JP3800673B2 - 固体撮像装置およびその駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像装置およびその駆動方法に関し、特に電子スチルカメラ等に用いて好適な固体撮像装置およびその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオカメラ等に使用されている従来の固体撮像装置、例えばCCD(Charge Coupled Device) 固体撮像装置は、インターレース方式の出力信号を発生するために、図12に示すように、センサ部101において1/60秒(1フィールド相当期間)だけ蓄積し、各センサ部101から読み出した信号電荷を垂直CCD102中において垂直方向で隣り合う2画素間で混合し、また混合する垂直2画素の組み合わせを奇数フィールドと偶数フィールドとで変えるいわゆるフィールド読み出し方式によってインターレース走査を実現していた。
【0003】
このフィールド読み出し方式の場合、各画素における信号電荷の蓄積時間が1/60秒であり、図13に示すように、1/30秒の蓄積時間で偶数ラインの画素の信号電荷のみ、あるいは奇数ラインの画素の信号電荷のみを読み出すいわゆるフレーム読み出し方式の場合と比較して蓄積時間が半分であるため、動画像の撮像を良好に行うことができるという利点がある反面、垂直2画素の信号電荷を混合しているため垂直解像度が低いという欠点がある。したがって、高解像度が要求される電子スチルカメラの撮像方式としては適していない。
【0004】
このため、電子スチルカメラでは、撮像素子としてメカニカルシャッタを使用したフレーム読み出し方式固体撮像装置、あるいは図14に示すように各画素の信号電荷を垂直CCD中で混せずに独立に読み出すいわゆる全画素読み出し方式CCD固体撮像装置が用いられている。これらの方式の固体撮像装置によれば、垂直解像度の低下を防止することはできるが、撮像信号を出力するためには、画素数が同じ場合に、フィールド読み出し方式固体撮像装置の2倍の時間を必要とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
電子スチルカメラの場合、撮影時にピントを合わせたり、撮影時のカメラアングルを調整するために、撮像画像を表示するモニタ、例えば液晶モニタを設けることが多い。この液晶モニタは、1/60秒のノンインターレース走査で画像を表示するのが一般的である。したがって、1/30秒周期の撮像信号をそのまま液晶モニタに供給すると、図15に示すように、表示画像の歪が発生する問題がある。
【0006】
この問題を回避するためには、図16に示すように、液晶(LCD)モニタ111に対してV(ビデオ)RAM(あるいはフレームメモリ)112を設け、このVRAM112でフレームレートを変換する必要がある。すなわち、VRAM112に1/30秒周期の撮像信号を供給する一方、このVRAM112から1/60秒周期のノンインターレース信号を導出し、これを液晶モニタ111に与える構成を採ることになる。
【0007】
このように、全画素読み出し方式固体撮像装置は、垂直解像度が高いという点で、電子スチルカメラの撮像素子として好適である反面、通常のテレビジョンモニタに撮像画像を表示するのにVRAMあるいはフレームメモリが必要となるため、電子スチルカメラのコスト上昇を招くという問題があった。さらに、電子スチルカメラは自動焦点制御装置、自動アイリス制御装置、自動ホワイトバランス制御装置等の自動制御装置を備えているので、撮像素子の出力信号の周期が長いことは、これらの自動制御の応答を遅くするという問題があった。
【0008】
上述した問題を解決する方法の一つとして、撮像素子の出力信号のデータレートを高くする方法が考えられる。しかしながら、撮像素子の出力信号のデータレートを高くするためには、サンプリングレート変換器を設ける必要があり、またクロック周波数が高くなるのに伴って、消費電力の増大、使用部品のコストの上昇、S/Nの劣化等の新たな問題が生じることになる。したがって、撮像信号のデータレートを上げるのは、好ましい方法とは言えない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、駆動系の構成を変更するのみの簡単な構成にて、より高速な撮像信号を得ることが可能な固体撮像装置およびその駆動方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体撮像装置は、行列状に配列されて光電変換を行う複数のセンサ部と、これらセンサ部の各々に対応して設けられ、各センサ部で光電変換された信号電荷を読み出す読み出しゲート部と、この読み出しゲート部によって読み出された信号電荷を垂直転送する垂直転送部と、この垂直転送部から移された信号電荷を水平転送する水平転送部とを具備する固体撮像素子と、
所定の繰り返し単位の前記読み出しゲート部に読み出しパルスを印加して複数のセンサ部のうちの垂直方向の一部のみから信号電荷を読み出すことで、垂直転送部中に信号電荷を含むパケットと当該パケットの転送方向の後方に信号電荷を含まない空パケットとを存在させるとともに、互いに逆相の垂直転送クロック対の組み合わせによって垂直転送部を駆動しかつ垂直転送部中の信号電荷を含むパケットの情報とその後方の少なくとも1つの空パケットの情報とを前記水平転送部で混合すべく駆動する駆動系とを備えた構成となっている。
【0011】
本発明による駆動方法は、行列状に配列されて光電変換を行う複数のセンサ部と、これらセンサ部の各々に対応して設けられ、各センサ部で光電変換された信号電荷を読み出す読み出しゲート部と、この読み出しゲート部によって読み出された信号電荷を垂直転送する垂直転送部と、この垂直転送部から移された信号電荷を水平転送する水平転送部とを具備する固体撮像素子を有する固体撮像装置において、
所定の繰り返し単位の前記読み出しゲート部に読み出しパルスを印加して前記複数のセンサ部のうちの垂直方向の一部のみから信号電荷を読み出すことで、前記垂直転送部中に信号電荷を含むパケットと当該パケットの転送方向の後方に信号電荷を含まない空パケットとを存在させ、
次いで、互いに逆相の垂直転送クロック対の組み合わせによって前記垂直転送部を駆動し、前記垂直転送部中の信号電荷を含むパケットの情報とその後方の少なくとも1つの空パケットの情報とを水平転送部で混合する。
【0012】
上記構成の固体撮像装置およびその駆動方法において、所定の繰り返し単位の読み出しゲート部に読み出しパルスを印加し、複数のセンサ部のうちの垂直方向の一部のみから信号電荷を読み出すことで、特定のラインの画素の信号電荷のみを読み出す。これにより、垂直転送部中に信号電荷を含むパケットとその転送方向の後方に信号電荷を含まない空パケットとが存在する。そして、互いに逆相の垂直転送クロック対の組み合わせによって垂直転送部を駆動することで、垂直転送クロックのオーバーラップ期間を長くとった状態で垂直転送が行われ、水平転送部では垂直転送部中の信号電荷を含むパケットの情報とその後方の少なくとも1つの空パケットの情報とが混合される。これにより、出力する撮像信号のライン数が減り、より高速の撮像信号が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態では、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像素子に適用した場合を例に採って説明するものとする。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図である。図1において、行(垂直)方向および列(水平)方向にマトリクス状に配列され、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する複数のセンサ部11と、これらセンサ部11の垂直列ごとに設けられ、各センサ部11から読み出しゲート部12によって読み出された信号電荷を垂直転送する複数本の垂直CCD13とによって撮像エリア14が構成されている。
【0015】
この撮像エリア14において、センサ部11は例えばPN接合のフォトダイオードからなっている。このセンサ部11に蓄積された信号電荷は、読み出しゲート部12に後述する読み出しパルスが印加されることにより垂直CCD13に読み出される。垂直CCD13は、例えば4相の垂直転送クロックφV1〜φV4によって転送駆動され、読み出された信号電荷を水平ブランキング期間の一部にて1走査線(1ライン)に相当する部分ずつ順に垂直方向に転送する。
【0016】
ここで、垂直CCD13において、1相目および3相目の転送電極は、読み出しゲート部12のゲート電極を兼ねている。このことから、4相の垂直転送クロックφV1〜φV4のうち、1相目の転送クロックφV1と3相目の転送クロックφV3が低レベル(以下、“L”レベルと称す)、中間レベル(以下、“M”レベルと称す)および高レベル(以下、“H”レベルと称す)の3値をとるように設定されており、その3値目の“H”レベルのパルスが読み出しゲート部12の読み出しパルスとなる。
【0017】
撮像エリア14の図面上の下側には、水平CCD15が配されている。この水平CCD15には、複数本の垂直CCD13から1ラインに相当する信号電荷が順次転送される。水平CCD15は、例えば2相の水平転送クロックφH1,φH2によって転送駆動され、複数本の垂直CCD13から移された1ライン分の信号電荷を、水平ブランキング期間後の水平走査期間において順次水平方向に転送する。
【0018】
水平CCD15の転送先の端部には、例えばフローティング・ディフュージョン・アンプ構成の電荷電圧変換部16が設けられている。この電荷電圧変換部17は、水平CCD15によって水平転送されてきた信号電荷を順次電圧信号に変換して出力する。この電圧信号は、被写体からの光の入射量に応じたCCD出力OUTとして導出される。以上により、インターライン転送方式のCCD固体撮像素子10が構成されている。
【0019】
このCCD固体撮像素子10を駆動するための垂直転送クロックφV1〜φV4および水平転送クロックφH1,φH2を含む各種のタイミング信号は、タイミングジェネレータ17で生成される。このタイミングジェネレータ17において、垂直転送クロックφV1〜φV4については、第1の動作モード、即ち一例として各フィールドごとに垂直方向において1画素おきに信号電荷を読み出すフレーム読み出し動作モードと、第2の動作モード、即ち特定のラインの信号電荷のみを読み出すいわゆるライン間引き動作モードとを選択できるように、各動作モードに対応した2系統の垂直転送クロックφV11〜φV14,φV21〜φV24が生成される。
【0020】
2系統の垂直転送クロックのうち、フレーム読み出し動作モード用垂直転送クロックφV11〜φV14は、図2(A)示すように、互いにπ/2だけ位相がずれた負の垂直転送クロックφV11,φV12と、この垂直転送クロックφV11,φV12の各々の立ち下がりよりもπ/4だけ早く立ち上がりかつ各々の立上がりよりもπ/4だけ遅く立ち下がる正の垂直転送クロックφV13,φV14として生成される。
【0021】
一方、ライン間引き動作モード用垂直転送クロックφV21〜φV24は、図2(B)に示すように、互いにπ/2だけ位相がずれた負の垂直転送クロックφV21,φV22と、この垂直転送クロックφV21,φV22の各々と逆相の正の垂直転送クロックφV23,φV24として生成される。すなわち、互いに逆相の垂直転送クロックφV21とφV23が対になり、φV22とφV24が対になる。なお、図2は、ラインシフト期間における波形図である。
【0022】
この2系統の垂直転送クロックφV11〜φV14,φV21〜φV24は、信号切り換え回路18に供給される。信号切り換え回路18は、外部から与えられるモード信号に応じて、2系統の垂直転送クロックφV11〜φV14,φV21〜φV24のいずれか一方を選択し、実際に垂直CCD13を駆動する垂直転送クロックφV1〜φV4としてCCD固体撮像素子10に与える。具体的には、モード信号がフレーム読み出し動作モードを示す場合には垂直転送クロックφV11〜φV14を選択し、モード信号がライン間引き動作モードを示す場合には垂直転送クロックφV21〜φV24を選択する。
【0023】
図3は、撮像エリア14の具体的な構成の一例を示す平面パターン図であり、図4にそのX‐X′矢視断面を示す。先ず、垂直CCD13は、N型基板21上にP型ウェル22を介して形成されたN型不純物からなる転送チャネル23と、この転送チャネル23の上方にその転送方向に繰り返して配列された4相の転送電極24-1〜24-4とから構成されている。
【0024】
これらの転送電極24-1〜24-4において、2相目の転送電極24-2と4相目の転送電極24-4が1層目のポリシリコン(図中、一点鎖線で示す)によって形成され、1相目の転送電極24-1と3相目の転送電極24-3が2層目のポリシリコン(図中、二点鎖線で示す)によって形成された2層電極構造となっている。なお、転送電極24-1〜24-4の材質は、必ずしもポリシリコンに限定されるものではない。
【0025】
また、1相目,3相目の転送電極24-1,24-3の下方の領域において、信号電荷の転送方向(図4の左側から右側への方向)の上流側の略半分の領域の基板表面側にはP-型の不純物層25が形成されている。これにより、1相目,3相目の転送電極24-1,24-3の下方の領域の転送チャネル23には、信号電荷の転送方向に向けて下る傾斜のポテンシャル勾配が形成される。その結果、転送電極24-1,24-3の下に転送された信号電荷は、そのポテンシャル勾配によって転送電極24-2,24-4の下に徐々に移動する。
【0026】
転送電極24-1〜24-4を形成する1層目,2層目のポリシリコン層には、センサ部11上において、ポリシリコン開口部26が設けられている。また、転送電極24-1〜24-4の上方は、アルミニウムからなる遮光膜27によって覆われている。この遮光膜27には、センサ部11上において、ポリシリコン開口部26よりも内側にセンサ開口28が形成されている。この遮光膜27の材質としては、アルミニウム以外の材質が用いられる場合もある。
【0027】
図5は、垂直CCD13における転送電極24-1〜24-4の配線パターン図である。本配線系においては、ライン間引き動作を可能とするためには、1相目の垂直転送クロックφV1および3相目の垂直転送クロックφV3の配線に工夫が凝らされている。具体的には、本実施形態では、一例として、1ラインおきのライン間引き動作を実現するために、1相目および3相目の垂直転送クロックとしてそれぞれ2系統の垂直転送クロックφV1,φV1′およびφV3,φV3′が用意され、さらに垂直転送クロックを伝送するために計6本のバスライン31〜36が配線されている。
【0028】
そして、垂直転送クロックφV1を伝送するバスライン31には1相目の転送電極24-1が7画素おきに接続され、垂直転送クロックφV1′を伝送するバスライン32にはバスライン31に接続された以外の1相目の転送電極24-1が1画素おきに接続され、垂直転送クロックφV2を伝送するバスライン33には2相目の転送電極24-2が1画素おきに接続されている。
【0029】
また、垂直転送クロックφV3を伝送するバスライン34には3相目の転送電極24-3が7画素おきに接続され、垂直転送クロックφV3′を伝送するバスライン35にはバスライン34に接続された以外の3相目の転送電極24-3が1画素おきに接続され、垂直転送クロックφV4を伝送するバスライン36には4相目の転送電極24-4が1画素おきに接続されている。
【0030】
垂直転送クロックφV1,φV1′およびφV3,φV3′は、先述したように、その3値目の“H”レベルのパルスがセンサ部11から信号電荷を読み出すときに読み出しゲート部12を駆動する読み出しパルスとなる。そして、フレーム読み出し動作モードの際には、図6(A)に示すように、垂直転送クロックφV1,φV1′およびφV3,φV3′の各々に読み出しパルスが立つのに対して、ライン間引き動作モードの際には、図6(B)に示すように、垂直転送クロックφV1およびφV3のみに読み出しパルスが立つ。
【0031】
この垂直転送クロックφV1,φV1′およびφV3,φV3′により、垂直方向における2画素を1ラインとすると、1ラインおきに信号電荷を読み出すライン間引き動作が実現される。なお、フレーム読み出し動作モードのときには、垂直転送クロックφV1,φV1′の読み出しパルスは第1フィールド(奇数又は偶数フィールド)で発生され、垂直転送クロックφV3,φV3′の読み出しパルスは第2フィールド(偶数又は奇数フィールド)で発生される。また、ライン間引き動作モードのときには、第1,第2フィールド共に垂直転送クロックφV1,φV3に読み出しパルスが立つ。
【0032】
これに対応して、図1のタイミングジェネレータ17からは、フレーム読み出し動作モード用として垂直転送クロックφV11,φV11′,φV12,φV13,φV13′,φV14が発生され、ライン間引き動作モード用として垂直転送クロックφV21,φV21′,φV22,φV23,φV23′,φV24が発生される。ただし、上述したように、ライン間引き動作モードの際には、1相目,3相目の垂直転送クロックとしてφV21およびφV23のみが発生され、φV21′およびφV23′は発生されない。
【0033】
次に、上記構成の本実施形態に係る固体撮像装置において、フレーム読み出し動作モードおよびライン間引き動作モードにおける信号電荷の読み出しおよび垂直転送の各動作について説明する。
【0034】
なお、各動作モードの切り換えは、図1において、クロック切り換え回路18に対して外部からモード信号が与えられ、クロック切り換え回路18がこのモード信号に応じてフレーム読み出し動作モード時にはタイミングジェネレータ17で発生される垂直転送クロックφV11〜φV14を、ライン間引き動作モード時には垂直転送クロックφV21〜φV24をそれぞれ選択し、垂直CCD13を駆動する垂直転送クロックφV1〜φV4としてCCD固体撮像素子10に与えることによって行われる。
【0035】
先ず、フレーム読み出し動作モードの際の信号電荷の読み出しおよび垂直転送の各動作について、図7のタイミングチャートおよび図8のポテンシャル図を参照して説明する。なお、図8において、右側から左側への方向を電荷転送方向とする。図5において、各センサ部11からの信号電荷の読み出しに際し、第1フィールドでは、1相目の転送電極24-1に対して、図6(A)に示す垂直転送クロックφV1,φV1′を印加する。これにより、1相目の読み出しゲート部12に対して実線で示した読み出しパルスが与えられるため、垂直方向において1画素おきにセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。
【0036】
この読み出された信号電荷は、垂直CCD13の転送動作により、水平ブランキング期間に1ラインずつ垂直転送される。このラインシフト期間に移行する直前の時点t0では、1相目の垂直転送クロックφV1,φV1′および2相目の垂直転送クロックφV2が共に“M”レベルであることから、1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のポテンシャルが深くなってパケットが形成され、このパケットに各信号電荷Qsが蓄積されている。
【0037】
そして、ラインシフト動作が開始され、3相目の垂直転送クロックφV3,φV3′が“L”レベルから“M”レベルに遷移すると(時点t1)、3相目の転送電極24-3の下のポテンシャルが深くなる。これにより、1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のパケットに蓄積されていた信号電荷Qsが3相目の転送電極24-3の下まで移動する。次に、1相目の垂直転送クロックφV1,φV1′が“L”レベルに遷移すると(時点t2)、1相目の転送電極24-1の下のポテンシャルが浅くなるため、信号電荷Qsが2相目,3相目の転送電極24-2,24-3の下に蓄積される。
【0038】
続いて、4相目の垂直転送クロックφV4が“L”レベルから“H”レベルに遷移すると(時点t3)、4相目の転送電極24-4の下のポテンシャルが深くなる。これにより、2相目,3相目の転送電極24-2,24-3の下に蓄積されていた信号電荷Qsが4相目の転送電極24-4の下まで移動する。次に、2相目の垂直転送クロックφV2が“L”レベルに遷移すると(時点t4)、2相目の転送電極24-2の下のポテンシャルが浅くなるため、信号電荷Qsが3相目,4相目の転送電極24-3,24-4の下に蓄積される。
【0039】
続いて、1相目の垂直転送クロックφV1,φV1′が“M”レベルに遷移すると(時点t5)、1相目の転送電極24-1の下のポテンシャルが深くなる。これにより、3相目,4相目の転送電極24-3,24-4の下に蓄積されていた信号電荷Qsが1相目の転送電極24-1の下まで移動する。次に、3相目の垂直転送クロックφV3,φV3′が“L”レベルに遷移すると(時点t6)、3相目の転送電極24-3の下のポテンシャルが浅くなるため、信号電荷Qsが4相目,1相目の転送電極24-4,24-1の下に蓄積される。
【0040】
続いて、2相目の垂直転送クロックφV2が“M”レベルに遷移すると(時点t7)、2相目の転送電極24-2の下のポテンシャルが深くなる。これにより、4相目,1相目の転送電極24-4,24-1の下に蓄積されていた信号電荷Qsが2相目の転送電極24-2の下まで移動する。次いで、4相目の垂直転送クロックφV4が“L”レベルに遷移すると(時点t8)、4相目の転送電極24-4の下のポテンシャルが浅くなるため、信号電荷Qsが1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下に蓄積される。
【0041】
以上のラインシフト期間における一連の垂直転送動作により、センサ部11の各々から読み出され、かつ1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のパケットに蓄積された信号電荷Qsが、1ラインだけシフトされて次の1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のパケットに順に蓄積される。このとき、撮像エリア14の最下端の1ライン分の信号電荷は水平CCD15に転送される。そして、水平CCD15に移された1ライン分の信号電荷は、水平ブランキング期間後の水平走査期間において、水平CCD15の転送駆動によって順次水平方向に転送される。
【0042】
なお、上述した動作説明では、第1フィールドの場合について説明したが、第2フィールドの場合には、3相目の転送電極24-3に対して、図6(A)に示す垂直転送クロックφV3,φV3′を印加することで、3相目の読み出しゲート部12に対して点線で示した読み出しパルスが与えられるため、垂直方向において1画素おきに、第1フィールドの場合とは異なるセンサ部11から信号電荷が垂直CCD13に読み出される。そして、以降の垂直転送動作は第1フィールドの場合と同様にして行われる。
【0043】
次に、ライン間引き動作モードの際の信号電荷の読み出しおよび垂直転送の各動作について、図9のタイミングチャートおよび図10のポテンシャル図を参照して説明する。なお、図10において、右側から左側への方向を電荷転送方向とする。先ず、図5において、各センサ部11からの信号電荷の読み出しに際し、第1,第2フィールド共に、1相目の転送電極24-1および3相目の転送電極24-3に対して、図6(B)に示す垂直転送クロックφV1,φV1′およびφV3,φV3′を印加する。
【0044】
このとき、図6(B)から明らかなように、垂直転送クロックφV1,φV3には読み出しパルスが立つが、垂直転送クロックφV1′,φV3′には読み出しパルスが立たない。したがって、垂直転送クロックφV1,φV3が印加される転送電極24-1,24-3の読み出しゲート部12に対してのみ読み出しパルスが与えられるため、その転送電極に対応するセンサ部11からのみ信号電荷が垂直CCD13に読み出される。
【0045】
この読み出された信号電荷は、垂直CCD13の転送動作により、水平ブランキング期間に1ラインずつ垂直転送される。このラインシフト期間に移行する直前の時点t0では、1相目の垂直転送クロックφV1,φV1′および2相目の垂直転送クロックφV2が共に“M”レベルであることから、1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のポテンシャルが深くなってライン単位で交互にパケットA,Bが形成され、読み出された信号電荷QsはパケットAに蓄積され、パケットBは空パケットとなる。
【0046】
そして、ラインシフト動作が開始され、1相目の垂直転送クロックφV1,φV1′が“L”レベルに、3相目の垂直転送クロックφV3,φV3′が“M”レベルにそれぞれ遷移すると(時点t1)、1相目の転送電極24-1の下のポテンシャルが浅くなると同時に、3相目の転送電極24-3の下のポテンシャルが深くなる。これにより、1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のパケットAに蓄積されていた信号電荷Qsが、2相目,3相目の転送電極24-2,24-3の下に移動し、ここに蓄積される。
【0047】
次いで、2相目の垂直転送クロックφV2が“L”レベルに、4相目の垂直転送クロックφV4が“M”レベルにそれぞれ遷移すると(時点t2)、2相目の転送電極24-2の下のポテンシャルが浅くなると同時に、4相目の転送電極24-4の下のポテンシャルが深くなる。これにより、2相目,3相目の転送電極24-2,24-3の下に蓄積されていた信号電荷Qsが3相目,4相目の転送電極24-3,24-4の下に移動し、ここに蓄積される。
【0048】
次に、1相目の垂直転送クロックφV1,φV1′が“M”レベルに、3相目の垂直転送クロックφV3,φV3′が“L”レベルにそれぞれ遷移すると(時点t3)、1相目の転送電極24-1の下のポテンシャルが深くなると同時に、3相目の転送電極24-3の下のポテンシャルが浅くなる。これにより、3相目,4相目の転送電極24-3,24-4の下に蓄積されていた信号電荷Qsが、4相目,1相目の転送電極24-4,24-1の下に移動し、ここに蓄積される。
【0049】
次いで、2相目の垂直転送クロックφV2が“M”レベルに、4相目の垂直転送クロックφV4が“L”レベルにそれぞれ遷移すると(時点t4)、2相目の転送電極24-2の下のポテンシャルが深くなると同時に、4相目の転送電極24-4の下のポテンシャルが浅くなる。これにより、4相目,1相目の転送電極24-4,24-1の下に蓄積されていた信号電荷Qsが、1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のパケットBに移動し、ここに蓄積される。
【0050】
以上のラインシフト期間における一連の垂直転送動作により、センサ部11の各々から読み出され、かつ1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下のパケットAに蓄積された信号電荷Qsが、1ラインだけシフトされて次の1相目,2相目の転送電極24-1,24-2の下の空パケットBに、空パケットBの無信号がパケットAにそれぞれ順に蓄積される。なお、本例では、第1,第2フィールド共に同一の行の画素から信号電荷を読み出すとしたが、垂直転送クロックφV1(φV1′)〜φV4を伝送するバスラインの配線を変更することにより、フレーム読み出しの場合のように、信号電荷を読み出す行を第1フィールドと第2フィールドとで変更することも可能である。
【0051】
ところで、上述したライン間引き動作により、信号電荷Qsを含むパケットAの前方および後方に信号電荷を含まない空パケットBが存在する場合、各ラインから信号電荷Qsを出力するためには、各水平ブランキング期間内に、空パケット分だけ上述したラインシフトの回数を増やす必要がある。上述した如き1ラインおきの間引きの例の場合には、図9のラインシフト期間および図10に示すシフト動作を2回繰り返す必要がある。
【0052】
このように、ライン間引き動作において、各水平ブランキング期間内に空パケット分だけラインシフトの回数を増やすことで、各水平ブランキング期間内に水平CCD15においてパケットAの信号電荷Qsと空パケットBの無信号とが混合される。これにより、無信号の期間が除去されるため、各ラインごとに信号電荷Qsが出力されることになる。
【0053】
このライン間引き動作モードにおけるラインシフトにおいて、本発明では、上述したことから明らかなように、1相目の垂直転送クロックφV1,φV1′と3相目の垂直転送クロックφV3,φV3′とを逆相、2相目の垂直転送クロックφV2と4相目の垂直転送クロックφV4とを逆相とし(図9を参照)、コンプリメント2相駆動としたが、ここで、フレーム読み出し動作モードの場合と同様に、図7に示す如き位相関係にある垂直転送クロックφV1(φV1′)〜φV4を用いた4相駆動の場合について考える。
【0054】
図7に示す垂直転送クロックφV1(φV1′)〜φV4において、各クロック相互間の位相差がπ/4であることから、各クロックのオーバーラップ期間xがラインシフト回数の増加分だけ短くなってしまう。ここで、垂直CCD13の各転送電極24-1〜24-4には、撮像エリア14の両側から垂直転送クロックφV1(φV1′)〜φV4が伝送されることから、撮像エリア14の中央部分では伝搬遅延によって垂直転送クロックφV1(φV1′)〜φV4の振幅が低下してしまい、垂直CCD13の取り扱い電荷量が減少したり、転送効率が劣化してしまうことになる。
【0055】
これに対して、本発明のように、ライン間引き動作モードの際の垂直CCD13の駆動をコンプリメント2相駆動とすることにより、垂直転送クロックφV1(φV1′),φV3(φV3′)と垂直転送クロックφV2,φV4との位相差がπ/2であることから、両クロックのオーバーラップ期間が4相駆動の場合の2倍の2xとなる。この垂直転送クロックのオーバーラップ期間が長い方が信号電荷の転送にとって有利である。
【0056】
すなわち、ライン間引き動作モードでの転送動作についてさらに詳細に説明するならば、1相目,3相目の転送電極24-1,24-3の下には、図4で説明したように、電荷転送方向に向けて下る傾斜のポテンシャル勾配が形成されていることから、1相目,3相目の転送電極24-1,24-3の下の信号電荷Qsが、そのポテンシャル勾配によってオーバーラップ期間2xに2相目,4相目の転送電極24-2,24-4側に移動する。
【0057】
このことから、垂直転送クロックのオーバーラップ期間2xが長ければ、1相目,3相目の転送電極24-1,24-3の下の信号電荷Qsの大部分が、2相目,4相目の転送電極24-2,24-4側に移動できることになる。そして、次の転送タイミングでは、伝搬遅延によって垂直転送クロックφV1(φV1′)〜φV4の振幅が低下したとしても、信号電荷Qsが確実に2相目,3相目の転送電極24-2,24-3の下および4相目,1相目の転送電極24-4,24-1の下に転送される。したがって、コンプリメント2相駆動の場合のように、垂直転送クロックのオーバーラップ期間が長い方が信号電荷Qsの転送にとって有利であり、4相駆動の場合よりも転送効率を改善できることとなる。
【0058】
次に、垂直CCD13の取り扱い電荷量について考える。4相駆動の場合は、図11(A)の状態まで信号電荷Qsを蓄積できるのに対して、コンプリメント2相駆動の場合は、信号電荷Qsを蓄積しているパケットの両隣りのポテンシャルが同時に動いてしまうので、図11(B)に示したような状態が一時的に生じてしまい、理論的には変わらないものの、タイミングずれなどによって4相駆動の場合よりも多少減少する傾向にある。
【0059】
しかしながら、ライン間引き動作の場合には、信号電荷Qsを含むパケットAの後方に空パケットBがあるので、パケットAで信号電荷Qsが溢れても、後ろの空パケットBで溢れなければ、最終的に各パケットA,Bの電荷を水平CCD15において混合するため問題とはならず、よって垂直CCD13の取り扱い電荷量が減少することはない。
【0060】
なお、本実施形態では、ライン間引き動作モードにおいて、1ラインおきに間引く場合を例に採って説明したが、これに限定されるものではなく、その間引き方は任意であり、要は、所定の繰り返し単位の読み出しゲート部12に読み出しパルスを印加して、一部のラインの画素の信号電荷のみを垂直CCD13に読み出すようにすれば良い。
【0061】
このように、所定の繰り返し単位の読み出しゲート部12に読み出しパルスを印加して、一部のラインの画素の信号電荷のみを垂直CCD13に読み出すことにより、出力する撮像信号のライン数を減らして、より高速の撮像信号を得る動作、即ちライン間引き動作を行うことにより、データレートを高速にせずに、より高速の撮像信号、例えばNTSC方式に対応した出力信号を得ることが可能となる。
【0062】
また、ライン間引き動作モードの際には、垂直CCD13をコンプリメント2相駆動としたことにより、垂直転送クロックのオーバーラップ期間を長くすることができるため、撮像エリア14の中央部分において伝搬遅延によって垂直転送クロックφV1(φV1′)〜φV4の振幅が低下したとしても、垂直CCD13の取り扱い電荷量を維持しつつ垂直CCD13の転送効率を向上できる。
【0063】
なお、上記実施形態では、インターライン転送方式のCCD固体撮像素子に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、インターライン転送方式以外の方式のCCD固体撮像素子、さらにはCCD以外を用いた固体撮像素子にも同様に適用可能である。
【0064】
また、上記実施形態においては、垂直CCDが4相駆動の場合を例に採って説明したが、本発明は4相駆動に限定されるものではない。すなわち、6相駆動、8相駆動など偶数相の駆動方式であれば、所定の繰り返し単位の読み出しゲート部に読み出しパルスを印加して、一部のラインの画素の信号電荷のみを垂直CCDに読み出すライン間引き動作が可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定の繰り返し単位の読み出しゲート部に読み出しパルスを印加して垂直方向の一部のラインの画素のみから信号電荷を読み出し、出力する撮像信号のライン数を減らすライン間引き動作を行うようにしたことにより、固体撮像素子の駆動系の構成を変更するのみでライン間引き動作を実現できるので、簡単な構成にてより高速な撮像信号を得ることが可能となる。しかも、ライン間引き動作において、垂直転送駆動を行う際に、互いに逆相の垂直転送クロック対の組み合わせによって垂直転送部を駆動するようにしたことにより、垂直転送クロックのオーバーラップ期間を長くとった状態で垂直転送を行うことができるので、垂直転送部の転送効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】4相の垂直転送クロックの波形図である。
【図3】撮像エリアの構成の一例を示す平面パターン図である。
【図4】図3のX‐X′矢視の断面構造図である。
【図5】垂直CCDにおける転送電極の配線パターン図である。
【図6】読み出しパルスの波形図である。
【図7】フレーム読み出し動作モード時のタイミングチャートである。
【図8】フレーム読み出し動作モード時のポテンシャル図である。
【図9】ライン間引き動作モード時のタイミングチャートである。
【図10】ライン間引き動作モード時のポテンシャル図である。
【図11】垂直CCDの取り扱い電荷量の説明図である。
【図12】フィールド読み出し方式の説明図である。
【図13】フレーム読み出し方式の説明図である。
【図14】全画素読み出し方式の説明図である。
【図15】撮像素子の出力とモニタ表示との関係を示す図である。
【図16】表示系にVRAMを用いた場合の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 CCD固体撮像素子 11 センサ部 12 読み出しゲート部
13 垂直CCD 15 水平CCD 17 タイミングジェネレータ
18 クロック切り換え回路 21 N型基板 23 転送チャネル
24-1〜24-4 転送電極
Claims (2)
- 行列状に配列されて光電変換を行う複数のセンサ部と、前記複数のセンサ部の各々に対応して設けられ、各センサ部で光電変換された信号電荷を読み出す読み出しゲート部と、前記読み出しゲート部によって読み出された信号電荷を垂直転送する垂直転送部と、前記垂直転送部から移された信号電荷を水平転送する水平転送部とを具備する固体撮像素子と、
所定の繰り返し単位の前記読み出しゲート部に読み出しパルスを印加して前記複数のセンサ部のうちの垂直方向の一部のみから信号電荷を読み出すことで、前記垂直転送部中に信号電荷を含むパケットと当該パケットの転送方向の後方に信号電荷を含まない空パケットとを存在させるとともに、互いに逆相の垂直転送クロック対の組み合わせによって前記垂直転送部を駆動しかつ前記垂直転送部中の信号電荷を含むパケットの情報とその後方の少なくとも1つの空パケットの情報とを前記水平転送部で混合すべく駆動する駆動系と
を備えたことを特徴とする固体撮像装置。 - 行列状に配列されて光電変換を行う複数のセンサ部と、前記複数のセンサ部の各々に対応して設けられ、各センサ部で光電変換された信号電荷を読み出す読み出しゲート部と、前記読み出しゲート部によって読み出された信号電荷を垂直転送する垂直転送部と、前記垂直転送部から移された信号電荷を水平転送する水平転送部とを具備する固体撮像素子を有する固体撮像装置において、
所定の繰り返し単位の前記読み出しゲート部に読み出しパルスを印加して前記複数のセンサ部のうちの垂直方向の一部のみから信号電荷を読み出すことで、前記垂直転送部中に信号電荷を含むパケットと当該パケットの転送方向の後方に信号電荷を含まない空パケットとを存在させ、
次いで、互いに逆相の垂直転送クロック対の組み合わせによって前記垂直転送部を駆動し、前記垂直転送部中の信号電荷を含むパケットの情報とその後方の少なくとも1つの空パケットの情報とを前記水平転送部で混合する
ことを特徴とする駆動方法。
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