ボルトの頭部からの押圧荷重を、エンドプレートの少ない面積によって受けなければならないことになる。これによって、エンドプレートのボルト孔付近には過大な応力が発生し、エンドプレートの部分的な変形によって取付ボルトの締め付けが緩むことが考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端面プレートと出力部材とを強固に連結することができる回転電機のロータおよびロータの形成方法を提供することにある。
これにより、エンドプレートの挿通穴周辺において、連結部材の頭部により押圧される面側にプレスのダレが存在しないため、連結部材からの押圧荷重を受ける面積を大きくすることができ、エンドプレートにおける発生応力を低減できる。したがって、エンドプレートの変形による連結部材の緩みを防ぎ、エンドプレートと出力部材とを強固に連結することができる。
また、エンドプレートの外周端部において、コア体を押圧する側にプレスのダレが存在しないため、エンドプレートにおけるコア体を押圧する面積が減少することがなく、ロータの回転による遠心力にかかわらず、エンドプレートがコア体を強固に保持することができる。
また、挿通穴の端部のプレスのダレと内周端部のプレスのダレとを、エンドプレートの両面に分散させることができるため、挿通穴と内周端部との間の肉厚の減少を防ぐことができ、連結部材の頭部の押圧にかかわらず、エンドプレートが変形することを防ぐことができる。
また、エンドプレートの外周端部および内周端部を同時にプレス成形するため、互いの間の相対位置精度を向上させることができる。
本実施形態による電動モータ1(回転電機に該当する)は、ハイブリッド車両の車輪駆動用の同期モータであって、エンジンと接続されたクラッチ装置7とトランスミッションとの間に介装されている(エンジンとトランスミッションは図示せず)。しかしながら、本発明はこれに限定されるべきものではなく、家庭用電器に設けられるモータあるいは一般的な産業用機械を駆動するモータといった、あらゆる電動モータに適用することが可能である。
尚、説明中において回転軸方向あるいは軸方向という場合、特に断らなければ、電動モータ1の回転軸Cに沿った方向、すなわち図1における左右方向を意味する。また、図1において、左方を電動モータ1およびクラッチ装置7の前方といい、右方を後方という。
また、電動モータ1を構成するロータ4とエンジンとの間には、湿式多板クラッチであるクラッチ装置7が介装されている。クラッチ装置7は、エンジン、電動モータ1およびトランスミッションの回転軸でもある回転軸Cを中心に回転する。
クラッチインナ72の外周面には、複数の駆動ディスク73が、クラッチインナ72に対し回転軸C方向に移動可能で、かつ、クラッチインナ72とともに回転可能に係合している。各々の駆動ディスク73の表裏面には、摩擦材(図示せず)が形成されている。
また、ステータ3の半径方向内方には、電動モータ1のロータ4が配置されている。ロータ4は、ステータ3と所定のギャップを保持しながら対向するように設けられている。ロータ4は、複数の積層鋼板42(本発明のコア板に該当する)が、回転軸C方向に積層されて形成されたコア体41を含んでいる。コア体41は、一対の板状のエンドプレート43a、43bにより積層方向の両端面を挟まれた状態で、エンドプレート43a、43bとともに締結ピン44が貫通されて、その端部がかしめられることにより保持されている。また、ロータ4の円周上には、複数の界磁極用マグネット45が設けられている。
また、ドラム部材48には回転位置センサ47の可動体471が形成されており、可動体471と対向するように固定壁211に設けられた検出体472により、ドラム部材48が取り付けられたロータ4の回転位置が検出されている。
また、プランジャ部材77の外周端には、軸方向に延びた押圧部771が形成され、押圧部771の内周面および収容部483に対し、固定部材78が液密的に嵌合している。固定部材78は、図2における左方には移動不能に形成されている。これにより、収容部483、プランジャ部材77および固定部材78とによって、圧力室PCが形成されている。
図2に示すように、エンドプレート43aの押圧面PSによりコア体41の端面を押圧した状態で、締結ピン44をコア体41とともにエンドプレート43aに(他方のエンドプレート43bにも)貫通させた後、締結ピン44の両端部がかしめられている。これにより、双方のエンドプレート43a、43bによってコア体41が保持されている。
外形プレス用ダイス51上に載せられた板材61は、外周端打抜部551、ピン穴打抜部552および内周端打抜部553を含んだ外形用パンチ55によって、図3において上方より(第1方向に該当する)プレスされる。外形用パンチ55は、外周端打抜部551、ピン穴打抜部552および内周端打抜部553を、それぞれ外周端形成孔511、ピン穴形成孔512および内周端形成孔513に嵌入させることにより板材61をプレスして、外周端435、ピン穴433および内周端436を同時に形成して中間部材62とする(図4示)。外形用パンチ55によってプレスされることにより、外周端435、ピン穴433の端部433aおよび内周端436には、一方の面(対向面VSとなる面)にダレが発生する。
尚、ドラム部材48に接続されていない側のエンドプレート43bについても、図3および図4に示されたものと同様の工程により、板材61を対向面VS側からプレスして、外周端435、内周端436およびピン穴433を形成してもよい。
また、エンドプレート43aの内周端436は、外周端435を形成する場合と同じ方向から板材61をプレスすることにより形成されるため、ボルト孔434の端部434aのプレスのダレと内周端436のプレスのダレとを、エンドプレート43aの両面に分散させることができる。このため、ボルト孔434と内周端436との間の肉厚(図2においてHにて示す)の減少を防ぐことができ、連結ボルト46の頭部461の押圧にかかわらず、エンドプレート43aが変形することを防ぐことができる。
また、エンドプレート43aの外周端435、内周端436およびピン穴433を同時にプレス成形するため、それぞれの間の相対位置精度を向上させることができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
一方のエンドプレート43aのみをドラム部材48と連結するのではなく、双方のエンドプレート43a、43bを同じ構造にして、それぞれをドラム部材48と連結してもよい。
また、エンドプレート43aをドラム部材48と連結する場合、連結ボルト46をエンドプレート43aとドラム部材48とに貫通させた後、ドラム部材48側に配したナット部材に締め付けるようにしてもよい。
また、エンドプレート43aとドラム部材48との間に、ワッシャあるいはカラー等を介装させた状態で、双方を連結させてもよい。
また、ボルト孔434、外周端435、内周端436およびピン穴433を形成するプレス工程の順位は、どのように変更しても構わない。
また、本発明による電動モータ1は、同期モータ、誘導モータ、直流モータあるいはそれ以外のあらゆる回転電機に適用可能である。
また、本発明による電動モータ1は、電動機としてのみ使用してもよいし、発電機としてのみ使用してもよい。
Claims (7)
- ステータに対向して設けられ、ハウジングに回転可能に取り付けられた回転電機のロータであって、
回転軸方向に複数のコア板が積層されて形成されたコア体と、
前記コア体の積層方向の両端面を挟持する一対のエンドプレートと、
前記エンドプレートのうちの少なくとも一方に接続された出力部材と、
を備え、
少なくとも一方の前記エンドプレートは、前記コア体を押圧する当接部と、前記当接部から前記回転軸に向かって延びる連結部とを具備するとともに、前記連結部には前記エンドプレートと前記出力部材とを連結する連結部材の挿入を許容する挿通穴が貫通しており、前記挿通穴を形成するときに形成される曲面部分に繋がる第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有し、
少なくとも一方の前記エンドプレートの外周端部と前記挿通穴とは、ともに板材を厚み方向にプレス成形することによって形成され、前記外周端部を形成するプレス方向は前記挿通穴を形成するプレス方向と異なり、
前記エンドプレートの前記第1面が前記コア体の面および前記出力部材の面と対向し、前記エンドプレートの前記第2面が前記連結部材の面に接する回転電機のロータ。 - 前記エンドプレートの内周端部は、前記外周端部を形成するプレス方向と同じ方向から前記板材をプレスすることにより形成される請求項1記載の回転電機のロータ。
- 一対の前記エンドプレートの前記当接部には、それぞれ締結ピンが挿入されるピン穴が貫通しており、前記締結ピンを前記コア体とともに双方の前記エンドプレートの前記ピン穴に貫通させた後、前記締結ピンの両端部をかしめることにより、前記エンドプレートによって前記コア体が保持されており、
前記ピン穴は、前記外周端部を形成する場合と同じ方向から前記板材をプレスすることにより形成される請求項1または2に記載の回転電機のロータ。 - 前記連結部において、前記第1面と対向するように前記出力部材が配置された状態で、前記挿通穴から前記連結部材を挿入して前記出力部材に対して締め付けることによって、前記エンドプレートと前記出力部材とが連結される請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の回転電機のロータ。
- ステータに対向して設けられ、ハウジングに回転可能に取り付けられた回転電機のロータの形成方法であって、
回転軸方向に複数のコア板を積層してコア体を形成する工程と、
曲面部分を有する少なくとも1つの端部と、ピン穴とを形成するために第1方向から板材をプレスし、中間部材を形成する工程と、
前記曲面部分に繋がる前記中間部材の第2面を下方にし、前記第1方向とは異なる第2方向から前記中間部材をプレスして、連結部材の挿通を許容する挿通穴を形成し、前記中間部材の前記第2面の反対側に位置し前記コア体を押圧する第1面を有する当接部と、前記挿通穴を有し前記当接部から前記回転軸に向かって延びる連結部と、を備えるエンドプレートを形成する工程と、
前記第1面が前記コア体の端面を押圧する状態で、前記コア体とともに前記エンドプレートの前記ピン穴に貫通させたピンをかしめることにより、前記コア体および前記エンドプレートを連結する工程と、
前記連結部の第1面に出力部材が当接した状態で、前記連結部材を前記エンドプレートの前記挿通穴から挿通させた後、前記連結部材を締め付けることにより前記コア体、前記エンドプレートおよび前記出力部材を連結する工程と、
を含む回転電機のロータの形成方法。 - 前記エンドプレートは環状を成し、前記エンドプレートの前記端部は、内周端部および外周端部である請求項5記載の回転電機のロータの形成方法。
- 前記エンドプレートの内周端部は、前記外周端部を形成する場合と同時に、同じ方向から前記板材をプレスすることにより形成される請求項6記載の回転電機のロータの形成方法。
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