JP3800777B2 - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂「溶銑予備処理技術」に係わり、詳しくは、予め脱燐処理した溶銑に、引き続き脱硫処理を施し、転炉等への装入前に燐及び硫黄含有率が共に低い溶銑を、安定して、且つ安価に得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、溶銑の脱硫を高い脱硫効率で行うには、石灰系脱硫剤に、脱硫反応生成物のスラグ化を促進する滓化剤(例えば、アルミナ、螢石等)を添加し、形成したスラグの安定を図るようにしている。具体的には、特開平3−243714号公報、特開平2−19408号公報及び特開昭55−110711号公報が、「石灰系脱硫剤として炭酸カルシウム及び/又は生石灰を主成分とし、滓化剤には所定量のアルミナ粉、あるいは螢石とアルミナ粉の混合物を採用すると共に、これら脱硫剤と滓化剤を、混合物としてあるいは別々に、脱硫対象の溶銑を保持した容器(例えば、取鍋、トピード・カー等)に投入する(事前投入も含む)」という脱硫方法を開示している。
【0003】
ところで、予め脱燐処理した溶銑に、引き続いて脱硫処理を施すにあたり、上記脱硫方法を適用したところ、脱硫剤に螢石、アルミナ等の造滓剤を混合して添加すると、高い脱硫能が得られ、所望の硫黄含有量を有する溶銑が得られた。しかしながら、その反面、以下に示すような2つの問題が別途生じた。
その一つは、脱硫効率を上昇させるために、通常、溶銑に(アルミ+アルミナ粉)等からなる脱酸剤を添加するが、この脱酸剤で脱燐で生じた酸素ポテンシャルの高い共存スラグも脱酸されることに起因する問題である。すなわち、該スラグ中の酸化燐が還元され、溶銑中の燐濃度が上昇したのである(所謂復燐現象が起きた)。これでは、予め脱燐したことが無駄になってしまう。また、本発明者の検討によれば、この複燐現象は、脱燐を十分に行うほど激しく、溶銑中の燐濃度を0.060重量%以下にまで低下させた場合に、特に著しいことも明らかになった。
【0004】
もう一つの問題は、脱燐及び脱硫反応によって形成されたスラグが、使用容器の内張り耐火物の損耗(1回受銑当たりの損耗量で評価)を増大させ、該容器の寿命を短くすることであった。つまり、脱硫コストの増大を招くという経済的な問題を引き起こしたのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、予め脱燐した溶銑を引き続き脱硫しても、復燐を起こさず、且つ使用容器の内張り耐火物を損耗させない溶銑の脱硫方法を提案することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、脱燐後の酸素ポテンシャルの高いスラグと共存する溶銑の脱硫処理について鋭意研究し、復燐の抑制及び使用容器の内張り耐火物の損耗防止には、脱硫に際しスラグの酸素ポテンシャルを適切に調整する必要性を痛感した。そして、この考えを、脱硫時に脱酸剤として添加するアルミニウムとアルミナの混合物の量に着眼することで具現化し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、予め脱燐した溶銑を、該脱燐で生成したスラグを共存させて、引き続き脱硫するにあたり、炭酸カルシウム及び/又は生石灰を主成分とし、それにアルミニウムとアルミナの混合物を1重量%超え6重量%未満添加した脱硫剤を用いることを特徴とする溶銑の脱硫方法である。
また、本発明は、前記アルミニウムとアルミナの重量比を20/80超え40/60未満としたり、あるいは前記アルミニウムとアルミナの混合物がアルミ灰であることを特徴とする溶銑の脱硫方法である。
【0008】
さらに、本発明は、前記脱燐で、溶銑中の燐濃度を0.060重量%以下にしておくことを特徴とする溶銑の脱硫方法である。
加えて、本発明は、前記脱硫剤を、溶銑中にキャリア・ガスで吹き込むことを特徴とする溶銑の脱硫方法でもある。
本発明によれば、予め脱燐処理した溶銑、とりわけ、溶銑燐濃度を0.060%以下まで脱燐したトピードカー内の溶銑を脱硫するに際し、脱硫剤に添加するアルミナとアルミニウムの混合物の重量比率を2〜4重量%にするようにしたので、高い脱硫効率を得るだけでなく、スラグの還元によって危惧される復燐を抑止できるようになる。その結果、使用容器の内張り耐火物の損耗を従来の脱硫剤使用の場合と同等で、燐及び硫黄含有量の低い溶銑を、製鋼前に安定して得ることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯もまじえ、本発明の実施形態を説明する。
図6は、従来の脱硫剤で、予め脱燐された溶銑を脱硫した時の脱硫量ΔS(脱硫前の硫黄、Si −脱硫後の硫黄、Sf )と、予備脱燐するために使用した酸素原単位との関係を示したものである。なお、該脱燐では、CaO,CaF2 等のフラックスと、酸化鉄やマンガン鉱石等の酸化剤からなる脱燐剤に加えて気体酸素の吹込みを行っているので、酸素原単位は、溶銑トン当たりの(気体酸素量+酸化剤の解離酸素量)で評価している。図6より、溶銑の予備脱燐時に酸素原単位が6Nm3 /t−pig以上になるほど酸素を使用した場合、生成するスラグ中の酸素ポテンシャルが上昇するため、そのスラグを共存させて次工程で脱硫させると、使用する脱硫剤の1kg/t−pigあたりの脱硫量ΔSは減少することが明らかである。したがって,発明者は、このように酸素ポテンシャルの高いスラグと共存させた状態で脱硫するには、該スラグの酸素ポテンシャルを低下させることが必要と考えた。
【0010】
そして、従来から使用している脱硫剤に、スラグを還元するアルミニウムを添加することを着想し、その適切な添加量を求めることに鋭意努力した。
まず、現在使用中の脱硫剤(生石灰+炭酸カルシウム+螢石混合品)に、アルミ灰(Al分として30重量%、残部アルミナ)を、上記脱硫剤に3重量%になるよう添加し、それによって予備脱燐(酸素原単位6.0〜9.0Nm3 /t−pig)後の溶銑の脱硫を行った。その結果を、脱硫反応効率、ここではln(Si /Sf )と3重量%のアルミ灰含有脱硫剤との関係で図1に示す。図1により、かかるアルミニウム入りの脱硫剤を使用すると、従来の平均脱硫剤使用量(9.3kg/t−pig)に対して4.0kg/t−pigと、5.3kg/t−pigだけ脱硫剤使用量が削減できることがあきらかになった。
【0011】
次に、脱硫剤中のアルミ灰含有量を種々変化させた脱硫を行い、図2に示す結果を得た。図2は、アルミ灰含有率と脱硫反応効率との関係を示したものである。この図2より、アルミ灰の添加濃度が1重量%超えでは、脱硫反応効率が著しく向上してほぼ一定レベルで飽和していることがわかる。また、この脱硫時に、課題とした復燐がどのようになるかを、アルミ灰3重量%含有の脱硫剤の添加量を変更して調査した。その結果を図3に示すが、それは、アルミ灰入り脱硫剤の使用で復燐が抑制できる可能性を示唆している。データの上では、平均すると従来の脱硫剤に対して0.005重量%だけ、脱燐する側にある。
【0012】
そこで、発明者は、この脱硫剤の使用原単位を8kg/t−pigと一定にして、アルミ灰の混合比率と復燐量との関係を調査した。その結果を図4に示すが、アルミ灰の混合比率が6重量%未満の脱硫剤を使用すると、復燐は起きないことがわかった。従って、上記図2及び図3の結果から、予備脱燐後の溶銑を、脱燐スラグの共存の下で脱硫させるには、従来から使用している炭酸カルシウム系の脱硫剤にアルミニウム及びアルミナ粉を、1重量%超え6重量%未満の範囲になるように添加するのが良いことがわかった。
【0013】
さらに、このアルミ灰入り脱粒剤を使用した時に、使用容器の内張り耐火物の溶損が如何になるかを調べ、その結果を図5に整理した。図5より、アルミ灰の混合比率が8重量%以上では、該容器の1回受銑当りの耐火物損耗量(mm/チャージ)が増大するが、それ未満では、従来の脱硫剤使用時とほぼ同等であることがわかった。つまり、アルミニウムとアルミナの混合物を1重量%超え6重量%未満添加した脱硫剤を使用して、耐火物に対して悪影響を与えずに、溶銑脱硫ができることを確認し、この方法を本発明としたのである。
【0014】
なお、本発明では、添加するアルミニウムとアルミナの重量比率が40%以上の場合、脱硫時に早期から滓化剤として作用するアルミナの重量比率が少ない(60%)ため、脱燐後のスラグを滓化することができなくなる。このため、本発明の実施で見られた脱燐反応は起こらず(スラグを滓化することによって脱燐時に吹き込んだ未反応の酸化鉄が反応することができ難い、むしろ復燐する傾向にある。一方、アルミニウムの重量比率が20%以下では、残りのアルミナ重量%が80重量%超えであるため、滓化作用が強いことから脱燐作用はあるが、スラグを酸化させる能力が小さいために、脱硫効率は増大しない。以上2つの理由により、本発明では、アルミニウムとアルミナの重量比率を20/80超え40/60未満としたのである。
【0015】
【実施例】
以下に、本発明に係る溶銑の脱硫方法の実施例及び比較例を説明する。
予め脱燐した溶銑を260トンを、そのスラグと共にトピード・カーに収容し、吹込み用ランスを介して脱硫剤を、キャリア・ガス(窒素ガス)でもって該溶銑中に吹き込んだ。その際、脱硫剤としては、本発明に係るアルミ灰を3重量%を含むものと、それ以上の7重量%を含むものを使用した。
【0016】
これらの操業の条件及び成績を表1に一括して示す。
表1より明らかなように、単位脱硫剤あたりの脱硫量は、2.1〜2.5(×0.001重量%/kg/t−溶銑)と大きい。これに対して、アルミナ、アルミニウムを含まない脱硫剤(従来品)を使用した表2の結果からは、単位脱硫剤当たりの脱硫量は、0.8〜1.1(×0.001重量%/kg/t−溶銑)と小さいことが明らかである。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、脱燐後の溶銑を、引き続きスラグ共存の下で脱硫させても、復燐を起こすことなく高い脱硫率を得ることが可能となった。また、その際、脱硫と同時に脱燐をも進行させることができた。さらに、使用容器の内張り耐火物の溶損は、従来と同じ程度に抑えることもできた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶銑の脱硫方法と従来法とによる脱硫効率を比較した図である。
【図2】脱硫効率に及ぼす脱硫剤中へのアルミ灰混合量の影響を示す図である。
【図3】溶銑脱硫中における脱燐量と脱硫剤の使用原単位との関係を示す図である。
【図4】脱硫剤中のアルミ灰混合比率と復燐量との関係を示す図である。
【図5】脱硫剤中のアルミ灰混合比率と使用容器の耐火物損耗量との関係を示す図である。
【図6】予備脱燐での酸素原単位とその後の脱硫における脱硫量との関係を示す図である。
Claims (5)
- 予め脱燐した溶銑を、該脱燐で生成したスラグを共存させて、引き続き脱硫するにあたり、
炭酸カルシウム及び/又は生石灰を主成分とし、それにアルミニウムとアルミナの混合物を1重量%超え6重量%未満添加した脱硫剤を用いることを特徴とする溶銑の脱硫方法。 - 前記アルミニウムとアルミナの重量比を20/80超え40/60未満とすることを特徴とする請求項1記載の溶銑の脱硫方法。
- 前記アルミニウムとアルミナの混合物がアルミ灰であることを特徴とする請求項1又は2記載の溶銑の脱硫方法。
- 前記脱燐で、溶銑中の燐濃度を0.060重量%以下にしておくことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶銑の脱硫方法。
- 前記脱硫剤を、溶銑中にキャリア・ガスで吹き込むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶銑の脱硫方法。
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