JP3799774B2 - コークス炉ガスから発生するガス液の処理方法 - Google Patents
コークス炉ガスから発生するガス液の処理方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉ガスから発生するガス液から、タール分を除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
室炉を用いるコークスの製造に際しては、炉から発生するガスに水を噴射して、ガスを冷却すると共にガス中のタールを凝縮させて除去することが行われている。この噴射に用いる水はガス液と称されおり、途中でデカンターなどでタール分を除去しつつ循環使用されている。炉から発生するガス中には、石炭の分解により生成した水や石炭付着水などに由来する水蒸気が含まれているので、ガスは次いで冷却して含まれている水蒸気を凝縮させる。この凝縮水は前述のガス液と一緒にして、ガスへの噴射に用いられる。従って放置しておくとガス液量が増加するので、ガス液の循環路から凝縮により生成する量に相当するガス液を、系外に抜出さなければならない。これを余剰ガス液と称する。余剰ガス液は汚染度が高いので、公共水域に排出するには活性汚泥処理を含むいくつかの処理を経て浄化しなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
余剰ガス液にはタール分が相当量含まれているが、このままでは活性汚泥処理に不都合なので、予め大部分のタール分を除去しなければならない。余剰ガス液中のタール分は微細な懸濁物として存在しているので、原理的には余剰ガス液を静置するとタール分を余剰ガス液から分離させることができる。然しこの方法は長時間を要し、現実的ではない。余剰ガス液中に空気を微細な気泡として吹込むとタール分の分離が促進されるが、同時に余剰ガス液中に溶解しているコークス炉ガスが空気に同伴して大気中に放出されるため、環境汚染を引き起こす恐れが大きい。従って本発明は、環境汚染を引き起こさずに、余剰ガス液中のタール分を効率よく除去する方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上部に閉鎖された空間を有する槽内で、余剰ガス液に不活性ガスを導入して微細な気泡を発生させ、上昇する気泡と一緒に液中のタール分を浮上させ、浮上したタール分を液から除去すると共に、上部空間のガスは抜出してコークス炉ガスの処理系に導入することにより、環境汚染を引き起こさずに余剰ガス液からタール分を効率よく除去することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明するに、本発明では余剰ガス液中に懸濁しているタール分を浮上させて分離するのに、窒素などの不活性ガスを用いる。不活性ガスの液中への導入は、ガス状で液中に導入して微細に分散させる、いわゆる浮遊選鉱法でもよく、ガスを加圧下に液中に溶解させ、この液をタール分の懸濁している液中に導入して溶解ガスから微細な気泡を生成させる加圧浮上法でもよい。加圧浮上法の方が、液中に導入する不活性ガスの量は少なくてすむが、浮遊選鉱法の場合でもガスを循環させれば使用量は相当に削減できる。
本発明では、液中へのガスの導入を、上部に閉鎖された空間を有する槽内に液を収容した状態で行う。通常は余剰ガス液を槽に連続的に供給し、槽の下部から不活性ガスを導入して槽内に懸濁しているタール分を浮上させ、タール分濃度の低下した液を槽から抜出す連続方式が用いられる。
【0006】
槽の上部の閉鎖された空間には、槽に導入された不活性ガスが蓄積するが、このガス中には余剰ガス液中に溶解していたコークス炉ガスが混入している。しかし本発明ではタール分を浮上させるため槽に導入するガスとして不活性ガスを用いているので、空気を用いる場合と異なり、コークス炉ガスが混入しても、爆鳴気が形成されるなど安全上の問題が生ずることはない。槽の上部空間に蓄積されたガスは、大気中に放出すると環境汚染を引き起こすおそれがあるので、導管で抜出してコークス炉ガス処理系の適宜のところ、例えばコークス炉から出たガスを冷却して水分などを凝縮させるプライマリークーラの前又は後に導入し、コークス炉ガスと一緒に処理する。コークス炉からこの処理系に流入するガス量に比して、上部空間から抜出されるガスは極く少量なので、これをコークス炉ガス処理系に導入しても処理系に支障を生ずることはない。
【0007】
本発明の好ましい一態様では、余剰ガス液中のタール分の一部を予め除去してから、本発明によるタール分の除去処理に供する。すなわち、余剰ガス液中には通常1000〜3000mg/lのタール分が含まれているが、その大部分は傾斜板を備えた沈降分離装置などのような沈降分離装置で容易に除去できる。通常は、これらの装置で、タール分を300mg/l以下としてから、本発明によるタール除去処理に供するのが好ましい(なお、本明細書でタール分とは懸濁しているものを指し、水中に溶解しているものはこれに含めない)。
【0008】
本発明の実施態様の1例を図1に基づいて説明すると、図1は加圧浮上方式により本発明を実施する際のフローシートの1例である。余剰ガス液は導管1を経て傾斜板を備えた沈降分離装置2に導入し、タール分の大部分を沈降分離させる。タール分が300mg/l以下、例えば約150mg/lとなったガス液は、必要ならば凝集剤混合槽3で凝集剤を混合したのち、上部に閉鎖された空間4を有する脱タール槽5に導入する。脱タール槽からは導管6を経てタール分が除去された液を抜出し、一部は更なる処理のため次工程(図示せず)に送り、残部は導管7を経て加圧水槽8に導入する。加圧水槽には約3kg/cm2 Gの窒素ガスを供給する。窒素ガスを溶解した加圧水は導管9を経て余剰ガス液の導入導管に入り、脱タール槽5の下部から槽中に導入される。溶解した窒素ガスは微細な気泡となってタール分を同伴して槽を上昇し、上部空間4に至る。この空間のガスは導管12を経て抜出し、コークス炉ガスの処理系に導入する。また浮上したタール分は導管10を経て、沈降したダスト分は導管11を経て、それぞれ槽外に抜出す。このようにすると脱タール槽から抜出す液のタール分を、活性汚泥処理に支障の無い濃度、例えば20mg/l以下にまで容易に低減させることができる。
本発明によれば、環境汚染を引き起こすこともなく、また安全性を害することもなく、余剰ガス液中のタール分を活性汚泥処理等に支障のないレベルにまで容易に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を加圧浮上方式で実施する際のフローシートの1例である。
【符号の説明】
1 余剰ガス液供給管
2 タール分の沈降分離装置
3 凝集剤の混合槽
4 脱タール槽の閉鎖された上部空間
5 脱タール槽
6 清澄水の抜出し導管
7 加圧水槽への供給導管
8 加圧水槽
9 加圧水の供給導管
10 浮上したタール分の排出導管
11 沈降したダスト分の排出導管
12 ガスの抜出し導管
Claims (4)
- コークス炉ガスから発生する余剰ガス液を上部に閉鎖された空間を有する脱タール槽に供給すること、脱タール槽に不活性ガスを導入して液中に気泡を生成させること、上昇する気泡と共に液中のタール分を浮上させること、浮上したタール分を除去すると共に上部空間に蓄積したガスを抜出してコークス炉ガスの処理系に導入することを特徴とする余剰ガス液からのタール分の除去方法。
- 上部空間からガスを抜出し、これを不活性ガスとして、脱タール槽に循環することを特徴とする請求項1記載の余剰ガス液からのタール分の除去方法。
- コークス炉ガスから発生する余剰ガス液を上部に閉鎖された空間を有する脱タール槽に供給すること、脱タール槽内から液を抜出し、これに加圧下に不活性ガスを溶解させて脱タール槽に導入すること、溶解しているガスから発生する微細な気泡と共に液中のタール分を浮上させること、浮上したタール分を除去すると共に上部空間に蓄積したガスを抜出してコークス炉ガスの処理系に導入すること、を特徴とする余剰ガスからのタール分の除去方法。
- 余剰ガス液から予めタール分の一部を除去して、余剰ガス液中のタール分を300mg/l以下として脱タール槽に供給することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の余剰ガス液からのタール分の除去方法。
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JP27086597A JP3799774B2 (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | コークス炉ガスから発生するガス液の処理方法 |
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- 1997-10-03 JP JP27086597A patent/JP3799774B2/ja not_active Expired - Fee Related
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