JP3798442B2 - 感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は,感光性の保護膜、印刷版、フォトレジスト、プルーフ等の記録材料等の分野に有用な、新規な光により遊離基を生成する化合物に関するものである。更に詳しくは,新規な感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光に曝すことにより分解して遊離基を生成する化合物(遊離基生成剤)はグラフィックアーツ,感光性記録材料の分野でよく知られている.それらは光重合性組成物中の光ラジカル重合開始剤、遊離基写真組成物中の光活性剤および光で生じる酸により触媒される反応の光開始剤として広く用いられている.そのような遊離基生成剤を用いて印刷,複製,複写およびの他の記録材料系で有用な種々の感光性材料が作られている。
【0003】
感光波長が,近紫外から可視光領域にある,ハロゲン遊離基生成剤としてビス(トリハロメチル)−s−トリアジン化合物が提案されている.例えば米国特許第3,954,475号、同第3,987,037号、同第4,189,323号および特開昭62−58241号等に詳しい。これらの化合物は、近紫外から可視光領域に感光波長があるものの、露光による分解物が薄黄色に着色しやすく、さらに、光ラジカル重合開始剤又はその分解物が記録層に残存する系では、明所保存時に、これらのばっ光による分解により黄色に着色するという問題があった。このような問題に対して、本発明者らは鋭意検討を加え、良好な性能を示す本発明の化合物を見出した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、感光波長域が近紫外から可視光領域にあり、高感度でかつ露光時の分解物および明所保存時の分解物の着色を生じない感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記一般式(I)で表される感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物により達成された。
一般式(I)
【0006】
【化2】
【0007】
式中R1は−CO−R6−CO−、−CnH2n−又は−CnH2n−R7−CnH2n−を表し、nは1〜10の整数を表す。R2及びR3は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシルオキシ基又はハロゲン原子を表す。R4及びR5は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜12の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。X,Y,およびZはそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子又はハロゲン原子を表す。但しX,Y,およびZは同時に水素原子を表さない。R6は−CmH2m−又は−OCmH2mO−を表し、mは2〜20の整数を表す。R7は−O−、−S−、−N(R8)−、−SO2−、−O−SO−O−、−O−CO−R9−CO−O−、−SO2−R9−SO2−、−CO−R9−CO−又は−O−R10−O−を表す。R8は炭素原子数1〜10のアルキル基又は炭素原子数6〜12の置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R9は−ClH2l−、−ClH2lO−R11−OClH2l−、−NHCkH2kNH−、−NHCkH2k-2NH−、−NHCH2−C6H4−CH2NH−、−OCkH2kO−又は−C6H4−を表し、lは1〜20の整数を表し、kは2〜20の整数を表す。R10は−CpH2p−又は−CpH2pO−R11−OCpH2p−を表し、pは2〜20の整数を表す。R11は−C6H4−CqH2q−C6H4−、−C6H4−S−C6H4−、−C6H4−SO2−C6H4−、−C6H4−、−C6H4−O−C6H4−、−C6H4−C(CF3)2−C6H4−又は−C6H4−C6H4−を表し、qは2〜10の整数を表す。
【0008】
一般式(I)において好ましいR1は、−CO−R6−CO−、nが1〜8の整数を表す−CnH2n−又は−CnH2n−R7−CnH2n−が挙げられ、さらに好ましいR1は、nが1〜8の整数を表す−CnH2n−又は−CnH2n−R7−CnH2n−が挙げられる。
【0009】
好ましいR2及びR3は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアシルオキシ基、塩素原子又は臭素原子が挙げられる。
【0010】
好ましいR4及びR5は、それぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はフェニル基が挙げられる。
【0011】
好ましいX,Y,およびZはCXYZ基としてCCl3基、CBr3基又はCHCl2基が挙げられる。
【0012】
好ましいR6は、mが2〜12の整数を表す−CmH2m−又は−OCmH2mO−が挙げられる。
【0013】
好ましいR7は−O−、−S−、−SO2−、−O−SO−O−、−O−CO−R9−CO−O−、−CO−R9−CO−又は−O−R10−O−が挙げられ、さらに好ましいR7は、−O−、−O−SO−O−、−O−CO−R9−CO−O−又は−CO−R9−CO−が挙げられる。
【0014】
好ましいR8は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数6〜10の置換基を有していてもよいフェニル基が挙げられる。
【0015】
好ましいR9は、lが1〜18の整数を表す−ClH2l−、−ClH2lO−R11−OClH2l−、kが2〜12の整数を表す−NHCkH2kNH−、−NHCkH2k-2NH−、−OCkH2kO−又は−C6H4−が挙げられ、さらに好ましいR9は、lが1〜16の整数を表す−ClH2l−、−ClH2lO−R11−OClH2l−、kが3〜10の整数を表す−NHCkH2kNH−、−NHCkH2k-2NH−又は−OCkH2kO−が挙げられる。
【0016】
好ましいR10は、pが2〜12の整数を表す−CpH2p−又は−CpH2pO−R11−OCpH2p−が挙げられる。
【0017】
好ましいR11は、qが2〜6の整数を表す−C6H4−CqH2q−C6H4−、−C6H4−又は−C6H4−O−C6H4−が挙げられ、さらに好ましいR11は、qが2〜5の整数を表す−C6H4−CqH2q−C6H4−が挙げられる。
【0018】
上述のような一般式(I)におけるR1のうち、特に好ましいものは、nが1から8の整数を表し、lが1〜16の整数を表し、qが3〜5の整数を表し、kが3〜10の整数を表す、−CnH2n−、−CnH2n−O−SO−O−CnH2n−、−CnH2n−O−CO−ClH2l−CO−O−CnH2n−、−CnH2n−O−CO−ClH2lO−C6H4−CqH2q−C6H4−OClH2l−CO−O−CnH2n−、−CnH2n−O−CO−NHCkH2kNH−CO−O−CnH2n−、−CnH2n−O−CO−NHCkH2k-2NH−CO−O−CnH2n−、−CnH2n−CO−OCkH2kO−CO−CnH2n−又は−CnH2n−CO−NHCkH2kNH−CO−CnH2n−が挙げられる。
【0019】
一般式(I)で表される化合物の中では、一般式(II)〜(VI)で表される化合物が好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
一般式(I)において、R1で表される基の具体例を以下に示す。
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
以下に本発明にかかわる感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物例を示す。ただし本発明は以下の化合物に限定するものではない。
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
本発明にかかわる感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物は以下の式A、式B又は式Cの方法により合成できる。
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
すなわち、式Aはビス型のN−シンナモイル−N’−ハロアセチルヒドラジンを公知の方法で閉環させオキサジアゾール環を形成させるものである。式B及びCはビス化可能な反応性基を有するハロメチル置換オキサジアゾールに連結基形成剤を反応させビス化するものである。連結部位構成基は、エーテル、エステル、カーボネート、ウレタン等であり、公知にこれらの合成単位反応で容易に得られる。原料となるハロメチル置換オキサジアゾールは、米国特許明細書4,212,970号、特開昭55−24113号、特開平2−1884号などに記載の方法で得られる。
【0045】
一般式(I)で示される感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物は光重合性組成物中の光ラジカル重合開始剤として用いる場合特に有用である。
【0046】
一般式(I)で示される感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物を光重合性組成物中に用いる場合、光重合性組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物と光ラジカル重合開始剤と、必要とするならば結合剤と、さらに必要とするならば増感剤とから構成され、特に感光性印刷版の感光層、カラープルーフ、フォトレジスト等に有用である。
【0047】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
【実施例】
実施例1:化合物−4の合成
式Dのビス(N−置換シンナモイル−N’−トリクロロアセチルヒドラジン)化合物7.29gとオキシ塩化りん9.27gを105℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をメタノール、アセトンで洗浄し、化合物−4を5.21g得た。
m.p.=148〜150℃。
【0049】
【化24】
【0050】
実施例2:化合物−6の合成
式Eのオキサジアゾール化合物6.99gとセバソイルクロリド2.39gのアセトニトリル25ml溶液へ、氷冷下、トリエチルアミン2.20gを滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をアセトニトリルで再結晶し、化合物−6を7.01g得た。
m.p.=96〜97℃。
【0051】
【化25】
【0052】
実施例3:化合物−18の合成
式Eのオキサジアゾール化合物6.99gと4,4′−イソプロピリデンジフェノキシアセチルクロリド3.81gのアセトニトリル25ml溶液へ、氷冷下、トリエチルアミン2.20gを滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をアセトニトリルで再結晶し、化合物−18を8.56g得た。
m.p.=70〜72℃。
【0053】
実施例4:化合物−21の合成
式Eのオキサジアゾール化合物6.99g、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート1.68gおよびジブチルチンジアセテート0.1gのテトラヒドロフラン25ml溶液を40℃で3時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をメタノールで洗浄し、化合物−21を7.75g得た。
m.p.=173〜176℃。
【0054】
実施例5:化合物−5の合成
式Eのオキサジアゾール化合物6.99gと塩化チオニル1.0gのアセトニトリル25ml溶液へ、氷冷下、トリエチルアミン2.20gを滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をアセトニトリルで再結晶し、化合物−5を2.84g得た。
m.p.=154℃。
【0055】
実施例6:化合物−7の合成
式Eのオキサジアゾール化合物6.99gと1,18−オクタデカンジオン酸クロリド3.51gのアセトニトリル25ml溶液へ、氷冷下、トリエチルアミン2.20gを滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をアセトニトリルで再結晶し、化合物−7を5.96g得た。
m.p.=111〜112℃。
【0056】
実施例7:化合物−22の合成
式Eのオキサジアゾール化合物6.99g、イソホロンジイソシアネート2.80gおよびジブチルチンジアセテート0.1gのテトラヒドロフラン30ml溶液を40℃で8時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をアセトニトリルで洗浄し、化合物−22を4.10g得た。
m.p.=180〜183℃。
【0057】
実施例8:化合物−9の合成
式Fのオキサジアゾール化合物7.27g、セバソイルクロリド2.39gのアセトニトリル25ml溶液へ、氷冷下、トリエチルアミン2.20gを滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をアセトニトリルで再結晶し、化合物−9を5.27g得た。
m.p.=115〜117℃。
【0058】
【化26】
【0059】
実施例9:化合物−2の合成
式Gのビス(N−置換シンナモイル−N’−トリクロロアセチルヒドラジン)化合物14.3gとオキシ塩化りん20.2gを105℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をメタノール、アセトンで洗浄し、化合物−2を5.38g得た。
m.p.=149〜152℃。
【0060】
【化27】
【0061】
実施例10:化合物−3の合成
式Hのビス(N−置換シンナモイル−N’−トリクロロアセチルヒドラジン)化合物14.6gとオキシ塩化りん20.2gを105℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をメタノール、アセトンで洗浄し、化合物−3を6.81g得た。
m.p.=184℃
【0062】
【化28】
【0063】
実施例11:化合物−37の合成
式Iのオキサジアゾール化合物5.90g、1,5−ジブロモペンタン1.70gおよび炭酸水素ナトリウム1.3gのN,N−ジメチルアセトアミド15ml溶液を90℃で3時間撹拌した。反応混合物を氷水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶を酢酸エチル−メタノールで再結晶し、化合物−37を3.34g得た。
m.p.=62〜65℃。
【0064】
【化29】
【0065】
実施例12:化合物−38の合成
式Iのオキサジアゾール化合物9.80g、1,6−ジブロモヘキサン3.05g及び炭酸水素ナトリウム2.2gのN,N−ジメチルアセトアミド25ml溶液を90℃で3時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶を酢酸エチル−エタノールで再結晶し、化合物−38を7.15g得た。
m.p.=109〜112℃。
【0066】
実施例13:化合物−62の合成
式Jのオキサジアゾール化合物9.80g、1,6−ジブロモヘキサン3.05gおよび炭酸水素ナトリウム2.2gのN,N−ジメチルアセトアミド25ml溶液を90℃で2時間撹拌した。反応混合物を水にあけ、析出した結晶を濾過した。結晶をアセトニトリル−メタノールで再結晶し、化合物−62を7.01g得た。
m.p.=123〜126℃。
【0067】
【化30】
【0068】
【発明の効果】
本発明になる新規な感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物は、光により遊離基を生成する新規な化合物であり、感光性の保護膜、印刷版、フォトレジスト、プルーフ等の記録材料の分野に有用である。
Claims (2)
- 下記一般式(I)で表されることを特徴とする感光性ビス(ハロゲン置換メチルオキサジアゾール)化合物。
一般式(I)
- CXYZがCCl3、CBr3又はCHCl2で表されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
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