JP3800605B2 - 粘着式コネクタ及びその製造方法 - Google Patents

粘着式コネクタ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着力によって端子部が絶縁シートに保持され、しかも、相手側コネクタ等の端子部と接続される粘着式コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気接続部材について図12を参照して説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
電気接続部材71は、両面粘着剤シート72と、両面粘着剤シート72の縦横方向に形成された多数の貫通孔72cに埋め込まれた各導電材73と、各貫通孔72cの両端に蓋をするように両面粘着剤シート72の表裏両面に粘着される金属薄膜74とから長方形の板状に構成される。
【0004】
両面粘着剤シート72は、絶縁シート72aの表裏両面に粘着剤72bが塗布されて構成される。
【0005】
したがって、各導電材73は、各貫通孔72cに保持されると共に、両面粘着剤シート72の表面の各金属薄膜74と裏面の各金属薄膜74とは、各導電材73を介して導通される。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−56907号公報(第4頁第6欄第19行−第29行、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術では、両面粘着剤シートの表裏両面にそれぞれ固定される金属薄膜を導電材によって接続する。したがって、部品の点数が多くなるので、構造は複雑となり、組立分解は煩雑となり、製造工程数は多くなり、コストは高価となる。
【0008】
そこで、本発明は、前記従来の技術の欠点を改良し、部品点数が少なく、しかも、構造が簡素な粘着式コネクタ及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。
【0010】
1.両面粘着層シートと、前記両面粘着層シートに設けられる貫通孔を挿入する導電性の薄膜とから構成され、前記両面粘着層シートは、絶縁シートと、前記絶縁シートの両面にそれぞれ形成される第1の粘着層と第2の粘着層とから構成され、前記絶縁シート又は前記各粘着層の少なくとも一方は、柔軟性を有し、前記薄膜の一端部は、前記第1の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第1の粘着層の表面の一部に固定され、前記薄膜の他端部は、前記第2の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第2の粘着層の表面の一部に固定される粘着式コネクタ。
【0011】
2.前記貫通孔の形状は、多角形であり、前記貫通孔の少なくとも1つの面に前記薄膜が張付される前記1記載の粘着式コネクタ。
【0012】
3.ウェーハ上に前記薄膜を形成する工程と、前記薄膜を前記ウェーハからはがす工程と、前記薄膜を略L字状に曲げる工程と、前記薄膜を前記貫通孔に挿通する工程と、前記薄膜の一端部を前記第1の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第1の粘着層の表面の一部に固定する工程と、前記薄膜の他端部を曲げて前記第2の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第2の粘着層の表面の一部に固定する工程とから構成される前記1記載の粘着式コネクタの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の6つの実施の形態例の粘着式コネクタ及びその製造方法について説明する。
【0014】
まず、本発明の第1実施の形態例について図1〜図3を参照して説明する。
【0015】
粘着式コネクタ1は、図1(A)と図1(B)に示されるように、両面粘着層シート2と、両面粘着層シート2の上下両面と両面粘着層シート2の数箇所に設けられた長方形の孔2aの一面とにわたって張付された金製の薄膜5とから構成される。両面粘着層シート2は、絶縁シート3と、絶縁シート3の上下両面に形成された粘着層4a,4bとから構成される。したがって、薄膜5の両端部は、それぞれ粘着層4a,4bの表面に固定される。絶縁シート3又は粘着層4a,4bの少なくとも一方は、柔軟性を有し、また、柔軟性を有しなくても、変形可能である。
【0016】
各孔2aは、パンチ等の工具によって両面粘着層シート2における所要の箇所に簡易に設けられる。薄膜5は、断面コ字状に形成される。
【0017】
粘着式コネクタ1と接続する相手側の部材、基板又はコネクタには、粘着層が形成されている場合と、形成されていない場合とがある。
【0018】
両接続相手は、粘着式コネクタ1の上下両側に位置し、各薄膜5の両端部と接続する。
【0019】
粘着式コネクタ1は、従来のような複雑な嵌合機構を装備せずに、薄膜5を介して相手側の部材、基板又はコネクタと接続するので、省スペースが実現され、また、自由なレイアウトが実現される。
【0020】
図2は、粘着式コネクタ1の一設計変更例を示す。長方形の孔2aの四面に金製の薄膜5が張付されている。
【0021】
図3は、粘着式コネクタ1の他の設計変更例を示す。長方形の孔2aを長く形成し、また、金製の薄膜5の幅を大きく構成することによって、相手側と安定した接続が行われる。
【0022】
なお、薄膜5の材料は、導電性を有すれば、金に限らない。また、孔2aの形状は、適宜の多角形に設計変更することができる。
【0023】
次に、本発明の第2実施の形態例について図4と図5を参照して説明する。ただし、第2実施の形態例以下については、第1実施の形態例と同様な点の説明を省略し、相違する点のみの説明を行う。
【0024】
粘着式コネクタ11においては、図4に示されるように、2枚の両面粘着層シート12(上部のものの図示省略)の中間に導電性の薄膜15を設置する。このように構成すると、薄膜15の上面のコ字型の接点15aと下面のコ字型の接点15bとが、両面粘着層シート12の厚さ方向に直交する方向において遠く隔離していても、両接点15a,15bは、接続可能である。
【0025】
また、図5(A),(B)に示すように、上部の両面粘着層シート12の左右両側の接点15aと接点15bとが、遠く隔離していても、両接点15a,15bは、接続可能である。
【0026】
続いて、本発明の第3実施の形態例について図6を参照して説明する。
【0027】
粘着式コネクタ21においては、両面粘着層シート22は、柔軟な材質で構成される。したがって、相手側の部品、基板又はコネクタの接点(図示せず)が設置された部材26の表面が湾曲していても、導電性の各薄膜25は、相手側の接点に密着して接続することができる。
【0028】
更に、本発明の第4実施の形態例について図7を参照して説明する。
【0029】
相手側部材36に段差36aがある場合に、粘着式コネクタ31においては、2枚の両面粘着層シート32(両面粘着層シート12と同様)は、いずれも柔軟な材質で構成され、凸部32aを形成される。2枚の両面粘着層シート32の中間に導電性の薄膜35を設置し、薄膜35の左右両側にコ字型の接点35a,35bを接続する。
【0030】
更に、本発明の第5実施の形態例について図8を参照して説明する。
【0031】
相手側部材46に交差する二面46a,46bがある場合に、粘着式コネクタ41においては、2枚の両面粘着層シート42(両面粘着層シート12と同様)は、いずれも柔軟な材質で構成され、直角部42aを形成される。2枚の両面粘着層シート42の中間に導電性の薄膜45を設置し、薄膜45の両端側にコ字型の接点45a,45bを接続する。
【0032】
上述した本発明の第3乃至第5実施の形態例においては、柔軟な両面粘着層シートを使用し、また、接点を自由な位置に接続することができるから、従来のコネクタのように、使用条件が異なったときに、異なったコンタクト及びインシュレータを必要としない。したがって、コネクタのコストが著しく安価になる。
【0033】
本発明の第1乃至第5実施の形態例の粘着式コネクタは、ハンダによる接続を必要とする従来の部品に対しても、粘着力により接続することができる。したがって、リフロー槽を必要とせずに、接続が行えるから、耐熱性の乏しい部品も使用することができる。また、各粘着式コネクタは、粘着剤の粘着力を利用して相手側と接続するので、特別の治具、荷重及び嵌合機構を必要としない。
【0034】
更に、本発明の第6実施の形態例の粘着式コネクタの製造方法について図9〜図11を参照して説明する。
【0035】
図9(A)は、粘着式コネクタ全体の斜視図、図9(B)は、図9(A)における線A−Aによる断面の拡大図を、それぞれ示す。
【0036】
粘着式コネクタ51における両面粘着層シート52は、絶縁シート53と、絶縁シート53の上下両面に形成された粘着層54a,54bとから構成される。両面粘着層シート52には、縦横方向に一定の間隔で多数の長方形の孔52aが設けられる。多数の金属製の薄膜55が、上側の粘着層54aから各孔52a内に傾斜して挿入されて下側の粘着層54bまで張付される。各薄膜55の両端部は、それぞれ粘着層54a,54bに固定される。
【0037】
製造方法の工程を図10を参照して説明する。
【0038】
▲1▼ 図10(A)に示されるように、Siウェーハ56の表面に形成された多数の突条56aの上にスパッタ等で薄膜55を堆積させる。
【0039】
▲2▼ 図10(B)に示されるように、真空吸着式のプレーサ57によって、Siウェーハ56の各突条56aから各薄膜55をはがし取る。図は、プレーサ57の各真空吸着孔57aが各薄膜55の一端部を吸引して各突条56aからはがし、各薄膜55の他端部はまだ各突条56aに付着している状態を示す。
【0040】
▲3▼ 図10(C)に示されるように、プレーサ57の各真空吸着孔57aが各薄膜55の一端部を吸引している状態で、プレート58を各薄膜55にあてがい、各薄膜55の他端部をプレート58に設けられた各孔58aに挿入する。続いて、ローラ等の治具によって各薄膜55を矢印方向に90゜近く折曲する。
【0041】
▲4▼ 図10(D)に示されるように、プレーサ57の各真空吸着孔57aが各薄膜55の一端部を吸引している状態で、他端部を両面粘着層シート52の各孔52aに挿入する。続いて、プレーサ57は、各薄膜55の一端部を両面粘着層シート52の粘着層54aに圧接して固定した後に、各真空吸着孔57aから空気を排出する。以上の工程を繰り返し、両面粘着層シート52の全部の孔52aに薄膜55を挿入する。最後に、粘着剤が表面に付着し難いローラ等の治具によって、全部の薄膜55を矢印方向になぎ倒し、各薄膜55の他端部を曲げて粘着層54bに圧接して固定する。
【0042】
図11は、両面粘着層シート52に薄膜55が搭載された完成状態を示す。粘着層54a,54bが相当に厚くて柔軟性を有するため、プリント基板59,60に反り(湾曲)が生じていても、薄膜55の両端部とプリント基板59,60のランド59a,60aとは、密着する。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、次の効果が奏される。
【0044】
1.本発明の粘着式コネクタは、絶縁シートと2つの粘着層と導電性の薄膜とから構成されるので、部品点数が少なく、構造は簡素である。
【0045】
2.本発明における絶縁シート又は粘着層の少なくとも一方は、柔軟性を有するので、相手側の接続対象物の表面に凹凸があっても、本発明の粘着式コネクタは、相手側の接続対象物に密着して確実に接続することができる。
【0046】
3.本発明の粘着式コネクタは、粘着剤の粘着力を利用して相手側の接続対象物と接続するので、特別の治具、荷重及び嵌合機構を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態例の粘着式コネクタであり、(A)は斜視図、(B)は(A)における線A−Aによる断面の拡大図を、それぞれ示す。
【図2】同粘着式コネクタの一設計変更例の斜視図である。
【図3】同粘着式コネクタの他の設計変更例の斜視図である。
【図4】本発明の第2実施の形態例の粘着式コネクタの斜視図である。
【図5】同粘着式コネクタの一設計変更例であり、(A)は斜視図、(B)は断面図を、それぞれ示す。
【図6】本発明の第3実施の形態例の粘着式コネクタの断面図である。
【図7】本発明の第4実施の形態例の粘着式コネクタの断面図である。
【図8】本発明の第5実施の形態例の粘着式コネクタの断面図である。
【図9】本発明の第6実施の形態例の粘着式コネクタの製造方法であり、(A)は全体の斜視図、(B)は(A)における線A−Aによる断面の拡大図である。
【図10】同粘着式コネクタの製造方法の工程の斜視図及び断面図を、順次(A)〜(D)に示す。
【図11】同粘着式コネクタによって2枚のプリント基板が接続された状態の断面図である。
【図12】従来の電気接続部材であり、(A)は斜視図、(B)は断面図を、それぞれ示す。
【符号の説明】
1 粘着式コネクタ
2 両面粘着層シート
2a 孔
3 絶縁シート
4a,4b 粘着層
5 薄膜
11 粘着式コネクタ
12 両面粘着層シート
13 絶縁シート
14a,14b 粘着層
15 薄膜
15a,15b 接点
21 粘着式コネクタ
22 両面粘着層シート
25 薄膜
26 相手側部材(接続対象物)
31 粘着式コネクタ
32 両面粘着層シート
32a 凸部
35 薄膜
35a,35b 接点
36 相手側部材
36a 段差
41 粘着式コネクタ
42 両面粘着層シート
42a 直角部
45 薄膜
45a,45b 接点
46 相手側部材
46a,46b 面
51 粘着式コネクタ
52 両面粘着層シート
52a 孔
53 絶縁シート
54a,54b 粘着層
55 薄膜
56 Siウェーハ
56a 突条
57 プレーサ
57a 真空吸着孔
58 プレート
58a 孔
59,60 プリント基板
59a,60a ランド

Claims (3)

  1. 両面粘着層シートと、前記両面粘着層シートに設けられる貫通孔を挿入する導電性の薄膜とから構成され、
    前記両面粘着層シートは、絶縁シートと、前記絶縁シートの両面にそれぞれ形成される第1の粘着層と第2の粘着層とから構成され、
    前記絶縁シート又は前記各粘着層の少なくとも一方は、柔軟性を有し、
    前記薄膜の一端部は、前記第1の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第1の粘着層の表面の一部に固定され、前記薄膜の他端部は、前記第2の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第2の粘着層の表面の一部に固定されることを特徴とする粘着式コネクタ。
  2. 前記貫通孔の形状は、多角形であり、前記貫通孔の少なくとも1つの面に前記薄膜が張付されることを特徴とする請求項1記載の粘着式コネクタ。
  3. ウェーハ上に前記薄膜を形成する工程と、
    前記薄膜を前記ウェーハからはがす工程と、
    前記薄膜を略L字状に曲げる工程と、
    前記薄膜を前記貫通孔に挿通する工程と、
    前記薄膜の一端部を前記第1の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第1の粘着層の表面の一部に固定する工程と、
    前記薄膜の他端部を曲げて前記第2の粘着層の表面に全面的に設けられている粘着剤により前記第2の粘着層の表面の一部に固定する工程とから構成されることを特徴とする請求項1記載の粘着式コネクタの製造方法。
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